JPH05269841A - 二軸配向積層フイルム - Google Patents

二軸配向積層フイルム

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JPH05269841A
JPH05269841A JP4100135A JP10013592A JPH05269841A JP H05269841 A JPH05269841 A JP H05269841A JP 4100135 A JP4100135 A JP 4100135A JP 10013592 A JP10013592 A JP 10013592A JP H05269841 A JPH05269841 A JP H05269841A
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JP
Japan
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polyester
film
particles
layer
outermost layer
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Application number
JP4100135A
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English (en)
Inventor
Iwao Okazaki
巌 岡崎
Koichi Abe
晃一 阿部
Shoji Nakajima
彰二 中島
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 3層以上の積層構造を有し、少なくとも片面
側の最外層に粒子を含有し、該粒子の平均粒径dと該最
外層の層厚さtとの関係が0.2d≦t≦10dであ
り、フイルム表面の突起個数が3×103 〜2×105
個/mm2 であるか又は該式の関係を満たす粒径の粒子
数が3×103 〜1.5×105 個/mm2であり、少
なくとも一つの最外層がエチレンテレフタレートを主要
構成成分とするポリエステル、中間層がエチレンナフタ
レートを主要構成成分とするポリエステルである二軸配
向積層フイルム。 【効果】 積層フイルムの表面に削れにくいかつ所望の
突起を効率よく形成して望ましい表面形態にすることが
でき、良好なスリット性、磁気媒体用として優れた画質
を得ることができるとともに、フイルム全体として極め
て強度に優れたものとすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二軸配向積層フイルム
に関し、とくに磁気記録媒体の基材として用いて最適な
二軸配向積層ポリエステルフイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、エチレンナフタレートを主要
構成成分とするポリエステルからなる二軸配向ポリエス
テルフイルム(例えば特開昭62−143938号公
報、特開昭63−60732号公報)、芯層をエチレン
テレフタレートを主要構成成分とするポリエステル層、
外層をエチレンナフタレートを主要構成成分とするポリ
エステル層とした積層型の二軸配向ポリエステルフイル
ム(例えば特開昭63−197643号公報、特開平2
−14126号公報)が知られている。
【0003】エチレンナフタレートを主要構成成分とす
るポリエステルフイルムは、エチレンテレフタレートを
主要構成成分とするポリエステルフイルムに比べ、機械
的強度、特に弾性率がはるかに高いという優れた特性を
もっていることが知られている。また、これらポリエス
テルフイルムを磁気テープとして用いる場合、とくに磁
気テープの良好な走行性を確保するために、表面に均一
な微小突起を形成することにより、滑り性を改善するこ
とが有効で、そのための手段として、微小粒子の含有が
有効であることが知られている。
【0004】しかしながら、エチレンナフタレートを主
要構成成分とするポリエステルフイルムは、高弾性率を
有するものの、裂けやすく耐引き裂き性が劣るという弱
点を有し、磁気テープ等の幅に切断するスリット工程に
おいて、トラブルを発生しやすいという欠点がある。ま
