JPH05276992A - 直接型ビリルビン測定用試薬 - Google Patents

直接型ビリルビン測定用試薬

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JPH05276992A
JPH05276992A JP7958592A JP7958592A JPH05276992A JP H05276992 A JPH05276992 A JP H05276992A JP 7958592 A JP7958592 A JP 7958592A JP 7958592 A JP7958592 A JP 7958592A JP H05276992 A JPH05276992 A JP H05276992A
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和彦 永田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 直接型ビリルビンを間接型ビリルビンと正確
に分別して測定することができる直接型ビリルビン測定
用試薬を提供する。 【構成】 ビリルビンオキシダーゼを反応させてビリル
ビンの変化を光学的に測定する直接型ビリルビン測定用
試薬において、フッ素化合物または還元剤を共存させる
ことを特徴とする直接型ビリルビン測定用試薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生体液中の直接型ビリ
ルビンの測定用試薬に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ビリルビンはテトラピロール類に属する
黄色色素であって、ヘムの生理的代謝産物であり、胆汁
中にもっとも多く存在する。また、生体液中のビリルビ
ンは直接型ビリルビンと間接型ビリルビンとに大別され
る。
【0003】溶血性貧血、溶血性黄疸などの病態では間
接型ビリルビン量が増大し、閉塞性黄疸などの病態では
直接型ビリルビン量が増大することが知られており、こ
れらビリルビンの分別定量は臨床診断などにおいて重要
な位置を占めている。従来より臨床検査などで測定され
るビリルビンは総ビリルビンと直接型ビリルビンであ
り、直接型ビリルビンの正確な定量は臨床検査などにお
いては不可欠である。
【0004】直接型ビリルビンのみを定量しうるものと
しては、ジアゾ試薬を用いる方法、高速液体クロマトグ
ラフィーを利用する方法、ビリルビンオキシダーゼなど
の酸化酵素を利用する方法などが挙げられる。このうち
ジアゾ試薬を用いる方法については、使用するジアゾ化
反応促進剤の種類と、生成するアゾビリルビンの定量方
法の違いにより、種々のものが報告されている。例え
ば、代表的なものとしては、マロイおよびエヴェリン(M
alloy &Evelyn)による試薬[ジャーナル・オブ・バイオ
ロジカル・ケミストリー(Journalof Biological Chemis
try)、第119巻、第481頁(1937年)]などがあ
る。
【0005】高速液体クロマトグラフィーによって分画
定量する方法には、逆相HPLCカラムを使用して各種
ビリルビンをリン酸緩衝液およびイソプロパノールのグ
ラジエントによって溶出、分析するラウフ(Lauff)らの
方法[ジャーナル・オブ・クロマトグラフィー(Journal
of Chromatography)、第226巻、第391頁(198
1年)]などがある。
【0006】酸化酵素を利用する方法は、酸化酵素を作
用させることによってビリルビンを酸化し、ビリルビン
自体のもつ450nm付近の黄色を消失させ、反応前後の
吸光度変化量よりビリルビンを測定するものである。こ
の場合、反応条件を種々変えることにより、直接型ビリ
ルビンのみを特異的に酸化させることができる。この方
法において使用される試薬としては、例えばビリルビン
オキシダーゼを用いる試薬[クリニカル・ケミストリー
(Clinical Chemistry)、第20巻、第783頁(197
4年)]、ラッカーゼ、チロシナーゼ、アスコルビン酸オ
キシダーゼなどの酸化酵素を用いる試薬(特開昭59−
17999号公報)がある。更に、pH、緩衝液、界面活
性剤の選定によって、直接型または抱合型ビリルビンの
