JPH05271400A - 分岐状ポリカーボネート及びその製造法 - Google Patents

分岐状ポリカーボネート及びその製造法

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JPH05271400A
JPH05271400A JP1037293A JP1037293A JPH05271400A JP H05271400 A JPH05271400 A JP H05271400A JP 1037293 A JP1037293 A JP 1037293A JP 1037293 A JP1037293 A JP 1037293A JP H05271400 A JPH05271400 A JP H05271400A
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JP1037293A
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Yoshimichi Okano
善道 岡野
Yutaka Fukuda
豊 福田
Mitsuyo Tanigawa
充代 谷川
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、着色がなく、着色の原因となる塩
素イオンを含まず、更に中空成形体等の製造に適した分
岐度を持つ高分子量ポリカーボネート及びその効率的な
製造法を提供する。 【構成】 触媒の存在下、エステル交換反応により、ビ
スフェノールA等の2価フェノールと、ジフェニルカー
ボネート等の炭酸ジエステルとからポリカーボネートを
製造する際、多官能性有機化合物を分岐剤として用い、
更に触媒として、含窒素塩基性化合物と特定の金属化合
物を用いる。 【効果】 本発明の方法によれば、特定の触媒の存在下
で、2価フェノールと炭酸ジエステルとのエステル交換
反応を行うので、着色の原因となる塩素イオンを含ま
ず、中空成形体等の製造に適した特定の分岐度を持つポ
リカーボネートが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分岐状ポリカーボネー
ト及びその製造法に関し、更に詳しくは、着色の原因と
なる塩素イオンを含まず、中空成形体等の製造に適した
新規な分岐状ポリカーボネート及びその効率的な製造法
に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来か
ら知られているポリカーボネートは、溶融状態でニュー
トン流体特性を示すため中空成形体を製造するのが困難
であった。ポリカーボネートに分岐性を付与すると、高
剪断時における溶融粘度が低く、低剪断時における溶融
粘度が高くなることが知られており〔エンサイクロピィ
ーディア オブ ポリマー サイエンス アンド エン
ジニアリング(Encyclopedia of Polymer Science and
E-ngineering,11,660(1988)〕、これを利用して中空成
形性を改良することができる。そこで、ポリカーボネー
トを製造する際に、3個以上の官能基を持つ多官能性有
機化合物を分岐剤として共存させることによりポリカー
ボネートに分岐性を付与することが行われている。
【0003】例えば、特開平3−163131号公報、特開平
3−163132号公報では、2価フェノールのナトリウム塩
の水溶液又は懸濁液に塩化メチレン等の溶媒を添加し、
ホスゲンを吹き込んで界面重縮合法(ホスゲン法)でポ
リカーボネートを製造する際に、3個以上の官能基を持
つ多官能性有機化合物を分岐剤として共存させて分岐状
ポリカーボネートを製造している。ここで得られた分岐
状ポリカーボネートでは上記成形性は改良されるが、こ
の方法では極めて毒性の強いホスゲンを使用する必要が
あるだけでなく、生成したポリカーボネート中に塩素イ
オンが残存する。そしてポリカーボネート中に塩素イオ
ンが残存していると、高温下での成形加工によりポリマ
ーが着色する。従って、残存する塩素イオン濃度を低減
するために、得られたポリマーを洗浄する工程が必要で
ある。
【0004】ポリカーボネートの製造法として、界面重
縮合法の他に、2価フェノールとジフェニルカーボネー
ト等の炭酸ジエステルとを加熱溶融し、高温減圧下での
エステル交換反応により重縮合させる溶融エステル交換
