JPH05279288A - α−アルキルアクロレインの安定化法 - Google Patents

α−アルキルアクロレインの安定化法

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JPH05279288A
JPH05279288A JP8204392A JP8204392A JPH05279288A JP H05279288 A JPH05279288 A JP H05279288A JP 8204392 A JP8204392 A JP 8204392A JP 8204392 A JP8204392 A JP 8204392A JP H05279288 A JPH05279288 A JP H05279288A
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JP
Japan
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alkylacrolein
methacrolein
parts
alpha
acrolein
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Pending
Application number
JP8204392A
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English (en)
Inventor
Tatsuya Nakano
達也 中野
Reiko Chinzei
令子 鎮西
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 α−アルキルアクロレインの安定化方法を提
供する。 【構成】 α−アルキルアクロレインに対し、一般式
(II) R3−OH (II) (式中、R3は炭素数1〜5のアルキル基を示す。)で表
される低級アルコールを添加してα−アルキルアクロレ
インを安定化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般式(I)
【0002】
【化2】
【0003】(式中、R1は水素原子または炭素数1〜10
のアルキル基を示し、R2は水素原子またはR1と結合して
環状構造を形成する炭素数1〜5の炭素鎖を示す。)で
表わされるα−アルキルアクロレインの重合等による変
質に対する改善された安定化方法に関する。
【0004】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】前記一
般式(I)で表されるα−アルキルアクロレインは工業
的に有用な中間原料であり、特に、一般式(I)中のR1
及びR2が水素原子であるアクロレインや一般式(I)中
のR1がメチル基で、R2が水素原子であるメタクロレイン
は樹脂モノマー前駆物質として、すでに工業規模で製造
されている。一方、α−アルキルアクロレインの合成法
は多数提案されており、例えば、特開昭55−87737 号、
同57−150628号では、対応するアルデヒドとホルムアル
デヒドとをアミン触媒存在下で反応させる、いわゆるマ
ンニッヒ反応による合成法が、また、特開平1−180852
号では、対応する飽和アルデヒドの脱水素によるα−ア
ルキルアクロレインの合成法が提示されている。これら
の提示された合成法は、いずれも目的とするα−アルキ
ルアクロレインを比較的収率良く、しかも高選択的に与
えている。
【0005】しかし、生成したα−アルキルアクロレイ
ンは、非常に不安定であり、一般的な取り扱い条件下で
容易に重合等を起こし変質する。例えば、アクロレイン
は、室温程度以上では容易に熱重合を起こし、Diels-Al
der 型の高分子重合物を与える。その他、ラジカル重
合、アニオン重合等も極めて起こり易い。しかも、アク
ロレインの重合物は水および各種有機溶剤に不溶であ
り、強酸あるいは強塩基を用いても分解することが困難
である。こういった特徴は、重合度にもよるが各種のα
−アルキルアクロレインの重合物に総じて共通した特徴
である。さらに、α−アルキルアクロレインの重合物
は、非常に高強度を有し、且つ悪臭を放つものが多いた
め、物理的な除去も難しい。こういったことから、従来
のα−アルキルアクロレイン製造プラントでは、α−ア
ルキルアクロレインの重合による配管類および塔槽等の
閉塞が最も重要かつ頻度高く起こるトラブルであった。
【0006】これに対し、有効なα−アルキルアクロレ
インの重合等の変質防止方法は皆無であり、唯一、ラジ
カル捕捉剤であるハイドロキノンまたはメトキノンの添
加が重合防止に有効であることが知られているのみであ
る。しかし、通常、添加するハイドロキノンやメトキノ
ンは、アクロレインおよびメタクロレインの場合では少
なくとも1000 ppm以上が必要であり、また、添加後冷蔵
