JPH05268944A - 新規胆汁酸変換微生物、及び胆汁酸の製造方法 - Google Patents

新規胆汁酸変換微生物、及び胆汁酸の製造方法

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JPH05268944A
JPH05268944A JP4151028A JP15102892A JPH05268944A JP H05268944 A JPH05268944 A JP H05268944A JP 4151028 A JP4151028 A JP 4151028A JP 15102892 A JP15102892 A JP 15102892A JP H05268944 A JPH05268944 A JP H05268944A
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acid
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Hiroshi Kawade
洋 川出
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卓郎 山浦
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高濃度の前駆体を、ウルソデオキシコール酸
の製造中間体として有用な3α−ヒドロキシ−7−ケト
−5β−コラン酸、3α−ヒドロキシ−7,12−ジケ
ト−5β−コラン酸又は3α,12α−ジヒドロキシ−
7−ケト−5β−コラン酸に、高収率で、変換する能力
を有する微生物の提供、及び、かかる微生物を使用して
これらの化合物を高収率で生産する方法の提供。 【構成】 前駆体を3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β
−コラン酸、3α−ヒドロキシ−7,12−ジケト−5
β−コラン酸又は3α,12α−ジヒドロキシ−7−ケ
ト−5β−コラン酸に変換する能力を有するバチルス・
エスピー TTUR 2-2 、 TTUR 4-1 、TTUR 4-2、TTUR 2-M
4 、TTUR 2-M5 、TTUR 2-M4-250 、TTUR 2-M4-294 、及
びこれらの微生物を前駆体含有培地で培養してこれらの
化合物を生産する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は胆汁酸変換能力を有する
新規微生物及びジ(又はトリ)ヒドロキシコラン酸の水
酸基の位置特異的な酸化方法に関する。更に詳しくは、
本発明はバチルス属に属する胆汁酸変換微生物、及びこ
れらの微生物を用いて3α,7α−ジ−ヒドロキシ−5
β−コラン酸(以下ケノデオキシコール酸という。)又
は、3α、7α、12α−トリヒドロキシ−5β−コラ
ン酸(以下、コール酸という。)から利胆剤として有用
な3α、7β−ジヒドロキシ−5β−コラン酸(以下、
ウルソデオキシコール酸という。)の製造中間体である
3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸、又は3
α、12α−ジヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸
若しくは3α−ヒドロキシ−7,12−ジケト−5β−
コラン酸を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ケノデオキシコール酸からウルソ
デオキシコール酸を合成する方法としては、ケノデオキ
シコール酸の7位のα水酸基を化学的にβ水酸基とする
方法、すなわち、ケノデオキシコール酸の7位のα水酸
基の選択的酸化で3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−
コラン酸とし、この7−ケト基を立体選択的に還元して
7位がβ水酸基であるウルソデオキシコール酸とする方
法が知られている。
【0003】又、微生物を用いてケノデオキシコール酸
から3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸を製
造する方法としては、シュードモナス属に属する微生物
を用いる方法が知られている(特公昭62−25356
号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、化学的
合成法は、反応性、選択性及び操作上の安全性に問題が
あり、収率や得られる製品の純度の点でも満足できるも
のでなかった。
【0005】又、微生物を用いた前記製造方法では、基
質であるケノデオキシコール酸の濃度が1%と低く、
又、変換率も30.5%と低いもので、満足のできるもので
はなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる現
状に鑑み、微生物を用い、高濃度のケノデオキシコール
酸を基質として、3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−
コラン酸を製造する方法について鋭意研究を進めた結
果、バチルス属に属する新規微生物が、高濃度ケノデオ
キシコール酸を基質として、高収率で3α−ヒドロキシ
−7−ケト−5β−コラン酸を生産することを見い出し
た。これらの微生物は山形県米沢市内の土壌より単離さ
れたもので、本発明者らによってバチルス・エスピー T
TUR 2-2 (Bacillus sp. TTUR 2-2, 微工研条寄第3651
号) 、バチルス・エスピー TTUR 4-1(Bacillus sp.TTUR
4-1, 微工研菌寄第 11862号) 、バチルス・エスピー T
TUR 4-2 (Bacillus sp. TTUR 4-2, 微工研菌寄第 11863
号) と命名された。
【0007】これらの菌株は、ケノデオキシコール酸の
主として7位の水酸基をケト基に酸化する能力を有し、
併せて弱いながらも3位の水酸基をケト基に酸化する能
力を有しているが、基質のケノデオキシコール酸を資化
