JPH05290337A - 回転磁気ヘッド装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気ヘッドが隣接して設置されたマルチチャ
ンネル方式の回転磁気ヘッド装置において、磁気テープ
の記録トラック上でのＨ並べを正確に行う。 【構成】 磁気ヘッド７ａ、７ｂ間での磁気テープ１の
長さＬが１Ｈ長の整数倍となるように、磁気ヘッド７
ａ、７ｂの回転ドラム２の円周方向の間隔Ｘを設定し
て、磁気ヘッド７を回転ドラム２に取り付ける。 【効果】 記録トラック上でＨ並べをすることにより、
隣接のトラックからの水平同期信号のクロストークがな
いため、良好な記録／再生をすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ＶＴＲ等の複数の磁気
ヘッドを用いて記録／再生を行うマルチチャンネル方式
の回転磁気ヘッド装置において、磁気ヘッドの配置の改
善に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、ディジタルＶＴＲや、現行テレビ
ジョン方式と比較して格段に画質を向上させた高品位テ
レビジョン（例えばハイビジョンなど）用のＶＴＲな
ど、高密度記録、高伝送レートな記録再生装置の要求が
高まってきた。一般のＶＴＲの場合、１つの磁気ヘッド
で記録／再生を行っているが、記録周波数の増大にとも
ない１つの磁気ヘッドでは対応できなくなってきてい
る。そこで磁気ヘッドをマルチチャンネル化する方法が
用いられている。例えば２チャンネル方式では、周波数
を２分割し、信号の記録／再生を２個の磁気ヘッドに割
り当てることにより、各々の磁気ヘッドは元の信号の２
分の１の周波数帯域の信号を受け持つような構成となっ
ている。

【０００３】以下図面を参照しながら、従来の２チャン
ネル方式の回転磁気ヘッド装置の一例について説明す
る。（図３）は回転磁気ヘッド装置の斜視図、（図４）
は磁気ヘッド近傍の拡大図、（図５）はテープ変形の測
定データを示す図、（図６）は磁気テープ下端における
テープパターン図である。

【０００４】１は磁気テープであり矢印１ａの方向に走
行する。２は回転ドラムであり矢印２ａの方向に回転軸
４を中心に回転する。５は固定ドラムで磁気テープ１の
下端位置を規制する案内部すなわちリード５１が螺旋状
に形成されている。７ａ、７ｂは磁気ヘッドであり、ヘ
ッドベース６ａ、６ｂにそれぞれ接着固定されている。
さらに磁気テープ１に対して接触して記録／再生を行う
ために、回転ドラム２の下部に設けられたヘッド窓部３
より回転ドラム２の表面に対して４５μｍ程度突出させ
て取り付けられている。ここで磁気ヘッド７ａ、７ｂ
は、記録／再生信号のメモリ領域を最小限に抑えるた
め、回転ドラム２の円周方向の間隔Ｘ’を狭め、隣接さ
せて取り付けている。また磁気テープ１のテープパター
ン上では、磁気ヘッド７ａ、７ｂがそれぞれ記録するト
ラック８ａ、８ｂ上の水平同期信号９ａ、９ｂがお互い
に並ぶようにＨ並べを行う必要がある。なぜなら信号の
再生時に、磁気ヘッド７がそれぞれ隣接するトラック８
から波長の長い水平同期信号９を再生してしまい、クロ
ストークとして悪影響が生じるためである。したがって
磁気ヘッド７ａ、７ｂの回転ドラム２の円周方向のヘッ
ドギャップ間隔Ｘ’が水平同期信号の１周期（以下、１
Ｈと略する）の整数倍になるように、磁気ヘッド７ａ、
７ｂは回転ドラム２に取り付けられている。

