JPH05271897A - セラミックス溶射皮膜 - Google Patents
セラミックス溶射皮膜Info
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- JPH05271897A JPH05271897A JP4066128A JP6612892A JPH05271897A JP H05271897 A JPH05271897 A JP H05271897A JP 4066128 A JP4066128 A JP 4066128A JP 6612892 A JP6612892 A JP 6612892A JP H05271897 A JPH05271897 A JP H05271897A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】優れた耐摩耗性と耐熱衝撃性を有する溶射皮膜
を提供する。 【構成】イットリア、マグネシア又はカルシアの添加に
より安定化されたジルコニアの粉末と、重量%で30〜60
%のジルコニアを含み残部がアルミナである硬質セラミ
ックスの粉末、又は重量%で30〜60%のジルコニアを含
み残部がアルミナとチタニア(チタニア/アルミナの重
量比が0.75以下)である硬質セラミックスの粉末との混
合粉末の溶射により形成されるセラミックス溶射皮膜で
あって、前記の硬質セラミックスが体積%で10〜40%を
占め、残部が安定化ジルコニアである溶射皮膜。 【効果】耐摩耗性を有するとともに耐熱衝撃性も優れ、
熱処理炉内ロールなど、高温環境下で使用され、耐摩耗
性が要求される部材の保護皮膜として好適である。
を提供する。 【構成】イットリア、マグネシア又はカルシアの添加に
より安定化されたジルコニアの粉末と、重量%で30〜60
%のジルコニアを含み残部がアルミナである硬質セラミ
ックスの粉末、又は重量%で30〜60%のジルコニアを含
み残部がアルミナとチタニア(チタニア/アルミナの重
量比が0.75以下)である硬質セラミックスの粉末との混
合粉末の溶射により形成されるセラミックス溶射皮膜で
あって、前記の硬質セラミックスが体積%で10〜40%を
占め、残部が安定化ジルコニアである溶射皮膜。 【効果】耐摩耗性を有するとともに耐熱衝撃性も優れ、
熱処理炉内ロールなど、高温環境下で使用され、耐摩耗
性が要求される部材の保護皮膜として好適である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば熱処理炉内ロー
ル等、高温での耐摩耗性が要求される部位に施される、
セラミックス溶射皮膜に関する。
ル等、高温での耐摩耗性が要求される部位に施される、
セラミックス溶射皮膜に関する。
【0002】
【従来の技術】イットリア(Y2O3)、マグネシア(MgO) 、
又はカルシア(CaO) を添加した安定化ジルコニア(ZrO2)
は、断熱性、耐熱衝撃性が良好で、特にイットリア添加
材が優れており、ガスタービン部品の遮熱コーティング
用材料として実用化されている。しかし、安定化ジルコ
ニアは耐摩耗性が低く、この耐摩耗性が改善されると、
熱処理炉内ロール等、高温で使用され、しかも耐摩耗性
が要求される分野での用途が拡大する。
又はカルシア(CaO) を添加した安定化ジルコニア(ZrO2)
は、断熱性、耐熱衝撃性が良好で、特にイットリア添加
材が優れており、ガスタービン部品の遮熱コーティング
用材料として実用化されている。しかし、安定化ジルコ
ニアは耐摩耗性が低く、この耐摩耗性が改善されると、
熱処理炉内ロール等、高温で使用され、しかも耐摩耗性
が要求される分野での用途が拡大する。
【0003】安定化ジルコニアの粉末に他の高硬度材料
の粉末を混合した粉末を溶射材料として用いることによ
り、皮膜の耐摩耗性が向上することは既に知られてい
る。例えば、日本溶射協会第51回学術講演大会講演論文
集(1990、25〜30頁)には、イットリアを添加した安定
化ジルコニアの粉末に炭化タングステン(WC)又はWC−
12wt%Coの粉末を混合した粉末を溶射材料として用いる
と、溶射皮膜の硬度が上昇することが示されている。
の粉末を混合した粉末を溶射材料として用いることによ
り、皮膜の耐摩耗性が向上することは既に知られてい
る。例えば、日本溶射協会第51回学術講演大会講演論文
集(1990、25〜30頁)には、イットリアを添加した安定