あるいは分解する性質を示さない。
【0008】本発明者らは基質としてのケノデオキシコ
ール酸をさらに高い収率で3α−ヒドロキシ−7−ケト
−5β−コラン酸に変換し得る微生物を得るためさらに
研究を進めた結果、上記バチルス・エスピー TTUR 2-2
菌株に通常の突然変異処理、例えば紫外線、X線若しく
はγ線等の照射又はN−メチル−N’−ニトロ−N−ニ
トロソグアニジン、4−ニトロキノリン−N−オキサイ
ド、アクリフラビン若しくはエチルメタンスルホネート
等突然変異誘発剤との接触を施すことにより、ケノデオ
キシコール酸を基質として、3α−ヒドロキシ−7−ケ
ト−5β−コラン酸をさらに高い収率(後記するごとく
100%又はほぼ 100%の収率)で生産する突然変異株を
分離することに成功した。
【0009】このような突然変異株として、次の菌株を
挙げることができる。
【0010】(1)バチルス・エスピー TTUR 2-M4 (Ba
cillus sp. TTUR 2-M4) 菌株 (微工研条寄第3393号) 。
【0011】(2)バチルス・エスピー TTUR 2-M5 (Ba
cillus sp. TTUR 2-M5) 菌株 (微工研条寄第3398号) 。
【0012】(3)バチルス・エスピー TTUR 2-M4-250
(Bacillus sp. TTUR 2-M4-250) 菌株(微工研条寄第339
5号) 。
【0013】(4)バチルス・エスピー TTUR 2-M4-294
(Bacillus sp. TTUR 2-M4-294) 菌株(微工研条寄第339
6号) 。
【0014】これらの突然変異株は、いずれもケノデオ
キシコール酸から 100%もしくはほぼ 100%の変換率か
つ 100%もしくはほぼ 100%の選択率で、すなわち 100
%もしくはほぼ 100%の収率で3α−ヒドロキシ−7−
ケト−5β−コラン酸を生産する能力を有する。
【0015】即ち、本発明によれば、バチルス属に属
し、ケノデオキシコール酸を3α−ヒドロキシ−7−ケ
ト−5β−コラン酸に変換する能力を有する微生物をケ
ノデオキシコール酸を含む栄養培地で培養し、培養物中
に3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸を生成
せしめ、これを採取することを特徴とする3α−ヒドロ
キシ−7−ケト−5β−コラン酸の製造方法が提供され
る。更に、本発明によれば、この場合に使用される微生
物として、前記バチルス・エスピー TTUR 2-2 、バチル
ス・エスピー TTUR 4-1 、バチルス・エスピー TTUR 4-
2 、バチルス・エスピー TTUR 2-M4、バチルス・エスピ
ー TTUR 2-M5、バチルス・エスピー TTUR2-M4-250又は
バチルス・エスピー TTUR 2-M4-294が提供される。
【0016】又、本発明者らは、基質をケノデオキシコ
ール酸からコール酸に代えて上記突然変異株を培養した
ところ、バチルス・エスピー TTUR 2-M4菌株又はバチル
ス・エスピー TTUR 2-M5菌株では、3α−ヒドロキシ−
7,12−ジケト−5β−コラン酸をバチルス・エスピ
ー TTUR 2-M4-250菌株又はバチルス・エスピー TTUR2-M
4-294菌株では、3α,12α−ジヒドロキシ−7−ケ
ト−5β−コラン酸を変換生成物として得た。
【0017】即ち、本発明によれば、バチルス属に属
し、コール酸を3α−ヒドロキシ−7,12−ジケト−
5β−コラン酸に変換する能力を有する微生物をコール
酸を含む栄養培地で培養し、培養物中に3α−ヒドロキ
シ−7,12−ジケト−5β−コラン酸を生成せしめ、
これを採取することを特徴とする3α−ヒドロキシ−
7,12−ジケト−5β−コラン酸の製造方法が提供さ
れる。更に、本発明によれば、この場合に使用される微
生物として前記バチルス・エスピー TTUR 2-M4又はバチ
ルス・エスピー TTUR 2-M5が提供される。
【0018】又、本発明によれば、バチルス属に属し、
コール酸を3α,12α−ジヒドロキシ−7−ケト−5
β−コラン酸に変換する能力を有する微生物をコール酸
を含む栄養培地で培養し、培養物中に3α,12α−ジ
ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸を生成せしめ、
これを採取することからなる3α,12α−ジヒドロキ
シ−7−ケト−5β−コラン酸の製造方法が提供され
る。更に本発明によれば、この場合に使用される微生物
として前記バチルス・エスピー TTUR 2-M4-250又はバチ
ルス・エスピー TTUR 2-M4-294が提供される。
【0019】次に本発明についてさらに詳しく説明す
る。
【0020】野生株バチルス・エスピー TTUR 2-2 、バ
チルス・エスピー TTUR 4-1 及びバチルス・エスピー T
TUR 4-2 の土壌からの分離は次の方法によった。
【0021】土壌を5%のコール酸ナトリウムを含むホ
リコシ培地I〔グルコース1%、イースト・エキス 0.5
%、リン酸一水素カリウム 0.1%、硫酸マグネシウム・
7水和物0.02%、炭酸ナトリウム1%、pH10〕に少量懸
濁し、30℃で5日間集積培養し、得られた培養液の1白
金耳量を5%のコール酸ナトリウムを含むホリコシ培地
I寒天平板に画線培養し、菌株を純粋分離した。これら
の菌株を、各々5%のケノデオキシコール酸ナトリウム
を含むホリコシ培地I中で30℃で2日間培養し、培養液
中の3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸の定
量を行い、3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン
酸の変換能の高い菌株を得た。
【0022】これらの菌学的性質は下記表1−8に示す
通りであり、これらの試験及び分類方法は「バージエー
ズ・マニュアル・オブ・システマティックバクテリオロ
ジー(BERGEY'S MANUAL OF Systematic Bacteriology)
