JPH05285387A - 排ガス浄化触媒及び方法 - Google Patents

排ガス浄化触媒及び方法

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JPH05285387A
JPH05285387A JP4118439A JP11843992A JPH05285387A JP H05285387 A JPH05285387 A JP H05285387A JP 4118439 A JP4118439 A JP 4118439A JP 11843992 A JP11843992 A JP 11843992A JP H05285387 A JPH05285387 A JP H05285387A
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catalyst
exhaust gas
temperature
palladium
gas purifying
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JP4118439A
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English (en)
Inventor
Noriko Watanabe
紀子 渡辺
Osamu Kuroda
黒田  修
Hisao Yamashita
寿生 山下
Akio Honchi
章夫 本地
Toshio Ogawa
敏雄 小川
Hiroshi Miyadera
博 宮寺
Takeshi Atago
武士 阿田子
Ikuhisa Hamada
幾久 浜田
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Hitachi Ltd
Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Babcock Hitachi KK
Hitachi Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 起動直後の排ガスに多量に含まれているCO
と炭化水素を速やかに酸化する触媒及び排ガス浄化方法
を提供する。 【構成】 担体に担持され、活性成分としてパラジウム
をPdに換算して触媒全体容量に対し0.5〜10g/
l含み、かつセリウムを酸化セリウム(CeO2)換算
して触媒全体容量に対し10〜150g/l含む排ガス
浄化触媒であり、また、本触媒をエンジン排ガス2の上
流に設置3し、エンジン1起動直後の高濃度CO及び炭
化水素を含有する排ガスを低温で速やかに燃焼し、三元
触媒4を急速に加熱昇温する排ガス浄化方法とした。 【効果】 エンジン起動直後の高濃度CO及び炭化水素
を含有する排ガスのCOを低温で着火しCO及び炭化水
素を低温で速やかに燃焼することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関等から排出さ
れる排気ガス中に含まれる燃料未燃分及び部分燃焼生成
物であるCOと炭化水素を酸化する触媒及び排気ガス浄
化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車エンジンの排気ガスは、燃料の未
燃分、燃料の燃焼生成物である炭化水素(HC),CO
及びNOx等を含む。これらは大気中に放出されると、
光化学スモッグの生成や酸性雨の原因となり、人体や生
態系に多大な悪影響を及ぼす。1970年代に入り排ガ
ス規制値が設けられるとともに、排気ガス中の有害物質
を除去する方法が自動車メーカー各社で鋭意研究され、
HC,CO及びNOxを同時に処理する貴金属系三元触
媒が開発されるに至った。しかし、近年、オゾン層破
壊、地球温暖化、酸性雨等地球規模での環境問題がクロ
ーズアップされ、自動車排ガス規制値も更に強化される
動きにある。HC,CO及びNOxの有害物質の中でも
特にHCについては、オゾン層破壊に大きく寄与するこ
とから、他の物質以上に規制が厳しくなる。自動車から
大気中に放出されるHC総量のうちの約70%近くは、
自動車エンジン起動開始から約2分間で排出される。こ
れは、エンジンが定常運転に至らないエンジン起動時に
おいては、排気ガス温度が低く三元触媒が働かないこと
に起因する。
【0003】そこで、エンジン燃焼器及び燃焼状態の改
善だけでなく、浄化システムの面から改善策が検討され
ている。例えば、特開平1−227815号公報に代表
されるように、エンジン始動時から暖気状態に至る間、
三元触媒の排気ガス導入部に二次空気を供給し、三元触
媒上で燃焼反応を行なわせる方法が提案されている。し
かしながらこの方法では、排気ガス温度が三元触媒反応
開始温度に昇温されるのに時間がかかるため、顕著な効
果は期待できない。そこで、できるだけ触媒の機能を速
やかに引き出すために、三元触媒よりもエンジンに近い
位置に前触媒を設置し、エンジン排ガスがあまり冷却さ
れること無く前触媒に到達するように工夫する方法が提
案されている。例えば、前触媒の耐熱を考慮し起動時の
低温用触媒と定常運転時の高温用触媒の2個の排気ガス
浄化触媒を並列して設置する(特開昭61−20031
6号公報)方法がある。しかしながらこれらの方法で
は、触媒が反応に活性な温度まで排気ガスの熱でのみ昇
温されるため、前触媒及び主触媒の急速な活性化には限
界がある。従って、より低い温度で排ガス浄化性能を示
す触媒、及び触媒を急速に活性化する方法が望まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】排気ガス中の炭化水素
(HC),CO及びNOx濃度は、燃料である空気
(A)とガソリン(F)の重量比である空燃比(A/
F)及び燃焼温度で決定される。エンジン起動時はエン
ジン内部が温まっていないことから、定常運転時に比較
して高濃度の炭化水素とCOが排出される。特にエンジ
ン起動時のCOの濃度は炭化水素の濃度をはるかにしの
ぐ数%から十数%排出されている。一般的にCOは炭化
水素よりも低い温度で触媒により燃焼が開始することが
知られているので、エンジン起動時に生成するCOを速
