JP2821725B2 - カリックスアレーン誘導体/カルボン酸コンプレックス - Google Patents

カリックスアレーン誘導体/カルボン酸コンプレックス

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カリックスアレーン誘
導体とカルボン酸からなるコンプレックスに関し、特
に、カリックスアレーンをベースとする従来の系とは異
なり、低融点化、非結晶化、流動複屈折性の発現等の物
性を呈する新規なカリックスアレーン系物質に関する。
【0002】
【従来の技術と問題点】カリックスアレーンはフェノー
ルとホルムアルデヒドとの縮合反応による環状のオリゴ
マーであり、その分子構造が、ギリシア製の聖杯(Cali
x)に似ている芳香族化合物(Arene)という理由により
この名称がつけられた。カリックスアレーンは、195
0年前後にZinkeらによってフェノール−ホルムアルデ
ヒド樹脂中に見い出され(A.Zinke, E.Zegler, Chem.Be
r.,77,264,(1944))、その後1970年代後半になっ
て、Kaemmererらにより段階的方法ながら、環状4〜6
量体が合成され、初めて同定された(H.Kaemmerer, G.H
appel, V.Bohmer, D.Rathay, Monatsh.Chem.,109,767(1
978))。さらに、Gutscheらはp−tert−ブチルフ
ェノールとホルムアルデヒドから一段階で4、6、8量
体を収率よく合成することを可能にした(C.D.Gutsche,
Acc.Chem.Res.,16,161,(1985))。これによってカリッ
クスアレーンの供給が容易になり、各種のカリックスア
レーン誘導体の製造法や構造・物性についての詳細な検
討が行われるようになった。
【0003】カリックスアレーンは以下のような特徴を
有している。フェノール環員数を変えることにより、
空孔径の異なる化合物を合成できる、フェノール性水
酸基を利用して種々の官能基を導入できる、芳香族置
換反応により種々の官能基を導入できる、コンホメー
ションを制御できる。これらの特徴をうまく応用するこ
とによって、種々のイオンや分子との相互作用が制御可
能なことから、カリックスアレーン誘導体はクラウンエ
ーテルおよびシクロデキストリン系ホスト化合物に次ぐ
「第三の包接化合物」として、ホスト・ゲスト化学にお
ける有力な研究材料として注目を集めるとともに、実用
面においても各種の機能性材料として期待されている。
【0004】従来より知られているカリックスアレーン
誘導体は、一般的に難溶性で、且つ、高融点である。し
たがって、カリックスアレーン誘導体を用いる多くの系
では、カリックスアレーン誘導体を適当な溶媒や可塑剤
に溶かしながら、上述したようなカリックスアレーンの
特徴を活かしその機能が発揮されるようにしている。カ
リックスアレーン誘導体を用いながら、溶解性が良好で
低融点の系が得られれば、取扱いが容易になるととも
に、溶媒や可塑剤に影響されないカリックスアレーン誘
導体のバルクの性質に基づく機能性材料としての新たな
展開が期待できる。しかしながら、そのための具体的な
手段は見当たらない。
【0005】
【課題を解決するための手段と発明の効果】本発明者
は、カリックスアレーンに関する研究を進めるうちに、
従来から見られる高融点のカリックスアレーン誘導体と
は別異の物性を呈する新規な系を見出した。すなわち、
本発明は、次の一般式〔化1〕で表されるカリックスア
レーン誘導体(式中、nは、4、6または8)と、分子
中に少なくとも1つ以上のカルボキシル基を有する脂肪
族または芳香族カルボン酸とのコンプレックス(複合
体)を提供する。
【0006】
【化1】
【0007】驚くべきことに、一般式〔化1〕で表され
るカリックスアレーン誘導体とカルボン酸よりなるコン
プレックスは、融点が著しく低下し、流動複屈折性を示
すことが見出された。すなわち、本発明のカリックスア
レーン誘導体/カルボン酸コンプレックスは、当該カリ
ックスアレーン誘導体よりも著しく融点が低下し、そし