【０００５】以上のように構成された回転磁気ヘッド装
置について、以下その動作について説明する。

【０００６】磁気テープ１が回転ドラム２に巻き付けら
れると同時に回転ドラム２は回転を始める。また磁気テ
ープ１は固定ドラム５のリード溝５１に沿って螺旋状に
巻き付きながら走行し、回転ドラム２に装着された磁気
ヘッド７により情報を記録／再生される。ここで回転ド
ラム２は高速で回転するため、回転ドラム２と磁気テー
プ１との間には空気層が生じることになる。通常、磁気
ヘッド７の回転ドラム２の表面からの突出量Ｐはこの空
気層の厚みＱより大きく設定されている。したがって磁
気ヘッド７が磁気テープ１と接触する時には、磁気テー
プ１は磁気ヘッド７の突出量Ｐだけ持ち上げられること
になる。また磁気ヘッド７ａ、７ｂ間では、走行中の磁
気テープ１が回転ドラム２の中心方向にＹだけ吸い込ま
れる。（図５）は磁気テープ１の外側より非接触の変位
計（図示せず）を用いて測定した結果である。（図５）
より、磁気ヘッド７の突出量４５μｍに対して、磁気ヘ
ッド７ａ、７ｂ間では磁気テープ１が大きく変形し、回
転ドラム２の中心方向に３８μｍ程度吸い込まれている
のがわかる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うな構成においては次のような問題点が生じる。

【０００８】すなわち、上記のような回転磁気ヘッド装
置では、磁気ヘッド７ａ、７ｂの回転ドラム２の円周方
向の間隔Ｘ’は１Ｈ長の整数倍に設定されている。しか
しながら実際には磁気ヘッド７ａ、７ｂ間の磁気テープ
１は回転ドラム２の中心方向に吸い込まれ、その長さは
ＬとなりＸ’より長くなる。したがって磁気ヘッド７
ａ、７ｂがそれぞれ磁気テープ１上に同時に記録した水
平同期信号９ａ、９ｂの間隔はＸ’より長くなり、（図
６）に示すような（Ｌ−Ｘ’）のずれがトラックパター
ン上で生じる。ここで間隔Ｘ’の取り付け誤差は±２．
５μｍ程度であるから、回転ドラム２の中心方向への磁
気テープ１の吸い込み量３８μｍは取り付け誤差に比べ
てかなり大きい。また一般に１Ｈ長は数百μｍ程度であ
るから、この水平同期信号９のトラックパターン上での
ずれはかなり大きい値となる。したがってこのような磁
気ヘッド７の設定方法では、磁気テープ１上でＨ並べが
されないという課題を有していた。

【０００９】本発明は上記課題に鑑み、磁気ヘッドを隣
接させて配置するマルチチャンネル方式の磁気記録再生
装置において、磁気テープ上でＨ並べが正確にされる回
転磁気ヘッド装置を提供しようとするものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の回転磁気ヘッド装置は、テープパターン上で
Ｈ（Ｈは水平同期信号）並べされた、マルチチャンネル
記録の磁気記録再生装置において、磁気テープの走行を
案内するリード溝を外周面に有する固定ドラムと、信号
の記録及び再生を行う複数の磁気ヘッドと、前記複数の
磁気ヘッドを隣接させ、かつ前記磁気テープに対して一
定量突出させて支持するヘッドベースとを有し、前記固
定ドラムに対して回転可能に支持された回転ドラムとを
備え、前記複数の隣接した各々の磁気ヘッド間の磁気テ
ープの長さＬが１Ｈ長の整数倍となるように、前記複数
の隣接した各々の磁気ヘッドの前記回転ドラム円周方向
の間隔Ｘを設定するような構成としたものである。

【００１１】

【作用】本発明は上記のように、隣接した磁気ヘッド間
の磁気テープの長さが１Ｈ長の整数倍となるように、隣
接した磁気ヘッドの回転ドラム円周方向の間隔を設定し
た構成としたことにより、磁気テ−プ上で正確にＨ並べ
をすることができる。したがって、隣接トラックからの
水平同期信号のクロストークがないため、良好な記録／
再生をすることができる。

【００１２】

【実施例】以下本発明の実施例における２チャンネル方
式の回転磁気ヘッド装置について、図面を参照しながら
説明する。

【００１３】（図１）は本発明の一実施例における磁気
ヘッド近傍の拡大図、（図２）はテープ下端におけるト
ラックパターン図、（図３）は回転磁気ヘッド装置の斜
視図である。