法が知られている。エステル交換法は毒性の強いホスゲ
ンが不要であること、残存塩素イオンの除去工程が必要
でないこと等の利点を有しており、着色の原因となる塩
素イオンを含まないポリカーボネートの製造法としては
極めて有効な方法である。
【0005】エステル交換法によるポリカーボネートの
製造では、通常、触媒の存在下、高温減圧下で重縮合反
応を行うが、界面重縮合法とは異なり、一般に、高分子
量のポリカーボネートを得るのは困難であり、又重合中
にポリカーボネートが着色する。これらの問題を解決す
るために、重合触媒として、これまでに数多くの化合物
が提案されている。例えば特開昭60−51719 号公報に
は、含窒素塩基性化合物とホウ素化合物との組合わせか
ら成る触媒によりポリカーボネートを製造する方法が提
案されており、この触媒を用いれば比較的に淡色なポリ
カーボネートが得られるが、この触媒は活性が低く、高
分子量体が得られ難いという問題点があった。
【0006】エステル交換法によるポリカーボネートの
製造に有効な高活性触媒として、アルカリ金属化合物や
アルカリ土類金属化合物がよく知られている。しかし、
これらの化合物はコルベ−シュミット型の反応による分
岐構造や、イソアルケニルフェノールの生成を経由する
分岐構造を形成する副反応を起こすことが知られている
〔エンサイクロピーディア オブ ポリマー サイエン
ス アンド テクノロジー{ Encyclopedia of Polymer
Science and Technology,10,722(1969)}〕。しかし、
これらの副反応による分岐構造の形成は、その制御が極
めて困難であり、又分岐構造の形成に伴ってポリカーボ
ネート本来の構造とは異なった構造が導入されるため、
ポリカーボネートの物性値が大きく低下する。更に、こ
れらの副反応による分岐構造の形成は、ポリカーボネー
トの着色と密接に関連している。
【0007】従って、本発明の目的は、着色がなく、又
着色の原因となる塩素イオンを含まず、更に、ポリマー
中に、副反応により形成される分岐構造ではなく、3個
以上の官能基を持つ多官能性有機化合物を分岐剤として
用いることにより形成される分岐構造を持つ中空成形体
等の製造に適したポリカーボネートを製造することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、エステル交換法に
よるポリカーボネートの製造において、特定の化合物の
組合わせから成る触媒を用いることにより、分岐構造を
形成する副反応が実質的に起こらなく、着色が殆どな
く、又着色の原因となる塩素イオンを実質的に含まず、
中空成形体等の製造に適したポリカーボネートが得られ
ることを見出し、本発明を完成するに至ったものであ
る。即ち本発明は、エステル交換法により2価フェノー
ルと炭酸ジエステルとから製造される分岐状ポリカーボ
ネート及びその製造法に関するものであって、触媒とし
て含窒素塩基性化合物と、元素周期律表 IIb族、 IVb族
及びVb族の群から選択された元素を含む少なくとも一種
の化合物とを用いることにより製造され、分岐パラメー
ターG=〔η〕/〔η〕lin (ここで〔η〕は塩化メチ
レン中20℃における極限粘度であり、〔η〕lin は光散
乱法で測定される重量平均分子量が同一の直鎖状ポリカ
ーボネートの塩化メチレン中20℃における極限粘度であ
る。)が 0.1以上で0.91未満であり、且つポリカーボネ
ート中の塩素イオン濃度が 10ppm以下、アルカリ金属イ
オン濃度及びアルカリ土類金属イオン濃度が1ppm 以下
である分岐状ポリカーボネート及びその製造法を提供す
る。
【0009】本発明の分岐状ポリカーボネートは、分岐
パラメーターGが 0.1以上0.91未満であるが、好ましく
は 0.1以上0.88未満、更に好ましくは 0.1以上 0.8未満
である。ここで分岐パラメーターGは製造したポリカー
ボネートの極限粘度〔η〕と、それと同じ重量平均分子
量を持つ直鎖状ポリカーボネートの極限粘度〔η〕lin
との比、即ちG=〔η〕/〔η〕lin で定義される。
〔η〕lin は、2価フェノールがビスフェノールAの場
合には、シュルツ(Schultz) の粘度式〔η〕=1.11×10
-4Mw0.82(Mwは重量平均分子量を示す)を基に、分子量
分布が Schultz-Zimm の指数分布に従うとして算出し
