JPH0525942B2 - - Google Patents
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Description
産業上の利用分野
本発明は、高破断トルクと共に、すぐれた熱か
しめ性と冷間かしめ性とを有し、ねじ部引張強さ
が70Kgf/mm2以上である主として非調質型の点火
プラグ主体金具用フエライト・パーライト鋼及び
その製造方法に関する。 従来の技術 内燃機関のシリンダーヘツドに螺着する点火プ
ラグ主体金具のための鋼材料としては、従来、
S10C乃至S20C鋼のような機械構造用低炭素鋼が
主として用いられている。しかし、近年、自動車
エンジンにおいては、低燃費、軽量化、高出力化
等の要請に伴つて、点火プラグの取付空間容積が
狭小化し、点火プラグの取付ねじ径の小さいM10
以下の小型点火プラグの使用が試みられるに至つ
ている。 かかる小型点火プラグにおいては、第1図に示
すように、その主体金具10の大径胴部11と取
付ねじ部12との間のねじ首13の肉厚が必然的
に薄肉となり、例えば、M10点火プラグの場合に
は1.14mm程度、M8点火プラグの場合には0.86mm
程度にすぎない。従つて、前記したS10CやS20C
鋼のような低炭素鋼を用いたときは、点火プラグ
のシリンダーヘツドへの締付けによる取付けに際
して、上記ねじ首13の部分で破断が生じやす
い。他方、主体金具10の腔内に嵌装される絶縁
体20及び中心電極30の直径をそれぞれ小さく
することは、絶縁体の構造的強度及び耐電圧性能
を低下させ、また、中心電極の軸方向の熱伝導性
の低下による耐消耗性及び耐熱性を劣化させるの
で、絶縁体及び中心電極を小径化することによつ
て、ねじ首13の肉厚を厚くし、ねじ首部分での
上記破断を防止することも実用上、困難である。 更に、主体金具のねじ部破断強度を向上させる
ことを目的として、S30CやS35C鋼等のような高
C量の鋼材料を用いても、別な問題が生じるのを
避けることができない。即ち、第1図に示すよう
に、点火プラグにおいては、中心電極30を保持
した絶縁体20を主体金具10の内腔内に挿入し
て、絶縁体20の大径部21に連なる段部22を
パツキン40を介して、主体金具10の有する内
方に隆起する段部14に係止し、他方、絶縁体2
0の上部小径部23と前記主体金具10の内腔と
の間にシール材50及びパツキン60を嵌装した
うえで、前記主体金具の胴部11とボルトヘツド
状の六角環等の締結部15との間の薄肉の加熱部
16に電流を通電し、或いは高周波誘導加熱によ
つて加熱すると共に、主体金具の上端周縁17を
かしめる所謂熱かしめにて絶縁体20が固定され
ている。 このように、絶縁体20は、通常、主体金具1
0の熱かしめによつて固定されるので、上記した
C量の多いS30CやS35C鋼を用いるときは、この
熱かしめに際して、前記加熱部16が急冷される
結果、マルテンサイト組織となり、加熱部に亀裂
や割れ等が生じることとなり、製品としての価値
を失う。 他方、かしめ方法には、上記した熱かしめ以外
に、熱を加えない冷間かしめも知られており、熱
かしめ代えて、冷間かしめによつて、主体金具を
絶縁体に固定することもできる。前記したS10C
やS20C鋼は、何ら問題なしに冷間かしめするこ
とができるが、前述したように、ねじ首部分で破
断が生じやすい。S30CやS35C鋼のような高炭素
鋼を用いるときは、これらが靱性が十分でないと
共に、ねじ首部が薄肉であるところから、冷間か
しめ時に亀裂や割れが生じる。 別の方法として、主体金具の成形後にねじ首部
及びかしめ部に熱処理を施すことは、各部が狭小
であるために困難を伴うほか、製造費用を高める
こととなる。 以上のように、特に、小型点火プラグ用主体金
具の製造においては、用いる鋼材が主体金具の製
造後の後熱処理なしにて、高破断トルクとすぐれ
た熱かしめ性と冷間かしめ性とを有することが必
要不可欠であるが、従来、かかる新規な性質を具
備した点火プラグ主体金具のためのフエライト・
パーライト鋼は知られていない。 発明が解決しようとする問題点 本発明は、特に、取付ねじ径の小さいM10以下
の小型点火プラグの製造における上記した問題を
解決するためになされたものであつて、高破断ト
ルクと共に、すぐれた熱かしめ性と冷間かしめ性
とを有し、ねじ部引張強さが70Kgf/mm2以上であ
る主として非調質型の点火プラグ主体金具用フエ
ライト・パーライト鋼及びその製造方法を提供す
ることを目的とする。 問題点を解決するための手段 本発明による70Kgf/mm2以上のねじ部引張強さ
を有する点火プラグ主体金具用フエライト・パー
ライト組織を有する線材・棒鋼は、重量%で (a) C 0.03〜0.20%、 Si 0.35%以下、 Mn 0.1〜2.0%、 P 0.025%以下、 S 0.025%以下、 Cr 0.1%を越えて、0.50%以下、及び Al 0.005〜0.080%を含有し、更に、 (b) Nb 0.005〜0.10%、 V 0.03〜0.25%、及び Ti 0.005〜0.09% よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有