みにビリルビンオキシダーゼが働く条件を設定した直接
型もしくは抱合型ビリルビン測定用試薬も提出されてい
る。
【0007】ビリルビン測定用試薬としては、例えばp
H9〜11の範囲の緩衝液中でビリルビンオキシダーゼ
を作用させて抱合型ビリルビンを定量する試薬(特開昭
62−58999号公報)、陰イオン性界面活性剤を含
有するpH5〜6の酸性緩衝液中でビリルビンオキシダ
ーゼを作用させて直接型ビリルビンを定量する試薬(特
開昭60−152955号公報)、pH3.5〜4.5の緩
衝液中でビリルビンオキシダーゼを作用させて直接型ビ
リルビンを定量する試薬(特公昭61−44000号公
報)、pH2.0〜3.3のフェロシアン化カリウムまたは
フェリシアン化カリウムを含む緩衝液中でビリルビンオ
キシダーゼを作用させて直接型ビリルビンを定量する試
薬(特開昭64−5499号公報)等がある。
【0008】ジアゾ試薬を用いる方法は、ジアゾ化反応
の反応促進剤を含有するか否かによって総ビリルビンと
直接型ビリルビンを分別測定しているが、その分別性は
実際上不十分であるという問題点を有している。特にこ
の分別性の不十分さは、アルブミンを含まない検体ある
いはサリチル酸などの薬剤を含む検体について顕著であ
る。
【0009】高速液体クロマトグラフィーによって分画
定量する方法は、十分な分別性を有しているが、高価で
特殊な装置を使用すること、分析時間が長いこと、一度
に多数検体を処理できないことなどの問題点を有する。
【0010】酸化酵素を利用した試薬による測定法の大
きな問題点としては、ジアゾ試薬を用いる方法と同様
に、ビリルビンの分別性が十分でないために直接型ビリ
ルビンに対し反応が完全でない、あるいは、直接型ビリ
ルビンのみならず一部の間接型ビリルビンにも反応して
しまうという問題を有している。また、特公昭61−4
4000号公報および特開昭64−5499号公報にお
ける直接型ビリルビン測定用試薬のpH範囲はビリルビ
ンオキシダーゼにとって安定性、活性の両方の面で極め
て不利な条件であり、測定法としても不都合な状況を呈
している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、酸化酵
素を利用したビリルビン測定試薬におけるこれらの問題
を解消するために鋭意研究を重ねた結果、ビリルビンオ
キシダーゼによって直接型ビリルビンのみを特異的に酸
化する直接型ビリルビン測定用試薬においてフッ素化合
物または還元剤を共存させることにより、ビリルビン含
有試料中の間接型ビリルビンに反応することなく、直接
型ビリルビンを精度良く測定できることを見い出し、本
発明を完成するに至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ビ
リルビンオキシダーゼを反応させてビリルビンの変化を
光学的に測定する直接型ビリルビン測定用試薬におい
て、フッ素化合物または還元剤を共存させることを特徴
とする直接型ビリルビン測定用試薬を要旨とするもので
ある。
【0013】本発明の直接型ビリルビン測定用試薬は、
フッ素化合物および/または還元剤を含む緩衝液(第1
液)と、ビリルビンオキシダーゼ溶液(第2液)とからな
る2液系のものでもよく、また、これらを混合したもの
であってもよい。この試薬を用いて直接型ビリルビンの
測定を行う場合、例えば、人血清等の検体に前記第1液
と第2液を添加して反応させた後、ビリルビンの減少を
光学的に測定することにより可能となる。反応は通常の
条件下で行い、例えば、反応温度は25〜45℃、好ま
しくは35〜40℃、反応時間は1〜30分、好ましく
は3〜15分間である。
【0014】用いる緩衝液はpH6.5以下、望ましくは
使用する酵素の安定性、活性の面で有利となるpH4.7
〜6.5までの間に緩衝能を持つものであれば良く、例
えば、フタル酸−水酸化ナトリウム緩衝液、リンゴ酸−
水酸化ナトリウム緩衝液、クエン酸−クエン酸ナトリウ
ム緩衝液等が挙げられる。緩衝液の濃度は20〜500
mM、好ましくは30〜200mMである。
【0015】フッ素化合物としては、例えば、フッ化ナ
トリウム、フッ化カリウム等のフッ化物を使用すること
ができ、その濃度は0.1〜500mM、好ましくは0.
