JPH05278B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 この発明は自転車変速機の駆動装置に関し、特
に変速機駆動部内に収納された電動機を電池電源
によつて駆動し変速軸を軸方向に移動することに
よつて変速操作を行わせるようにした自転車変速
機の駆動装置に関する。

(ロ) 従来技術 第１図および第２図は従来の内装式変速装置１
Ａを示したもので、ハブ２Ａ内に装着されている
変速軸３Ａの先端部にはチエーン４Ａが連結さ
れ、該チエーン４Ａは中空管５Ａの端部で上向き
に略直角に方向変換されてアジヤスト部６Ａでワ
イヤー７Ａに接続されたのち図示しない手元レバ
ーに連結されていた。そして変速軸３Ａの変速操
作は手元レバーを手動で操作することにより行わ
れていた。

しかし、このような構成では、手元レバーと変
速軸３Ａを連結するワイヤー７Ａの長さが長く、
その延びによつて変速軸３Ａの移動量が変化する
だけでなく、ワイヤー７Ａ等に摩擦損失を起して
トラブルを発生する不都合があつた。また、チエ
ーン４Ａによつて変速軸３Ａに加えられる力は、
変速軸３Ａの移動方向と完全に一致せず、変速軸
３Ａに曲げモーメントを作用して変形や破損を起
すだけてなくエネルギー損失をも伴う。その上、
手元レバーと変速軸３Ａとの間に減速手段が設け
られていないため、ハブ２Ａ内での減速比が大き
くなつて内装式変速装置１Ａの構成が複雑になる
とともに、ワイヤー７Ａが必要不可欠であるた
め、内装式変速装置１Ａの取付けも簡単に行うこ
とができない不都合があつた。

(ハ) 発明の目的 この発明は、これらの事情に鑑みてなされたも
のであり、その主要な目的の一つは、内装式変速
装置の変速操作をワイヤーを用いずに変速機駆動
部内に収納した電動機を電池電源を用いて行うこ
とにより、上記各不都合を解消することができる
自転車変速機の駆動装置を提供することにある。

(ニ) 発明の構成 この発明は、ハブ内に遊星歯車等よりなる変速
機構とクラツチを有している自転車用内装変速装
置において、ハブ内より軸方向に突出しその軸方
向への押引操作によりハブ内の変速操作を行う変
速軸と、変速機駆動部内に収納され手元スイツチ
により電池電源で駆動される電動機と、この電動
機の回転を変速軸の軸方向への直線移動に変換す
る方向変換手段とを備え、この方向変換手段は、
電動機によつて回転駆動される送りネジ軸と、こ
の送りネジ軸のネジ部に係合し、かつ変速軸に固
着され、送りネジ軸の回転により送りネジ軸と軸
同軸又は送りネジ軸と略平行に移動して変速軸を
変速軸の軸方向に押引操作する係合部材とを備え
ている自転車変速機の駆動装置である。

(ホ) 実施例 以下、第３図ないし第９図に示す実施例に基づ
いてこの発明を詳述する。なお、これによつてこ
の発明が限定されるものではない。

第３図ないし第５図に示す第１実施例におい
て、自転車変速機の駆動装置１は、後輪２のキヤ
リヤ３，３に保持される変速機駆動部４と、ハン
ドル５の握り部６の近傍に設けられる手元スイツ
チ７、および変速機駆動部４と手元スイツチ７と
を結合する接続コード８とから主として構成され
ている。

変速機駆動部４は、内部に手元スイツチ７の操
作によつて電池電源で駆動される電動機（共に図
示せず）を収納しており、この電動機の回転は、
平歯車９によつて減速されたのちこれと共軸の送
りネジ軸としてのウオーム１０に伝えられる。こ
のウオーム１０には、変速機駆動部４のフレーム
１１に枢着された支軸１２に中間部を取付けられ
て、一端に設けられた長穴１３で変速軸１４のオ
ネジ部１５と係合し、ナツト１６によつてオネジ
部１５と固定される折り係合部材としての折り曲
げレバー１７の他端に形成された長方形の開口ギ
ヤー１８が噛合つている。開口ギヤー１８の短辺
部はウオーム１０の谷径より大きく山径より小さ
く形成され、折り曲げレバー１７は、通常弾性部
材により作られる。

