JPH05269110A - 核磁気共鳴を用いた検査装置 - Google Patents

核磁気共鳴を用いた検査装置

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JPH05269110A
JPH05269110A JP4068616A JP6861692A JPH05269110A JP H05269110 A JPH05269110 A JP H05269110A JP 4068616 A JP4068616 A JP 4068616A JP 6861692 A JP6861692 A JP 6861692A JP H05269110 A JPH05269110 A JP H05269110A
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JP
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magnetic field
coil
magnetic resonance
nuclear magnetic
breast
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JP4068616A
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Yukio Yabusaki
征雄 薮崎
Munetaka Tsuda
宗孝 津田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水平磁場方式のNMRを用いた検査装置にお
いて、被検者の乳房を対象にした場合に高感度、高分解
能に撮像し、乳ガンなどの検査を無侵襲に行うことを可
能にする。 【構成】 静磁場、傾斜磁場、高周波磁場の各磁場を発
生する磁場発生手段12,13,14,18と、検査対
象からの核磁気共鳴信号を検出する信号検出手段8と、
この信号検出手段が出力した検出信号の演算を行う演算
手段11と、演算手段による演算結果を出力する出力手
段とを有し、前記静磁場は水平方向に生成され、信号検
出手段8は、筒型形態300,301を有し、螺旋状又
はこれに類似した形状のコイル310,311を用いて
構成され、筒型形態の内部空間に乳房が入るように構成
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は核磁気共鳴を用いた検査
装置に係り、生体中の水素やリン等からの核磁気共鳴
(以下「NMR」という)信号を測定し、核の密度分布
や緩和時間分布等を映像化する、NMR現象を用いた人
体の検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、人体の頭部や腹部などの内部構造
を、非破壊的に検査する装置として、X線CTや超音波
撮像装置が広く利用されている。近年、NMR現象を用
いて同様の検査を行う試みが成功し、X線CTや超音波
撮像装置では得られなかった多種類の情報を取得できる
ようになった。
【0003】まず、NMR現象の基本原理について以下
に簡単に説明する。原子核は陽子と中性子から構成さ
れ、全体で角運動量Iで回転する核スピンとみなされ
る。
【0004】ここで、水素の原子核を取り上げて考え
る。水素原子核は1個の陽子からなり、スピン量子数1
/2で表される回転をしている。陽子は正の電荷がある
ため原子核が回転するに伴い磁気モーメントμが生じ、
原子核一つ一つを非常に小さな磁石と考えることができ
る。
【0005】例えば、鉄のような強磁性体では上述した
磁石の方向が揃っているために全体として磁化が生じ
る。一方、水素などでは上述した磁石の方向がバラバラ
で全体としては磁化は生じない。しかし、この場合でも
静磁場Hを印加すると、それぞれの原子核は静磁場の方
向に揃うようになる。
【0006】水素原子核の場合にはスピン量子数は1/
2であるので、−1/2と+1/2の二つのエネルギー
準位に分かれる。このエネルギー準位間の差ΔEは一般
的に次式で示される。
【0007】
【数1】ΔE=γhH/2π ここで、γ:磁気回転比、h:プランク定数、H:静磁
場強度である。
【0008】ところで、一般に原子核には静磁場Hによ
って、μ×Hの力が加わるために原子核は静磁場の軸の
回りを次式で示す角速度ω(ラーモア角速度)で歳差運
動する。
【0009】
【数2】ω=γH このような状態の系に周波数ωの電磁波(ラジオ波)を
印加すると、核磁気共鳴現象が起こり、一般に原子核は
(数1)で表されるエネルギー差ΔEに相当するエネル
ギーを吸収し、エネルギー準位が高い方に遷移する。こ
の時、種々の原子核が多数存在していても、すべての原
子核が核磁気共鳴現象を起こすわけではない。これは原
子核毎に磁気回転比γが異なるために、(数2)で示さ
れる共鳴周波数が原子核毎に異なり、印加された周波数
に対応する或る特定の原子核だけが共鳴するためであ
る。
【0010】次に、ラジオ波によって高い準位に遷移さ
せられた原子核はある時定数(緩和時間と呼ばれる)で
決まる時間の後に元の準位に戻る。この時にラジオ波に
よって高い準位に遷移させられた原子核から角周波数ω
の核磁気共鳴信号が放出される。
【0011】ここで、上述した緩和時間は更にスピン−
格子緩和時間(縦緩和時間)T1 とスピン−スピン緩和
時間(横緩和時間)T2 に分けられる。一般に、固体の
場合にはスピン同士の相互作用が生じ易いため、スピン
−スピン緩和時間T2 は短くなる。また、吸収したエネ
ルギーは、まずスピン系に、次に格子系に移っていくた
め、スピン−格子緩和時間T1 はスピン−スピン緩和時
間T2 に比べて非常に大きい値となる。ところが、液体
の場合には分子が自由に運動しているためスピン−スピ
ンとスピン−格子のエネルギー交換の生じ易さは同程度
である。
【0012】上述した現象は水素原子核以外にもリン原
子核、炭素原子核、ナトリウム原子核、フッ素原子核や
酸素原子核などについても同様である。
【0013】上述した基本原理に基づくNMR現象を用
いた検査装置においては、検査物体からの信号を分離・
識別する必要があるが、その一つに、検査物体に傾斜磁
場を印加し、物体各部の置かれた磁場を異ならせ、次
に、各部の共鳴周波数あるいはフェーズエンコード量を
異ならせることで位置の情報を得る方法がある。この方
法の基本原理については、特開昭55−20495号、
ジャーナル・オブ・マグネティック・レゾナンス誌(J.