やかにすべて燃焼すると、その燃焼熱により触媒を急速
に加熱することが可能で、その温度上昇で炭化水素も同
時に燃焼できる。さらに一歩進んで、起動時に空燃比を
燃料リッチ側に調節することにより、より高濃度のCO
を排出させ、これを燃焼させて触媒をより急速に加熱す
ることもできる。従って、エンジン起動時の常温に近い
排ガス温度において、%オーダのCOを低温で着火し速
やかに燃焼する触媒が必須となる。
【0005】従来、自動車排ガス浄化触媒に関しては精
力的に研究がなされて多くの有効な触媒、組成が提案さ
れ、例えば特開昭56−21646号公報において特定
割合のパラジウムとセリウムからなる触媒がCO及び炭
化水素の燃焼に有効であることが示されているが、これ
は特に酸素不足の条件下で有効なものである他、低温着
火特性についてはなんら知見を得たものではない。本発
明は、上記の従来の方法の問題点に対処すべく、自動車
等の内燃機関から排出される排気ガス中に含まれる燃料
未燃分及び部分燃焼生成物を浄化するにあたり、特に起
動直後の排気ガスに多量に含まれるCOを低温で着火
し、COと炭化水素を速やかに酸化する触媒及び排気ガ
ス浄化方法を提供することを課題とする。本発明者ら
は、CO及びCOと炭化水素混合ガスの燃焼触媒、特に
その低温着火特性に関して鋭意検討を進めることにより
本発明に至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の排ガス浄化触媒は、高濃度のCOと炭化水
素を含むガスを、酸化に必要な当量以上の酸素の存在下
で、低温で酸化開始する触媒であり、担体に活性成分が
担持され、該活性成分として、パラジウム(Pd)を触
媒全体容量に対し0.5〜10g/lと、セリウムを酸
化セリウム(CeO2 )に換算して触媒全体容量に対し
10〜150g/lとを含むこととしたものである。
【0007】上記排ガス浄化触媒において、担体として
は、アルミナ、ランタンアルミネート(LaAl
3 ),ランタン・β・アルミナ(La2 3 ・11〜
14Al23 )、ランタン・β・アルミナ前駆体、T
iO2 、ゼオライト、シリカ、シリカ−アルミナのよう
な多孔質担体が好適に使用できる。なぜならば、担体の
比表面積が小さいと担持したパラジウムが凝集してしま
い、有効に使われないからである。従って、耐熱性の高
い多孔質担体、好ましくはランタンアルミネート(La
AlO3 ),ランタン・β・アルミナ(La2 3 ・1
1〜14Al2 3 )、ランタン・β・アルミナ前駆体
を用いることが望ましい。ここでランタン・β・アルミ
ナとは、ランタンの酸化物を3〜10 mol%有し残部は
アルミナであり、β・アルミナ構造を持つ複合酸化物で
ある(特願昭59−162329号)。また、ランタン
・β・アルミナ前駆体とは、1000℃2時間以内の加
熱でランタン・β・アルミナに変りえる組成の酸化物混
合物である。そして、ランタンとアルミニウムのモル比
がLa/Al=1/99から10/90の範囲にある多
孔質担体がよい。また、上記排ガス浄化触媒は、セラミ
ックスあるいは金属の基材上にコートして排ガス浄化触
媒構造体として使用でき、これらの基材としてはハニカ
ム形状、板状基材、金網形状等が用いられる。
【0008】次に、本発明を詳細に説明する。本発明の
触媒は、上記担体に水溶性のパラジウム塩及びセリウム
塩の水溶液を含浸し、乾燥後、加熱酸化することにより
得られる。パラジウム塩としては、硝酸パラジウム、塩
化パラジウム、又は〔Pd(NH3 4 (OH)2 〕の
ような水溶性のパラジウム錯体塩を用いる。セリウム塩
としては、硝酸セリウム、硫酸セリウム、酢酸セリウム
等水溶性の塩を用いるのが一般的である。パラジウム塩
及びセリウム塩水溶液を担体に含浸する方法としては、
パラジウム塩とセリウム塩の混合水溶液で2成分を同時
に含浸しても良いし、パラジウム塩水溶液を含浸し加熱
酸化した後にセリウム塩水溶液を含浸しても良いし、セ
リウム塩水溶液を含浸し加熱酸化した後にパラジウム塩
水溶液を含浸しても良い。以上の含浸法の他、上記担体
にパラジウム塩水溶液を含浸し加熱酸化した後の粉末
と、酸化セリウム、酸化セリウム或いは水酸化セリウム
を含有するゾル、或いは炭酸セリウム等の不溶性のセリ
ウム塩を湿式混練し、乾燥後、加熱分解、酸化する方法
によっても得られる。又は、上記担体と酸化セリウム、
酸化セリウム或いは水酸化セリウムを含有するゾル、或
いは炭酸セリウム等の不溶性のセリウム塩を湿式混練
し、乾燥後、加熱酸化し、これにパラジウム塩水溶液を
含浸しても良い。この時の担体の形状は、粉末、ペレッ
ト状、ハニカム状等が可能である。
【0009】これらの触媒は、最終的には原料の塩が分
解し加熱酸化される温度、すなわち200℃以上100
0℃以下、好ましくは500℃から900℃で大気中で
加熱処理して得られる。本発明の触媒は、活性成分とし
てパラジウム、第二成分としてセリウムを含有している
が、パラジウムの他に活性成分として白金、ロジウム等
の貴金属、銀、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、
銅、バナジウム、亜鉛などの中から1種以上を含むこと
も可能である。ただし、その含有量は活性成分の1atom
%以上10atom%以下であることが望ましい。なぜなら
ば、例えば白金、ロジウム等の貴金属は、COや炭化水
素の燃焼触媒や自動車排ガス処理の三元触媒として用い
られているが、処理ガス中のCOが高濃度になると白金
やロジウム上に吸着して吸着被毒を起こすために活性が
著しく低下し、更にそれらの活性は排ガス中の酸素濃度
に大きく影響される様になる。この現象はパラジウムに
比べて白金やロジウムに顕著に現われる。従って、パラ
ジウムに対し白金やロジウムの貴金属を10atom%以上
含有するとCO燃焼に対する触媒活性を低下させること
になる。この時、白金やロジウムの貴金属はPt,Rh
の形態で存在する。また、銀、マンガン、鉄、コバル
ト、ニッケル、銅、バナジウム、亜鉛等は、Ag,Ag
2 O,Mn2 3 ,Mn3 4 ,Fe2 3 ,CoO,
Co3 4 ,NiO,CuO,Cu2 O,V2 5 ,Z
nOなどの形態で存在し、COや炭化水素に燃焼活性を