化ジルコニアの粉末に炭化タングステン(WC)又はWC−
12wt%Coの粉末を混合した粉末を溶射材料として用いる
と、溶射皮膜の硬度が上昇することが示されている。
【0004】しかし、耐熱衝撃性については不明であ
り、通常は、高硬度材料の添加量の増加とともに耐摩耗
性は向上するが、逆に耐熱衝撃性が劣化する。このよう
に、高硬度材料の添加によって安定化ジルコニアが有す
る本来の優れた耐熱衝撃性が損なわれることになれば改
善とはならず、用途は著しく制限されることとなるの
で、耐熱衝撃性と耐摩耗性とを同時に備えた溶射皮膜の
開発が期待されている。
り、通常は、高硬度材料の添加量の増加とともに耐摩耗
性は向上するが、逆に耐熱衝撃性が劣化する。このよう
に、高硬度材料の添加によって安定化ジルコニアが有す
る本来の優れた耐熱衝撃性が損なわれることになれば改
善とはならず、用途は著しく制限されることとなるの
で、耐熱衝撃性と耐摩耗性とを同時に備えた溶射皮膜の
開発が期待されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、安定化ジル
コニアの粉末に他の高硬度材料の粉末を添加した溶射材
料を使用することにより得られるセラミックス溶射皮膜
であって、安定化ジルコニアが有している耐熱衝撃性の
劣化を伴うことなく、優れた耐摩耗性を備えた溶射皮膜
を提供することを目的とする。
コニアの粉末に他の高硬度材料の粉末を添加した溶射材
料を使用することにより得られるセラミックス溶射皮膜
であって、安定化ジルコニアが有している耐熱衝撃性の
劣化を伴うことなく、優れた耐摩耗性を備えた溶射皮膜
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明者は安定化ジルコニアの粉末に添加する高硬
度材料の組成および添加量について検討を重ね、この発
明を完成した。
め、本発明者は安定化ジルコニアの粉末に添加する高硬
度材料の組成および添加量について検討を重ね、この発
明を完成した。
【0007】本発明の要旨は、下記およびのセラミ
ックス溶射皮膜にある。
ックス溶射皮膜にある。
【0008】 イットリア、マグネシア又はカルシア
の添加により安定化されたジルコニアの粉末と、重量%
で30〜60%のジルコニアを含み残部がアルミナである硬
質セラミックスの粉末との混合粉末の溶射により形成さ
れるセラミックス溶射皮膜であって、前記の硬質セラミ
ックスが体積%で10〜40%含まれる安定化ジルコニアか
らなるセラミックス溶射皮膜。
の添加により安定化されたジルコニアの粉末と、重量%
で30〜60%のジルコニアを含み残部がアルミナである硬
質セラミックスの粉末との混合粉末の溶射により形成さ
れるセラミックス溶射皮膜であって、前記の硬質セラミ
ックスが体積%で10〜40%含まれる安定化ジルコニアか
らなるセラミックス溶射皮膜。
【0009】 イットリア、マグネシア又はカルシア
の添加により安定化されたジルコニアの粉末と、重量%
で30〜60%のジルコニアを含み残部がアルミナとチタニ
アからなり、チタニア/アルミナ(重量比)が0.75以下
である硬質セラミックスの粉末との混合粉末の溶射によ
り形成されるセラミックス溶射皮膜であって、前記の硬
質セラミックスが体積%で10〜40%含まれる安定化ジル
コニアからなるセラミックス溶射皮膜。
の添加により安定化されたジルコニアの粉末と、重量%
で30〜60%のジルコニアを含み残部がアルミナとチタニ
アからなり、チタニア/アルミナ(重量比)が0.75以下
である硬質セラミックスの粉末との混合粉末の溶射によ
り形成されるセラミックス溶射皮膜であって、前記の硬
質セラミックスが体積%で10〜40%含まれる安定化ジル
コニアからなるセラミックス溶射皮膜。
【0010】
【作用】以下に、本発明のセラミックス溶射皮膜の構成
要件とその作用効果について説明する。
要件とその作用効果について説明する。
【0011】本発明の溶射皮膜を形成する溶射材料は、
耐熱衝撃性に優れる安定化ジルコニアを基本成分とする
セラミックスである。ジルコニアの安定化のためには、
通常用いられているイットリア、マグネシア、又はカル
シアを重量%で10%程度添加する。これらの添加材料の
中で、特にイットリアが最も効果的である。
耐熱衝撃性に優れる安定化ジルコニアを基本成分とする
セラミックスである。ジルコニアの安定化のためには、
