JPH05261082A - 核磁気共鳴を用いた検査装置 - Google Patents

核磁気共鳴を用いた検査装置

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JPH05261082A
JPH05261082A JP4061830A JP6183092A JPH05261082A JP H05261082 A JPH05261082 A JP H05261082A JP 4061830 A JP4061830 A JP 4061830A JP 6183092 A JP6183092 A JP 6183092A JP H05261082 A JPH05261082 A JP H05261082A
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JP
Japan
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coil
magnetic field
nuclear magnetic
magnetic resonance
signal
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JP4061830A
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English (en)
Inventor
Yukio Yabusaki
征雄 薮崎
Munetaka Tsuda
宗孝 津田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は従来技術では適用できなかった
垂直磁場型MRI装置に適用可能なQDプローブを提供
する事にある。 【構成】垂直磁場型MRI装置にソレノイドコイルとバ
ードケージコイルを組み合わせてQDプローブを構成し
た。また、バードケージコイルの軸方向セグメントにイ
ンダクタンスを付加した。更に、付加したインダクタン
スと共鳴周波数で共振する容量素子を付加したインダク
タンスと並列に挿入した。また、この共振回路の動作を
送信時、受信時で制御できるようにスイッチを設け、送
信時には共振回路が共振し、受信時には共振しないよう
に動作するように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生体中の水素や燐等か
らの核磁気共鳴(以下、「NMR」という)信号を測定
し、核の密度分布や緩和時間分布等を映像化する、NM
R現象を用いた検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、人体の頭部,腹部などの内部構造
を、非破壊的に検査する装置として、X線CTや超音波
撮像装置が広く利用されてきている。近年、NMR現象
を用いて同様の検査を行う試みが成功し、X線CTや超
音波撮像装置では得られなかった多種類の情報を取得で
きるようになってきた。
【0003】まず、NMR現象の基本原理について以下
に簡単に説明する。原子核は陽子と中性子から構成さ
れ、全体で角運動量Iで回転する核スピンとみなされ
る。
【0004】今、水素の原子核を取り上げて考えること
にする。水素原子核は1個の陽子からなりスピン量子数
1/2で表される回転をしている。陽子は正の電荷があ
るため原子核が回転するにともなって磁気モーメントμ
が生じ、原子核一つ一つを非常に小さな磁石と考える事
ができる(例えば鉄のような強磁性体では上述した磁石
の方向が揃っているために全体として磁化が生じる。一
方、水素などでは上述した磁石の方向がバラバラで全体
としては磁化は生じない。しかし、この場合でも静磁場
Hを印可するとそれぞれの原子核は静磁場の方向に揃う
ようになる。)。
【0005】水素原子核の場合にはスピン量子数は1/
2であるので−1/2と+1/2の二つのエネルギー準
位に分かれる。このエネルギー準位間の差ΔEは一般的
に次式で示される。
【0006】 ΔE=γhH/2π …(数1) ここで、γ:磁気回転比、h:プランク定数、H:静磁
場強度である。
【0007】ところで、一般に原子核には静磁場Hによ
ってμ×Hの力が加わるために原子核は静磁場の軸の回
りを次式で示す角速度ω(ラーモア角速度)で歳差運動
する。