示すことが知られているが、貴金属よりは活性が劣る。
これらを、10atom%以上含有すると分散性が悪くなり
本来の活性を十分発揮できない。
【0010】本発明の触媒は、活性成分としてパラジウ
ム、第二成分としてセリウムを含有しているが、セリウ
ムにかわる第二成分として、あるいは第三成分として後
述するようにセリウムと同じような働き、即ち活性成分
であるパラジウムに酸素を提供しCOの酸化を促進する
働きをする酸化物、例えばNiO,CuO,Mn
2 3 ,ZrO2 等を同時に含有することも可能であ
る。このようにして製造した排ガス浄化触媒のパラジウ
ム元素はPdO又はPdの形態で存在する。ガス中のC
Oが高濃度になると貴金属上にCOが吸着し、酸化反応
に必要な酸素の吸着を阻害するため、活性が低下する傾
向が見られる。この時の触媒活性は排ガス中の酸素濃度
に大きく影響される。これまでのPt,Rh触媒ではガ
ス中のCOが高濃度になるとこのような吸着被毒が起こ
り活性が不安定であったが、これに比較して本触媒で活
性成分として用いているパラジウムは、高濃度COに対
してPt,Rh触媒に比べてより低い温度で活性を示
す。第二成分として触媒に含有されているセリウム元素
はCeO2 の形態で存在する。CeO2 は活性成分のパ
ラジウムに酸素を供給し、パラジウム表面を酸素リッチ
な状態に保つとともに、活性成分を覆う高濃度のCOの
速やかな燃焼を促進する。これらの化合物状態は、粉末
X線回折(XRD)等一般的な分析法で同定される。
【0011】上記のパラジウムとセリウムを含有する排
ガス浄化触媒は、この触媒単独で使用することができる
が、この触媒の粉末をセラミックスあるいは金属の基材
上にコーティング等の方法で担持して、排ガス浄化触媒
構造体として使用するのも有効な方法である。これらの
基材としてはハニカム形状、板状基材、金網形状等が用
いられる。特に金属の基材を用いた場合はセラミックス
に比較して熱伝導が良いため、同じ排ガス温度でも金属
の方が触媒温度が速く上昇し、より速い時間に触媒が活
性化される。さらに、導電性材料の基材を用いた場合
は、通電端子を設け電気触媒化することによって、電気
で触媒を加熱することが可能であり、触媒の急速な加熱
及び活性化が可能となる。このとき触媒は、通電時の電
気抵抗が0.01〜0.50Ωであるのがよく、また、
触媒の下流よりも上流側を急速に昇温し、触媒の上流側
から下流にかけて温度勾配をつけた構造とするのがよ
い。
【0012】これらの排ガス浄化触媒構造体の製造法
は、前述した方法で得られたパラジウムとセリウムを含
有する触媒粉末と、バインダ、水などを混合してスラリ
ー状にし、これをセラミックスあるいは金属の基材上に
塗布した後、乾燥、加熱処理する。また、予め前述のア
ルミナ、ランタンアルミネート(LaAlO3 ),ラン
タン・β・アルミナ等の多孔質担体粉末を含んだスラリ
ーをセラミックスあるいは金属の基材上に塗布した後、
乾燥、加熱処理したものに、前述した方法でパラジウム
塩とセリウム塩の水溶液を含浸し、乾燥加熱処理する方
法でも製造することが可能である。この様に製造した触
媒においては、基体にウオッシュコートされた触媒の同
一コーティング層内にパラジウムとセリウムが存在する
ことが望ましい。なぜならば、前述のようにCeO2
活性成分のパラジウムに酸素を供給し、パラジウム表面
を酸素リッチな状態に保つとともに、活性成分を覆う高
濃度のCOの速やかな燃焼を促進する働きをするため、
パラジウムと別の層内に或る場合はその効果が発揮でき
ない。
【0013】本発明の触媒は、高濃度のCOと炭化水素
及びこれらを酸化するために必要な当量以上の酸素を含
むガスを、100〜200℃で、本発明の触媒に接触さ
せて、COをCO2 に、炭化水素をCO2 とH2 Oに変
換する排ガス浄化方法として使用すると、触媒の性能を
有効に発揮する。本発明の触媒は、これまで述べてきた
ように、パラジウムとセリウムの作用により高濃度のC
Oを低温で速やかに燃焼し炭化水素も同時に燃焼する。
従って、本発明の触媒を用いた排ガス浄化方法では、触
媒の活性化温度すなわちCOの着火可能な温度の排ガス
を触媒に接触させるか、あるいは触媒の活性化温度すな
わちCOの着火可能な温度の本発明の触媒に排ガスを接
触させればよい。排ガスによってはこの温度に満たない
場合があるが、そのような場合にはヒータで加熱するこ
とにより触媒が有効に作用する温度に昇温する。又は、
触媒に通電、あるいはヒータで加熱することにより触媒
が有効に作用する温度に昇温する。
【0014】本発明の触媒は、COと炭化水素及びこれ
らを酸化するために必要な当量以上の酸素を含む排ガス
であれば、その浄化方法に用いることで有効に作用す
る。特に自動車エンジン起動初期に排出されるCOをパ
ーセントオーダーで含む排ガスの燃焼に有効である。こ
の場合は、理論空燃比より燃料過剰の状態でエンジンを
操作して燃焼排ガス中のCO濃度を3%以上に保ち、触
媒の前で排ガスに空気を添加し排ガス中の酸素濃度をC
Oと炭化水素の理論酸素消費量と当量以上に調製し、本
発明の触媒に接触させる。本発明の方法では、触媒をエ
ンジン排ガス流路のエンジン出口と従来の三元触媒の間
に設置することで、触媒によるCO,炭化水素の燃焼熱
で後流の三元触媒を活性化する方法として有効に作用す
る。この時、本発明の触媒と三元触媒との距離は短いほ
どCOと炭化水素の燃焼熱がロスなく三元触媒へ伝わる
ために有効に作用する。従って本触媒と三元触媒を接触
させることも有効な手段の一つとなる。本発明の触媒
は、エンジン排ガス流路のエンジン出口後流に設置され
る。その位置はエンジン出口に近いほど、本触媒へ到達
する排ガス温度が高くなるため、COと炭化水素が燃焼
しやすい。従って触媒の耐熱性が許される範囲内でエン
ジン出口へ近い位置へ設置することが好ましい。
【0015】またNOx分解触媒或いは炭化水素により
NOxを選択的に還元する触媒と組合せることによっ
て、浄化性能の高い排ガス浄化方法となる。この場合
は、NOx分解触媒或いは炭化水素によりNOxを選択
的に還元する触媒の後流に、本発明の触媒を設置するこ
とにより、NOx処理後のCOと炭化水素を含む排ガス