し、 残部鉄及び不可避的不純物よりなることを特徴
とする。 また、本発明による70Kgf/mm2以上のねじ部引
張強さを有する点火プラグ主体金具用フエライ
ト・パーライト組織を有する線材・棒鋼の製造方
法は、重量%で (a) C 0.03〜0.20%、 Si 0.35%以下、 Mn 0.1〜2.0%、 P 0.025%以下、 S 0.025%以下、 Cr 0.1%を越えて、0.50%以下、及び Al 0.005〜0.080%を含有し、更に、 (b) Nb 0.005〜0.10%、 V 0.03〜0.25%、及び Ti 0.005〜0.09% よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有
し、 残部鉄及び不可避的不純物よりなる鋼を950〜
1150℃に加熱した後、熱間圧延し、800〜950℃の
範囲の温度から平均冷却速度0.1〜10℃/秒にて
500℃乃至常温の範囲の温度まで冷却することを
特徴とする。 先ず、本発明による鋼における化学成分の限定
理由について説明する。 Cは、固溶強化によつて鋼に所要の強度を与え
るために、少なくとも0.03%を添加する必要があ
る。C量が0.03%よりも少ないときは、鋼強度が
不足するのみならず、リン酸亜鉛潤滑剤が十分に
鋼材に付着しないことが往々にしてあり、このよ
うな場合は、冷間鍛造加工による点火プラグ主体
金具への成形の際に、工具と鋼材との間に焼付き
を生じて、工具寿命を著しく短命化する。 しかし、0.2%を越えて過多に添加するときは、
かかる鋼材から点火プラグ主体金具を製造し、こ
れを前述したように絶縁体に熱かしめしたとき、
その部分がビツカース硬さ(Hv)450以上のマル
テンサイト組織を形成して、熱かしめ部に亀裂が
生じることとなる。 また、0.2%を越えて過多に添加するときは、
鋼材自体の靱性の低下を招くので、かかる鋼材か
ら点火プラグ主体金具を製造し、前述したよう
に、絶縁体に冷間かしめしたときに、このしめ部
に亀裂が生じることとなる。好ましくは、C量は
0.05〜0.20%の範囲である。 Siは、一般には、鋼中に固溶して強度を高める
が、本発明鋼においては、0.35%を越えるとき
は、熱かしめ部の靱性を劣化させ、或いは鋼材自
体の靱性を低下させて、冷間かしめ性を劣化させ
るので、上限を0.35%とする。 Mnは、熱間圧延及び冷間鍛造の際の割れ発生
の主原因たる不純物元素SをMnSとして固定し、
無害化する効果を有すると共に、本発明鋼におけ
るように、比較的低炭素鋼において、所定の強度
とすぐれた靱性とを共に鋼に具備させるために有
効な元素である。かかる効果を有効に得るために
は、0.1%以上を添加することが必要であるが、
しかし、過多に添加するときは、点火プラグ主体
金具の成形時の加工性を劣化させ、また、主体金
具の靱性を劣化させる。更に、鋼の焼入れ性を増
大せしめて、熱かしめ性及び冷間かしめ性のいず
れをも劣化させるので、添加量の上限を2.0%と
する。好ましくは、添加量は0.5〜2.0%の範囲で
ある。 Pは、加工硬化を助長して冷間かしめ性を劣化
させると共に、熱かしめ部の靱性を劣化させるの
で、含有量は低い程好ましいが、余りに低くする
ことは、鋼製造の経済性を損なうこととなるの
で、本発明においては0.025%以下とすれば十分
である。 Sは、硫化物系介在物を形成して、熱かしめ時
の割れの起点となり、また、主体金具の製造に際
して、冷間鍛造時の変形能を劣化させるので、そ
の含有量は、0.025%以下とすれば十分である。
しかし、所要の熱かしめ加工度や冷間かしめ加工
度、冷間加工度、被削性等の要求特性に応じて、
一層低く設定することもでき、好ましくは、上限
を0.015%とする。 Crは、焼入れ性を向上させて、強度を高める。
この効果を有効に得るためには、0.1%を越える
量を添加することが必要である。しかし、過多に
添加するときは、焼入れ性を過度に大きくして、
熱かしめ性を劣化させ、また、鋼材自体の靱性の
低下に伴つて、冷間かしめ性を劣化させるので、
0.50%以下の範囲で添加される。 Alは、鋼溶製時の脱酸剤としての効果のほか
に、熱かしめ時に結晶粒の微細化効果を有し、こ
れによつて熱かしめ部の靱性を向上させる効果を
有する。更に、Alは、Nと結合して、AlNとし
て析出することによつて、固溶Nを固定し、ひず
み時効及び青熱脆性を抑制する効果をも有する。
これらの効果を有効に得るためには、少なくとも
0.005%以上を添加する必要がある。しかし、過
多に添加するときは、B系介在物の増加と、これ
に伴う主体金具の成形時の冷間鍛造割れや、熱か
しめ割れ又は冷間かしめ割れを発生しやすくさせ
るので、添加量は0.080%以下とする。 更に、本発明による鋼は、上記した元素に加え
て、Nb,V及びTiよりなる群から選ばれる少な
くとも1種を含有する。これらの元素は、鋼の強
度及び靱性を向上させるために有効である。Nb,
V及びTiは、圧延中乃至は圧延後の鋼の冷却過
程において、微細な炭窒化物の析出による結晶粒
の微細化及び析出効果によつて強度を向上させ
る。また、結晶粒の微細化は、冷間鍛造時の加工
性を向上させ、更に、熱かしめを行なうときは、