【0008】ω=γH …(数2) このような状態の系に周波数ωの電磁波(ラジオ波)を
印可すると核磁気共鳴現象が起こり、一般に原子核は数
1で表されるエネルギー差ΔEに相当するエネルギーを
吸収し、エネルギー準位が高い方に遷位する。この時種
々の原子核が多数存在していてもすべての原子核が核磁
気共鳴現象を起こすわけではない。これは原子核毎に磁
気回転比γが異なるために、数2で示される共鳴周波数
が原子核毎に異なり印加された周波数に対応するある特
定の原子核だけが共鳴するためである。
【0009】次に、ラジオ波によって高い準位に遷位さ
せられた原子核はある時定数(緩和時間と呼ばれる)で
決まる時間の後に元の準位に戻る。この時にラジオ波に
よって高い準位に遷位させられた原子核から角周波数ω
の核磁気共鳴信号が放出される。
【0010】ここで、上述した緩和時間は更にスピン−
格子緩和時間(縦緩和時間)T1 とスピン−スピン緩和
時間(横緩和時間)T2 に分けられる。一般に、固体の
場合にはスピン同士の相互作用が生じ易いためにスピン
−スピン緩和時間T2 は短くなる。また、吸収したエネ
ルギーはまずスピン系に、次に格子系に移っていくため
スピン−格子緩和時間T1 はスピン−スピン緩和時間T
2 に比べて非常に大きい値となる。ところが、液体の場
合には分子が自由に運動しているためスピン−スピンと
スピン−格子のエネルギー交換の生じ易さは同程度であ
る。
【0011】上述した現象は水素原子核以外にもリン原
子核,炭素原子核,ナトリウム原子核、フッ素原子核や
酸素原子核などについても同様である。
【0012】上述した基本原理に基づくNMR現象を用
いた検査装置においては、検査物体からの信号を分離・
識別する必要があるが、その一つに、検査物体に傾斜磁
場を印加し、物体各部の置かれた磁場を異ならせ、次に
各部の共鳴周波数あるいはフェーズエンコード量を異な
らせることで位置の情報を得る方法がある。この方法の
基本原理については、特開昭55−20495 号,ジャーナル
・オブ・マグネティック・レゾナンス誌(J.Magn.Res
on.)第18巻,第69〜83頁(1975年)、フィジ
ックス・オブ・メディスン・アンド・バイオロジー誌
(Phys.Med.&Biol.)第25巻,第751〜75
6頁(1980年)等に報告されているので詳細な説明
は省略するが、以下にもっとも多く用いられているスピ
ンエコーの手法について簡単にその原理を説明する(図
3参照)。
【0013】図1の全体構成図に示すように被検者20
は静磁場Hを発生するコイル18と互いに直交する3方
向の傾斜磁場を発生するX,Y,Zの傾斜磁場コイル1
3,14,12(図2参照)と高周波磁場を発生する高
周波磁場コイル8の中に設置されている。ここでX,
Y,Z傾斜磁場コイルを駆動する電源が16,17,1
5である。ここで、静磁場の方向をZ軸とする事が一般
的であるから、XとY軸は図1及び図2に示すようにな
る。ここで、被検者20の横断面(X−Y面)を撮像す
るには図3に示すスピンエコーシーケンスに従って傾斜
磁場と高周波磁場を駆動する。以下図3を用いて説明す
ると、期間Aでは被検者20に傾斜磁場Gz を印加した
状態で振幅変調された高周波電力を高周波コイル8に印
加する。横断面の磁場強度は静磁場Hと位置zの傾斜磁
場強度zGzの和H+zGzで示される。一方、振幅変調
された周波数ωの高周波電力は特定の周波数帯域ω±Δ
ωを有しているので ω±Δω=γ(H+zGz) …(数3) を満足するように周波数ωあるいは傾斜磁場強度Gz
選ぶ事で横断面の部分の水素原子核スピンを励起する事
になる。ここで、γは水素原子核の磁気回転比を示す。
期間Bでは傾斜磁場Gy をΔtの間印加する事で先に励
起された核スピンはyの位置により Δω′=γyGyΔt …(数4) で示される周波数変移をその共鳴信号に起こす。期間D
で傾斜磁場Gx を印加した状態で共鳴信号を収集する。
このとき、期間Aで励起された核スピンは位置xによっ
て Δω″=γxGx …(数5) で示される周波数差を有する事になる。期間Cは励起さ
れた核スピンのスピンエコーを得るために180度の高
周波磁界と傾斜磁場Gz が印加されている。期間Eは核
スピンが平衡に戻るまでの待ち時間である。期間Bの傾
斜磁場Gy の振幅値を256ステップ変化させて繰り返
し共鳴信号を収集すれば256×256のデータが得ら