の燃焼を行う。本発明の触媒は自動車エンジン排ガス浄
化だけでなく、産業用燃焼器、民生用燃焼器、化学工業
等の反応塔から排出されるCOと炭化水素を含む排ガス
の燃焼を行うにも有効である。この場合は、これら装置
の排気側に本発明の触媒を含む触媒層を備えた排ガス処
理装置を設置することが望ましい。本発明の触媒は、室
温以上1000℃以下、好ましくは100℃以上800
℃以下の反応温度で有効に作用する。排ガスによっては
この温度に満たない場合があるが、そのような場合には
触媒に通電、又はヒータで加熱することにより触媒が有
効に作用する温度に昇温し、自己発熱及び排ガス温度で
燃焼反応が持続する様に操作することが望ましい。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例で具体的に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されない。 実施例1 硝酸アルミニウムと硝酸ランタンをAl/La(モル
比)=95/5に調整した水溶液を5Mのアンモニア水
で中和し、pH=8とした。生成した沈殿を水洗、ろ過
したケーキ状物質を、180℃で乾燥後900℃2時間
焼成しランタン・β・アルミナ(La2 3 ・11〜1
4Al2 3 )担体粉末を調整した。300メッシュ以
下に分級したこのランタン・β・アルミナ担体と、上記
方法で生成したケーキ状物質と、水とを重量比で1:
1:1で混合しウオッシュコート用スラリー液を調整し
た。市販のコージェライトハニカム(300メッシュ/
inch2)にこのスラリー液をコーティングし、120℃
で乾燥後550℃で2時間焼成し、ランタン・β・アル
ミナウオッシュコートハニカムを得た。この時ランタン
・β・アルミナ担体のウオッシュコート量は、90g/
lである。
【0017】472.0gのCe(NO3 3 ・6H2
Oを蒸留水で溶解し体積1リットルとし硝酸セリウム水
溶液を調製した。これに、ランタン・β・アルミナウオ
ッシュコートハニカムを浸漬し、余分な溶液を除去して
から、120℃で乾燥後500℃で2時間焼成すること
により、CeO2 を担持した。次にこのハニカムを、パ
ラジウムを原子の重量で50g/l含有する硝酸パラジ
ウム液337.3ccを蒸留水で希釈し体積1リットルと
した硝酸パラジウム水溶液に浸漬し、余分な溶液を除去
してから、120℃で乾燥後800℃で2時間焼成して
パラジウムを担持し、触媒Aを調製した。触媒Aは、1
リットル当りPdが4g、CeO2 が45g担持されて
いた。
【0018】実施例2 実施例1において硝酸セリウム水溶液を含浸し焼成する
操作を2回繰り返し、硝酸パラジウム溶液168.7cc
を蒸留水で希釈し体積1リットルとする以外は実施例1
と同様な方法で、触媒Bを調製した。触媒Bは、1リッ
トル当りPdが2g、CeO2 が90g担持されてい
た。
【0019】比較例1 実施例1において硝酸セリウム水溶液を含浸し焼成する
操作を行わず、硝酸パラジウム水溶液を含浸し焼成する
操作のみを行い、触媒Cを調製した。触媒Cは、1リッ
トル当りPdが4g担持されていた。
【0020】比較例2 実施例1において硝酸セリウム水溶液を含浸し焼成する
操作を行わず、硝酸パラジウム溶液の代わりに白金を原
子の重量で50g/l含有する塩化白金酸溶液337.
3ccを蒸留水で希釈し体積1リットルとした塩化白金酸
水溶液を含浸し焼成する以外は実施例1と同様の方法
で、触媒Dを調製した。触媒Dは、1リットル当りPt
が4g担持されていた。
【0021】比較例3 実施例1において、Ce(NO3 3 ・6H2 Oのかわ
りにCo(NO3 3・6H2 O 680.0gを使用
する以外は実施例1と同様の方法で、触媒Eを調製し
た。触媒Eは、1リットル当りPdが4g、Co3 4
が45g担持されていた。
【0022】比較例4 実施例1において、Ce(NO3 3 ・6H2 Oのかわ
りにMn(NO3 2・6H2 O 681.6gを使用
する以外は実施例1と同様の方法で、触媒Fを調製し
た。触媒Fは、1リットル当りPdが4g、Mn2 3
が45g担持されていた。
【0023】上記の触媒A,B,C,D,E,FのCO
着火温度及び炭化水素燃焼率を、常圧流通式反応装置で
下記評価条件1により評価した。ここでCO着火温度
は、触媒層にガスを導入し、1分後にCO燃焼率が10
0%を示す入口ガス温度とした。また炭化水素燃料率
は、CO着火温度におけるガスの導入1分後の値を示し
た。評価結果を表1に示す。高濃度COを燃焼する場合
の活性成分としては、触媒Dの白金よりも触媒Cのパラ
ジウムの方が低温でCOを着火するが、さらに、パラジ
ウムのみを担持した触媒Cに比較して、パラジウムとセ
リウムを担持した触媒AとBの方がより低い温度でCO
を着火し、かつ炭化水素燃焼率も高い。また、パラジウ
ムに他の遷移金属酸化物を添加した触媒EとFは、パラ
ジウムのみを担持した触媒Cよりも逆に活性が低下して
いる。以上の結果から、パラジウムとセリウムを担持し
た触媒が高濃度CO及び炭化水素を含むガスの燃焼に高
活性を示すことがわかる。
【0024】〔評価条件1〕 空間速度(SV)・・・30000h-1 ガス組成 ・・・CO 3.0 % プロパン 0.1 % O2 6.0 % N2 バランス
【表1】
【0025】上記の触媒BのCO着火温度及び炭化水素
燃焼率を、常圧流通式反応装置で上記評価条件1及び下
記評価条件2により測定し、排ガス中のCO濃度の影響
を評価した。表2に示す結果から、本発明の触媒はCO
濃度が高くなっても安定したCO燃焼活性を示し、CO
濃度が高くなれば炭化水素燃焼活性は高くなることがわ
かる。従って、本発明の触媒を使用した自動車排ガス浄
化システムは、エンジン起動時から主触媒がその機能を
十分発揮する温度に昇温するまでの間、理論空燃比より
燃料過剰の状態でエンジンを操作して燃料中のCO濃度
を3%以上の高濃度に保つ運転方法は炭化水素浄化に対
し有効な方法である。
【0026】〔評価条件2〕 空間速度(SV)・・・30000h-1 ガス組成 ・・・CO 6.0 % プロパン 0.1 % O2 6.0 % N2 バランス
【表2】