Magn. Reson.)第18巻,第69〜83頁(1975
年)、フィジックス・オブ・メディスン・アンド・バイ
オロジー誌(Phys.Med.& Biol .)第25巻,第751
〜756頁(1980年)等に報告されているので詳細
な説明は省略する。
【0014】以下に、もっとも多く用いられているスピ
ンエコーの手法について簡単に図1〜図7を参照してそ
の原理を説明する。図1自体は、本発明の実施例の説明
においても用いられるが、ここではNMRを用いた検査
装置の動作原理を説明するために利用し、その詳細説明
は実施例において行われる。
【0015】図1の全体構成図に示すように、被検者2
0は、静磁場Hを発生するコイル18と互いに直交する
3方向の傾斜磁場を発生するX,Y,Zの傾斜磁場コイ
ル16,17,15と高周波磁場を発生する高周波磁場
コイル8の中に、設置されている。ここで、静磁場は水
平方向に向いており、その方向をZ軸とすることが一般
的である。X軸とY軸は図1及び図2中に示される。こ
こで、被検者20の横断面(X−Y面)を撮像するに
は、図7に示すスピンエコーシーケンスに従って傾斜磁
場と高周波磁場を駆動する。
【0016】図7を用いてシーケンスを説明する。期間
Aでは被検者20に傾斜磁場Gz を印加した状態で振幅
変調された高周波電力を高周波コイル8に印加する。横
断面の磁場強度は、静磁場Hと位置zの傾斜磁場強度z
z の和H+zGz で示される。一方、振幅変調された
周波数ωの高周波電力は、特定の周波数帯域ω±Δωを
有しているので、
【0017】
【数3】ω±Δω=γ(H+zGz ) を満足するように、周波数ωあるいは傾斜磁場強度Gz
を選ぶことで横断面の部分の水素原子核スピンを励起す
ることになる。ここで、γは水素原子核の磁気回転比を
示す。期間Bでは傾斜磁場Gy をΔtの間印加すること
で先に励起された核スピンはyの位置により
【0018】
【数4】Δω’=γyGy Δt で示される周波数変移を、その共鳴信号において起こ
す。期間Dで傾斜磁場Gx を印加した状態で共鳴信号を
収集する。このとき、期間Aで励起された核スピンは位
置xによって、
【0019】
【数5】Δω”=γxGx で示される周波数差を有することになる。期間Cは励起
された核スピンのスピンエコーを得るために180度の
高周波磁界と傾斜磁場Gz が印加されている。期間Eは
核スピンが平衡に戻るまでの待ち時間である。期間Bの
傾斜磁場Gy の振幅値を256ステップ変化させて繰り
返し共鳴信号を収集すれば、256×256のデータが
得られる。これらのデータを2次元フーリエ変換するこ
とで画像が得られる。
【0020】上述したようなNMR現象を用いた検査装
置によるイメージングでは、高周波磁場を発生あるいは
受信するコイルの効率を向上させることが、画質の向
上、撮像時間短縮につながる重要な課題となっている。
【0021】ところで、NMR現象を用いた検査装置に
おけるSN比は、静磁場強度Hの1〜1.5乗に比例し
て増加するため、静磁場強度を少しでも高くし、SN比
の向上を図る試みがなされつつある。これまで用いられ
てきた送受信兼用コイル(以下、単に「コイル」とい
う)は鞍型コイルである。しかし、静磁場強度の増加に
伴って原子核の共鳴周波数も増大するため、コイルの自
己共鳴周波数とNMR周波数とが接近あるいは逆転する
状況が生じ、受信時における感度低下あるいは送信時に
おける高周波磁場の発生効率低下という問題が発生す
る。
【0022】これに対して、Alderman等により新しい形
状のコイル(「アルダーマン型コイル」と呼ばれる)が
提案され、上記問題点が解決されるようになった。この
コイルは、ジャーナル・オブ・マグネティック・レゾナ
ンス誌(J.Magn. Reson.)第36巻,第447〜451
頁(1979年)に詳細な記述がある。
【0023】図3及び図4に示すようにアルダーマン型
コイルはガードリング電極131,132、アーム電極
111,112、アーム電極111に接続されたウイン
グ電極121,122,125,126、アーム電極1
12に接続されたウイング電極123,124,12
7,128、ウイング電極121,124間に設けられ
るキャパシタ141、ウイング電極122,123間に
設けられるキャパシタ142、ウイング電極125,1
28間に設けられるキャパシタ143、ウイング電極1
26,127間に設けられるキャパシタ144から構成
される。
【0024】図6に示す同調・整合回路はキャパシタ2
01,202で構成されており、図4のH,G点に接続
される。図5は図3及び図4におけるアーム電極11
1,112及びウイング電極121〜128とキャパシ
タ141〜144から構成される外側の部分を平面に展
開した図である。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】従来の検査装置は、静
磁場Hが水平で静磁場方向に被検体を挿入する水平磁場
方式において、高周波における受信感度の低下及び高周
波磁場の発生効率の低下という問題に関しては有効なコ
イル構成である。
【0026】しかし、検査対象の局所的な箇所、特に被
検者の乳房部分を対象にして高感度で撮像することにつ
いては、充分に配慮されていなかった。
【0027】なお、他の方式を採用した核磁気共鳴を利
用した装置では、乳房部分を検査できる構成を有した高
周波コイルが提案されている(特開平2−302246
号)。この文献に開示された高周波コイルでは、サーフ
ェスコイルを使用し、且つ静磁場が垂直磁場である場合
に使用されるものである。従って、本発明の場合とは、
全く方式が異なる。
【0028】本発明の目的は、水平磁場方式において従
来装置が配慮していない被検者の乳房部を対象にした場
合に、高感度、高分解能に撮像し、乳ガンなどの検査を
無侵襲に行うことができるコイルを備えた核磁気共鳴を
用いた検査装置を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明に係る核磁気共鳴
を用いた検査装置は、上記目的を達成するため、次の用
に構成される。
【0030】静磁場、傾斜磁場、高周波磁場の各磁場を
発生する磁場発生手段と、検査対象からの核磁気共鳴信
号を検出する信号検出手段と、この信号検出手段が出力
した検出信号の演算を行う演算手段と、演算手段による
演算結果を出力する出力手段とを有し、前記静磁場は水
平方向に生成され、信号検出手段は、筒型形態を有し、
螺旋形状又はこれに類似した形状のコイルを用いて構成
され、筒型形態の内部空間に乳房が入るように構成され
る。
【0031】前記の構成において、好ましくは、前記信
号検出手段は、円筒部材と、この円筒部材の円筒面上に
螺旋状に設けられた電流通路又は同心円上に設けられた
複数の電流通路と、この電流通路が作る磁束に直交する
磁束を発生又は受信するように前記円筒面上に設けられ
た電流通路とで構成される。
【0032】前記の構成において、更に、好ましくは、
前記信号検出手段は、円筒部材と、この円筒部材の円筒
面上に沿って螺旋状に設けられた電流通路又は同心円上
に設けられた複数の電流通路のいずれかと、前記電流通
路が作る磁束に直交する磁束を発生又は受信するように
円筒面上に設けられた複数の電流通路とから構成され
る。更に、それぞれの電流通路の先端が容量結合される
ことも可能である。
【0033】前記の各構成において、好ましくは、前記
信号検出手段を複数個設け、それぞれを直列又は並列に
接続したことを特徴とする。
【0034】前記の各構成において、好ましくは、前記
信号検出手段の内側に乳房圧迫手段を設けたことを特徴
とする。
【0035】上記の構成において、好ましくは、前記圧
迫手段として流体を用いたことを特徴とする。
【0036】前記の各構成において、好ましくは、前記
信号検出手段の内側に緩衝材を設けたことを特徴とす
る。
【0037】前記の各構成において、前記信号検出手段
の内側を肌触りの良い物としたことを特徴とする。
【0038】以上の如く、上記目的を達成するために、
乳房が入る形状のソレノイドコイル及びソレノイドコイ
ルと磁束が直交するコイルの組み合わせを用い、必要に
応じて乳房を圧迫する機構を設けたことに、本発明の特
徴がある。
【0039】
【作用】一般的に、核磁気共鳴を用いた検査装置では、
静磁場の方向とコイルの感度方向は直交していなければ
ならない。水平磁場方式の核磁気共鳴を用いた検査装置
では、被検体の挿入方向と静磁場の方向が一致してしま
うために、頭部、腹部用コイルに鞍型コイルなどが考案
され、用いられてきた。
【0040】しかし、乳房を撮像する場合には、核磁気
共鳴の原理に基づけば、対象とする部位からの磁束変化
を効率よく電気信号に変換できるソレノイドコイルが適