」に準拠して行ったものであり、特に記載のない限
り、全て炭酸ナトリウムを添加し、pHを10に調整した培
地を使用した。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
【表5】
【0028】
【表6】
【0029】
【表7】
【0030】
【表8】
【0031】以上の検索の結果、TTUR 2-2菌、TTUR 4-1
菌及びTTUR 4-2菌は好気性の有胞子細菌であることか
ら、バチルス(Bacillus)属に属する微生物であることは
明らかである。しかしながら、生育のための至適pHが10
前後のアルカリ側に存在することから一般のバチルス属
微生物とは異なる。
【0032】また、これらの菌と好アルカリ性のバチル
ス属標準微生物として知られるバチルス・アルカロフィ
ルス(Bacillus alcalophilus) 及びバチルス・アルカロ
フィルス・サブスピーシス・ハロデュランス(Bacillus
alcalophilus subsp.halodurans)とを比較したときコロ
ニーの形状、コロニー周辺の様子において顕著に異なっ
ていた。
【0033】好アルカリ性でコロニーが不規則、かつ周
辺が裂片状の菌株としてバチルス・セレウス8-1 菌(Bac
illus cereus 8-1, FERM2885, 特公昭53-13708号) 及び
バチルス・アルカロフィルス 202-1菌(Bacillus alcalo
philus 202-1, FERM2674, 特公昭53-27786号) が報告さ
れているが、これらの菌と比較してもその性状は異なっ
ていた。
【0034】表9に TTUR 2-2菌、TTUR 4-1菌及びTTUR
4-2菌の主な性状を、表10にバチルス・アルカロフィル
ス、バチルス・アルカロフィルス・サブスピーシス・ハ
ロデュランス、バチルス・セレウス8-1 菌及びバチルス
・アルカロフィルス 202-1菌の主な性状を示した。
【0035】
【表9】
【0036】
【表10】
【0037】従って、本発明で使用されるTTUR 2-2菌、
TTUR 4-1菌及びTTUR 4-2菌は好気性の有胞子細菌である
が、上記の通り種々の菌学的性質において、特に生育の
ための至適pHが10付近のアルカリ性側に存在する点にお
いて、及びケノデオキシコール酸を3α−ヒドロキシ−
7−ケト−5β−コラン酸に変換する能力を有する点に
おいてバチルス属に属する公知の菌種とは区別されるこ
とから、これらを新菌種として設定することが適当であ
る。
【0038】次に突然変異株バチルス・エスピー TTUR
2-M4、バチルス・エスピー TTUR 2-M5、バチルス・エス
ピー TTUR 2-M4-250及びバチルス・エスピー TTUR 2-M4
-294の具体的な取得方法を後述の実施例に示す。又、上
記突然変異株の菌学的性質を、参考のためそれらの親株
であるバチルス・エスピー TTUR 2-2 の菌学的性質と共
に表11〜表20に示した。
【0039】なお、親株の場合と同様、表中の試験及び
分類方法は、「バージエーズ・マニュアル・オブ・シス
テマティックバクテリオロジー(BERGEY'S MANUAL OF S
ystematic Bacteriology) 」に準拠して行ったものであ
り、特に記載のない限り、全て炭酸ナトリウムを添加
し、pHを10に調整した培地を用いた。
【0040】
【表11】
【0041】
【表12】
【0042】
【表13】
【0043】
【表14】
【0044】
【表15】
【0045】
【表16】
【0046】
【表17】
【0047】
【表18】
【0048】
【表19】
【0049】
【表20】
【0050】一般に突然変異株は、その親株と同じ種に
属するものと考えられていることから、バチルス・エス
ピー TTUR 2-2 菌株の突然変異株は、いずれもその親株
と同じ新菌種に属するものと判定した。従って、本発明
に係る突然変異株は、バチルス・エスピー TTUR 2-M4菌
株、TTUR 2-M5 菌株、TTUR 2-M4-250 菌株及び TTUR2-M
4-294菌株に限定されるものではなく、バチルス属に属
し、ケノデオキシコール酸を基質として3α−ヒドロキ
シ−7−ケト−5β−コラン酸を生産する菌株、コール
酸を基質として3α−ヒドロキシ−7, 12−ジケト−
5β−コラン酸又は3α,12α−ジヒドロキシ−7−
ケト−5β−コラン酸を生産する菌株であればいずれで
もよい。
【0051】本発明によれば、バチルス属に属し、ケノ
デオキシコール酸を3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β
−コラン酸に変換する能力を有する微生物をケノデオキ
シコール酸を含む栄養培地で培養することにより、3α
−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸を生成させる
ことができる。
【0052】又、本発明によれば、バチルス属に属し、
コール酸を3α−ヒドロキシ−7,12−ジケト−5β
−コラン酸に変換する能力を有する突然変異株をコール
酸を含む栄養培地で培養することにより、3α−ヒドロ
キシ−7,12−ジケト−5β−コラン酸を生成させる
ことができる。
【0053】又、本発明によれば、バチルス属に属し、
コール酸を3α,12α−ジヒドロキシ−7−ケト−5
β−コラン酸に変換する能力を有する突然変異株をコー
ル酸を含む栄養培地で培養することにより、3α,12
α−ジヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸を生成さ
せることができる。
【0054】栄養培地中における基質、すなわちケノデ
オキシコール酸またはコール酸の濃度は、特に限定はな
いが、目的とする変換生成物の収量、培養条件から、5
〜500g/l、好ましくは40〜300g/lの範囲とするのが適当
である。
【0055】本発明において使用することができる培地
としては、本発明で使用する微生物が培養により増殖し
得るものであれば任意のものでよく、例えば炭素源とし
