JPH05296017A - エンジンオイル加温装置 - Google Patents

エンジンオイル加温装置

Info

Publication number
JPH05296017A
JPH05296017A JP9991292A JP9991292A JPH05296017A JP H05296017 A JPH05296017 A JP H05296017A JP 9991292 A JP9991292 A JP 9991292A JP 9991292 A JP9991292 A JP 9991292A JP H05296017 A JPH05296017 A JP H05296017A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
storage material
heat storage
engine
engine oil
heat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9991292A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenzo Kaneda
堅三 金田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NipponDenso Co Ltd filed Critical NipponDenso Co Ltd
Priority to JP9991292A priority Critical patent/JPH05296017A/ja
Publication of JPH05296017A publication Critical patent/JPH05296017A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Lubrication Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】過冷却現象を利用した蓄熱材の融解潜熱による
発熱で、低外気温時におけるエンジン始動性を向上させ
る。 【構成】エンジンオイル還流系の一部に、熱伝導性を有
する蓄熱材容器21を設け、この蓄熱材容器21内に塩
水和物よりなる蓄熱材22を収容し、蓄熱材容器21
に、エンジンオイル11を急速加熱させるために、過冷
却状態の蓄熱材22に対して、結晶化への転移を誘起さ
せる機械的刺激を与える接触加圧式の加熱器23を設け
た。すなわち、塩水和物の蓄熱材22の過冷却現象を利
用し、外気温から同過冷却状態を結晶化させることによ
って、エンジンオイル11を急速に加熱させるようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば自動車に搭載
されたエンジンのエンジンオイルを加熱するためのエン
ジンオイル加温装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車に搭載されているエンジンは、外
気温が低くなる程、始動性が損なわれる問題をもってい
る。特に、寒冷地ではエンジンの始動性が悪くなる。
【0003】そこで、寒冷地では、駐車場に、市中電源
の通電で発熱する電気ヒ−タの設備を設け、駐車した自
動車のエンジンに電気ヒ−タを据付けて、始動前、事前
に、すなわち駐車しているときから、電気ヒ−タからの
発熱で停止状態のエンジンの本体を暖めることが行われ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、こうしたエ
ンジンの暖めは、確かにエンジンオイルの粘性が適正に
維持されるから始動性が良好となるものの、駐車した自
動車に電気ヒ−タを据付ける作業は、低外気温で行われ
ることもあって、かなり面倒であり、改善の要望が高
い。
【0005】一方、他の分野には、蓄熱材の融解潜熱を
用い、この蓄熱材が結晶化するときに蓄熱された熱を放
熱させるようにした蓄熱装置が考えられている。例えば
実開平3−79075号公報には、密閉容器内に封入さ
れた潜熱蓄熱材を過冷却状態し、この過冷却状態を機械
的な刺激を利用して、任意に固化させるようにした過冷
却液体の任意固化装置などがある。
【0006】この過冷却液体を利用して蓄熱材から発熱
させる技術は、取扱いを容易にすることができるもの
の、エンジンを暖めるのは難しく、上記したエンジンの
始動性の改善には至っていない。
【0007】この発明は、このような事情に着目してな
されたもので、その目的とするところは、過冷却現象を
利用した蓄熱材の融解潜熱で得られる発熱で、低外気温
時におけるエンジン始動性の向上を実現させることがで
