JPH05255926A - 薬液注入工法およびそれに用いる装置 - Google Patents

薬液注入工法およびそれに用いる装置

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JPH05255926A
JPH05255926A JP8745692A JP8745692A JPH05255926A JP H05255926 A JPH05255926 A JP H05255926A JP 8745692 A JP8745692 A JP 8745692A JP 8745692 A JP8745692 A JP 8745692A JP H05255926 A JPH05255926 A JP H05255926A
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Katsuhiko Kurihara
勝彦 栗原
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Abstract

(57)【要約】 【構成】最先端部にクラウンビット4を有する外管2と
内管3との少なくとも二重の管からなる薬液注入管にお
いて、弁体の全周の縁辺部が外管2の内面に当接しなが
ら摺動可能な板弁5を、内管3または内管繰り出し部3
A の先端口に間隙を介して付設する。薬液注入の際に
は、板弁5がクラウンビット4よりも先に臨む位置に内
管3または内管繰り出し部3A を前進させ、内管3また
は内管繰り出し部3A の先端口と板弁5との間隙から板
弁5を案内部として、薬液注入管の軸線に対して横方向
に、かつ、全周方向に薬液Gを吐出させる。 【効果】従来の注入管の薬液吐出口の如き細孔がないの
で、吐出口は目詰まりを起こさない。薬液注入時に、注
入管を回転させなくても、薬液は全周方向に吐出され、
地盤内に改良斑を生じない。薬液注入管の最先端部の位
置で薬液を吐出させるので、地盤を余掘りする必要がな
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、地盤改良を目的とする
薬液注入工法およびそれに用いる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、薬液の地盤注入方法としては、
a) 薬液を注入管の先端口から注入管の軸線方向に吐出
させる方式と、b) 薬液を注入管の側面に設けられた吐
出口から注入管の軸線に対して横方向に放射状に吐出さ
せる方式とがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】方式a) は削孔水と薬
液の吐出口を兼ねさせることができるが、薬液がまとま
って同一方向に吐出されるので注入範囲が狭く地盤内に
改良斑を生じ易い。一方、方式b) の場合に薬液を多方
向に吐出させるには、吐出口を注入管側面の円周方向に
多数設けることを要する。しかしながら、吐出させる薬
液はいずれにしても硬化性を有し、特に瞬結性薬液の場
合にはその硬化時間は10秒以下である。そして、薬液
を注入する際に通常は毎分10リットル以下の低吐出量
で無理のない注入を行うので、吐出口における薬液の流
速が小さく、注入作業が長時間続いたときには生成した
薬液のゲル化物によって次第に吐出口が閉塞される。吐
出口を多数設けた場合には、個々の吐出口を通過する薬
液の流速がより小さくなるので、吐出口の閉塞現象が起
こり易くなり、吐出口を多数設けても結局数個の吐出口
しか有効に機能していないことが多い。このようなこと
から、吐出口の数を少なくして6〜3個とし、60°〜 1
20°の間隔で、薬液を部分的な放射状に吐出せざるを得
ない。更に、注入管の側面に設けられた吐出口は、地盤
の削孔時に摩耗し易く、また土砂の流入によって閉塞す
ることもある。
【0004】また、注入管の先端部分には削孔水と薬液
の流路変換装置や先端口の逆止弁装置などを設けるた
