JPH0532250Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、プレキヤストコンクリートパネルを
成型する型枠に係り、より詳しくは、型枠内に打
設されたコンクリートが周辺枠における配筋等の
突出部分から漏洩するのを防止するためにエアー
チユーブを用いるようにした型枠に関するもので
ある。

〔従来の技術〕

プレキヤストコンクリートパネルの成型用型枠
において、従来、予め配置された鉄筋、配管、金
具等の埋込部材が周辺枠から露呈する部分には、
例えば、その部分の枠板に鉄筋を通過させる複数
の孔を設けたり、また枠板にその長手方向に沿つ
た長孔を設けてそれに張つた網部材から鉄筋を突
出させたり、さらには枠板を上下二つ割りとして
その合せ目に設けた凹部に鉄筋を挟み込むなどし
て、鉄筋等の露呈する周辺枠から打設コンクリー
トの漏洩するのを防止するようにしていた。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上述のいずれの漏洩防止手段に
おいても、コンクリートの漏洩を充分には阻止し
得ず、仕上がりが良好でないのみでなく、その枠
板の設定に手数が掛り、脱型にも作業性が悪く、
しかもベニヤ板を用いるにしてもPC板の種類ご
とに異なつた枠板を要するなどの欠点を免れなか
つた。

そこで、本考案は叙上の点に鑑み、鉄筋類の露
呈する周辺枠部分からコンクリートが漏洩するの
を効果的に阻止し得るとともに、作業性に優れ、
しかも該周辺枠部分で成型される製品の仕上り端
面形状を所望の形状になし得られるようにするこ
とを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は上記目的を達成するため、ベツド上に
設定した成型用型枠の鉄筋を突出させた側方開口
部に、充填空気により膨脹されたエアーチユーブ
を配設して該開口部を閉塞させ、このエアーチユ
ーブの上記開口部側に成型パネルの切込み形成用
突出部を設けるようにしている。

〔作用〕

本考案によれば、上記構成を有するため、エア
ーチユーブの柔軟な弾撥性能により突出鉄筋の周
辺を包み込んで開口部の隙間を填めコンクリート
の漏洩を効果的に阻止し得るとともに、その設定
および脱型が容易であり、しかもエアーチユーブ
の突出部により成型パネルの端面に所望の切込み
を成型と同時に形成することができる。

〔実施例〕

以下、図示実施例について本考案を説明する
と、エアーチユーブ１はゴム張りシート、プラス
チツクシート等よりなる長尺のチユーブで、成型
適用時には空気充填により膨脹して用いられ、格
納時には空気を放出させて折畳み縮小される。そ
して、第１図に示すように、このエアーチユーブ
には、成型パネルの切込み形成用突出部２が連続
的あるいは断続して接着あるいは接合して設けら
れている。

このエアーチユーブを用いたプレキヤストコン
クリートパネルの成型装置は第２図に示されるよ
うに構成される。すなわち、ベツド３上にプレキ
ヤストコンクリートパネル４の成型用型枠５を組
立て、この型枠５内に予め配置した鉄筋６を該型
枠端面から突出させている。この鉄筋６を露呈さ
せた型枠端面には、複数の支持部材７をベツド３
上に立設し、これら支持部材７に図示しない締結
具を介して断面溝状の上枠８を上下位置調節可能
に取付け、これにより型枠５の端面開口部上縁を
閉塞させている。また、ベツド３上には、この上
枠８に対向して該端面開口部の下縁を閉塞するア
ングル状の下枠９を締着させ、これら上下枠８，
９により鉄筋６を露呈させる端面開口部を区画さ
せている。

然して、上記エアーチユーブ１は上述した端面
開口部を閉塞すべく、支持部材７および上下枠
８，９間に挿着され、図示しない逆Ｕ字状金具等
によりその両端をベツド３上に止着させて正確な
位置に位置決めされる。このエアーチユーブ１は
空気の充填により膨脹して上下枠８，９間および
この部分に突出する鉄筋６の間隙を填めて型枠５
の端面開口部を閉塞し、この開口部からのコンク
リートの漏洩を確実に阻止する。しかも、このエ
アーチユーブ１の開口部側には前述したように成
型パネル４の欠込み形成用突出部２が予め設定さ
れているから、脱型時にはパネル４の端面に所望
の凹部形状を形成させることができる。そして、
この突出部２は単体の突起あるいは連続的なもの
として、各種の形状に選定されて、例えば第４図
に示すようなコツター１０や各種の溝形状をパネ
ル４に形成させ得る。