きるエンジンオイル加温装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1に記載のエンジンオイル加温装置は、エンジ
ンのエンジンオイル還流系に、熱伝導性を有する蓄熱材
収容部を設け、この蓄熱材収容部内にこの蓄熱材収容部
へ伝わるエンジンオイルからの熱を、潜熱の吸収に伴う
融解にしたがって蓄熱する、塩水和物よりなる蓄熱材を
収容し、前記蓄熱材収容部に、前記エンジンオイルを急
速加熱させるために、前記過冷却状態の蓄熱材に対し
て、結晶化への転移を誘起させる機械的刺激を与える誘
起器を設けたことにある。
【0009】同じく請求項2に記載のエンジンオイル加
温装置は、さらに請求項1の誘起器において過冷却破壊
の原因となる種結晶を発生をなくすために、請求項1の
誘起器を、蓄熱材収容部の内部に挿入して設けた、熱伝
導性を有する内蔵本体部と、この内蔵本体部の外面部分
に設けた、前記蓄熱材収容部内に開口する開口路と、こ
の開口路に設けられ、過冷却状態の蓄熱材中での変位に
より、同過冷却状態の蓄熱材に対して、結晶化を開始さ
せる機械的刺激を与えることが可能な結晶化開始部と、
前記開口路から前記内蔵本体部の内部へ向かって延びて
形成されたシリンダ室と、少なくとも内蔵本体部に設け
た前記シリンダ室内を前記蓄熱材収容部の蓄熱材で充満
させる通路部と、前記シリンダ室に往復動自在に嵌挿さ
れ、前記結晶化開始部側の方向へ変位移動させるピスト
ン部と、このピストン部を操作し、前記蓄熱材の移動に
したがって前記結晶化開始部を変位させる操作手段と、
一端部が前記ピストン部の外周に接続され、他端部が前
記シリンダ室の延び側の端部内周面に接続され、前記ピ
ストンを境とした前記ピストン室の延び側を周囲から隔
絶する伸縮可能なベロ−ズとから構成したことにある。
【0010】
【作用】請求項1のエンジンオイル加温装置によると、
エンジンが運転している間、エンジンの本体の各部を還
流するエンジンオイル還流系のエンジンオイルは、エン
ジンの本体から発する熱を受けて温度上昇する。
【0011】この際、エンジンオイルの熱が、蓄熱材収
容部を伝わって、内部の蓄熱材に伝熱され、固体状態に
ある蓄熱材を急速に融解する。そして、このときの潜熱
の吸収にしたがって、蓄熱材にエンジンオイルの熱を蓄
熱する。
【0012】ここで、蓄熱材を構成する塩水和物は、融
点以下の過冷却状態でも、安定した液体状態を維持する
特性があるので、たとえエンジンが冷えても、すなわち
低外気温でも、融解潜熱は保存されることになる。
【0013】ついで、エンジンの運転を停止させた後、
低外気温時においてエンジンを始動させたいときは、エ
ンジンを始動する前に誘起器を作動させる。
【0014】すると、この誘起器の作動により、過冷却
状態の蓄熱材に、機械的な刺激が加わる。
【0015】ここで、過冷却状態の蓄熱材は、機械的な
刺激により、結晶化への相の転移が誘起される性質があ
ることが知られている。
【0016】しかるに、誘起器の作動にしたがって、過
冷却状態の蓄熱材は、急速に結晶化し、融解潜熱を放出
する。これにより、蓄熱材は融点の近くまで温度上昇す
る。
【0017】そして、この融解潜熱で、エンジンオイル
は、蓄熱材収容部を介して、急速に加熱され、エンジン
オイルを所定の粘性に回復させていく。
【0018】この後、エンジンを始動すれば、粘性が回
復したエンジンオイルがエンジンの本体の各部に供給さ
れるので、低外気温時でも、エンジンは容易に始動され
ることになる。
【0019】請求項2のエンジンオイル加温装置による
と、ピストン部の操作で結晶化開始部を変位させて結晶
化を開始させる構造に、シリンダ室の後端側の周囲をベ
ロ−ズで取り囲む構造を組合わせたことにより、上記固
体状態から液体状態へ転移する際は、蓄熱材収容部の蓄
熱材から、ベロ−ズ外側の蓄熱材を介して、シリンダ室
の蓄熱材へ、直接、熱が伝達していくようになる。
【0020】すなわち、固体状態から液体状態への転移
のとき種結晶が残留すると、蓄熱材の過冷却状態が破壊
されることがあるが、上記のように高熱伝達性が確保さ
れると、誘起器内の蓄熱材は、固体状態から液体状態へ
転移する際、誘起器に種結晶を残さずに完全に融解され
る。
【0021】これにより、常にエンジンオイル加温装置
の性能が安定して発揮される。
【0022】
【実施例】以下、この発明を図1および図2に示す第1
の実施例にもとづいて説明する。図1は、この発明を適
用した自動車(車両)に搭載されている走行用エンジン
(以下、単にエンジンと称す)を示す。
【0023】このエンジンの本体1は、ピストン2,シ
リンダ(図示しない)などの部品が設けられたシリンダ