通常用いられているイットリア、マグネシア、又はカル
シアを重量%で10%程度添加する。これらの添加材料の
中で、特にイットリアが最も効果的である。
【0012】この安定化ジルコニアに硬質セラミックス
を添加し、溶射皮膜の耐摩耗性を向上させる。添加量の
増加とともに耐摩耗性は向上するが、逆に耐熱衝撃性が
劣化するので、耐摩耗性と耐熱衝撃性とを両立させるた
めに、硬質セラミックスの添加量は、溶射皮膜としたと
きに、硬質セラミックスの溶射皮膜全体に対して占める
割合が体積%で10〜40%になる量とする。すなわち、後
述する実施例から明らかなように、10%未満では耐摩耗
性が不十分であり、40%を超えると熱衝撃割れが生じ易
くなる。溶射皮膜中で、硬質セラミックスの粒子は安定
化ジルコニアの中に分散した状態となる。
を添加し、溶射皮膜の耐摩耗性を向上させる。添加量の
増加とともに耐摩耗性は向上するが、逆に耐熱衝撃性が
劣化するので、耐摩耗性と耐熱衝撃性とを両立させるた
めに、硬質セラミックスの添加量は、溶射皮膜としたと
きに、硬質セラミックスの溶射皮膜全体に対して占める
割合が体積%で10〜40%になる量とする。すなわち、後
述する実施例から明らかなように、10%未満では耐摩耗
性が不十分であり、40%を超えると熱衝撃割れが生じ易
くなる。溶射皮膜中で、硬質セラミックスの粒子は安定
化ジルコニアの中に分散した状態となる。
【0013】硬質セラミックスとしては、ジルコニアを
主体とし、それに硬質のアルミナ(Al2O3 )を添加した
もの(前記の発明に相当する)、又は、ジルコニアを
主体とし、それに硬質のアルミナ及びチタニアを添加し
たもの(前記の発明に相当する)を用いる。ジルコニ
アを主体とするのは、硬質セラミックスの物性、特に熱
膨張率が安定化ジルコニアの熱膨張率と大きく異なる
と、熱衝撃割れが起こりやすくなるからである。
主体とし、それに硬質のアルミナ(Al2O3 )を添加した
もの(前記の発明に相当する)、又は、ジルコニアを
主体とし、それに硬質のアルミナ及びチタニアを添加し
たもの(前記の発明に相当する)を用いる。ジルコニ
アを主体とするのは、硬質セラミックスの物性、特に熱
膨張率が安定化ジルコニアの熱膨張率と大きく異なる
と、熱衝撃割れが起こりやすくなるからである。
【0014】硬質セラミックスにおいて、ジルコニアに
添加するアルミナの量、又はアルミナ及びチタニアの量
は、多いほど溶射皮膜としたときの硬度が上昇するが、
同時に安定化ジルコニアの物性(特に熱膨張率)との差
が大きくなり、耐熱衝撃性が劣化するので、溶射皮膜と
したときの物性が安定化ジルコニアと大きく異ならない
範囲で、しかも硬さが確保される量とする。すなわち、
アルミナの含有量、又はアルミナ及びチタニアの合計の
含有量は、重量%で40%未満では硬度が不十分であり、
70%を超えると硬質セラミックスの物性、特に熱膨張率
が大きくなるので、重量%で40〜70%(ジルコニアの含
有量としては30〜60%)とする。
添加するアルミナの量、又はアルミナ及びチタニアの量
は、多いほど溶射皮膜としたときの硬度が上昇するが、
同時に安定化ジルコニアの物性(特に熱膨張率)との差
が大きくなり、耐熱衝撃性が劣化するので、溶射皮膜と
したときの物性が安定化ジルコニアと大きく異ならない
範囲で、しかも硬さが確保される量とする。すなわち、
アルミナの含有量、又はアルミナ及びチタニアの合計の
含有量は、重量%で40%未満では硬度が不十分であり、
70%を超えると硬質セラミックスの物性、特に熱膨張率
が大きくなるので、重量%で40〜70%(ジルコニアの含
有量としては30〜60%)とする。
【0015】図1は、 Al2O3−TiO2−ZrO2系3元状態図
である。この図に見られるように、Al2O3−TiO2系では
Al2TiO5の組成を有する化合物が生成する。このときのT
iO2/Al2O3(重量比) は 0.8で、この比が 0.8以上であ
れば Al2O3は生成せず、アルミナを添加することによる
硬質化の効果を期待することができない。 Al2O3−TiO2
−ZrO2系に拡大して考えると、ZrO2を表す点と Al2TiO5
を表す点を結ぶ直線イがTiO2/Al2O3(重量比) が 0.8の
線で、TiO2/Al2O3(重量比) が少なくとも 0.8以上、す
なわち、この直線イを含んでその左側では Al2O3は生成