【0027】実施例3 実施例1において硝酸パラジウム液168.7ccを蒸留
水で希釈し体積1リットルとする以外は実施例1と同様
な方法で、触媒Gを調製した。触媒Gは、1リットル当
りPdが2g、CeO2 が45g担持されていた。
【0028】実施例4 実施例1において209.8gのCe(NO3 3 ・6
2 Oを用い、硝酸パラジウム液168.7ccを蒸留水
で希釈し体積1リットルとする以外は実施例1と同様な
方法で、触媒Hを調製した。触媒Hは、1リットル当り
Pdが2g、CeO2 が20g担持されていた。
【0029】実施例5 実施例1において硝酸セリウム水溶液を含浸し焼成する
操作を3回繰り返し、硝酸パラジウム溶液168.7cc
を蒸留水で希釈し体積1リットルとする以外は実施例1
と同様な方法で、触媒Iを調製した。触媒Iは、1リッ
トル当りPdが2g、CeO2 が135g担持されてい
た。
【0030】比較例5 実施例1において硝酸セリウム水溶液を含浸し焼成する
操作を行わず、硝酸パラジウム溶液168.7ccを蒸留
水で希釈し体積1リットルとする以外は実施例1と同様
な方法で、触媒Jを調製した。触媒Jは、1リットル当
りPdが2g担持されていた。
【0031】実施例6 実施例1において硝酸セリウム水溶液を含浸し焼成する
操作を2回繰り返す以外は実施例1と同様な方法で、触
媒Kを調製した。触媒Kは、1リットル当りPdが4
g、CeO2 が90g担持されていた。
【0032】実施例7 実施例1において硝酸セリウム水溶液を含浸し焼成する
操作を3回繰り返す以外は実施例1と同様な方法で、触
媒Lを調製した。触媒Lは、1リットル当りPdが4
g、CeO2 が135g担持されていた。
【0033】上記触媒B,G,H,I,JのCO着火温
度を、常圧流通式反応装置で上記評価条件1により評価
した。図1に触媒のCeO2 担持量とCO着火温度の関
係を示す。この時の触媒1リットル当りのPd担持量は
2gである。上記触媒A,C,K,LのCO着火温度
を、常圧流通式反応装置で上記評価条件1により評価し
た。図2に触媒のCeO2 担持量とCO着火温度の関係
を示す。この時の触媒1リットル当りのPd担持量は4
gである。図1及び図2の結果より、パラジウムのみを
担持した触媒にセリウムを添加すると、CeO2 担持量
の増大と共にCO着火温度は低下していく。しかし、C
eO2 担持量135g/l以上添加しても、それ以上の
顕著なCO着火温度の低下は認められない。従って、C
eO2 の担持量は10〜150g/lの範囲にあること
が望ましい。セリウムの添加効果は特にパラジウム担持
量の少ない図1の場合に顕著に認められる。
【0034】実施例8 パラジウムを原子の重量で50g/l含有する硝酸パラ
ジウム液168.7ccを蒸留水で希釈し体積1リットル
とした硝酸パラジウム水溶液を調製した。実施例1と同
様に調製したランタン・β・アルミナウオッシュコート
ハニカムを浸漬し、余分な溶液を除去してから、120
℃で乾燥後500℃で2時間焼成することにより、パラ
ジウムを担持した。次にこれを、472.0gのCe
(NO3 3 ・6H2 Oを蒸留水で溶解し体積1リット
ルとした硝酸セリウム水溶液に浸漬し、余分な溶液を除
去してから、120℃で乾燥後500℃で2時間焼成し
CeO2 を担持した。このセリウムを担持する操作を2
回行い、800℃で2時間焼成して触媒Mを調製した。
触媒Mは、1リットル当りPdが2g、CeO2 が90
g担持されていた。
【0035】実施例9 市販のγ−アルミナ粉末(平均粒ランタン・β・アルミ
ナ径1μ)と、市販のアルミナゾルと、水とを重量比で
1:1:1で混合しコーティング用スラリー液を調製し
た。市販のコージェライトハニカム(300メッシュ/
inch2 )にこのスラリー液をコーティングし、120℃
で乾燥後550℃で2時間焼成し、アルミナウオッシュ
コートハニカムを得た。この時アルミナ担体のウオッシ
ュコート量は、100g/lである。472.0gのC
e(NO3 3 ・6H2 Oを蒸留水で溶解し体積1リッ
トルとし硝酸セリウム水溶液を調製した。これに、アル
ミナウオッシュコートハニカムを浸漬し、余分な溶液を
除去してから、120℃で乾燥後500℃で2時間焼成
することにより、CeO2 を担持した。この操作を2回
行った後このハニカムを、パラジウムを原子の重量で5
0g/l含有する硝酸パラジウム液168.7ccを蒸留
水で希釈し体積1リットルとした硝酸パラジウム水溶液
に浸漬し、余分な溶液を除去してから、120℃で乾燥
後800℃で2時間焼成してパラジウムを担持し、触媒
Nを調製した。触媒Nは、1リットル当りPdが2g、
CeO2 が90g担持されていた。
【0036】実施例10 実施例1と同様の方法で調製したランタン・β・アルミ
ナ粉末100gと、パラジウムを原子の重量で50g/
l含有する硝酸パラジウム液88ccと、Ce(NO3
3 ・6H2 O 124.9gと、蒸留水200ccを混合
した後、ライカイキで1時間湿式混練した。これを、1
20℃で乾燥後800℃で2時間焼成して触媒粉末を得
た。この触媒粉末と、実施例1と同様の方法で生成した
ケーキ状物質と、水とを重量比で1:1:1で混合しコ
ーティング用スラリー液を調整した。市販のコージェラ
イトハニカム(300メッシュ/inch2 )にこのスラリ
ー液をコーティングし、120℃で乾燥後550℃で2
時間焼成し、触媒Oを調製した。触媒Oは、.1リット
ル当りPdが4g、CeO2 が45g担持されていた。
【0037】上記の触媒M,N,OのCO着火温度及び
炭化水素燃焼率を、常圧流通式反応装置で上記評価条件
1により測定し、触媒活性を評価した。表3に示す結果
から、異なる方法によって触媒を調製しても、安定した
触媒性能が得られる。
【表3】
【0038】実施例11 アルミニウムを含まないフェライト系ステンレス鋼薄板
をエキスパンド加工した後アルミニウムを溶射した金属
基体と、これに波状の凹凸を付けた薄板金属基体とを重
ね合わせて円柱状に巻き込み金属ハニカム構造体を形成
した。実施例1と同様な方法でランタン・β・アルミナ
粉末を含有するウオッシュコート用スラリー液を調整
し、金属ハニカム構造体にこのスラリー液をコーティン
