JPH0527385B2 - - Google Patents

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JPH0527385B2
JPH0527385B2 JP60115041A JP11504185A JPH0527385B2 JP H0527385 B2 JPH0527385 B2 JP H0527385B2 JP 60115041 A JP60115041 A JP 60115041A JP 11504185 A JP11504185 A JP 11504185A JP H0527385 B2 JPH0527385 B2 JP H0527385B2
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明は、発酵法による補酵素Q10の製造法に
関するものである。 補酵素Q10は、広く、動植物界に分布し、いわ
ゆる未端電子伝達系の必須成分であることが知ら
れており、医薬として使用されている。 〔従来の技術、発明が解決しようとする問題点〕 従来、補酵素Q10の生産法としては、動植物体
からの抽出法およびたばこの葉由来のソラネソー
ルを原料とする合成法などがある。しかしなが
ら、これらの方法はいずれも原料の安定入手が困
難なうえ、コスト高となる。また、最近では、微
生物を用いる発酵法の試みが数多くなされてい
る。前記の従来の方法においてはいずれも補酵素
Q10の生産性が低く、実用上、満足すべき方法と
は言い難い。 すなわち、補酵素Q10の発酵法による生産につ
いては、今までに各種の方法が知られているが、
そのいずれもが、回分培養によるものであつて工
業生産に適用するには補酵素Q10の生産性が低か
つたので、工業生産に適した方法の出現が期待さ
れている。 補酵素Q10の生産性を高める培養法としてはこ
れまでにもいくつかの方法が知られている(たと
えば特開昭56−55197号、特開昭57−150394号)
が、そのいずれもが、菌体内補酵素Q10含有量
を、高めることにより、Q10生産性を、増加せし
めるものである。しかして、補酵素Q10は、菌体
内に含まれており、補酵素Q10の生産性を高める
には、菌体内の補酵素Q10含有量を高めるととも
に、菌体量の生産性も高める必要がある。 しかしながら、菌体内の補酵素Q10含有量と菌
体量の生産性との関係は一般に一方を向上させれ
ば他方が低下するという二律背反の関係にある。
因みに特開昭56−55197号では菌体内の補酵素
Q10含有量は増加しているが、その反面、菌体量
の生産性が低下している。これに対して、特開昭
57−150394号では菌体量の生産性を低下させるこ
となく菌体内の補酵素Q10含有量を増加させては
いるが、具体的に挙げられている微生物としては
ロドシユウドモナス・スフエロイデス
(Rhodopseudomonas sphaeroides)微工研菌寄
第4674号および同第4675号ならびにアグロバクテ
リウム・ラデイオバクター(Agrobacterium
radiobacter)ATCC4718の3株のみである。 一般に、同一の培養槽を用いた場合の菌体生産
性は、回分培養より連続培養の方が数倍優れてい
るにもかゝわらず、雑菌に汚染され易く、計測管
理も容易ではなく、微生物工業において一般に連
続培養が採用されていないのが現状である。本発
明者は連続培養において菌体生産性がすぐれてい
るとの連続培養の利点に着目し、補酵素Q10生産
菌の連続培養について鋭意検討を、重ねてきた。 すなわち、連続培養条件下で、菌体内の補酵素
Q10含有量を高め、かつ基質当り菌体収率を高
め、以つて基質当りの補酵素Q10収率を向上させ
る条件を、見い出すべく補酵素Q10を含有する
種々の菌株の連続培養を行ない、補酵素Q10の生
産性を高める条件を種々検討した結果、酸素溶解
速度を菌体増殖の制限因子になるよう小さくして
培養する酸素律速培養を行なつた場合に、いくつ
かの菌株は、菌体内補酵素Q10含有量が向上し
た。しかしながら、パラコツカスデニトリフイカ
ンス(Paracoccus denitrificans)以外の菌株の
いずれもが、基質の供給を菌体増殖の制限因子に
なるよう抑える基質律速培養における基質当りの
菌体収率に比して基質当りの菌体収率が大幅に低
下し、菌体中の補酵素Q10含有量と基質当りの菌
