JPH05295815A - 設備配管配線用壁パネルと設備配管配線工法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 建物の内装工事における壁内の配管および配
線の施工を容易にすると共に、壁内に配管および配線を
有する壁の施工を容易にし、かつその作業能率を向上す
ること。 【構成】 壁内に配管または配線する位置の表面を覆う
ように長方形に形成したパネル５の内側面に、配管また
は配線するための治具Ａを配設して設備配管配線用壁パ
ネルを構成する。また設備配管配線工法として壁内に配
管または配線する位置の近傍に縦材１１（１８）を建て
込み、この縦材１１（１８）に前記した壁パネル５を取
り付けると共に、この壁パネル５の治具１０を介して配
管または配線する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建物の設備配管および
配線を容易にするための壁パネルと、この壁パネルを使
用して行う設備配管配線工法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の建物の内装壁は、建物の駆体の表
面に沿って縦横に木軸を組み、その枠組の表面にボード
を貼り、そのボード面の仕上げを行うことにより、内装
壁を構築していた。また、給水管、給湯管、ガス管、電
気配線および通信配線等は、建物の外部より建物内部へ
引き込み、これを建物の床面または天井面に設けた空間
内に導いて配管または配線し、この配管または配線を所
定位置まで導いて、この所定位置から、壁内の所定の高
さまで配管または配線していた。

【０００３】図９はその壁内に設ける配管の一例を示す
もので、図１０は壁内に設ける配線の一例を示すもので
ある。図中ａは建物の駆体の床部、ｂは天井部、ｃは壁
を構成するために井桁状に枠組みした木軸である。

【０００４】図９のｄは壁内において所定の高さまで立
ち上げた配管で、ｅはこの配管ｄを通すために切断した
木軸ｃの端部に連結して垂直に設けた補強用の木軸であ
る。

【０００５】また図１０のｆは天井より吊り下げた配線
で、ｇはこの配線ｆを通すために、水平に設けた各木軸
ｃにそれぞれ貫通して設けたスリーブであり、ｈは配線
ｆの端部に設置したコンセントである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上述のように従来の工
法において、配管、配線の壁内での立ち上げ、立ち下げ
を行うには、壁内にある木軸の内、横方向の木軸を配
管、配線が立ち上がり、立ち下がる部分だけ切り取るこ
とが必要である。したがって従来の工法では、壁内の配
管、配線工事に、木工作業や、配管作業や、電気工事等
のように多種の業種を必要とするため、作業が錯綜して
煩雑となり、作業効率を高めることができないという問
題点があった。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上述の問題点を解決する
ため本発明においては、壁内に配管または配線する位置
の表面を覆うように形成したパネルの内側面に、配管ま
たは配線するための治具を配設して設備配管配線用壁パ
ネルを構成する。

【０００８】また、設備配管配線工法として、壁内に配
管または配線する位置の近傍に縦材を建て込み、この縦
材に前記した壁パネルを取り付けると共に、この壁パネ
ルの治具を介して配管または配線する。

【０００９】

【作用】上述のように構成した本発明の壁パネル、およ
びその壁パネルを使用した本発明の工法によれば、建物
の内装工事において、従来のように異種の作業が錯綜す
ることがなくなる。また壁内の配管および配線作業が、
パネルに設けた治具を使用することによって簡単、かつ
容易にできる上に、配管、配線の位置精度も向上する。
したがって本発明によれば、作業能率を高めると共に、
省力化も促進できる。

【００１０】

【実施例】以下、図１〜図１６について本発明の実施例
を説明する。図１〜図５は本発明の設備配管配線用壁パ
ネルの実施例を示すもので、図中１は建物の床面、２
（図２参照）は天井部、３は間仕切壁部、４は天井部２
から間仕切壁部３内に立ち下げた配管である。