熱かしめ時にその部分の靱性を向上させ、冷間か
しめを行なうときは、すぐれた冷間かしめ性を得
ることができる。 これらの効果を有効に得るためには、上記した
元素は、それぞれ次の範囲で添加される。即ち、
Nb0.005〜0.10%、V0.003〜0.25%、及びTi0.005
〜0.09%の範囲である。それぞれの元素につい
て、上記上限値を越えて過多に添加しても、効果
が飽和し、鋼製造の経済性の点からも好ましくな
い。 本発明による点火プラグ主体金具用合金鋼は、
上記した化学成分を有する鋼を950〜1150℃で加
熱した後、熱間圧延し、800〜950℃の範囲の温度
から平均冷却速度0.1〜10℃/秒にて500℃乃至常
温の範囲の温度まで冷却することによつて製造さ
れ、フエライト・パーライト組織を有し、点火プ
ラグ用主体金具に成形した後、後熱処理なしにて
用いることができる。 鋼加熱温度は、析出物を母相に固溶させた後、
微細な炭窒化物を析出させて、結晶粒の微細化、
析出硬化を図り、或いは所期の結晶粒の微細化を
図るためには、1150℃以下で十分であるが、950
℃よりも低いときは、熱間圧延に際して変形抵抗
が高くなつて、生産性の低下を招く。従つて、本
発明の方法においては、鋼加熱温度は950〜1150
℃の範囲とする。 次いで、熱間圧延後、水冷を行なつて、冷却開
始温度を800〜950℃の範囲とし、この範囲の温度
から0.1〜10℃/秒の平均冷却速度にて500℃乃至
常温の範囲の温度まで冷却する。冷却開始温度が
950℃を越える場合は、結晶粒が粗大化し、靱性
及び延性を劣化させ、冷間鍛造時の加工性や、ね
じ転造性、冷間かしめ性等の加工性を劣化させ
る。一方、冷却開始温度が800℃よりも低いとき
は、得られる製品の品質のばらつきが大きく、品
質を一定に保つことが困難となる。 本発明の方法によれば、次いで、上記冷却開始
温度から所定の温度範囲まで所定の冷却速度にて
冷却することによつて、緻密なフエライト・パー
ライト組織とし、所要の強度と靱延性を得ると共
に、冷間鍛造時のひずみ時効を防止し、工具寿命
の短命化を抑制する。このためには、0.1℃/秒
以上の平均冷却速度を必要とするが、通常は、放
冷でよい。しかし、平均冷却速度が10℃/秒を越
えるときは、ベイナイト組織が混在することとな
り、その結果、強度が過度に高くなり、或いは強
度のばらつきが大きくなり、更には、靱延性が低
下して、ねじ転造時にねじ山に折れ込みが発生し
やすく、また、冷間かしめ性を低下させる。更
に、工具寿命をも劣化させる。 本発明による鋼は、例えば、LD転炉にて溶製
されるが、しかし、溶製方法は何ら限定されるも
のではない。 本発明による鋼を用いて点火プラグ主体金具を
製造するには、例えば、前記した化学成分を有す
る線材・棒鋼の減面率20〜30%の冷間引抜きにて
鋼線を製造し、又は減面率数%の軽度の冷間伸線
加工にて鋼線を製造し、この鋼線を切削加工し、
又は冷間鍛造し、又はこれらの組み合わせとして
の加工を施し、所要形状に成形した後、切削、転
造等によつてねじ切加工を施せばよい。 発明の効果 以上のように、本発明によるフエライト・パー
ライト組織を有する線材・棒鋼は、所定の化学成
分を有し、すぐれた加工性を有するのみならず、
高破断トルクと共に、すぐれた熱かしめ性とすぐ
れた冷間かしめ性とを併せ有するため、かかるフ
エライト・パーライト組織を有する線材・棒鋼よ
り製造される点火プラグ主体金具は、後熱処理を
要せずして、従来材よりも引張強さが高く、従つ
て、主体金具の絶縁体への熱かしめに際しては、
熱かしめ部の割れの発生もなく、また、冷間かし
めによるときは、薄肉部分に割れが生じることな
もなく、且つ、ねじ部の性状も良好である。点火
プラグのシリンダーヘツドへのねじ込み取付けに
際して、主体金具のねじ首部の破断がないので、
特に、ねじ部の引張強さを70Kgf/mm2以上とした
小型点火プラグ用主体金具の製造に好適に用いる
ことができる。 実施例 以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本
発明はこれら実施例により何ら限定されるもので
はない。 実施例 1 本実施例は、本発明鋼、従来鋼及び比較例とし
ての線材・棒鋼をそれぞれ冷間引抜き伸線して鋼
線とし、これを切削加工によつて点火プラグ主体
金具に成形する例を示す。 第1表に示す化学成分を有する鋼を真空溶解炉
にて溶製し、第1表に示す圧延条件にて線材・棒
鋼に熱間圧延し、その後、減面率20〜30%の冷間
引抜き加工を施して鋼線を製造した。次いで、こ
の鋼線から切削加工にて取付けねじ径がM10であ
る点火プラグ主体金具を成形し、ねじ首部の破断
トルクを測定した。圧延材の組織、上記引抜き加
工鋼線の機械的性質、主体金具のねじ部引張強さ
と共に、結果を第1表に示す。 尚、第1表において、鋼番号1〜3は、それぞ
れ市販されている機械構造用低炭素鋼の一例であ
る。また、主体金具ねじ首部の破断トルクの測定
において、破断トルクは、治工具及び主体金具の
表面状態、即ち、摩擦の程度によつて著しく影響
を受けるので、主体金具及び治工具共に潤滑油を
塗布し、摩擦係数を一定(0.15)とした状態にて
測定し、従来材S17C材を100とする相対的な比較
