JPH05271175A - 流動複屈折性を示すカリックスアレーン誘導体 - Google Patents

流動複屈折性を示すカリックスアレーン誘導体

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JPH05271175A
JPH05271175A JP2985693A JP2985693A JPH05271175A JP H05271175 A JPH05271175 A JP H05271175A JP 2985693 A JP2985693 A JP 2985693A JP 2985693 A JP2985693 A JP 2985693A JP H05271175 A JPH05271175 A JP H05271175A
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隆 小森
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 次の一般式化1で表されるカリックスアレー
ン誘導体。 【化1】 [式中、l、mおよびnは、それぞれ、0から7の整数
であり、l+m+n=3〜7であり、X1およびX2は、
互いに同一または別異の−Rまたは−ORで表される原
子団であり(但し、Rは、炭素数6〜22の直鎖または
分岐のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、また
はヒドロキシアルキル基を示す)、Y1およびY2は、互
いに同一または別異の原子団であり、−CH=N−、−
CH2−NH−、−CH=CH−、−N=N−、−CO
−O−および−NO=N−から選ばれ、Z1、Z2および
3は、互いに同一または別異の原子団であり、−OH
またはその置換基を示す。] 【効果】 外部応力の付加によって複屈折現象を起こ
し、この性質に基づき、ディスプレイや圧力センサーな
どに利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カリックスアレーン誘
導体に関し、特に、低融点化され、流動複屈折相を有す
る新規なカリックスアレーン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】カリックスアレーンはフェノールとホル
ムアルデヒドとの縮合反応による環状のオリゴマーであ
り、その分子構造が、ギリシア製の聖杯(Calix)に似
ている芳香族化合物(Arene)という理由によりこの名
称がつけられた。カリックスアレーンは、1950年前
後にZinkeらによってフェノール−ホルムアルデヒド樹
脂中に見い出され(A.Zinke, E.Zegler, Chem.Ber.,77,
264,(1944))、その後1970年代後半になって、Kaemm
ererらにより段階的方法ながら、環状4〜6量体が合成
され、初めて同定された(H.Kaemmerer, G.Happel, V.B
ohmer, D.Rathay, Monatsh.Chem., 109,767,(1978))。
さらに、Gutscheらはp−tert−ブチルフェノール
とホルムアルデヒドから一段階で4、6、8量体を収率
よく合成することを可能にした(C.D.Gutsche, Acc.Che
m.Res.,16,161,(1985))。これによってカリックスアレ
ーンの供給が容易になり、各種のカリックスアレーン誘
導体の製造法や構造・物性についての詳細な検討が行わ
れるようになった。
【0003】カリックスアレーンは以下のような特徴を
有している。フェノール環員数を変えることにより、
空孔径の異なる化合物を合成できる、フェノール性水
酸基を利用して種々の官能基を導入できる、芳香族置
換反応により種々の官能基を導入できる、コンホメー
ションを制御できる。これらの特徴をうまく応用するこ
とによって、種々のイオンや分子との相互作用が制御可
能なことから、カリックスアレーン誘導体はクラウンエ
ーテルおよびシクロデキストリン系ホスト化合物に次ぐ
「第三の包接化合物」として、ホスト・ゲスト化学にお
ける有力な研究材料として注目を集めるとともに、実用
面においても各種の機能性材料として期待されている。
【0004】このような要求に答えるために、フェノー
ル性OH基の存する底縁(lower rimと称されることが
多い)およびその反対側の上縁(upper rim)側に、ア
ルキル基、エステル基、エーテル基その他種々の官能基
を導入したカリックスアレーン誘導体が多数得られてい
る。例えば、lower rim側のOH基をエステル基やエー
テル基で置換したカリックスアレーン誘導体は金属イオ
ンに対する認識能の優れたイオノホアとして機能するこ
とが見い出されている。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、これ
らのカリックスアレーン誘導体のほとんどが、難溶性か
つ高融点であるため、取り扱いが非常に困難であるとい
う問題を抱えている。これは、カリックスアレーン自体
が有する構造的な硬さに由来するが、この構造的硬さこ
そがホスト分子としての特徴を発現しているという点に
おいて、カリックスアレーンは二律背反の問題を抱えて
いた。
【0006】すなわち、従来のカリックスアレーン誘導
体においては「ホスト分子としての優れた特徴」と「良
溶解性・低融点等の取り扱い易さ」とを同時に満足する
ようなものは未だ開発されていない。
【0007】
【課題を解決するための手段と発明の効果】本発明者ら
は、カリックスアレーンについて研究を続けるうちに、
従来のカリックスアレーン誘導体に見られる前述したよ
うな課題が解決された極めて特異な性質を有するカリッ
クスアレーン誘導体を見い出した。
【0008】すなわち、本発明は次の一般式〔化1〕で
表されるカリックスアレーン誘導体を提供する。
【0009】
【化1】
【0010】上記の一般式〔化1〕中、l、mおよびn
は、それぞれ、0〜7の整数である。但し、l+m+n
の値は3から7である。nは0である場合が多い。すな
わち、本発明は、フェノール環の員数が、4から8のカ
リックスアレーン誘導体である。
【0011】また、上記式中、X1およびX2は−Rまた
は−ORで表される原子団である。ここで、Rは、比較
的長鎖、すなわち、炭素数6〜22のアルキル基、アル
ケニル基、アルキニル基またはヒドロキシアルキル基を
示し、好ましくはアルキル基である。Rは一般に直鎖の
基であるが、分岐していてもよい。X1およびX2は、一
般には、互いに同一であるが、別異であってもよい。
【0012】式〔化1〕中、Y1およびY2は、−CH=
N−、−CH2−NH−、−CH=CH−、−N=N
−、−CO−O−および−NO=N−(アゾキシ基)か
ら選ばれる。Y1およびY2は、一般には、互いに同一で
あるが別異のものでもよい。
【0013】さらに、上記の一般式〔化1〕中、Z1
2およびZ3は、−OHまたはその置換基を示す。すな
わち、Z1、Z2およびZ3は、カリックスアレーンの lo
werrimにあるフェノール性OH基、または、カリックス
アレーンの所期の機能に応じて該OH基に従来より置換
・導入されていたような各種の官能基を示す。したがっ
て、そのような置換基例としては、−OR1、−OCH2
COOR2、OCH2COR3、または−OCH2CONR
4 2を挙げることができる(但し、R1、R2、R3および
4は、直鎖または分岐のアルキル基、アルケニル基、
アルキニル基またはヒドロキシアルキル基であり、その
炭素数は1〜18であるが、一般的には1〜10であ
る。Z1、Z2およびZ3の好ましい例は、−OCH3であ
る。
【0014】驚くべきことに、上に述べたような一般式
〔化1〕で表わされるカリックスアレーン誘導体は、溶
解性に優れ、融点が著しく低下し、流動複屈折性を示す
ことが見出された。すなわち、本発明のカリックスアレ
ーン誘導体は、多くの溶媒に対して良溶解性であり、親
化合物(出発物質となるカリックスアレーン)よりも少
なくとも約100℃以上も融点が低下し、そして、その
融点近くにおいて流動複屈折性を示す。ここで、流動複