て、その融点近くにおいて流動複屈折を示す。ここで、
流動複屈折とは、外部応力の付加によって生じた流れに
沿って分子配向が起こり、複屈折現象が認められること
をいう。
【0008】本発明のカリックスアレーン誘導体/カル
ボン酸コンプレックスにおいて、このような性質が発現
される理由は充分には明かでないが、カリックスアレー
ン構造の上縁側(フェノール性OHの存しない方の側)
に導入したピリジンユニットとカルボン酸のカルボキシ
ル基との間で相互作用が生じ、低融点、流動性を付与す
るような構造を呈するため推測される。
【0009】本発明で使用されるカルボン酸は、その分
子内に少なくとも1つのカルボキシル基を有する脂肪族
または芳香族カルボン酸である。好ましいカルボン酸と
して、例えば、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、
カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミ
リスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコ酸、
ベヘン酸等のモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コ
ハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリ
ン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル
酸等のジカルボン酸、p−ヘキシル安息香酸等のアルキ
ル安息香酸、p−オクチルフェニル酢酸等のアルキルフ
ェニル酢酸、p−アルコキシ安息香酸、あるいは、アル
ギン酸やカルボキシビニルポリマー等の高分子カルボン
酸等が挙げられる。
【0010】本発明のコンプレックスを得るためには、
一般に、カリックスアレーン誘導体とカルボン酸とを、
カリックスアレーン誘導体のピリジン残基に対して、カ
ルボキシル基が0.25〜1.5個、好ましくは0.5
〜1.25個の比率にするのが望ましい。コンプレック
スに含まれるカルボン酸は、単一種に限られず、複数種
であってもよい。
【0011】本発明のカリックスアレーン誘導体/カル
ボン酸コンプレックスは、その特異な性質を利用してい
ろいろな応用が可能であり、特に常温を含む低温域にお
ける流動複屈折性に基づく各種の用途がある。以下、そ
のような応用について述べるが、本発明の用途は以下に
限定されるものではない。
【0012】本発明のカリックスアレーン誘導体/カル
ボン酸コンプレックスを液体(等方性)状態を呈する温
度下で互いに直交する偏光板間に挟むと光は通過しない
が、外部的な応力を加えると複屈折が出現し光が偏光板
間を通過するようになる。したがって、本発明のカリッ
クスアレーン誘導体/カルボン酸コンプレックスは、例
えば、応力が外場として分子配向を起こすディスプレイ
や圧力センサーなどとして利用できる。この際、本発明
のカリックスアレーン誘導体/カルボン酸コンプレック
スを用いる場合、応答は等方相(液体)から複屈折相へ
の変化に基づいているので、複屈折相から複屈折相への
変化に基づく液晶ディスプレイに比較して、光のオン・
オフ時の透過光量の差が大きく、コントラストの明瞭な
ディスプレイが得られる。また、液晶ディスプレイで
は、当初から分子配向を起こしておくための前処理が必
要であるが、本発明のディスプレイではこのような配向
処理を施さなくてもよいという利点もある。
【0013】別の応用例として、互いに直交する偏光板
間に挟み込んだ本発明の化合物に当方相温度下に応力を
与え、流動による配向を発生させたままで融点以下に温
度を下げる。すると、化合物の分子は配向したままで固
定され、永続的な複屈折を示すことになり、光は直交す
る偏光板を通過することができる。これを融点以上の環
境におくと、直ちに複屈折性は消失し、光は通過できな
くなる。これを用いれば、化合物の融点に対応した種々
の温度センサーを作ることができる。融点の異なる化合