用することができる。すなわち、乳房は被検体の体軸に
対して垂直にした状態で撮像が可能である。
【0041】しかも撮像部位がコイルの中に納まるよう
な構成をとることができるため、磁束が集束される。ま
た、ソレノイドコイルと磁束方向が直交するコイルを組
み合わせることで、回転磁場を発生し、受信できるQD
(QUADRATURE DETECTION)コイル(CIRCULAR POLARIZAT
ION COILとも呼ばれる)を構成することができる。従っ
て、撮像部位を通る磁束を効率よく捕捉することができ
るため、高感度に受信できる。
【0042】更に、コイルの内側に膨張収縮する機構を
設け、乳房を圧迫又は動かないように固定することが可
能となり、分解能がよい画像を得ることができる。
【0043】
【実施例】以下に、本発明の実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。
【0044】図1は、本発明による送受信兼用の高周波
コイルが適用されたNMRを用いた検査装置の構成図で
ある。
【0045】図1において、5は制御装置、6は高周波
パルス発生器、7は電力増幅器、8は高周波磁場を発生
すると共に対象物体20から生ずる信号を検出するため
の送受信兼用コイル、9は増幅器、10は検波器、11
は信号処理装置を示している。また12,13,14
は、それぞれZ方向及びこれに直角の方向(X方向及び
Y方向)の傾斜磁場を発生させるコイル、15,16,
17はそれぞれ上記コイル12,13,14を駆動する
電源部を示している。これらのコイルにより発生する傾
斜磁場により検査対象の置かれる空間の磁場分布を、所
望の傾斜を有する分布とするものである。図1ではコイ
ル13,14,8の順に大きさが小さくなっているよう
に描いてあるが、全体構成を示すための便宜的なもので
あり、この大きさ、順番にこだわる必要はない。
【0046】制御装置5は、各装置に種々の命令を一定
のタイミングで出力する機能を有する。高周波パルス発
生器6の出力は、電力増幅器7で増幅され、上記コイル
8を励振する。コイル8で受信された信号成分は、増幅
器9を通り、検波器10で検波後、信号処理装置11で
画像に変換される。
【0047】なお静磁場の発生は、電源19により駆動
されるコイル18による。本実施例では静磁場の発生は
コイル18による常電導方式としたが、励磁時以外は電
源19が不要な超電導方式でも良い。検査対象である被
検者20はベッド21上に載置され、上記ベッド21は
支持台22上を移動可能に構成されている。
【0048】図2は図1における傾斜磁場コイルの構成
及び流す電流の方向を示した一例である。コイル12で
Z方向傾斜磁場を、コイル13でX方向傾斜磁場を、コ
イル14でY方向傾斜磁場を発生する例を示している。
コイル13とコイル14は同じ形のコイルであって、Z
軸回りに90度回転した構成をしている。実際にはコイ
ル12,13,14を一つの円筒形ボビンに巻いて用い
られる。これらの傾斜磁場コイルは静磁場と同一方向
(Z軸方向)磁場を発生し、それぞれZ,X,Y軸に沿
って直線勾配(傾斜)を持つ磁場を発生する。
【0049】本発明は、上記コイル8の改良に関する。
ここで、コイル8は、例えば頭部用コイルであれば直径
300mm、長さ300mm程度の大きさを有するもの
である。本発明によるコイル8は、乳房用コイルである
ため、頭部用コイルよりも小さく、乳房用コイルとして
大きい場合でも直径200mm、長さ200mm程度の
ものである。
【0050】本実施例ではコイル形状を円筒形として説
明するが、楕円筒形などの形状の変形も可能であり、本
発明を規制するものではない。
【0051】図8は乳房専用の送受信兼用コイルの一実
施例の概略を示した鳥瞰図である。図9は図8に示す乳
房用コイルの等価回路図である。図8に示す実施例で
は、円筒形ボビン300,301に銅線からなる電極3
10,311を巻き付け、更に円筒形ボビン300,3
01の軸方向と直交する方向に感度を持つように銅線か
らなる矩形の電極700,701,710,711を円
筒形ボビン300,301に巻き付けた構成である。円
筒形ボビン300,301のそれぞれに基づいて構成さ
れたコイルユニットのそれぞれは、各乳房に対応する。
図8に示す実施例では、電極310,311,700,
701,710,711は銅線で構成した場合について
示しているが、銅パイプ、銅箔又は銅板で構成しても良
い。いずれの場合も、電極は電流通路として機能するも
のであり、ソレノイドコイルを形成する。図8では電極
として2ターンのソレノイドコイルとしているが、本実
施例はターン数を2ターンに限定するものではない。共
鳴周波数と感度によってターン数を変化させる必要があ
る場合がある。図8及び図9では、矩形の電極700,
701及び電極710,711を円筒形ボビン300及
び301に巻き付けた構成であるが、電極700,70
1及び電極710,711として円形や楕円形などでも
良い。また電極700,701及び電極710,711
を円筒形ボビン300,301に巻き付けた構成でなく
ても良い。矩形の電極700,701及び電極710,
711を円筒形ボビン300,301に巻き付けない場
合の実施例を、図10に示す。図8〜図10では、矩形
電極700,701,710,711を並列に接続した
場合について示している。
【0052】更に、図8〜図10では、電極310,3
11を螺旋状に巻いた場合の構成を示しているが、図1
1に示すように円形状の電極320,321と電極33
0,331のそれぞれを、まずボビン300,301に
巻き付け、各ボビンにおける2つの電極を電極322,
332で斜めに接続するようにする。このようにするこ
とによって、或る角度をつけて電極310,311をボ
ビン300,301に巻き付け、螺旋状の形状にする必
要がなくなるため、作製が容易になるという利点があ
る。図11に示す実施例では、電極320,321及び
電極330,331についてのみ着目し、電極320,
321及び電極330,331の構造が明確になるよう
に電極700,701及び電極710,711は省略し
ているが、図8〜図10に示す実施例と同様の構成であ
る。
【0053】図12及び図13には、電極320,32
1からなるコイル820、及び電極330,331から
なるコイル830と、電力増幅器7及び増幅器9との接
続の一実施例を示す。図12及び図13では接続関係を
示すのが主な目的であるから、コイル820,830は
簡略化して示されている。また本実施例では、電力増幅
器及び増幅器を2組(電力増幅器71,72、増幅器9
1,92)用いて構成した場合について示している。
【0054】図12に示す実施例では、回転磁場の方向
を図に示す方向(時計回り)の場合について示してい
る。照射時には、照射信号は2系統に分離されており、
一方は電力増幅器71へ、もう一方は移相器701で照
射信号の位相を90゜遅らせた後に電力増幅器72へ入
力される。電力増幅器71,72で増幅された信号野そ
れぞれが、コイル820,830を駆動する。次に受信
時には、コイル820,830で受信された信号は、そ
れぞれ増幅器91,92で増幅された後、コイル820
で受信された信号を移相器901で90゜位相をずら
し、合成器100で合成される。
【0055】回転磁場の方向が逆方向(反時計回り)の
場合には、図13に示すように、それぞれの移相器70
1,901の挿入場所が、もう一方のチャンネルに変わ
るだけで、基本的な構成は同じである。図12及び図1
3では電力増幅器71,72と増幅器91,92の間の
信号の分離については明示していないが、λ/4ケーブ
ルと交差ダイオードを用いる公知の方法で分離すること
ができる。回転磁場で励起及び受信する場合の駆動及び
受信の構成の仕方には、本実施例以外にも外部からの信
号で能動的に行う方法など種々の構成方法があり、図1
2及び図13に示す構成以外でも良く、任意の構成が可
能である。
【0056】また図8〜図11では、コイルのキャパシ
タによる分割は行わない場合について示している。しか
し、共鳴周波数が高くなりコイルの同調がとれない場合
や被検体の影響が大きい場合には、キャパシタによって
コイルを分割することで問題を回避できる。このような
構成の実施例を図14及び図15に示す。
【0057】図14に示す実施例では、螺旋状の電極3
101〜3105,3111〜3115及び矩形状の電
極7001〜7005,7011〜7015,7101
〜7105,7111〜7115のそれぞれに関し、図
15に示す実施例では、円形の電極3201〜320
3,3211〜3213,3301〜3303,331
1〜3313及び矩形状の電極7001〜7005,7