屈折性とは、外部応力の付加によって生じた流れに沿っ
て分子配向が起こり、複屈折現象が認められることをい
う。
【0015】本発明のカリックスアレーン誘導体におい
てこのような性質が発現される理由は充分には明かでな
いが、カリックスアレーン構造の上縁(upper rim)側
に、芳香環を介してY1およびY2とX1およびX2とが存
在する特徴的な構造に由来するものと推測される。
【0016】本発明のカリックスアレーン誘導体におい
てX1およびX2を構成する−Rまたは−ORのRは比較
的長鎖、すなわち、炭素数6〜22、好ましくは、8〜
16のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基または
ヒドロキシアルキル基である。Rが短い場合は、低融点
下を起こさず、流動複屈折性も示さない。Rは、Y1
よびY2さらにはフェノール環員数等に応じて、所期の
カリックスアレーン誘導体を得るのに最適な基が選ばれ
る。概して言えば、Rの総炭素数がカリックスアレーン
の環数(l+m+n+1)の4〜18倍であることが好
ましい。総炭素数が環数の4倍より小さいと、R基導入
の効果が現れにくく、融点の低下が生じない。また18
倍より大きくなると、R基自身の運動性が低下し、同様
に融点の低下が生じない。
【0017】Y1およびY2が、−CH=N−(アゾメチ
ン基)またはその還元体である−CH2−NH−の場
合、X1およびX2を構成するRは、炭素数8〜16のア
ルキル基が特に好ましい。例えば、フェノール性OH基
がメトキシ基で置換されたカリックス[4]アレーン
(すなわち、Z1、Z2、Z3=OCH3、l+m+n=
3、n=0)に、ドデシルアニリンを結合させたカリッ
クスアレーン誘導体(すなわち、Y1およびY2が−CH
=N−、X1およびX2がC1225)は、室温以下で流動
性を示し始め、5〜40℃の広い温度範囲において極め
て明瞭な流動複屈折性を示すという好ましい性質を有し
ている。
【0018】一般にY1、Y2の連結基の構造は、X1
よびX2を構成するRほどの寄与はないが、融点と関係
している。X1、X2およびZ1、Z2、Z3を特定のもの
に固定してY1、Y2を変化させた場合、融点を低下させ
る効果は、−CH=CH−<−NO=N−(アゾキシ
基)<−N=N−<−CH=N−<−CO−O<−CH
2−NH−の順に大きくなるが、それほど大きな違いで
はない。
【0019】本発明のカリックスアレーン誘導体は、そ
の特異な性質を利用していろいろな応用が可能である。
以下、そのような応用について述べるが、本発明の用途
は以下に限定されるものではない。
【0020】本発明のカリックスアレーン誘導体を液体
(等方性)状態を呈する温度下で互いに直交する偏光板
間に挟むと光は通過しないが、外部的な応力を加えると
複屈折が出現し光が偏光板間を通過するようになる。し
たがって、本発明のカリックスアレーン誘導体は、例え
ば、応力が外場として分子配向を起こすディスプレイや
圧力センサーなどとして利用できる。この際、本発明の
カリックスアレーン誘導体を用いる場合、応答は等方相
(液体)から複屈折相への変化に基づいているので、複
屈折相から複屈折相への変化に基づく液晶ディスプレイ
に比較して、光のオン・オフ時の透過光量の差が大き
く、コントラストの明瞭なディスプレイが得られる。ま
た、液晶ディスプレイでは、当初から分子配向を起こし
ておくための前処理が必要であるが、本発明のディスプ
レイではこのような配向処理を施さなくてもよいという
利点もある。
【0021】別の応用例として、互いに直交する偏光板
間に挟み込んだ本発明の化合物に等方相温度下に応力を
与え、流動による配向を発生させたままで融点以下に温
度を下げる。すると、化合物の分子は配向したままで固
定され、永続的な複屈折を示すことになり、光は直交す
る偏光板を通過することができる。これを融点以上の環
境におくと、直ちに複屈折性は消失し、光は通過できな
くなる。これを用いれば、化合物の融点に対応した種々
の温度センサーを作ることができる。融点の異なる化合
物を幾つか組み合わせることによって任意の温度で光透
過性の失われる素子を作ることができる。これらは最高
温度計等として用いることができる。
【0022】また、従来のカリックスアレーン誘導体
は、溶解度が低いので、均一な塗膜を得るのは困難であ
った。これに対して、本発明のカリックスアレーン誘導
体は溶解性がよいので、適当な揮発性溶媒に溶解させ塗
布する等の手段により均一な塗膜を形成させることがで
きる。このとき、当初の塗布を融点以下の温度条件下に
行い乳濁色の塗膜を形成すると、温度を上げることによ
り透明な塗膜となる。このような現象は、融点を境にし
て可逆的に再現できることから、温度センサーあるいは
偏光板を用いないディスプレイ素子に応用可能と思われ
る。
【0023】さらに、本発明は、カリックスアレーン自
体が有する構造的な特徴を維持したまま、したがって、
カリックスアレーン構造が本来的に有する機能を損なう
ことなく、溶解性に優れ低融点であるなど取り扱い易い
カリックスアレーン誘導体を提供する。例えば、lower
rimのフェノール性水酸基を既述した従来から知られて
いるような官能基で置換することにより、特定の金属イ
オンを選択的に結合する能力を維持したまま、本発明に
従い、upper rimに、前記一般式〔化1〕に示すよう
に、芳香環を介してY1およびY2とX1およびX2とを配
置することにより極めて融点の低下したカリックスアレ
ーン誘導体を得ることができる。
【0024】本発明のカリックスアレーン誘導体は、既
知の合成法を工夫することにより製造することができ
る。例えば、Y1およびY2が−N=N−、あるいは−N
O=N−基の場合の合成法を示すと図1のスキームのよ
うになる。
【0025】すなわち、(1)のような芳香族アミンを
過剰の酸に溶かし、冷却しながら亜硝酸ナトリウム水溶
液を滴下し、ジアゾニウム塩(2)を調製する。これと
カリックス[n]アレーン(3)を塩基性下で反応させ
アゾ化合物として、さらにアルキルまたはアルケニル、
またはアルキニルハライドを反応させて目的物(6)を
製造することができる。
【0026】化合物(1)のジアゾ化反応は、無機酸に
溶解するか塩の形で懸濁し、亜硝酸ナトリウムを加えて
反応させるのが一般的な方法である。理論的な酸の必要
量は2当量であるが、好ましくは、ジアゾアミノ化合物
の副生をを防ぐため、2.5〜3当量用いる。亜硝酸ナ
トリウムは当量使用し、過剰の亜硝酸はスルファミン
酸、尿素などを加えて分解する。反応温度は普通0〜1
5℃の間で行うことが好ましい。ここで用いられる無機
酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素
酸、テトラフルオロほう酸などが挙げられる。
【0027】化合物(2)と(3)の反応は、反応に活
性な形はフェノラートイオンであることから一般にはカ
リックス[n]アレーンを塩基性下で溶液とし、ときに
炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウムなどの緩衝剤を加
えて、弱アルカリ性でジアゾニウム塩を加えてカップリ
ング反応を行う。溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムア
ミド等の極性溶媒および、これらと水との混合溶媒系が
好ましい。また、テトラフルオロボラートのような非求
核性アニオンを含むジアゾニウム塩を用いる場合は、テ
トラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等の溶媒中
で、ピリジン共存下容易にカリックス[n]アレーンと
カップリングできる。
【0028】アゾカリックス[n]アレーン(4)とR
1X(5)の反応は、好ましくは塩基の存在下、室温〜
溶媒の沸点までの温度にて行われる。ここで用いられる
塩基としては例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム
等の水酸化アルカリ:炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等