せず、溶射皮膜の耐摩耗性を向上させることはできな
い。この直線イと、前記の硬質セラミックス中のジルコ
ニアの含有量の範囲(重量%で30〜60%)の下限および
上限を示す直線ロおよびハで囲まれた部分(図中の斜線
を施した部分)が本発明の溶射皮膜を構成する硬質セラ
ミックスの組成範囲になる。なお実際には、後述する実
施例で示すように、TiO2/Al2O3(重量比) は0.75以下と
しなければならない。TiO2/Al2O3(重量比) が0の場合
が、アルミナを単独で添加する場合(の発明)に相当
する。
である。この図に見られるように、Al2O3−TiO2系では
Al2TiO5の組成を有する化合物が生成する。このときのT
iO2/Al2O3(重量比) は 0.8で、この比が 0.8以上であ
れば Al2O3は生成せず、アルミナを添加することによる
硬質化の効果を期待することができない。 Al2O3−TiO2
−ZrO2系に拡大して考えると、ZrO2を表す点と Al2TiO5
を表す点を結ぶ直線イがTiO2/Al2O3(重量比) が 0.8の
線で、TiO2/Al2O3(重量比) が少なくとも 0.8以上、す
なわち、この直線イを含んでその左側では Al2O3は生成
せず、溶射皮膜の耐摩耗性を向上させることはできな
い。この直線イと、前記の硬質セラミックス中のジルコ
ニアの含有量の範囲(重量%で30〜60%)の下限および
上限を示す直線ロおよびハで囲まれた部分(図中の斜線
を施した部分)が本発明の溶射皮膜を構成する硬質セラ
ミックスの組成範囲になる。なお実際には、後述する実
施例で示すように、TiO2/Al2O3(重量比) は0.75以下と
しなければならない。TiO2/Al2O3(重量比) が0の場合
が、アルミナを単独で添加する場合(の発明)に相当
する。
【0016】安定化ジルコニアおよび硬質セラミックス
は粉末で使用されるが、その粒径は、いずれも通常の溶
射材料と同じく53〜10μm とするのが望ましい。これら
の粉末を機械的に混合して溶射材料として用いる。ある
いは、安定化ジルコニアおよび硬質セラミックスの粉末
を原料として混合造粒したものを用いてもよく、その場
合も、混合造粒後の粒径を53〜10μm とするのが望まし
い。
は粉末で使用されるが、その粒径は、いずれも通常の溶
射材料と同じく53〜10μm とするのが望ましい。これら
の粉末を機械的に混合して溶射材料として用いる。ある
いは、安定化ジルコニアおよび硬質セラミックスの粉末
を原料として混合造粒したものを用いてもよく、その場
合も、混合造粒後の粒径を53〜10μm とするのが望まし
い。
【0017】本発明の溶射皮膜は、上記の溶射材料を用
いて形成される、硬質セラミックスが体積%で10〜40%
含まれた安定化ジルコニアからなるセラミックス溶射皮
膜で、耐摩耗性を有するとともに、耐熱衝撃性にも優れ
た特性を有する。
いて形成される、硬質セラミックスが体積%で10〜40%
含まれた安定化ジルコニアからなるセラミックス溶射皮
膜で、耐摩耗性を有するとともに、耐熱衝撃性にも優れ
た特性を有する。
【0018】
【実施例1】硬質セラミックスとして図2のA点(三元
共晶点)の組成を有する粉末(ZrO2:46%、 Al2O3:42
%、TiO2:12%)を用い、これを8重量%のイットリア
を含む安定化ジルコニアの粉末に種々の割合で混合した
溶射材料を JIS G 4312 に規定された耐熱鋼板 SUH310
に溶射して、溶射皮膜を形成させた。この溶射皮膜につ
いて硬さ試験と熱衝撃試験を行い、ビッカース硬さと耐
熱衝撃性を調査した。
共晶点)の組成を有する粉末(ZrO2:46%、 Al2O3:42
%、TiO2:12%)を用い、これを8重量%のイットリア
を含む安定化ジルコニアの粉末に種々の割合で混合した
溶射材料を JIS G 4312 に規定された耐熱鋼板 SUH310
に溶射して、溶射皮膜を形成させた。この溶射皮膜につ
いて硬さ試験と熱衝撃試験を行い、ビッカース硬さと耐
熱衝撃性を調査した。
【0019】なお、試験は JIS H 8666 に規定されたセ
ラミックス溶射試験方法に基づいて行い、硬さ試験にお
いては、試験荷重を 300gfとし、熱衝撃試験において
は、試験温度は1000℃とし、水中で急冷した。
ラミックス溶射試験方法に基づいて行い、硬さ試験にお
いては、試験荷重を 300gfとし、熱衝撃試験において