なお、上述した上枠８および下枠９は成型パネ
ル４の端面上下縁部に平坦面を形成させて正確な
接続端面を区画させることができる。また、上述
した上枠８は上下位置の調整が可能であるため、
パネル４の厚さが変つてもエアーチユーブ１を変
えることにより容易に対応することができ、した
がつて型枠の種類は上枠８および下枠９それぞれ
１種類で済ますことができる。更に、エアーチユ
ーブ１は図示態様では単一のものを用いているが
上下に複数本並設することも可能であり、必要に
応じては、上下枠８，９をエアーチユーブに代替
することもできる。

上述の構成を有するため、これによりプレキヤ
ストコンクリートパネル４を成型するにあたつて
は、第２図に示すように配置したエアーチユーブ
１に空気を充填して膨脹させ、その後、型枠５内
にコンクリートを打設するだけで良く、これによ
り膨脹して周辺に密着したエアーチユーブ１が型
枠５内から外部へのコンクリートの漏洩を露呈鉄
筋類があるにも拘らず効果的に堰止めるので、該
漏洩を確実に阻止することができるとともに、成
型作業の作業性を著しく向上させることが可能と
なる。また、成型後は、空気を放出させてエアー
チユーブ１を窄ませれば、このエアーチユーブ１
の取り外しを極めて容易に行うことができるの
で、脱型作業の作業性の大幅な向上ができる。特
にエアーチユーブ１に設定されている突出部２に
より成型パネル４の端面に所望の切込みを脱型と
同時に付与することが可能となる。そして、これ
らエアーチユーブ１の使用により成型パネル４の
端面の仕上がりの均一化や、鉄筋６の変形ならび
にコンクリートの付着の減少等を期待できるとと
もに、成型パネル４への手直し作業の必要性を大
幅に減少させることが可能となる。

次に、第３図に示すものは、上述のようにして
成型されたプレキヤストコンクリートパネル４を
下階壁１１上に建込み、該パネル４の鉄筋６を在
来工法によるスラブ１２の鉄筋と接合後、該スラ
ブ１２のコンクリート打設を行うようにした成型
パネルの接合例を示している。この場合、上記パ
ネル４の端面４ａには例えば第４図に示すコツタ
ー１０が形成されており、パネルの接合を強化し
得ることが認められる。

〔考案の効果〕 以上述べたように、本考案においては、ベツド
上に設定した成型用型枠の鉄筋を突出させた側方
開口部に、充填空気により膨脹されたエアーチユ
ーブを配設して該開口部を閉塞させるようにして
いるので、作業性の向上及び脱型作業の容易化を
図ることができるとともに、効果的にコンクリー
トの漏洩を阻止して良好な製品仕上がりを得られ
る。特に上記エアーチユーブに成型パネルの欠込
み形成用突出部を設けているので、パネル端面に
はその成型と同時にコツター、溝等の所望の切込
みを容易に形成し得る効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る成型装置に用いられるエ
アーチユーブを示す断面図、第２図はこのエアー
チユーブを適用した本考案に係る成型装置を示す
側断面図、第３図は第２図の成型装置により成型
されたプレキヤストコンクリートパネルを在来工
法のスラブに接合するようにした具体例を示す説
明図、第４図は上記パネルの端面図である。 １……エアーチユーブ、２……欠込み形成用突
出部、３……ベツド、５……型枠、６……鉄筋。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ベツド上に設定した成型用型枠の鉄筋を突出さ
   せた側方開口部に、充填空気により膨脹されたエ
   アーチユーブを配設して該開口部を閉塞させ、上
   記エアーチユーブには、成型パネルの欠込み形成
   用突出部を上記開口部側内側に突設したことを特
   徴とするプレキヤストコンクリートパネルの成型
   装置。