ブロック3の頭部に、動弁系4,カムカバ−5などが設
けられたシリンダヘッド6を設け、下部にオイルポンプ
(図示しない)が内蔵されたオイルパン7を設けて構成
される。なお、8はシリンダブロック3に設けたクラン
ク軸(図示しない)の軸端に装着されたプ−リ、9はシ
リンダブロック3の側部に装着されたオイルフィルタ
−、10はカムカバ−5に設けたエンジンオイルの給油
部である。
【0024】またエンジンの本体1には、上記オイルポ
ンプにより、オイルパン7の内部から吸い上げたエンジ
ンオイル11を、オイルフィルタ−9、シリンダブロッ
ク3に設けたギャラリ−12を介して、カム軸13,弁
14など、潤滑が必要とされる各種のエンジン部品の摺
動部に導くオイル通路15が設けられている。また本体
1には潤滑後のエンジンオイル11を戻す、例えばシリ
ンダヘッド6からのエンジンオイル11をオイルパン7
内へ戻すための孔部16といった戻しの通路が設けられ
ていて、オイルパン7内に集溜されているエンジンオイ
ルを本体1の内部に還流させるようにしてある。
【0025】こうしたエンジンオイル還流系を構成する
部位のうち、エンジン停止時において、エンジンオイル
11が溜っているような部分、例えばオイルパン7に
は、この発明の要部となるエンジンオイル加温装置20
が設けられている。
【0026】エンジンオイル加温装置20について説明
すれば、21は、オイルパン7のオイル集溜部分7aに
溜まる内底部に、エンジンオイル11中に浸漬するよう
にして設けた蓄熱材容器(本願の蓄熱材収容部に相当)
である。この蓄熱材容器21は、耐食性に優れ、かつ伝
導性に優れる部材、例えばステンレス鋼又はアルミニウ
ム合金から所定の外形、例えば短筒形のタンク状に構成
してなる。
【0027】この蓄熱材容器21内には、蓄熱材とし
て、例えば「CH3 COO Na−45% H2 O」で示される沸点
58℃をもつ塩水和物の蓄熱材22が収容されている。
そして、この蓄熱材22における潜熱の吸収に伴う融
解、すなわち固体状態から液体状態への相変化により、
熱(溶解潜熱)を蓄えることができるようにしてある。
【0028】ここで、蓄熱材22(CH3 COO Na−45% H
2 O )としては、融点以下の過冷却状態でも安定である
という性質を有しているために、過冷却状態でも液体状
態のまま、融解潜熱を保存できるという特性をもつ。但
し、蓄える融解潜熱は「60cal/g 」とされる。
【0029】オイルパン7の下方から外部に臨む、蓄熱
材容器21の下部壁には、接触加圧式の加熱器23(本
願の誘起器に相当)が設けられている。
【0030】この加熱器23の詳細な構造が図2に示さ
れている。
【0031】この構造について説明すれば、25は、例
えば小径な筒形のボディ26(本願の内蔵本体部に相
当)の頭部にキャップ部27を設けて構成される本体で
ある。この本体25は、例えば耐食性、熱伝導性に優れ
る部材から構成してある。
【0032】そして、本体25は、キャップ部27の外
周部に設けたねじ部(図示しない)を蓄熱材容器21の
下部壁にねじ込むことにより取付けられていて、ボディ
26を蓄熱材容器21に挿入させ、キャップ部27を蓄
熱材容器21の外部に配置させている。
【0033】ボディ26の先端側中央には開口路28が
形成されている。開口路28は、ボディ26の先端面中
央に設けた、蓄熱材容器21内に開口する小径な孔部2
9と、ボディ26の先端側の軸心部分に同軸心方向に沿
って設けた、孔部29の径寸法より大きな径の孔部30
と、これら双方の孔部29,30を直列に連通する円錐
形の孔部31とから構成される。
【0034】この開口路28の孔部31の部分には、同
部分の形状と略対応する外形をもつ短長の接触部品32
(本願の結晶化開始部に相当)が摺動自在に嵌挿されて
いる。なお、32aは接触部品32の軸心中央に設けた
貫通孔を示す。
【0035】さらにボディ26の内部には、上記孔部3
0に連続して、その孔部30の径寸法より大きな径で構
成されるシリンダ室33が形成されている。このシリン
ダ室33の周壁の一部には、蓄熱材容器21に開口する
開口部34(本願の通路部に相当)が設けられていて、
同開口部34ならびに上記接触部品32の貫通孔32a
を通して、シリンダ室33内に蓄熱材容器21の蓄熱材
22を充満させている。
【0036】そして、このシリンダ室33にピストン3
5(本願のピストン部に相当)が往復動自在に嵌挿され
ている。
【0037】一方、キャップ部27の中央には、操作杆
36が摺動自在に貫通している。この操作杆36の中段
の外周部分には段差部分で構成されるストッパ部36a
が設けられ、同ストッパ部36aとキャップ部27の貫