の炭酸アルカリ:水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水
素化物:ブチルリチウム等のアルキル化リチウムなどが
挙げられる。溶媒としては、アセトン、テトラヒドロフ
ラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル
などが好ましい。
【0029】o−置換アゾカリックス[n]アレーン
(6)をH22等で酸化すると、アゾキシカリックス
[n]アレーン(7)を製造することができる。
【0030】またY1およびY2が−N=CH−基の場合
の合成法を示すと図2のスキームのようになる。
【0031】すなわち、(8)のp−ニトロカリックス
[n]アレーンのニトロ基を還元剤にてアミノ基に還元
し、これにp−ホルミルアルキルベンゼン(10)を導
入することで目的物(11)を製造することができる。
(8)の還元に用いる還元剤としては、通常、芳香族ニ
トロ化合物のニトロ基をアミノ基に還元する還元剤を任
意に用いることができるが、例えばヒドラジン水和物を
触媒としての塩化鉄および活性炭の存在下に用いるのが
好ましい。また、用いる溶媒としてはメチルセロリルブ
が好ましい。
【0032】化合物(9)と(10)の反応は、水と共
沸可能なベンゼン等の溶媒中で行うか、あるいはシリカ
ゲル、モレキュラシーブス、MgSO4、Na2SO4
の脱水剤を懸濁させた溶媒中で行なわれる。
【0033】本発明に従うカリックスアレーン誘導体の
好ましい例である下記化合物〔化2〕に沿って製造法を
さらに詳述する。
【0034】
【化2】
【0035】反応スキームは、大略、図3のようにな
る。
【0036】すなわち、カリクッス[n]アレーン
(3)にアルキルまたはアルケニル、またはアルキニル
ハライド(4)を反応させ、次いで得られる化合物
(5)をホルミル化し化合物(6)を得る。この化合物
(6)とp−アルキルまたはアルケニル、またはアルキ
ニル或はアルコキシアニリン(7)を脱水縮合させるこ
とで化合物(2)(上記〔化2〕)が製造される。
【0037】化合物(3)と(4)の反応は、好ましく
は塩基の存在下、室温〜溶媒の沸点までの温度にて、1
〜20時間程度反応することにより行われる。ここで用
いられる塩基としては例えば水酸化カリウム、水酸化ナ
トリウム等の水酸化アルカリ;炭酸カリウム、炭酸ナト
リウム等の炭酸アルカリ;水酸化ナトリウム等のアルカ
リ金属水素化物;ブチルリチウム等のアルキル化リチウ
ム等が挙げられる。また、溶媒は目的の反応を阻害する
ものでなければ任意のものが使用可能であるが、特にア
セトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルム
アミド、アセトニトリルなどが好適に用いられる。また
余分な副反応を避けるために、窒素ガス等の不活性雰囲
気下で反応を行うことが望ましい。また、化合物(5)
のホルミル化反応は、N,N−ジメチルホルムアミドお
よびオキシ塩化リン等を用いるVilsmeier反応や、ヘキ
サメチレンテトラミンおよびトリフルオロ酢酸等を用い
るDuff反応等が挙げられる。
【0038】また、化合物(7)としては、前記一般式
〔化2〕のR2に対応する炭素数1〜22の直鎖または
分岐のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、また
はヒドロキシアルキル基を有するアニリンであれば良
い。
【0039】化合物(6)と(7)の反応は、水と共沸
可能なベンゼン等の溶媒中で行うか、あるいはシリカゲ
ル、モレキュラーシーブス、MgSO4、Na2SO4
の脱水剤を懸濁させた溶媒中で行われる。
【0040】Y1およびY2が、−CH2−NH−(また
は−NH−CH2−)のカリックスアレーン誘導体は、
図2または図3で示される(11)の化合物または
(2)のような化合物を適当な還元剤を用いて還元する
ことによって得ることができる。以下、本発明の特徴を
さらに明らかにするため、実施例に沿って本発明を説明
する。
【0041】
【実施例】図4に示すフローチャートに沿って本発明の
カリックスアレーン誘導体〔化11〕を製造した。
【0042】製造例1:中間体〔化9〕の製造 カリックス[8]アレーン4.52g(5.3ミリモ
ル)、水酸化ナトリウム7.5g(315ミリモル)、
およびヨウ化メチル68.4g(475ミリモル)を乾
燥させた200mlのテトラヒドロフランおよび、同じ
く乾燥させた、N,N−ジメチルホルムアミド10ml
よりなる混合溶媒中に添加し、この溶液を窒素気流下、
5時間加熱還流した。反応混合物より溶媒を減圧下に留
去し、残渣に500mlの水を注ぎ、500mlのクロ
ロホルムで抽出した。有機層を分離し、500mlの水
で4回洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶液
を濃縮した後、メタノールで処理して白色の固形分を得
た。この固形分をさらにクロロホルムとメタノールの混
合溶媒から再結晶して純粋な中間体〔化9〕(図4中の
化合物(9))(白色結晶、4.0g、収率79%)を
得た。
【0043】
【化9】
【0044】1H-NMR(CDCl3,30℃)δ6.87(s,3H,ArH), 4.
04(s,2H,ArCH2Ar), 3.51(s,3H,ArOCH3); HPLC(CHCl3,si
lica,0.5ml/min.,254nm)6.6min.
【0045】製造例2:中間体〔化10〕の製造 オクタメトキシカリックス[8]アレーン3.80g
(3.96ミリモル)、ヘキサメチレンテトラミン42
g(300ミリモル)を200mlのトリフルオロ酢酸
中に添加し、この溶液を窒素気流下90〜112℃で8
0時間加熱還流した。反応混合物を氷水500ml中に
注ぎ、1時間攪拌を続け、200mlのクロロホルムで
3回抽出した。有機層を500mlの水で4回洗浄した
後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下に留去
し、約5gの淡黄色固体を得た。この残渣をわずかの量
のクロロホルム−n−ヘキサン混合溶媒に溶かし込み、
クロロホルム:n−ヘキサン(4:1)の混合溶媒を展
開溶媒としてシリカゲル(ワコーゲルc−300)を充
填したカラムで分離・精製して純粋な中間体〔化10〕
(図4中の化合物(10))(白色粉末、550mg、
収率12%)を得た。
【0046】
【化10】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ9.67(s,1H,Ar-CHO), 7.43(s,2H,A
rH), 4.12(s,2H,ArCH2Ar), 3.64(s,3H,ArOCH3); HPLC(C
HCl3,silica,1.5ml/min.,254nm)12.7min.
【0047】製造例3:化合物〔化11〕の製造 p−ホルミル−o−メチルカリックス[8]アレーン7
4mg(0.0625ミリモル)、ヘキサデシルアニリ
ン156mg(0.5ミリモル)、およびモレキュラシ
ーブス4A1/16 1.5gを8gのクロロホルム中に添
加し、この溶液を窒素気流下、20時間加熱還流した。
反応混合物を濾過後、溶媒を減圧下に留去し、約200
mgの黄色粘性物を得た。これをさらにクロロホルム−
メタノールの混合溶媒より再結晶して純粋な化合物〔化
11〕(図4中の化合物(11))(淡黄褐色粘性固
体)を得た。
【0048】
【化11】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ8.14(s,1H,ArCH=N), 7.46(s,2H,A
rH), 6.98(b,4H,AniH), 4.03(b,2H,ArCH2Ar), 3.47(s,3
H,ArOCH3), 2.52(b,2H,ArCH 2CH2), 1.54(s,2H,ArCH2C
H 2), 1.22(s,26H,C13H26), 0.85(m,3H,CH3); HPLC(CHCl
3,silica,0.5ml/min.,254nm)5.1min.