体収率との積として得られる基質当りの補酵素
Q10収率は向上しなかつた。 ところが、パラコツカス デニトリフイカンス
(Paracoccus denitrificans)を用い基質として
低級アルコールを用いた連続培養で酸素溶解速度
により希釈率すなわち比増殖速度が制限される条
件下で培養を行なつた時に、菌体内の補酵素Q10
含有量が向上するとともに驚くべきことに基質当
りの菌体収率も増大し、以つて補酵素Q10が高収
率で得られることを見出し、本発明に到達した。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は、パラコツカス デニトリフイカンス
(Paracoccus denitrificans)に属し補酵素Q10
生産しうる菌株を、低級アルコールを基質として
培養することにより得られた菌体から補酵素Q10
を取得する補酵素Q10の製造法において、酵素溶
解速度を菌体増殖の制限因子になるよう小さくし
て前記菌株を連続培養することを特徴とする補酵
素Q10の製造法である。 本発明で使用される微生物はパラコツカス デ
ニトリフイカンス(Paracoccus denitrificans)
に属し補酵素Q10を生産しうる菌株であればよ
く、野生株および変異株のいずれでもよい。代表
的な菌株として、たとえばIFO 13301および同
12442ならびにATCC 13543、同17741および同
19367等を挙げることができる。 本発明で培養に用いられる倍地は、炭素源、窒
素源および無機塩類を含有する通常の培地が用い
られる。 炭素源としては、メタノール、エタノール、プ
ロパノール、ブタノール等の低級アルコールが単
独で、あるいは組み合わせて用いられる。 アルコールとしては純品であつてもよく、また
不純物として補酵素Q10の生産性を阻害し、また
は菌の増殖を極度に抑制するような物質を含有し
ない限り、粗製アルコールやアルコール含有廃棄
物の使用も可能である。培地中の炭素源の濃度は
通常は10〜200g/程度とされる。 炭素源としては低級アルコールのみでよく、他
の炭素源を併用する必要はないが、たとえばグル
コースなどの糖類および塩化コリンなどのコリン
誘導体などの炭素源を併用することを妨げない。 窒素源、無機塩類およびその他の培地成分とし
て、通常培地成分として使用されている物質が使
用される。 窒素源としては、たとえばアンモニア、アンモ
ニア水、あるいは硫酸アンモニウム、りん酸アン
モニウム等が用いられる。無機塩類としては、た
とえば、りん酸塩、マグネシウム塩、カルシウム
塩、マンガン塩、亜鉛塩、鉄塩、その他必要に応
じて微量金属塩が用いられる。 さらに、アミノ酸類、核酸関連物質、ビタミン
類、有機酸類、高級アルコール類、ステロール
類、その他補酵素Q10生合成前駆物質およびその
関連物質を培地に添加してもよい。 酸素律速連続培養条件は、菌株により異なる
が、一般に培養温度は25〜40℃、好ましくは、33
〜38℃とされる。培養温度が高い方が菌体中の補
酵素Q10含有量は一般に向上するが、良好なQ10
生産性を得る最適温度は菌株により異なることが
多い。 培養PHは、通常は6〜8、好ましくは6.8〜7.3
とされる。 培養槽の型式は、通気撹拌槽であればいずれで
も使用可能であり、たとえば機械的撹拌培養槽、
エアーリフト式培養槽および気泡塔型培養槽など
を使用することができる。 培地の供給方法は、炭素源、窒素源、各種無機
塩類、各種添加剤などが、一括してあるいは個別
に連続的あるいは間歇的に供給される。 たとえば、低級アルコールは他の培地成分との
混合物として培養槽に供給してもよく、また他の
培地成分とは別に独立して培養槽に供給すること
もできる。培養液のPH制御は、通常アンモニア、
またはアンモニア水を添加することにより行なわ
れる。 酸素溶解速度は希釈率を制限するように決定さ
れる。こゝで「希釈率を制限する」とは、酸素溶
解速度を菌が活発に増殖するように、換言すれば
酸素溶解速度を菌体増殖の制限因子にならぬよう
に十分に大きくし、他の菌体増殖に必要な条件も
制限因子とならぬよう十分大きくした−従つて基
質その他の培地成分も十分に存在している−条件
(以下通常の培養条件と記す)下で培養された菌
の比増殖速度よりも小さくすることと定義され
る。しかして、本発明における菌の比増殖速度は
通常の培養条件下で培養された菌の比増殖速度に