グし、120℃で乾燥後500℃で2時間焼成する操作
を繰返し、ランタン・β・アルミナウオッシュコート金
属ハニカムを得た。この時の担体付着量は70g/lで
ある。次に、硝酸セリウム六水和物50wt%溶液にこれ
を浸漬し120℃で乾燥後500℃で焼成する操作を繰
返しCeO2 を担持した。その後、Pd3.8wt%を含
む硝酸パラジウム水溶液を調製して、これにハニカムを
浸漬し120℃で乾燥後500℃で焼成する操作を繰返
しパラジウムを担持し、触媒Pを調製した。触媒Pは、
1リットル当りPdが4.4g、CeO2 が57g担持
されていた。
【0039】上記触媒PのCO着火温度及び炭化水素燃
焼率を、常圧流通式反応装置で下記評価条件3の模擬排
ガスにより測定し、触媒活性を評価した。触媒外周に密
着させたヒータで触媒を125℃まで加熱した後、模擬
排ガスを触媒層に導入した。この温度で、排ガス中のC
Oは100%燃焼し、炭化水素の燃焼率は81.1%以
上を示した。 〔評価条件3〕 空間速度(SV)・・・8000h-1 ガス組成 ・・・CO 7.6 % THC* 530 ppm O2 5.8 % N2 バランス *THC:トータルハイドロカーボン、n−ヘキサン換
【0040】実施例12 実施例11と同様の方法で製造したランタン・β・アル
ミナウオッシュコート金属ハニカムの中心と外周に電極
を設けた。この金属ハニカムの斜視図を図10に示す。
図において、29が金属ハニカム、30が通電端子であ
る。これに、実施例11と同様の方法でCeO2 及びP
dを担持した。これを排ガスの導入口、排気口、及び熱
電対挿入口を設けた金属容器にケーシングし、触媒Qを
製造した。 上記触媒Qの排ガス浄化性能を、下記評価
条件4の模擬排ガスにより測定し、触媒活性を評価し
た。ガスを触媒層に導入すると同時に、24Vの鉛バッ
テリで触媒Qに通電し触媒を昇温した。触媒温度120
℃になったところで通電を停止したが温度上昇は持続し
た。触媒温度が150℃に上昇した時のCO燃焼率は9
6.0%、炭化水素燃焼率は86.4%を示した。 〔評価条件4〕 空間速度(SV)・・・5000h-1 ガス組成 ・・・CO 7.6 % THC* 530 ppm O2 5.5 % N2 バランス
【0041】実施例13 図3は本発明の一実施例の排ガス浄化装置を示す図であ
る。エンジン1の排気通路2に排気浄化触媒として通常
自動車に用いられる三元触媒4を配置し、三元触媒4の
上流側に酸化触媒3を取り付けた。酸化触媒は、パラジ
ウムとセリウムを含有する高濃度のCOと炭化水素に高
い活性を示す触媒であり、実施例2と同様の方法で製造
した。酸化触媒3の上流側には、制御弁6を介して空気
供給装置5を接続した。酸化触媒の出口に取付けた温度
センサ8と酸素センサ9からの信号、及びエンジンの回
転数から算出した排気流量が制御ユニット7に取り込ま
れ、これらをもとに空気供給装置を制御するようにし
た。また酸化触媒の温度、酸化触媒の出口ガス温度及び
触媒入口の空燃比を計測しその信号により、エンジン起
動開始から三元触媒が活性化されるまで理論空燃比より
燃料過剰の状態でエンジンを操作し排ガス中のCO濃度
を3%以上に保つ運転を行う。三元触媒が活性化温度に
昇温した後には、空気供給装置は停止され、酸素センサ
の信号によりエンジンの空燃比を制御する。
【0042】実施例14 図4は本発明の一実施例の排ガス浄化装置を示す図であ
る。エンジン1の排気通路2に排気浄化触媒として通常
自動車に用いられる三元触媒4を配置し、三元触媒4の
上流側に電気触媒11を取り付けた。電気触媒は金属ハ
ニカム基体にパラジウムとセリウムを含有する触媒をウ
オッシュコートしたもので実施例12と同様に製造し
た。エンジン起動と同時に送られる信号によってスイッ
チ12を介してバッテリ13より電気触媒に電流が流れ
電気触媒は加熱される。電気触媒の温度が活性化温度ま
で昇温されると、制御ユニットの信号によりバッテリか
らの通電は停止される。電気触媒の上流側には、制御弁
6を介して空気供給装置5を接続した。電気触媒の出口
に取付けた温度センサ8と酸素センサ9からの信号、及
びエンジンの回転数から算出した排気流量が制御ユニッ
ト7に取り込まれ、これらをもとに空気供給装置を制御
するようにした。また電気触媒の温度、出口ガス温度及
び触媒入口の空燃比を計測しその信号により、エンジン
起動開始から三元触媒が活性化されるまで理論空燃比よ
り燃料過剰の状態でエンジンを操作し排ガス中のCO濃
度を3%以上に保つ運転を行う。三元触媒が活性化温度
に昇温した後には、空気供給装置は停止され、酸素セン
サの信号によりエンジンの空燃比を制御する。バッテリ
13への充電は、定常走行中に発電機14により発電さ
れた電気で行われる。
【0043】図4の排ガス浄化装置を設置したガソリン
車を用い、シャシダイナモメータでLA−4モード運転
をおこないトータルHC,CO及びNOx排出量を測定
した。用いたガソリン車のエンジンは2000cc、直列
4気筒DOHCである。電気触媒は三元触媒上流に設置
されている。触媒の容量は電気触媒0.4リットル、三
元触媒1.3リットルである。電気触媒への通電は1kW
でLA−4モードスタート時から40秒間におこなっ
た。エンジンマニホールドへエアポンプで二次空気をL
A−4モードスタート時から110リットル/min で2
分間注入した。表4にその結果を示す。表4において、
LA−4モード運転におけるHC,CO,NOxの総排
出量をEmission(g/mi)で、A−Bag (LA−4モー
ドスタートから505秒間)の総排出量をA−Bag (g
/p)で示した。 g/mi → g/mile g/p → g/phase
【0044】比較例6 図8に、三元触媒を用いた排ガス浄化装置を示す。図8
の排ガス浄化装置を設置したガソリン車を用い、シャシ
ダイナモメータでLA−4モード運転をおこない、トー
タルHC,CO及びNOxの排出量を測定した。用いた
ガソリン車は上記実施例14と同一である。三元触媒4
の設置位置は上記実施例14と同一である。表4に結果
を示す。
【表4】 表4から本発明の電気触媒を三元触媒上流に設置するこ
とによって、HC排出量を1/2に低減できることがわ
かる。