物を幾つか組み合わせることによって任意の温度で光透
過性の失われる素子を作ることができる。これらは最高
温度計等として用いることができる。
【0014】また、従来のカリックスアレーン誘導体
は、溶解度が低いので、均一な塗膜を得るのは困難であ
った。これに対して、本発明のカリックスアレーン誘導
体/カルボン酸コンプレックスは溶解性がよいので、適
当な揮発性溶媒に溶解させ塗布する等の手段により均一
な塗膜を形成させることができる。このとき、当初の塗
布を融点以下の温度条件下に行い乳濁色の塗膜を形成す
ると、温度を上げることにより透明な塗膜となる。この
ような現象は、融点を境にして可逆的に再現できること
から、温度センサーあるいは偏光板を用いないディスプ
レイ素子に応用可能と思われる。
【0015】さらに、本発明は、カリックスアレーン自
体が有する構造的な特徴を維持したまま、したがって、
カリックスアレーン構造が本来的に有する機能を損なう
ことなく、溶解性に優れ低融点であるなど取り扱い易い
カリックスアレーン誘導体/カルボン酸コンプレックス
を提供する。例えば、下縁側(lower rim)のフェノー
ル性水酸基を従来から知られているような官能基で置換
することにより、特定の金属イオンを選択的に結合する
能力を維持したまま、本発明に従いカルボン酸とコンプ
レックスを形成することによって極めて融点を低下させ
ることが出来る。
【0016】本発明のコンプレックスを調製するカリッ
クスアレーン誘導体〔化1〕は、既知の合成法を工夫す
ることにより製造することが出来る。
【0017】すなわち、カリックスアレーン[n]アレ
ーンにメチルハライドを反応させ、次いで得られる化合
物をホルミル化する。この化合物にリチウム化したγ−
ピコリンを作用させることでカリックスアレーン誘導体
〔化1〕が製造される。
【0018】また、カリックスアレーン誘導体とカルボ
ン酸との複合化は、両者を溶解することの出来る溶媒、
例えばクロロホルム等に任意の割合のカリックスアレー
ン誘導体およびカルボン酸を溶解させた後、溶媒を減圧
あるいは加熱することによって留去することで簡単に得
ることが出来る。
【0019】以下、本発明の特徴をさらに明らかにする
為、実施例に沿って本発明を説明する。
【0020】
【実施例】図1に示すフローチャートに沿って本発明の
カリックスアレーン誘導体〔化1〕を製造した。
【0021】<実施例1>中間体〔化3〕の製造 カリックス[4]アレーン6.0g(14.15ミリモ
ル)、水素化ナトリウム9.0g(380ミリモル)、
およびヨウ化メチル68.0g(470ミリモル)を乾
燥させた270mlのテトラヒドロフランおよび、同じ
く乾燥させたN,N−ジメチルホルムアミド30mlよ
りなる混合溶媒中に添加し、この溶液を窒素気流下、6
時間加熱還流した。反応混合物より溶媒を減圧下に留去
し、残渣に500mlの水を注ぎ、500mlのクロロ
ホルムで抽出した。有機層を分離し、500mlの水で
4回洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶液を
濃縮した後、メタノールで処理して白色の固形物を得
た。これをさらにクロロホルムとメタノールの混合溶媒
から再結晶して純粋な中間体〔化3〕(図1中の化合物
(3))(白色結晶、6.3g、収率92%)を得た。
【0022】<製造例2>中間体〔化4〕の製造 テトラメトキシカリックス[4]アレーン4.0g
(8.3ミリモル)、ヘキサメチレンテトラミン42g
(300ミリモル)を200mlのトリフルオロ酢酸中
に添加し、この溶液を窒素気流下90〜100℃で24
時間加熱還流した。反応混合物を氷水500ml中に注
ぎ、1時間攪拌を続け、200mlのクロロホルムで3
回抽出した。有機層を500mlの水で4回洗浄した
後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下に留去
し、約4.6gの淡黄色固体を得た。これをクロロホル
ムとn−ヘキサンの混合溶媒から再結晶して純粋な中間
体〔化4〕(図1中の化合物(4))(白色結晶、3.
