JPH0527554B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本発明は、カラースライド、オーバーヘツドプ
ロジエクタ（以下OHPという）の投射資料とし
てのカラー画像を得る場合等に用いられる昇華転
写用透明被転写体に係わる。 〔発明の概要〕 本発明は、透明プラスチツク支持体上に染料染
着性を有する熱可塑性樹脂と、１分子中に不飽和
結合を２つ以上有する化合物とより成る透明染料
受容層を形成して、高染着濃度で安定な画像が得
られるようにする。 〔従来の技術〕 例えばOHPにおける投射資料を作成する方法
としては、静電記録式複写機による乾式方法があ
るが、これは鮮明な印画像が得にくく印画の解像
度が低く、また湿式法では印画濃度が低い。ま
た、熱溶融転写式記録法では印画の色の階調がと
りにくく写真調画像ができにくい。また、インク
ジエツト、インクペン等の記録法では、プラスチ
ツクシートでは一般にインクが乾燥しにくく、乾
燥性を上げた油性インクではノズルまたはペン先
の目づまりが起こり易いと共に、写真調画像は望
めない。また、物理的または化学的に半永久的な
影像をつくる写真技術によると、作業が煩わしく
時間もかかるうえに製造費が嵩む。また、細かい
銀の析出で画面が暗く光の透過量が少なく、
OHPの資料としては不適当である。 そこで、昇華性染料を担つた感熱転写担体の裏
側から加熱ヘツドで加熱して、所定部分の昇華性
染料を透明支持体上に転写して直接画像を得るも
のが開発された。 ところが、このように昇華染料の転写で直接画
像を得る方法による場合は、次のような問題が生
じている。 すなわち、透明支持体を耐熱性のないプラスチ
ツクシートで形成した場合には染料転写時の加熱
ヘツドによる熱で変形が生じる。そして、この変
形をなくすために耐熱樹脂の処理を行つたり、透
明支持体自体をヘツドの温度に耐える材料によつ
て構成するものの提案もなされているが、昇華染
料の吸着が著しく低下している。 本出願人は、先に特願昭59−77299号出願をも
つて耐熱処理層を形成し、これに対する昇華転写
を簡単に鮮明に行つて写真調画像を形成できるよ
うにした昇華転写用透明被転写体を提供した。 〔発明を解決しようとする問題点〕 本発明は、昇華染料の転写によつて画像を得る
昇華転写用透明被転写体において、上述したよう
に透明支持体上に耐熱性染料受容層を形成し、特
に低エネルギーで高い染料吸着率をもつて画像形
成を行うことができ、更に画像の安定性を向上さ
せ、他への転写汚染を確実に防止できるようにす
るものである。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明においては、透明プラスチツク支持体の
一方の面または両面に、染料染着性を有する熱可
塑性樹脂が20〜98重量部と、１分子中に不飽和結
合を２つ以上有する化合物が80〜２重量部とより
成る染料の透明受容層を例えば２〜50μmの厚さ
に形成して昇華性転写用透明被転写体を構成す
る。 この被転写体に対する画像の形成は、その受容
層に、染色リボンを重ね合せ、この染色リボンの
背面から加熱ヘツドを当接させて画像パターンに
応じた熱パターンをもつて加熱することによつて
染色リボンの染料を被転写体の受容層に昇華転写
させることによつて行う。 上述の本発明による被転写体の受容層中の染着
性を有する熱可塑性樹脂、すなわち染色リボン中
の染料に対して染着性を有する熱可塑性樹脂とし
ては、飽和線状ポリエステル系樹脂、エポキシ系
樹脂、酢酸セルロース系樹脂、ナイロン系樹脂な
どがある。 又、１分子中に２個以上の不飽和基を有する化
合物としては例えばジアリルフタレート、トリメ
チロールプロパントリ（メタ）アクリレート、ト
リメチロールエタントリ（メタ）アクリレート、
テトラメチロールメタントリ（メタ）アクリレー
ト、1.6−ヘキサンジオールジ（メタ）アクリレ
ートなどで代表される多官能性モノマー、ビスフ
エノールＡタイプエポキシアクリレート、ノボラ
ツクタイプエポキシアクリレート、アルキレング
リコールジエポキシアクリレート、臭素化エポキ
シアクリレート、グリシジルエステルアクリレー
トなどで代表される多官能エポキシアクリレー
ト、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、アジピン酸、セバシン酸などの飽和ジカルボ
ン酸と主としてエチレングリコール、プロピレン
グリコール、ビスフエノールＡなどのポリオール
と反応物の端末にフマール酸、マレイン酸、イタ
コン酸などの不飽和ジカルホン酸を反応させて得
られる多官能不飽和ポリエステル、1.2ポリブタ
ジエン、端末アクリル変性ポリブタジエン、端末
エステル変性ポリブタジエンなどに代表されるポ
リブタジエン、エチレングリコールジ（メタ）ア
クリレート、ジエテレングリコールジ（メタ）ア
クリレート、ポリエチレングリコールジ（メタ）
アクリレート、1.3プチレングリコールジ（メタ）
アクリレート、ネオペンチルグリコールジ（メ
タ）アクリレートなどで代表される多官能性ポリ
エーテルアクリレート、アジピン酸と、1.6ヘキ
サンジオールとの反応ポリエステルの端末がアク
リル変性された化合物などに代表されるポリエス
テルアクリレート、1.2−ビス〔４−（アクリロイ
ロキシジエトキシ）フエニル〕プロパンビス（ア
クリロイロキシエチル）ヒドロキシエチルイソシ
アヌレート、トリス（アクリロイロキシエチル）
イソシアヌレート、ジアリルオキシ・ジアクリロ
イロキシシクロヘキサン等を用い得る。 この不飽和基を反応させるためにその開始剤と
してベンゾイルパーオキサイド、ハイドロパーオ
キサイドなどの過酸化物を溶解させるかさらに反
応を促進させるために促進剤としてナフテン酸コ
バルトなどの金属石鹸やジメチルアニリンジメチ
ルパラトルイジンなどの第３級アミン類などを使
用しても良い。またベンゾインエチルエーテル、
ベンゾフエノンなどの増感剤を加え、紫外線を照
射して架橋を達成しても良い。さらに電子線、Ｘ
線などの電離性放射線によつて架橋させるように
することもできる。 そして、不飽和基を有する化合物の含有量を80
〜２重量％とするのは、可塑性樹脂が98重量％を
越えると架橋が充分でなく耐熱性に劣り、加熱ヘ
ツドによる転写時に染色リボンと印画紙の間で融
着や変形が起きてしまい、また可塑性樹脂が20重
量％未満ではより染料吸着量が少なくなりすぎて
高濃度の画像が得難くなることを認めたことによ
る。 また、１分子中に２個以上のラジカル重合性の
不飽和基を有する化合物の分子量は100〜10000が
望ましく、分子量が100より少ないと硬くなりす
ぎ、10000より多いと熱転写時における染色リボ
ンと印画紙の間の融着防止効果がなくなる。 また受容層には必要に応じて透明性を低下させ
ない程度にシリカ、炭酸カルシウム、カオリンク
レー、硫酸バリウム、酸化チタンなどに代表され
る無機質粒子を加えてより高い耐熱性、耐収縮性
を得ることができる。 〔作用〕 上述の構成によれば、受容層中に熱可塑性樹脂
を存在させたことによつて、画像形成時、すなわ
ち染料の昇華染着に際しては、加熱ヘツドによる
加熱によつて、この樹脂の分子同士が自由に動き
得る状態となされることによつてここに飛来する
染料を高効率に、とり入れることができるので、
低エネルギーで高濃度の染着が可能となり、しか
も、この熱可塑性樹脂におけるその染着時の溶融
変形は、同様に受容層中に存在させた１分子中に
２個以上の不飽和基を有する化合物を存在させた
ので、上述の熱可塑性樹脂の熱印加時の溶融によ
る変形、すなわち画像のにじみや乱れを抑制し、
その架橋によつて、画像形成後における安定性を
得ることができ、他への汚染を防止するとができ
る。 〔実施例〕 次に本発明の実施例を説明する。 実施例 １ 厚さ100μmのポリエステルフイルムより成る透
明支持体上に、下記組成の処理液を乾燥後の膜厚
が、15μmの厚さとなるように塗布した。