庫中5℃以下でさえも一週間以上安定に保存できない。
この様に、α−アルキルアクロレインの安定な長期の保
存が極めて困難であることから、α−アルキルアクロレ
インを消費するプラントでは、α−アルキルアクロレイ
ンが製造されてからより速やかに利用することや、ま
た、α−アルキルアクロレインの製造プラントでは、頻
繁に塔槽および配管内の高圧蒸気洗浄をすることで、品
質保持および閉塞防止に努めているのが現状である。よ
って、α−アルキルアクロレインの重合等の変質に対す
る有効な防止技術の開発が強く望まれている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成させた。すな
わち、本発明は、一般式(I)
【0008】
【化3】
【0009】(式中、R1は水素原子または炭素数1〜10
のアルキル基を示し、R2は水素原子またはR1と結合して
環状構造を形成する炭素数1〜5の炭素鎖を示す。)で
表わされるα−アルキルアクロレイン(以下、α−アル
キルアクロレイン(I)と略記する)に、安定化剤とし
て一般式(II) R3−OH (II) (式中、R3は炭素数1〜5のアルキル基を示す。)で表
される低級アルコール(以下、低級アルコール(II)と
略記する)を添加することを特徴とするα−アルキルア
クロレインの安定化法を提供するものである。
【0010】本発明において使用されるα−アルキルア
クロレイン(I)の一般式(I)中の置換基R1は水素原
子または1〜10の炭素数を有するアルキル基を示してい
る。このアルキル基は直鎖または分岐鎖あるいは環状構
造であっても良く、また一部分が芳香族で置換されてい
るものであっも良い。また、R2は水素原子またはR1と結
合して環状構造を形成する炭素数1〜5の炭素鎖を示し
ている。本発明に用いられるα−アルキルアクロレイン
(I)の一部を例示すると、アクロレイン、メタクロレ
イン、2−エチルアクロレイン、2−プロピルアクロレ
イン、2−イソプロピルアクロレイン、2−ブチルアク
ロレイン、2−イソブチルアクロレイン、2−ペンチル
アクロレイン、2−メチリデンシクロペンタノン、2−
メチリデンシクロヘキサノン等が挙げられる。この内本
発明によると特に、アクロレイン、メタクロレイン、2
−エチルアクロレインの安定化に対し有効である。
【0011】一方、本発明で用いられる低級アルコール
(II)の一般式(II)中の置換基R3は炭素数1〜5のア
ルキル基を示している。このアルキル基は直鎖あるいは
分岐鎖であっても良い。本発明に用いられる低級アルコ
ール(II)の一部を例示すると、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノー
ル、2−ブタノール、 sec−ブタノール、tert−ブタノ
ール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペン
タノール、ネオペンタノール等が挙げられる。この内、
本発明によると、特に、メタノール、エタノール、プロ
パノールが有効である。
【0012】また、本発明では、従来のいかなる製造方
法によって製造されたα−アルキルアクロレイン(I)
の安定化に対しても効果があり、混入不純物として水、
低級ケトン、低級アルデヒド、低級カルボン酸、低級カ
ルボン酸エステルを含んでいても何等障害は無い。さら
に、安定化剤として添加する低級アルコール(II)は、
反応に支障が無い限りはその反応段階から各種原料と共
に添加しても有効に作用し、蒸留、抽出などの精製段階
から添加しても安定化作用を示す。
【0013】また、本発明において、用いられる低級ア
ルコール(II)は、α−アルキルアクロレイン(I)に
対して、好ましくは1000ppm 以上の添加濃度で有効な重
合抑制効果を示し、また、60℃以下の温度条件であれば
熱二量化以上の重合は起こらない。
【0014】一方、本発明の大きな利点は、既存の手段
では解決しにくかった40℃から80℃の比較的高温度領域
でのα−アルキルアクロレインの安定化に優れている点
であり、このことから従来の知見の中で特にα−アルキ
ルアクロレインの低温度領域での重合抑制剤として頻度
高く使用されているハイドロキノンあるいはメトキノン
等と、本発明によって提示した低級アルコール(II)と
を併用することによって、さらに良好な安定化効果が認
められる。
【0015】
【実施例】以下に実施例を挙げてより具体的に本発明を
説明するが、本発明はその主旨を越えないかぎり本実施
例により規制されるものではない。尚、例中の部は重量
基準である。
【0016】実施例1 メタクロレイン 100部に対してメタノール2部を添加
し、20℃で48時間放置した。放置後、メタクロレインを
99.5部(理論値の99.5%)回収した。
【0017】実施例2 メタクロレイン 100部に対してメタノール2部を添加