通孔27aの開口縁との当接により、操作杆36のスト
ロ−クを所定に規制するようにしてある。
【0038】操作杆36のシリンダ室35内へ突き出る
端部は、上記ピストン35に連結され、操作杆36の外
部へ突き出る端部には、押ノブ38(本願の操作手段に
相当)が連結されている。
【0039】またこのピストン35と接触部品32との
間には、圧縮スプリング39が介装され、孔部31の内
面に接触部品32の先端部を押付けている。そして、こ
の接触部品32の先端の角部32bとそれに接触する孔
部31の円錐面31aとの間の接触部分を、液体状態か
ら固体状態への相変化の誘起を開始させる部位40とし
ている。
【0040】すなわち、蓄熱材22の液体状態から固体
状態への相変化(相転移)は、機械的な刺激により誘起
されることがわかっており、本実施例では、押ノブ38
の押操作により、金属同志を衝撃的に擦らせるような変
位を、加圧されている接触部品32で発生させるように
している。
【0041】他方、シリンダ室33に突き出る操作杆3
6の軸部周囲には、同部分を囲むように金属製の伸縮自
在なベロ−ズ41が設けられている。このベロ−ズ41
は、一端がピストン35の外周部に連結され、他端がシ
リンダ室33のキャップ端の内周面に突設された鍔部分
42に連結されていて、ピストン35を境としたピスト
ン35のキャップ側を周囲から隔絶している。この隔絶
構造により、蓄熱材容器21の蓄熱材22から、ベロ−
ズ外側の蓄熱材22を介して、シリンダ室33を充満し
ている蓄熱材22に、直接的に、熱を伝えることができ
るようにしている。
【0042】つぎに、図1において、このように構成さ
れたエンジンオイル加温装置20の作用について説明す
る。
【0043】エンジンオイル加温装置20は、エンジン
の運転中に同エンジンの排熱を蓄熱する。
【0044】すなわち、エンジンの運転中、エンジンオ
イル還流系は、エンジンを動力として駆動されるオイル
ポンプにより、オイルパン7内のエンジンオイル11を
汲上げ、ギャラリ−を介して、エンジン各部の潤滑部分
に供給している。そして、潤滑を終えたエンジンオイル
11が、孔部16などを通って、オイルパン7へ戻ると
いうサイクルを繰り返している。
【0045】こうしてエンジンの本体1の各部を還流す
るエンジンオイル11は、エンジンの本体1から発する
熱を受けて温度上昇し、次第に高温となる。これによ
り、オイルパン7に溜っているエンジンオイル11も高
温となっていく。具体的には、オイルパン7内のエンジ
ンオイル11は「約90℃」にも達する。
【0046】このエンジンオイル11の熱が、オイルパ
ン7内に据付けた蓄熱材容器21を伝わって、内部の蓄
熱材22に伝熱される。これにより、固体状態にある蓄
熱材22は急速に融解する。このときの潜熱の吸収にし
たがって、蓄熱材22にエンジンオイル11の熱を蓄熱
する。
【0047】すなわち、「CH3 COO Na−45% H2 O 」で
示される塩水和物の蓄熱材22の融点は、エンジンオイ
ル11の温度より低い、「58℃」なので、固体状態に
ある塩水和物の蓄熱材22は、融解しながら潜熱を吸収
して、固体状態から液体状態へ相変化(相転移)してい
く。具体的には、融解潜熱「60cal/g 」で熱を蓄え
る。
【0048】むろん、この際、加熱器23の内部の塩水
和物の蓄熱材22も、固体状態から液体状態へ相変化す
る。
【0049】具体的には、図2において、蓄熱材容器2
1の蓄熱材22の熱が、ベロ−ズ外側の蓄熱材22を介
して、シリンダ室33の蓄熱材22に、直接的に熱を伝
えられることで、加熱器23内の塩水和物の蓄熱材22
が潜熱の吸収に伴って融解するからである。むろん、ボ
ディ26の先端の孔部29を介して、蓄熱材容器21の
蓄熱材22の熱が開口路28の蓄熱材22に伝熱される
ことにもよる。
【0050】ついで、このエンジンの運転を停止する。
【0051】このエンジン停止と共に、オイルパン7内
のエンジンオイル11は徐々に温度が下がり、やがて外
気温と同じになる。
【0052】ここで、塩水和物の蓄熱材22は、融点以
下の過冷却状態でも安定なため、たとえエンジンが冷え
ても、液体状態のまま存在して、融解潜熱を蓄えてい
る。
【0053】このことにより、寒冷地における低外気温
でも、塩水和物の蓄熱材22には融解潜熱が保存され
る。
【0054】エンジン停止後、低外気温時においてエン
ジンを始動しようとする場合は、エンジンを始動する前
に加熱器23を作動させる。
【0055】具体的には、オイルパン7の下部から突き
出ている押ノブ38を押す。すると、ピストン35が接
触部品32側へ進み、同接触部品32の先端部を円錐面