評価を行なつた。 第1表に示す結果から明らかなように、本発明
による鋼から切削加工にて成形して製造した点火
プラグ主体金具は、いずれも十分な強度を有し、
ねじ部の引張強さはいずれも70Kgf/mm2以上であ
つた。また、ねじ首部の破断トルクは、S17C材
からの主体金具に比較して、約50%も高い値を示
す。従つて、本発明鋼は、特に、小型点火プラグ
主体金具として用いるに適することが理解され
る。 次に、主体金具の薄肉の加熱部を通電加熱後、
熱かしめを施し、その後、その部分の割れの発生
の有無を調べた結果、第1表に示すように、本発
明による鋼材から成形製造した点火プラグ主体金
具によれば、割れは全く認められなかつた。ま
た、ねじ山の折れ込みもなく、ねじ性状は良好で
あつた。 上記熱かしめに代えて、熱を加えない冷間かし
めによつて、絶縁体を主体金具に固定した。この
冷間かしめによる場合も、結果を第1表に示すよ
うに、主体金具の薄肉部分(第1図において加熱
部16に相当する。)に割れは全く生じなかつた。 実施例 2 本実施例は、本発明鋼、従来鋼及び比較鋼をそ
れぞれ軽度の伸線加工によつて鋼線とし、これを
前記切削加工よりも厳しい加工性が要求される冷
間鍛造加工によつて点火プラグ主体金具に成形す
る例を示す。 第2表に示す化学成分を有する鋼を真空溶解炉
にて溶製し、第2表に示す圧延条件にて熱間圧延
し、その後、減面率4〜5%程度の軽微な冷間伸
線加工を施して鋼線を製造した。次いで、この鋼
しめ性と冷間かしめ性とを有し、ねじ部引張強さ
が70Kgf/mm2以上である主として非調質型の点火
プラグ主体金具用フエライト・パーライト鋼及び
その製造方法に関する。 従来の技術 内燃機関のシリンダーヘツドに螺着する点火プ
ラグ主体金具のための鋼材料としては、従来、
S10C乃至S20C鋼のような機械構造用低炭素鋼が
主として用いられている。しかし、近年、自動車
エンジンにおいては、低燃費、軽量化、高出力化
等の要請に伴つて、点火プラグの取付空間容積が
狭小化し、点火プラグの取付ねじ径の小さいM10
以下の小型点火プラグの使用が試みられるに至つ
ている。 かかる小型点火プラグにおいては、第1図に示
すように、その主体金具10の大径胴部11と取
付ねじ部12との間のねじ首13の肉厚が必然的
に薄肉となり、例えば、M10点火プラグの場合に
は1.14mm程度、M8点火プラグの場合には0.86mm
程度にすぎない。従つて、前記したS10CやS20C
鋼のような低炭素鋼を用いたときは、点火プラグ
のシリンダーヘツドへの締付けによる取付けに際
して、上記ねじ首13の部分で破断が生じやす
い。他方、主体金具10の腔内に嵌装される絶縁
体20及び中心電極30の直径をそれぞれ小さく
することは、絶縁体の構造的強度及び耐電圧性能
を低下させ、また、中心電極の軸方向の熱伝導性
の低下による耐消耗性及び耐熱性を劣化させるの
で、絶縁体及び中心電極を小径化することによつ
て、ねじ首13の肉厚を厚くし、ねじ首部分での
上記破断を防止することも実用上、困難である。 更に、主体金具のねじ部破断強度を向上させる
ことを目的として、S30CやS35C鋼等のような高
C量の鋼材料を用いても、別な問題が生じるのを
避けることができない。即ち、第1図に示すよう
に、点火プラグにおいては、中心電極30を保持
した絶縁体20を主体金具10の内腔内に挿入し
て、絶縁体20の大径部21に連なる段部22を
パツキン40を介して、主体金具10の有する内
方に隆起する段部14に係止し、他方、絶縁体2
0の上部小径部23と前記主体金具10の内腔と
の間にシール材50及びパツキン60を嵌装した
うえで、前記主体金具の胴部11とボルトヘツド
状の六角環等の締結部15との間の薄肉の加熱部
16に電流を通電し、或いは高周波誘導加熱によ
つて加熱すると共に、主体金具の上端周縁17を
かしめる所謂熱かしめにて絶縁体20が固定され
ている。 このように、絶縁体20は、通常、主体金具1
0の熱かしめによつて固定されるので、上記した
C量の多いS30CやS35C鋼を用いるときは、この
熱かしめに際して、前記加熱部16が急冷される
結果、マルテンサイト組織となり、加熱部に亀裂
や割れ等が生じることとなり、製品としての価値
を失う。 他方、かしめ方法には、上記した熱かしめ以外
に、熱を加えない冷間かしめも知られており、熱
かしめ代えて、冷間かしめによつて、主体金具を
絶縁体に固定することもできる。前記したS10C
やS20C鋼は、何ら問題なしに冷間かしめするこ
とができるが、前述したように、ねじ首部分で破
断が生じやすい。S30CやS35C鋼のような高炭素
鋼を用いるときは、これらが靱性が十分でないと
共に、ねじ首部が薄肉であるところから、冷間か
しめ時に亀裂や割れが生じる。 別の方法として、主体金具の成形後にねじ首部
及びかしめ部に熱処理を施すことは、各部が狭小
であるために困難を伴うほか、製造費用を高める
こととなる。 以上のように、特に、小型点火プラグ用主体金
具の製造においては、用いる鋼材が主体金具の製
造後の後熱処理なしにて、高破断トルクとすぐれ
た熱かしめ性と冷間かしめ性とを有することが必
要不可欠であるが、従来、かかる新規な性質を具