れる。これらのデータを2次元フーリエ変換する事で画
像が得られる。
【0014】上述したようなNMR現象を用いた検査装
置によるイメージングにおいては高周波磁場を発生ある
いは受信するコイルの効率を向上させることが、画質の
向上,撮像時間短縮につながる重要な課題となってい
る。この一つの方法として直交位相検出プローブコイル
(以下「QDプローブコイル」という)がジャーナル・
オブ・マグネティック・レゾナンス(Journal of Magne
tic Resonance)誌、第69巻(1987)、第236〜
242頁に記載されている。
【0015】また、特開昭61−95234 号にはバードケー
ジコイルについての詳細な記載がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は水平磁
場型の核磁気共鳴を用いた検査装置(以下、「水平磁場
型MRI装置」という)におけるバードケージ型QDプ
ローブとしては有効な構成である。上記従来技術による
バードケージ型QDプローブの鳥瞰図を図4に示す。共
通の縦軸線に沿って相隔たっていて、各々がその周縁に
沿って相隔たる直列接続の複数個の容量素子301〜3
08及び311〜318を含んでいる1対の導電ループ
素子105(1051〜1058),106(1061〜
1068)と、隣接する直列接続の容量素子の間の点で
前記導電ループ素子を電気的に相互接続する複数個の軸
方向導電セグメント(信号電極)401〜408とを有
する構成である。
【0017】図4に示すバードケージ型QDプローブで
は給電点A,Bからの信号を90°位相をずらして加算
することによりxy平面内方向に感度を持っている。こ
こで、核磁気共鳴の原理から磁場の方向はz軸方向であ
る。また、人体挿入方向もz軸を想定している。プロー
ブの円筒中心軸と人体挿入方向が一致しているために人
体形状とプローブ形状が一致する。このため、信号検出
効率が良く均一性が良いプローブとなる。
【0018】このプローブをこのまま垂直磁場型の核磁
気共鳴を用いた検査装置(以下、「垂直磁場型MRI装
置」という)に適用しようとすると信号電極の円筒軸と
平行な部分(「軸方向導電セグメント」という)の間か
ら人体を挿入しなければならなくなる。このため信号検
出効率が低下し、QDプローブを採用する意味がなくな
ってしまう。即ち、図4に示すQDプローブでは垂直磁
場型MRI装置に適用することが出来ないという問題点
があった。
【0019】本発明の目的は上記従来技術では適用でき
なかった垂直磁場型MRI装置に適用可能なQDプロー
ブを提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、垂直磁場型MRI装置に最適なソレノイドコイルと
均一度の良いバードケージコイルを組み合わせてQDプ
ローブを構成した。
【0021】また、バードケージコイルを低周波数で動
作させるためにバードケージコイルの軸方向セグメント
にインダクタンスを付加した。
【0022】更に、クロスコイル方式における送信コイ
ル、受信コイルの結合を切るために付加したインダクタ
ンスと共鳴周波数で共振する容量素子を付加したインダ
クタンスと並列に挿入した。また、付加したインダクタ
ンスと容量素子から成る共振回路の動作を送信時、受信
時で制御できるようにスイッチを設けた。また、このス
イッチが送信時には共振回路が共振し、受信時には共振
しないように動作するように構成することで送信時にお
ける送信コイルと受信コイルの結合を切ることが出来
る。
【0023】スイッチをダイオード対で構成することに
よって、送信時には共振し、また、受信時には共振しな
いように出来る。
【0024】また、バードケージコイルの軸方向セグメ
ントを銅パイプなどの細い導体で構成することにより、
バードケージコイルとソレノイドコイルの重なりを極力
小さくし、実用上問題とならない結合にまで出来る。さ
らに、ソレノイドコイルの重なる部分も細い導体で構成
することにより更に結合を小さくすることが出来る。
【0025】
【作用】ソレノイドコイルは人体挿入方向に感度を持
ち、バードケージコイルは人体挿入方向と直角方向に感
度を持っているのでQDプローブを構成することが出来
る。
【0026】ところで、垂直磁場型MRI装置では通常
0.05〜0.3テスラ等の低磁場強度を用いており、共