【0049】物性測定例1:化合物〔化11〕の熱分析 製造例3で得られた化合物〔化11〕3.84mgを1
5μlのAg製密封型セルに量り取り、昇温速度1.0
℃/min.にて−30℃〜90℃の範囲でDSC測定
を行った(seiko,DSC120)。本化合物〔化11〕は約1
5℃から55℃に渡って複数個の吸熱ピークを持ってお
り、55℃以上では等方性液体である。中間体である
〔化10〕の融点が275〜280℃であることを考え
ると、アゾメチン結合を介してp−ヘキサデシルフェニ
ル基を導入したことで融点が250℃近く低下したこと
になる。また、本化合物〔化11〕は融点の劇的低下の
みならず、溶媒に対する溶解度も飛躍的に増大し、極め
て取り扱い易い化合物となった。DSCチャートを図5
に示す。さらに本化合物は融点付近の等方相において流
動複屈折性を示した。
【0050】製造例4:化合物〔化12〕の製造 製造例3におけるヘキサデシルアニリン156mgのか
わりにオクチルアニリン100mgを用いた他は、製造
例3と同様な操作を行い、下記式〔化12〕で表される
化合物を得た。
【0051】
【化12】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ8.2(s,1H,ArCH=N), 7.5(s,2H,Ar
H), 7.0(q,4H,AniH),4.1(b,2H,ArCH2Ar), 3.5(s,3H,ArO
CH3), 2.6(t,2H,ArCH 2CH2), 1.6(b,2H,ArCH2CH 2), 1.3
(s,10H,C5H10), 0.9(t,3H,CH3);HPLC(CHCl3,silica,0.5
ml/min.,254nm)5.5min.;DSC(1℃/min.)67℃(吸熱ピー
クトップ),1mj/mg以下
【0052】製造例5:化合物〔化13〕の製造 製造例3におけるヘキサデシルアニリン156mgのか
わりにドデシルアニリン132mgを用いた他は、製造
例3と同様な操作を行い、下記式〔化13〕で表される
化合物を得た。
【0053】
【化13】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ8.2(s,1H,ArCH=N), 7.5(s,2H,Ar
H), 7.0(s,4H,AniH),4.1(b,2H,ArCH2Ar), 3.5(s,3H,ArO
CH3), 2.6(t,2H,ArCH 2CH2), 1.6(s,2H,ArCH2CH 2), 1.3
(s,18H,C9H18), 0.9(t,3H,CH3);HPLC(CHCl3,silica,0.5
ml/min.,254nm)5.3min.;DSC(1℃/min.)54℃,1mj/mg以下
【0054】製造例6:化合物〔化14〕の製造 製造例3におけるヘキサデシルアニリン156mgのか
わりにテトラデシルアニリン150mgを用いた他は、
製造例3と同様な操作を行い、下記式〔化14〕で表さ
れる化合物を得た。
【0055】
【化14】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ8.1(s,1H,ArCH=N), 7.5(s,2H,Ar
H), 7.0(q,4H,AniH),4.0(b,2H,ArCH2Ar), 3.5(s,3H,ArO
CH3), 2.5(t,2H,ArCH 2CH2), 1.5(m,2H,ArCH2CH 2), 1.3
(s,22H,C11H22), 0.9(t,3H,CH3);HPLC(CHCl3,silica,0.
5ml/min.,254nm)5.1min.;DSC(1℃/min.)47℃,1mj/mg以
【0056】製造例7:中間体〔化15〕o−メチルカ
リックス[6]アレーンの製造 製造例1におけるカリックス[8]アレーンのかわりに
カリックス[6]アレーンを用いた他は、製造例1とほ
ぼ同様な操作を行い、o−メチルカリックス[6]アレ
ーン〔化15〕を得た。
【0057】
【化15】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ6.95(m,3H,ArH), 3.95(s,2H,ArCH
2Ar), 3.19(s,3H,ArOCH3); HPLC(CHCl3,silica,1.0ml/m
in.,254nm)3.6min.
【0058】製造例8:中間体〔化16〕p−ホルミル
−o−メチルカリックス[6]アレーンの製造 製造例2におけるオクタメトキシカリックス[8]アレ
ーンのかわりにヘキサメトキシカリックス[6]アレー
ンを用いた他は、製造例2とほぼ同様な操作を行い、p
−ホルミル−o−メチルカリックス[6]アレーン〔化
16〕を得た(収率32%)。
【0059】
【化16】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ9.70(s,1H,ArCHO), 7.45(s,2H,Ar
H), 4.06(s,2H,ArCH2Ar), 3.49(s,3H,ArOCH3); HPLC(CH
Cl3,silica,1.5ml/min.,254nm)8.7min.
【0060】製造例9:化合物〔化17〕の製造 p−ホルミル−o−メチルカリックス[6]アレーン1
48mg(0.17ミリモル)、ヘキサデシルアニリン
317mg(1ミリモル)およびモレキュラシーブス4
A1/16 1.5gを15gのクロロホルム中に添加し、
この溶液を窒素気流下、11時間加熱還流した。反応混
合物を濾過後、溶媒を減圧下に留去し、黄色粘性物を得
た。これをさらにクロロホルム−メタノールの混合溶媒
より再沈澱して純粋な化合物〔化17〕を得た。
【0061】
【化17】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ8.23(s,1H,ArCH=N), 7.55(s,2H,A
rH), 7.09(s,4H,AniH), 4.05(b,2H,ArCH2Ar), 3.40(s,3
H,ArOCH3), 2.59(t,2H,ArCH 2CH2), 1.57(b,2H,ArCH2C
H 2), 1.26(s,26H,C13H26), 0.88(t,3H,CH3); HPLC(CHCl
3,silica,0.5ml/min.,254nm)5.6min.;DSC(1℃/min.) 40
℃, 8.4mj/mg
【0062】製造例10:化合物〔化18〕の製造 製造例9におけるヘキサデシルアニリン317mgのか
わりにテトラデシルアニリン289mgを用いた他は、
製造例9と同様な操作を行い下記式〔化18〕で表され
る化合物を得た。
【0063】
【化18】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ8.24(s,1H,ArCH=N), 7.55(s,2H,A
rH), 7.08(s,4H,AniH), 4.05(b,2H,ArCH 2CH2), 3.40(b,
3H,ArOCH3), 2.50-2.65(t,2H,ArCH 2CH2), 1.58(s,2H,Ar
CH2CH 2), 1.26(s,22H,C11H22), 0.87(t,3H,CH3); HPLC
(CHCl3,silica,0.5ml/min.,254nm)5.3min.;DSC(1℃/mi
n.) 47℃, 3.8mj/mg
【0064】製造例11:化合物〔化19〕の製造 製造例9におけるヘキサデシルアニリン317mgのか
わりにドデシルアニリン262mgを用いた他は、製造
例9と同様な操作を行い下記式〔化19〕で表される化
合物を得た。
【0065】
【化19】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ8.23(s,1H,ArCH=N), 7.55(s,2H,A
rH), 7.09(s,4H,AniH), 4.05(s,2H,ArCH2Ar), 3.40(s,3
H,ArOCH3), 2.59(t,2H,ArCH 2CH2), 1.59(m,2H,ArCH2C
H 2), 1.26(s,18H,C9H18), 0.88(t,3H,CH3); HPLC(CHC
l3,silica,0.5ml/min.,254nm)5.4min.;DSC(1℃/min.) 4
2℃, 2.2mj/mg
【0066】製造例12:化合物〔化20〕の製造 製造例9におけるヘキサデシルアニリン317mgのか
わりにオクチルアニリン205mgを用いた他は、製造
例9と同様な操作を行い、下記式〔化20〕で表される
化合物を得た。
【0067】
【化20】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ8.24(s,1H,ArCH=N), 7.55(s,2H,A
rH), 7.09(s,4H,AniH), 4.05(s,2H,ArCH 2CH2), 3.40(s,
3H,ArOCH3), 2.59(t,2H,ArCH2CH 2), 1.62(m,2H,ArCH2CH
2), 1.27(s,10H,C5H10), 0.87(t,3H,CH3); HPLC(CHCl3,
silica,1.5ml/min.,254nm)1.9min.;DSC(1℃/min.) 56
℃, 3.5mj/mg
【0068】製造例13:中間体〔化21〕o−メチル
カリックス[4]アレーンの製造 カリックス[4]アレーン6.0g(14.2ミリモ
ル)、水素化ナトリウム5.4g(225ミリモル)、
およびヨウ化メチル82.1g(570ミリモル)を乾
燥させた270mlのテトラヒドロフラン、および同じ
く乾燥させたN,N−ジメチルホルムアミド30mlよ
りなる混合溶媒中に添加し、この溶液を窒素気流化、1
8時間加熱還流した。反応混合物より溶媒を減圧下に留
去し、残渣に500mlの水を注ぎ、500mlのクロ
ロホルムで抽出した。有機層を分離し、500mlの水
で4回洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。クロ
ロホルムを留去し、メタノールで粗結晶を洗浄した後、
クロロホルム−メタノールの混合溶媒から再結晶して純
粋な中間体〔化21〕(白色結晶、5.73g、収率8
4%)を得た。
【0069】
【化21】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ6.4〜7.2(b,3H,ArH), 3.0〜4.6
(b,5H,ArCH 2Ar,ArOCH3);HPLC(CHCl3,silica,0.5ml/mi
n.,254nm)6.24min.