5g、収率70%)を得た。
【0023】<製造例3>中間体〔化5〕の製造 氷温下、1.52g(15ミリモル)のジイソプロピル
アミンを含む10mlの乾燥テトラヒドロフランを、1
0ミリモルのブチルリチウムを含む6.25mlのヘキ
サン溶液中に滴下した。同じく氷温下で、上記混合液中
に1.4g(15ミリモル)のγ−ピコリンを含む10
mlの乾燥テトラヒドロフラン溶液をゆっくりと加え
た。氷温下さらに1時間攪拌を続けた。同じく氷温下
1.0g(7ミリモル)のテトラホルミルテトラメトキ
シカリックス[4]アレーン〔化4〕を含むテトラヒド
ロフラン10mlを上記の淡黄色透明溶液中にゆっくり
と滴下した。10時間後、反応混合液を100mlの水
中に投入し30分間攪拌を続けた。400mlのクロロ
ホルムで抽出し、700mlの水で5回洗浄後、硫酸マ
グネシウムで乾燥した。濾過後溶媒を減圧下に留去し、
約1.3gの粗化合物〔化5〕を得た。
【0024】<製造例4>カリックスアレーン誘導体
〔化1〕の製造 1.0gの化合物〔化5〕を100mlのトリフルオロ
酢酸に溶解し約2時間還流した。反応液を800mlの
氷水中に投入し、炭酸ナトリウムを加えてpHを8とし
た。このサスペンジョンを400mlのクロロホルムで
抽出し、500mlの水で4回洗浄した。硫酸マグネシ
ウムで乾燥し、濾過後溶媒を留去し粗生成物を得た。こ
れをクロロホルム−n−ヘキサンの混合溶媒より再沈澱
させ、約600mgのカリックスアレーン誘導体〔化
1〕を得た。
【0025】<製造例5>比較化合物〔化6〕の製造 −78℃下、930mg(10ミリモル)のγ−ピコリ
ンを含む25mlの乾燥テトラヒドロフランを、15ミ
リモルのブチルリチウムを含む9.5mlのヘキサン溶
液中に滴下した。約2時間後、同じく−78℃下、1.
36g(10ミリモル)のアニスアルデヒドを含む25
mlのテトラヒドロフラン溶液を上記反応液中にゆっく
りと加えた。約3時間後、反応混合物を300mlの氷
水中に投入し、30分間攪拌した。250mlのクロロ
ホルムにて抽出し、300mlの水で4回洗浄後、硫酸
マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下に留去し、約
2.2gの粗アルコール体を得た。このアルコール体の
全量を25mlのトリフルオロ酢酸とともに約2時間還
流した。反応液を250mlの氷水中に投入し、炭酸ナ
トリウムにてpH8.0とした。このサスペンジョンを
250mlのクロロホルムにて抽出し、300mlの水
で4回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留
去し、粗比較化合物〔化6〕を得た。クロロホルム−n
−ヘキサン混合溶液から再沈澱させることによって、次
に示す純粋な比較化合物〔化6〕1.5gを得た。
【0026】
【化6】
【0027】<実施例6>カリックスアレーン誘導体/
カルボン酸コンプレックスの調製 カリックスアレーン誘導体〔化1〕223mg(0.2
5ミリモル)と種々のカルボン酸1ミリモルを2mlの
クロロホルム中に溶解させた後、減圧下加熱することに
よって完全にクロロホルムを留去することにより表1に
示すようなコンプレックスを得た。
【0028】
【表1】
【0029】<製造例7>比較化合物〔化6〕/デカン
酸コンプレックス[複14]の調製 比較化合物〔化6〕211mg(1ミリモル)とデカン
酸172mg(1ミリモル)を2mlのクロロホルム中
に溶解させた後、減圧下加熱することによって完全にク
ロロホルムを留去した。
【0030】<物性測定例1>コンプレックス[複1]
[複14]およびデカン酸の熱分析 製造例6および7で得られたコンプレックス[複1]、
[複14]とデカン酸それぞれを、数mgずつ15μlの
Ag製密封型セルに量り取り、昇温速度1.0℃/mi
n.にて−30℃〜130℃の範囲でDSC測定を行っ
た(Seiko, DSC120)。カリックスアレーン誘導体とデ