鳴周波数も低くなる。
【0027】バードケージコイルの軸方向セグメントに
インダクタンスを付加することでバードケージコイルの
共鳴周波数を容易に下げられるので垂直磁場型MRI装
置に適用できる。
【0028】さらに、送信,受信を別のコイルで行うク
ロスコイル方式において、バードケージコイルに付加さ
れたインダクタンス、キャパシタンスは並列共振回路を
構成し、送信時には共振するようにスイッチで制御する
ことにより、送信時に付加したインダクタンスの両端の
インピーダンスが高くなるため、送信コイルとバードケ
ージコイルの結合を切ることが出来る。このスイッチと
してダイオード対を用いると、送信時には大電圧が印加
されるため導通状態となり共振状態になる。
【0029】受信時には小電圧しか印加されないので開
放状態で共振状態とはならず、バードケージコイルで信
号受信が行える。
【0030】ソレノイドコイルとバードケージコイルの
信号検出部に重なりがあるとQDプローブを構成できな
くなるが、バードケージコイルの軸方向セグメントを銅
パイプなどの細い導体で構成することにより、両コイル
の重なりを少なくし、コイル間の結合を小さく出来る。
更にソレノイドコイルに対しても重なり部を細い導体で
構成することにより、結合はより小さくすることが出来
る。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。
【0032】図1は、送受信を1つのコイルで行うシン
グルコイル方式水平磁場型MRI装置概略構成図であ
る。本発明の実施例に用いる垂直磁場型MRI装置で
は、静磁場の方向が水平ではなく垂直となるが、MRI
装置の全体の理解のためにまず図1から説明する。図1
において、5は制御装置、6は高周波パルス発生器、7
は電力増幅器、8は高周波磁場を発生すると共に対象物
体20から生ずる信号を検出するための送受信兼用コイ
ル、9は増幅器、10は検波器、11は信号処理装置を
示している。本実施例ではコイル8を送受信兼用コイル
としているが、送信及び受信を別々のコイルで行っても
良い。また、12,13,14,は、それぞれ、z方向
及びこれに直角の方向(x方向及びy方向)の傾斜磁場
を発生させるコイル、15,16,17はそれぞれ、上
記コイル12,13,14を駆動する電源部を示してい
る。これらのコイルにより発生する傾斜磁場により検査
対象の置かれる空間の磁場分布を所望の傾斜を有する分
布とするものである。図1ではコイル13,14,8の
順に大きさが小さくなっているように描いてあるが全体
構成を示すための便宜的なものでありこの大きさ、順番
にこだわる必要はない。制御装置5は、各装置に種々の
命令を一定のタイミングで出力する機能を有するもので
ある。高周波パルス発生器6の出力は、電力増幅器7で
増幅され、上記コイル8を励振する。コイル8で受信さ
れた信号成分は、増幅器9を通り、検波器10で検波
後、信号処理装置11で画像に変換される。
【0033】なお、静磁場の発生は、電源19により駆
動されるコイル18による。本実施例では静磁場の発生
はコイル18による常電導方式としたが、励磁時以外は
電源19が不要な超電導方式でも良い。検査対象である
被検者20はベッド21上に載置され、上記ベッド21
は支持台22上を移動可能に構成されている。
【0034】図2は図1に置ける傾斜磁場コイルの構成
及び流す電流の方向を示した一例である。コイル12で
z方向傾斜磁場を、コイル13でx方向傾斜磁場を、コ
イル14でy方向傾斜磁場を発生する例を示している。
コイル13とコイル14は同じ形のコイルであってz軸
回りに90度回転した構成をしている。実際にはコイル
12,13,14を一つの円筒形ボビンに巻いて用いら
れる。これらの傾斜磁場コイルは静磁場と同一方向(z
軸方向)磁場を発生し、それぞれz,x,y軸に沿って
直線勾配(傾斜)を持つ磁場を発生するものである。
【0035】図5は垂直磁場型MRI装置の一構成例を
示すブロック図である。制御装置5,高周波パルス発生
器6,検波器10,信号処理装置11,増幅器15,1
6,17、電源19は図1と同じ接続となるので省略し
てある。また、図5では送信,受信を別のコイルで行う
クロスコイル方式について示してある。クロスコイル方
式では電力増幅器7で高周波パルス発生器6の出力を増
幅し、送信コイル81を励振する。受信コイル82で受