め、薬液吐出口の位置は最先端部に設けられたクラウン
ビットから数10cmほど基端側寄りとなる。そのため、地
盤内の改良しようとする領域の下端に薬液吐出口を位置
させるには、図4に示すように、不経済な余掘りを行わ
ざるを得ないという問題点があった。
【0005】図4は、薬液注入管における薬液吐出口OL
の位置と、地盤を削孔する際の余掘りの要否との関係を
示す説明図である。図4(a) および(b) は、注入管側面
に薬液吐出口を設けた従来の注入管を用いた場合には、
地盤の余掘りが必要となることを示す。図4(a) は、薬
液吐出口OLの位置よりも先端側寄りの地盤- 領域Zx
は薬液が注入されず、改良されない部分が残ることを示
す。そして、図4(b) は、改良予定地盤の先端領域に薬
液吐出口OLが位置するよう地盤- 領域Zy の余掘りが必
要であることを示す。図4(c) は、本発明の注入管先端
構造を有する薬液注入管を用いることによって、地盤の
余掘りを必要とせず、改良予定地盤の先端領域に薬液を
注入することができる状態を示す説明図である。図4
(d) は、従来の注入管において薬液吐出口が4個である
ときの薬液の吐出状態をモデル的に示す説明図である。
これに対して、図4(e) は、本発明の注入管先端構造を
有する薬液注入管を用いたときに、薬液が全方向に円盤
状ないし膜状に吐出される状態を示す説明図である。
【0006】本発明の目的は、前記従来の方法における
問題点を改善し、また大深度地下開発における注入技術
として、特に高水圧下での施工や水平施工に対応出来る
工法として、全周方向に薬液を吐出させ、しかも吐出口
の目詰りのない、また余掘りを必要としない薬液注入工
法およびそれに用いる装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の課題は、少くとも
二重管からなり、外管最先端部にクラウンビットを付設
して削孔機能を有する薬液注入管を用いて地盤内に薬液
を注入し、硬化体を形成させる薬液注入工法において、
縁辺部が薬液注入管の外管内面に当接しながら摺動可能
な板弁が、該薬液注入管の内管または内管繰り出し部の
先端口に間隙を介して付設され、薬液注入時には前記板
弁を付設した内管または内管繰り出し部を、前記板弁が
前記クラウンビットよりも先に臨む位置に内管を前進さ
せ、内管または内管繰り出し部の先端口と前記板弁との
間隙から前記板弁を案内部として薬液注入管の軸線に対
して横方向に、かつ、全周方向に薬液を吐出させる注入
管先端構造を有する薬液注入管を用い、該薬液注入管を
後退させながら薬液を注入して硬化させることによっ
て、解決することができる。
【0008】本発明における第1の発明は、「少なくと
も二重管からなり、外管最先端部にクラウンビットを付
設して削孔機能を有する薬液注入管を用いて地盤内に薬
液を注入し、硬化体を形成させる薬液注入工法におい
て、縁辺部が薬液注入管の外管内面に当接しながら摺動
可能な板弁が、該薬液注入管の内管または内管繰り出し
部の先端口に間隙を介して付設され、薬液注入時には前
記板弁を付設した内管または内管繰り出し部を、前記板
弁が前記クラウンビットよりも先に臨む位置に前進さ
せ、内管または内管繰り出し部の先端口と前記板弁とで
形成された間隙から前記板弁を案内部として薬液注入管
の軸線に対して横方向に、かつ、全周方向に薬液を吐出
させる注入管先端構造を有する薬液注入管を用い、該薬
液注入管を後退させながら薬液を注入して硬化させるこ
とを特徴とする薬液注入工法」を要旨とする。
【0009】また第2の発明は「地盤内に薬液を注入
し、硬化体を形成させる薬液注入工法に用いられる、少
なくとも二重管からなり、外管最先端部にクラウンビッ
トを付設して削孔機能を有する薬液注入管において、縁
辺部が薬液注入管の外管内面に当接しながら摺動可能な
板弁を、該薬液注入管の内管または内管繰り出し部の先
端口に間隙を介して付設し、薬液注入時には前記板弁を