5〜100mMである。還元剤としては、例えば、N−
アセチルシステイン、ジチオスレイトール、チオ尿素等
のチオール化合物が使用でき、その濃度は0.1〜50
0mM、好ましくは0.2〜100mMである。フッ素化
合物および還元剤の濃度が前記範囲の下限未満である
と、直接型ビリルビンを酸化する際に間接型ビリルビン
までも酸化され、好ましくない。
【0016】ビリルビンオキシダーゼとしては、例え
ば、ミロセシウム属またはトラキデルマ属に属する菌株
から得られる酵素が挙げられ、その必要量は0.01〜
200単位/ml、好ましくは0.1〜20単位/mlであ
る。
【0017】その他の成分として、p−トルエンスルホ
ン酸、安息香酸等の芳香族カルボン酸、界面活性剤、ア
ラニン、セリン等のアミノ酸、マンニトール等の糖類、
ポリエチレングリコール等のポリオール類、NaCl等の
塩類、アルブミン等の蛋白質等を添加することができ
る。
【0018】本発明においては、前記成分を適宜選択し
て常法により混合することにより、直接型ビリルビン測
定用試薬を得ることができる。好ましい具体例におい
て、第1液は、pH4.7〜6.5に調製されたフタル酸
緩衝液10〜200mM、トリトンX−100 0.00
5〜0.5%、アラニン5〜100mM、p−トルエンス
ルホン酸1〜100mM、人血清アルブミン0.001〜
1%、フッ化ナトリウム0.05〜200mMおよびN−
アセチルシステイン0.02〜10mMを含み、第2液
は、ビリルビンオキシダーゼ0.05〜100単位/ml
およびpH4.7〜6.5に調製されたフタル酸緩衝液1
0〜200mMを含む。
【0019】かくして得られた本発明の試薬(2液系)を
用いて直接型ビリルビンを測定する具体的な方法を以下
に示す。まず、前記の直接型ビリルビン測定用第1液
(0.6ml)に各種ビリルビンを含む検体(血清等)を適量
加え、分光光度計のセル室内にて予備加温後、460nm
における吸光度を測定する。これに、前記の直接型ビリ
ルビン測定用第2液(0.15ml)を添加し、1〜10分
間反応させて直接型ビリルビンのみを酸化させた後、4
60nmにおける吸光度を測定し、この値と先に測定した
吸光度の液量補正値とから吸光度変化量(A)を求める。
次に、既知濃度の直接型ビリルビンを含む標準物質を同
様に測定し吸光度変化量(B)を求める。検体を作用させ
て求めた吸光度変化量および標準物質を作用させて求め
た吸光度変化量から、次式により検体中の直接型ビリル
ビン含量を求めることができる。検体中の直接型ビリル
ビン濃度(mg/dl)=A/B×標準物質中の直接型ビリル
ビン濃度(mg/dl)なお、検体量としては0.005〜0.
1mlが好ましい。測定波長は460nmに限定されるもの
ではなく、400〜480nmの任意の波長を選ぶことが
できる。また、第1液、第2液、検体の液量は適宜変化
させることができる。
【0020】
【実施例】次に実施例および比較例を挙げて本発明をさ
らに具体的に説明する。 実施例1〜3および比較例1 ビリルビン(第一化学薬品社製)、ジタウロビリルビン(J
BL SCINTIFIC INC.製)を100mMトリス−塩酸(pH8.
0)にて溶解し、各々の溶液を調製した。また、人血清
アルブミン(シグマ社製、A1653)を100mMトリ
ス−塩酸(pH7.0)に溶解し、5.5g/Lの溶液を調製
した。このビリルビン溶液、人血清アルブミン溶液を用
いて間接型ビリルビン試料(人血清アルブミンを含む0.
8mg/dLのビリルビン溶液)を調製し、測定サンプルと
した。次に、その組成が、フタル酸水素カリウム60m
M(pH5.0)、トリトンX−100 0.01%、人血清
アルブミン0.002%、p−トルエンスルホン酸40m
M、N−アセチルシステイン2.0mM、フッ化ナトリウ
ム2.0mM、アラニン40mMとなるように試薬1を調
製した。試薬1にトラキデルマ属菌株由来のビリルビン
オキシダーゼ5.0単位/mLを添加して試薬2を調製し
た。また、試薬1および試薬2からN−アセチルシステ
インを除いた試薬3および試薬4、試薬1および試薬2
からフッ化ナトリウムを除いた試薬5および試薬6、さ
らに試薬1および試薬2からN−アセチルシステインと
フッ化ナトリウムの両方を除いた試薬7および試薬8を
それぞれ調製した。試薬1(0.4mL)に間接型ビリルビ
ン試料0.02mLを加え、37℃で5分間加温後、試薬
2(0.1mL)を加えて37℃で5分間反応させた。この
際の450nmにおける吸光度の経時的変化を記録した。
なお、以上の操作は日立7050型自動分析装置で測定
した。結果を図1に示す(実施例1)。また、実施例1に
おける試薬1および試薬2の代わりに試薬3および試薬