ては、グルコース、フラクトース、スクロース、グリセ
リン、澱粉、フスマ、廃糖蜜等の各種糖質原料を、窒素
源としては、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーン
スティープリカー、大豆粉、菜種油粕、尿素、各種アミ
ノ酸、アミノ糖等の有機窒素含有物質や、硝酸アンモニ
ウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム等の無機窒素
化合物を用いることができる。又、この他、微量の無機
金属塩類、ビタミン類、生長促進因子等を添加すること
が好ましい。
【0056】本発明方法における培養は好気的条件下
に、例えば通気攪拌や往復振盪方法によって培養するこ
とができる。培養条件は、特に限定はないが、一般的に
いえば、温度20〜40℃、pH7〜11、1〜6日程度の条件
で実施する。
【0057】なお、高アルカリ側のpH、例えばpH10で培
養を行う場合には、培養中における雑菌混入のおそれが
少なく、通常行われる培地の滅菌操作を省略することが
できる。もっとも、かかる場合でも滅菌操作を行うこと
は何ら差し支えない。
【0058】培養終了物から目的とする変換生成物、す
なわち、3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン
酸、3α−ヒドロキシ−7,12−ジケト−5β−コラ
ン酸または3α,12α−ジヒドロキシ−7−ケト−5
β−コラン酸を採取するには、まず培養物中の菌及び不
溶成分を濾過又は遠心分離等により分離除去し、得られ
た培養濾液又は上清に塩酸又は硫酸を加えて酸性とす
る。これにより、生成した変換生成物が収率良く沈澱す
る。次に、この沈澱物を濾別し、再結晶操作を行うこと
により、高純度の変換生成物を回収することができる。
【0059】これらの変換生成物は、いずれも更に微生
物変換に付し、又は化学反応と組み合わせることによ
り、ウルソデオキシコール酸に誘導することができる。
【0060】
【実施例】以下、本発明を実施例をもって説明するが、
本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものでない
ことはいうまでもない。
【0061】各実施例において、生成物の同定は、以下
の条件による薄層クロマトグラフィー又は高速液体クロ
マトグラフィーにより行った。
【0062】(1)薄層クロマトグラフィー: 〔担体〕Kieselgel 60 (0.25mm厚、メルク社製) 〔展開溶媒〕(1) ベンゼン/イソプロピルアルコー
ル/酢酸(40/10/1 体積比) (2) クロロホルム/アセトン/酢酸(7/2/1 体積比) 〔発色〕リンモリブデン酸−硫酸試薬(リンモリブデン
酸1gをメタノール20mlに溶解し、濃硫酸1mlを添加し
たもの) を噴霧し、胆汁酸スポットが濃青色となるまで
加熱発色する。
【0063】[試料のチャージ]培養液1μl を添着す
る。
【0064】(2)高速液体クロマトグラフィー: (1) 〔カラム〕カプセルパックC18カラム(タイプ AG
120, S-5μm,カラムサイズ 4.6φ×150mm 、資生堂製) 〔移動相〕メタノール/精製水/リン酸(70/30/0.02M
重量比) 〔流速〕 1.7ml/min (2) 〔カラム〕イナートシルODSカラム(カラムサイ
ズ 4.6φ×250mm 、ジーエルサイエンス製) 〔移動相〕メタノール/精製水/リン酸(70/30/0.02M
重量比) 〔流速〕 1.0ml/min 〔検出〕RI 〔ピークの同定〕標準品と照合 各突然変異株の分離は次の方法によった。
【0065】(1)バチルス・エスピー TTUR 2-M4菌
株、及びバチルス・エスピー TTUR 2-M5菌株。
【0066】アルカリ性NA培地(組成:普通ブイヨン
‘栄研’(商品名)1.8%、寒天1.8%、炭酸ナトリウム0.
75% 、pH10) のスラントに生育させたバチルス・エスピ
ー TTUR 2-2 菌株を一白金耳量取り、ホリコシ培地I
(組成:グルコース1%、ペプトン0.5%、イーストエキス
0.5%、リン酸一水素カリウム0.1%、硫酸マグネシウム・
7水和物0.02% 、炭酸ナトリウム1%、pH10) 20ml入りの
試験管 (30φ×190mm)に接種し、30℃で16時間振盪培養
した。
【0067】次に、対数増殖期にある上記菌体を遠心分
離操作により無菌的に集菌し、0.1Mトリス−マレイン酸
緩衝液(pH8.0)10mlで3回洗浄操作を行った。洗浄後の
菌体を同一緩衝液25mlに懸濁し、これに終濃度が60μg/
mlとなるようにN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロ
ソグアニジン(以下、NTGという)を添加し、30℃で
30分間インキュベートして突然変異処理を行った。な
お、この処理条件下でのバチルス・エスピー TTUR 2-2
の死滅率は85%であった。
【0068】次に、この菌懸濁液1mlを採取し、直ちに
9mlの0.1M炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.5) で希釈して遠
心分離操作により集菌し、さらに同一緩衝液による洗浄
操作を2回繰り返した後、アルカリ性NB培地(組成:
普通ブイヨン‘栄研’1.8%、炭酸ナトリウム0.75% 、pH
10) 10mlに懸濁した。得られた菌懸濁液をアルカリ性N
B培地で適宜希釈し、これをアルカリ性NA平板培地上
で10〜 100個のコロニーを出現させるように塗布した
後、30℃で2日間培養した。
【0069】出現したコロニーのうち、2日後に生育
し、かつコロニーサイズが中程度のものを単離し、5%
CA寒天培地(組成:ホリコシ培地Iにコール酸5%、
水酸化ナトリウム0.5%、寒天1.8%を添加したもの、pH1
0) のスラントに移植し、30℃で3日間培養した。十分
生育した菌株を選択し、その一白金耳量を5%CA液体
培地(組成:5%CA寒天培地より寒天を除いたもの、