た、エチレンナフタレートを主要構成成分とするポリエ
ステルは、溶融状態において、エチレンテレフタレート
を主要構成成分とするポリエステル等に比べ、相当高粘
度になる。そのため、溶融ポリエステルの濾過工程にお
いて、濾過精度を上げると濾圧が高くなりすぎるため、
結局高精度濾過が困難であるという問題がある。高精度
濾過ができないと、エチレンナフタレートを主要構成成
分とするポリエステルがフイルムの表面を構成する場
合、その表面に粗大突起が形成されることがあり、この
ようなフイルムを磁気テープにすると、画質が低下し、
好ましくない。したがって、前述の従来のエチレンナフ
タレートを主要構成成分とするポリエステル単体からな
るフイルムにおいては、耐引き裂き性の問題と高精度濾
過ができないための粗大突起発生の問題があり、エチレ
ンテレフタレートの芯層にエチレンナフタレートを主要
構成成分とするポリエステル層を積層したフイルムにお
いては、エチレンナフタレートを主要構成成分とするポ
リエステル層が薄いためその優れた機械的強度の積層フ
イルム全体に対する寄与が小さく、全体としてそれ程機
械的強度が上がらないという問題、および、表層がエチ
レンナフタレートを主要構成成分とするポリエステル層
で形成されているため、やはりフイルム表面の粗大突起
発生を抑制するのが困難であるという問題があった。
【0005】一方、従来の二軸配向ポリエステルフイル
ムにおいては、表面に均一な微小突起を形成する方法と
して、たとえば、ポリエステルにコロイド状シリカに起
因する実質的に球形のシリカ粒子を含有せしめたフイル
ムが知られている(たとえば特開昭59−171623
号公報)。
【0006】しかし、フイルムの加工工程、特に磁気媒
体用途における磁性層塗布・カレンダー及び巻取、カセ
ット組み込み工程などの工程速度の増大に伴い、接触す
るロールやガイドでフイルム表面、とくに微小凹凸を有
するフイルム表面が削り取られやすいという欠点があっ
た。また、従来のものでは、高速磁界転写などによるダ
ビングの増速化にともない、ダビング時の画質低下のた
めに、画質すなわちS/N(シグナル/ノイズ比)も不
十分という欠点があった。
【0007】このような欠点を解消するため、主として
ポリエチレンテレフタレートからなる積層フイルムの最
外層を薄層とし、該層厚さに対し比較的粒径の大きな粒
子を含有させ、該層厚さと粒子の粒径を特定の関係にす
ることにより、フイルム表面に削り取られにくい微小突
起を形成するようにした二軸配向積層フイルムが提案さ
れている(特開平2−77431号公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、エチレンナ
フタレートを主要構成成分とするポリエステルフイルム
の高い機械的強度に着目するとともに、特開平2−77
431号公報に示されるような効率の良い表面微小突起
形成方法に着目し、全体として強度に優れた、かつ、フ
イルム表面の微小突起をより最適化でき走行性を一層向
上可能な、しかも耐引き裂き性を改良してスリット性を
向上するとともに、特に磁気媒体用途とした時にダビン
グ時等の画質低下が少ない二軸配向積層フイルムを提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的に沿う本発明の
二軸配向積層フイルムは、少なくとも3層以上の積層構
造からなる二軸配向積層フイルムにおいて、その少なく
とも片面側の最外層に粒子を含有し、該粒子の平均粒径
d(nm)と該最外層の層厚さt(nm)との関係が 0.2d≦t≦10d であり、該最外層側のフイルム表面の突起個数が3×1
3 〜2×105 個/mm2 であり、少なくとも一つの
最外層がエチレンテレフタレートを主要構成成分とする
ポリエステル、中間層がエチレンナフタレートを主要構
成成分とするポリエステルであるものからなる。
【0010】また、もう一つの本発明の二軸配向積層フ
イルムは、少なくとも3層以上の積層構造からなる二軸
配向積層フイルムにおいて、その少なくとも片面側の最
外層に粒子を含有し、該粒子の平均粒径d(nm)と該
最外層の層厚さt(nm)との関係が 0.2d≦t≦10d であり、該式の関係を満たす粒径の粒子数が3×103