【００１１】本実施例においては、壁部３内に設けた配
管４を覆うように、床面１から天井部２に達する長方形
状のパネル５を石膏ボードを表材として形成し、このパ
ネル５の片方の縁部には、角材状のリブ６を、ほぼ半分
がパネル５と重合し、残りの部分が外方へ突出するよう
に固着する。このリブ６は、例えば図１の（ｂ）に示す
ように、２条の石膏ボード６ａと、３枚のベニヤ板６ｂ
とをサンドイッチ状に積層して一体的に固着したものが
適している。

【００１２】また前記石膏ボード製パネル５の内側面の
適当な位置に、治具取り付け用のベニヤ板７を貼着し、
このベニヤ板７上に配管または配線するための治具Ａを
取り付ける。８（図１（ａ）参照）は配管４をパネル５
を貫通して外部に導出するための配管用の孔で、９はそ
の配管４の屈曲部（エルボ）４ａ（図２（ａ）参照）を
支承するためパネル５に固着した木リブである。

【００１３】図１〜図３に示した治具Ａは、平面形状が
ほぼＣ型の治具１０であり、この場合配管４はＣ型の開
口部から押し込むことによって締着することができる。

【００１４】上述した壁パネル５を使用して配管を固定
するには、図２（ａ）に示すように、間仕切壁部３内の
配管または配線する位置の近傍に縦材１１を建て込み、
この縦材１１にパネル５のリブがない側縁を重合（図３
参照）するように前記パネル５を取り付け、このパネル
５に設けた治具１０に配管４を押し込んで固定し、その
後図２（ｂ）および図３に示すように他のパネル１２を
パネル５と対向して取り付ける。

【００１５】また図４は、治具Ａの他の実施例を示すも
ので、この治具１３はほぼ半円弧状の固定具であり、配
管４にかぶせた後、釘１３ａによって釘止めすればよ
い。

【００１６】また図５は、治具Ａの他の実施例を示すも
ので、これは針金等をビニール被覆した縒り線１４を押
え板１４ａによってベニヤ板７に固着したものである。
この治具Ａを使用すれば、図５の右側に示すように、２
本の縒り線１４の間に配線１５を挟みこんだ後、２本の
縒り線１４を縒り合わせればよい。

【００１７】次に、本発明工法を含む建物の内装工事の
施工方法の一例を工程順に説明する。

【００１８】鉄筋コンクリート等により、柱、梁、壁等
の建物の全体構造をなす駆体を構築し、ついで駆体内に
構築される間仕切壁の位置および据え付けられる設備ユ
ニットの位置等の墨出しを行う。つぎに駆体の天井スラ
ブに、天井吊り金物を取り付ける。

【００１９】設備配管は、給水管、給湯管、ガス管、給
排気用ダクト等である。これらは、前記した天井吊り金
物によって天井の空間に配管される。この段階では、設
備配管は、天井より垂れ下がった状態であり、給水管、
給湯管は、鞘管とポリブレン管よりなり、これらの管は
工場において所定の長さに加工して現場に搬入するよう
にするのがよい。

【００２０】つぎに、所定の位置に、キッチンユニッ
ト、浴室ユニット等を配置する。この時点の諸設備の工
事は、第一段階を終了した内装壁の構築工程となる。し
たがって設備ユニットの据え付けが了ったならば表装壁
を構築する。

【００２１】各種配管および配線を行う設備壁を構築す
るには、図６，７，８に示すように、壁構築位置の天井
および床にそれぞれライナー１６を取り付けると共に、
所定の場所にドア枠１７（図６参照）を取り付け、さら
に必要な個所の上下のライナー１６間にポスト柱（縦
材）１８を立てる。

【００２２】前記した本発明の壁パネル５は、図６およ
び図７のように両側に空間のある間仕切壁の場合は、図
７（ａ）に示す状態から、図７（ｂ）に示すように、パ
ネル５の上下端がライナー１６に当接するようにあてが
うと共に、ライナー５の一方の側縁をポスト柱１８に重
合して釘止めし、固定したパネル５に設けた治具１０に
よって配管４を固定する。パネル５の対向側にはパネル
１９を取り付ければよい。

