JPH05295563A - 被膜を有する金属質材料並びにその金属質材料の製造方法 - Google Patents

被膜を有する金属質材料並びにその金属質材料の製造方法

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JPH05295563A
JPH05295563A JP14701992A JP14701992A JPH05295563A JP H05295563 A JPH05295563 A JP H05295563A JP 14701992 A JP14701992 A JP 14701992A JP 14701992 A JP14701992 A JP 14701992A JP H05295563 A JPH05295563 A JP H05295563A
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JP
Japan
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polysilane
silicon
metallic material
compound
coating
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JP14701992A
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English (en)
Inventor
Tadao Onaka
忠生 大中
Tokugen Shiyuu
徳元 周
Motoyuki Toki
元幸 土岐
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KANSAI SHIN GIJUTSU KENKYUSHO
KANSAI SHIN GIJUTSU KENKYUSHO KK
Original Assignee
KANSAI SHIN GIJUTSU KENKYUSHO
KANSAI SHIN GIJUTSU KENKYUSHO KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安全でかつ容易な方法により、亀裂が無く緻
密で必要な膜厚の均一な被膜を有する金属質材料を得
る。 【構成】 ポリシラン化合物を原料とし、金属質材料の
表面でポリシラン化合物に酸化反応及び重合反応を起こ
させることにより、含ケイ素化合物の被膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、含ケイ素化合物から
なる被膜を有する金属質材料並びにその製造方法に関す
るものであり、含ケイ素化合物が有する耐食性、耐候
性、電気絶縁性、硬度、密着性、耐薬品性などに対して
優れた特性を利用して、この発明に係る金属質材料は、
例えば工業用材料、一般配管用材料、化学分析用材料、
医療材料などとして使用される。
【0002】
【従来の技術】従来、一般に、無機化合物被膜による材
料の表面改質については、シリカゲル、シロキサンポリ
マー、シランカップリング剤などを使用する方法が主流
であった。また、特に金属質材料については、例えば、
電磁鋼板表面に、シリカゲルを添加したクロム酸系或い
はリン酸系の処理液を塗布した後、焼き付けて、電磁鋼
板の表面にセラミックス状の電気絶縁被膜を形成させる
方法がある。また、電気製品や自動車などに広く用いら
れている亜鉛鉄板の防錆処理として、クロム酸による酸
化処理が一般に実施されており、また、その処理液にシ
リカゾル又はアルミナゾルを併用することにより、被膜
の均一化を図るようにする方法などの報告がなされてい
る(これらに関する技術については、例えば、須田新、
荻野陸雄、田中成夫、「材料とプロセス」(塗布型クロ
メートの状態変化に及ぼす乾燥温度の影響)、Vol.4, N
o.2, P.P.622-625, 1991;海野茂、大岸英夫、安田顕、
大和康二、「材料とプロセス」(シリカ含有塗布型クロ
メートの腐食挙動)、Vol.3,No.2, P.P.686, 1990;窪
田隆広、吉見直人、山下正明、渡辺勉、「材料とプロセ
ス」(有機複合被覆鋼板の品質特性に及ぼす下地クロメ
ートの影響)、Vol.2,No.2, P.P.641, 1989等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シリカ