【0070】製造例14:中間体〔化22〕p−ホルミ
ル−o−メチルカリックス[4]アレーンの製造 テトラメトキシカリックス[4]アレーン4.0g
(8.3ミリモル)、ヘキサメチレンテトラミン42g
(300ミリモル)を200mlのトリフルオロ酢酸中
に添加し、この溶液を窒素気流下90℃〜100℃で2
4時間加熱還流した。反応混合物を氷水500ml中に
注ぎ、1時間攪拌を続け、200mlのクロロホルムで
3回抽出した。有機層を500mlの水で4回洗浄した
後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下に留去
濃縮し、ここにn−ヘキサンを加え4.63gの固体を
得た。クロロホルム−n−ヘキサンより再結晶し3.5
2g(収率72%)の中間体〔化22〕の白色結晶を得
た。
【0071】
【化22】
【0072】製造例15:化合物〔化23〕の製造 p−ホルミル−o−メチルカリックス[4]アレーン1
48mg(0.25ミリモル)、ヘキサデシルアニリン
317mg(1ミリモル)、およびモレキュラシーブス
4A1/16 1.5gを16gのクロロホルム中に添加
し、この溶液を窒素気流下、約40時間加熱還流した。
反応混合物を濾過後、溶媒を減圧下に留去し、乳濁ガラ
ス状固体を得た。これをさらにクロロホルム−メタノー
ルの混合溶媒より再沈澱して純粋な化合物〔化23〕を
得た。
【0073】
【化23】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ8.2(s,1H,ArCH=N), 7.3-7.8(b,2
H,ArH), 7.0(s,4H,AniH), 2.8-4.5(m,5H,ArCH2Ar/ArOCH
3), 2.6(t,2H,ArCH 2CH2), 1.6(b,2H,ArCH2CH 2),1.2(s,2
6H,C13H26), 0.9(t,3H,CH3); HPLC(CHCl3,silica,0.5ml
/min.,254nm)5.5min.;DSC(1℃/min.) 45℃, 44mj/mg
【0074】製造例16:化合物〔化24〕の製造 製造例15におけるヘキサデシルアニリン317mgの
かわりにテトラデシルアニリン298mgを用いた他
は、製造例15と同様な操作を行い、下記式〔化24〕
で表される化合物を得た。
【0075】
【化24】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ8.2(s,1H,ArCH=N), 7.4-7.8(b,2
H,ArH), 7.0(s,4H,AniH), 3.0-4.4(m,5H,ArCH2Ar/ArOCH
3), 2.6(t,2H,ArCH 2CH2), 1.5(s,4H,ArCH2CH 2),1.3(s,2
0H,C10H20), 0.9(t,3H,CH3); HPLC(CHCl3,silica,0.5ml
/min.,254nm)5.5min.;DSC(1℃/min.) 28℃, 24.8mj/mg
【0076】製造例17:化合物〔化25〕の製造 製造例15におけるヘキサデシルアニリン317mgの
かわりにドデシルアニリン262mgを用いた他は、製
造例15と同様な操作を行い、下記式〔化25〕で表さ
れる化合物を得た。
【0077】
【化25】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ8.2(s,1H,ArCH=N), 7.3-7.8(b,2
H,ArH), 7.0(s,4H,AniH), 3.0-4.6(m,5H,ArCH2Ar/ArOCH
3), 2.6(t,2H,ArCH2CH2), 1.6(s,2H,ArCH2CH 2),1.3(s,1
8H,C9H18), 0.9(t,3H,CH3); HPLC(CHCl3,silica,0.5ml/
min.,254nm)5.6min.;DSC(1℃/min.) 20℃, 2.7mj/mg
【0078】製造例18:化合物〔化26〕の製造 製造例15におけるヘキサデシルアニリン317mgの
かわりにオクチルアニリン205mgを用いた他は、製
造例15と同様な操作を行い、下記式〔化26〕で表さ
れる化合物を得た。
【0079】
【化26】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ8.2(s,1H,ArCH=N), 7.3-7.8(b,2
H,ArH), 6.8-7.2(s,4H,AniH), 3.0-4.6(m,5H,ArCH2Ar/A
rOCH3), 2.6(t,2H,ArCH 2CH2), 1.6(s,2H,ArCH2CH 2), 1.
3(s,10H,C5H10), 0.9(t,3H,CH3); HPLC(CHCl3,silica,
0.5ml/min.,254nm)5.9min.;DSC(1℃/min.) 27℃, 3.2mj
/mg
【0080】製造例19:中間体〔化27〕トリホルミ
ル−o−メチルカリックス[6]アレーン ヘキサメトキシカリックス[6]アレーン3.00g
(4.17ミリモル)、ヘキサメチレンテトラミン7.
30g(52ミリモル)を175mlのトリフルオロ酢
酸中に添加し、この溶液を窒素気流下70℃〜80℃で
3時間加熱還流した。反応混合物を氷水500ml中に
注ぎ、1時間攪拌を続け、200mlのクロロホルムで
3回抽出した。有機層を500mlの水で4回洗浄した
後、硫酸マグネシウムで乾燥した。クロロホルムを減圧
下留去し、約4.0gの淡黄色透明固体を得た。これを
わずかの量のクロロホルム−n−ヘキサン混合溶媒に溶
かし込み、クロロホルム:n−ヘキサン(7:3)の混
合溶媒を展開溶媒としてシリカゲル(ワコーゲルc−3
00:150g)を充填したカラムで分離・精製して純
粋な中間体〔化27〕(白色結晶、収率約25%)を得
た。
【0081】
【化27】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ9.80(s,1.5H,ArCHO), 9.70(s,1.5
H,ArCHO), 7.4-7.6(m,6H,H-ArCHO), 6.90(s,9H,ArH),
4.0(s,12H,ArCH2Ar), 3.30(d,18H,ArOCH3); HPLC(CHC
l3,silica,1.5ml/min.)5.9min.
