JPH05255374A - 9−デオキソ−8a−アザ−8a−アルキル−8a−ホモエリスロマイシンAの4″誘導体の製造方法 - Google Patents

9−デオキソ−8a−アザ−8a−アルキル−8a−ホモエリスロマイシンAの4″誘導体の製造方法

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JPH05255374A
JPH05255374A JP4356343A JP35634392A JPH05255374A JP H05255374 A JPH05255374 A JP H05255374A JP 4356343 A JP4356343 A JP 4356343A JP 35634392 A JP35634392 A JP 35634392A JP H05255374 A JPH05255374 A JP H05255374A
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
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    • C07H17/04Heterocyclic radicals containing only oxygen as ring hetero atoms
    • C07H17/08Hetero rings containing eight or more ring members, e.g. erythromycins
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    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記式: 【化1】 (式中、Rは水素、ヒドロキシルもしくは1〜10の炭
素原子を有するアルキル;R′とR″は一緒になってオ
キソもしくはヒドロキシイミノ;およびR′とR″は独
立して水素、ヒドロキシル、または水素、アルキルカル
ボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、
アルコキシカルボニルもしくはアラルコキシカルボニル
のいずれかで置換されたアミノ;およびnは0もしくは
1)で表される化合物もしくはその医薬として許容され
る塩の製造法。 【効果】 これらの化合物はマクロライド抗生物質であ
り、他のマクロライド抗生物質を合成するための中間体
としても有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、哺乳類の細菌感染症を
治療するのに有用な、抗菌活性を有する1群の新規な化
学化合物の新規な製造方法に関する。さらに詳しくは、
本発明は、下記構造式:
【0002】
【化5】 で表される化合物である公知のマクロライド抗生物質の
エリスロマイシンAの誘導体の製造方法に関する。
【0003】さらに詳しくは、本発明は、下記構造式:
【0004】
【化6】 (式中、Rは水素、ヒドロキシル、C1-10アルキルまた
はC1-10アルコキシカルボニルC1-10アルキル、nは0
または1、R′とR″は一緒になってオキソまたはヒド
ロキシイミノであるか、R′とR″は独立して水素、ヒ
ドロキシル、または水素、アルキルカルボニル、アリー
ルカルボニル、アラルキルカルボニル、アルコキシカル
ボニルもしくはアラルコキシカルボニルのいずれかで置
換されたアミノ)で表される化合物の新規な製造方法に
関する。
【0005】また本発明は、抗生物質薬剤としてのこれ
ら化合物の新規な医薬組成物と使用方法を提供するもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記構造式:
【0007】
【化7】 [式中、R1 は水素、ヒドロキシ、ホルミル、C1-10
ルキルカルボニル、C1-10アルコキシ、C1-10アルコキ
シカルボニル、アリールオキシカルボニル、C1-10アラ
ルコキシカルボニル、アリールスルホニル、C1-10アル
キルスルホニル、または未置換のもしくは置換されたC
1-10アルキルであって、その置換基が、1−3フルオ
ロ、アリール、アミノ、置換アミノ(但しその置換基は
ホルミルもしくはC1-10アルキルカルボニル)、シア
ノ、イソニトリロ、オキソ、カルボキシ、カルバモイ
ル、Br、Cl、モノもしくはジ置換のアミノ(但しそ
の置換基はC1-10アルキルもしくはモノ−もしくはジ−
ヒドロキシ置換アリールC1-10アルキル)、ニトロ、ヘ
テロシクリル、ヘテロアリール、置換カルバモイル(但
しその窒素原子はC1-10アルキルでモノ置換もしくはジ
置換されている)、アリールオキシ、アリールチオ、C
1-10アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、C1-10アルコ
キシル、メルカプト、C1-10アルキルチオ、C1-10アル
キルスルフィニル、C1-10アルキルスルホニル、未置換