31aに衝撃的に擦らせる。
【0056】ここで、過冷却状態の蓄熱材22は、機械
的な刺激により、結晶化への相の転移が誘起される性質
がある。
【0057】それ故、上記機械的な刺激が、過冷却状態
の蓄熱材22に加わると、部位40から結晶化が始ま
り、今まで液体状態であった蓄熱材容器21内の蓄熱材
22が急速に結晶化する。この結晶化により、蓄熱材2
2は融解潜熱を放出し、融点の近くまで温度上昇する。
具体的には、「CH3 COO Na−45% H2 O 」で示される塩
水和物の蓄熱材22の場合、大気温が「−5℃」のと
き、「53℃」まで昇温する。
【0058】この融解潜熱が、蓄熱材容器21を介し
て、オイルパン7内で集溜しているエンジンオイル11
に伝熱され、同エンジンオイル11を急速に加熱する。
【0059】これにより、低下していたエンジンオイル
11の粘性が、元の所定の粘性に回復されていく。
【0060】このようにして蓄熱材22の発熱により、
オイルパン7内のエンジンオイル11が暖まったなら
ば、自動車のイグニションキ−(図示しない)を操作し
て、エンジンの始動を行なう。
【0061】すると、所定の粘性まで回復したエンジン
オイル11が、エンジンの本体1の各部に供給される。
【0062】これにより、エンジンは暖められることに
なり、低外気温時でも、容易にエンジンを容易に始動さ
せることができることとなる。
【0063】よって、蓄熱材22の過冷却現象を利用し
て得られる発熱で、低外気温時におけるエンジンの始動
性の向上を図ることができる。
【0064】しかも、加熱器23は、蓄熱材容器21内
の蓄熱材22からの熱を良好に受ける構造なので、急速
加熱が必要なときに安定して発揮させることができる。
【0065】すなわち、蓄熱材22が固体状態から液体
状態へ転移する際、種結晶が残留するようなことがある
と、蓄熱材22の過冷却状態が破壊されることがある。
つまり、せっかく蓄えた熱エネルギ−が途中で放出さ
れ、エンジンオイル11を暖めるのに有効に利用できな
くなることが懸念される。
【0066】そこで、加熱器23には、ピストン35の
押す操作にしたがって接触部品32を変位させて結晶化
を開始させる構造に、シリンダ室33の後端側の周囲を
ベロ−ズ41で取り囲む構造を組合わせ、蓄熱材容器2
1の蓄熱材22から、ベロ−ズ外側の蓄熱材22を介し
て、直接的にシリンダ室33に充満する蓄熱材22へ熱
が伝達させている。つまり、加熱器23の内部において
高熱伝達性を確保している。
【0067】これにより、加熱器23内の蓄熱材22
は、固体状態から液体状態へ転移する際、種結晶を残さ
ずに完全に融解されるので、常にエンジンオイル加温装
置の性能を安定して発揮させることができることとな
る。
【0068】図3および図4は、この発明の第2の実施
例を示す。
【0069】本実施例は、結晶化開始部を皿ばね50か
ら構成したものである。具体的には、つぎのように加熱
器23を構成している。
【0070】すなわち、ボディ26を全長が短い筒形の
部材から構成し、開口路28を全長が短く、かつ内面に
段差51aのある貫通孔51から構成し、この貫通孔5
1の段差51aに皿ばね50を嵌挿している。
【0071】皿ばね50は、図3および図4の側面図な
らびに平面図に示されるように薄肉の円板の中央を、プ
レス成形などで円形に押出して全体が構成されていて、
押出した円形の中央部分52の周側には複数本の切込み
53が設けられている。このように構成される皿ばね5
0は、中央部分52を押すと、凹んで反対側に突き出る
ように変位するものである。この変位の際に生じる切込
み53の切り口部分での擦れを、結晶化への転移を誘起
させるための機械的な刺激としている。
【0072】そして、この皿ばね50を変位させる押圧
部分53が操作杆36の先端に設けられ、押しノブ38
の押操作から皿ばね50を変位させると、同皿ばね50
の切込み53の部分から結晶化が開始されて、蓄熱材2
2が発熱するようにしてある。
【0073】但し、図3、図4において、第1の実施例
と同じ部分には同一符号を付してその説明を省略した。
【0074】このようにしても、第1の実施例と同様の
効果を奏する。むろん、皿ばね50以外の部品ないし部
分から、結晶化開始部を構成してもよく、同結晶化開始
部の構造には限定されるものでない。
【0075】また上述した実施例は、いずれもエンジン
のオイルパン7にエンジンオイル加温装置を設けた例を
挙げたが、これに限らず、エンジンオイル還流系のうち
の他の部分、すなわちエンジンオイル11が溜まる部
分、あるいはエンジンオイル11が流通する部分に設け
ても、同様な効果を奏する。