4(実施例2)、試薬5および試薬6(実施例3)、試薬7
および試薬8(比較例1)を用いて450nmにおける吸光
度の経時変化を測定し、これらも実施例1と共に図1に
示した。この結果から、本発明の試薬によれば、間接型
ビリルビンはほとんど酸化されないことがわかった。
【0021】実施例4および5 実施例1と同様にして、ビリルビン溶液、ジタウロビリ
ルビン溶液および人血清アルブミン溶液を調製し、人血
清アルブミンを含み、更に、ビリルビン(間接型ビリル
ビン)をジタウロビリルビンと等量含むジタウロビリル
ビン試料を調製した。ジタウロビリルビン試料は5.5g
/Lの人血清アルブミン溶液を希釈して測定サンプルと
した。次に、前記実施例の試薬1、試薬2、および試薬
2のビリルビンオキシダーゼをミロセシウム属菌株由来
のビリルビンオキシダーゼ6.0単位/mLとした試薬9
を調製した。試薬1(0.4mL)にサンプル(0.02mL)
を加え、37℃で5分間加温し、450nmでサンプルブ
ランクを最終液量補正して測定した。その後、試薬2
(0.1mL)を加え、37℃で5分間反応させ、450nm
の吸光度を測定した(実施例4)。試薬2の代わりに試薬
9を用いて同様に測定した(実施例5)。試薬2または試
薬9を加えた後の吸光度とサンプルの希釈率との関係を
図2および図3に示した。両者の関係はほぼ原点を通る
直線となり、本発明が臨床検査等の手段として十分な測
定範囲を有することがわかった。
【0022】実施例6および比較例2 試薬1(0.6mL)およびビリルビン異常高値の人血清
(0.02mL)を加え、37℃で5分間加温した後、試薬
2(0.15mL)を添加し、37℃で5分間反応させた。
反応液中の抱合型ビリルビンおよび遊離ビリルビンの量
をラウフ(Lauff)らの方法[ジャーナル・オブ・クロマト
グラフィー(Journal of Chromatography)、第226
巻、第391頁(1981年)]に従ってHPLCで定量
した。ブランクとして、試薬2を添加する前の溶液も同
様にHPLCによって分析した(実施例6)。従来の方法
により、緩衝液(0.1Mクエン酸−リン酸緩衝液pH4.
0)および酵素溶液(0.1Mクエン酸−リン酸緩衝液pH
4.0にミロセシウム属由来のビリルビンオキシダーゼ
を2.5単位/mL添加した。)を調製した。次に、実施
例6と同様に直接型ビリルビンを測定し、HPLCによ
って分析した(比較例2)。最終液量補正したHPLCの
ピーク面積を表1に示した。表1からわかるように、従
来の方法では、直接型ビリルビンであるグルクロナイド
ビリルビンと間接型ビリルビンとの分別が不十分であ
り、反応後では間接型ビリルビンも約50%反応してい
た。さらに、直接型ビリルビンに対する反応性も不十分
であり、若干量の未反応グルクロナイドビリルビンが認
められた。一方、本発明の試薬を用いた方法では良好な
分別性および直接型ビリルビンへの反応性も十分である
ことがわかった。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、閉
塞性黄疸などの患者の生体液中において顕著に増大する
ことが知られている直接型ビリルビンを間接型ビリルビ
ンと正確に分別し測定することができ、臨床検査その他
において有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 間接型ビリルビンをサンプルとして用いた場
合の吸光度の経時変化を示すグラフである。
【図2】 ビリルビンオキシダーゼとしてトラキデルマ
属菌株由来の酵素を用いた本発明の試薬による吸光度と
サンプル希釈率の関係を示すグラフである。
【図3】 ビリルビンオキシダーゼとしてミロセシウム
属菌株由来の酵素を用いた本発明による試薬による吸光
度とサンプル希釈率の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永田 和彦 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 鈴木 裕史 千葉県八千代市大和田新田1144 株式会社 ヤトロン八千代工場内 (72)発明者 小島 正美 千葉県香取郡多古町水戸字水戸台1460−6 株式会社ヤトロン中央研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビリルビンオキシダーゼを反応させてビ
    リルビンの変化を光学的に測定する直接型ビリルビン測
    定用試薬において、フッ素化合物または還元剤を共存さ
    せることを特徴とする直接型ビリルビン測定用試薬。
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