pH10) の入った試験管(培地量4ml、16.5φ×165mm)に
接種し、30℃で3日間振盪培養した。得られたそれぞれ
の培養液中の変換生成物を薄層クロマトグラフィーで検
討し、コール酸の3位水酸基をケト基に変換する能力を
完全に欠如した突然変異株(バチルス・エスピー TTUR
2-M4菌株及びバチルス・エスピー TTUR 2-M5菌株) をそ
れぞれ見い出した。以下、上述した突然変異株取得方法
を単にNTG処理と称する。
【0070】(2)バチルス・エスピー TTUR 2-M4-250
菌株、及びバチルス・エスピー TTUR2-M4-294菌株。
【0071】(1)のNTG処理で得られたバチルス・
エスピー TTUR 2-M4を親株として、NTG処理を繰り返
した。但し、初発菌体増殖培地として5%CA液体培地
を用い、NTG処理時のNTG濃度を60μg/mlとした。
その結果、目的とするコール酸の3位水酸基及び12位
水酸基をケト基に変換する能力を完全に欠如した突然変
異株(バチルス・エスピー TTUR 2-M4-250菌株及びバチ
ルス・エスピー TTUR2-M4-294菌株) をそれぞれ見出し
た。なお、本操作におけるバチルス・エスピーTTUR 2-M
4 菌株の死滅率は、15%であった。
【0072】(1)及び(2)のNTG処理で得られた
突然変異株を5%ケノデオキシコール酸を含むホリコシ
培地I中で30℃で3日間試験管振盪培養(培地量4ml、
試験管16.5φ×165mm)し、得られた変換生成物を薄層ク
ロマトグラフィーで検討したところ、目的とする3α−
ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸が特異的に生成
していることを確認した。
【0073】〔実施例1〕バチルス・エスピー TTUR 2-
2(Bacillus sp. TTUR 2-2,微工研条寄第3651号)を以下
に示す方法で培養した。グルコース10g 、ペプトン5g、
イースト・エキス5g、リン酸一水素カリウム1g、硫酸マ
グネシウム・7水和物0.2gを精製水 500mlに溶解し、ま
たケノデオキシコール酸 50g、水酸化ナトリウム5g、炭
酸ナトリウム10g を精製水500ml に溶解し、それぞれ 1
21℃で15分間滅菌した。冷却後混合し、培地とした(pH1
0)。
【0074】この培地20mlを試験管(3 φ×19cm) に分
注後、あらかじめ上記培地からケノデオキシコール酸及
び水酸化ナトリウムを除いた同一組成の培地20ml入りの
試験管中で30℃で20時間振盪培養して増殖させた菌液
0.1mlを無菌的に接種した。その後30℃で2日間振盪培
養した。
【0075】培養後、遠心分離で菌体を除去し、得られ
た培養上清に希硫酸を添加して酸性にすると、3α−ヒ
ドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸及び未変換のケノ
デオキシコール酸が沈澱した。この沈澱物を採取し、乾
燥して白色粉末 0.98gを得た。この一部を取り、高速液
体クロマトグラフィーにより、ケノデオキシコール酸、
3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸及びその
他のケノデオキシコール酸酸化生成物( 以下「他の胆汁
酸」という。) の生成率を求めたところ、ケノデオキシ
コール酸2.8%、3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コ
ラン酸 85.9%及び他の胆汁酸11.3% であった。混合物を
メタノールから再結晶して、純粋な3α−ヒドロキシ−
7−ケト−5β−コラン酸を得た。
【0076】〔実施例2〕実施例1の菌体をバチルス・
エスピー TTUR 4-1(Bacillus sp. TTUR 4-1,微工研菌寄
第 11862号) とした以外は、実施例1と同様に操作し
た。生成比率を求めたところ、ケノデオキシコール酸1.
6%、3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸75.3
%及び他の胆汁酸 23.1%であった。
【0077】〔実施例3〕実施例1の菌株をバチルス・
エスピー TTUR 4-2(Bacillus sp. TTUR 4-2,微工研菌寄
第 11863号) とした以外は、実施例1と同様に操作し
た。生成比率を求めたところ、ケノデオキシコール酸0
%、3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸87.7
%及び他の胆汁酸 12.3%であった。
【0078】〔実施例4〕グルコース 10g、ペプトン5
g、イースト・エキス5g、リン酸一水素カリウム1g、硫
酸マグネシウム・7水和物0.2gを精製水 500mlに溶解
し、またケノデオキシコール酸100g、水酸化ナトリウム
10g 、炭酸ナトリウム10g を精製水500ml に溶解し、そ
れぞれ 121℃で15分間滅菌した。冷却後混合し、培地と
した(pH10)。
【0079】この培地 100mlを坂口フラスコ(500ml容)
に分注後、あらかじめ上記培地からケノデオキシコール
酸及び水酸化ナトリウムを除いた同一組成の培地20ml入
りの試験管(3 φ×19cm) 中で30℃で20時間振盪培養し
て増殖させたバチルス・エスピー TTUR 2-2 の菌液 0.1
mlを無菌的に接種した。その後30℃で4日間振盪培養し
た。
【0080】以下実施例1と同様に処理して粗製の3α
−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸を得た。生成
比率を求めたところ、ケノデオキシコール酸は4.2%、3
α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸88.5% 及び
他の胆汁酸7.3%であった。
【0081】〔実施例5〕実施例2の水酸化ナトリウム
を7g(pH10.5)とした以外は、実施例2と同様に操作し
た。生成比率を求めたところ、ケノデオキシコール酸4.