011〜7015,7101〜7105,7111〜7
115のそれぞれに関し、キャパシタ421〜424,
4201〜4204,4211〜4214及び431〜
434,4301〜4304,4311〜4314で分
割した場合について示している。図14及び図15の図
示例において、図示の便宜上、左右2つの乳房のそれぞ
れに対応するコイルユニットを上下に配置にして示して
いる。
【0058】図15に示す実施例では、全体の構成が見
やすくなるように、図14に示す構成を90度回転して
いる。キャパシタによる分割数については、共鳴周波数
及び被検体による影響の度合いによって適時変更する必
要がある。
【0059】図16は、2つの乳房のそれぞれに対応す
る2組のコイル(前述の電極に対応する)の接続方法を
示した実施例である。図16では2組のコイルの接続方
法を示すのが目的であるため、コイルは1ターンのもの
(円形又は螺旋状のコイルを500,501、矩形状の
コイルを502,503)で示した。図16(a),
(b)では円形又は螺旋状のコイルのみを示す。具体的
な構成は図8〜図11、図14及び図15に示すもので
ある。図16(a)は2組のコイル500,501を直
列に接続する場合を示す。図16(b)は2組のコイル
500,501を並列に接続する場合を示す。各々の場
合で、接続を二通り示しているのはそれぞれのコイル5
00,501の磁束の向きが同じ方向の場合と反対の場
合である。図16のH,G点に図6で示した同調・整合
回路を接続することで、同調及び整合をとれることは従
来と同様である。
【0060】図16(c),(d)は2組のコイル50
2,503の接続方法を示した場合を示す。図16
(c),(d)では矩形コイルの接続方法を示すのが目
的であるため、矩形コイルについてのみ示した。具体的
な構成は図8〜図11及び図14及び図15に示すもの
である。図16(c)は2組のコイル502,503を
直列に接続する場合、また図16(d)は2組のコイル
502,503を並列に接続する場合について示してい
る。図16(c),(d)のH,G点に図6で示した同
調・整合回路を接続することで、同調及び整合をとれる
のは前述のコイル500、501と同様である。
【0061】図17は、図8に示す乳房用コイルに被検
者20の左右の乳房201,202が入っている状態の
断面図を模式的に示している。円筒形ボビン300,3
01の一端は、被検者20の乳房201,202が入る
ように空いた構造になっている。また腕203,204
及び頭205を、全体構成が分かりやすいように示し
た。図17から明らかなように、円筒形ボビン300及
び301の外側に電極320,321,700,701
及び330,331,710,711を巻き付けた構成
のため、被検者20が電極320,321,700,7
01及び330,331,710,711に直接触れる
ことで感電することはない。この際、円筒形ボビン30
0,301の内側にクッションなどの緩衝材を張り付け
ることによって被検者20が快適に検査を受けられるよ
うにできる。更に、緩衝材を肌触りの良い材質とするこ
とで、より快適に検査を受けられるようにできる。また
図13では、詳細な図示を省略しているが、被検者20
によって2つの乳房の間隔が異なるため、この2組の円
筒形ボビン300,301の間隔を調節できる構成を有
している。
【0062】上記の調整を可能とする構成の一実施例
を、図18及び図19に示す。図18は概略構成を示す
平面図、図19は図18中のA−A’線断面図である。
図18及び図19では、間隔を調整するための概略構成
図であるため、カバーなどの部分は省略した。図18及
び図19に示す実施例では、円筒形ボビン300,30
1に支持具350,351を付設し、この支持具35
0,351の一方の端にネジを切ったネジ穴340,3
41を設ける。上記支持具350,351を接続する別
な支持具360を、ネジ穴側340,341を形成した
箇所に設ける。支持具360の上面部にも穴を開けてお
く。この穴を通して、ネジ370,371を用いて支持
具360と支持具350,351とを結合する。この構
成に基づいて、円筒形ボビン300,301の間隔を調
節できる。図18及び図19に示した実施例の外にも類
似の種々の構成が考えられる。
【0063】乳ガンなどの検査では乳房を圧迫し、その
ときの癌組織の変形具合を見ることがある。また、動き
を抑制するために乳房を軽く圧迫することもある。その
ような場合における乳房を圧迫する機構の概略構成を示
す断面図が、図20(a),(b)で、図17に示す断
面図に対応させてある。図20(a)では空気等の流体
によって圧迫する機構の概略構成断面図を、図20
(b)では機械的に圧迫する機構の概略構成断面図を示
している。
【0064】図20(a)に示す実施例では円筒形ボビ
ン300,301の内側に伸縮する材料からなるドーナ
ツ状の圧迫用気密袋601〜603及び611〜613
を設け、それぞれに外部から適当な圧力の空気などの流
体650を注入することで圧迫する構成を形成してい
る。本実施例では、説明のために圧迫用気密袋が3個か
ら構成される場合について示した。この気密袋の個数を
増減することで部分的な圧迫等、圧迫部位を自由に設定
できるようになる。また、この気密袋を一つのつながっ
たドーナツ状ではなくいくつかの部分に分割することで
周方向におけるより微妙な圧迫が可能となる。
【0065】図20(b)に示す実施例では2枚の圧迫
用平板620,621及び630,631をそれぞれ円
筒形ボビン300,301の内側に設け、この平板を機
械的に動かすことで圧迫を行う場合について示してい
る。図示例では内方に移動させる矢印を示している。こ
の場合には、前述の気密袋の場合に比べて微妙な圧迫を
する場合には機構が複雑となるが、単純な圧迫でよい場
合には、構造が簡単で容易に作製できるという利点があ
る。
【0066】以上の説明では個々について説明したが、
これらを組み合わせても良いことは言うまでもないこと
である。
【0067】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明によ
れば、水平磁場方式の核磁気共鳴を用いた検査装置にお
いて、被検者の乳房を対象にした場合にソレノイドコイ
ルを用いて乳房検査用コイルを用いるため、高感度、高
分解能に撮像を行うことができ、乳ガンなどの検査を無
侵襲に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるNMRを用いた検査装
置の全体構成図である。
【図2】各傾斜磁場を発生するコイルの構成及び電流の
通電方向を示した図である。
【図3】アルダーマン型コイルの構成を示す外観斜視図
である。
【図4】アルダーマン型コイルの等価回路を示す回路図
である。
【図5】アルダーマン型コイルのを展開した図である。
【図6】同調・整合回路の回路図である。
【図7】スピンエコー法のシーケンスの説明するための
図である。
【図8】本発明に係る乳房用コイルの第1実施例を示す
外観斜視図である。
【図9】図8に示したコイルの等価回路を示す回路図で
ある。
【図10】本発明に係る乳房用コイルの他の等価回路を
示す回路図である。
【図11】本発明に係る乳房用コイルの他の実施例を示
す外観斜視図である。
【図12】送受信用コイルと電力増幅器と増幅器との接
続関係を示す回路図である。
【図13】送受信用コイルと電力増幅器と増幅器との他
の接続関係を示す回路図である。
【図14】図8に示したコイルにおいてキャパシタによ
る分割を行った場合の等価回路図である。
【図15】図11に示したコイルにおいてキャパシタに
よる分割を行った場合の等価回路図である。
【図16】2つの螺旋状もしくは円形のコイル、又は2
つの矩形のコイルの接続関係を示す結線図である。
【図17】本発明によるコイルによる測定状態を示す図
である。
【図18】2つの乳房用コイルの間隔を調整する機構の
実施例を示す平面図である。
【図19】図18におけるA−A′線断面図である。
【図20】乳房を圧迫する機構を説明するための縦断面
図である。
【符号の説明】
5 制御装置 6 高周波パルス発生器 8 送受信兼用コイル 11 信号処理装置 12,13,14 傾斜磁場を発生させるコイル 18 静磁場を発生させるコイル 20 被検者 201,202 乳房 205 頭 310,311 電極 320〜322 電極 330〜332 電極 700,701 電極 710,711 電極 500〜503,820,830 コイル 601〜603,611〜613 圧迫用気密袋 620,621,630,631 圧迫用平板
