JPH0527372B2

JPH0527372B2 -

Info

Publication number: JPH0527372B2
Application number: JP60072274A
Authority: JP
Inventors: Shigeki Kio; Nobumasa Tanaka
Original assignee: Nippon Starch Chemical Co Ltd
Current assignee: Nippon Starch Chemical Co Ltd
Priority date: 1985-04-04
Filing date: 1985-04-04
Publication date: 1993-04-21
Also published as: JPS6236152A

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野）本発明は、新規多糖類を添加することを特徴と
する養魚用餌料に関するものである。（従来の技術）従来、ハマチやタイなどの養殖魚類の餌料とし
て主に生餌すなわち、イカナゴ、サバ、アジなど
の生鮮魚や解凍魚の細断、破砕したものを投与し
ている。しかし、生鮮魚を使用する場合には、必要時に
常に入手できるとは限らず、価格の変動、保存コ
ストの問題があり、また、ビタミンB₁欠乏症な
どの疾患が生じるという問題もある。生鮮魚や解凍魚の細断、破砕したものを投与し
た場合は、栄養分の溶出、微細組織の逸散、流出
により養魚場周辺海域の汚染を生じ、また、餌料
原料魚の養成魚への転換効率も悪い。これらの問題を解決するため、モイストペレツ
トと呼ばれる人工餌料が提案されている。これは、生鮮魚の細砕と魚粉等と他の蛋白質
（例えば大豆蛋白）と必須ビタミンおよび塩類そ
の他を粘結剤にて混練成形したものである。粘結剤としてはアルフアー化澱粉、グアーガ
ム、トラガントガム、ザンタンガム、アラビアガ
ム、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸
塩、ポリアクリル酸塩、コンニヤク粉などを単独
でまたは２種以上を適当に組合せて使用されてい
るが、粘結力の低下、水への溶解等の問題があ
る。特公昭57−46350号公報にはアルギン酸ソーダ
水溶液とカルシウム塩、および水和性の天然ガム
質とを混合して生ずる水に難溶性の粘結剤を用い
ることが提案されているが、アルギン酸ソーダは
高価で価格変動が激しいという問題がある。（発明が解決しようとする問題点）上記のように生鮮魚や解凍魚の細断、破砕した
ものを投与した場合の問題点を解決すべく開発さ
れたモイストペレツトも、いまだ充分に養魚場周
辺海域の汚染を防げず、また、難消化性であつた
り、価格変動の大きく高価である粘結剤を使用し
ている。本発明は水に難溶性で粘結力に優れた本発明の
多糖類を添加することにより、水に溶出、崩壊性
のない養魚用餌料を得ることを目的とする。（問題点を解決するための手段）本発明者らは、上記問題点を解決すべく、鋭意
検討を行なつた結果、グルコース、マンノース、
およびマンニユロン酸で構成され、そのモル比が
グルコース：マンノース：マンニユロン酸＝１：
0.1〜0.7：４〜17でアセチル化度約０〜1.0でアセ
チル化されおり、３，５−ジニトロサリチル酸法
による分子量が10³〜10⁵である多糖類（以下、本
発明の多糖類と称す）を単独でコーテイング剤と
して、または水和性の天然ガムおよび／または天
然ガム誘導体と共に粘結剤として用いると水に難
溶性で優れた粘結力を有し、養魚餌原料と共に混
練成形するか、又は、成形後本発明の多糖類をコ
ーテイングすると、水への溶出、崩壊のほとんど
ない優れた養魚溶餌料となることを見出し本発明
を完成するに至つた。本発明の多糖類は、例えば、特公昭58−39441
号公報に示されているように次のような方法によ
つて製造することができる。アゾトバクター・ビネランジー（Azotobacter
vinelandii）IFO12018（財団法人醗酵研究所（大
阪市淀川区）より入手）を一般に使用されている
炭素源（例えば、グルコース澱粉加水分解物、シ
ヨ糖等）の他、無機塩類（リン酸１カリ、リン酸
２カリ、塩化ナトリウム、硫酸カルシム、硫酸マ
グネシウム、酢酸ナトリウム等）、微量金属（モ
リブデン酸ナトリウム、硫酸第１鉄等）を水道水
に加えてなる培地に接種し、定法により好気的条
件下で窒素または窒素を含むガスを通気しなが
ら、培養することによつて多糖類を蓄積する。培
養終了後、培養中の菌体等の固形分は使用目的に
不都合な場合には、遠心分離、ろ過等の操作によ
り培養液より除去し、蓄積された多糖類は、硫酸
等を培養液に添加し、酸性とし沈澱させ、メタノ
ール、エタノール、イソプロパノール等の水溶性
溶媒中でカセイソーダ等で中和し、乾燥させる。また、酸性沈澱物をカセイソーダ等で中和し、
ドラム乾燥またはスプレー乾燥することもでき
る。中和の際、水酸化カルシウム等の２価金属水
酸化物を用いると水に難溶性の本発明の多糖類の
２価金属塩を生成することができる。また、培養
液に塩化カルシウム等の２価金属塩を添加し、本
発明の多糖類を沈澱させ、脱水後、乾燥すると水
に難溶性の本発明の多糖類の２価金属塩を生成す
ることができる。本発明の養魚用餌料は本発明の多糖類を単独で
または水和性の天然ガムおよび／または天然ガム
誘導体と共に粘結剤として用い養魚餌原料と混練
成形することにより、または水和性の天然ガムお
よび／または天然ガム誘導体と養魚餌原料と混練
成形したものに本発明の多糖類の水溶液をコーテ
イングすることによつて得られる。本発明の多糖類および／または水和性の天然ガ
ムおよび／または天然ガム誘導体により得られる
水に難溶性で優れた粘結力を有する粘結剤を用い
ることにより、水への溶出、崩壊のほとんどない
餌料を製造することができるが、混練成形の際、
または、本発明の多糖類をコーテイングした後、
カルシウム塩を添加することによつて、さらに水
への溶出、崩壊性を減少させることができる。カルシウム塩としては、例えば、炭酸カルシウ
ム、第１リン酸カルシウム、酸性ピロリン酸カル
シウム、塩化カルシウム、アスコルビル酸カルシ
ウム等が使用できる。本発明の多糖類は、ナトリウム塩、カリウム塩
等の１価金属塩であつてもよいが、カルシウム塩
等の２価金属塩が混在しているとさらに、上記の
効果を高めることができる。本発明の多糖類の１
価金属塩と２価金属塩の比率はモル比で55：45〜
80：20の間にあることが望ましく、１価金属塩の
比率がこれ以下であると餌料はゲル状物となり、
粘着力が低下し割れやすくなる。また１価金属塩
の比率がこれ以上であると、餌料の水への溶出、
崩壊がおこり易くなる。本発明の養魚用餌料の粘結剤として本発明の多
糖類と共に天然ガムおよびその誘導体も用いるこ
とができるが、それらの例としては、グアーガム
およびその誘導体、ローカストビーンガムおよび
その誘導体、キサンタンガムおよびその誘導体、
アルフアー化澱粉、カルボキシメチルセルロー
ス、カルボキシメチルスターチが挙げられ、ま
た、ポリアクリル酸ソーダのような合成高分子の
使用も可能である。（作用）本発明は以上のように構成されているので本発
明の養魚用餌料は水への溶出、崩壊がほとんどな
い。このため、餌料原料の養成魚への転換効率が
高く、養魚場周辺の海域の汚染も従来に比して著
しく減少できる。（実施例）以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明す
る。しかし、本発明は実施例に限定されるもので
はない。実施例１表１に示す組成の混合物を混練成形し、養魚用
餌料を製造した。