備した点火プラグ主体金具のためのフエライト・
パーライト鋼は知られていない。 発明が解決しようとする問題点 本発明は、特に、取付ねじ径の小さいM10以下
の小型点火プラグの製造における上記した問題を
解決するためになされたものであつて、高破断ト
ルクと共に、すぐれた熱かしめ性と冷間かしめ性
とを有し、ねじ部引張強さが70Kgf/mm2以上であ
る主として非調質型の点火プラグ主体金具用フエ
ライト・パーライト鋼及びその製造方法を提供す
ることを目的とする。 問題点を解決するための手段 本発明による70Kgf/mm2以上のねじ部引張強さ
を有する点火プラグ主体金具用フエライト・パー
ライト組織を有する線材・棒鋼は、重量%で (a) C 0.03〜0.20%、 Si 0.35%以下、 Mn 0.1〜2.0%、 P 0.025%以下、 S 0.025%以下、 Cr 0.1%を越えて、0.50%以下、及び Al 0.005〜0.080%を含有し、更に、 (b) Nb 0.005〜0.10%、 V 0.03〜0.25%、及び Ti 0.005〜0.09% よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有
し、 残部鉄及び不可避的不純物よりなることを特徴
とする。 また、本発明による70Kgf/mm2以上のねじ部引
張強さを有する点火プラグ主体金具用フエライ
ト・パーライト組織を有する線材・棒鋼の製造方
法は、重量%で (a) C 0.03〜0.20%、 Si 0.35%以下、 Mn 0.1〜2.0%、 P 0.025%以下、 S 0.025%以下、 Cr 0.1%を越えて、0.50%以下、及び Al 0.005〜0.080%を含有し、更に、 (b) Nb 0.005〜0.10%、 V 0.03〜0.25%、及び Ti 0.005〜0.09% よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有
し、 残部鉄及び不可避的不純物よりなる鋼を950〜
1150℃に加熱した後、熱間圧延し、800〜950℃の
範囲の温度から平均冷却速度0.1〜10℃/秒にて
500℃乃至常温の範囲の温度まで冷却することを
特徴とする。 先ず、本発明による鋼における化学成分の限定
理由について説明する。 Cは、固溶強化によつて鋼に所要の強度を与え
るために、少なくとも0.03%を添加する必要があ
る。C量が0.03%よりも少ないときは、鋼強度が
不足するのみならず、リン酸亜鉛潤滑剤が十分に
鋼材に付着しないことが往々にしてあり、このよ
うな場合は、冷間鍛造加工による点火プラグ主体
金具への成形の際に、工具と鋼材との間に焼付き
を生じて、工具寿命を著しく短命化する。 しかし、0.2%を越えて過多に添加するときは、
かかる鋼材から点火プラグ主体金具を製造し、こ
れを前述したように絶縁体に熱かしめしたとき、
その部分がビツカース硬さ(Hv)450以上のマル
テンサイト組織を形成して、熱かしめ部に亀裂が
生じることとなる。 また、0.2%を越えて過多に添加するときは、
鋼材自体の靱性の低下を招くので、かかる鋼材か
ら点火プラグ主体金具を製造し、前述したよう
に、絶縁体に冷間かしめしたときに、このしめ部
に亀裂が生じることとなる。好ましくは、C量は
0.05〜0.20%の範囲である。 Siは、一般には、鋼中に固溶して強度を高める
が、本発明鋼においては、0.35%を越えるとき
は、熱かしめ部の靱性を劣化させ、或いは鋼材自
体の靱性を低下させて、冷間かしめ性を劣化させ
るので、上限を0.35%とする。 Mnは、熱間圧延及び冷間鍛造の際の割れ発生
の主原因たる不純物元素SをMnSとして固定し、
無害化する効果を有すると共に、本発明鋼におけ
るように、比較的低炭素鋼において、所定の強度
とすぐれた靱性とを共に鋼に具備させるために有
効な元素である。かかる効果を有効に得るために
は、0.1%以上を添加することが必要であるが、
しかし、過多に添加するときは、点火プラグ主体
金具の成形時の加工性を劣化させ、また、主体金
具の靱性を劣化させる。更に、鋼の焼入れ性を増
大せしめて、熱かしめ性及び冷間かしめ性のいず
れをも劣化させるので、添加量の上限を2.0%と
する。好ましくは、添加量は0.5〜2.0%の範囲で
ある。 Pは、加工硬化を助長して冷間かしめ性を劣化
させると共に、熱かしめ部の靱性を劣化させるの
で、含有量は低い程好ましいが、余りに低くする
ことは、鋼製造の経済性を損なうこととなるの
で、本発明においては0.025%以下とすれば十分
である。 Sは、硫化物系介在物を形成して、熱かしめ時
の割れの起点となり、また、主体金具の製造に際
して、冷間鍛造時の変形能を劣化させるので、そ
の含有量は、0.025%以下とすれば十分である。
しかし、所要の熱かしめ加工度や冷間かしめ加工
度、冷間加工度、被削性等の要求特性に応じて、
一層低く設定することもでき、好ましくは、上限
を0.015%とする。 Crは、焼入れ性を向上させて、強度を高める。
この効果を有効に得るためには、0.1%を越える
量を添加することが必要である。しかし、過多に
添加するときは、焼入れ性を過度に大きくして、
熱かしめ性を劣化させ、また、鋼材自体の靱性の