カン酸のコンプレックスである[複1]においては、デ
カン酸およびカリックスアレーン誘導体による吸熱ピー
クが消失し、全温度範囲に渡って熱の出入りが観察され
ない。これに対し、比較化合物〔化6〕とデカン酸のコ
ンプレックスである[複14]においては、大きな2つの
吸熱ピークが観察され、低温側のピークは〔化6〕を含
むデカン酸の融解、高温側のピークはデカン酸を含む
〔化6〕の融解に基づくものと思われ、系が相分離を起
こしていることが推測される。これは[複1]が本発明
のとおり、全く新しい熱物性を示すコンプレックスにな
っていることを示すとともに、比較例である[複14]に
おいては単なる混合物のままであることを示している
(図2)。さらに、サーモステージを用いた顕微鏡観察
において、[複1]は−30℃付近まで流動性を保つと
ともに、−30℃〜室温の範囲で流動複屈性を示した。
これは本発明[複1]が極めて広い範囲で、圧力センサ
ー等のデバイスとして機能することを示している。
【0031】<物性測定例2>コンプレックス[複2]
〜[複13]の熱分析 製造例6で得られたコンプレックス[複2]〜[複13]
のDSC測定および顕微鏡観察を行った。[複3]、
[複4]および[複5]は、DSC測定において低温化
された吸熱ピークを示したが、その他のコンプレックス
においては明瞭なピークは観察されず、すべてのコンプ
レックスにおいて、もとのカルボン酸およびカリックス
アレーン誘導体の吸熱ピークは消失しており、複合化効
果が明らかに現れている。サーモステージを用いた顕微
鏡観察によるコンプレックスの流動化温度を下の表2に
示す。すべてのコンプレックスにおいて、流動複屈折現
象が観察された。
【0032】
【表2】
【0033】<物性測定例3>本発明のカリックスアレ
ーン誘導体/カルボン酸コンプレックスの特徴を明らか
にするため、流動複屈折性の観察実験を行った。この観
察は、光学顕微鏡により直光偏光下で容易に行うことが
できる。この流動複屈折現象は本発明のカリックスアレ
ーン誘導体/カルボン酸コンプレックスは、細長い分子
構造のために、外部応力の負荷等によって生じた流れに
沿って分子配向が生じるためと考えられる。また、流動
による複屈折は外部応力の負荷を中止すると時間ととも
に解消するが、これはカリックスアレーン誘導体/カル
ボン酸コンプレックスの分子運動によるため温度依存性
である。そこで、以下のように、幾つかの温度下での流
動複屈折性の出現とその解消挙動を観察した。
【0034】2枚のガラス板の間に試料をはさみ、一定
の力でガラス板をずらすと流動複屈折が観察できる。こ
の時、顕微鏡の二枚の偏光板の振動面を直光させておく
と、試料が等方性の場合には暗視野であり、試料に異方
性が生じてくると視野が明るくなる。この視野の明るさ
の変化を露光計によって測定した。応力を加えて暗視野
の60倍の明るさを基準として、暗視野に戻る時間を複
屈折解消時間とした。その結果を表3に示す。
【0035】
【表3】 ・試料:コンプレックス[複1]
【0036】以上の観察より、本発明コンプレックスは
極めて低温まで動作することのできる、圧力センサー、
ディスプレイ、記憶素子等として応用可能であることが
示される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンプレックスに用いるカリックスア
レーン誘導体の製造フローチャートである。
【図2】本発明のコンプレックスおよび比較例のDSC
昇温曲線を示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式〔化1〕 【化1】 (式中、nは4、6または8)で表されるカリックスア
    レーン誘導体と、分子中に少なくとも1つ以上のカルボ
    キシル基を有する脂肪族または芳香族カルボン酸とのコ
    ンプレックス。
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