た。他の2価フェノールを使用した共重合体及び単独重
合体の場合は、界面重縮合法で製造した直鎖状ポリカー
ボネートの極限粘度と重量平均分子量とから粘度式を求
め、それを基にして上記と同様にして分岐パラメーター
Gを算出した。尚、重量平均分子量(Mw)は光散乱法の他
に汎用較正曲線を用いた GPC法でも可能であり、測定法
の違いの影響は実験誤差の範囲内であった。分岐パラメ
ーターGが0.91を超えるポリカーボネートは、溶融状態
でニュートン流体として挙動し、中空成形体等の製造に
は適さない。分岐パラメーターGが 0.1未満のポリカー
ボネートは、ポリカーボネートが架橋してしまうという
不都合を生じる。
【0010】また、本発明の分岐状ポリカーボネート中
の塩素イオン濃度は 10ppm以下である。塩素イオン濃度
が 10ppmを超えると、成形加工時の着色が顕著になる。
また、本発明の分岐状ポリカーボネート中のアルカリ金
属イオン濃度及びアルカリ土類金属イオン濃度は1ppm
以下である。アルカリ金属イオン濃度及びアルカリ土類
金属イオン濃度が1ppm を超えると、副反応による分岐
構造の形成及び着色が顕著になる。また、本発明の分岐
状ポリカーボネートは、その全末端の内、水酸基末端が
20モル%以下である。水酸基末端が20モル%以上である
と、高温下での成形加工時に着色し易く、又分子量が低
下し易い。
【0011】上記のような分岐状ポリカーボネートの製
造法としては、前述した本発明の方法が有効である。即
ち、2価フェノールと炭酸ジエステルとを混合し、3個
以上の官能基を持つ多官能性有機化合物を分岐剤として
少量共存させ、触媒として含窒素塩基性化合物と元素周
期律表 IIb族、 IVb族及びVb族の群から選択された元素
を含む少なくとも一種の化合物とを用いることにより、
溶融エステル交換法にて製造される。この方法でポリカ
ーボネートを製造すると、副反応による分岐構造は形成
されず、分岐剤を共存させないと直鎖状ポリカーボネー
トが得られる。
【0012】本発明に使用される2価フェノールとして
は、ビスフェノールA( 2,2−ビス( 4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン)が汎用されるが、他に例えばビス
( 4−ヒドロキシフェニル)メタン、 1,1−ビス( 4−
ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス( 4−ヒドロ
キシフェニル)ブタン、 2,2−ビス( 4−ヒドロキシフ
ェニル)− 4−メチルペンタン、 2,2−ビス( 4−ヒド
ロキシフェニル)オクタン、ビス( 4−ヒドロキシフェ
ニル)フェニルメタン、4,4'−ジヒドロキシ− 2,2,2−
トリフェニルエタン、 2,2−ビス( 3−ブロモ− 4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、 2,2−ビス( 3,5−ジブ
ロモ− 4−ヒドロキシフェニル)プロパン、 1,1−ビス
( 4−ヒドロキシ− 3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ− 3−メチルフェニル)プロ
パン、 2,2−ビス( 4−ヒドロキシ− 3−イソプロピル
フェニル)プロパン、 2,2−ビス( 4−ヒドロキシ− 3
−Sec.ブチルフェニル)プロパン、 2,2−ビス( 3,5−
ジメチル− 4−ヒドロキシフェニル)プロパン、 1,1−
ビス( 4−ヒドロキシ− 3−tert−ブチルフェニル)プ
ロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、
1,1−ビス( 4−ヒドロキシフェニル)− p−ジイソプ
ロピルベンゼン、 1,1−ビス( 4−ヒドロキシフェニ
ル)− p−ジエチルベンゼン、 1,1−ビス( 4−ヒドロ
キシフェニル)− m−ジイソプロピルベンゼン等のビス
(ヒドロキシアリール)アレン類、 1,1−ビス( 4−ヒ
ドロキシフェニル)シクロペンタン、 1,1−ビス( 4−
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、 1,1−ビス( 4
−ヒドロキシフェニル)シクロオクタン等のビス(ヒド
ロキシアリール)シクロアルカン類、4,4'−ジヒドロキ
シジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジ
メチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシジアリール
エーテル類、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィ
ド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルス
ルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,
4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4'−ジヒ
ドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホキシド等の
ジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4'−ジヒド
ロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'
−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリ
ールスルホン類等が使用できる。これらの2価フェノー
ルは単独で又は二種以上を混合して使用できる。
【0013】本発明で使用される炭酸ジエステルとして
は、例えばジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネ
ート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、 m−クレ
ジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジシクロ
ヘキシルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチ
ルカーボネート、ジブチルカーボネート等が使用でき
る。これらの炭酸ジエステルのなかでジフェニルカーボ
ネートが汎用される。これらの炭酸ジエステルは単独で
又は二種以上を混合して使用できる。炭酸ジエステルの
使用量は、通常2価フェノール1モルに対して0.90〜1.
50モル、好ましくは0.95〜1.25モルである。
【0014】尚、必要に応じて炭酸ジエステルの一部に
代えてジカルボン酸、ジカルボン酸エステルを用いても
良い。この場合、ポリエステルカーボネートが得られ
る。ジカルボン酸及びジカルボン酸エステルとしては、
例えばテレフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフ
タル酸、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。ジカ
ルボン酸及びジカルボン酸エステルの使用量は、例えば
炭酸ジエステルの50モル%以下、好ましくは30モル%以
下である。
【0015】本発明に使用される分岐剤は、水酸基、カ
ルボキシル基等の官能基を3個以上有する多官能性有機
化合物であり、3個以上の官能基の内の一部が反応して
も他の官能基の反応性が変わらない構造が望ましい。例
えば、トリメリト酸、トリメリト酸無水物、トリメリト
酸トリフェニル、ピロメリト酸、ピロメリト酸無水物、
ピロメリト酸テトラフェニル等の多価カルボン酸類及び
その誘導体類、 1,1,1−トリス( 4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、 1,1,1−トリス( 4−ヒドロキシ− 3−メ
チルフェニル)エタン、 1,1,1−トリス( 4−ヒドロキ
シ− 3,5−ジメチルフェニル)エタン、 1,1,1−トリス
( 3−クロロ− 4−ヒドロキシフェニル)エタン、 1,
1,1−トリス( 3,5−ジクロロ− 4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、トリス( 4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、トリス( 4−ヒドロキシフェニル)メタン等のトリ
スヒドロキシフェニルアルカン類、及び 1,4−ビス
(4',4''−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼ
ン、テトラキス( 4−ヒドロキシフェニル)メタン、 1
−〔α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチ
ル〕−4−〔α',α' −ビス( 4''−ヒドロキシフェニ
ル)エチル〕ベンゼン、 1−〔α,α−ビス−(4'−ヒ
ドロキシフェニル)エチル〕− 4−〔α',α' −ビス
(4''−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン等が挙
げられる。これらの官能基を3個以上有する多官能性有
機化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用でき
る。分岐剤の使用量は、2価フェノール1モルに対して
5×10-4〜2×10-2モルである。
【0016】本発明で使用される含窒素塩基性化合物で
あるアミン化合物は、電子供与性を有している限りその
種類は特に限定されない。電子供与性アミン化合物とし
ては、例えばピリジン、 4−アミノピリジン、 2−アミ
ノピリジン、 N,N−ジメチル− 4−アミノピリジン、
N,N−ジエチル− 4−アミノピリジン、 4−ピロリジノ
ピリジン、 2−ヒドロキシピリジン、 4−ヒドロキシピ
リジン、 2−メトキシピリジン、 4−メトキシピリジ
ン、ピコリン、ピリミジン、イミダゾール、 2−メチル
イミダゾール、 4−メチルイミダゾール、 2−ジメチル
アミノイミダゾール、 2−メトキシイミダゾール、 2−
メルカプトイミダゾール、ピラゾール、アミノキノリ
ン、ベンズイミダゾール、 N,N−ジメチルアニリン、ピ
ロリジン、モルホリン、 N−メチルモルホリン、ピペリ
ジン、ピペラジン、 1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0 〕−
7−ウンデセン(DBU) 、 1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0
〕− 5−ノネン(DBN) 等が挙げられる。これらの電子
供与性アミン化合物は、一種又は二種以上を混合して使
用できる。
【0017】前述の電子供与性アミン化合物と共に触媒
系を構成する化合物は、元素周期律表 IIb族、 IVb族及
びVb族の群から選択された元素を含む化合物である。こ
れらの元素を含む化合物は、有機又は無機化合物の何れ
であっても良い。元素周期律表 IIb族に属する元素とし
ては、亜鉛、カドミウム等が挙げられる。好ましい IIb
族元素としては亜鉛及びカドミウムが挙げられる。亜鉛
化合物としては、例えば酢酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、フェ
ニル酢酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、炭酸亜
鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、亜鉛−
クロム酸化物、亜鉛−クロム−銅酸化物等が挙げられ
る。カドミウム化合物としては、例えば酢酸カドミウ
ム、シュウ酸カドミウム、酸化カドミウム、ステアリン
酸カドミウム等が挙げられる。
【0018】IVb族に属する元素としては、ケイ素、ゲ
ルマニウム、錫、鉛が挙げられる。好ましい IVb族元素
としては、銅及び鉛が挙げられる。ケイ素化合物として
は、例えば酸化ケイ素、ケイ素−アルミニウム酸化物
(SiO2−Al2O3)、ケイ素−マグネシウム酸化物(SiO2
MgO)等が挙げられ、又ゲルマニウム化合物としては、例
えば酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム等が挙げら
れる。錫化合物としては、錫を含む有機又は無機化合
物、例えば酢酸第一錫、シュウ酸第一錫、オクチル酸
錫、塩化第一錫、塩化第二錫、酸化第一錫、酸化第二
錫、テトラフェニル錫等が挙げられる。鉛化合物の代表
例としては、例えば酢酸鉛、ホウ酸鉛、クエン酸鉛、水
酸化鉛、酸化鉛、リン酸鉛、フタル酸鉛、ステアリン酸
鉛等が挙げられる。
【0019】Vb族に属する元素としては、アンチモン及
びビスマスが挙げられる。アンチモン化合物としては、
例えば酢酸アンチモン、シュウ酸アンチモン、トリフェ
