JPH0528343Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は燃料噴射量を規制するブーストコンペ
ンセータを備えた共鳴過給装置付デイーゼル機関
の改良に関する。

（従来の技術） 過給装置により機関に供給する吸気を過給する
デイーゼル機関においては、吸気通路のブースト
圧力に応じて過給時の燃料噴射量を増大させるよ
うにブーストコンペンセータを備えている（実願
昭59−105775号等参照）。

吸気の過給により機関燃焼室に供給可能な燃料
噴射量は増大し、機関の最高出力もこれに伴つて
増大させることができる。しかし、過給時の最大
出力に対応して燃料の噴射量特性を設定すると、
過給が十分に行なわれていない運転状態では燃料
の噴射量が相対的に増加し、排気中のスモーク発
生量が増える等の問題を生じる。

そこで、過給圧力に相当する吸気通路のブース
ト圧力を検出しながら、ブースト圧力の増加に対
応して燃料最大噴射量を制御するために、ブース
トコンペンセータを備えるようにしている。

ところで、過給効率を高めるために、多気筒機
関にあつては、吸気行程の連続する気筒の吸気通
路を互いに分離し、これらを２つの分割マニホー
ルドにそれぞれ合流し、この分割マニホールドの
有効長を過給を必要とする回転領域で吸気脈動と
共鳴するように設定することにより、共鳴効果を
利用して吸気を過給する共鳴過給装置がある。

（考案が解決しようとする問題点） ところが従来はこのような共鳴過給装置付のデ
イーゼル機関においては、ブーストコンペンセー
タに導入するブースト圧力を、いずれか一方の分
割マニホールドから取出すようにしていたため、
機関の加速時など所定の回転領域で吸気脈動が共
鳴すると、この共鳴によりブースト圧力の振幅が
大きくなり、ブーストコンペンセータの規制する
燃料最大噴射量も脈動的に変化する。このため、
加速時の出力特性が脈動的に変動し、加速の段付
現象等を発生する等の問題があつた。

本考案はこのような問題を解決し、スムーズな
加速特性が得られるようにすることを目的とす
る。

（問題点を解決するための手段） そこで本考案は、吸気行程が連続する気筒の吸
気通路を分離して２つの分割マニホールドを形成
し、該分割マニホールドの有効長を所定の機関回
転数領域での吸気脈動に共鳴するように設定した
共鳴過給装置付デイーゼル機関において、前記２
つの分割マニホールドからそれぞれ圧力検出通路
を取出し、これら両検出通路の合成圧力を燃料噴
射量を規制するブーストコンペンセータに導くよ
うにした。

（作用） このようにして両分割マニホールドからの合成
ブースト圧力をブーストコンペンセータに導びく
ので、共鳴領域でも相互の圧力脈動を干渉させ、
圧力振幅を減衰することができ、ブーストコンペ
ンセータによる燃料の最大噴射量が脈動的に変化
するのを防止し、機関の加速特性の悪化等を回避
することができる。

（実施例） 以下本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図において、１は６気筒の機関本体、２Ａ
と２Ｂは互に吸気行程が連続する気筒の吸気通路
を分離し、換言すると吸気行程の連続しない気筒
のみを互いに連通する分割マニホールドで、その
有効長は過給を必要とする機関回転領域での吸気
脈動と共鳴するように設定される。分割マニホー
ルド２Ａ，２Ｂの上流の合流通路３はターボチヤ
ージヤ４に接続する。ターボチヤージヤ４は排気
マニホールド５からの排気ガスのエネルギにより
回転し、機関本体１に供給される吸気を過給す
る。

６は機関本体１に供給する燃料の噴射ポンプ
で、アクセルペダルに連動して燃料噴射量が増減
される。８はこの燃料噴射量の最大値を規制する
ブーストコンペンセータで、このブーストコンペ
ンセータ８の圧力室９には、前記分割マニホール
ド２Ａ，２Ｂから分岐した圧力検出通路１０Ａ，
１０Ｂにより取出されたブースト圧力の合成圧力
が、合流圧力通路１１を介して導かれる。ブース
トコンペンセータ８は圧力室９の圧力に応動する
ダイヤフラム１２を介して、ブースト圧力が上昇
するほど燃料の最大噴射量が大きくなるように制
御する。

以上のように構成され、次ぎに作用について説
明する。

機関本体１に供給される吸気量はターボチヤー
ジヤ４の回転上昇に応じて増加するが、ターボチ
ヤージヤ４からの過給圧力が十分に上昇しないう
ちでも、吸気脈動と共鳴する回転領域での共鳴過
給により吸気量が増加する。この吸気量に応じて
ブースト圧力が上昇し、このブースト圧力を感知
してブーストコンペンセータ８が作動し、ブース
ト圧力の上昇に応じて燃料噴射ポンプ６の最大噴
射量を増大させる。ところで、吸気脈動と共鳴す
る回転領域でブースト圧力の圧力振幅も大きくな
るが、分割マニホールド２Ａと２Ｂとでは圧力脈
動の位相がずれており、圧力検出通路１０Ａ，１
０Ｂから取出した各ブースト圧力は、合流圧力通
路１１において相互に振幅を打ち消し合い、第２
図にも示すように、その合成圧力は脈動の減衰さ
れた振幅の小さなものとなる。このため、ブース
トコンペンセータ８の圧力室９のダイヤフラム１
２は、共鳴回転領域であつても、圧力脈動により
バタツクことがなく、燃料の最大噴射量はスムー
ズに変化していく。したがつて機関の加速時など
第３図のように、実線で示す機関の出力トルク
は、従来の点線で示す特性に比較して速やかに増
大し、加速時の段付現象を回避することができ
る。なお、無負荷時は共鳴領域でのブーストコン
ペンセータ８のバタツキを防止することにより排
気中のスモーク特性の悪化も防ぐことができる。

（考案の効果） 以上のように本考案は、それぞれの分割マニホ
ールドからの合成ブースト圧力をブーストコンペ
ンセータに導びくようにしたので、共鳴領域でも
圧力脈動が減衰され、ブーストコンペンセータに
よる最大噴射量の脈動的変動を防止して、機関出
力特性の円滑化が図れるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す構成図、第２図
は加速時のブーストコンペンセータに対する導入
圧力の特性を示す説明図、第３図は加速時の機関
出力特性を示す説明図である。 １……機関本体、２Ａ，２Ｂ……分割マニホー
ルド、４……ターボチヤージヤ、６……燃料噴射
ポンプ、８……ブーストコンペンセータ、９……
圧力室、１０Ａ，１０Ｂ……圧力検出通路、１１
……合流圧力通路、１２……ダイヤフラム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吸気行程が連続する気筒の吸気通路を分離して
   ２つの分割マニホールドを形成し、該分割マニホ
   ールドの有効長を所定の機関回転数領域での吸気
   脈動に共鳴するように設定した共鳴過給装置付デ
   イーゼル機関において、前記２つの分割マニホー
   ルドからそれぞれ圧力検出通路を取出し、これら
   両検出通路の合成圧力を燃料噴射量を規制するブ
   ーストコンペンセータに導くようにしたことを特
   徴とする共鳴過給装置付デイーゼル機関。