【0045】実施例15 図5は本発明の一実施例の排ガス浄化装置を示す図であ
る。エンジン1の排気通路2に排気浄化触媒としてNO
x分解触媒15を配置し、NOx分解触媒の下流に酸化
触媒3を取り付けた。NOx分解触媒としては、コージ
ェライト製モノリス担体にCu−ZSM5を20wt%ウ
オッシュコートしたものである。酸化触媒は、パラジウ
ムとセリウムを含有するCOと炭化水素に高い活性を示
す触媒であり、実施例1と同様の方法で製造した。NO
x分解触媒の下流で酸化触媒3の上流側には、制御弁6
を介して空気供給装置5を接続した。NOx分解触媒と
酸化触媒の出口に取付けた酸素センサ9、9′、酸化触
媒の出口に取付けた温度センサ8からの信号、及びエン
ジンの回転数から算出した排気流量が制御ユニット7に
取り込まれ、これらをもとに空気供給装置を制御するよ
うにした。
【0046】実施例16 図6は本発明の一実施例の排ガス浄化装置を示す図であ
る。エンジン1の排気通路2に排気浄化触媒として炭化
水素によりNOxを選択的に還元する触媒16を配置
し、炭化水素によりNOxを選択的に還元する触媒の下
流に電気触媒11を取り付けた。炭化水素によりNOx
を選択的に還元する触媒としては、コージェライト製モ
ノリス担体にγ−アルミナを20wt%ウオッシュコート
したものである。電気触媒は金属ハニカム基体にパラジ
ウムとセリウムを含有する触媒をウオッシュコートした
もので実施例12と同様に製造した。エンジン起動と同
時に送られる信号によってスイッチ12を介してバッテ
リ13より電気触媒に電流が流れ電気触媒は加熱され
る。電気触媒の温度が活性化温度まで昇温されると、制
御ユニットの信号によりバッテリからの通電は停止され
る。炭化水素によりNOxを選択的に還元する触媒16
の上流側には、制御弁6を介して空気供給装置5を接続
した。電気触媒の出口に取付けた温度センサ8と酸素セ
ンサ9′からの信号、及びエンジンの回転数から算出し
た排気流量が制御ユニット7に取り込まれ、これらをも
とに空気供給装置を制御するようにした。エンジンの運
転が定常状態に至った後は、触媒16の下流側の酸素セ
ンサ9及び電気触媒の下流側の酸素センサ9′の信号に
より空気供給装置を制御するようにした。バッテリ13
への充電は、定常走行中に発電機14により発電された
電気で行われる。
【0047】実施例17 図7は本発明の一実施例の産業排ガス浄化システムを示
す図である。プロパン、プロピレン、CO、酢酸等を主
成分とする副生ガスを発生する化学工業の反応塔21の
排気側に設置されたブロア24によって排ガスは熱交換
器25に導入される。排ガスは、触媒燃焼炉22出口か
ら熱交換器25に導入される燃焼排ガスによって触媒の
活性化温度まで加熱され、触媒燃焼炉22に導入され
る。触媒燃焼炉22には、パラジウムとセリウムを含有
した触媒をコージェライト製モノリス担体にウオッシュ
コートしたもので実施例1と同様の方法で製造された触
媒が充填されている。空気供給装置23によって排ガス
に燃焼用空気が混合され触媒燃焼炉で排ガスの燃焼が進
行する。燃焼排ガスは熱交換器で触媒燃焼炉に導入され
る排ガスを加熱し、その後廃熱回収ボイラ26に導入さ
れさらに余剰の熱を回収した後、排気通路27から大気
中へ放出される。
【0048】実施例18 図9は本発明の一実施例の排ガス浄化装置を示す図であ
る。エンジン1の排気通路2に排気浄化触媒として通常
自動車に用いられる三元触媒4と電気触媒11を一体化
したコンバータを取り付けた。電気触媒は金属ハニカム
基体にパラジウムとセリウムを含有する触媒をウオッシ
ュコートしたもので実施例12と同様に製造した。一体
化したコンバータの電気触媒側をエンジン出口側へ設置
した。エンジン起動と同時に送られる信号によってスイ
ッチ12を介してバッテリ13より電気触媒に電流が流
れ電気触媒は加熱される。電気触媒の温度が活性化温度
まで昇温されると、制御ユニットの信号によりバッテリ
からの通電は停止される。電気触媒の上流側には、制御
弁6を介して空気供給装置5を接続した。三元触媒入口
側に取付けた温度センサ8と三元触媒出口側に取付けた
酸素センサ9からの信号、及びエンジンの回転数から算
出した排気流量が制御ユニット7に取り込まれ、これら
をもとに空気供給装置を制御するようにした。また電気
触媒の温度、出口ガス温度及び触媒入口の空燃比を計測
しその信号により、エンジン起動開始から三元触媒が活
性化されるまで理論空燃比より燃料過剰の状態でエンジ
ンを操作し排ガス中のCO濃度を3%以上に保つ運転を
行う。三元触媒が活性化温度に昇温した後には、空気供
給装置は停止され、酸素センサの信号によりエンジンの
空燃比を制御する。バッテリ13への充電は、定常走行
中に発電機14により発電された電気で行われる。
【0049】
【発明の効果】以上の本発明の触媒及び方法によれば、
高濃度のCOと炭化水素及びこれらを酸化するのに必要
な当量以上の酸素を含有する排ガスの燃焼、浄化、特に
自動車エンジン起動直後に排出される燃料の未燃分及び
部分燃焼生成物の浄化に当り、パラジウムにセリウムを
添加することでパラジウムのCO及び炭化水素燃焼活性
を高めた触媒で、エンジン起動直後のCOを低温で着火
しCOと炭化水素を低温で速やかに燃焼することがで
き、かつその燃焼熱で三元触媒を急速に加熱することが
できるため、自動車エンジン起動直後に排出されるCO
と炭化水素を効果的に浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】触媒のCeO2 担持量とCO着火温度の関係を
示すグラフ。
【図2】触媒のCeO2 担持量とCO着火温度の関係を
示すグラフ。
【図3】本発明の触媒を用いた排ガス浄化システムの一
例を示す構成図。
【図4】本発明の触媒を用いた排ガス浄化システムの一
例を示す構成図。
【図5】本発明の触媒を用いた排ガス浄化システムの一
例を示す構成図。
【図6】本発明の触媒を用いた排ガス浄化システムの一
例を示す構成図。
【図7】本発明の触媒を用いた排ガス浄化システムの一
例を示す構成図。
【図8】従来の触媒を用いた排ガス浄化システムの構成
図。
【図9】本発明の触媒を用いた排ガス浄化システムの一
例を示す構成図。