信された信号成分は増幅器9を通り、検波器10で検波
される。また、傾斜磁場コイル12,13,14は1つ
のコイルに簡略化して描いている。本発明は、上記コイ
ル82の改良に係わるものである。ここで、コイル82
は、例えば頭部用コイルであれば直径300mm,長さ3
00mm程度の大きさを有するものである。本実施例では
コイル形状を円筒形として説明するが、楕円形状のコイ
ルにしたり身体に合わせて湾曲させるなどの変形は可能
であり本発明を規制するものではない。
【0036】図6は本発明の一実施例の主要部である受
信コイル82の構成図である。本実施例ではソレノイド
コイル102の外側にバードケージコイルを構成した場
合について示している。
【0037】バードケージコイルは例えば共通の縦軸線
に沿って相隔たっていて、各々がその周縁に沿って相隔
たる直列接続の複数個の容量素子301〜308及び3
11〜318を含んでいる1対の導電ループ素子105
(1051〜1058),106(1061〜106
8)と、隣接する直列接続の容量素子の間の点で前記導
電ループ素子を電気的に相互接続する複数個の軸方向導
電セグメント401〜408とを有する構成である。図
6の場合、ソレノイドコイルの感度はz軸方向で、バー
ドケージコイルの感度はx軸方向である。即ち、y軸方
向に静磁場方向を取れば、ソレノイドコイルとバードケ
ージコイルを組み合わせてQDプローブを構成できるた
め感度・均一度を向上できる。図6では給電点A、B及
びCにつながる同調・整合回路は省略したが図7(a)
または(b)に示すキャパシタ840,841による同
調・整合回路を用いればよい。
【0038】但し、ソレノイドコイル、バードケージコ
イルは共に所望の共鳴周波数で共振するように設計され
ているものとする。
【0039】垂直磁場型MRI装置では一般に共鳴周波
数が低いが、バードケージコイルは比較的高い周波数で
の動作に適しているために垂直磁場型MRI装置に適用
する際には特性を劣化させずに共鳴周波数を下げること
が問題となるような場合が生じる。以下にその解決策に
ついて述べる。
【0040】図6に示した垂直磁場型MRI装置用QD
プローブのバードケージコイルの軸方向セグメント40
1〜408を切断し(図8では411〜418及び42
1〜428)、インダクタンス451〜458を付加し
た構成の一実施例を図8に示す。図8に示すようにイン
ダクタンスを付加することでバードケージコイルの自己
共振周波数を下げることが出来るために、特性の劣化な
しに共鳴周波数を下げることが出来る。
【0041】また、図5に示すように送信、受信を別の
コイルで行うクロスコイル方式の場合には送信コイルと
受信コイルの間での結合が問題となる。
【0042】クロスコイル方式の送信コイルと受信コイ
ルの結合について述べる。今、各コイルの位置関係に注
目し、図9のように簡略化する。図9において、コイル
210は図6のソレノイドコイルを表わし、コイル200
は図6のバードケージコイルを表わしている。コイル2
20は送信用コイルを表わす。コイル200,210,
220の位置関係は図9又は図10に示す位置(コイル
220がコイル200またはコイル210と平行)が実
用的である。(xz平面内に送信方向が向けばNMRの
原理から可能であるが人体挿入方向や受信コイルとの位
置関係から図9,図10に示す位置関係となる。)図9
において、ソレノイドコイル210の感度方向はz軸方
向、バードケージコイル200の感度方向はx軸方向
で、送信コイル220の送信方向はx軸方向である。し
たがって、送信コイル220から送信された大きな信号
が直接バードケージコイル200に入力されてしまう。
また、送信コイル220にとってバードケージコイルは
インダクタンス負荷となってしまうという結合の問題が
生じる。図10における配置では送信コイル220とソ
レノイドコイル210の間で同様に結合の問題が生じ
る。
【0043】図9の配置によって生じる送信コイルとバ
ードケージコイルとの結合の問題にたいする解決法を図
11に示す。図6に示すバードケージコイルの信号電極
例えば401を分割し、インダクタンス451を付加し
インダクタンス451と並列にキャパシタ160,ダイ
オード対170を付加した構成である。送信時にはイン
ダクタンス451の両端に大電圧が印加されるためダイ