〜1.5×105 個/mm2 であり、かつ、少なくとも
一つの最外層がエチレンテレフタレートを主要構成成分
とするポリエステル、中間層がエチレンナフタレートを
主要構成成分とするポリエステルであるものから成る。
【0011】まず、本発明のフイルムは少なくとも3層
以上の積層構造である必要がある。3層以上であれば、
4層でも5層でもかまわないが3層構造の場合に本発明
の効果がより一層良好となり好ましい。しかし、単層や
2層構造のフイルムでは、良好な画質や良好なスリット
性を得ることができない。
【0012】次に、本発明のフイルムは、これを構成す
る上記各層の少なくとも一層が二軸に配向している必要
がある。3層以上の積層構造の内、全部の層が二軸に配
向していると特に好ましい。全ての層が無配向や一軸配
向では本発明の特性を満足することはできない。
【0013】本発明の二軸配向積層フイルムにおいて
は、少なくとも一つの最外層がエチレンテレフタレート
を主要構成成分とするポリエステル、中間層がエチレン
ナフタレートを主要構成成分とするポリエステルからな
る。つまり、エチレンナフタレートを主要構成成分とす
るポリエステルが芯層を構成し、その芯層の少なくとも
片側に位置する最外層がエチレンテレフタレートを主要
構成成分とするポリエステルで構成されている。エチレ
ンテレフタレートを主要構成成分とするポリエステルが
少なくとも片側の最外層を構成するため、積層フイルム
全体としての耐引き裂き性が向上される。また、エチレ
ンナフタレートを主要構成成分とするポリエステル層が
芯層を構成しているため、積層フイルム全体として、優
れた機械的強度、とくに弾性率を発揮することができ
る。
【0014】エチレンナフタレートを主要構成成分とす
るポリエステルおよびエチレンテレフタレートを主要構
成成分とするポリエステルとしては、本発明を阻害しな
い範囲内、好ましくは30モル%以内であれば他成分が
共重合されていてもよい。またこれらエチレンナフタレ
ートを主要構成成分とするポリエステル及びエチレンテ
レフタレートを主要構成成分とするポリエステルの粘度
(IV)は、0.55以上が好ましい。特にエチレンテ
レフタレートを主要構成成分とするポリエステルのIV
は、0.58以上が好ましい。IVがこの値よりも低い
と、耐引き裂き性向上効果が悪化する。また溶融粘度に
ついては、エチレンテレフタレートを主要構成成分とす
るポリエステルの溶融粘度を芯層となるエチレンナフタ
レートを主要構成成分とするポリエステルの溶融粘度よ
りも1000ポイズ以上低くすると、これらを積層した
溶融シートを吐出する口金において、口金筋等の欠点の
発生が抑制される。
【0015】前述の如くエチレンナフタレートを主要構
成成分とするポリエステルは、エチレンテレフタレート
を主要構成成分とするポリエステルに比べ、かなり溶融
粘度が高いため、高精度濾過に伴う初期の濾圧が著しく
高い。また目詰まりによる濾圧上昇も急激に発生する。
しかし、本発明フイルムにおいては、少なくとも片側の
表層側にエチレンテレフタレートを主要構成成分とする
ポリエステル層が積層されるため、このエチレンテレフ
タレートを主要構成成分とするポリエステル層さえ高精
度濾過にしておれば、初期の濾圧上昇を抑制するためエ
チレンナフタレートを主要構成成分とするポリエステル
層の濾材を多少甘くしても、エチレンテレフタレートを
主要構成成分とするポリエステル層で覆っているので積
層フイルムの表面の粗大突起を減らすことができる。そ
して、このエチレンテレフタレートを主要構成成分とす
るポリエステル層にて、均一な粒径の微小粒子含有によ
り滑り性をもたせておけば、エチレンナフタレートを主
要構成成分とするポリエステル層には粒子をほとんど含
有させなくてもよく、したがってエチレンナフタレート
を主要構成成分とするポリエステル層に対する濾圧上昇
は、全く問題のない程度に低く抑えることができる。ま
た、エチレンテレフタレートを主要構成成分とするポリ
エステルとエチレンナフタレートを主要構成成分とする
ポリエステルとの延伸温度条件の差を利用して、エチレ
ンテレフタレート層に粒子を含有させなくても、その表
面に微細な凸凹を作ることも可能である。このように、
本発明においてはエチレンテレフタレートを主要構成成