このように構成すると、ウオーム１０の正逆方
向の回転により、これと噛合う開口ギヤー１８は
左右方向に往復動されるが、折り曲げレバー１７
は回動自在に保持された支軸１２に固定されてい
るため、折り曲げレバー１７の実際の運動は、矢
印Ａで示す如く円弧運動となる。このとき、折り
曲げレバー１７の他端の長穴１３と係合しナツト
１６で固定されている変速軸１４は、ウオーム１
０の正逆方向の回転により矢印Ｂで示す如く左右
方向に移動され、内部に遊星歯車機構とクラツチ
（共に図示せず）とを有する従来公知の内装式変
速機の減速比の変更を行う。

変速機の駆動装置１をこの実施例のように構成
したとき、次のような効果が得られる。

(a) 変速軸１４の軸方向の移動にチエーン４Ａと
ワイヤー７Ａを用いていないため、ワイヤー７
Ａ等の延びによる移動量の変化がなく変速機駆
動部４の取付けが容易となる。

(b) 折り曲げレバー１７によつて電動機の回転を
変速軸１４の軸方向の直線運動に変換可能とな
るため、変速軸１４が変形されたり破損される
のを防止することができる。

(c) ウオーム１０と折り曲げレバー１７との間で
も減速されているため、電動機からウオーム１
０までの減速比を小さくでき、変速機駆動部４
の構成をコンパクトにすることができる。

(d) 折り曲げレバー１７に弾力性を有するバネ板
を用いれば、変速軸１４がロツクされた場合
に、その移動量をバネ板により吸収させること
ができるため、電動機に異常負荷が使用せず、
電動機、平歯車９やウオーム１０の損傷を防止
することができる。

第６図ないし第９図はこの発明の他の実施例を
示したもので、前記実施例に比べて変速機駆動部
４の形状と構成が異なつている。

この場合、分割ケース１９，２０内に収納され
ている電動機２１に取付けられた平歯車２２から
変速軸１４に枢着されている平歯車２５までの伝
動は、歯車系列２３，２３ａ，２４，２４ａを介
して行われる。ここに平歯車２３と２３ａ，２４
と２４ａはそれぞれ共軸に取付けられ減速作用を
行う。２６は平歯車２５と共軸の平歯車２５ａと
噛合う平歯車であつて、その回転の位置を検出す
る機能を持たせて電動機２１の回転を検出し、電
動機２１の停止を自動的に行い、平歯車２５を定
位置に停止させる働きをする。

変速軸１４に枢着された平歯車２５のボス状部
の先端には平歯車２５と共に送りネジ軸として機
能するオネジ２７が設けられており、このオネジ
２７に係合部材としてのガイド部材２８のメネジ
２９が噛合うとともに、ガイド部材２８からの径
方向への突出片３０に設けた案内穴３１には、ガ
イドピン３２が挿通されている。変速軸１４とガ
イド部材２８とのアジヤストは、変速軸１４の先
端のオネジ部と螺合するナツト３３により行う
（又は一体に形成してもよい）。変速軸１４に挿通
され、分割ケース１９と係合しているフランジ体
３４は分割ケース１９の位置決めをするのに用い
られる。

変速機駆動部４を上記のように構成すると、電
動機２１が手元スイツチ７により駆動されると、
その回転数は歯車系列２２，２３，２３ａ，２
４，２４ａで減速されて平歯車２５に伝達され
る。平歯車２５のボス状部の先端にはオネジ２７
が設けられていて、これに螺合するガイド部材２
８はガイドピン３２を挿通されて回転できないた
め、電動機２１の駆動に伴なつてガイド部材２８
が左右方向に移動し、変速軸１４と螺合してガイ
ド部材２８側に付勢されているナツト３３を介し
て変速軸１４を同方向に移動させ、第８図から第
９図に示すように変位して内装式変速機の減速比
の変更を行う。