2%、3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸85.9
% 及び他の胆汁酸9.9%であった。
【0082】〔実施例6〕実施例3のケノデオキシコー
ル酸を150g、水酸化ナトリウムを 15gとし、培養日数を
4日間とした以外は、実施例3と同様に操作した。生成
比率を求めたところ、ケノデオキシコール酸22.2% 、3
α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸65.3% 及び
他の胆汁酸12.5% であった。
【0083】〔実施例7〕バチルス・エスピー TTUR 2-
M4(Bacillus sp. TTUR 2-M4)菌株(微工研条寄第3393
号) を以下に示す方法で培養した。グルコース 10g、ペ
プトン5g、イーストエキス5g、リン酸一水素カリウム1
g、硫酸マグネシウム・7水和物0.2gを精製水500mlに溶
解し、又ケノデオキシコール酸 50g、水酸化ナトリウム
5g 、炭酸ナトリウム10g を精製水 500mlに溶解し、そ
れぞれ 121℃で15分間滅菌した。冷却後混合し、培地と
した(pH10)。
【0084】この培地20mlを試験管(3φ×19cm) に分注
後、あらかじめ上記培地からケノデオキシコール酸及び
水酸化ナトリウムを除いた同一組成の培地20ml入りの試
験管中30℃で一夜振盪培養して増殖させた菌液 0.1mlを
無菌的に接種した。その後30℃で3日間振盪培養した。
【0085】培養後、遠心分離で菌体を除去し、得られ
た培養上清に希硫酸を加えて酸性にすると、沈澱物が生
成した。この沈澱物を採取し、乾燥して白色粉末0.999g
を得た。この一部を採り、高速液体クロマトグラフィー
により、ケノデオキシコール酸及び3α−ヒドロキシ−
7−ケト−5β−コラン酸の生成比率を求めたところ、
ケノデオキシコール酸 0% 、3α−ヒドロキシ−7−ケ
ト−5β−コラン酸100%(回収率99.9%)であった。
【0086】〔実施例8〕実施例7の菌株をバチルス・
エスピー TTUR 2-M5(Bacillus sp. TTUR 2-M5)菌株(微
工研条寄第3398号) とした以外は、実施例7と同様に操
作した。生成比率は、ケノデオキシコール酸0%、3α−
ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸100%(回収率9
9.9%)であった。
【0087】〔実施例9〕実施例7の菌株をバチルス・
エスピー TTUR 2-M4-250 (Bacillus sp. TTUR 2-M4-25
0) 菌株(微工研条寄第3395号) とした以外は、実施例
7と同様に操作した。生成比率は、ケノデオキシコール
酸0%、3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸10
0%(回収率99.9%)であった。
【0088】〔実施例10〕実施例7の菌株をバチルス
・エスピー TTUR 2-M4-294 (Bacillus sp. TTUR 2-M4-2
94) 菌株(微工研条寄第3396号) とした以外は、実施例
7と同様に操作した。生成比率は、ケノデオキシコール
酸1.4%、3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸
98.6% (回収率99.9%)であった。
【0089】〔実施例11 〕実施例7の培地からグルコ
ースを除いた培地(pH10)を用いた以外は、実施例7と同
様に操作した。生成比率は、ケノデオキシコール酸0
%、3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸 100
%であった。
【0090】〔実施例12〕実施例10の培地からグル
コースを除いた培地(pH10)を用いた以外は、実施例10
と同様に操作した。生成比率は、ケノデオキシコール酸
0%、3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸 1
00%であった。
【0091】〔実施例13〕バチルス・エスピー TTUR
2-M5菌株を以下に示す方法で培養した。イーストエキス
5g、リン酸一水素カリウム1g、硫酸マグネシウム・7水
和物0.2gを精製水 500mlに溶解し、又ケノデオキシコー
ル酸 50g、水酸化ナトリウム 5g 、炭酸ナトリウム 4g
を精製水 500mlに溶解し、それぞれ 121℃で15分間滅菌
した。冷却後混合し、培地とした(pH9.7) 。
【0092】以下、実施例8と同様に操作した。生成比
率は、ケノデオキシコール酸0%、3α−ヒドロキシ−
7−ケト−5β−コラン酸 100%であった。
【0093】〔実施例14〕菌株としてバチルス・エス
ピー TTUR 2-M4-250を用いた以外は、実施例13と同様
に操作した。生成比率は、ケノデオキシコール酸0%、
3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸 100%で
あった。
【0094】〔実施例15〕バチルス・エスピー TTUR
2-M4菌株を以下に示す方法で培養した。大豆蛋白(アジプロン
E3;商品名、味の素社製)10g、リン酸一水素カリウム1
g、硫酸マグネシウム・7水和物0.2gを精製水 500mlに
溶解し、又ケノデオキシコール酸 50g、水酸化ナトリウ
ム 5g 、炭酸ナトリウム 2g を精製水 500mlに溶解し、
それぞれ121℃で15分間滅菌した。冷却後混合し、培地
とした(pH10.2)。
【0095】以下、実施例7と同様に操作した。生成比
率は、ケノデオキシコール酸0%、3α−ヒドロキシ−
7−ケト−5β−コラン酸 100%であった。
【0096】〔実施例16〕菌株としてバチルス・エス
ピー TTUR 2-M5を用いた以外は、実施例15と同様に操
作した。生成比率は、ケノデオキシコール酸0%、3α
−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸 100%であっ
た。
【0097】〔実施例17〕バチルス・エスピー TTUR
2-M5菌株を以下に示す方法で培養した。グルコース10g
、ペプトン5g、イーストエキス5g、リン酸一水素カリ
ウム1g、硫酸マグネシウム・7水和物0.2gを精製水 500
mlに溶解し、又ケノデオキシコール酸100g、水酸化ナト