し、40℃で48時間放置した。放置後、メタクロレインの
重合物である2−メチル−2−ホルミル−5,6 −デヒド
ロピラン 1.1部と共にメタクロレイン98.7部(理論値の
98.7%)を回収した。
【0018】実施例3 メタクロレイン 100部に対してメタノール2部を添加
し、60℃で48時間放置した。放置後、メタクロレインの
重合物である2−メチル−2−ホルミル−5,6 −デヒド
ロピラン 5.9部と共にメタクロレイン93.9部(理論値の
93.9%)を回収した。
【0019】実施例4 メタクロレイン 100部に対してメタノール2部を添加
し、20℃で 480時間放置した。放置後、メタクロレイン
を98.1部(理論値の98.1%)回収した。
【0020】実施例5 メタクロレイン 100部に対してメタノール2部とハイド
ロキノン0.05部を添加し、20℃で 480時間放置した。放
置後、メタクロレインを99.4部(理論値の99.4%)回収
した。
【0021】実施例6 メタクロレイン 100部に対してエタノール2部を添加
し、40℃で48時間放置した。放置後、メタクロレインの
重合物である2−メチル−2−ホルミル−5,6 −デヒド
ロピラン 1.5部と共にメタクロレイン98.3部(理論値の
98.3%)を回収した。
【0022】実施例7 メタクロレイン 100部に対してプロパノール2部とハイ
ドロキノン0.05部を添加し、60℃で480 時間放置した。
放置後、メタクロレインの重合物である2−メチル−2
−ホルミル−5,6 −デヒドロピラン 5.1部と共にメタク
ロレイン94.8部(理論値の94.8%)を回収した。
【0023】実施例8 アクロレイン 100部に対してメタノール2部とハイドロ
キノン0.05部を添加し、20℃で48時間放置した。放置
後、アクロレインを97.1部(理論値の97.1%)回収し
た。
【0024】実施例9 2−エチルアクロレイン 100部に対してエタノール2部
を添加し、20℃で48時間放置した。放置後、2−エチル
アクロレインを99.5部(理論値の99.5%)回収した。
【0025】比較例1 メタクロレイン 100部を20℃で48時間放置した。放置
後、メタクロレインを70.6部(理論値の70.6%)回収し
た。しかし、メタクロレインの高重合体が生成し、メタ
クロレイン溶液は白濁した。
【0026】比較例2 メタクロレイン 100部を40℃で48時間放置した。放置
後、メタクロレインを58.2部(理論値の58.2%)回収し
た。しかし、メタクロレインの高重合体が生成し、メタ
クロレイン溶液は白濁した。
【0027】比較例3 メタクロレイン 100部を60℃で放置した。6時間放置
後、メタクロレインは高重合化し、完全に固化した。
【0028】比較例4 メタクロレイン 100部に対してハイドロキノン0.05部(5
00ppm)を添加し、60℃で48時間放置した。放置後、メタ
クロレインの重合物である2−メチル−2−ホルミル−
5,6 −デヒドロピラン 6.1部と共にメタクロレイン75.1
部(理論値の75.1%)を回収した。しかし、メタクロレ
インの高重合体が生成し、メタクロレイン溶液は白濁し
た。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、低級アルコール(II)
をα−アルキルアクロレイン(I)に添加することによ
って、従来困難であったα−アルキルアクロレイン
(I)の安定化が達成された。しかも、通常の合成法で
は混入することが予想される水や低級カルボニル化合物
が共存している系でも同様な安定化効果が認められ、さ
らに、激しい変質が起こる40℃以上の厳しい条件下でも
有効に作用することを見い出し、α−アルキルアクロレ
インの安定化に対し極めて有用な技術を提供するもので
ある。また、低級アルコール(II)は安価で経済性も良
く、低沸点で変質劣化しにくいので操作性も良いため、
汎用性のあるα−アルキルアクロレインの安定化剤とし
て期待できる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基
    を示し、R2は水素原子またはR1と結合して環状構造を形
    成する炭素数1〜5の炭素鎖を示す。)で表わされるα
    −アルキルアクロレインに、安定化剤として一般式(I
    I) R3−OH (II) (式中、R3は炭素数1〜5のアルキル基を示す。)で表
    される低級アルコールを添加することを特徴とするα−
    アルキルアクロレインの安定化法。
JP8204392A 1992-04-03 1992-04-03 α−アルキルアクロレインの安定化法 Pending JPH05279288A (ja)

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