低下に伴つて、冷間かしめ性を劣化させるので、
0.50%以下の範囲で添加される。 Alは、鋼溶製時の脱酸剤としての効果のほか
に、熱かしめ時に結晶粒の微細化効果を有し、こ
れによつて熱かしめ部の靱性を向上させる効果を
有する。更に、Alは、Nと結合して、AlNとし
て析出することによつて、固溶Nを固定し、ひず
み時効及び青熱脆性を抑制する効果をも有する。
これらの効果を有効に得るためには、少なくとも
0.005%以上を添加する必要がある。しかし、過
多に添加するときは、B系介在物の増加と、これ
に伴う主体金具の成形時の冷間鍛造割れや、熱か
しめ割れ又は冷間かしめ割れを発生しやすくさせ
るので、添加量は0.080%以下とする。 更に、本発明による鋼は、上記した元素に加え
て、Nb,V及びTiよりなる群から選ばれる少な
くとも1種を含有する。これらの元素は、鋼の強
度及び靱性を向上させるために有効である。Nb,
V及びTiは、圧延中乃至は圧延後の鋼の冷却過
程において、微細な炭窒化物の析出による結晶粒
の微細化及び析出効果によつて強度を向上させ
る。また、結晶粒の微細化は、冷間鍛造時の加工
性を向上させ、更に、熱かしめを行なうときは、
熱かしめ時にその部分の靱性を向上させ、冷間か
しめを行なうときは、すぐれた冷間かしめ性を得
ることができる。 これらの効果を有効に得るためには、上記した
元素は、それぞれ次の範囲で添加される。即ち、
Nb0.005〜0.10%、V0.003〜0.25%、及びTi0.005
〜0.09%の範囲である。それぞれの元素につい
て、上記上限値を越えて過多に添加しても、効果
が飽和し、鋼製造の経済性の点からも好ましくな
い。 本発明による点火プラグ主体金具用合金鋼は、
上記した化学成分を有する鋼を950〜1150℃で加
熱した後、熱間圧延し、800〜950℃の範囲の温度
から平均冷却速度0.1〜10℃/秒にて500℃乃至常
温の範囲の温度まで冷却することによつて製造さ
れ、フエライト・パーライト組織を有し、点火プ
ラグ用主体金具に成形した後、後熱処理なしにて
用いることができる。 鋼加熱温度は、析出物を母相に固溶させた後、
微細な炭窒化物を析出させて、結晶粒の微細化、
析出硬化を図り、或いは所期の結晶粒の微細化を
図るためには、1150℃以下で十分であるが、950
℃よりも低いときは、熱間圧延に際して変形抵抗
が高くなつて、生産性の低下を招く。従つて、本
発明の方法においては、鋼加熱温度は950〜1150
℃の範囲とする。 次いで、熱間圧延後、水冷を行なつて、冷却開
始温度を800〜950℃の範囲とし、この範囲の温度
から0.1〜10℃/秒の平均冷却速度にて500℃乃至
常温の範囲の温度まで冷却する。冷却開始温度が
950℃を越える場合は、結晶粒が粗大化し、靱性
及び延性を劣化させ、冷間鍛造時の加工性や、ね
じ転造性、冷間かしめ性等の加工性を劣化させ
る。一方、冷却開始温度が800℃よりも低いとき
は、得られる製品の品質のばらつきが大きく、品
質を一定に保つことが困難となる。 本発明の方法によれば、次いで、上記冷却開始
温度から所定の温度範囲まで所定の冷却速度にて
冷却することによつて、緻密なフエライト・パー
ライト組織とし、所要の強度と靱延性を得ると共
に、冷間鍛造時のひずみ時効を防止し、工具寿命
の短命化を抑制する。このためには、0.1℃/秒
以上の平均冷却速度を必要とするが、通常は、放
冷でよい。しかし、平均冷却速度が10℃/秒を越
えるときは、ベイナイト組織が混在することとな
り、その結果、強度が過度に高くなり、或いは強
度のばらつきが大きくなり、更には、靱延性が低
下して、ねじ転造時にねじ山に折れ込みが発生し
やすく、また、冷間かしめ性を低下させる。更
に、工具寿命をも劣化させる。 本発明による鋼は、例えば、LD転炉にて溶製
されるが、しかし、溶製方法は何ら限定されるも
のではない。 本発明による鋼を用いて点火プラグ主体金具を
製造するには、例えば、前記した化学成分を有す
る線材・棒鋼の減面率20〜30%の冷間引抜きにて
鋼線を製造し、又は減面率数%の軽度の冷間伸線
加工にて鋼線を製造し、この鋼線を切削加工し、
又は冷間鍛造し、又はこれらの組み合わせとして
の加工を施し、所要形状に成形した後、切削、転
造等によつてねじ切加工を施せばよい。 発明の効果 以上のように、本発明によるフエライト・パー
ライト組織を有する線材・棒鋼は、所定の化学成
分を有し、すぐれた加工性を有するのみならず、
高破断トルクと共に、すぐれた熱かしめ性とすぐ
れた冷間かしめ性とを併せ有するため、かかるフ
エライト・パーライト組織を有する線材・棒鋼よ
り製造される点火プラグ主体金具は、後熱処理を
要せずして、従来材よりも引張強さが高く、従つ
て、主体金具の絶縁体への熱かしめに際しては、
熱かしめ部の割れの発生もなく、また、冷間かし
めによるときは、薄肉部分に割れが生じることな
もなく、且つ、ねじ部の性状も良好である。点火
プラグのシリンダーヘツドへのねじ込み取付けに
際して、主体金具のねじ首部の破断がないので、
特に、ねじ部の引張強さを70Kgf/mm2以上とした
小型点火プラグ用主体金具の製造に好適に用いる