ゲル、シロキサンポリマー、シランカップリング剤など
を使用して無機化合物被膜により材料の表面改質を行な
う方法では、造膜性の良否が被覆(コーティング)薬剤
や被コーティング材料の素地の調整条件に対して鋭敏で
あり、また、これらの物質は、造膜過程において体積収
縮を伴うために被膜に亀裂が生じ易く、造膜が困難とな
る。さらに、縮合時の脱分子や溶媒の蒸発により多孔質
の被膜となることが多く、膜密度が低くて、耐食性、耐
候性、電気絶縁性、硬度、密着性、耐薬品性、透明度な
どに問題を有している。そして、被膜の厚みを数ミクロ
ン以上にする場合、1回限りの造膜処理では、上記した
現象は一層激しくなり、実質的に被膜形成は不可能とな
る。この防止策として、マイカ、シリカ、酸化チタン、
酸化アルミニウム等の無機物質補強材を多量に使用する
ことが必要となるが、この方法によっても膜厚を数ミク
ロン以上にすることは非常に困難である。
【0004】一方、クロム酸等を使用して金属質材料の
表面改質を行なう上記方法は、クロム酸のように取り扱
う薬品の危険性が極めて高かったり、また、薬品の流出
や洩れなど、周囲の環境に及ぼす影響が大きいため、そ
の取扱いに非常な注意を要したりする。また、金属質材
料の表面改質においても、補強剤として処理液中にシリ
カゾルなどを添加する方法が採られているが、各素地の
表面特性に合わせて極めて微妙な調整が必要であった。
【0005】この発明は、以上のような現状に鑑みてな
されたものであり、安全でかつ容易な方法により、従来
の方法では形成が非常に困難であった、亀裂が無く緻密
で必要な膜厚の均一な被膜を有する金属質材料を得られ
るようにすることを技術的課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明では、ポリシラ
ン化合物の反応生成物である含ケイ素化合物を金属質素
地の表面に形成させ、その含ケイ素化合物の被膜によっ
て表面が被覆された金属質材料を構成した。被膜を形成
する含ケイ素化合物は、例えば酸化ケイ素である。
【0007】この発明におけるポリシラン化合物とは、
その骨格内の少なくとも一部にポリシラン結合を有する
化合物を意味する。この発明の方法において、ポリシラ
ン化合物は原料の必須成分であり、基本骨格が、例えば
化1で示される一般式で表わされる。
【0008】
【化1】
【0009】化1で示される上記式中のR1及びR2は、
それぞれ水素原子又は炭化水素基などの有機基であり、
また、nは2以上の整数である。
【0010】R1、R2は、例えば水素原子、メチル基、
エチル基、ブチル基、オクチル基、オクタデシル基等の
アルキル基、フェニル基、ベンジル基等の芳香属基、ビ
ニル基、アリル基、アクリルオキシプロピル基、メタク
リロキシ基等の感光性基などが挙げられ、その他、クロ
ロメチル基、クロロエチル基等のハロゲン化アルキル
基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコ
キシ基、グリシドキシプロピル基、エポキシシクロヘキ
シルエチル基等のエポキシアルキル基、アミノプロピル
基、アミノブチル基等のアミノアルキル基やアミノ基、
カルボン酸基などである。ポリシラン化合物を具体的に
例示すれば、ジメチルポリシラン、メチルプロピルポリ
シラン、メチルヘキシルポリシラン、メチルオクチルポ
リシラン、メチルオクタデシルポリシラン、メチルフェ
ニルポリシラン、ジフェニルポリシラン、メチルビニル
ポリシラン、メチルポリシラン、フェニルポリシラン、
エトキシメチルポリシランなどである。
【0011】また、ポリシラン化合物は、そのポリシラ
ン主鎖骨格上に他の組成の骨格を有してもよく、例えば
化2で示される一般式で表わされるように、シロキサン
骨格を一部に有する化合物などであってもよい。
【0012】
【化2】
【0013】化2で示される上記式中のR1、R2、R3
及びR4は、それぞれ水素原子又は炭化水素基などの有
機基であり、また、nは2以上の整数、mは3以上の整
数である。
【0014】また、ポリシラン化合物は、化3で示され
る一般式で表わされるように、有機ポリマーを骨格内に
有する化合物であってもよい。
【0015】
【化3】
【0016】また、これらのポリシラン化合物は、直鎖
状であっても環状化合物であってもよく、さらには、ホ
モポリマー、コポリマーの何れであってもよい。
【0017】ここで、ポリシラン化合物は、一般に、例
えばジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイ
アティ(Journal of American Chemical Society)、7
1、963(1914)などに開示されているように、ジクロロ
シラン化合物を金属ナトリウム或いは金属リチウム中で
それらに接触させることにより得られる。また、ジャー
ナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティ、10
6、1859(1984)、同108、4059(1986)や、アメリカン
・ケミカル・ソサイアティ・ポリマー・プレプリント
(ACS Polymer Preprints)、28(1)、463(1987)な
どに開示されているように、シランの触媒的脱水素カッ
プリング法により得ることが可能である。さらにまた、
アニオン重合法による開環重合が、ジャーナル・オブ・
アメリカン・ケミカル・ソサイアティ、111、7641(198
9)や同94、5837(1972)に開示されている。
【0018】上記したような方法により、ポリシラン化
合物は種々のものが合成可能であり、また、その分子量
についても、ジシランのような数百程度のものから数十
万のポリシランまでが合成されている。この発明におけ
るポリシラン化合物の分子量は、特に制限が無いが、平
板状などの単純な表面には、数千〜数十万の分子量のポ
リシランがよく、また、取扱いの容易さの観点からは、
溶液状或いは溶媒可溶性のものが望ましい。一方、粉
末、特に微細構造を有する物質の表面処理については、
数百〜数千の分子量を有するポリシラン化合物が望まし
い。この理由は、微細構造を有する表面においては、高
分子ポリシラン化合物では微細構造の内部まで十分に被
覆することができず、他方、余りに低分子物であると、
低沸点物であるなどの影響で被覆に欠損を生じ易いため
である。
【0019】この発明における金属質材料とは、鉄、
銅、ニッケル、アルミニウム、シリコン、或いはステン
レス鋼、真鍮等の合金などであって、固体表面を有し、
一般に使用されている金属類を意味する。
【0020】金属質素地の表面に含ケイ素化合物の被膜
を形成するには、1種類もしくは2種類以上のポリシラ
ン化合物を原料とし、ポリシラン化合物を金属質素地の
表面に被着した後、ポリシラン化合物に酸化反応及び重
合反応を起こさせるようにする。
【0021】
【実施例】以下、この発明を好適な実施例により詳しく
説明する。
【0022】この発明では、ポリシラン化合物の反応生
成物である含ケイ素化合物を金属質素地の表面に形成さ
せ、その含ケイ素化合物の被膜によって表面が被覆され
た金属質材料を構成した。被膜を形成する含ケイ素化合
物は、例えば酸化ケイ素である。ここで使用されるポリ
シラン化合物については、上記した通りである。また、
金属質材料の種類は、上記した通り、鉄、銅、ニッケ
ル、アルミニウム、シリコン、ステンレス鋼、真鍮な
ど、特に限定されず、また、金属質材料の形状も、特に
制限が無く、棒状、管状、バルク状、ファイバー状、フ
ィルム状或いは粉体であってもよい。さらに、金属質材
料の表面は滑らかな面でも粗雑でもよく、また、多孔質
であってもよい。
【0023】金属質素地の表面に含ケイ素化合物の被膜
を形成するには、1種類もしくは2種類以上のポリシラ
ン化合物を原料とし、ポリシラン化合物を単独で或いは
金属アルコキシド、有機化合物、無機化合物などの添加
剤と併用して、そのポリシラン化合物をトルエン、TH
Fなどの有機溶媒と十分に混合し、均一な溶液状態にし
た後、金属質素地の表面に均一に塗布し、十分乾燥させ
て被着する。その後、大気中或いは酸素雰囲気下におい
て熱処理を行ない、酸化反応及び重合反応を起こさせる
ことにより、金属質素地の表面に含ケイ素化合物、例え
ば酸化ケイ素を形成させる。
【0024】この発明の方法では、上記添加剤の併用は
必ずしも必要ではないが、次のような場合、添加剤を使
用することが好ましい。ここで言う添加剤とは、ポリシ
ラン化合物の酸化反応及び重合反応の際に反応を促進或
いは強化させ得る化合物を意味し、添加剤の例を挙げれ
ば、エチルシリケート、メチルシリケート、ジルコニウ
ムブトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、チタニ
ウムイソプロポキシド等の金属アルコキシドや、ジビニ
ルベンゼン、スチレン、メチルメタクリレート、エチレ
ングリコールジメチルメタクリレート等の有機物、或い