リウム10g 、炭酸ナトリウム10g を精製水 500mlに溶解
し、それぞれ 121℃で15分間滅菌した。冷却後混合し、
培地とした(pH10)。
【0098】この培地 100mlを坂口フラスコ(500ml容)
に分注後、あらかじめ上記と同一組成の培地20ml入りの
試験管(3 φ×19cm) 中30℃で48時間振盪培養して増殖
させた菌液2mlを無菌的に接種した。その後30℃で6日
間振盪培養した。
【0099】以下、実施例8と同様に操作した。生成比
率は、ケノデオキシコール酸 5.8%、3α−ヒドロキシ
−7−ケト−5β−コラン酸94.2%であった。
【0100】〔実施例18〕バチルス・エスピー TTUR
2-M4菌株を以下に示す方法で培養した。グルコース10g
、ペプトン5g、イーストエキス5g、リン酸一水素カリ
ウム1g、硫酸マグネシウム・7水和物0.2gを精製水 500
mlに溶解し、又コール酸 50g、水酸化ナトリウム 5g 、
炭酸ナトリウム10g を精製水 500mlに溶解し、それぞれ
121℃で15分間滅菌した。冷却後混合し、培地とした(p
H10)。
【0101】この培地20mlを試験管(3 φ×19cm) に分
注後、あらかじめ上記培地からコール酸及び水酸化ナト
リウムを除いた同一組成の培地20ml入りの試験管中30℃
で一夜振盪培養して増殖させた菌液 0.1mlを無菌的に接
種した。その後30℃で3日間振盪培養した。
【0102】以下、実施例7と同様に操作してコール酸
及び3α−ヒドロキシ−7,12−ジケト−5β−コラ
ン酸の生成比率を求めたところ、コール酸0%、3α−ヒ
ドロキシ−7,12−ジケト−5β−コラン酸100%(回
収率99.7%)であった。
【0103】〔実施例19〕菌株としてバチルス・エス
ピー TTUR 2-M5を用い、培養日数を2日間とした以外
は、実施例18と同様に操作した。生成比率は、コール
酸0%、3α−ヒドロキシ−7,12−ジケト−5β−
コラン酸98.2%、3α,12α−ジヒドロキシ−7−ケ
ト−5β−コラン酸1.4%、3α,7α−ジヒドロキシ−
12−ケト−5β−コラン酸0.3%(回収率99.6%)であっ
た。
【0104】〔実施例20〕菌株としてバチルス・エス
ピー TTUR 2-M4-250を用いた以外は、実施例18と同様
に操作した。生成比率は、コール酸0%、3α,12α
−ジヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸 100%であ
った。
【0105】〔実施例21〕菌株としてバチルス・エス
ピー TTUR 2-M4-294を用いた以外は、実施例18と同様
に操作した。生成比率は、コール酸 0.8%、3α,12
α−ジヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸99.2%で
あった。
【0106】〔実施例22〕実施例19の培地からグル
コースを除いた培地(pH10)を用いた以外は、実施例19
と同様に操作した。生成比率は、コール酸0%、3α−
ヒドロキシ−7,12−ジケト−5β−コラン酸 100%
であった。
【0107】〔実施例23〕実施例21の培地からグル
コースを除いた培地(pH10)を用いた以外は、実施例21
と同様に操作した。生成比率は、コール酸0%、3α,
12α−ジヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸 100
%であった。
【0108】〔実施例24〕バチルス・エスピー TTUR
2-M4菌株を以下に示す方法で培養した。大豆蛋白(エス
サンミート;商品名、味の素社製)10g 、リン酸一水素
カリウム1g、硫酸マグネシウム・7水和物0.2gを精製水
500mlに溶解し、又コール酸 50g、水酸化ナトリウム 5
g 、炭酸ナトリウム2g を精製水 500mlに溶解し、それ
ぞれ 121℃で15分間滅菌した。冷却後混合し、培地とし
た(pH10.2)。
【0109】以下、実施例18と同様に操作した。生成
比率は、コール酸0%、3α−ヒドロキシ−7, 12−
ジケト−5β−コラン酸99.5% 、3α,12α−ジヒド
ロキシ−7−ケト−5β−コラン酸 0.3%、3α,7α
−ジヒドロキシ−12−ケト−5β−コラン酸 0.2% で
あった。
【0110】〔実施例25〕菌株としてバチルス・エス
ピー TTUR 2-M4-250を用いた以外は、実施例24と同様
に操作した。生成比率は、コール酸 0.5%、3α,12
α−ジヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸99.5%で
あった。
【0111】〔実施例26〕バチルス・エスピー TTUR
2-M4菌株を以下に示す方法で培養した。グルコース10g
、ペプトン5g、イーストエキス5g、リン酸一水素カリ
ウム1g、硫酸マグネシウム・7水和物0.2gを精製水 500
mlに溶解し、又コール酸100g、水酸化ナトリウム10g 、
炭酸ナトリウム10g を精製水 500mlに溶解し、それぞれ
121℃で15分間滅菌した。冷却後混合し、培地とした(p
H10)。
【0112】この培地20mlを試験管(3φ×19cm) に分注
後、あらかじめ上記と同一組成の培地20ml入りの試験管
中30℃で24時間振盪培養して増殖させた菌液 0.1mlを無
菌的に接種した。その後30℃で4日間振盪培養した。
【0113】以下、実施例19と同様に操作した。生成
比率は、コール酸 2.0%、3α−ヒドロキシ−7,12
−ジケト−5β−コラン酸74.0%、3α,12α−ジヒ
ドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸12.8% 、3α,7
α−ジヒドロキシ−12−ケト−5β−コラン酸11.2%
であった。
【0114】〔実施例27〕菌株としてバチルス・エス
ピー TTUR 2-M4-250を用いた以外は、実施例26と同様
に操作した。生成比率は、コール酸 5.0%、3α,12
α−ジヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸95.0%で
あった。
【0115】〔実施例28〕バチルス・エスピー TTUR
2-M5菌株を以下に示す方法で培養した。大豆蛋白(アジ
プロン E3)10g 、イーストエキス1g、リン酸一水素カリ
ウム2g、硫酸マグネシウム・7水和物0.4gを精製水1000
mlに溶解し、又ケノデオキシコール酸100g、水酸化ナト