付設した内管または内管繰り出し部を、前記板弁が前記
クラウンビットよりも先に臨む位置に前進させ、内管ま
たは内管繰り出し部の先端口と前記板弁との間隙から前
記板弁を案内部として薬液注入管の軸線に対して横方向
に、かつ、全周方向に薬液を吐出させる注入管先端構造
を有することを特徴とする薬液注入管」を要旨とする。
【0010】
【実施例】以下、本発明の詳細について図面を参照しな
がら説明する。図1〜3ならびに図5および図6は、本
発明の注入管先端構造のいくつかの態様を示す説明図で
ある。本発明の注入管先端構造1A または1B は、外管
2と内管3との少なくとも二重の管からなり、外管2の
最先端部にクラウンビット4を有する。内管3または内
管繰り出し部3A の先端口には、弁体の全周の縁辺部が
外管2の内面に当接しながら摺動可能な板弁5を、その
一方の面を内管3または内管繰り出し部3A の先端口に
間隙を介して付設する。薬液を注入する際には、板弁5
がクラウンビット4よりも先に臨む位置に内管3または
内管繰り出し部3A を前進させ、内管3または内管繰り
出し部3A の先端口と板弁5との間隙から板弁5を案内
部として、薬液注入管の軸線に対して横方向に、かつ、
全周方向に薬液Gを吐出させる。板弁5は、吐出させる
薬液の案内部として機能すると共に、薬液注入管から吐
出された薬液が注入管内に逆流することを防ぐ機能を有
する逆止弁を兼ねる。
【0011】内管または内管繰り出し部の先端口に付設
する板弁の材質は、弾性体または可撓性を有し、本発明
の目的を達することができるもので、合成ゴム・天然ゴ
ム;硬質または軟質の合成プラスチックス;金属;天然
または合成繊維の織物;天然または合成皮革などから適
宜のものを選択することができる。合成ゴム、軟質の合
成プラスチックスなどが好適に用いられる。
【0012】本発明の注入管先端構造を有する薬液注入
管を用いた薬液注入工法の態様を、図面を参照しながら
説明する。図1(a) は、本発明の注入管先端構造1A を
有する二重管型薬液注入管を用いて地盤を削孔する際
に、外管2の内面に当接している板弁5の縁辺から削孔
水Wを吐出している状況を示す説明図である。なお、削
孔水の流路は、一つに限定されず、内管または/および
外管流路を用いることができる。
【0013】図1(b) は、薬液を注入する際に注入管先
端構造1A を有する二重管型薬液注入管の内管3を前進
させ、板弁5を付設した内管先端口をクラウンビット4
よりも先に臨ませ、内管3の先端口と板弁5との間隙か
ら板弁5を案内として、薬液注入管の軸線に対して横方
向に、かつ、全周方向に薬液Gを噴射している状態を示
す説明図である。
【0014】板弁を内管または内管繰り出し部の先端口
に付設する方法は、特に限定されない。図2は、板弁を
内管または内管繰り出し部の先端口に取りつける方法の
一例を示し、図2(a) は、先端部分にネジ部S1 を設け
た内管3または内管繰り出し部3Aと、このネジ部S1
に螺合する取り付け部S2 と板弁支持部6aとを有す
る、板弁5を保持するための板弁保持具6との組合せを
示す説明図である。板弁保持具6において、取り付け部
2 と板弁支持部6aとの間- 連結部6bは、剛体で一
体的に形成してもよいし、また、スプリングコイルなど
を介して連結することもできる。図2(b) は、板弁5を
板弁保持具6によって保持し、内管3または内管繰り出
し部3A の先端口に取り付けた状態を示す説明図であ
る。板弁5の上面に、剛製の板を組み合わせることもで
きる。
【0015】なお、板弁支持部6aとしては、図2(a)
に示した円柱体に限らず、角柱体でもよい。また、図2
(b) に示したように、錐体を用いることもできる。図3
は、板弁5を支持する面が傾斜している板弁保持具6を
用いた例であり、図3(b) は、板弁を支持する面の傾斜
度に応じて注入薬液を斜前方に吐出させることができる
ことを示す説明図である。
【0016】図3は、外管流路2a を閉止する閉止弁30