【表】 この塗膜に紫外線ランプによつて紫外線を照射
してその硬化処理を行つて後、更に80℃で24時間
の加熱硬化を行つて、透明支持体上に染料の透明
受容層を形成した。 実施例 ２ 厚さ70μmのポリアリレートフイルムより成る
透明支持体上に、下記組成の処理液を乾燥後の膜
厚が10μmとなるように塗布した。 飽和ポリエステル樹脂 （富士写真フイルム社製STAFIXP−LC）
…18.9重量部 不飽和ポリエステル樹脂 （日本ユピカ社製ユピカ8524） …10重量部 ケトンパーオキサイド （日本油脂社製パーヘキサＨ） …0.2重量部 ナフテン酸コバルト …0.002重量部 トルエン／メチルエチルケトン（1/1）
…70重量部 この塗膜を120℃５分間の加熱によつて硬化し
た。 実施例 ３ 厚さ125μmのトリアセテートフイルムより成る
透明支持体上に下記組成の処理液を乾燥後の膜厚
が15μmとなるように塗布した。 飽和ポリエステル樹脂 （東洋紡績社製バイロン＃200） …28.5重量部 イソシアネート （コロネートＬ） …1.5重量部 メチルエチルケトン …70重量部 この塗膜を60℃で48時間加熱硬化した。この塗
膜上に更に実施例１で説明した処理液を塗布し、
これを乾燥して後、紫外線ランプによつて紫外線
照射を行う。その後、更に80℃で24時間の加熱硬
化を行つて染料の透明受容層を形成した。 実施例 ４ 厚さ100μmのポリエステルフイルムより成る透
明支持体上に、下記組成の処理液を塗布した。