対して1倍未満乃至0.2倍程度、好ましくは0.7〜
0.2倍程度される。 酸素溶解速度は常法により求めることができる
が、定常状態においては通気ガスについて単位時
間あたりの供給ガス量および排出ガス量ならびに
供給ガスおよび排出ガスのそれぞれの組成から算
出することができる。 酸素溶解速度の制御は、培養槽型式により異る
が、一般に通気ガス中の酸素濃度、通気速度、培
養槽内圧力および/または撹拌機の回転数等の通
気条件を調節することにより行なわれる。 本発明の培養法によれば培養液中の溶存酸素濃
度は通常用いられる溶存酸素計(隔膜式ガルバニ
電極 0.05ppmまで測定可能)によつて実質的に
検出できない程度とされる。たゞし混合特性の悪
いときには培養液中の溶存酸素濃度は部分的に数
ppmを、示すことがありうる。 連続培養系で定常状態を保つ方法としては基質
の節約という立場から基質の供給速度を制限しな
がら培養する所謂基質律速培養によるものが一般
的であるが、本発明における培養法は前記の基質
律速培養とは異なり、培養液への酸素溶解速度を
制限することにより、定常状態を保ちながら培養
を行なう酸素律速培養法である。 本発明の連続培養に切替えられた後は通気条件
を調節して、培養液中の酸素溶解速度を制御し、
溶存酸素濃度を通常使用される溶存酸素計では検
出できない程に低くして、培養液中のアルコール
濃度が一定となるように培地供給量またはアルコ
ール供給量を制御する。工業的には、アルコール
供給量および培地供給量は、培養液中のアルコー
ル濃度を、ガスクロマトグラフ等の分析計により
経時的に測定し、その信号により自動的に調節さ
れる。培養液中の炭素源の濃度は通常は10〜
3000ppm程度、好ましくは200〜2000ppm程度に
維持される。 培養液中のアルコール濃度は、たとえば培養廃
ガス中のアルコールのような炭素源を炭化水素計
あるいは、ガスクロマトグラフ等の分析計により
測定することによつても知ることができる。 このようにして、一定の通気条件下で一定の定
常状態が得られ、この定常状態においては菌の増
殖を、制限しているのは、溶存酸素のみである。 本発明における連続培養初期における培養液中
の菌体濃度(乾燥菌体基準以下同様)は100g/
以下であればよく特に制限はないが通常は本発
明の定常状態時の菌体濃度と同程度かやや低い濃
度に到達したのち本連続培養へ移行することが望
ましい。 また本発明における連続培養中における培養液
中の菌体濃度は100g/以下であればよく好ま
しくは10〜100g/である。 同一の培地を使用して菌の比増殖速度を変える
には、通気条件を調節することにより任意に変更
できる。すなわち比増殖速度を速くするには酸素
溶解速度を大きくするように通気条件を選択すれ
ばよく逆に比増殖度速度を遅くするには酸素溶解
速度を小さくするように通気条件を選択すればよ
い。 本発明の連続培養において酸素律速培養の定常
状態を保持する方法としては、通常は培地の供給
速度を一定として、通気条件を変更する方法が用
いられる。 すなわち、培地またはアルコールの供給量を一
定にして、培養液中のアルコール濃度を連続的に
測定し、この測定結果により培養液中のアルコー
ル濃度が一定となるように通気条件を調節する。
たとえば培養液中のアルコール濃度が上昇すれば
酸素溶解速度が大きくなるように通気条件を選択
すればよい。 本発明の酸素溶解速度制限下での連続培養に先
立つて菌を活発に増殖させて培養液中の菌体濃度
が所定値となるまで予備培養が行なわれる。予備
培養としてたとえば基質およびその他の培地成分
ならびに酸素を十分に供給しつつ行なわれる回分
培養、もしくは溶存酸素のみを制限して行なわれ
る回分培養またはこれらの回分培養に引続いて基
質およびその他の培地成分ならびに酸素を十分に
供給しつゝ行なわれる連続培養などがある。予備
培養は通常の方法により行なわれ、培養温度PH基
質および培地成分ならびに培地もしくは培養液中
の基質濃度などは前記の本発明の連続培養におけ
ると同様である。 このようにして得られた培養液から、過また
は遠心分離などの通常の固液分離手段によつて菌
体を分離回収し、必要に応じて水などで洗浄して
菌体を得る。 このようにして得られた菌体からの補酵素Q10
の分離抽出は、常法に従つて行なうことができ
る。たとえば、エタノールに菌体を懸濁させて50
〜90℃で1〜数時間加熱抽出するかまたはエチル