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年12月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 核磁気共鳴を用いた検査装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は核磁気共鳴を用いた検査
装置に係り、生体中の水素やリン等からの核磁気共鳴
(以下「NMR」という)信号を測定し、核の密度分布
や緩和時間分布等を映像化する、NMR現象を用いた人
体の検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、人体の頭部や腹部などの内部構造
を、非破壊的に検査する装置として、X線CTや超音波
撮像装置が広く利用されている。近年、NMR現象を用
いて同様の検査を行う試みが成功し、X線CTや超音波
撮像装置では得られなかった多種類の情報を取得できる
ようになった。
【0003】まず、NMR現象の基本原理について以下
に簡単に説明する。原子核は陽子と中性子から構成さ
れ、全体で角運動量Iで回転する核スピンとみなされ
る。
【0004】ここで、水素の原子核を取り上げて考え
る。水素原子核は1個の陽子からなり、スピン量子数1
/2で表される回転をしている。陽子は正の電荷がある
ため原子核が回転するに伴い磁気モーメントμが生じ、
原子核一つ一つを非常に小さな磁石と考えることができ
る。
【0005】例えば、鉄のような強磁性体では上述した
磁石の方向が揃っているために全体として磁化が生じ
る。一方、水素などでは上述した磁石の方向がバラバラ
で全体としては磁化は生じない。しかし、この場合でも
静磁場Hを印加すると、それぞれの原子核は静磁場の方
向に揃うようになる。
【0006】水素原子核の場合にはスピン量子数は1/
2であるので、−1/2と+1/2の二つのエネルギー
準位に分かれる。このエネルギー準位間の差ΔEは一般
的に次式で示される。
【0007】
【数1】ΔE=γhH/2π ここで、γ:磁気回転比、h:プランク定数、H:静磁
場強度である。
【0008】ところで、一般に原子核には静磁場Hによ
って、μ×Hの力が加わるために原子核は静磁場の軸の
回りを次式で示す角速度ω(ラーモア角速度)で歳差運
動する。
【0009】
【数2】ω=γH このような状態の系に周波数ωの電磁波(ラジオ波)を
印加すると、核磁気共鳴現象が起こり、一般に原子核は
(数1)で表されるエネルギー差ΔEに相当するエネル
ギーを吸収し、エネルギー準位が高い方に遷移する。こ
の時、種々の原子核が多数存在していても、すべての原
子核が核磁気共鳴現象を起こすわけではない。これは原
子核毎に磁気回転比γが異なるために、(数2)で示さ
れる共鳴周波数が原子核毎に異なり、印加された周波数
に対応する或る特定の原子核だけが共鳴するためであ
る。
【0010】次に、ラジオ波によって高い準位に遷移さ
せられた原子核はある時定数(緩和時間と呼ばれる)で
決まる時間の後に元の準位に戻る。この時にラジオ波に
よって高い準位に遷移させられた原子核から角周波数ω
の核磁気共鳴信号が放出される。
【0011】ここで、上述した緩和時間は更にスピン−
格子緩和時間(縦緩和時間)T1 とスピン−スピン緩和
時間(横緩和時間)T2 に分けられる。一般に、固体の
場合にはスピン同士の相互作用が生じ易いため、スピン
−スピン緩和時間T2 は短くなる。また、吸収したエネ
ルギーは、まずスピン系に、次に格子系に移っていくた
め、スピン−格子緩和時間T1 はスピン−スピン緩和時
間T2 に比べて非常に大きい値となる。ところが、液体
の場合には分子が自由に運動しているためスピン−スピ
ンとスピン−格子のエネルギー交換の生じ易さは同程度
である。
【0012】上述した現象は水素原子核以外にもリン原
子核、炭素原子核、ナトリウム原子核、フッ素原子核や
酸素原子核などについても同様である。
【0013】上述した基本原理に基づくNMR現象を用
いた検査装置においては、検査物体からの信号を分離・
識別する必要があるが、その一つに、検査物体に傾斜磁
場を印加し、物体各部の置かれた磁場を異ならせ、次
に、各部の共鳴周波数あるいはフェーズエンコード量を
異ならせることで位置の情報を得る方法がある。この方
法の基本原理については、特開昭55−20495号、
ジャーナル・オブ・マグネティック・レゾナンス誌(J.
Magn. Reson.)第18巻,第69〜83頁(1975
年)、フィジックス・オブ・メディスン・アンド・バイ
オロジー誌(Phys.Med.& Biol .)第25巻,第751
〜756頁(1980年)等に報告されているので詳細
な説明は省略する。
【0014】以下に、もっとも多く用いられているスピ
ンエコーの手法について簡単に図1〜図7を参照してそ
の原理を説明する。図1自体は、本発明の実施例の説明
においても用いられるが、ここではNMRを用いた検査
装置の動作原理を説明するために利用し、その詳細説明
は実施例において行われる。
【0015】図1の全体構成図に示すように、被検者2
0は、静磁場Hを発生するコイル18と互いに直交する
3方向の傾斜磁場を発生するX,Y,Zの傾斜磁場コイ
ル16,17,15と高周波磁場を発生する高周波磁場
コイル8の中に、設置されている。ここで、静磁場は水
平方向に向いており、その方向をZ軸とすることが一般
的である。X軸とY軸は図1及び図2中に示される。こ
こで、被検者20の横断面(X−Y面)を撮像するに
は、図7に示すスピンエコーシーケンスに従って傾斜磁
場と高周波磁場を駆動する。
【0016】図7を用いてシーケンスを説明する。期間
Aでは被検者20に傾斜磁場Gz を印加した状態で振幅
変調された高周波電力を高周波コイル8に印加する。横
断面の磁場強度は、静磁場Hと位置zの傾斜磁場強度z
z の和H+zGz で示される。一方、振幅変調された
周波数ωの高周波電力は、特定の周波数帯域ω±Δωを
有しているので、
【0017】
【数3】ω±Δω=γ(H+zGz ) を満足するように、周波数ωあるいは傾斜磁場強度Gz
を選ぶことで横断面の部分の水素原子核スピンを励起す
ることになる。ここで、γは水素原子核の磁気回転比を
示す。期間Bでは傾斜磁場Gy をΔtの間印加すること
で先に励起された核スピンはyの位置により
【0018】
【数4】Δω’=γyGy Δt で示される周波数変移を、その共鳴信号において起こ
す。期間Dで傾斜磁場Gx を印加した状態で共鳴信号を
収集する。このとき、期間Aで励起された核スピンは位
置xによって、
【0019】
【数5】Δω”=γxGx で示される周波数差を有することになる。期間Cは励起
された核スピンのスピンエコーを得るために180度の
高周波磁界と傾斜磁場Gz が印加されている。期間Eは
核スピンが平衡に戻るまでの待ち時間である。期間Bの
傾斜磁場Gy の振幅値を256ステップ変化させて繰り
返し共鳴信号を収集すれば、256×256のデータが
得られる。これらのデータを2次元フーリエ変換するこ
とで画像が得られる。
【0020】上述したようなNMR現象を用いた検査装
置によるイメージングでは、高周波磁場を発生あるいは
受信するコイルの効率を向上させることが、画質の向
上、撮像時間短縮につながる重要な課題となっている。
【0021】ところで、NMR現象を用いた検査装置に
おけるSN比は、静磁場強度Hの1〜1.5乗に比例し
て増加するため、静磁場強度を少しでも高くし、SN比
の向上を図る試みがなされつつある。これまで用いられ
てきた送受信兼用コイル(以下、単に「コイル」とい
う)は鞍型コイルである。しかし、静磁場強度の増加に
伴って原子核の共鳴周波数も増大するため、コイルの自
己共鳴周波数とNMR周波数とが接近あるいは逆転する
状況が生じ、受信時における感度低下あるいは送信時に
おける高周波磁場の発生効率低下という問題が発生す
る。
【0022】これに対して、Alderman等により新しい形
状のコイル(「アルダーマン型コイル」と呼ばれる)が
提案され、上記問題点が解決されるようになった。この
コイルは、ジャーナル・オブ・マグネティック・レゾナ
ンス誌(J.Magn. Reson.)第36巻,第447〜451
頁(1979年)に詳細な記述がある。
【0023】図3及び図4に示すようにアルダーマン型
コイルはガードリング電極131,132、アーム電極
111,112、アーム電極111に接続されたウイン
グ電極121,122,125,126、アーム電極1
12に接続されたウイング電極123,124,12
7,128、ウイング電極121,124間に設けられ
るキャパシタ141、ウイング電極122,123間に
設けられるキャパシタ142、ウイング電極125,1
28間に設けられるキャパシタ143、ウイング電極1
26,127間に設けられるキャパシタ144から構成