【００１４】図において、１は磁気テープであり矢印１
ａの方向に走行する。２は回転ドラムであり回転軸４を
中心に矢印２ａの方向に回転する。５は固定ドラムで磁
気テープ１の下端位置を規制する案内部、すなわちリー
ド５１が螺旋状に形成されている。７ａ、７ｂは磁気ヘ
ッドでありヘッドベース６ａ、６ｂにそれぞれ接着固定
されている。さらに磁気テープ１に対して接触して記録
／再生を行うために、回転ドラム２の下部に設けられた
ヘッド窓部３より、回転ドラム２の表面に対し４５μｍ
程度量突出させて取付けられている。ここで磁気ヘッド
７ａ、７ｂは、記録／再生信号のメモリ領域を最小限に
抑えるため、回転ドラム２の円周方向の間隔Ｘを狭め、
隣接させて取り付けている。また磁気テープ１のテープ
パターン上では、磁気ヘッド７ａ、７ｂがそれぞれ記録
するトラック８ａ、８ｂ上の水平同期信号９ａ、９ｂが
お互いに並ぶように、Ｈ並べをする必要がある。

【００１５】本実施例はこの点に着眼し、磁気テープ１
の回転ドラム２の中心方向への落込み量を考慮して、磁
気ヘッド７ａ、７ｂ間の磁気テープ１の長さＬが１Ｈ長
の整数倍となるように、磁気ヘッド７ａ、７ｂの回転ド
ラム２の円周方向の間隔Ｘを予め設定して、磁気ヘッド
７が回転ドラム２へ取り付けられている。なお、このテ
ープ長さＬは、磁気テープ１の外側より非接触の変位計
（図示せず）を用いて測定すれば容易に求めることがで
きる。また、磁気テープ１の回転ドラム２の中心方向へ
の落込み量をＹとすると、間隔Ｘを、 Ｘ≒１Ｈ長の整数倍−２Ｙ という関係式を用い近似して求め、この関係を満たすよ
うに磁気ヘッド７を回転ドラム２に取り付けても差し支
えない。

【００１６】また、上記回転ドラム２の円周方向の間隔
Ｘの取り付け誤差は通常±２．５μｍ程度であるが、複
数の隣接した各々の磁気ヘッド間の磁気テープの長さＬ
と前記複数の隣接した各々の磁気ヘッドの回転ドラム円
周方向の間隔Ｘとの差をＹ、前記回転ドラム円周方向の
前記磁気ヘッドの取り付け誤差をＺとしたとき、Ｙ＞Ｚ
の関係を満たすように各々の磁気ヘッドの回転ドラム円
周方向の間隔Ｘを設定してやればより有効である。

【００１７】以下に本実施例の回転磁気ヘッドの動作を
説明する。磁気テープ１が回転ドラム２に巻き付けられ
ると同時に回転ドラム２は回転を始める。また、磁気テ
ープ１は固定ドラム５のリード溝５１に沿って螺旋状に
巻き付きながら走行し、回転ドラム２に装着された磁気
ヘッド７により情報を記録／再生する。ここで回転ドラ
ム２は高速で回転するため、回転ドラム２と磁気テープ
１との間には空気層が生じる。通常、磁気ヘッド７の突
出量Ｐはこの空気層の厚みＱより大きく設定されてい
る。したがって、磁気ヘッド７が磁気テープ１と接触す
る時には、磁気テープ１は突出量Ｐの分だけ持ち上げら
れることになる。また磁気ヘッド７ａ、７ｂ間では、走
行中の磁気テープ１が回転ドラム２の中心方向に吸い込
まれる。しかしながら、磁気ヘッド７ａ、７ｂの間隔Ｘ
は、磁気ヘッド７ａ、７ｂ間での磁気テープ１の長さＬ
が１Ｈ長の整数倍となるように予め設定されている。し
たがって、磁気ヘッド７ａ、７ｂによりそれぞれ磁気テ
ープ１上に同時に記録された水平同期信号９ａ、９ｂの
間隔はほぼ１Ｈ長の整数倍となる。そのため、磁気テー
プ１上でＨ並べが正確にされるため、信号の再生時に隣
接トラックからの水平同期信号９のクロストークがな
い。したがって、良好な記録／再生を行うことができ
る。