エーテルとエタノールとの混合溶媒を使用して室
温で抽出し、さらに必要に応じてn−ヘキサンな
どにより純度を上げることもできる。またメタノ
ール、水酸化ナトリウムおよびピロガロールの三
者混合物を用いて菌体中のリン脂質などのけん化
物質をけん化し、このけん化液に、n−ヘキサン
の如き水と混合しない有機溶媒を加えて、このけ
ん化液から補酵素Q10を抽出する。 ついで、このようにして抽出された粗製物をア
ルミナ、シリカゲルおよびフロリジルなどをそれ
ぞれ用いて分別精製を行なうかまたは単離する。 菌体から得られた補酵素Q10の同定には、一般
に紙クロマトグラフイー、薄層クロマトグラフ
イー、液体高速クロマトグラフイー、元素分析、
融点測定、赤外または紫外部吸収スペクトル、核
磁気共鳴スペクトルおよび質量分析などの手段が
それぞれ用いられる。また定量法としては、通常
は、たとえばレツドフアーンの方法〔メソズ・イ
ン・エンザイモロジー(Methods in
Enzymology)第100巻、第381頁1967〕が用いら
れる。 〔実施例〕 以下の実施例によつて本発明をさらに具体的に
説明する。 実施例 1 菌として、パラコツカス デニトリフイカンス
(Paracoccus denitrificans)IFO−13301を使用
した。 工業用水1あたりメタノール3g、
KH2PO43g、(NH42SO41g、MgSO4・7H2O1
g、FeC6H5O7・xH2O60mg、ZnSO4・7H2O20
mg、MnCl2・4H2O10mgおよびCaCl2・2H2O40mg
を溶解した培地(培地A)を調製した。 3溶媒養槽に、この培地A1.5を張り込み、
120℃で20分間加熱滅菌後、アンモニア水でPH7.0
に調整し、これに別に調製された種母200mlを植
菌し、空気を通気しつゝ35℃で回分培養を行なつ
た。回分培養時のPHは、25%アンモニア水で7.0
に自動制御した。培養液中のメタノール濃度は、
ガスクロマトグラフイーにより連続的に測定し、
500〜1500ppmの範囲になるように自動的にメタ
ノールを供給した。なお、撹拌機回転数を
1000rpm、通気量を1vvmとした。 菌体濃度が約15g/に達した時点で別に調製
された連続用培地の連続供給と培養液の連続排出
とを開始し、希釈率を制限するような酸素溶解速
度下での連続培養に移行した。 連続用培地の組成は下記の如くであり、120℃
で20分間加熱滅菌し、冷却後使用した。たゞしメ
タノールは、ミクロフイルターで過除菌して注
入した。 工業用水1当り、メタノール60g、
KH2PO43g、MgSO4・7H2O1g、
(NH42SO40.5g、塩化コリン 2g、D−ビチ
オン50μg、チアミン塩酸塩25mg、FeC6H5O7
xH2O 60mg、ZnSO4・7H2O20mg、MnCl2
4H2O10mgおよびCaCl2・2H2O40mg(培地B) 培養液中の溶存酸素濃度を0になるように通気
条件を調節して酸素律速培養を行なつた。なお、
この連続培養では培養温度を35℃とし、PHはアン
モニア水を自動的に添加して7.0に保つた。 培養液中のメタノール濃度は、メタノールのロ
スを少なくするため、可能な限り低くし、300〜
500ppmに制御した。 なお、通気条件を変えることにより、増殖速度
すなわち培養槽内での平均滞留時間(希釈率の逆
数に相当する)を、変更した。 なお、菌体中の補酵素Q10含有量は、菌体か
ら、メタノールクロロホルム混合液で、補酵素
Q10を抽出し、この抽出液を逆相薄層クロマトグ
ラフイーにより展開し、補酵素Q10に対応する展
開部分をアルコールで抽出した後、レスター等に
よる吸光光度法で定量した。以下の実施例および
比較例においても同様である。 結果を第1図に示す。 比較例 1 酸素律速連続培養を基質律速連続培養に替えた
ほかは実施例1と同様にして菌を培養して補酵素
Q10を製造した。すなわち、酸素溶解速度を十分
に大きくし培地の供給速度を変更することによつ
て平均滞留時間を変更した。培養液中の溶存酸素
濃度が2〜4ppmに変動するように通気量を1vvm
以下で変動させて平均滞留時間を変動させた。な
お、撹拌機回転数は1000rpmであつた。この培養
液中にメタノールは検出されなかつた。結果を第
1図に示す。 第1図は平均滞留時間と、菌体中の補酵素Q10
含有量、対メタノール菌体収率および対メタノー
ル補酵素Q10収率のそれぞれとの関係を示してい