もしくは置換のイミノメチル(但しその置換基はC1
10アルキル)、スルファモイル、未置換もしくは置換
のC1-10アルキルアミノ(但しその置換基はアミノ、オ
キソもしくはホルミル)、およびC1-10アルキルカルボ
ニル;R1 とR10は一緒になってオキソ基で任意に置換
されたC1 −C3 アルキレン;R1 とR4 は一緒になっ
てオキソ基で任意に置換されたC1 −C3 アルキレン;
2 とR3 は水素、C1-10アルキルおよびアリール;R
2 とR3 は一緒になってオキソおよびチオノ;R4 とR
5 は独立して水素およびアルキルカルボニル;R4 とR
5 は一緒になってカルボニル;R6 とR7 は独立して水
素、ヒドロキシ、C1-10アルキルカルボニルオキシおよ
び−NHR12(但しR12は水素、C1-10アルキルカルボ
ニル、アリールスルホニル)、ハロゲン置換アリールス
ルホニル、チエニルスルホニル、フラニルスルホニル、
または
【0008】
【化8】 (式中Xは接続単結合、OもしくはNH、Aは接続単結
合もしくはC1 −C3 アルキレン、R13は水素、C1
10アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリー
ル、ヘテロシクリルもしくはC3 −C7 シクロアルキ
ル、水素以外の基R13は、以下の基:ハロゲン、ヒドロ
キシル、C1 −C3 アルコキシ、シアノ、イソニトリ
ロ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ−(C1
3 )アルキルアミノ、C1 −C10アルキルアミド、メ
ルカプト、C1 −C3 アルキルチオ、C1 −C3 アルキ
ルスルフィニル、C1-3 アルキルスルホニル、アリール
チオ、アリールスルフィニル、スルファモイル、アリー
ルスルホニル、カルボキシ、カルバモイル、C1 −C3
アルキルカルボニル、C1 −C3 アルコキシカルボニル
もしくはC1 −C3 置換−ハロゲンで置換されていても
よい);R6 とR7 は一緒になってオキソおよびヒドロ
キシイミノ;R8 はメチル、アラルコキシカルボニル、
およびアリールスルホニル;R9 は水素、C1 −C10
ルキルカルボニル、C1 −C10アルコキシカルコキシカ
ルボニルおよびアラルコキシカルボニル;mとnは独立
して0もしくは1の整数;で表されるマクロライドであ
る化合物、その医薬として許容される塩とエステル、お
よびその医薬として許容される金属錯体(但しその金属
は銅、亜鉛、コバルト、ニッケルおよびカドミウムから
なる群から選択される金属)の新規な製造方法に関す
る。
【0009】本発明の方法で製造される最も好ましい化
合物群は、下記式:
【0010】
【化9】 (式中、Rは水素、ヒドロキシル、C1-10置換もしくは
未置換のアルキルまたはC1-10アルコキシカルボニルC
1-10アルキル;R′とR″は一緒になってオキソまたは
ヒドロキシイミノ;およびR′とR″は独立して水素、
ヒドロキシル、または以下の基:水素、C1-10アルキル
カルボニル、C1-10アルコキシカルボニル、アリールカ
ルボニル、アリールC1-10アルキルカルボニルもしくは
アリールC1-10アルコキシカルボニルで置換されたアミ
ノ;およびnは0または1)で表される化合物、ならび
にその医薬として許容される塩とエステルの群である。
【0011】本発明の方法で製造される最も好ましい化
合物は、R′もしくはR″がアミノまたは置換アミノの
場合の、9−デオキソ−8a−アザ−8a−アルキル−
8a−ホモエリスロマイシンAの4″アミノ化誘導体で
ある。このような誘導体を得る方法は、下記のステッ
プ:すなわち (a)下記式:
【0012】
【化10】 (式中、Rは式IIの定義と同一)で表される化合物を
酸化して、下記式:
【0013】
【化11】 で表される化合物を製造し、次いで (b)ステップ(a)の生成物をアミノ化して、下記
式:
【0014】
【化12】 で表される製品化合物を製造する;ステップで構成され
ている。
【0015】さらに、上記ステップ(b)の生成物を、
クラジノース糖のアミノ部分で置換して、下記式:
【0016】
【化13】 (式中、R12はC1-10アルキル、C1-10アルキルカルボ
ニル、C1-10アルコキシカルボニル、アリールカルボニ
ル、アリールC1-10アルキルカルボニルまたはアリール
1-10アルコキシカルボニル)で表される生成物を製造
することができる。
【0017】上記の塩類は、一般に、式(II)の化合
物を、不活性溶媒中、1〜3当量の適切な酸と結合させ
ることによって酸付加塩として製造される。生成した塩
は、次に溶媒を蒸発させるか、または塩が自然に沈澱す
るときは濾過によって、または補助溶媒もしくは非極性
の補助溶媒を用いて沈澱させ、次いで濾過することによ
って回収される。
【0018】代表的な塩とエステルとしては下記のもの