ことができる。 実施例 以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本
発明はこれら実施例により何ら限定されるもので
はない。 実施例 1 本実施例は、本発明鋼、従来鋼及び比較例とし
ての線材・棒鋼をそれぞれ冷間引抜き伸線して鋼
線とし、これを切削加工によつて点火プラグ主体
金具に成形する例を示す。 第1表に示す化学成分を有する鋼を真空溶解炉
にて溶製し、第1表に示す圧延条件にて線材・棒
鋼に熱間圧延し、その後、減面率20〜30%の冷間
引抜き加工を施して鋼線を製造した。次いで、こ
の鋼線から切削加工にて取付けねじ径がM10であ
る点火プラグ主体金具を成形し、ねじ首部の破断
トルクを測定した。圧延材の組織、上記引抜き加
工鋼線の機械的性質、主体金具のねじ部引張強さ
と共に、結果を第1表に示す。 尚、第1表において、鋼番号1〜3は、それぞ
れ市販されている機械構造用低炭素鋼の一例であ
る。また、主体金具ねじ首部の破断トルクの測定
において、破断トルクは、治工具及び主体金具の
表面状態、即ち、摩擦の程度によつて著しく影響
を受けるので、主体金具及び治工具共に潤滑油を
塗布し、摩擦係数を一定(0.15)とした状態にて
測定し、従来材S17C材を100とする相対的な比較
評価を行なつた。 第1表に示す結果から明らかなように、本発明
による鋼から切削加工にて成形して製造した点火
プラグ主体金具は、いずれも十分な強度を有し、
ねじ部の引張強さはいずれも70Kgf/mm2以上であ
つた。また、ねじ首部の破断トルクは、S17C材
からの主体金具に比較して、約50%も高い値を示
す。従つて、本発明鋼は、特に、小型点火プラグ
主体金具として用いるに適することが理解され
る。 次に、主体金具の薄肉の加熱部を通電加熱後、
熱かしめを施し、その後、その部分の割れの発生
の有無を調べた結果、第1表に示すように、本発
明による鋼材から成形製造した点火プラグ主体金
具によれば、割れは全く認められなかつた。ま
た、ねじ山の折れ込みもなく、ねじ性状は良好で
あつた。 上記熱かしめに代えて、熱を加えない冷間かし
めによつて、絶縁体を主体金具に固定した。この
冷間かしめによる場合も、結果を第1表に示すよ
うに、主体金具の薄肉部分(第1図において加熱
部16に相当する。)に割れは全く生じなかつた。 実施例 2 本実施例は、本発明鋼、従来鋼及び比較鋼をそ
れぞれ軽度の伸線加工によつて鋼線とし、これを
前記切削加工よりも厳しい加工性が要求される冷
間鍛造加工によつて点火プラグ主体金具に成形す
る例を示す。 第2表に示す化学成分を有する鋼を真空溶解炉
にて溶製し、第2表に示す圧延条件にて熱間圧延
し、その後、減面率4〜5%程度の軽微な冷間伸
線加工を施して鋼線を製造した。次いで、この鋼
【表】
【表】
【表】
【表】
線に冷間鍛造加工を施して、取付けねじ径がM10
である点火プラグ主体金具を成形し、ねじ首部の
破断トルクを測定した。尚、冷間鍛造による主体
金具の成形においては、前述した切削による方法
と異なり、冷間鍛造時の加工硬化による強度上昇
が生じるので、素材鋼線は、実施例1による切削
加工用材の場合に比べて低強度のものを用いた。
ねじ首部の破断トルク、熱かしめ性及び冷間かし
め性の評価は、実施例1と同様にして行なつた。 第2表において、鋼番号1〜4は、それぞれ市
販されている機械構造用低炭素鋼の一例であつ
て、フエライト・パーライト組織を有する圧延材
及びその後に球状化焼鈍を行なつたものを用い
た。 第2表に上記伸線加工鋼線の機械的性質と組
織、冷間鍛造加工による主体金具成形時の割れに
よる不良率、主体金具のねじ部引張強さ及びねじ
首部の破断トルクを示す。 第2表に示す結果から明らかなように、本発明
による鋼から冷間鍛造にて成形して製造した点火
プラグ主体金具は、いずれも十分な強度を有し、
ねじ部の引張強さはいずれも70Kgf/mm2以上であ
つた。更に、ねじ首部のねじ破断トルクも高い値
を示すと共に、熱かしめ性及び冷間かしめ性のい
ずれにもすぐれ、また、ねじ山の折れ込みもな
く、ねじ性状は良好であつた。従つて、本発明に
よるフエライト・パーライト鋼は、小型点火プラ
グ主体金具として用いるに適する。
である点火プラグ主体金具を成形し、ねじ首部の
破断トルクを測定した。尚、冷間鍛造による主体
金具の成形においては、前述した切削による方法
と異なり、冷間鍛造時の加工硬化による強度上昇
が生じるので、素材鋼線は、実施例1による切削
加工用材の場合に比べて低強度のものを用いた。
ねじ首部の破断トルク、熱かしめ性及び冷間かし
め性の評価は、実施例1と同様にして行なつた。 第2表において、鋼番号1〜4は、それぞれ市
販されている機械構造用低炭素鋼の一例であつ
て、フエライト・パーライト組織を有する圧延材
及びその後に球状化焼鈍を行なつたものを用い
た。 第2表に上記伸線加工鋼線の機械的性質と組
織、冷間鍛造加工による主体金具成形時の割れに
よる不良率、主体金具のねじ部引張強さ及びねじ
首部の破断トルクを示す。 第2表に示す結果から明らかなように、本発明
による鋼から冷間鍛造にて成形して製造した点火
プラグ主体金具は、いずれも十分な強度を有し、
ねじ部の引張強さはいずれも70Kgf/mm2以上であ