と、また、内管3の前記閉止弁30の取り付け位置よりも
基端側寄りの位置に、外管流路2a と内管3の流路とを
連通させる連通孔31を設けた先端構造の一例を示す説明
図である。図3では、外管2の内壁に弁座30Aを、一
方、内管3の外壁の前記弁座30Aに対応する位置に弁座
30Aに嵌合する弁体30Bを設けた例を示す。
【0017】閉止弁30を設ける位置は、図3(b) に示し
たように、薬液を吐出させる際に内管3を前進させ、内
管先端口に付設した板弁5がクラウンビット4よりも先
に臨む位置において、弁座30Aと弁体30Bとが嵌合する
よう選定する。閉止弁30が閉止し外管流路2a の先端が
閉塞された状態で、薬液Aと薬液Bをそれぞれ外管流路
2a と内管3に供給すると、外管流路2a に供給された
薬液は連通孔31を経て内管3の流路内に流入して内管3
に供給された薬液と混合され、得られた混合薬液 (グラ
ウト) Gは、内管の先端口と板弁5との間隙から板弁5
を案内として地盤内に吐出される。閉止弁30は、内管3
から吐出された薬液が外管流路2a 内に逆流することを
防ぐための逆止弁としての機能も併せ持つ弁である。
【0018】本発明の薬液注入工法において、薬液注入
時に板弁を付設した注入管の内管を前進させるが、図1
または図2に示すような内管全体を移動させる態様の他
に、注入管先端部で差圧弁を利用した内管繰り出し機構
を有する注入管先端構造を用いてもよい。内管繰り出し
機構を有する注入管先端構造の例を図5および図6に示
すが、他に公知の方法を用いることもできる。
【0019】図5は、内管繰り出し機構を有する注入管
先端構造1B の一態様を示す説明図である。内管3の先
端部分に、その外側に嵌合する管状の内管繰り出し部3
A が設けられ、この内管繰り出し部3A の先端口に板弁
5が付設される。内管繰り出し部3A の基端側には外管
流路2a 内を移動可能なフランジ部3Bが形成されてい
る。内管繰り出し部3A は、フランジ部3B を含めて、
その内側面は内管3の外側面と摺動可能であり、また、
フランジ部3B の外側面は外管2の内面と摺動可能であ
って、外管流路2a 内を移動可能である。フランジ部3
B の側面には、外管流路2a の上流側の圧力を保持する
ために、内管3の外側面および外管2の内面との圧密を
維持するための適宜の数のO- リングなどのシール部材
51が付設されている。
【0020】また、薬液を吐出させる際に内管繰り出し
部3A を前進させ、内管繰り出し部3A の先端口に付設
した板弁5がクラウンビット4よりも先に臨む位置にお
いて内管繰り出し部3A を保持するためのストッパー52
が、外管2の先端部分の内壁面に設けられている。ま
た、内管繰り出し部3A を前進させ、フランジ部3B の
先端側端面がストッパー52で保持された状態において、
フランジ部3B を含む内管繰り出し部3A によって覆わ
れていない、内管3の先端寄りの位置に、外管流路2a
と内管3の流路とを連通させる連通孔31が設けられてい
る。
【0021】この態様の先端構造1B を有する薬液注入
管を用いて地盤を削孔する際には、図5(a) に示すよう
に、内管繰り出し部3A が後退している状態で内管3に
削孔水Wを供給し、内管繰り出し部3A の先端口と板弁
5との間隙を経て外管2の内面に当接している板弁5の
周辺から削孔水Wを吐出させながら削孔する。薬液注入
の際には、外管流路2a に予め加圧水を供給して内管繰
り出し部3Aを前進させる。外管流路2a に加圧水を供
給すると、図5(b) に示すように、内管繰り出し部3A
のフランジ部3B の基端側端面が加圧水の圧力を受けて
内管繰り出し部3A が注入管の先端側に移動し、フラン
ジ部3B の先端側端面がストッパー52に達した位置で保
持される。
【0022】この位置において、内管繰り出し部3A の
先端口に付設した板弁5がクラウンビット4よりも先に
臨み、また、内管3に設けられた連通孔31を経て外管流