は、マイカ、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等
の無機物質補強材料などがある。
【0025】また、この発明の方法で使用し得る有機溶
媒としては、フィラーなどの固体の添加剤以外の薬剤が
溶解し得るものであればよいが、塗布後に乾燥を行なう
ために、好ましくは乾燥速度の速いものがよく、例え
ば、トルエン、キシレン、ベンゼン、THF、シクロヘ
キサンなどが好ましい。ポリシラン化合物を有機溶媒と
混合した溶液を金属質素地の表面に塗布する方法として
は、ディッピング法、スプレー法、スピンコーティング
法などの一般的手法を採用すればよい。また、金属質素
地の表面に塗布した溶液を乾燥させる条件は、特に制限
が無いが、好ましくは乾燥温度30〜100℃で、乾燥
時間10〜60分程度とすればよい。
【0026】熱処理の条件は、使用する金属質材料や原
料により最適化すべきであるが、一般には200〜30
0℃の温度で1〜3時間程度予備焼成し、続いて、1〜
10℃/分程度の昇温速度で最終温度に到達するように
温度制御するのが好ましい。そして、最終温度は、被覆
される金属質材料の種類により制限を受けるが、形成さ
れる含ケイ素化合物、例えば酸化ケイ素の分解温度以内
でなるべく高温にするのが好ましく、具体的には300
〜1,200℃、最適には800〜1,100℃であ
る。また、紫外線照射、CVDやプラズマ重合を行なう
ことによって、熱処理の代わりとすることもできる。
【0027】大気中或いは酸素雰囲気下において熱処理
等を行なったとき、例えば化4及び化5にそれぞれ示す
ような一般式で表わされる、シロキサン結合を有する含
ケイ素化合物が生成する。
【0028】
【化4】
【0029】
【化5】
【0030】化4及び化5で示される上記式中のR1
2、R3及びR4は、それぞれ水素原子又は炭化水素基
であり、また、n、m及びlは0及び正の整数である。
【0031】上記シロキサン結合は、大気中の酸素とS
i−Si結合由来のSiラジカルとの反応によって生成
すると考えられる。尚、ポリシラン化合物から生成され
る含ケイ素化合物は、化4及び化5にそれぞれ示すよう
な一般式で表わされるもの以外の化合物であってもよ
い。
【0032】この発明の方法におけるポリシロキサンの
合成過程においては、化1に示すような一般式で表わさ
れるポリシラン化合物から化4及び化5でそれぞれ示す
ような一般式で表わされるポリシロキサンを形成させる
ため、アルキルシリケートやシランカップリング剤に見
られるような脱分子による縮合過程での体積収縮が無
く、被覆に亀裂を生じることがない。
【0033】シロキサン結合が生成したことの確認は、
例えば赤外吸収光度計による測定によって可能であり、
1,130〜1,000cm-1の吸収を持つシロキサン
結合が出現するとともに、Si−Rなどの官能基のピー
クが消失することにより、それを確認することができ
る。官能基のピークは、例えばメチル基では1,275
〜1,245cm-1及び865〜750cm-1、フェニ
ル基では1,600cm-1付近、ビニル基では1,60
0cm-1及び1,400cm-1、アルキル基では1,2
20〜1,170cm-1のような吸収をそれぞれ有して
いる。また、ポリシラン化合物は、金属質素地の表面に
おいて、大気中の酸素原子を取り込み、シロキサン結合
を形成するとともに、三次元的に重合して高分子化する
ため、各種の溶媒に対して不溶となる。従って、高分子
化は、還流下のトルエンなどへの反応生成物の溶解の有
無を調べることにより確認することができる。
【0034】また、この発明の方法によると、表面活性
の低い金属質材料の表面にSiO2被膜を導入すること
ができることから、その後の処理により種々の表面特性
を持たせることが可能である。例えば、この発明の方法
により金属質材料の表面にSiO2被膜を形成させた後
に、クロロトリメチルシラン或いは3−グリシドキシポ
ロピルトリメトキシシランなどの薬剤で処理することに
より、被膜表面に疎水基或いは親水基を導入することが
できる。また、(トリデカフルオル−1、1、2、2−
テトラハイドロオクチル)ジメチルクロロシランの含フ
ッ素化合物を用いて被膜を表面処理することにより、撥
水撥油性基の表面状態を得ることも可能である。
【0035】また、ポリシラン化合物は、アルゴンや窒
素などの不活性雰囲気下、或いはメタン(CH4)、エ
タン(C26)などの炭化水素化合物雰囲気下で熱処理