【0076】図5および図6には、そのことを立証する
第3の実施例が示されている。
【0077】すなわち、本実施例は、オイルフィルタ−
9を通過したエンジンオイル11をシリンダブロック3
の側部の下側に設けた入口部(図示しない)に導く流路
60に、エンジンオイル加温装置を設けたものである。
【0078】このエンジンオイル加温装置の構造につい
て説明すれば、流路60の一部に、熱交換室61を設
け、この熱交換室61内に、上記第1の実施例で示した
ような蓄熱材22を収容した蓄熱材容器64を設け、こ
の蓄熱材容器64に同じく第1の実施例で示したような
構造の加熱器23を設けた構造となっている。
【0079】なお、図5中、63はオイルパン7内に設
けたオイルポンプである。
【0080】このように構成すると、エンジンの運転
中、オイルポンプ63,オイルフィルタ−9,流路6
0,熱交換室61,ギャラリ,エンジン各部を還流する
エンジンオイル11の熱は、第1の実施例と同様にし
て、蓄熱材22に蓄熱される。
【0081】またエンジンを停止した後、低外気温時に
エンジンを始動させるときは、第1の実施例と同様、始
動直前に加熱器23を作動させて、過冷却状態の蓄熱材
22を結晶化させれば、同蓄熱材22から発する熱でエ
ンジンオイル11ならびにその周辺が急速に暖まる。
【0082】ついで、エンジンの始動を行えば、始動と
共に還流を開始するエンジンオイル11が、熱交換室6
1を通過するときに急速に加熱され、第1の実施例と同
様、粘性が回復されたエンジンオイル11がエンジンの
各部に供給され、エンジンを暖めていく。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように請求項1および請求
項2に記載の発明によれば、過冷却現象を利用した蓄熱
材の融解潜熱で得られる発熱で、低外気温時におけるエ
ンジン始動性を向上させることができる。
【0084】加えて、請求項2に記載の発明によれば、
固体状態から液体状態へ転移する際、種結晶を残さずに
完全に融解させることができ、常にエンジンオイル加温
装置の性能を安定して発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例のエンジンオイル加温
装置を、同装置を据付けたエンジンと共に示す図。
【図2】同実施例の加熱器回りの構造を示す断面図。
【図3】この発明の第2の実施例のエンジンオイル加温
装置の加熱器回りの構造を示す断面図。
【図4】同実施例の皿ばねの平面図。
【図5】この発明の第3の実施例のエンジンオイル加温
装置を、同装置を据付けたエンジンと共に示す図。
【図6】同実施例の加熱器回りの構造を示す断面図。
【符号の説明】
1…エンジンの本体、9…オイルフィルタ−、11…エ
ンジンオイル、20…エンジンオイル加温装置、21…
蓄熱材容器(蓄熱材収容部)、22…蓄熱材、23…加
熱器(誘起器)、26…ボディ(内蔵本体部)、28…
開口路、32…接触部品(結晶化開始部)、33…シリ
ンダ室、34…開口部(通路部)、35…ピストン(ピ
ストン部)、36,38,39…操作杆,押しノブ,ス
プリング(操作手段)、41…ベロ−ズ。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンのエンジンオイル還流系に設けた
    熱伝導性を有する蓄熱材収容部と、 この蓄熱材収容部内に収容され、この蓄熱材収容部へ伝
    わる前記エンジンオイルからの熱を、潜熱の吸収に伴う
    融解にしたがって蓄熱する、塩水和物よりなる蓄熱材
    と、 前記蓄熱材収容部に設けられ、前記エンジンオイルを急
    速加熱させるために、前記過冷却状態の蓄熱材に対し
    て、結晶化への転移を誘起させる機械的刺激を与える誘
    起器とを具備したことを特徴とするエンジンオイル加温
    装置。
  2. 【請求項2】前記誘起器は、 前記蓄熱材収容部の内部に挿入して設けられた、熱伝導
    性を有する内蔵本体部と、 この内蔵本体部の外面部分に設けられた、前記蓄熱材収
    容部内に開口する開口路と、 この開口路に設けられ、前記過冷却状態の蓄熱材中での
    変位により、同過冷却状態の蓄熱材に対して、結晶化を
    開始させる機械的刺激を与えることが可能な結晶化開始
    部と、 前記開口路から前記内蔵本体部の内部へ向かって延びて
    形成されたシリンダ室と、 少なくとも前記内蔵本体部に設けられ、前記シリンダ室
    内を前記蓄熱材収容部の蓄熱材で充満させる通路部と、 前記シリンダ室に往復動自在に嵌挿され、前記結晶化開
    始部側の方向へ変位移動させるピストン部と、 このピストン部を前記結晶化開始部側へ操作し、前記蓄