路2a と内管3の流路とが連通する状態となる。この状
態において、外管流路2a の先端側は内管繰り出し部3
A のフランジ部3B によって閉塞され、薬液Aと薬液B
をそれぞれ外管流路2a と内管3に供給すると、外管流
路2a に供給された薬液は連通孔31を経て内管3の流路
内に流入して内管3に供給された薬液と混合される。得
られた混合薬液 (グラウト) Gは、内管繰り出し部3A
の先端口と板弁5との間隙から板弁5を案内として地盤
内に吐出される。内管繰り出し部3A のフランジ部3B
は、内管繰り出し部3A から吐出された薬液が外管流路
2a 内に逆流することを防ぐための逆止弁としての機能
も併せ持つ。
【0023】図6は、内管繰り出し機構を有する注入管
先端構造1B の別の態様を示す説明図である。内管3の
先端部分に、その外側に嵌合する管状の内管繰り出し部
3A が設けられ、この先端口に板弁5が付設される。内
管繰り出し部3A の中間部には仕切り3C が設けられ、
内管繰り出し部3Aは、その基端側から仕切り部までの
部分の内側面は内管3の外側面と摺動可能であって、外
管流路2a 内を移動可能である。
【0024】外管流路2a には、閉止弁61が設けられ
る。薬液を吐出させる際に内管繰り出し部3A を前進さ
せ、内管繰り出し部3A の先端口に付設した板弁5がク
ラウンビット4よりも先に臨む位置において内管繰り出
し部3A を保持するためのストッパー機能を有する閉止
弁61の弁座61Aが外管2の先端部分の内壁面に設けら
れ、一方、内管繰り出し部3A の外壁の前記弁座61Aに
対応する位置に弁座61Aに嵌合する弁体61Bが設けられ
ている。
【0025】閉止弁61を設ける位置は、図6(b) に示し
たように、薬液を吐出させる際に内管繰り出し部3A を
前進させ、内管繰り出し部3A の先端口に付設した板弁
5がクラウンビット4よりも先に臨む位置において、弁
座61Aと弁体61Bとが嵌合するよう選定する。閉止弁61
は、注入管から吐出された薬液が注入管内に逆流するこ
とを防ぐための逆止弁としての機能も併せ持つ弁であ
る。
【0026】内管繰り出し部3A には、外管流路2a と
内管繰り出し部3A の先端部流路とを連通させる連通孔
62が設けられる。連通孔62を設ける位置は、内管繰り出
し部3A の仕切り3C が設けられている位置よりも先端
側寄りであり、かつ、弁体61Bの取り付け位置よりも基
端側寄りであるよう選定する。また、内管繰り出し部3
A には、その仕切り3C が設けられている位置よりも基
端側寄りの位置に、連通孔63が設けられる。更に、連通
孔63には、逆止弁64が設けられる。逆止弁64は、内管3
の流路内の流体を外管流路2a 方向には通すが、外管流
路2a 内の流体が内管3の流路内に流入することを防ぐ
機能を有する弁である。
【0027】この注入管先端構造を有する薬液注入管を
用いた薬液注入工法の態様を、図面を参照しながら説明
する。地盤を削孔する際には、図6(a) に示すように、
内管繰り出し部3A が後退している状態で外管流路2a
に削孔水を供給し、外管2の内面に当接している板弁5
の縁辺から削孔水Wを吐出させながら削孔する。
【0028】薬液注入の際には、内管に予め加圧水を供
給して内管繰り出し部3A を前進させる。内管に加圧水
を供給すると、図6(b) に示すように、内管繰り出し部
3Aの仕切り3C の基端側の面が加圧水の圧力を受けて
内管繰り出し部3A が注入管の先端側に移動し、弁体61
Bが弁座61Aに嵌合した位置で保持される。
【0029】この位置において、内管繰り出し部3Aの
先端口に付設した板弁5がクラウンビット4よりも先に
臨み、また、内管繰り出し部3A に設けられた連通孔63
および逆止弁64を経て内管3および内管繰り出し部3A
の基端側流路と外管流路2aとが連通し、ついで連通孔6
2を経て外管流路2a と内管繰り出し部3A の先端側流
路とが連通する状態となる。