【表】各試料100ｇを三角フラスコに取り、これに海
水500mlを添加し、５分間振盪した後、濾紙にて
濾過し得られた濾液よりケルダール法にて窒素を
定量した。この結果を表２に示す。

【表】

【表】以上、実施例の結果より明らかなように本発明
の養魚用餌料は、従来の細砕生魚、試料番号５に
比較して窒素の溶出量が少なかつた。また、本発明の養魚用餌料はほとんど崩壊しな
かつた。実施例２表３に示す組成の混合物を混練形成したものに
本発明の多糖類の１％水溶液を噴霧し、さらに、
0.5％第１リン酸カルシウムと1.0％酸性ピロリン
酸カルシウムを含む水溶液を噴霧し、養魚用餌料
を製造した。

【表】実施例１と同様にして、各試料の窒素の溶出量
を定量した。結果を表４に示す。

【表】表２および表４の結果より明らかなように本発
明の養魚用餌料は、従来の細砕生魚や試料番号４
の養魚用餌料に比較して、窒素の溶出が少なかつ
た。また、本発明の養魚用餌料はほとんど崩壊し
なかつた。実施例３本実施例は、本発明多糖類のコーテイングによ
つて養魚用餌料が長期間、新鮮に保たれることを
示すために行なつた。細砕生魚10ｇに本発明の多糖類の１％水溶液を
噴霧し、室温または冷凍庫内にて保存した。一定
期間保存後、窒素雰囲気中、無水芒硝15ｇと混合
し15分間放置後、Leaの改良法にて過酸化物価を
測定した。結果を図１、図２に示す。結果より明らかなように、本発明の多糖類の水
溶液にてコーテイングしたものは、コーテイング
していないものと比較して、過酸化物価の増加が
少なく、新鮮に保たれている。これは、本発明の
多糖類のコーテイングにより、酸素の透過率が低
下するためと考えられる。（発明の効果）本発明は、以上述べたように構成されているの
で、養魚場周辺海域の汚染を防げ、また、栄養分
の溶出が少ないので、餌料の魚体への転換率を高
めることができる。本発明の多糖類は、アルギル酸ソーダ等の天然
ガムに比して、供給が安定しており安価である。さらに、魚病の原因となる過酸化物の増加をお
さえ、長期間新鮮に保つ効果があるため、従来モ
イストペレツトの保存のために必要であつた凍
結、冷臓設備が不用になり、コスト的に非常に有
益である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、養魚用餌料を本発明の多糖類でコー
テイングした場合としていない場合について、室
温における過酸化物価増加率のグラフを示す。第
２図は、養魚用餌料を本発明の多糖類でコーテイ
ングした場合としていない場合について、冷凍庫
保存における過酸化物価増加率のグラフを示す。

Claims

【特許請求の範囲】

１グルコース、マンノースおよびマンニユロン
酸で構成され、そのモル比がグルコース：マンノ
ース：マンニユロン酸＝１：0.4〜0.7：４〜17で
アセチル化度約０〜1.0でアセチル化されており、
３，５−ジニトロサリチル酸法による分子量が
10³〜10⁵である多糖類を添加することを特徴とす
る養魚用餌料。