    熱材の移動にしたがって前記結晶化開始部を変位させる
    操作手段と、 一端部が前記ピストン部の外周に接続され、他端部が前
    記シリンダ室の延び側の端部内周面に接続され、前記ピ
    ストン部を境とした前記シリンダ室の延び側を周囲から
    隔絶する伸縮可能なベロ−ズとから構成したことを特徴
    とする請求項1に記載のエンジンオイル加温装置。
JP9991292A 1992-04-20 1992-04-20 エンジンオイル加温装置 Pending JPH05296017A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9991292A JPH05296017A (ja) 1992-04-20 1992-04-20 エンジンオイル加温装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9991292A JPH05296017A (ja) 1992-04-20 1992-04-20 エンジンオイル加温装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05296017A true JPH05296017A (ja) 1993-11-09

Family

ID=14259991

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9991292A Pending JPH05296017A (ja) 1992-04-20 1992-04-20 エンジンオイル加温装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05296017A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006037707A1 (de) * 2004-10-02 2006-04-13 Robert Bosch Gmbh Verfahren und vorrichtung zur regulierung der temperatur einer betriebsflüssigkeit und/oder von komponenten
JP2006156298A (ja) * 2004-12-01 2006-06-15 Toyota Motor Corp 燃料電池スタック
JP2006185657A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Toyota Motor Corp 燃料電池スタックの暖機装置
EP1918578A1 (en) * 2005-08-22 2008-05-07 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Warming-up device of internal combustion engine
EP1918577A1 (en) * 2005-08-22 2008-05-07 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Warming-up device of internal combustion engine
DE102011014281B4 (de) 2010-03-22 2023-05-04 GM Global Technology Operations LLC (n. d. Ges. d. Staates Delaware) Heizungs- und Speichereinrichtung für ein Getriebe

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006037707A1 (de) * 2004-10-02 2006-04-13 Robert Bosch Gmbh Verfahren und vorrichtung zur regulierung der temperatur einer betriebsflüssigkeit und/oder von komponenten
JP2006156298A (ja) * 2004-12-01 2006-06-15 Toyota Motor Corp 燃料電池スタック
JP2006185657A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Toyota Motor Corp 燃料電池スタックの暖機装置