オード対170は導通状態となる。ダイオード対170
が導通状態となればインダクタンス451とキャパシタ
160が共振回路を形成し、インダクタンス451両端
のインピーダンスが大きくなり、信号電極401は見か
け上切断されたのと等価になる。信号電極401が切断
されれば、バードケージコイルは開ループとなるため送
信コイル220のインダクタンス負荷とはならないし、
また、送信信号が入力されることもない。一方、受信時
にはインダクタンス451の両端には小電力しか印加さ
れないのでダイオード対170は非導通状態となるた
め、インダクタンス451とキャパシタ160は共振回
路を形成しない。従って、バードケージコイルとしてキ
ャパシタ160は共振回路を形成しない。従って、バー
ドケージコイルとして動作し、信号を受信できる。
【0044】次に、図10に示す配置の場合に生じるソ
レノイドコイル210と送信コイル220の結合の問題
に対する解決法を図12に示す。図12ではソレノイド
コイル210をキャパシタ211〜217で分割した構
成を示した。キャパシタ211〜217で分割することに
よって、人体挿入時の影響を低減することが出来る。こ
のようにソレノイドコイルをキャパシタで分割する場合
には例えばキャパシタ214にたいして、上述したのと
同様にインダクタンス218,ダイオード対219を並
列に付加し、共振回路を構成することによって上述の原
理と同様に送信コイルとの結合を回避することが出来
る。
【0045】次に、ソレノイドコイルとバードケージコ
イルとを組み合わせた場合、両コイルの間で結合が生じ
QDプローブとしての性能が劣化するという問題が生じ
る。ソレノイドコイルとバードケージコイルの組み合わ
せの場合、信号検出部の重なりが少なく、相互の影響が
少ないという特徴を持っているが以下に示すようにする
ことで更に相互の影響を低減することが出来る。即ち、
バードケージコイルの信号電極の内、実質的に信号を受
信する部分(z軸に平行な部分「軸方向セグメント」と
いう)を銅棒などの細い導体で構成する。更に、ソレノ
イドコイル側の軸方向セグメントと対向する部分を細く
することにより、ソレノイドコイルとバードケージコイ
ルの結合は低減できる。
【0046】図13にはソレノイドコイル820及びバ
ードケージコイル830と電力増幅器7及び増幅器9と
の接続の一実施例を示す。図13では同じコイルで送信
及び受信を行うシングルコイル方式について示したが、
送信及び受信を別なコイルで行うクロスコイル方式でも
良い事は言うまでもない。この場合には電力増幅機7か
らの照射信号の接続がなくなると考えれば良いが、この
接続と等価な働きをする照射系を別に設ける必要があ
る。図13では接続を示すのが主な目的であるからコイ
ル820,830は簡略化して示している。また、本実
施例では電力増幅器及び増幅器を2組(電力増幅器7
1,72,増幅器91,92)用いて構成した場合につ
いて示している。図13に示す実施例では回転磁場の方
向を図に示す方向(時計回り)の場合について示してい
る。照射時には照射信号は2系統に分離され、一方は電
力増幅器71へ、もう一方は移相器701で照射信号の
位相を90゜遅らせた後電力増幅器72へ入力される。
電力増幅器71,72で増幅された信号がコイル82
0,830を駆動する。次に受信時にはコイル820,
830で受信された信号はそれぞれ増幅器91,92で
増幅された後、コイル820で受信された信号を移相器
901で90゜位相をずらし合成器100で合成する。
回転磁場の方向が逆方向(反時計回り)の場合には図1
4に示すようにそれぞれの移相器701,901の挿入
場所がもう一方のチャンネルに変わるだけで、基本的な
構成は同じである。図13では電力増幅器71,72と
増幅器91,92の間の信号の分離については明示して
いないが、λ/4ケーブルと交差ダイオードを用いる公
知の方法で分離する事が出来る。また、回転磁場で励起
及び受信する場合の駆動及び受信の構成の仕方には本実
施例以外にも外部からの信号で能動的に行う方法など種
々の構成方法があり、図13に示す構成以外でも良く任
意の構成が可能である。
【0047】また、図13に示す構成は1組のコイルに
ついてのみ示したもので実際には並べるコイルの組全て
について必要となる事は言うまでもない。
【0048】以上の説明では個々について説明したが、