【００２３】また、設備配管配線用壁パネル５およびそ
の対向側のパネル１９以外の部分には、図６に示すよう
に、リブ付きパネル２０、およびその対向側のパネル２
１をそれぞれ取り付けると共に、残った部分には特殊サ
イズのパネル２２を取り付ければよい。

【００２４】また図８は、パネル５が手前からしか挿入
できない場合の取り付け方法を示すもので、この場合
は、パネル５の上部に、上方のライナー１６の下面に重
合する桟木２３を設けると共に、パネル５の下部に、下
方のライナー１６の上面に重合する桟木２４を設けてお
き、図８（ｂ）に示すようにセットした状態で各桟木２
３，２４をライナー１６にそれぞれ釘止めすることによ
ってパネル５を固定すればよい。

【００２５】

【発明の効果】上述のように構成した本発明の壁パネ
ル、およびその壁パネルを使用した本発明の工法によれ
ば、建物の内装工事において、従来のように異種の作業
が錯綜することがなくなる。また壁内の配管および配線
作業が、パネルに設けた治具を使用することによって簡
単、かつ容易にできる上に、配管、配線の位置精度も向
上する。したがって本発明によれば、この種作業の能率
を著しく高めると共に、省力化も促進できるというすぐ
れた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は、本発明の設備配管配線用壁パネルの
正面図であり、（ｂ）は、その拡大平面図である。

【図２】（ａ）は、本発明の壁パネルの取り付け前の状
態を示す斜視図であり、（ｂ）は、取り付け後の状態を
示す斜視図である。

【図３】図２（ｂ）の取り付け後の状態を示す拡大平面
図である。

【図４】配管固定用の治具の他の実施例を示す平面図で
ある。

【図５】配線固定用の治具の一例を示す平面図である。

【図６】間仕切壁の組み立て状態を示す部分平面図であ
る。

【図７】（ａ）は、設備配管用壁パネルの取り付け前の
状態を示す斜視図であり、（ｂ）は、その取り付け後の
状態を示す斜視図である。

【図８】（ａ）は、他の場所における設備配管用壁パネ
ルの取り付け前の状態を示す斜視図であり、（ｂ）は、
その取り付け後の状態を示す斜視図である。

【図９】従来の設備配管の設置方法を示す部分立面図で
ある。

【図１０】従来の設備配線の設置方法を示す部分立面図
である。

【符号の説明】

１ 床面 ２ 天井部 ３ 間仕切壁部 ４ 配管 ５ パネル ６ リブ ７ ベニヤ板 Ａ 治具 ８ 配管用の孔 ９ 木リブ １０ 治具 １１ 縦材 １２ 他のパネル １３ 治具 １４ 治具（縒り線） １５ 配線 １６ ライナー １７ ドア枠 １８ ポスト柱（縦材） １９ パネル ２０ リブ付きパネル ２１，２２ パネル ２３，２４ 桟木 ａ 建物の駆体の床部 ｂ 天井部 ｃ 木軸 ｄ 配管 ｅ 補強用の木軸 ｆ 配線 ｇ スリーブ ｈ コンセント

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芦田 広美 神奈川県藤沢市辻堂元町２−３−２−201 (72)発明者 柳原 武義 千葉県習志野市袖ケ浦１−29−１−506 (72)発明者 朝倉 和則 東京都中野区弥生町５−23−７−311 (72)発明者 岩倉 朗子 神奈川県横浜市神奈川区斉藤分町40−109

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 壁内に配管または配線する位置の表面を
   覆うように形成したパネルの内側面に、配管または配線
   するための治具を配設したことを特徴とする設備配管配
   線用壁パネル。
2. 【請求項２】 壁内に配管または配線する位置の近傍に
   縦材を建て込み、この縦材に請求項１記載の壁パネルを
   取り付けると共に、この壁パネルの治具を介して配管ま
   たは配線することを特徴とする設備配管配線工法。