EP1918578A1 (en) * 2005-08-22 2008-05-07 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Warming-up device of internal combustion engine
EP1918577A1 (en) * 2005-08-22 2008-05-07 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Warming-up device of internal combustion engine
EP1918577A4 (en) * 2005-08-22 2009-04-15 Toyota Motor Co Ltd WARM-UP DEVICE FOR INTERNAL COMBUSTION ENGINE
EP1918578A4 (en) * 2005-08-22 2009-11-18 Toyota Motor Co Ltd HEATING DEVICE FOR A COMBUSTION ENGINE
US7730863B2 (en) 2005-08-22 2010-06-08 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Warm-up apparatus for internal combustion engine
US7814870B2 (en) 2005-08-22 2010-10-19 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Warming-up device of internal combustion engine
DE102011014281B4 (de) 2010-03-22 2023-05-04 GM Global Technology Operations LLC (n. d. Ges. d. Staates Delaware) Heizungs- und Speichereinrichtung für ein Getriebe

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4258677A (en) Engine heating device
US20120125285A1 (en) Latent heat storage and method for temperature control of an internal combustion engine
CN103046993B (zh) 用于暖机内燃发动机的方法以及内燃发动机
RU2136952C1 (ru) Сохраняющее тепло устройство
FR2864148B1 (fr) Dispositif de regulation thermique de fluides circulant dans un vehicule a moteur thermique et procede mis en oeuvre par ce dispositif
JPH05296017A (ja) エンジンオイル加温装置
JP2006316775A (ja) 潜熱蓄熱装置及び内燃機関
DE3215342A1 (de) Waermespeicherung des kuehlmediums und motoroels bei verbrennungskraftmaschinen
JPH0650121A (ja) 蓄熱装置
JPS6234923B2 (ja)
JP4778536B2 (ja) Pcvバルブ
JP4042274B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射弁加熱装置
JP4306099B2 (ja) 蓄熱装置を有する内燃機関及び熱媒体の供給制御装置
JPH06173679A (ja) 潜熱蓄熱装置
JP2004232483A (ja) 蓄熱装置
RU2206836C2 (ru) Аккумулятор теплоты
JP3843808B2 (ja) 蓄熱装置を備えた内燃機関
JP4557024B2 (ja) 蓄熱装置を備えた内燃機関
JPS5856373Y2 (ja) ディ−ゼル機関の燃料噴射弁
SU659774A1 (ru) Термостат системы жидкостного охлаждени
JP2004052734A (ja) 蓄熱装置を備えた内燃機関
JP2007107844A (ja) 潜熱蓄熱装置及びエンジン
JP2538302Y2 (ja) 内燃機関の潤滑油加熱装置
JPH10185470A (ja) 車両用蓄熱装置
JP2007285189A (ja) 蓄熱装置及びエンジン