つた。更に、ねじ首部のねじ破断トルクも高い値
を示すと共に、熱かしめ性及び冷間かしめ性のい
ずれにもすぐれ、また、ねじ山の折れ込みもな
く、ねじ性状は良好であつた。従つて、本発明に
よるフエライト・パーライト鋼は、小型点火プラ
グ主体金具として用いるに適する。
第1図は点火プラグを示す部分断面図である。
10……点火プラグ主体金具、11……大径胴
部、12……取付けねじ部、13……主体金具ね
じ首、14……段部、、15……締結部、16…
…加熱部、17……主体金具上端周縁、20……
絶縁体、21……絶縁体大径部、22……段部、
30……中心電極、40……パツキン、50……
シール材、60……パツキン。
部、12……取付けねじ部、13……主体金具ね
じ首、14……段部、、15……締結部、16…
…加熱部、17……主体金具上端周縁、20……
絶縁体、21……絶縁体大径部、22……段部、
30……中心電極、40……パツキン、50……
シール材、60……パツキン。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量%で (a) C 0.03〜0.20%、 Si 0.35%以下、 Mn 0.1〜2.0%、 P 0.025%以下、 S 0.025%以下、 Cr 0.1%を越えて、0.50%以下、及び Al 0.005〜0.080%を含有し、更に、 (b) Nb 0.005〜0.10%、 V 0.03〜0.25%、及び Ti 0.005〜0.09% よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有
し、 残部鉄及び不可避的不純物よりなる70Kgf/mm2
以上のねじ部引張強さを有する点火プラグ主体金
具用フエライト・パーライト組織を有する線材・
棒鋼。 2 重量%で (a) C 0.03〜0.20%、 Si 0.35%以下、 Mn 0.1〜2.0%、 P 0.025%以下、 S 0.025%以下、 Cr 0.1%を越えて、0.50%以下、及び Al 0.005〜0.080%を含有し、更に、 (b) Nb 0.005〜0.10%、 V 0.03〜0.25%、及び Ti 0.005〜0.09% よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有
し、 残部鉄及び不可避的不純物よりなるフエライ
ト・パーライト組織を有する線材・棒鋼を冷間加
工して鋼線とし、この鋼線を切削加工又は冷間鍛
造してなる70Kgf/mm2以上のねじ部引張強さを有
する点火プラグ主体金具。 3 重量%で (a) C 0.03〜0.20%、 Si 0.35%以下、 Mn 0.1〜2.0%、 P 0.025%以下、 S 0.025%以下、 Cr 0.1%を越えて、0.50%以下、及び Al 0.005〜0.080%を含有し、更に、 (b) Nb 0.005〜0.10%、 V 0.03〜0.25%、及び Ti 0.005〜0.09% よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有
し、 残部鉄及び不可避的不純物よりなる鋼を950〜
1150℃に加熱した後、熱間圧延し、800〜950℃の
範囲の温度から平均冷却速度0.1〜10℃/秒にて
500℃乃至常温の範囲の温度まで冷却することを
特徴とする70Kgf/mm2以上のねじ部引張強さを有
する点火プラグ主体金具用フエライト・パーライ
ト組織を有する線材・棒鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27714487A JPS63266046A (ja) | 1986-12-10 | 1987-10-30 | 点火プラグ主体金具用鋼及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29362786 | 1986-12-10 | ||
JP61-293627 | 1986-12-10 | ||
JP27714487A JPS63266046A (ja) | 1986-12-10 | 1987-10-30 | 点火プラグ主体金具用鋼及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63266046A JPS63266046A (ja) | 1988-11-02 |
JPH0525942B2 true JPH0525942B2 (ja) | 1993-04-14 |
Family
ID=26552274
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27714487A Granted JPS63266046A (ja) | 1986-12-10 | 1987-10-30 | 点火プラグ主体金具用鋼及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS63266046A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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