される。
【0024】図6に示す同調・整合回路はキャパシタ2
01,202で構成されており、図4のH,G点に接続
される。図5は図3及び図4におけるアーム電極11
1,112及びウイング電極121〜128とキャパシ
タ141〜144から構成される外側の部分を平面に展
開した図である。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】従来の検査装置は、静
磁場Hが水平で静磁場方向に被検体を挿入する水平磁場
方式において、高周波における受信感度の低下及び高周
波磁場の発生効率の低下という問題に関しては有効なコ
イル構成である。
【0026】しかし、検査対象の局所的な箇所、特に被
検者の乳房部分を対象にして高感度で撮像することにつ
いては、充分に配慮されていなかった。
【0027】なお、他の方式を採用した核磁気共鳴を利
用した装置では、乳房部分を検査できる構成を有した高
周波コイルが提案されている(特開平2−302246
号)。この文献に開示された高周波コイルでは、サーフ
ェスコイルを使用し、且つ静磁場が垂直磁場である場合
に使用されるものである。従って、本発明の場合とは、
全く方式が異なる。
【0028】本発明の目的は、水平磁場方式において従
来装置が配慮していない被検者の乳房部を対象にした場
合に、高感度、高分解能に撮像し、乳ガンなどの検査を
無侵襲に行うことができるコイルを備えた核磁気共鳴を
用いた検査装置を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明に係る核磁気共鳴
を用いた検査装置は、上記目的を達成するため、次の用
に構成される。
【0030】静磁場、傾斜磁場、高周波磁場の各磁場を
発生する磁場発生手段と、検査対象からの核磁気共鳴信
号を検出する信号検出手段と、この信号検出手段が出力
した検出信号の演算を行う演算手段と、演算手段による
演算結果を出力する出力手段とを有し、前記静磁場は水
平方向に生成され、信号検出手段は、筒型形態を有し、
螺旋形状又はこれに類似した形状のコイルを用いて構成
され、筒型形態の内部空間に乳房が入るように構成され
る。
【0031】前記の構成において、好ましくは、前記信
号検出手段は、円筒部材と、この円筒部材の円筒面上に
螺旋状に設けられた電流通路又は同心円上に設けられた
複数の電流通路と、この電流通路が作る磁束に直交する
磁束を発生又は受信するように前記円筒面上に設けられ
た電流通路とで構成される。
【0032】前記の構成において、更に、好ましくは、
前記信号検出手段は、円筒部材と、この円筒部材の円筒
面上に沿って螺旋状に設けられた電流通路又は同心円上
に設けられた複数の電流通路のいずれかと、前記電流通
路が作る磁束に直交する磁束を発生又は受信するように
円筒面上に設けられた複数の電流通路とから構成され
る。更に、それぞれの電流通路の先端が容量結合される
ことも可能である。
【0033】前記の各構成において、好ましくは、前記
信号検出手段を複数個設け、それぞれを直列又は並列に
接続したことを特徴とする。
【0034】前記の各構成において、好ましくは、前記
信号検出手段の内側に乳房圧迫手段を設けたことを特徴
とする。
【0035】上記の構成において、好ましくは、前記圧
迫手段として流体を用いたことを特徴とする。
【0036】前記の各構成において、好ましくは、前記
信号検出手段の内側に緩衝材を設けたことを特徴とす
る。
【0037】前記の各構成において、前記信号検出手段
の内側を肌触りの良い物としたことを特徴とする。
【0038】以上の如く、上記目的を達成するために、
乳房が入る形状のソレノイドコイル及びソレノイドコイ
ルと磁束が直交するコイルの組み合わせを用い、必要に
応じて乳房を圧迫する機構を設けたことに、本発明の特
徴がある。
【0039】
【作用】一般的に、核磁気共鳴を用いた検査装置では、
静磁場の方向とコイルの感度方向は直交していなければ
ならない。水平磁場方式の核磁気共鳴を用いた検査装置
では、被検体の挿入方向と静磁場の方向が一致してしま
うために、頭部、腹部用コイルに鞍型コイルなどが考案
され、用いられてきた。
【0040】しかし、乳房を撮像する場合には、核磁気
共鳴の原理に基づけば、対象とする部位からの磁束変化
を効率よく電気信号に変換できるソレノイドコイルが適
用することができる。すなわち、乳房は被検体の体軸に
対して垂直にした状態で撮像が可能である。
【0041】しかも撮像部位がコイルの中に納まるよう
な構成をとることができるため、磁束が集束される。ま
た、ソレノイドコイルと磁束方向が直交するコイルを組
み合わせることで、回転磁場を発生し、受信できるQD
(QUADRATURE DETECTION)コイル(CIRCULAR POLARIZAT
ION COILとも呼ばれる)を構成することができる。従っ
て、撮像部位を通る磁束を効率よく捕捉することができ
るため、高感度に受信できる。
【0042】更に、コイルの内側に膨張収縮する機構を
設け、乳房を圧迫又は動かないように固定することが可
能となり、分解能がよい画像を得ることができる。
【0043】
【実施例】以下に、本発明の実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。
【0044】図1は、本発明による送受信兼用の高周波
コイルが適用されたNMRを用いた検査装置の構成図で
ある。
【0045】図1において、5は制御装置、6は高周波
パルス発生器、7は電力増幅器、8は高周波磁場を発生
すると共に対象物体20から生ずる信号を検出するため
の送受信兼用コイル、9は増幅器、10は検波器、11
は信号処理装置を示している。また12,13,14
は、それぞれZ方向及びこれに直角の方向(X方向及び
Y方向)の傾斜磁場を発生させるコイル、15,16,
17はそれぞれ上記コイル12,13,14を駆動する
電源部を示している。これらのコイルにより発生する傾
斜磁場により検査対象の置かれる空間の磁場分布を、所
望の傾斜を有する分布とするものである。図1ではコイ
ル13,14,8の順に大きさが小さくなっているよう
に描いてあるが、全体構成を示すための便宜的なもので
あり、この大きさ、順番にこだわる必要はない。
【0046】制御装置5は、各装置に種々の命令を一定
のタイミングで出力する機能を有する。高周波パルス発
生器6の出力は、電力増幅器7で増幅され、上記コイル
8を励振する。コイル8で受信された信号成分は、増幅
器9を通り、検波器10で検波後、信号処理装置11で
画像に変換される。
【0047】なお静磁場の発生は、電源19により駆動
されるコイル18による。本実施例では静磁場の発生は
コイル18による常電導方式としたが、励磁時以外は電
源19が不要な超電導方式でも良い。検査対象である被
検者20はベッド21上に載置され、上記ベッド21は
支持台22上を移動可能に構成されている。
【0048】図2は図1における傾斜磁場コイルの構成
及び流す電流の方向を示した一例である。コイル12で
Z方向傾斜磁場を、コイル13でX方向傾斜磁場を、コ
イル14でY方向傾斜磁場を発生する例を示している。
コイル13とコイル14は同じ形のコイルであって、Z
軸回りに90度回転した構成をしている。実際にはコイ
ル12,13,14を一つの円筒形ボビンに巻いて用い
られる。これらの傾斜磁場コイルは静磁場と同一方向
(Z軸方向)磁場を発生し、それぞれZ,X,Y軸に沿
って直線勾配(傾斜)を持つ磁場を発生する。
【0049】本発明は、上記コイル8の改良に関する。
ここで、コイル8は、例えば頭部用コイルであれば直径
300mm、長さ300mm程度の大きさを有するもの
である。本発明によるコイル8は、乳房用コイルである
ため、頭部用コイルよりも小さく、乳房用コイルとして
大きい場合でも直径200mm、長さ200mm程度の
ものである。
【0050】本実施例ではコイル形状を円筒形として説
明するが、楕円筒形などの形状の変形も可能であり、本
発明を規制するものではない。
【0051】図8は乳房専用の送受信兼用コイルの一実
施例の概略を示した鳥瞰図である。図9は図8に示す乳
房用コイルの等価回路図である。図8に示す実施例で
は、円筒形ボビン300,301に銅線からなる電極3
10,311を巻き付け、更に円筒形ボビン300,3
01の軸方向と直交する方向に感度を持つように銅線か
らなる矩形の電極700,701,710,711を円
筒形ボビン300,301に巻き付けた構成である。円
筒形ボビン300,301のそれぞれに基づいて構成さ
れたコイルユニットのそれぞれは、各乳房に対応する。
図8に示す実施例では、電極310,311,700,
701,710,711は銅線で構成した場合について