分とするポリエステルを高精度濾過することにより、積
層フイルムの表面の粗大突起の発生を抑制することがで
きる。
【0016】エチレンナフタレートを主要構成成分とす
るポリエステルとしては、80%以上ポリエチレンナフ
タレートからなることが好ましいが、ポリエチレンナフ
タレートと他のポリエステルとをブレンドしたもの、あ
るいはポリエチレンナフタレートと他のポリエステルと
の共重合体からなるものであってもよい。また、本発明
の目的を阻害しない範囲内で、他のポリエステルを混合
しても良い。
【0017】そして、本発明の二軸配向積層フイルムの
少なくとも片面の最外層には、粒子が、該粒子の平均粒
径d(nm)と該最外層の層厚さt(nm)との関係が 0.2d≦t≦10d になるように含有される。tが0.2dよりも小さいと
走行性が悪化し、tが10dよりも大きいと磁気テープ
としたときの画質が低下する。このように、粒子の粒径
と最外層の層厚さとの関係を上記特定の関係とすること
により、薄層の最外層で含有粒子により所望の微小突起
が効率よく形成される。
【0018】このように、最外層のフイルム表面には微
小突起が効率よく形成されるが、その突起個数は、本発
明の二軸配向積層フイルムでは3×103 〜2×105
個/mm2 とされる。
【0019】最外層フイルム表面の突起個数が上記範囲
よりも少ないと、摩擦係数が高くなって、良好な走行性
が得られない。逆に突起個数が上記範囲よりも多いと、
磁気テープとしたときの画質が低下する。
【0020】また、最外層含有粒子は、上記式の関係を
満たす粒径の粒子数が3×103 〜1.5×105 個/
mm2 になるように含有される。この粒子数の範囲が上
記突起個数の範囲よりも若干広いのは、他の粒径の粒
子、あるいは、中間層からの転写的影響によっても突起
が形成されることがあるからである。
【0021】最外層含有粒子の、前記式を満たす粒径の
粒子数が前記範囲よりも少ないと、やはり良好な走行性
が得られず、前記範囲よりも多いと、磁気テープとした
ときの画質が低下する。
【0022】そして、本発明の二軸配向積層フイルムに
おいては、芯層となる中間層がエチレンナフタレートを
主要構成成分とするポリエステルから構成されるので、
積層フイルム全体としては、極めて高い機械的強度を有
することになる。つまり、表面粗大突起形成の問題を伴
うことなく、高い強度と望ましい表面微小突起形成との
両方が達成される。
【0023】なお、本発明のフイルム中には、本発明の
目的を阻害しない範囲内で、異種ポリマをブレンドして
もよいし、また酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸
収剤などの有機添加剤が通常添加される程度添加されて
いてもよい。
【0024】次に本発明フイルムの製造方法を、ポリエ
ステルフイルムの場合について説明する。まず、ポリエ
ステルに粒子を含有せしめる方法としては、例えばジオ
ール成分であるエチレングリコールに粒子を所定割合に
てスラリーの形で分散せしめ、このエチレングリコール
を所定のジカルボン酸成分と重合せしめる方法が好まし
い。粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得
られる水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることな
く添加すると粒子の分散性が非常によく、高速削れ性、
電磁変換特性を共に良好とすることができる。また粒子
の水スラリーを直接所定のポリエステルペレットと混合
し、ベント方式の2軸混練押出機に供給しポリエステル
に練り込む方法も本発明の効果をより一層良好とするの
に非常に有効である。粒子の含有量、個数を調節する方
法としては、上記方法で高濃度の粒子マスターを作って
おき、それを製膜時に粒子を実質的に含有しないポリエ
ステルで希釈して粒子の含有量を調節する方法が有効で
ある。
【0025】次にこのポリエステルのペレットを用いて
3層以上の積層構造をもったポリエステルフイルムとす
る。上記の方法にて得られたポリエステルのペレットを
所定の割合で混合し、乾燥したのち、公知の溶融積層用