リウム10g 、炭酸ナトリウム5g を精製水1000mlに溶解
した。これらを滅菌することなく、5l容の卓上型ジャー
ファーメンター装置内で混合し、培地とした(pH10.4)。
【0116】あらかじめ上記培地からケノデオキシコー
ル酸及び水酸化ナトリウムを除いた同一組成の培地20ml
入りの試験管中30℃で20時間振盪培養して増殖させたバ
チルス・エスピー TTUR 2-M5菌液40mlをこの培地に接種
した。その後、通気量2l/min、30℃で3日間攪拌(300r
pm) 培養した。
【0117】培養後、遠心分離(3500rpm×15min)で菌体
を除去し、得られた培養上清に希硫酸を加えてpH2.5 に
すると、沈澱物が生成した。この沈澱物を濾別、水洗
し、得られた結晶を50℃で乾燥して白色粉末 99.2gを得
た。この一部を採り、高速液体クロマトグラフィーによ
り、生成比率を求めたところ、ケノデオキシコール酸0
%、3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸100%
(回収率99.1%)であった。
【0118】〔実施例29〕菌株としてバチルス・エス
ピー TTUR 2-M4-250を用いた以外は、実施例28と同様
に操作した。生成比率は、ケノデオキシコール酸 0.5
%、3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸99.5
%(回収率99.0%)であった。
【0119】
【発明の効果】本発明に係るバチルス属の新規微生物を
用いる場合には高濃度の基質ケノデオキシコール酸また
はコール酸を、高収率で、ウルソデオキシコール酸の製
造中間体である、3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−
コラン酸、3α−ヒドロキシ−7,12−ジケト−5β
−コラン酸または3α,12α−ジヒドロキシ−7−ケ
ト−5β−コラン酸に変換することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:07)

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケノデオキシコール酸を3α−ヒドロキ
    シ−7−ケト−5β−コラン酸に変換する能力を有する
    点においてバチルス属に属する公知の菌種と異なる新菌
    種バチルス・エスピー TTUR 2-2 、バチルス・エスピー
    TTUR 4-1 及びバチルス・エスピー TTUR 4-2 。
  2. 【請求項2】 ケノデオキシコール酸を3α−ヒドロキ
    シ−7−ケト−5β−コラン酸に変換する能力を有する
    バチルス・エスピー TTUR 2-M4, バチルス・エスピー
    TTUR 2-M5, バチルス・エスピー TTUR 2-M4-250又はバ
    チルス・エスピー TTUR 2-M4-294。
  3. 【請求項3】 バチルス属に属し、ケノデオキシコール
    酸を3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸に変
    換する能力を有する微生物をケノデオキシコール酸を含
    む栄養培地で培養して培養物中に3α−ヒドロキシ−7
    −ケト−5β−コラン酸を生成せしめ、これを採取する
    ことを特徴とする3α−ヒドロキシ−7−ケト−5β−
    コラン酸の製造方法。
  4. 【請求項4】 微生物が、バチルス・エスピー TTUR 2-
    2 、バチルス・エスピー TTUR 4-1 、バチルス・エスピ
    ー TTUR 4-2 、バチルス・エスピー TTUR 2-M4、バチル
    ス・エスピー TTUR 2-M5、バチルス・エスピー TTUR 2-
    M4-250又はバチルス・エスピー TTUR 2-M4-294である請
    求項3の製造方法。
  5. 【請求項5】 コール酸を3α−ヒドロキシ−7,12
    −ジケト−5β−コラン酸に変換する能力を有するバチ
    ルス・エスピー TTUR 2-M4又はバチルス・エスピー TTU
    R 2-M5。
  6. 【請求項6】 バチルス属に属するコール酸を3α−ヒ
    ドロキシ−7,12−ジケト−5β−コラン酸に変換す
    る能力を有する微生物をコール酸を含む栄養培地で培養
    して培養物中に3α−ヒドロキシ−7,12−ジケト−
    5β−コラン酸を生成せしめ、これを採取することを特
    徴とする3α−ヒドロキシ−7,12−ジケト−5β−
    コラン酸の製造方法。
  7. 【請求項7】 微生物が、バチルス・エスピー TTUR 2-
    M4又はバチルス・エスピー TTUR 2-M5である請求項6記
    載の製造方法。
  8. 【請求項8】 コール酸を3α,12α−ジヒドロキシ
    −7−ケト−5β−コラン酸に変換する能力を有するバ
    チルス・エスピー TTUR 2-M4-250又はバチルス・エスピ
    ー TTUR 2-M4-294。
  9. 【請求項9】 バチルス属に属し、コール酸を3α,1
    2α−ジヒドロキシ−7−ケト−5β−コラン酸に変換
    する能力を有する微生物をコール酸を含む栄養培地で培
    養して培養物中に3α,12α−ジヒドロキシ−7−ケ
    ト−5β−コラン酸を生成せしめ、これを採取すること
    を特徴とする3α,12α−ジヒドロキシ−7−ケト−
    5β−コラン酸の製造方法。
  10. 【請求項10】 微生物が、バチルス・エスピー TTUR
    2-M4-250又はバチルス・エスピー TTUR 2-M4-294である
    請求項9記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 栄養培地のpHが7〜11であることを特
    徴とする請求項3、6又は9記載の製造方法。
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WO2007058027A1 (ja) 2005-11-18 2007-05-24 Idemitsu Kosan Co., Ltd. バチルス・チューリンゲンシスを含む有害菌の防除剤

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