ニルアンチモン、三酸化アンチモン、五酸化アンチモ
ン、トリフェノキシアンチモン、トリメトキシアンチモ
ン、トリエトキシアンチモン、三塩化アンチモン等が挙
げられる。ビスマス化合物としては、ビスマスを含む有
機又は無機化合物、例えば酢酸ビスマス、シュウ酸ビス
マス、トリフェニルビスマス、トリフェノキシビスマ
ス、三酸化ビスマス、三塩化ビスマス等が挙げられる。
【0020】本発明の方法では、含窒素塩基性化合物
と、元素周期律表 IIb族、 IVb族及びVb族の群から選択
された元素を含む1種又は2種以上の化合物とを組合わ
せて触媒系を構成し、2価フェノールを炭酸ジエステル
と溶融重縮合反応させる。元素周期律表 IIb族、 IVb族
及びVb族の群から選択された元素を含む化合物は、前記
含窒素塩基性化合物と単独で組合わせて触媒系を構成し
ても良く、同種又は異種の前記元素を含む複数の化合物
と前記含窒素塩基性化合物とを組合わせて触媒系を構成
しても良い。
【0021】含窒素塩基性化合物の使用量は、重縮合反
応を損わない範囲であれば良く、例えば2価フェノール
1モルに対して10-7〜10-1モル、好ましくは10-6〜10-2
モルである。含窒素塩基性化合物の使用量が10-7モル未
満であると、所望の重合度、例えば重量平均分子量を約
5,000〜50,000とするために 220〜300 ℃の高温下で長
時間反応させる必要があり、ポリカーボネートの工業的
な製造法としては有効ではない。一方、10-1モルを超え
ると、生成するポリカーボネート中に残存する触媒量が
多くなるので、ポリカーボネートの物性が低下し易くな
る。
【0022】さらに、元素周期律表 IIb族、 IVb族及び
Vb族の群から選択された元素を含む化合物の使用量は、
例えば2価フェノール1モルに対して10-8〜10-2モル、
好ましくは10-7〜10-3モルである。これらの化合物の使
用量が10-8モル未満であると所望の重合度のポリカーボ
ネートを得るのに長時間を要し、ポリカーボネートの工
業的な製造法としては有効ではない。一方、10-2モルを
超えると、生成するポリカーボネート中に残存する触媒
量が多くなるので、ポリカーボネートの物性が低下し易
くなる。
【0023】エステル交換反応は、溶融重縮合反応に採
用される通常の方法、例えば反応初期に80〜250 ℃、好
ましくは 100〜230 ℃程度で反応させた後、減圧しなが
ら昇温し、最終的には 250〜320 ℃程度で反応させるこ
とにより行うことができる。尚、反応終結時の減圧度
は、例えば 0.3Torr以下にするのが好ましい。このよう
なエステル交換反応においては、重縮合反応が円滑に進
行し、着色がなく、実質的に塩素イオンを含まない、使
用した分岐剤の量に対応した分岐度のポリカーボネート
が得られ、ポリマー中には副反応により形成される分岐
構造は実質的に含まれない。
【0024】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例により限定される
ものではない。実施例1 内容積 300mlのフラスコに 2,2−ビス( 4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン45.66g(0.20モル)とジフェニルカ
ーボネート44.99g(0.21モル)及び 1,1,1−トリス( 4
−ヒドロキシフェニル)エタン0.45g(1.47×10-3
ル)を入れ、触媒として N,N−ジメチル− 4−アミノピ
リジン 1.2×10-3g(1×10-5モル)及び酢酸アンチモ
ン 6.0×10-4g(2×10-6モル)を添加した後、フラス
コ内を窒素置換し、 160℃に加熱した。原料溶融後の30
分間、 160℃、常圧で攪拌し、その後 240℃まで徐々に
昇温しながら系内を5Torrまで徐々に減圧し、フェノー
ル約32mlを留出させた。さらに、その後 270℃、0.2Tor
r まで昇温・減圧し、最終的に 270℃、0.2Torr で 1.5
時間重縮合反応させ、無色透明のポリカーボネートを得
た。
【0025】実施例2〜4 触媒および分岐剤の種類および添加量を下記に変えた以
外は実施例1と同様の操作を行って、何れも無色透明の
ポリカーボネートを得た。即ち、実施例2ではN,N−ジ
メチル− 4−アミノピリジン 1.2×10-3g(1×10-5
ル)及び酢酸アンチモン 3.0×10-4g(1×10-6モル)
