JPH0525827U - Ａｔカツトの表面実装型水晶振動子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ［目的］片端保持の短冊型の水晶振動子の水晶片の歪の
残留している領域を避けて励振電極を形成することによ
り振動特性の良好なＡＴカットの表面実装型水晶振動子
を提供する。 ［構成］容器の外周の底面に形成した実装電極と内部に
形成した保持電極を互いに電気的に導通させて、この容
器の内部に設けた保持電極に短冊型の水晶片の長手方向
の端部を固着し、この水晶片を保持した端部から長手方
向の寸法の少なくとも２／３以上の間隔を存した領域に
励振電極を形成して上記保持電極を介して外部へ導出す
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ＡＴカットの表面実装型水晶振動子に係わり、特に振動特性の改良 に関する。

【０００２】

【従来の技術】

近時、種々の電子部品では組立工程を自動化し実装密度を高めることを目的と して表面実装型の部品が多用されている。 このため、たとえば水晶振動子等の圧電振動子においても表面実装型のものが 製造されている。この種の振動子では、たとえばセラミック等の絶縁材を概略直 方体に成形した絶縁容器の内外を貫通して金属薄板を埋め込んでおく。そして金 属薄板の一端を容器の外周の底部に位置させてプリント基板等に実装するための 実装電極とする。また金属薄板の他端を容器内の底部に位置させて水晶片を保持 するとともに水晶片の板面に形成した励振電極を外部へ導出するための保持電極 とするようにしている。 そして、たとえば人工水晶の結晶を結晶軸に対して所定の角度に切断して短冊 型の板状に成形して表裏板面に励振電極を形成して所定の共振周波数に調整する 。しかして厚み滑り振動を励振するＡＴカットの水晶振動子の場合、その振動エ ネルギーの損失を最小限にするために、たとえば図４に示すように水晶片１の板 面の中央部分の表裏板面に相対面して励振電極２を形成するようにしている。そ して各励振電極２を引き出し電極３を介して長手方向の端部へ導出し、ここを上 記保持電極に導電性接着剤等で固着して電気的な接続を行うとともに機械的に固 定し、いわゆる片端保持を行うようにしている。

【０００３】 しかしながら、このような構造の水晶振動子を実際に製作すると、かなりの割 合でクリスタルインピーダンス（以下ＣＩと称す）が大きく副振動特性にも問題 のあるものを生じた。 考案者らは、このような振動特性の劣化の原因を究明するために、レーザ干渉 計を用いて水晶片の板面に存在する歪の分布を調べた。この結果、水晶片の端部 を導電性接着剤で固着して片端保持にした場合、保持端から板面の長手方向の寸 法の半分以上の領域にわたって共振時の変位に対して無視できない大きさの歪が 残留していることを発見した。またこのような歪の残留する原因について調べた 結果、おもに接着剤の硬化時に生じる歪であることが判明した。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、上記の事情に鑑みてなされたもので、水晶片の歪の残留している領 域を避けて励振電極を形成することにより振動特性の良好なＡＴカットの表面実 装型水晶振動子を提供することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は容器の外周の底面に形成した実装電極と内部に形成した保持電極を互 いに電気的に導通させて、この容器の内部に設けた保持電極に短冊型の水晶片の 長手方向の端部を固着し、この水晶片を保持した端部から長手方向の寸法の少な くとも２／３以上の間隔を存した領域に励振電極を形成して上記保持電極を介し て外部へ導出することを特徴とするものである。

【０００６】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図１に示す組立斜視図、図２に示す裁断側面図を参 照して詳細に説明する。 図中１１はセラミック、ガラス等の絶縁材を上面に開口を有する概略直方体の 箱型に成形した容器である。そして容器１１の外周の底面に、たとえばメタライ ズ処理により少なくとも一対の金属薄膜からなる実装電極１２を形成している。 また容器１１内の底部に同様にメタライズ処理等により上記実装電極１２に導 通して金属薄膜からなる複数の保持電極１３を形成している。上記実装電極１２ は、この水晶振動子をプリント基板に半田づけ等で実装する際に用い、また保持 電極１３は水晶片１４を保持し、その励振電極を外部へ導出するために用いる。 水晶片１４は、たとえば図３に示す平面図のように人工水晶の結晶を結晶軸に 対して所定角度に切断して短冊状のＡＴ板に成形し、板面を所望の共振周波数に 対応した厚みに研磨している。そして水晶片１４の端部から少なくとも２／３以 上の間隙Ｗを存した領域の表裏板面に相対面して矩形状の励振電極１４ａを形成 している。そして各励振電極１４ａを引き出し電極１４ｂを介して上記端部へ導 出している。 そして水晶片１４の端部を、上記保持電極１３にたとえば導電性接着剤で固着 して機械的に保持するとともに上記各励振電極１４ａと実装電極１２との電気的 な導通を図るようにしている。なお１５は容器１１を気密に封止する蓋体である 。 このような構成であれば、水晶片を片端保持したときに水晶片に大きな歪を生 じる保持端の近くの部位を避けて、歪の生じていない先端部分に励振電極を形成 するようにしている。したがって良好な共振特性を得られ、ＣＩ値が低く副振動 特性を著しく改善した水晶振動子を得ることができる。 特にオーバトーンで用いることを目的とする水晶振動子の場合は、基本波の振 動が板面の中央部に遍在するのに比してオーバトーンの振動は板面の全域に存在 するために、励振電極を板面の先端部分に形成してもほとんど特性は損なわれな い。

【０００７】 ３次オーバトーンで共振周波数８９．５ＭＨｚの２．５ｍｍ×５．０ｍｍの短 冊型の水晶片各々２０個づつについて、従来のように板面の中心に励振電極を形 成したものと、本考案の端部から２／３以上の間隙を存した領域に励振電極を形 成したものとの特性を測定した。 この結果、従来のものではＣＩ値の平均は４１Ω、標準偏差は３．６であった が本考案のものではＣＩ値の平均は２６Ω、標準偏差は１．１であった。 したがって本考案による水晶振動子は、従来のものに比してＣＩ値を３０％以 上も小さくできそのバラツキも小さく良好な振動特性を得られる。また副振動の レベルも充分に低く、実用上充分な特性を得られた。 なお本考案は上記実施例に限定されるものではなく、たとえば上記実施例では 励振電極は矩形のものについて説明したが図３に示すように励振電極を小判型に 成形したものについても同様の効果を奏し得ることはもちろんである。

【０００８】

【考案の効果】

以上詳述したように、本考案によればＣＩ値が小さく、それによって低電力で 容易に発振させることができしかも副振動のレベルも充分に小さくできるＡＴカ ットの表面実装型水晶振動子を提供することができる。

【０００９】

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す組立斜視図である。

【図２】本考案の上記実施例の裁断側面図である。

【図３】本考案の上記実施例の電極形状を示す平面図で
ある。

【図４】従来の水晶振動子の電極形状の一例を示す平面
図である。

【符号の説明】

１１ 容器 １２ 実装電極 １３ 保持電極ス １４ 水晶片

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】箱型の容器と、 この容器の外周の底面に形成した金属薄膜からなる少な
   くとも一対の実装電極と、 この実装電極にそれぞれ電気的に導通して容器の内部に
   形成した金属薄膜からなる複数の保持電極と、 長手方向の端部から少なくとも２／３以上の間隔を存し
   た領域の表裏板面に形成した励振電極を引き出し電極を
   介して上記端部へ導出し該端部を上記保持電極に固着し
   て保持されるとともに上記励振電極を上記実装電極へ導
   出した水晶片と、 を具備することを特徴とするＡＴカットの表面実装型水
   晶振動子。