【表】 この塗膜に紫外線ランプによつて紫外線を照射
してその硬化処理を行つて後、更に80℃で24時間
の加熱硬化を行つて、透明支持体上に染料の透明
受容層を形成した。 実施例 ５ 厚さ100μmのポリエステルフイルムより成る透
明支持体上に、下記組成の処理液を塗布した。

【表】 この塗膜に紫外線ランプによつて紫外線を照射
してその硬化処理を行つて後、更に80℃で24時間
の加熱硬化を行つて、透明支持体上に染料の透明
受容層を形成した。 比較例 １ 厚さ100μmのポリエステルフイルムを被転写体
とした。 比較例 ２ 厚さ100μmのポリエステルフイルム上にプライ
マー層をキスコーターにより乾燥後の厚さが1μm
となるように下記組成の液を塗布した。 エポキシ変性シリコーン （信越化学社製ES1001N） …100.0重量部 硬化触媒 （信越化学社製） …1.0重量部 メチルエチルケトン …236.0重量部 その上に下記組成の処理液を乾燥後の厚さが
10μmとなるように塗布し、その後、130℃で３時
間の加熱硬化をした。 シリコーン変性アルキツド （日本ユピカ(株)ユピカコート（ES3602B）
…50.0重量部 メラミン樹脂 （播磨化成(株)バンセミン970） …20.0重量部 パラトルエンスルホン酸 …1.0重量部 メチルエチルケトン …165.0重量部 上述した各実施例１〜５と、比較例１及び２の
各被転写体に対して、夫々下記組成の処理液を厚
さ14μmのコンデンサーペーパーに乾燥後の重量
が１ｇ／m²となるように塗布して形成した染色リ
ボンを重ね合せ、このリボンの裏面側から加熱し
て印字を行つた。 酢酸セルロース （ダイセル化学工業社製ACL−70）
…10.5重量部 分散染料 （三菱化成社製PTR63） …4.5重量部 メチルエチルケトン …85重量部 各例のこの印字に際しての染色リボンとの融着
の有無（融着が生じた場合を×印で、融着が生じ
なかつた場合を○印で示した）と、マクベスTD
−904での測定による印字部の透過度と、40度で
相対湿度90％下での安定度、すなわち他の紙への
転写の有無（転写が多少生じた場合を△印で、全
く生じなかつた場合を○印として示す）との各測
定結果を表１に示す。

〔発明の効果〕

上述の構成によれば、受容層中に熱可塑性樹脂
を存在させたことによつて、画像形成時、すなわ
ち染料の昇華染着に際しては、加熱ヘツドによる
加熱によつて、この樹脂の分子同士が自由に動き
得る状態となされることによつてここに飛来する
染料を高効率に、とり入れることができ、低エネ
ルギーで高濃度の染着が可能となり、しかも、こ
の熱可塑性樹脂におけるその染着時の溶融変形
は、同様に受容層中に存在させた１分子中に２個
以上の不飽和基を有する化合物を存在させたので
これを加熱、或いは（及び）紫外線等の輻射線照
射によつて架橋させることによつて熱可塑性樹脂
の熱印加時の溶融による変形、すなわち画像のに
じみや乱れを抑制し、更にその架橋によつて、画
像形成後における安定性を得ることができ、他へ
の汚染を防止することができる。 また、この被転写紙自体の透明度も高いので、
OHPの資料、スライド等に用いてその利益は大
きい。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 透明プラスチツク支持体上に、染着性を有す
   る熱可塑性樹脂が20〜98重量部と、１分子中にラ
   ジカル重合性の不飽和結合を２つ以上有する化合
   物が80〜２重量部とより成る染料の透明受容層を
   設けて成る昇華転写用透明被転写体。