この実施例の場合に得られる効果は、前記実施
例でウオーム１０と折り曲げレバー１７との間で
得られいていた減速比が、平歯車２５とガイド部
材２８との間で得られることに変るほかは、ほぼ
同様である。

(ヘ) 発明の効果 この発明は、変速機駆動部の変速操作をワイヤ
ーを用いずに電動機の駆動によつて行ない、かつ
変速軸に至るまでの間に回転数の減速を行つたも
のであるから、駆動部本体がコンパクトになり、
自転車への取付けが容易になるだけでなく、ワイ
ヤーの延びによつて起つていた変速軸の移動量の
変化の防止することができる。また、変速軸に作
用する力を正しく軸方向に加えることができるた
め、変速軸を変形したり破損したりするおそれも
なくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は従来の変速機の要部斜視
図および要部断面図、第３図ないし第５図はこの
発明の第１実施例であつて、第３図は自転車に装
着したときの正面図、第４図は変速機駆動部の詳
細を示す斜視図、第５図は要部を断面で示した側
面図である。第６図ないし第９図はこの発明の第
２実施例であつて、第６図は自転車に装着したと
きの正面図、第７図は変速機駆動部の内部を示し
た正面図、第８図は同縦断面図、第９図は変速軸
の移動後の状態を示した縦断面図である。 １……自転車変速機の駆動装置、１Ａ……内装
式変速装置、２Ａ……ハブ、４……変速機駆動
部、７……手元スイツチ、１０……ウオーム、１
１……フレーム、１４……変速軸、２１……電動
機、２５……平歯車、２７……オネジ部、｛１３
……長穴、１６……ナツト、１７……折り曲げレ
バー、１８……開口ギヤー、２８……ガイド部
材、３０……突出片、３１……案内穴、３２……
ガイドピン｝方向変換手段。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ハブ内に遊星歯車等よりなる変速機構とクラ
   ツチを有している自転車用内装変速装置におい
   て、ハブ内より軸方向に突出しその軸方向への押
   引操作によりハブ内の変速操作を行う変速軸と、
   変速機駆動部内に収納され手元スイツチにより電
   池電源で駆動される電動機と、この電動機の回転
   を変速軸の軸方向への直線移動に変換する方向変
   換手段とを備え、この方向変換手段は、電動機に
   よつて回転駆動される送りネジ軸と、この送りネ
   ジ軸のネジ部に係合し、かつ変速軸に固着され、
   送りネジ軸の回転により送りネジ軸と略同軸に又
   は送りネジ軸と略平行に移動して変速軸を変速軸
   の軸方向に押引操作する係合部材とを備えている
   ことを特徴とする自転車変速機の駆動装置。 ２ 送りネジ軸は、電動機によつて駆動されるウ
   オームからなり、係合部材は、棒状でその中間部
   を回動自在に軸支され一端部に前記ウオームと係
   合する長方形の開口ギヤーが設けられるととも
   に、他端部が変速軸に固着された折り曲げレバー
   からなる特許請求の範囲第１項記載の自転車変速
   機の駆動装置。 ３ 送りネジ軸は、電動機によつて駆動され変速
   軸に枢着される平歯車と、この平歯車のボス部に
   形成されたオネジ部とからなり、係合部材はこの
   オネジ部に螺合し変速軸に固着されるとともに、
   フレームに固着されたガイドピンによつて軸方向
   のみに移動可能に保持されたガイド部材からなる
   特許請求の範囲第１項記載の自転車変速機の駆動
   装置。 ４ 折り曲げレバーを板状材にて成形するととも
   に、長方形の開口ギヤーの短辺部をウオームの谷
   径より大きく山径より小さくした特許請求の範囲
   第２項記載の自転車変速機の駆動装置。 ５ 折り曲げレバーを弾性材で形成した特許請求
   の範囲第４項記載の自転車変速機の駆動装置。