押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出
し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸
フイルムを作る。すなわち、2または3台以上の押出
機、3層以上のマニホールドまたは合流ブロック(例え
ば角型合流部を有する合流ブロック)を用いて、各最外
層を構成するフイルム層、中間層を構成するフイルム層
を積層する。中間層を構成するフイルム層は、エチレン
ナフタレートを主要構成成分とするポリエステルである
が、例えば、両最外層を構成するフイルム層が、粒子含
有あるいはポリマー構成において互いに異なる場合に
は、3台の押出機で3層に積層し、両最外層を構成する
フイルム層が同じ構成のものである場合には、2台の押
出機で3層に積層できる。そして、口金から3層以上の
シートを押し出し、キャスティングロールで冷却して未
延伸フイルムを作る。この場合、ポリマ流路にスタティ
ックミキサー、ギヤポンプを設置する方法は有効であ
る。また、最表層積層部側のポリマーを押出す押出機の
溶融温度を基層部側より5〜10℃低くすることが、有
効である。
【0026】次にこの未延伸フイルムを二軸延伸し、二
軸配向せしめる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法ま
たは同時二軸延伸法を用いることができる。ただし、最
初に長手方向、次に幅方向の延伸を行なう逐次二軸延伸
法を用い、長手方向の延伸を2段階以上に分けて延伸を
行なう方法は延伸破れなく、本発明の積層構成を得るの
に有効である。長手方向延伸は、通常ロールを用いて行
なわれるが、予熱、延伸ロールでの粘着は粗大突起発生
につながるおそれがあるので、そのロール表面材質は、
非粘着性のもの(テフロンやシリコンゴム)が好まし
い。これによってドロップアウトをより抑制できる。長
手方向延伸温度は、120〜150℃、好ましくは12
5〜145℃の範囲が望ましい。また、延伸倍率は、
3.5〜6倍、好ましくは4〜5.5倍である。このよ
うな延伸温度、延伸倍率により、磁気テープとした場合
のドロップアウト抑制効果が一層増大する。上記温度範
囲よりも高い場合、および上記延伸倍率よりも低い場
合、粗大突起を生じやすくなる。長手方向延伸速度は、
5000〜100000%/分の範囲が好適である。幅
方向の延伸方法としてはステンタを用いる方法が一般的
であり、延伸温度としては100〜150℃、好ましく
は110〜140℃、延伸倍率としては、3〜6倍、好
ましくは3.5〜5.5倍の範囲が適当である。これよ
りも延伸温度が高い場合、およびこれよりも延伸倍率が
高い場合、フイルムの耐引き裂き性が劣り、スリット性
が悪化するおそれがある。幅方向の延伸速度は、100
0〜20000%/分の範囲が好適である。また、一旦
二軸延伸されたフイルムを少なくとも一方向にさらに延
伸しても良い。再延伸する場合には、110〜170
℃、1.1〜2.0倍の条件が好ましい。次にこの延伸
フイルムを熱処理する。この場合の熱処理温度は160
〜240℃、時間は0.5〜60秒の範囲が好適であ
る。その後のリラックスは、任意の値、たとえば10%
以内の任意の値とすればよい。
【0027】[物性の測定方法ならびに効果の評価方
法]本発明の特性値の測定方法並びに効果の評価方法は
次の通りである。 (1)粒子の平均粒径、粒子数 フイルムからポリマをプラズマ低温灰化処理法で除去
し、粒子を露出させる。処理条件はポリマは灰化される
が粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。その
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子画像
をイメージアナライザーで処理する。SEMの倍率はお
よそ2000〜10000倍、また、1回の測定での視
野は1辺がおよそ10〜50μmから適宜選択する。観
察箇所をかえて粒子数5000個以上で、粒径とその体
積分率から、次式で体積平均径dを得る。 d=Σdi ・Nvi ここでdi は粒径、Nvi はその体積分率である。粒子
数は、積層厚みと平均粒径の関係を満たすものについ
て、体積分率から求め、mm2 あたりに換算する。粒子