これらを組み合わせても良いことは言うまでもないこと
である。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、垂直磁場型MRI装置
においてQDプローブを構成でき、感度・均一度を向上
できる。
【0050】また、バードケージコイルの自己共振周波
数を下げることが出来るため、特性の劣化なしに共鳴周
波数を下げることが出来る。
【0051】更に、クロスコイル方式における送信コイ
ルと受信コイル間での結合を回避できるため、シングル
コイル方式・クロスコイル方式の両方式に適用すること
が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるNMRを用いた検査装
置の構成図である。
【図2】傾斜磁場コイルの構成及び流す電流の方向を示
した図である。
【図3】スピンエコー法シーケンスの説明図である。
【図4】従来技術のバードケージコイルコイルの構成図
である。
【図5】クロスコイル方式垂直磁場型MRI装置の構成
図である。
【図6】本発明の一実施例の構成図である。
【図7】同調・整合回路の回路図である。
【図8】図6に示す実施例にインダクタンスを付加した
構成図である。
【図9】クロスコイル方式の説明図である。
【図10】クロスコイル方式の説明図である。
【図11】送信コイルと受信コイル間の結合回避法の実
施例を示す図である。
【図12】同じく結合回避法の実施例を示す図である。
【図13】コイルと電力増幅器及び増幅器の接続説明図
である。
【図14】同じく接続説明図である。
【符号の説明】
5…制御装置、6…高周波パルス発生器、7,71,7
2…電力増幅器、701,901…移相器、8…送受信兼
用コイル、9,91,92…増幅器、10…検波器、1
1…信号処理装置、12,13,14…傾斜磁場を発生
させるコイル、18…静磁場を発生させるコイル、1
5,16,17,19…電源部、20…被検者、21…
ベッド、22…支持台。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】静磁場,傾斜磁場及び高周波磁場の各磁場
    発生手段と、検査対象からの核磁気共鳴信号を検出する
    信号検出手段と、該信号検出手段の検出信号の演算を行
    う計算機及び該計算機による演算の出力手段を有する核
    磁気共鳴を用いた検査装置に於て、前記信号検出手段と
    してソレノイドコイルから成る第1のコイルと共通の縦
    軸線に沿って相隔たっていて、各々がその周縁に沿って
    相隔たる直列接続の複数個の容量素子を含んでいる1対
    の導電ループ素子と、隣接する直列接続の容量素子の間
    の点で前記導電ループ素子を電気的に相互接続する複数
    個の軸方向導電セグメントとを有する第2のコイルを組
    み合わせた直交位相検出プローブを備えた事を特徴とす
    る核磁気共鳴を用いた検査装置。
  2. 【請求項2】前記第2のコイルの複数個の軸方向導電セ
    グメントにインダクタンスを付加することを特徴とする
    請求項1記載の核磁気共鳴を用いた検査装置。
  3. 【請求項3】共鳴周波数で軸方向セグメントに付加され
    たインダクタンスと共振する容量素子及びそれと直列に
    接続されたスイッチをインダクタンスに並列に付加した
    ことを特徴とする請求項2記載の核磁気共鳴を用いた検
    査装置。
  4. 【請求項4】前記スイッチは送信時に並列共振回路を形
    成し、受信時には共振回路を形成しないように動作する
    ように構成したことを特徴とする請求項3記載の核磁気
    共鳴を用いた検査装置。
  5. 【請求項5】前記スイッチとしてダイオード対を用いて
    構成したことを特徴とする請求項4記載の核磁気共鳴を
    用いた検査装置。
  6. 【請求項6】前記第1のコイルと第2のコイルの重なる
    場所において、第2のコイルの軸方向セグメント又は第
    1のソレノイドコイルのコイルを構成する部材の少なく
    とも何れか一方を他の信号検出部分よりも細くしたこと
    を特徴とする請求項1記載の核磁気共鳴を用いた検査装
    置。
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