は、試験温度は1000℃とし、水中で急冷した。
【0020】試験結果を図3に示す。この図の横軸は溶
射皮膜中の硬質セラミックスの含有量を表し、図中の●
印は熱衝撃試験で割れが発生したことを、○印は割れが
発生しなかったことを表す。図3から、溶射皮膜中に硬
質セラミックスが体積%で10〜40%の範囲で含まれてい
れば、溶射皮膜は硬く耐摩耗性に優れ、しかも熱衝撃割
れにも強いことがわかる。
射皮膜中の硬質セラミックスの含有量を表し、図中の●
印は熱衝撃試験で割れが発生したことを、○印は割れが
発生しなかったことを表す。図3から、溶射皮膜中に硬
質セラミックスが体積%で10〜40%の範囲で含まれてい
れば、溶射皮膜は硬く耐摩耗性に優れ、しかも熱衝撃割
れにも強いことがわかる。
【0021】
【実施例2】硬質セラミックスとして、図2のZrO2を表
す点とA点を結ぶ直線上の組成を有するセラミックス、
すなわち、チタニア/アルミナ(重量比)がおよそ 0.3
であって、ジルコニアの含有量を変化させたセラミック
スを用い、これを8重量%のイットリアを含む安定化ジ
ルコニアの粉末と混合した溶射材料を実施例1と同じく
SUH310 に溶射して、硬質セラミックスを30体積%含
み、残りが安定化ジルコニアである溶射皮膜を形成させ
た。この溶射皮膜について、実施例1の場合と同様に、
硬さ試験と熱衝撃試験を行い、ビッカース硬さと耐熱衝
撃性を調査した。
す点とA点を結ぶ直線上の組成を有するセラミックス、
すなわち、チタニア/アルミナ(重量比)がおよそ 0.3
であって、ジルコニアの含有量を変化させたセラミック
スを用い、これを8重量%のイットリアを含む安定化ジ
ルコニアの粉末と混合した溶射材料を実施例1と同じく
SUH310 に溶射して、硬質セラミックスを30体積%含
み、残りが安定化ジルコニアである溶射皮膜を形成させ
た。この溶射皮膜について、実施例1の場合と同様に、
硬さ試験と熱衝撃試験を行い、ビッカース硬さと耐熱衝
撃性を調査した。
【0022】試験結果を図4に示す。この図の横軸は硬
質セラミックス中のジルコニアの含有量を表す。図中の
●印および○印は、図3の場合と同様である。図4か
ら、硬質セラミックス中のジルコニアの含有量が30〜60
重量%の範囲内であれば、溶射皮膜は耐摩耗性に優れ、
熱衝撃割れにも強いことがわかる。
質セラミックス中のジルコニアの含有量を表す。図中の
●印および○印は、図3の場合と同様である。図4か
ら、硬質セラミックス中のジルコニアの含有量が30〜60
重量%の範囲内であれば、溶射皮膜は耐摩耗性に優れ、
熱衝撃割れにも強いことがわかる。
【0023】
【実施例3】硬質セラミックスとして、図2のA点を通
り、 Al2O3とTiO2の組成比を表す辺に平行な直線上の組
成を有するセラミックス、すなわち、ジルコニアの含有
量が一定(46重量%)で、チタニア/アルミナ(重量
比)を変化させたセラミックスを用い、実施例2の場合
と同様に、これを8重量%のイットリアを含む安定化ジ
ルコニアの粉末と混合した溶射材料を実施例1と同じく
SUH310 に溶射して、硬質セラミックスを30体積%含
み、残りが安定化ジルコニアである溶射皮膜を形成させ
た。この溶射皮膜について、実施例1の場合と同様に、
硬さ試験と熱衝撃試験を行い、ビッカース硬さと耐熱衝
撃性を調査した。
り、 Al2O3とTiO2の組成比を表す辺に平行な直線上の組
成を有するセラミックス、すなわち、ジルコニアの含有
量が一定(46重量%)で、チタニア/アルミナ(重量
比)を変化させたセラミックスを用い、実施例2の場合
と同様に、これを8重量%のイットリアを含む安定化ジ
ルコニアの粉末と混合した溶射材料を実施例1と同じく
SUH310 に溶射して、硬質セラミックスを30体積%含
み、残りが安定化ジルコニアである溶射皮膜を形成させ
た。この溶射皮膜について、実施例1の場合と同様に、
硬さ試験と熱衝撃試験を行い、ビッカース硬さと耐熱衝
撃性を調査した。
【0024】試験結果を図5に示す。この図の横軸は硬
質セラミックス中のチタニア/アルミナ(重量比)を表
す。図中の●印および○印は、図3の場合と同様であ
る。図5から明らかなように、チタニア/アルミナ(重
量比)が0.75以下であれば、溶射皮膜の耐摩耗性が確保
される。
質セラミックス中のチタニア/アルミナ(重量比)を表
す。図中の●印および○印は、図3の場合と同様であ