【0082】製造例20:化合物〔化28〕の製造 中間体〔化27〕67mg(0.083ミリモル)、ヘ
キサデシルアニリン82mg(0.25ミリモル)、お
よびモレキュラシーブス4A1/16 1.0gを8gのク
ロロホルム中に添加し、この溶液を窒素気流下、約40
時間加熱還流した。反応混合物を濾過後、溶媒を減圧下
に留去し、粘性淡黄色物質を得た。これをさらにクロロ
ホルム−メタノールの混合溶媒より再沈澱して化合物
〔化28〕を得た。
【0083】
【化28】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ8.3(s,1H,ArCH=N), 7.6(b,2H,Ar
H), 7.1(s,4H,AniH), 6.9(b,3H,ArH), 4.0(s,4H,ArCH2A
r), 3.1-3.5(m,6H,ArOCH3), 2.6(t,2H,ArCH 2CH2), 1.6
(b,2H,ArCH2CH 2), 1.2(s,26H,C13H26), 0.9(t,3H,CH3);
HPLC(CHCl3,silica,0.5ml/min.,254nm)5.5min.;DSC(1
℃/min.) 27℃, 1mj/mg
【0084】製造例21:中間体〔化29〕ペンタホル
ミル−o−メチルカリックス[6]アレーンの製造 ヘキサメトキシカリックス[6]アレーン2.00g
(2.78ミリモル)、ヘキサメチレンテトラミン7.
00g(50ミリモル)を35mlのトリフルオロ酢酸
中に添加し、この溶液を窒素気流下90℃〜100℃で
30時間加熱還流した。反応混合物を氷水500ml中
に注ぎ、1時間攪拌を続け、500mlのクロロホルム
で抽出した。有機層を500mlの水で3回洗浄した
後、硫酸マグネシウムで乾燥した。クロロホルムを留去
し、約2.5gの粗結晶を得た。これをわずかの量のク
ロロホルム−n−ヘキサンに溶かし込み、クロロホル
ム:n−ヘキサン(4:1)の混合溶液を展開溶媒とし
てシリカゲル(ワコーゲルc−300:150g)を充
填したカラムで分離・精製して純粋な中間体〔化29〕
(白色結晶、収率約20%)を得た。
【0085】
【化29】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ9.82,9.68(s,5H,ArCHO), 7.4-7.6
(d,10H,HArCHO), 6.90(s,3H,ArH), 4.05(d,12H,ArCH 2A
r), 3.40-3.50(q,18H,ArOCH3); HPLC(CHCl3,silica,1.5
ml/min.)5.9min.
【0086】製造例22:化合物〔化30〕の製造 中間体〔化29〕87mg(0.10ミリモル)、ヘキ
サデシルアニリン166mg(0.5ミリモル)、およ
びモレキュラシーブス4A1/16 1.0gを10gのク
ロロホルム中に添加し、この溶液を窒素気流下、約48
時間加熱還流した。反応混合物を濾過後、溶媒を減圧下
に留去し、粘性淡黄色物質を得た。これをさらにクロロ
ホルム−メタノールの混合溶媒より再沈澱して化合物
〔化30〕を得た。
【0087】
【化30】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ8.2(s,5H,ArCH=N), 7.6(s,10H,Ar
H), 7.1(s,20H,AniH),7.0(b,3H,ArH), 4.0(b,12H,ArCH2
Ar), 3.3-3.5(d,18H,ArOCH3), 2.6(t,10H,ArCH 2CH2),
1.6(m,10H,ArCH2CH 2), 1.3(s,130H,C13H26), 0.9(t,15
H,CH3); HPLC(CHCl3,silica,0.5ml/min.,254nm)5.3mi
n.;DSC(1.0℃/min.) 38℃, 1.1mj/mg
【0088】製造例23:化合物〔化31〕の製造 p−ホルミル−o−メチルカリックス[4]アレーン1
48mg(0.25ミリモル)、ヘキサデシルアニリン
158mg(0.5ミリモル)、ドデシルアニリン13
1mg(0.5ミリモル)、およびモレキュラシーブス
4A1/16 1.5gを16gのクロロホルム中に添加
し、この溶液を窒素気流下、約40時間加熱還流した。
反応混合物を濾過後、溶媒を減圧下に留去し、乳濁ガラ
ス状固体を得た。これをさらにクロロホルム−メタノー
ルの混合溶媒より再沈澱して化合物〔化31〕を得た。
【0089】
【化31】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ8.2(b,2H,ArCH=N), 7.3-8.0(b,4
H,ArH), 6.8-7.3(b,8H,AniH), 3.0-4.6(b,10H,ArCH2Ar/
ArOCH3), 2.6(t,4H,ArCH 2CH2), 1.6(b,4H,ArCH2CH 2),
1.3(s,44H,C13H26/C9H18), 0.9(t,6H,CH3); HPLC(CHC
l3,silica,0.5ml/min.,254nm)5.5min.;DSC(1℃/min.) 2
8.8℃, 26.1mj/mg
【0090】製造例24:中間体〔化32〕p−アミノ
−o−メチルカリックス[6]アレーンの製造 p−ニトロ−o−メチルカリックス[6]アレーン1.
9gをメチルセロリルブ100mlに加え、これに活性
炭0.4gと塩化第二鉄6水和物0.065gを加え
て、80℃で30分間加熱攪拌した。次いで、ヒドラジ
ン1水和物12mlを滴下し、さらに5時間加熱攪拌し
た後、熱時活性炭を濾別した。濾液を冷却し、析出した
結晶を濾取して、エタノールから中間体〔化32〕を再
結晶した(収量1.5g)。
【0091】
【化32】
【0092】製造例25:化合物〔化33〕の製造 p−アミノ−o−メチルカリックス[6]アレーン13
5mg(0.167ミリモル)、p−ホルミルフェニル
ヘキサデカン330mg(1ミリモル)、およびモレキ
ュラシーブス4A1/16 3gを16gのクロロホルム中
に添加し、この溶液を窒素気流下、20時間加熱還流し
た。反応混合物を濾過後、溶媒を減圧下に留去し、約4
00mgの黄色粘性物を得た。これをさらにクロロホル
ム−メタノールの混合溶媒より再結晶して純粋な化合物
〔化33〕を得た。
【0093】
【化33】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ8.2(s,1H,-CH=N-), 7.6(s,4H,RAr
H), 7.0(s,2H,CH3OArH), 3.8(b,2H,ArCH2Ar), 3.7(s,3
H,ArOCH3), 2.4-2.6(b,2H,ArCH 2CH2), 1.6(b,2H,ArCH2C
H 2), 1.3(s,26H,C13H26), 0.8-1.0(t,3H,CH3)
【0094】製造例26:化合物〔化34〕の製造 p−アミノ−o−メチルカリックス[6]アレーン13
5mg(0.167ミリモル)、p−ホルミルフェニル
オクタデカン218mg(1ミリモル)、およびモレキ
ュラシーブス4A1/16 3gを16gのクロロホルム中
に添加し、製造例25と同様にして純粋な化合物〔化3
4〕を得た。
【0095】
【化34】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ8.2(s,1H,-CH=N-), 7.6(s,4H,RAr
H), 7.0(s,2H,CH3OArH), 3.8(s,2H,ArCH2Ar), 3.7(s,3
H,ArOCH3), 2.4-2.6(t,2H,ArCH 2CH2), 1.6(b,2H,ArCH2C
H 2), 1.3(s,10H,C13H26), 0.8-1.0(t,3H,CH3)
【0096】製造例27:化合物〔化35〕の製造 化合物〔化23〕50mgを10gの乾燥したクロロホ
ルムに溶解させ、N2気流下加熱した。還流が始まった
後、2mlのメタノールに溶解した50mgの水素化ホ
ウ素ナトリウムを上記溶液中に速やかに加えた。約10
分後、加熱を止め室温まで冷却した。反応液を50ml
の水で4回洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。
乾燥した反応液を減圧下濃縮し、ここに約10mlのM
eOHを加えて目的化合物(35)を沈澱物として得
た。これをさらにクロロホルム−メタノールの混合溶媒
より再沈澱して純粋な下式〔化35〕の化合物を得た。
【0097】
【化35】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ6.8-7.2(d,4H,AniH),6.4-6.8(b,2
H,ArH),2.8-4.6(m,8H,ArCH2Ar/ArOCH3/ArCH2NH),2.3-2.