を行なうか、又は紫外線照射を行なうことにより、ポリ
カルボシラン或いは炭化ケイ素を生成させることができ
る。ポリカルボシランは、化6に示すような一般式で表
わされる。
【0036】
【化6】
【0037】化6で示される上記式中のRは、水素原子
又は炭化水素基であり、また、m及びlは1又は2、n
は整数である。
【0038】また、炭化ケイ素は、一般式SiCで示さ
れる化合物である。これらポリシラン化合物からポリカ
ルボシラン或いは炭化ケイ素への転移及び重合反応の反
応機構は、ジャーナル・オブ・マテリアルズ・サイエン
ス(Journal of Materials Science)、13、2569〜2576
(1978)などに開示されている。すなわち、熱或いは光
などによるSi−Si結合由来のSiラジカルの生成と
分子内の炭化水素基へのラジカルの転位とにより、ポリ
カルボシラン或いは炭化ケイ素が生成すると考えられ
る。また、生成するSi−C結合の量は、処理温度、処
理光量及び処理時間によって変化し、総エネルギー量に
より決定される。処理条件が温和な場合、例えば、窒素
雰囲気下、350℃の温度で3時間の処理では、ポリカ
ルボシランが形成され、800℃の温度で3時間の処理
では、主に炭化ケイ素が形成される。ポリカルボシラン
及び炭化ケイ素の生成は、赤外吸収光度計による測定に
よって確認することができ、また、高分子化は、溶媒へ
の不溶化を起こさせるため、還流下のトルエンへの反応
生成物の溶解の有無を調べることにより確認することが
できる。
【0039】さらに、ポリシラン化合物は、アンモニア
などの雰囲気下で熱処理を行なうか、又は紫外線照射を
行なうことにより、窒化ケイ素を合成することができ
る。窒化ケイ素は、一般式Si34で示される化合物で
ある。
【0040】以上のようにして、表面にポリシラン化合
物を原料とする含ケイ素化合物の被膜を有する金属質材
料を得ることができる。
【0041】次に、具体的製法例及び比較例について説
明する。
【0042】〔ジメチルポリシランの合成例〕
【0043】ポリシランの合成方法としては、ジャーナ
ル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティ、71、
963(1914)などに開示されているように、ジクロロシ
ラン化合物を金属ナトリウム又は金属リチウムに接触さ
せることにより得る方法が最も一般的である。一例とし
てジメチルポリシランの合成方法を例示する。また、他
のポリシランについても、同様の方法で合成し得る。
【0044】500mlの三つ口フラスコに300mlの脱
水THF及び1モルの金属リチウムを入れ、それを窒素
雰囲気下で0℃に保ち、その三つ口フラスコ内にジクロ
ロジメチルシラン0.5モルを滴下ロートで徐々に滴下
し、18時間反応させることにより、ジメチルポリシラ
ン約20gを得た。ポリシランの分子量は、GPCによ
る分子量測定の結果、重量平均分子量1,800(ポリ
スチレン換算)であった。
【0045】〔メチルフェニルポリシランの合成例〕
【0046】ジクロロジメチルシランに代えてメチルフ
ェニルシランを用いる以外は、上記「ジメチルポリシラ
ンの合成例」と同様の方法によって合成した。得られた
メチルフェニルポリシランは、重量平均分子量1,38
0であった。
【0047】〔ポリシラスチレンの合成例〕
【0048】ジクロロジメチルシランとジクロロメチル
フェニルシランとの1:1共重合物は、一般にポリシラ
スチレンと称呼されている。このポリシラスチレンにつ
いては、USPNo.4324901に「可溶のポリシ
ラスチレン及びその調製方法(SOLUBLE POLYSILASTYREN
E AND METHOD FOR PREPARATIOM)」の発明の名称で開示
されているが、ここでは、上記合成法と同様に、ジクロ
ロジメチルシラン0.5モルに代えてジクロロジメチル
シラン0.25モル及びジクロロメチルフェニルシラン
0.25モルを用いて合成した。得られたポリラスチレ
ンは、重量平均分子量2,320であった。
【0049】〔メチルポリシランの合成例〕
【0050】ジクロロジメチルシランに代えてジクロロ
メチルシランを用いる以外は、上記「ジメチルポリシラ
ンの合成例」と同様の方法によって合成した。得られた
メチルポリシランは、重量平均分子量980であった。
【0051】〔フェニルポリシランの合成例〕
【0052】ジクロロジメチルシランに代えてジクロロ
フェニルシランを用いる以外は、上記「ジメチルポリシ