示しているが、銅パイプ、銅箔又は銅板で構成しても良
い。いずれの場合も、電極は電流通路として機能するも
のであり、ソレノイドコイルを形成する。図8では電極
として2ターンのソレノイドコイルとしているが、本実
施例はターン数を2ターンに限定するものではない。共
鳴周波数と感度によってターン数を変化させる必要があ
る場合がある。図8及び図9では、矩形の電極700,
701及び電極710,711を円筒形ボビン300及
び301に巻き付けた構成であるが、電極700,70
1及び電極710,711として円形や楕円形などでも
良い。また電極700,701及び電極710,711
を円筒形ボビン300,301に巻き付けた構成でなく
ても良い。矩形の電極700,701及び電極710,
711を円筒形ボビン300,301に巻き付けない場
合の実施例を、図10に示す。図8〜図10では、矩形
電極700,701,710,711を並列に接続した
場合について示している。
【0052】更に、図8〜図10では、電極310,3
11を螺旋状に巻いた場合の構成を示しているが、図1
1に示すように円形状の電極320,321と電極33
0,331のそれぞれを、まずボビン300,301に
巻き付け、各ボビンにおける2つの電極を電極322,
332で斜めに接続するようにする。このようにするこ
とによって、或る角度をつけて電極310,311をボ
ビン300,301に巻き付け、螺旋状の形状にする必
要がなくなるため、作製が容易になるという利点があ
る。図11に示す実施例では、電極320,321及び
電極330,331についてのみ着目し、電極320,
321及び電極330,331の構造が明確になるよう
に電極700,701及び電極710,711は省略し
ているが、図8〜図10に示す実施例と同様の構成であ
る。
【0053】図12及び図13には、電極320,32
1からなるコイル820、及び電極330,331から
なるコイル830と、電力増幅器7及び増幅器9との接
続の一実施例を示す。図12及び図13では接続関係を
示すのが主な目的であるから、コイル820,830は
簡略化して示されている。また本実施例では、電力増幅
器及び増幅器を2組(電力増幅器71,72、増幅器9
1,92)用いて構成した場合について示している。
【0054】図12に示す実施例では、回転磁場の方向
を図に示す方向(時計回り)の場合について示してい
る。照射時には、照射信号は2系統に分離されており、
一方は電力増幅器71へ、もう一方は移相器701で照
射信号の位相を90゜遅らせた後に電力増幅器72へ入
力される。電力増幅器71,72で増幅された信号野そ
れぞれが、コイル820,830を駆動する。次に受信
時には、コイル820,830で受信された信号は、そ
れぞれ増幅器91,92で増幅された後、コイル820
で受信された信号を移相器901で90゜位相をずら
し、合成器100で合成される。
【0055】回転磁場の方向が逆方向(反時計回り)の
場合には、図13に示すように、それぞれの移相器70
1,901の挿入場所が、もう一方のチャンネルに変わ
るだけで、基本的な構成は同じである。図12及び図1
3では電力増幅器71,72と増幅器91,92の間の
信号の分離については明示していないが、λ/4ケーブ
ルと交差ダイオードを用いる公知の方法で分離すること
ができる。回転磁場で励起及び受信する場合の駆動及び
受信の構成の仕方には、本実施例以外にも外部からの信
号で能動的に行う方法など種々の構成方法があり、図1
2及び図13に示す構成以外でも良く、任意の構成が可
能である。
【0056】また図8〜図11では、コイルのキャパシ
タによる分割は行わない場合について示している。しか
し、共鳴周波数が高くなりコイルの同調がとれない場合
や被検体の影響が大きい場合には、キャパシタによって
コイルを分割することで問題を回避できる。このような
構成の実施例を図14及び図15に示す。
【0057】図14に示す実施例では、螺旋状の電極3
101〜3105,3111〜3115及び矩形状の電
極7001〜7005,7011〜7015,7101
〜7105,7111〜7115のそれぞれに関し、図
15に示す実施例では、円形の電極3201〜320
3,3211〜3213,3301〜3303,331
1〜3313及び矩形状の電極7001〜7005,7
011〜7015,7101〜7105,7111〜7
115のそれぞれに関し、キャパシタ421〜424,
4201〜4204,4211〜4214及び431〜
434,4301〜4304,4311〜4314で分
割した場合について示している。図14及び図15の図
示例において、図示の便宜上、左右2つの乳房のそれぞ
れに対応するコイルユニットを上下に配置にして示して
いる。
【0058】図15に示す実施例では、全体の構成が見
やすくなるように、図14に示す構成を90度回転して
いる。キャパシタによる分割数については、共鳴周波数
及び被検体による影響の度合いによって適時変更する必
要がある。
【0059】図16及び図17は、2つの乳房のそれぞ
れに対応する2組のコイル(前述の電極に対応する)の
接続方法を示した実施例である。図16及び図17では
2組のコイルの接続方法を示すのが目的であるため、コ
イルは1ターンのもの(円形又は螺旋状のコイルを50
0,501、矩形状のコイルを502,503)で示し
た。図16(a),(b)では円形又は螺旋状のコイル
のみを示す。具体的な構成は図8〜図11、図14及び
図15に示すものである。図16(a)は2組のコイル
500,501を直列に接続する場合を示す。図16
(b)は2組のコイル500,501を並列に接続する
場合を示す。各々の場合で、接続を二通り示しているの
はそれぞれのコイル500,501の磁束の向きが同じ
方向の場合と反対の場合である。図16及び図17の
H,G点に図6で示した同調・整合回路を接続すること
で、同調及び整合をとれることは従来と同様である。
【0060】図17(c),(d)は2組のコイル50
2,503の接続方法を示した場合を示す。図17
(c),(d)では矩形コイルの接続方法を示すのが目
的であるため、矩形コイルについてのみ示した。具体的
な構成は図8〜図11及び図14及び図15に示すもの
である。図17(c)は2組のコイル502,503を
直列に接続する場合、また図17(d)は2組のコイル
502,503を並列に接続する場合について示してい
る。図17(c),(d)のH,G点に図6で示した同
調・整合回路を接続することで、同調及び整合をとれる
のは前述のコイル500、501と同様である。
【0061】図18は、図8に示す乳房用コイルに被検
者20の左右の乳房201,202が入っている状態の
断面図を模式的に示している。円筒形ボビン300,3
01の一端は、被検者20の乳房201,202が入る
ように空いた構造になっている。また腕203,204
及び頭205を、全体構成が分かりやすいように示し
た。図18から明らかなように、円筒形ボビン300及
び301の外側に電極320,321,700,701
及び330,331,710,711を巻き付けた構成
のため、被検者20が電極320,321,700,7
01及び330,331,710,711に直接触れる
ことで感電することはない。この際、円筒形ボビン30
0,301の内側にクッションなどの緩衝材を張り付け
ることによって被検者20が快適に検査を受けられるよ
うにできる。更に、緩衝材を肌触りの良い材質とするこ
とで、より快適に検査を受けられるようにできる。また
図13では、詳細な図示を省略しているが、被検者20
によって2つの乳房の間隔が異なるため、この2組の円
筒形ボビン300,301の間隔を調節できる構成を有
している。
【0062】上記の調整を可能とする構成の一実施例
を、図19及び図20に示す。図19は概略構成を示す
平面図、図20は図19中のA−A’線断面図である。
図19及び図20では、間隔を調整するための概略構成
図であるため、カバーなどの部分は省略した。図19及
び図20に示す実施例では、円筒形ボビン300,30
1に支持具350,351を付設し、この支持具35
0,351の一方の端にネジを切ったネジ穴340,3
41を設ける。上記支持具350,351を接続する別
な支持具360を、ネジ穴側340,341を形成した
箇所に設ける。支持具360の上面部にも穴を開けてお
く。この穴を通して、ネジ370,371を用いて支持
具360と支持具350,351とを結合する。この構
成に基づいて、円筒形ボビン300,301の間隔を調
節できる。図19及び図20に示した実施例の外にも類
似の種々の構成が考えられる。
【0063】乳ガンなどの検査では乳房を圧迫し、その
ときの癌組織の変形具合を見ることがある。また、動き