【0030】この状態において、外管流路2a の先端部
は閉止弁61によって閉塞され、薬液Aと薬液Bをそれぞ
れ外管流路2a と内管3に供給すると、内管3に供給さ
れた薬液は連通孔63および逆止弁64を経て外管流路2a
内に流入して外管流路2a に供給された薬液と混合され
る。得られた混合薬液 (グラウト) Gは、連通孔62を経
て内管繰り出し部3A の先端側流路内に流入し内管繰り
出し部3AAの先端口と板弁5との間隙から板弁5を案内
として地盤内に吐出される。
【0031】本発明の方法で使用できる薬液としては、
水ガラス系の他に高分子系、セメント系、スラグ系など
がある。
【0032】次に、本発明の注入管先端構造を有する薬
液注入管を用いた薬液注入工法によって、具体的に薬液
を注入した例について説明する。図3に示す二重管型薬
液注入管を用いて地盤内に薬液注入を行った。薬液注入
管 (外管:外径40.5mm, 内径31.0mm;内管:外径15mm,
内径10mm) の内管先端口には、板弁としてゴム製円板
(直径37mm, 厚さ2mm) を板弁保持具を用いて取り付け
た。水を用いた吐出実験を予め地上で行ったところ、水
は先端口から板弁を案内として全周方向に円盤状に均一
に吐出した。薬液注入場所は開削予定の地盤で、地表側
から埋土層1m、砂質土層2m、砂礫土層1m、4mよ
り下部は砂質土層で構成されていた。薬液注入区間は、
GL−2mから−4mの2m区間とし、改良範囲は断面
積ほぼ1m2 (半径 0.6mの円柱部分)を予定した。薬
液注入量は、上部砂質土層および砂礫土層にそれぞれ 4
00lとした。
【0033】先ず、前記注入管を用いてGL−4mまで
削孔した後、内管を前進させて板弁をクラウンビットよ
りも先に繰り出し、薬液注入を開始した。注入に使用し
た薬液の配合とゲルタイムは次の通りである。 A液(100リットルあたり); JIS 3号水ガラス 50リットル 水 50リットル B液(100リットルあたり); a> 瞬結性懸濁型 水酸化カルシウム 20kg (ゲルタイム: 11秒): ポルトランドセメント 40kg 水 残部 b> 瞬結性溶液型 重炭酸カリウム 11kg (ゲルタイム: 10秒): 水 残部 c> 緩結性溶液型 重炭酸ソーダ 6kg (ゲルタイム: 6分): 水 残部
【0034】1ステップ長を0.25mとして、第1〜第4
ステップでは、各ステップ毎に、先に瞬結性の懸濁型薬
液 (使用したB液…a>) 50lを注入し、引続いて緩結性
の溶液型薬液 (使用したB液…c>) 50lを注入した後、
次のステップまでロッドを引上げて薬液注入を繰返し、
計 400lの薬液を注入した。第5ステップ〜第8ステッ
プでは、各ステップ毎に、先に瞬結性の溶液型薬液(使
用したB液…b>) 30lを注入し、引続いて緩結性の溶液
型薬液 (使用したB液…c>) 70lを注入した後、次のス
テップまでロッドを引き上げて薬液注入を繰返し、計 4
00lの薬液を注入した。薬液注入を終了した後、注入個
所周辺の地盤を掘削しながら改良体を観察したところ、
直径 1.2m、高さ 2.0mの予定した改良範囲に薬液が均
一に注入されている状態が確認された。本実施例では、
内管内にB液を、また、内管と外管との間の流路にA液
を、それぞれ供給したが、これに限定されず逆でもよ
い。
【0035】
【発明の効果】本発明の注入管先端構造においては、内
管または内管繰り出し部の管体の先端部端面の全周とこ
れに付設した板弁とで形成される連続的な間隙を薬液の
吐出口とし、従来の注入管の薬液吐出口の如き細孔がな
いので、吐出口は目詰まりを起こさない。薬液注入時
に、注入管を回転させなくても、薬液は全周方向に吐出
され注入管周辺全体の地盤内に注入されるので、地盤内
に改良斑を生じない。板弁と内管管体の先端部端面の全
周とが当接する部分の間隙の大小によって薬液の吐出圧
力や吐出速度を調節することができる。本発明の板弁
は、薬液を吐出させる際の案内部であると共に、逆止弁