【図10】通電端子を備えた金属ハニカムの斜視図。
【符号の説明】
1…エンジン、2…排気通路、3…酸化触媒、4…三元
触媒、5…空気供給装置、6…制御弁、7,10…制御
ユニット、8…温度センサ、9,9′…酸素センサ、1
1…電気触媒、12…スイッチ、13…バッテリ、14
…発電機、15…NOx分解触媒、16…炭化水素によ
ってNOxを選択的に還元する触媒、21…反応塔、2
2…触媒燃焼炉、23…空気供給装置、24…ブロア、
25…熱交換器、26…廃熱回収ボイラ、27…排気通
路、29…金属ハニカム、30…通電端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 寿生 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 本地 章夫 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 小川 敏雄 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 宮寺 博 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 阿田子 武士 茨城県勝田市大字高場2520番地 株式会社 日立製作所自動車機器事業部内 (72)発明者 浜田 幾久 広島県呉市宝町3番36号 バブコック日立 株式会社呉研究所内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 担体に活性成分が担持され、該活性成分
    としてパラジウム(Pd)を触媒全体容量に対し0.5
    〜10g/lと、セリウムを酸化セリウム(CeO2
    に換算して触媒全体容量に対し10〜150g/lとを
    含み、高濃度のCOと炭化水素を含むガスを低温で酸化
    することを特徴とする排ガス浄化触媒。
  2. 【請求項2】 担体が、ランタンアルミネート(LaA
    lO3 ),ランタン・β・アルミナ(La2 3 ・11
    〜14Al2 3 )、ランタン・β・アルミナ前駆体か
    ら選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1記
    載の排ガス浄化触媒。
  3. 【請求項3】 活性成分のパラジウムとセリウムが、触
    媒の同一被覆層内に担持されていることを特徴とする請
    求項1記載の排ガス浄化触媒。
  4. 【請求項4】 担体は、ランタンとアルミニウムのモル
    比がLa/Al=1/99から10/90の範囲にある
    多孔質担体であることを特徴とする請求項2記載の排ガ
    ス浄化触媒。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項記載の排ガ
    ス浄化触媒において、該触媒がセラミックス又は金属よ
    りなりハニカム形状、板状形状又は金網形状を有する基
    材に保持されていることを特徴とする排ガス浄化触媒。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項記載の排ガ
    ス浄化触媒において、該触媒が導電性材料よりなるハニ
    カム形状、板状形状又は金網形状を有する基材に保持さ
    れ、その基材に通電端子を有することを特徴とする排ガ
    ス浄化触媒。
  7. 【請求項7】 触媒は、通電時の電気抵抗が0.005
    〜0.50Ωであることを特徴とする請求項6記載の排
    ガス浄化触媒。
  8. 【請求項8】 触媒は、通電時に触媒の下流よりも上流
    側を急速に昇温し、触媒の上流側から下流にかけて温度
    勾配をつけた構造とすることを特徴とする請求項6記載
    の排ガス浄化触媒。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項記載の排ガ
    ス浄化触媒と、高濃度のCOと炭化水素及びこれらを酸
    化するために必要な当量以上の酸素を含むガスとを、1
    00〜200℃で接触させ燃焼を開始させることを特徴
    とする排ガス浄化方法。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の排ガス浄化方法におい
    て、理論空燃比より燃料過剰の状態でエンジンを操作し
    て燃焼排ガス中のCO濃度を3%以上に保ち、触媒の前
    で排ガスに空気を添加し排ガス中の酸素濃度をCOと炭
    化水素の理論酸素消費量と当量以上にすることを特徴と
    する排ガス浄化方法。
  11. 【請求項11】 請求項9記載の排ガス浄化方法におい
    て、触媒の加熱は、触媒に通電し、触媒温度を100〜
    400℃好ましくは100〜200℃に昇温することを
    特徴とする排ガス浄化方法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜8のいずれか1項記載の排
    ガス浄化触媒と、CO濃度を3%以上に調整した炭化水
    素を含む自動車排ガスとを、100〜200℃の温度で
    接触させ燃焼を開始させることを特徴とする自動車排ガ
    ス浄化方法。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の浄化方法において、
    前記触媒上でのCOと炭化水素の燃焼熱で、後流の三元
    触媒を加熱、活性化することを特徴とする自動車排ガス
    浄化方法。
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Cited By (12)

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JPH05293388A (ja) * 1992-04-17 1993-11-09 Babcock Hitachi Kk 排ガス浄化用金属ハニカム触媒担体の製法
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