7(t,2H,ArCH 2CH),1.6(b,2H,ArCH2CH 2),1.2(s,26H,C13H
26),0.8-1.0(t,3H,CH3);HPLC(CHCl3:MeOH=9:1,silica,
0.5ml/min.,254nm)5.2min.
【0098】製造例28:化合物〔化36〕の製造 製造例27における〔化23〕の化合物のかわりに〔化
24〕の化合物を用いた他は、製造例27と同様な操作
を行い、下記式〔化36〕で表される化合物を得た。
【0099】
【化36】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ6.8-7.2(d,4H,AniH),6.3-6.8(b,2
H,ArH),2.8-4.6(m,8H,ArCH2Ar/ArOCH3/ArCH2NH),2.3-2.
6(t,2H,ArCH 2CH2),1.6(b,2H,ArCH2CH 2),1.2(s,22H,C11H
22),0.8-1.0(t,3H,CH3);HPLC(CHCl3:MeOH=9:1,silica,
0.5ml/min.,254nm)5.3min.
【0100】製造例29:化合物〔化37〕の製造 製造例27における式〔化23〕化合物のかわりに〔化
25〕の化合物を用いた他は、製造例27と同様な操作
を行い、下記式〔化37〕で表される化合物を得た。
【0101】
【化37】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ6.8-7.2(d,4H,AniH),6.3-6.8(b,2
H,ArH),2.8-4.6(m,8H,ArCH2Ar/ArOCH3/ArCH2NH),2.3-2.
7(t,2H,ArCH 2CH2),1.5-1.7(b,2H,ArCH2CH 2),1.2(s,18H,
C9H18),0.7-1.0(t,3H,CH3);HPLC(CHCl3:MeOH=9:1,silic
a,0.5ml/min.,254nm)5.4min.
【0102】製造例30:化合物〔化38〕の製造 製造例27における式〔化23〕化合物のかわりに〔化
26〕の化合物を用いた他は、製造例27と同様な操作
を行い、下記式〔化38〕で表される化合物を得た。
【0103】
【化38】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ6.8-7.4(d,4H,AniH),6.3-6.8(b,2
H,ArH),2.8-4.6(m,8H,ArCH2Ar/ArOCH3/ArCH2NH),2.3-2.
6(t,2H,ArCH 2CH2),1.5-1.7(b,2H,ArCH2CH 2),1.3(s,10H,
C5H10),0.7-1.0(t,3H,CH3);HPLC(CHCl3:MeOH=9:1,silic
a,0.5ml/min.,254nm)5.5min.
【0104】製造例31:化合物〔化39〕の製造 製造例27における化合物〔化23〕のかわりに化合物
〔化17〕を用いた他は、製造例27と同様な操作を行
い、下記式〔化39〕で表される化合物を得た。
【0105】
【化39】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ6.7-7.1(t,4H,AniH),6.2-6.4(d,2
H,ArH),3.2-4.2(b,8H,ArCH2Ar/ArOCH3/ArCH2NH),2.3-2.
6(b,2H,ArCH 2CH2),1.6(s,2H,ArCH2CH 2),1.3(s,26H,C13H
26),0.8-1.0(t,3H,CH3);HPLC(CHCl3:MeOH=9:1,silica,
0.5ml/min.,254nm)4.9min.
【0106】製造例32:化合物〔化40〕の製造 製造例27における〔化23〕の化合物のかわりに化合
物〔化18〕を用いた他は、製造例27と同様な操作を
行い、下記式〔化40〕で表される化合物を得た。
【0107】
【化40】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ6.7-7.1(t,4H,AniH),6.2-6.5(d,2
H,ArH),3.3-4.2(b,8H,ArCH2Ar/ArOCH3/ArCH2NH),2.3-2.
6(b,2H,ArCH 2CH2),1.6(s,2H,ArCH2CH 2),1.3(s,22H,C11H
22),0.7-1.0(t,3H,CH3);HPLC(CHCl3:MeOH=9:1,silica,
0.5ml/min.,254nm)5.1min.
【0108】製造例33:化合物〔化41〕の製造 製造例27における化合物〔化23〕のかわりに化合物
〔化19〕を用いた他は、製造例27と同様な操作を行
い、下記式〔化41〕で表される化合物を得た。
【0109】
【化41】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ6.7-7.0(t,4H,AniH),6.2-6.5(d,2
H,ArH),3.3-4.1(b,8H,ArCH2Ar/ArOCH3/ArCH2NH),2.3-2.
6(b,2H,ArCH 2CH2),1.6(s,2H,ArCH2CH 2),1.2(s,18H,C9H
18),0.7-1.0(t,3H,CH3);HPLC(CHCl3:MeOH=9:1,silica,
0.5ml/min.,254nm)5.2min.
【0110】製造例34:化合物〔化42〕の製造 製造例27における化合物〔化23〕のかわりに化合物
〔化20〕を用いた他は、製造例27と同様な操作を行
い、下記式〔化42〕で表される化合物を得た。
【0111】
【化42】 1H-NMR(CDCl3,30℃)δ6.6-7.0(t,4H,AniH),6.2-6.5(d,2
H,ArH),3.3-4.2(b,8H,ArCH2Ar/ArOCH3/ArCH2NH),2.3-2.
6(t,2H,ArCH 2CH2),1.5-1.7(b,2H,ArCH2CH 2),1.3(s,10H,
C5H10),0.7-1.0(t,3H,CH3);HPLC(CHCl3:MeOH=9:1,silic
a,0.5ml/min.,254nm)5.4min.