る。また、第1図において実線および破線は、実
施例1および比較例1のそれぞれの結果を示して
いる。 第1図から本発明の酸素律速連続培養において
は菌体中の補酵素Q10含有量、対メタノール菌体
収率および対メタノール補酵素Q10収率のいずれ
も、基質律速連続培養におけるよりも著しくすぐ
れていることがわかる。 実施例 2 菌として、パラコツカス デニトリフイカンス
(Paracoccus denitrificans)IFO−13301を用い、
基質としてメタノールを使用して培養を行なつ
た。 純水1あたりメタノール10g、KH2PO41.4
g、(NH42SO43g、Na2HPO42.1g、MgSO4
7H2O0.2g、FeC6H5O7・xH2O30mg、CaCl2
2H2O30mg、ZnSO4・7H2O5mg、MnCl2・4H2O5
mg、CuSO4・5H2O 0.5mg、NaCl0.5gおよび酵母
エキス0.2gを溶解し、PH7.0に調整した培地(培
地C)30mlを100ml容三角フラスコに分注し、120
℃で20分間滅菌した。 培地Cに寒天20g/を添加したメタノール含
有寒天斜面培地で30℃2日間培養した前記菌株の
一白金耳を100ml容三角フラスコ中の培地C30ml
に接種し、30℃で、ロータリー・シエーカーで2
日間培養した。 この培養液5mlを、1容三角フラスコに入れ
て滅菌した上記培地C200mlに接種して、30℃PH
7.0で2日間ロータリー・シユーカーで振とう培
養した。 この培養液を種母液とした。 実施例1と同じ組成の培地A15を30容培養
槽に入れ滅菌後、アンモニア水でPH7.0に調整し、
前記の種母液200mlを添加した。 細菌が、増殖するに従つて培養液中のメタノー
ル濃度が低下したが、このメタノール濃度をガス
クロマトグラフイーで連続的に測定し、培養液中
のメタノール濃度が500〜1500ppmになるように、
メタノールを自動的に注入した。 培養温度35℃、培養PH7.0、撹拌機の回転数800
回/分および、通気量 1vvmで、通気撹拌培養
を行つたところ、世代時間が約3時間で細菌が増
殖した。 菌体濃度が約15g/になつた時点で別に調製
した連続用倍地の連続供給と培養液の連続排出を
開始、連続培養に切り替えた。 下記の組成を有する連続用倍地を滅菌し、冷却
後、ミクロフイルター過に除菌したメタノール
と混合して使用した。 連続用培地組成:工業用水1あたりメタノール
60g、KH2PO4 3g、(NH42SO41g、
MgSO4・7H2O1g、Fe(6H5O7・xH2O60mg、
ZnSO4・7H2O20mg、MnCl2・4H2O10mg、
CaCl2・2H2O40mg(培地D) 菌体濃度の上昇とともに、培養液中の溶存酸素
は、隔膜式ガルバニ電極溶存酸素計では検出され
ず酸素律速培養へと自然に移行した。 培養液中のメタノール濃度は連続的に測定さ
れ、この測定結果により、培地供給量を自動的に
調節し、培養液中のメタノール濃度を、300〜
500ppmの範囲となるように制御した。 培養温度35℃、PH7.0、平均滞留時間12時間と
して酸素律速連続培養を行なつた。 この培養を、2ケ月間継続して行なつたが、2
ケ月経過後でも補酵素Q10含有量対メタノール菌
体収率の変化は認められず、安定した培養が行な
われた。結果などを第1表に示す。 比較例 2 酸素律速連続培養を基質律速連続培養に替えた
ほかは実施例2と同様にして菌を培養して補酵素
Q10を製造した。すなわち、培地供給速度を変え
ないで、通気量を1.5vvmとした。 培養液中の溶存酸素濃度は1〜3ppmに維持さ
れていた。 また、培養液中のメタノールは常に検出されな
かつた。 結果などを第1表に示す。
【表】 実施例 3 基質としてエタノールを用いたほかは実施例2
に準じて行なつた。 培地C中のメタノール10gのかわりにエタノー
ル10gを使用した寒天斜面培地で、30℃1日間培
養した前記菌株の1白金耳を培地C30mlを分注し
た100ml容三角フラスコに接種し、30℃で、ロー
タリーシエーカーで1日間培養した。 1容三角フラスコに入れて滅菌した前記培地
C200mlにこの培養液5mlを接種して1日間培養
し、この培養液を種母液とした。 培地A中のメタノール3gのかわりにエタノー
ル3gを使用した培地15を30容培養槽に入
れ、滅菌後アンモニア水でPH7.0に調整し、前記