【００１８】なお、本実施例においては、回転ドラム２
の下端にヘッド窓部３を有する構成について説明した
が、ヘッド窓部３がない構成であっても差し支えない。

【００１９】また、隣接する磁気ヘッドが２つの場合の
２チャンネル方式の場合について説明したが、３チャン
ネル以上の他の方式であっても上述したものと同様な技
術思想にて構成することにより本実施例と同様な効果が
得られる。

【００２０】

【発明の効果】以上のように本発明は、複数の隣接した
各々の磁気ヘッド間の磁気テープの長さＬが１Ｈ長の整
数倍となるように、複数の隣接した各々の磁気ヘッドの
回転ドラム円周方向の間隔Ｘを設定して構成することに
より、磁気テ−プ上でＨ並べが正確にされるため、隣接
トラックからの水平同期信号のクロストークが生じな
い。したがっ良好な記録／再生を行うことができる。ま
た、複数の隣接した各々の磁気ヘッド間の磁気テープの
長さＬと前記複数の隣接した各々の磁気ヘッドの回転ド
ラム円周方向の間隔Ｘとの差をＹ、前記回転ドラム円周
方向の前記磁気ヘッドの取り付け誤差をＺとしたとき、
Ｙ＞Ｚの関係を満たすように各々の磁気ヘッドの回転ド
ラム円周方向の間隔Ｘを設定すれば、磁気ヘッドの回転
ヘッドへの取り付け誤差の影響を少なくすることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における磁気ヘッド近傍拡大
図

【図２】本発明の一実施例における磁気テープ下端での
トラックパターン図

【図３】従来および本発明の回転磁気ヘッド装置の斜視
図

【図４】従来の回転磁気ヘッド装置における磁気ヘッド
近傍拡大図

【図５】ヘッド近傍でのテープ変形を示す測定データ

【図６】従来の回転磁気ヘッド装置における磁気テープ
下端でのトラックパターン図

【符号の説明】

１ 磁気テ−プ ２ 回転ドラム ３ ヘッド窓部 ５ 固定ドラム ７ａ、７ｂ 磁気ヘッド ８ａ、８ｂ 記録トラック ９ａ、９ｂ 水平同期信号 Ｘ 磁気ヘッドの間隔 Ｌ 磁気ヘッド間のテープ長さ Ｙ 磁気テープの落込み量

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】テープパターン上でＨ（Ｈは水平同期信
   号）並べされた、マルチチャンネル記録の磁気記録再生
   装置において、磁気テープの走行を案内するリード溝を
   外周面に有する固定ドラムと、 信号の記録及び再生を行う複数の磁気ヘッドと、前記複
   数の磁気ヘッドを隣接させ、かつ前記磁気テープに対し
   て一定量突出させて支持するヘッドベースとを有し、前
   記固定ドラムに対して回転可能に支持された回転ドラム
   とを備え、前記複数の隣接した各々の磁気ヘッド間の磁
   気テープの長さＬが１Ｈ長の整数倍となるように、前記
   複数の隣接した各々の磁気ヘッドの前記回転ドラム円周
   方向の間隔Ｘを設定したことを特徴とする回転磁気ヘッ
   ド装置。
2. 【請求項２】複数の隣接した各々の磁気ヘッド間の磁気
   テープの長さＬと前記複数の隣接した各々の磁気ヘッド
   の回転ドラム円周方向の間隔Ｘとの差をＹ、前記回転ド
   ラム円周方向の前記磁気ヘッドの取り付け誤差をＺとし
   たとき、Ｙ＞Ｚの関係を満たすように前記ＬおよびＸを
   設定することを特徴とする請求項１記載の回転磁気ヘッ
   ド装置。