が有機粒子等で、プラズマ低温灰化処理法で大幅にダメ
ージを受ける場合には、以下の方法を用いてもよい。フ
イルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、30
00〜100000倍で観察する。TEMの切片厚さは
約1000Åとし、場所を変えて500視野以上測定
し、上記の式から体積平均径dを求める。
【0028】(2)積層ポリエステル層の厚さ(最外層
の厚さ:t) 2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層か
ら深さ3000nmの範囲のフイルム中の粒子の内もっと
も高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元
素の濃度比(M+ /C+ )を粒子濃度とし、表面から深
さ3000nmまで厚さ方向の分析を行なう。表層では表
面という界面のために粒子濃度は低く表面から遠ざかる
につれて粒子濃度は高くなる。本発明フイルムの場合は
一旦極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。この
濃度分布曲線をもとに表層粒子濃度が極大値の1/2と
なる深さ(この深さは極大値となる深さよりも深い)を
求め、これを積層厚さとした。条件は次の通り。 測定装置 2次イオン質量分析装置(SIMS) 西独、ATOMIKA 社製 A-DIDA3000 測定条件 1次イオン種 :O2 + 1次イオン加速電圧:12KV 1次イオン電流:200nA ラスター領域 :400μm□ 分析領域 :ゲート30% 測定真空度 :6.0×10-9Torr E−GUN :0.5KV−3.0A なお、表層から深さ3000nmの範囲にもっとも多く含
有する粒子が有機高分子粒子の場合はSIMSでは測定
が難しいので、表面からエッチングしながらXPS(X
線光電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記同様
のデプスプロファイルを測定し積層厚さを求めても良い
し、また、電子顕微鏡等による断面観察で粒子濃度の変
化状態やポリマの違いによるコントラストの差から界面
を認識し積層厚さを求めることもできる。さらには積層
ポリマを剥離後、薄膜段差測定機を用いて積層厚さを求
めることもできる。
【0029】(3)フイルム表面の突起個数、突起高さ 2検出器方式の走査型電子顕微鏡[ESM−3200、エリ
オニクス(株)製]と断面測定装置[PMS−1、エリ
オニクス(株)製]においてフイルム表面の平坦面の高
さを0として走査したときの突起の高さ測定値を画像処
理装置[IBAS2000、カールツァイス(株)製]に送
り、画像処理装置上にフイルム表面突起画像を再構築す
る。次に、この表面突起画像で突起部分を2値化して得
られた個々の突起部分の中で最も高い値をその突起の高
さとし、これを個々の突起について求める。この測定を
場所をかえて500回繰返し、20nm以上の高さのも
のを突起とし、突起個数を求め、測定された突起につい
てその高さの平均値を平均高さとした。また走査型電子
顕微鏡の倍率は、1000〜8000倍の間を選択する。なお、
場合によっては、高精度光干渉式3次元表面解析装置
(WYKO社製TOPO−3D、対物レンズ:40〜2
00倍、高解像度カメラ使用が有効)を用いて得られる
高さ情報を上記SEMの値に読み替えて用いてもよい。
【0030】(4)画質(クロマS/N) フイルムに下記組成の磁性塗料をグラビヤロールにより
塗布し、磁気配向させ、乾燥させる。さらに、小型テス
トカレンダー装置(スチールロール/ナイロンロール、
5段)で、温度:70℃、線圧:200kg/cm でカレン
ダー処理した後、70℃、48時間キュアリングする。
上記テープ原反を1/2インチにスリットし、長さ25
0mの長さをVTRカセットに組み込みVTRカセット