種母液200mlを添加し、実施例2と同様の方法で
回分培養を行なつた。 培養温度35℃、PH7.0の条件で、かつ、撹拌機
回転数600rpmおよび通気量1vvmの通気条件で、
世代時間約1.9時間で増殖させた。菌体濃度が18
g/になつた時点で、別に調製した連続用培地
の供給と培養液の連続排出を開始し酸素律速連続
培養へと移行した。 連続用培地は、実施例2の培地D中のメタノー
ル60gのかわりにエタノール30gを使用して調製
された。このときの通気量を0.6vvmとし、平均
滞留時間を10時間とした。 結果などを第2表に示す。 比較例 3 酸素律速連続培養を基質律速連続培養に替えた
ほかは実施例3と同様にして菌を培養して補酵素
Q10を製造した。すなわち、基質供給速度を変え
ないで通気量を1vvmに保つた。 結果などを第2表に示す。
【表】 実施例 4 パラコツカス デニトリフイカンス
(Paracoccus denitrificans)IFO−13301を用い、
基質としてメタノールを用いて培養を行なつた。
実施例2と同様に、30容培養槽に培地A15を
仕込み、滅菌PH7.0に調整後、これに実施例2と
同様に調製した種母液200mlを接種した。 培養温度35℃、培養PH7.0、通気(空気)量
1vvm、撹拌翼回転数50〜800rpmで、培養液中の
メタノール濃度は培養当初の3000ppmから増殖に
伴つて300〜500ppmに低下したのち、この範囲に
なるよう自動的に流加しコントロールした。容存
酸素濃度は菌体濃度、約1g/となつたのちは
増殖速度が実質的に溶存酸素濃度で制限される値
(0.1ppm未満)に低下するよう撹拌翼回転数によ
り自動制御した。 回分培養開始42時間に、培養液1当たり60g
のメタノールのほゞ全量が消費されたが、このと
きの培養液を一部採取し、これより酸素律速回分
培養時の値を得た。 回分培養後、ひきつゞいて通気(空気)量
1vvm、撹拌翼回転数800rpm、溶存酸素濃度
0.0ppmの状態で連続培養用培地(培地D)供給
を開始した。培養液中のメタノール濃度が300〜
500ppmとなるよう培地供給速度を自動制御し連
続培養の定常状態を得た。ただし、培養温度30
℃、アンモニア水で培養液のPHを7.0にコントロ
ールした。溶存酸素は溶存酸素計では検出されな
かつた。なおこのときの平均滞留時間は12.5時間
であつた。 酸素律速下での回分培養および連続培養におけ
るそれぞれの結果などを第3表に示す。
【表】 * 平均滞留時間
実施例 5〜8 使用菌株を替えたほかは実施例2と同様に行な
つた。 結果などを第4表に示す。 比較例 5〜8 使用菌株を替えたほかは比較例2と同様に行な
つた。 結果などを第4表に示す。
〔発明の効果〕
本発明により補酵素Q10を、大規模に、しかも
経済的かつ安定的に生産することが可能となつ
た。 本発明による補酵素Q10生産は、連続培養プロ
セスであるので、最適条件に設定した後の運転管
理が容易であり、従来の回分培養のくりかえしで
行なうプロセスに比べ、滅菌作業、種母の調製等
の作業の簡素化が可能であり、飛躍的な省力化が
はかれる。 又、溶存酸素濃度を実質的にゼロとして行なう
培養法であるため、従来の基質律速培養法に比べ
通気撹拌に要するエネルギーの大巾な低減がはか
れる。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1および比較例1のそれぞれに
おける平均滞留時間と、菌体中の補酵素Q10の含
有量、対メタノール菌体収率および対メタノール
補酵素Q10収率のそれぞれとの関係を示すグラフ
である。グラフ中、実線は実施例1、破線は比較
例1の結果を示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 パラコツカス デニトリフイカンス
    (Paracoccus denitrificans)に属し補酵素Q10
    生産しうる菌株を、低級アルコールを基質として
    培養することにより得られた菌体から補酵素Q10
    を取得する補酵素Q10の製造法において、酵素溶
    解速度を菌体増殖の制限因子になるよう小さくし
    て前記菌株を連続培養することを特徴とする補酵
    素Q10の製造法。
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