の機能をも有し、薬液注入管の内管および外管内への土
砂の流入を防ぐことができる。また、薬液注入管の最先
端部の位置で薬液を吐出させるので、地盤を余掘りする
必要がない。
【0036】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の注入管先端構造の例を示す説
明図である。
【図2】図2は、板弁を内管または内管繰り出し部の先
端口に取りつける方法の一例を示す説明図である。
【図3】図3は、外管流路に閉止弁を、また、外管流路
と内管流路とを連通させる連通孔を設けた先端構造の一
例を示す説明図である。
【図4】図4は、薬液注入管における薬液吐出口の位置
と、地盤を削孔する際の余掘りの要否との関係を示す説
明図である。
【図5】図5は、内管繰り出し機構を有する注入管先端
構造の一態様を示す説明図である。
【図6】図6は、内管繰り出し機構を有する注入管先端
構造の別の態様を示す説明図である。
【0037】
【符号の説明】
1A,1B …注入管先端構造、2…外管、3…内管、4…
クラウンビット、5…板弁、6…板弁保持具、30…閉止
弁、31…連通孔、G…薬液、W…削孔水、3A …内管繰
り出し部、61…閉止弁、62,63 …連通孔、64…逆止弁

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも二重管からなり、外管最先端
    部にクラウンビットを付設して削孔機能を有する薬液注
    入管を用いて地盤内に薬液を注入し、硬化体を形成させ
    る薬液注入工法において、縁辺部が薬液注入管の外管内
    面に当接しながら摺動可能な板弁が、該薬液注入管の内
    管または内管繰り出し部の先端口に間隙を介して付設さ
    れ、薬液注入時には前記板弁を付設した内管または内管
    繰り出し部を、前記板弁が前記クラウンビットよりも先
    に臨む位置に前進させ、内管または内管繰り出し部の先
    端口と前記板弁とで形成された間隙から前記板弁を案内
    部として薬液注入管の軸線に対して横方向に、かつ、全
    周方向に薬液を吐出させる注入管先端構造を有する薬液
    注入管を用い、該薬液注入管を後退させながら薬液を注
    入して硬化させることを特徴とする薬液注入工法。
  2. 【請求項2】 地盤内に薬液を注入し、硬化体を形成さ
    せる薬液注入工法に用いられる、少なくとも二重管から
    なり、外管最先端部にクラウンビットを付設して削孔機
    能を有する薬液注入管において、縁辺部が薬液注入管の
    外管内面に当接しながら摺動可能な板弁を、該薬液注入
    管の内管または内管繰り出し部の先端口に間隙を介して
    付設し、薬液注入時には前記板弁を付設した内管または
    内管繰り出し部を、前記板弁が前記クラウンビットより
    も先に臨む位置に前進させ、内管または内管繰り出し部
    の先端口と前記板弁との間隙から前記板弁を案内部とし
    て薬液注入管の軸線に対して横方向に、かつ、全周方向
    に薬液を吐出させる注入管先端構造を有することを特徴
    とする薬液注入管。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015017446A (ja) * 2013-07-12 2015-01-29 五洋建設株式会社 高圧噴射置換工法の施工管理方法および充填材吐出ロッド
KR101640241B1 (ko) * 2015-09-25 2016-07-22 (주)케미우스코리아 지반보강용 그라우팅 장치 및 이를 이용하는 그라우팅 방법
CN106703038A (zh) * 2016-11-30 2017-05-24 上海建工集团股份有限公司 一种机械式止回水平往复注浆管及其施工方法

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