る。図5から明らかなように、チタニア/アルミナ(重
量比)が0.75以下であれば、溶射皮膜の耐摩耗性が確保
される。
【0025】
【発明の効果】本発明の溶射皮膜は、安定化ジルコニア
に特定の組成の硬質セラミックスを添加した溶射材料に
より形成される溶射皮膜で、耐摩耗性を有するとともに
耐熱衝撃性も優れ、熱処理炉内ロールなど、高温環境下
で使用され、耐摩耗性が要求される部材の保護皮膜とし
て好適である。
に特定の組成の硬質セラミックスを添加した溶射材料に
より形成される溶射皮膜で、耐摩耗性を有するとともに
耐熱衝撃性も優れ、熱処理炉内ロールなど、高温環境下
で使用され、耐摩耗性が要求される部材の保護皮膜とし
て好適である。
【図1】Al2O3−TiO2−ZrO2系3元状態図で、本発明の
溶射皮膜を得るために必要な硬質セラミックスの組成範
囲を示す図である。
溶射皮膜を得るために必要な硬質セラミックスの組成範
囲を示す図である。
【図2】実施例で用いた硬質セラミックスの組成範囲の
説明図である。
説明図である。
【図3】実施例の結果を示す図で、溶射皮膜中の硬質セ
ラミックスの含有比率と、ビッカース硬さ及び熱衝撃割
れの有無の関係を示す図である。
ラミックスの含有比率と、ビッカース硬さ及び熱衝撃割
れの有無の関係を示す図である。
【図4】実施例の結果を示す図で、硬質セラミックス中
のジルコニアの含有比率と、ビッカース硬さ及び熱衝撃
割れの有無の関係を示す図である。
のジルコニアの含有比率と、ビッカース硬さ及び熱衝撃
割れの有無の関係を示す図である。
【図5】実施例の結果を示す図で、硬質セラミックス中
のチタニア/アルミナ(重量比)とビッカース硬さの関
係を示す図である。
のチタニア/アルミナ(重量比)とビッカース硬さの関
係を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】イットリア、マグネシア又はカルシアの添
加により安定化されたジルコニアの粉末と、重量%で30
〜60%のジルコニアを含み残部がアルミナである硬質セ
ラミックスの粉末との混合粉末の溶射により形成される
セラミックス溶射皮膜であって、前記の硬質セラミック
スが体積%で10〜40%含まれる安定化ジルコニアからな
るセラミックス溶射皮膜。 - 【請求項2】イットリア、マグネシア又はカルシアの添
加により安定化されたジルコニアの粉末と、重量%で30
〜60%のジルコニアを含み残部がアルミナとチタニアか
らなり、チタニア/アルミナ(重量比)が0.75以下であ
る硬質セラミックスの粉末との混合粉末の溶射により形
成されるセラミックス溶射皮膜であって、前記の硬質セ
ラミックスが体積%で10〜40%含まれる安定化ジルコニ
アからなるセラミックス溶射皮膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4066128A JP2699758B2 (ja) | 1992-03-24 | 1992-03-24 | セラミックス溶射皮膜 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4066128A JP2699758B2 (ja) | 1992-03-24 | 1992-03-24 | セラミックス溶射皮膜 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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Citations (3)
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JPS58157974A (ja) * | 1982-03-15 | 1983-09-20 | Hitachi Ltd | セラミツクスコ−テイング用粉末及びセラミツクスコ−テイング層を有する金属部材 |
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1992
- 1992-03-24 JP JP4066128A patent/JP2699758B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (3)
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