テープとした。 (磁性塗料の組成) ・Co含有酸化鉄(BET値50m2 /g) :100 重量部 ・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体) :10重量部 ・ニッポラン2304(日本ポリウレタン製ポリウレタンエラストマ):10重量部 ・コロネートL(日本ポリウレタン製ポリイソシアネ―ト) :5重量部 ・レシチン :1重量部 ・メチルエチルケトン :75重量部 ・メチルイソブチルケトン :75重量部 ・トルエン :75重量部 ・カーボンブラック :2重量部 ・ラウリン酸 :1.5 重量部 このテ―プに家庭用VTRを用いてシバソク製のテレビ
試験波形発生器(TG7/U706 )により100 %クロマ
信号を記録し、その再生信号からシバソク製カラービデ
オノイズ測定器(925 D/1)でクロマS/Nを測定し
た。
【0031】(5)スリット性(耐引き裂き性) 後述の実施例と同等に近い条件で得られた原反をシア式
スリッターを用いて1/2インチ幅にマイクロスリット
を行なった。このスリット作業中に原反が裂けるトラブ
ルによって生じた屑の量が、トラブルなしで得られる予
定量の5%未満である場合はスリット性良好、屑の量が
5%以上である場合はスリット性不良と判定した。
【0032】
【実施例】次に実施例に基づき、本発明の実施態様を説
明する。 実施例1(表1) 最外層に含有させる粒子をエチレングリコール中にて、
50μm径のガラスビーズをメディアとして分散させ、
ガラスビーズを除去したのちテレフタル酸と重合し、ポ
リエチレンテレフタレートのマスターペレットとした。
【0033】上記のマスターペレットを、粒子を含有し
ないポリエチレンテレフタレートのペレットで所定割合
にて希釈し、180℃で8時間減圧乾燥(3Torr)
した後、該希釈した粒子含有ポリエチレンテレフタレー
トペレットと粒子を含有しないポリエチレンナフタレー
トペレットを、それぞれ押出機1(たとえばベント式二
軸混練押出機)、押出機2に供給し、280℃〜300
℃で溶解した。この2つのポリマのうち、特にポリエチ
レンテレフタレートを、高精度濾過した後、矩形積層部
を備えた3層合流ブロックにて、中間層部にポリエチレ
ンナフタレートポリマが、両面表層積層部に前記粒子含
有ポリエチレンテレフタレートポリマがくるように積層
し、フィッシュテール型の口金よりシート状にして押し
出した。したがって、本実施例の3層の積層ポリマ構成
はポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリエチレ
ンナフタレート(PEN)/ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)である。口金より押し出されたシートを、
静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャステ
ィングドラムに巻きつけて冷却固化し、厚さ約160μ
mの未延伸フイルムを作った。この時のドラフト比は
6.5であった。
【0034】この未延伸フイルムを長手方向に2段階に
分け、145℃で2.1倍、140℃で2.3倍それぞ
れ延伸した。この一軸フイルムをステンタを用いて幅方
向に140℃で4.0倍延伸し、定長下で200℃にて
5秒間熱処理し、厚さ13μmのフイルムを得た。得ら
れたフイルムの最外層部積層厚さtは、1200nm
で、最外層の積層厚さtと含有粒子の平均粒径dとの関
係t/dは2.0であった。また、両表面の突起数は同
じであり、該表面突起数は15000個/mm2であっ
た。さらに、t/dが0.2〜10の粒子数は1500
0個/mm2 であった。
【0035】このフイルムで作成したVTRテープの画
質を測定すると、クロマS/Nで2.3dBであった。
また、フイルムのスリット性を評価したところ、良好で
あった。このように、最外層積層部に含有される粒子と
積層厚さとの関係、該関係を満たす粒子数、表面突起数
が本発明の範囲内であると、優れた画質、スリット性が
得られ、かつ、中間層がエチレンナフタレートを主要構
成成分とするポリエステル、少なくとも一つの最外層が
エチレンテレフタレートを主要構成成分とするポリエス
テル(本実施例では両最外層ともエチレンテレフタレー
トを主要構成成分とするポリエステル)であるから、フ
イルム全体として高い強度を得つつ、高精度濾過も可能
とすることができる。また、表面の耐引き裂き性を高く
保って、良好なスリット性をが得ることができる。