【0112】製造例35:化合物〔化43〕の製造 1.52g(15mmol)のジイソプロピルアミンを
含む10mlの乾燥テトラヒドロフラン中に、10mm
olのBuLiを含む6.25mlのヘキサン溶液を氷
冷下にゆっくりと加える。この反応溶液中に3.9g
(15mmol)のp−ドデシルトルエンを含む10m
lの乾燥テトラヒドロフラン溶液を加え、氷冷下約1時
間攪拌を続けた。これを、中間体化合物(22)p−ホ
ルミル−O−メチルカリックス〔4〕アレーン1g
(1.75mmol)を含む10mlの乾燥テトラヒド
ロフラン溶液中に氷冷下ゆっくりと加える。約10時間
後、本反応液を100mlの水中に投入し30分間攪拌
する。400mlのクロロホルムにて化合物を抽出し、
700mlの水で5回洗浄後硫酸マグネシウムで乾燥し
た。減圧下反応液を濃縮しクロロホルム−n−ヘキサン
混合溶媒より再沈澱することによって、中間体1.35
gを得た。この中間体1.35gを135mlのトリフ
ルオロ酢酸に溶解させ15時間還流した。反応溶液を4
00mlの氷水中に投入し、炭酸ナトリウムにてpH
8.0とした。約250mlのクロロホルムにて抽出
し、300mlの水で4回洗浄後硫酸マグネシウムで乾
燥した。減圧下反応液を濃縮し、クロロホルム−n−ヘ
キサン混合溶媒より再沈澱することによって次式〔化4
3〕の純粋な化合物750mgを得た。
【0113】
【化43】
【0114】製造例36:化合物〔化44〕の製造 製造例35におけるp−ドデシルトルエンのかわりにp
−ヘキサデシルトルエンを用いた他は、製造例35と同
様な操作を行い、下記式〔化44〕で表される化合物8
00mgを得た。
【0115】
【化44】
【0116】製造例37:化合物〔化45〕の製造 5.5mmolのp−ドデシルベンゼンジアゾニウムの
テトラフルオロホウ酸塩と1.1mmolのカリックス
〔4〕アレーンを20mlのテトラヒドロフランおよび
10mlのピリジン混合溶媒中で反応させアゾカリック
ス〔4〕アレーンを得た。本アゾカリックス〔4〕アレ
ーン1.0gをテトラヒドロフラン100mlに溶解さ
せ、ここへ2gの水素化ナトリウムを加え約30分間攪
拌を続けた。さらに、6mlのヨウ化メチルを加え5時
間還流した。溶媒を減圧下留去し、500mlの水を加
えてサスペンジョンとした。ここより、クロロホルム4
00mlにて抽出を行い、500mlの水で4回洗浄後
硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し粗結
晶を得た。クロロホルム−n−ヘキサンより再沈澱する
ことによって下式〔化45〕で示される純粋な化合物9
50mgを得ることができた。
【0117】
【化45】
【0118】物性測定例2 上に述べた製造例で得た多くの化合物について物性を測
定した。高感度示差走査熱量計(SEIKO DSC 120型)を
用いて融点mpを測定した。このために、Agセル(1
5μl)に試料を約5〜10mg封入し、1℃/mi
n.の速度で昇温・降温(−30℃〜90℃)を1度行
った後の昇温過程(1℃/min.)のDSCピークの
ピークトップの温度をmpとした。さらに流動複屈折性
の観察は、光学顕微鏡により偏光下で確認した。
【0119】下記の表1に示すように本発明に従う化合
物〔化11〕〜〔化14〕、〔化17〕〜〔化20〕、
〔化23〕〜〔化26〕、〔化28〕、〔化30〕、
〔化31〕、〔化35〕〜〔化45〕のすべてにおい
て、その置換基の導入による低融点化効果が極めて顕著
に現れている。
【0120】
【表1】
【0121】上の表に示すように、本発明化合物はその
親化合物であるo−メチルカリックス[n]アレーンに
比較して、約200〜300℃も融点が低下しているこ
とが判る。また、これにともなって溶解度も飛躍的に増
大した。さらに、これらすべての化合物は融点付近の等
方相において流動複屈折性を示すことが判った。
【0122】物性測定例3 本発明のカリックスアレーンの特徴である等方相におけ
る流動複屈折性についてさらに明らかにするため実験を
行った。本発明のカリックスアレーン誘導体は細長い分
子構造のために、外部応力の負荷等によって生じた流れ
に沿って分子配向が生じ、複屈折現象が現われる。この
流動複屈折は、光学顕微鏡により直交偏光下で容易に観
察することができる。また、流動による複屈折は外部応
力の負荷を中止すると時間とともに解消するが、これは
カリックスアレーン誘導体の分子運動によるため温度依
存性である。そこで、以下のように、幾つかの温度条件
下での流動複屈折性の解消挙動を観察した。
【0123】2枚のガラス板間に試料を挟み、一定の力
でガラス板をずらすと流動複屈折が観察できる。この
時、顕微鏡の二枚の偏光板の振動面を直交させておく
と、試料が等方性の場合には暗視野であり、試料に異方
性が生じてくると視野が明るくなる。この視野の明るさ
の変化を露光計によって測定した。
【0124】
【表2】
【0125】偏光解消時間の逆数を偏光解消の速度定数
k(sec-1)とすると
【表3】
【0126】アレニウス式より
【数1】
【0127】グラフより logA=27.0854 A=1.22×1027 ΔH/2.303R=8296 ΔH=37.960(cal.mol-1) 以上の結果を図6に示す。
【0128】以上のデータにより、本発明化合物〔化2
5〕は応答性が速くなる30℃(約2秒)以上において
は圧力センサー等として、また応答時間が長くなる15
℃(約1分)以下においては、一時的記憶素子等として
利用できることが示された。
【0129】物性測定例4 本発明のカリックスアレーン誘導体が、前に述べたよう
に、最高温度計等の温度応答性素子として用いることが
できることを確認するため以下の測定を行った。
【0130】化合物〔化23〕を約50℃に保ち(等方
性液体)ガラス板に挟み込む。冷却しながら分子が平行
に配向するよう直線的に応力を加える。光学顕微鏡によ
って直交ニコル下この試料を観察すると全面的に光を透
過して明るく見える。この状態を透過率100%とし、
試料を取り除いた暗視野の状態を透過率0%と設定し、
サーモステージで温度を制御しながら露光計によって光
透過率を測定するとともに、高感度示差走査熱量計(SEI
KO DSC 120型)を用いてDSCの測定を行った。結果を
図7に示す。
【0131】DSCカーブはAgセル(15μl)に試
料を約5mg封入し、1℃/min.の速度で昇温・降
温(−30℃〜90℃)を1度行った後、昇温過程(1
℃/min.)を経たものである。これによると吸熱が
始まる温度までは透過率がほぼ100%であるのに対
し、吸熱が終了する温度以上では暗視に戻っていること
が判る。以上のデータにより、本発明のカリックスアレ
ーン誘導体が前述した最高温度計等の温度応答性素子と
して利用できることが確認された。
【0132】物性測定例5 本発明のカリックスアレーン誘導体の特性を知るため、
光学顕微鏡とサーモステージを用いて、露光計により光
の透過率を測定した。化合物〔化24〕を均一に塗布し
たガラス板を、サーモステージによって40℃に保った
時の視野明度を100%とした。次にサーモステージ温
度を10℃まで急冷すると、化合物〔化24〕の塗膜は
乳白濁を起こし光量が約70%にまで低下した。これは
何度繰り返しても再現可能であった。その結果を図8に
示す。
【0133】本実験データによって、本発明のカリック
スアレーン誘導体が前述したような、偏光板のいらない
温度応答性ディスプレイ、あるいは温度センサーとして
利用可能であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカリックスアレーン誘導体の合成ルー
トを示すものである。
【図2】本発明のカリックスアレーン誘導体に属する別
の化合物の合成ルートを示すものである。
【図3】本発明のカリックスアレーン誘導体のうちアゾ
メチン基を有する化合物の合成ルートを示すものであ
る。
【図4】本発明のカリックスアレーン誘導体の実施例の
合成ルートを示すフローチャートである。
【図5】本発明のカリックスアレーン誘導体を熱分析し
たときのDSCチャートの例である。
【図6】本発明のカリックスアレーン誘導体の偏光解消
速度特性を知るためのアレニウスプロットのグラフであ
る。
【図7】本発明のカリックスアレーン誘導体の温度応答
特性を光の透過率とDSCのデータで示す図である。
【図8】本発明のカリックスアレーン誘導体の光学的性
質と温度応答性の関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 215/76 7457−4H 217/58 7457−4H 217/84 7457−4H 217/92 7457−4H 245/08 9160−4H 291/08 6917−4H C09K 3/00 Z 9049−4H 9/00 Z 6917−4H // C07C 47/575 7457−4H

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式〔化1〕で表されるカリック
    スアレーン誘導体。 【化1】 [式中、l、mおよびnは、それぞれ、0から7の整数
    であり、l+m+n=3〜7であり、X1およびX2は、
    互いに同一または別異の−Rまたは−ORで表される原
    子団であり(但し、Rは、炭素数6〜22の直鎖または
    分岐のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、また
    はヒドロキシアルキル基を示す)、Y1およびY2は、互
    いに同一または別異の原子団であり、−CH=N−、−
    CH2−NH−、−CH=CH−、−N=N−、−CO
    −O−および−NO=N−から選ばれ、Z1、Z2および
    3は、互いに同一または別異の原子団であり、−OH
    またはその置換基を示す。]
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