ランの合成例」と同様の方法によって合成した。得られ
たフェニルポリシランは、重量平均分子量1,500で
あった。
【0053】〔金属質材料への被覆例〕
【0054】上記各合成例によって合成されたジメチ
ルポリシラン、メチルフェニルポリシラン、ポリシ
ラスチレン、メチルポリシラン、フェニルポリシラ
ンをそれぞれ用い、それぞれのポリシラン化合物をトル
エンに溶解させて5%溶液とし、その各溶液を40mm×
20mmの大きさの真鍮板の表面に塗布した後、溶媒を気
化させて乾燥させ、その後に、空気中において400℃
の温度で3時間熱処理した。これにより、表面が含ケイ
素化合物によって被覆された真鍮板を得た。
【0055】〔比較例〕
【0056】また、比較例として、(1)エチルシリケー
ト40、(2)メチルトリエトキシシラン縮合物をそれぞ
れ用い、それぞれの化合物をメタノールに溶解させて5
%溶液とし、その各溶液を40mm×20mmの大きさの真
鍮板の表面に塗布した後、溶媒を気化させて乾燥させ、
その後に、空気中において400℃の温度で3時間熱処
理した。
【0057】上記した各方法で得られた真鍮板につい
て、被膜の性能の測定を下記の要領で行なった。
【0058】〔外観〕
【0059】目視により観察した。
【0060】〔膜厚〕
【0061】膜厚計((株)ミツトヨ製デジマティク
マイクロメーター MDC−25M)を使用して、被膜
の厚みを測定した。
【0062】〔密着性〕
【0063】JIS−K5400に準じ、1mm角基盤
目テスト後、セロハンテープ剥離テストによって測定し
た。
【0064】〔耐食性1〕
【0065】濃度20重量%の塩酸を被膜上に1m1滴
下し、蓋付きシャーレ中で1日静置し、その後に洗浄し
て、被膜の状態を観察した。
【0066】〔耐食性2〕
【0067】濃度20重量%の硫酸を被膜上に1m1滴
下し、蓋付きシャーレ中で1日静置し、その後に洗浄し
て、被膜の状態を観察した。
【0068】〔耐食性3〕
【0069】濃度1重量%の水酸化ナトリウムを被膜上
に1m1滴下し、蓋付きシャーレ中で1日静置し、その
後に洗浄して、コーティング膜の状態を観察した。
【0070】〔耐薬品性〕
【0071】還流状態のトルエン溶液中に24時間浸し
た後、被膜を観察した。また、トルエン溶液をGPC分
析することにより高分子物の有無を、また、Si元素の
有無を原始吸光法により確認した。
【0072】測定結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】表1に示した結果から明らかなように、こ
の発明に係る方法によって得られた何れの真鍮板も、優
れた特性を持った被膜を有している。
【0075】
【発明の効果】この発明は以上説明したように構成され
かつ作用するので、この発明によれば、安全でかつ容易
な方法により、亀裂が無く緻密で必要な膜厚と均一性を
有し耐食性、耐候性、電気絶縁性、硬度、密着性、耐薬
品性などに優れた被膜を有する金属質材料を得ることが
できる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリシラン化合物の反応生成物である含
    ケイ素化合物からなる被膜によって表面が被覆された、
    被膜を有する金属質材料。
  2. 【請求項2】 被膜を形成する含ケイ素化合物が酸化ケ
    イ素である請求項1記載の、被膜を有する金属質材料。
  3. 【請求項3】 1種類もしくは2種類以上のポリシラン
    化合物を原料とし、そのポリシラン化合物を金属質素地
    の表面に被着した後、ポリシラン化合物に酸化反応及び
    重合反応を起こさせることにより含ケイ素化合物を生成
    し、その含ケイ素化合物からなる被膜によって金属質素
    地の表面を被覆する、被膜を有する金属質材料の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 ポリシラン化合物としてSi−H部分を
    少なくとも1個有するポリシランを用いる請求項3記載
    の、被膜を有する金属質材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 ポリシラン化合物としてメチルポリシラ
    ンを用いる請求項3記載の、被膜を有する金属質材料の
    製造方法。
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