【0036】実施例2〜4、比較例1〜4(表1) 実施例1と同様にして、最外層の積層厚さ、該積層厚さ
tと含有粒子の平均粒径dとの関係t/d、表面突起
数、t/dが0.2〜10の粒子数、および各フイルム
層のポリマ構成を種々変更して、各種二軸配向積層ポリ
エステルフイルムを作成した。比較例1はポリエチレン
テレフタレート(PET)単層フイルム、比較例2はポ
リエチレンナフタレート(PEN)単層フイルム、比較
例3はPET/PET/PETの3層構成とした。最外
層の積層厚さ、該積層厚さtと含有粒子の平均粒径dと
の関係t/d、表面突起数、t/dが0.2〜10の粒
子数が本発明の範囲内であり、かつ、各フイルム層のポ
リマ構成が本発明で規定した構成を満足する場合には、
いずれも優れた画質、良好なスリット性が得られたが
(実施例2〜4)、いずれかを満足しない比較例1〜4
においては、たとえ一部の条件が本発明の範囲内であっ
ても、画質、スリット性の両方を満足させることはでき
なかった。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】本発明の二軸配向積層フイルムによれ
ば、少なくとも3層以上の積層構造の少なくとも片面側
の最外層に、特定の粒子平均粒径と最外層の層厚さとの
関係を満たすように粒子を含有させ、表面突起数あるい
は該関係を満たす粒径の粒子数を特定の範囲とするとと
もに、少なくとも一つの最外層をエチレンテレフタレー
トを主要構成成分とするポリエステル、中間層をエチレ
ンナフタレートを主要構成成分とするポリエステルから
構成したので、積層フイルムの表面に削れにくいかつ所
望の突起を効率よく形成して望ましい表面形態にするこ
とができ、磁気媒体用として優れた画質を得ることがで
きるとともに加工時において良好なスリット性を得るこ
とができ、しかも、フイルム全体として極めて強度に優
れたものとすることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 9:00 4F

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも3層以上の積層構造からなる
    二軸配向積層フイルムにおいて、その少なくとも片面側
    の最外層に粒子を含有し、該粒子の平均粒径d(nm)
    と該最外層の層厚さt(nm)との関係が 0.2d≦t≦10d であり、該最外層側のフイルム表面の突起個数が3×1
    3 〜2×105 個/mm2 であり、少なくとも一つの
    最外層がエチレンテレフタレートを主要構成成分とする
    ポリエステル、中間層がエチレンナフタレートを主要構
    成成分とするポリエステルであることを特徴とする二軸
    配向積層フイルム。
  2. 【請求項2】 少なくとも3層以上の積層構造からなる
    二軸配向積層フイルムにおいて、その少なくとも片面側
    の最外層に粒子を含有し、該粒子の平均粒径d(nm)
    と該最外層の層厚さt(nm)との関係が 0.2d≦t≦10d であり、該式の関係を満たす粒径の粒子数が3×103
    〜1.5×105 個/mm2 であり、かつ、少なくとも
    一つの最外層がエチレンテレフタレートを主要構成成分
    とするポリエステル、中間層がエチレンナフタレートを
    主要構成成分とするポリエステルであることを特徴とす
    る二軸配向積層フイルム。
  3. 【請求項3】 前記エチレンナフタレートを主要構成成
    分とするポリエステルが、80%以上ポリエチレンナフ
    タレートからなる請求項1又は2の二軸配向積層フイル
    ム。
  4. 【請求項4】 前記エチレンナフタレートを主要構成成
    分とするポリエステルが、ポリエチレンナフタレートと
    他のポリエステルとのブレンドからなる請求項1又は2
    の二軸配向積層フイルム。
  5. 【請求項5】 前記エチレンナフタレートを主要構成成
    分とするポリエステルが、ポリエチレンナフタレートと
    他のポリエステルとの共重合体からなる請求項1又は2
    の二軸配向積層フイルム。
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