とα,α',α" −トリス (4−ヒドロキシフェニル) −
1,3,5−トリイソプロピルベンゼン0.48g ( 1.0×10-3
モル) 、実施例3では N,N−ジメチル− 4−アミノピリ
ジン 1.2×10-3g(1×10-5モル)及び酢酸亜鉛 4.4×
10-4g(2×10-6モル)と 1,1,1−トリス (4−ヒドロ
キシフェニル) エタン0.61g ( 2.0×10-3モル) 、実施
例4では N,N−ジメチル−4−アミノピリジン 1.2×10
-3g(1×10-5モル)及び三酸化アンチモン1.17×10-4
g(4×10-6モル)と 1,1,1−トリス (4−ヒドロキシ
フェニル) エタン0.31g (1×10-3モル) を用いた。
【0026】参考例1,2 触媒を下記に変え、分岐剤を加えない以外は、実施例1
と同様の操作を行って、ポリカーボネートを得た。即
ち、参考例1では N,N−ジメチル− 4−アミノピリジン
1.2×10-3g(1×10-5モル)及び酢酸アンチモン 6.0
×10-4g(2×10 -6モル)、参考例2では酢酸カリウム
4.0×10-4g(4×10-6モル)を触媒として用いた。
【0027】比較例1 触媒を酢酸カリウム 4.0×10-4g(4×10-6モル)に変
えた以外は、実施例1と同様の操作を行ってポリカーボ
ネートを得た。
【0028】実施例1〜4、参考例1,2及び比較例1
で得られた全てのポリカーボネートについての極限粘
度、重量平均分子量、分岐パラメーターG値、アルカリ
金属イオン濃度及びアルカリ土類金属イオン濃度
〔M+ 〕、及び色相を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】表1から明らかなように、実施例1〜4で
得られたポリカーボネートは着色がなく、中空成形体の
製造に適した分岐度を有していることが判る。更に、参
考例1から判るように、実施例1〜4のポリカーボネー
トは副反応により生成する分岐構造を実質的に含んでい
ない。
【0031】
【発明の効果】本発明の方法によれば、特定の触媒の存
在下で、2価フェノールと炭酸ジエステルとのエステル
交換反応を行うので、着色の原因となる塩素イオンを含
まず、中空成形体等の製造に適した特定の分岐度を持つ
ポリカーボネートが得られる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分岐パラメーターG=〔η〕/〔η〕
    lin (ここで〔η〕は塩化メチレン中20℃における極限
    粘度であり、〔η〕lin は光散乱法で測定される重量平
    均分子量が同一の直鎖状ポリカーボネートの塩化メチレ
    ン中20℃における極限粘度である。)が 0.1以上で0.91
    未満であり、且つポリカーボネート中の塩素イオン濃度
    が 10ppm以下、アルカリ金属イオン濃度及びアルカリ土
    類金属イオン濃度が1ppm 以下である分岐状ポリカーボ
    ネート。
  2. 【請求項2】 分岐パラメーターGが 0.1以上で0.91未
    満であり、ポリカーボネートの全末端の内、水酸基末端
    が20モル%以下である分岐状ポリカーボネート。
  3. 【請求項3】 2価フェノールと炭酸ジエステルとから
    溶融エステル交換法によって製造される請求項1又は2
    記載の分岐状ポリカーボネート。
  4. 【請求項4】 2価フェノールと炭酸ジエステルとから
    溶融エステル交換法によってポリカーボネートを製造す
    る際、触媒として含窒素塩基性化合物と、元素周期律表
    IIb 族、IVb 族及びVb族の群から選択された元素を含む
    少なくとも1種の化合物とを用いる請求項1〜3の何れ
    か1項記載の分岐状ポリカーボネートの製造法。
  5. 【請求項5】 触媒が含窒素塩基性化合物と、アンチモ
    ン、ビスマス、錫、鉛、亜鉛及びカドミウムの群から選
    択された元素を含む少なくとも1種の化合物である請求
    項4記載の分岐状ポリカーボネートの製造法。
JP1037293A 1992-01-29 1993-01-26 分岐状ポリカーボネート及びその製造法 Pending JPH05271400A (ja)

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