を抑制するために乳房を軽く圧迫することもある。その
ような場合における乳房を圧迫する機構の概略構成を示
す断面図が、図21(a),(b)で、図18に示す断
面図に対応させてある。図21(a)では空気等の流体
によって圧迫する機構の概略構成断面図を、図21
(b)では機械的に圧迫する機構の概略構成断面図を示
している。
【0064】図21(a)に示す実施例では円筒形ボビ
ン300,301の内側に伸縮する材料からなるドーナ
ツ状の圧迫用気密袋601〜603及び611〜613
を設け、それぞれに外部から適当な圧力の空気などの流
体650を注入することで圧迫する構成を形成してい
る。本実施例では、説明のために圧迫用気密袋が3個か
ら構成される場合について示した。この気密袋の個数を
増減することで部分的な圧迫等、圧迫部位を自由に設定
できるようになる。また、この気密袋を一つのつながっ
たドーナツ状ではなくいくつかの部分に分割することで
周方向におけるより微妙な圧迫が可能となる。
【0065】図21(b)に示す実施例では2枚の圧迫
用平板620,621及び630,631をそれぞれ円
筒形ボビン300,301の内側に設け、この平板を機
械的に動かすことで圧迫を行う場合について示してい
る。図示例では内方に移動させる矢印を示している。こ
の場合には、前述の気密袋の場合に比べて微妙な圧迫を
する場合には機構が複雑となるが、単純な圧迫でよい場
合には、構造が簡単で容易に作製できるという利点があ
る。
【0066】以上の説明では個々について説明したが、
これらを組み合わせても良いことは言うまでもないこと
である。
【0067】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明によ
れば、水平磁場方式の核磁気共鳴を用いた検査装置にお
いて、被検者の乳房を対象にした場合にソレノイドコイ
ルを用いて乳房検査用コイルを用いるため、高感度、高
分解能に撮像を行うことができ、乳ガンなどの検査を無
侵襲に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるNMRを用いた検査装
置の全体構成図である。
【図2】各傾斜磁場を発生するコイルの構成及び電流の
通電方向を示した図である。
【図3】アルダーマン型コイルの構成を示す外観斜視図
である。
【図4】アルダーマン型コイルの等価回路を示す回路図
である。
【図5】アルダーマン型コイルのを展開した図である。
【図6】同調・整合回路の回路図である。
【図7】スピンエコー法のシーケンスの説明するための
図である。
【図8】本発明に係る乳房用コイルの第1実施例を示す
外観斜視図である。
【図9】図8に示したコイルの等価回路を示す回路図で
ある。
【図10】本発明に係る乳房用コイルの他の等価回路を
示す回路図である。
【図11】本発明に係る乳房用コイルの他の実施例を示
す外観斜視図である。
【図12】送受信用コイルと電力増幅器と増幅器との接
続関係を示す回路図である。
【図13】送受信用コイルと電力増幅器と増幅器との他
の接続関係を示す回路図である。
【図14】図8に示したコイルにおいてキャパシタによ
る分割を行った場合の等価回路図である。
【図15】図11に示したコイルにおいてキャパシタに
よる分割を行った場合の等価回路図である。
【図16】2つの螺旋状もしくは円形のコイル、又は2
つの矩形のコイルの接続関係を示す結線図である。
【図17】2つの螺旋状もしくは円形のコイル、又は2
つの矩形のコイルの接続関係を示す結線図である。
【図18】本発明によるコイルによる測定状態を示す図
である。
【図19】2つの乳房用コイルの間隔を調整する機構の
実施例を示す平面図である。
【図20】図19におけるA−A′線断面図である。
【図21】乳房を圧迫する機構を説明するための縦断面
図である。
【符号の説明】 5 制御装置 6 高周波パルス発生器 8 送受信兼用コイル 11 信号処理装置 12,13,14 傾斜磁場を発生させるコイル 18 静磁場を発生させるコイル 20 被検者 201,202 乳房 205 頭 310,311 電極 320〜322 電極 330〜332 電極 700,701 電極 710,711 電極 500〜503,820,830 コイル 601〜603,611〜613 圧迫用気密袋 620,621,630,631 圧迫用平板
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】
【図11】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図10】
【図6】
【図7】
【図12】
【図17】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【図20】
【図19】
【図21】

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 静磁場、傾斜磁場、高周波磁場の各磁場
    を発生する磁場発生手段と、検査対象からの核磁気共鳴
    信号を検出する信号検出手段と、この信号検出手段が出
    力した検出信号の演算を行う演算手段と、前記演算手段
    による演算結果を出力する出力手段とを有する核磁気共
    鳴を用いた検査装置において、 前記静磁場は水平方向に生成され、前記信号検出手段
    は、筒型形態を有し、螺旋の形態を有したコイルを用い
    て構成され、前記筒型形態の内部空間に乳房が入るよう
    にしたことを特徴とする核磁気共鳴を用いた検査装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の核磁気共鳴を用いた検査
    装置において、前記信号検出手段は、円筒部材と、この
    円筒部材の円筒面上に螺旋状に設けられた電流通路又は
    同心円上に設けられた複数の電流通路と、前記電流通路
    が作る磁束に直交する磁束を発生又は受信するように前
    記円筒面上に設けられた電流通路とで構成されることを
    特徴とする核磁気共鳴を用いた検査装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の核磁気共鳴を用いた検査
    装置において、前記信号検出手段は、円筒部材と、この
    円筒部材の円筒面上に沿って螺旋状に設けられた電流通
    路又は同心円上に設けられた複数の電流通路と、前記電
    流通路が作る磁束に直交する磁束を発生又は受信するよ
    うに円筒面上に設けられた複数の電流通路とからなるこ
    とを特徴とする核磁気共鳴を用いた検査装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の核
    磁気共鳴を用いた検査装置において、前記信号検出手段
    を複数個設け、それぞれを直列又は並列に接続したこと
    を特徴とする核磁気共鳴を用いた検査装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の核
    磁気共鳴を用いた検査装置において、前記信号検出手段
    の内側に乳房圧迫手段を設けたことを特徴とする核磁気
    共鳴を用いた検査装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の核磁気共鳴を用いた検査
    装置において、前記圧迫手段として流体を用いたことを
    特徴とする核磁気共鳴を用いた検査装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の核
    磁気共鳴を用いた検査装置において、前記信号検出手段
    の内側に緩衝材を設けたことを特徴とする核磁気共鳴を
    用いた検査装置。
  8. 【請求項8】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の核
    磁気共鳴を用いた検査装置において、前記信号検出手段
    の内側を肌触りの良い物としたことを特徴とする核磁気
    共鳴を用いた検査装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008520393A (ja) * 2004-11-23 2008-06-19 エムツーエム イメージング コープ. 磁気共鳴画像装置のコイルを極低温冷却するための装置およびその方法
JP2019047999A (ja) * 2017-09-12 2019-03-28 株式会社アールエフ 乳房撮影装置

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