が挙げられる: アセテート ラクトビオネート ベンゼンスルホネート ラウレート ベンゾエート マレート バイカーボネート マレレエート バイスルフェート マンデレート バイタートレート メシレート ボレート メチルスルフェート ブロミド ムケート カルシウム エデテート ナプシレート カムシレート ナイトレート カルボネート オレエート クロリド オキサレート クラブラネート パモエート(エンボネー
ト) シトレート パルミテート ジヒドロクロリド パントテネート エデテート ホスフェート/ジホスフェ
ート エジシレート ポリガラクツロネート エストレート サリチレート エシレート ステアレート エチルスクシネート サブアセテート フマレート スクシネート グルセプテート タンネート グルコネート タートレート グルタメート テオクレート グリコリルアーサニレート トシレート ヘキシルレゾルシネート トリエチオドード ヒドラバミン バレレート ヒドロブロミド ヒドロクロリド ヨージド イソチオネート ラクテート “薬理学的に有効な量”という用語は、研究者もしくは
臨床医が求めている、組織、器官系もしくは動物の生物
学的もしくは医学的応答を引き出す薬剤もしくは医薬の
量を意味するものとする。
【0019】“抗生物質として有効な量”という用語
は、宿主生物に感染を克服させる方法で細菌を阻害する
のに充分な所定のレベルの抗菌活性を感染部位に達成す
る抗生物質化合物の量を意味するものとする。
【0020】“アルキル”という用語は、環式もしくは
直鎖状もしくは分枝鎖状のアルカン、アルケンもしくは
アルキンであって、ある特定の数字(例えばC1
3 )が与えられていない場合1〜10の炭素原子を有
し、不飽和度が1以上のものを意味するものとする。
【0021】アリールという用語にはフェニルとフルオ
レニルを含むものとする。
【0022】ヘテロアリールという用語は、O、Nもし
くはSであり得る1つもしくは4つのヘテロ原子を有す
る不飽和環式構造を意味するものとする。
【0023】ヘテロシクリルという用語は、O、Nもし
くはSであり得る1〜2のヘテロ原子を有する飽和環式
構造を意味するものとする。
【0024】用語の“アルキル”もしくは“アリール”
またはこれらの接頭語根のいずれかが置換基の名称中に
現れたときはいつでも(例えばアラルコキシ、アリール
オキシアルキル)、“アルキル”と“アリール”につい
て先に定義した限定を含むとみなすものとする。炭素原
子の指定された数(例えばC1 −C10もしくはC1-10
は、独立して、アルキルもしくは環式アルキル部分の、
またはアルキルがその接頭語根として現れるより大きな
置換基のアルキル部分の炭素原子の数を意味するものと
する。
【0025】“置換された”という用語は、指定された
置換基による多重置換度が含まれるとみなすものとす
る。
【0026】多重置換基の部分が開示もしくは特許請求
された場合、その置換された化合物は、その開示もしく
は特許請求がなされた置換基部分の1つ以上で、独立し
て単一もしくは複数回置換されてもよい。
【0027】式IIの化合物は、下記の詳細な説明と、
容易に入手できる出発物質、試薬および通常の合成法を
利用する実施例もしくはその改変例とによって容易に製
造することができる。全工程を以下にフローチャートに
示す。これらの反応において、当該技術分野の熟練者に
公知の変形反応を利用することもできるが、詳細には記
載していない。
【0028】
【化14】
【0029】
【化15】
【0030】
【化16】
【0031】
【化17】 (9E)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリス
ロマイシンAの(9Z)異性体への異性化 下記構造式:
【0032】
【化18】 で表される(9Z)−9−デキオソ−9−ヒドロキシイ
ミノエリスロマイシンAは、下記構造式:
【0033】
【化19】 で表される(9E)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイ
ミノエリスロマイシンAを、プロトン性もしくは非プロ
トン性溶媒の存在下、塩基と反応させることによって一
段階で得られた。その塩基はアルカリ金属の水酸化物で
溶媒はアルコールが好ましい。塩基は水酸化リチウム
(一水和物)および溶媒はエタノールが最も好ましい。
【0034】この異性化の方法を最適化するには、
(E)異性体のヒドトキシイミノ基を実質的に脱プロト
ン化するのに充分な上記塩基の比率を必要とする。さら
にそのオキシムアニオンは、異性化工程を完了するのに
要する期間、その反応条件下でかなり安定でなければな
らない。
【0035】該(E)異性体に塩基を添加すると、下記
式に示すような平衡状態が生成する。
【0036】
【化20】 アニオンについて実施される後処理には、オキシムアニ
オンをプロトン化して中性のオキシム生成物の混合物を
得る工程が含まれ、その混合物から、所望の(Z)−異
性体が、結晶化法、またはクロマトグラフィーに付し続
いて結晶化する方法で単離される。
【0037】平衡混合物中の(E)と(Z)のオキシム
アニオン(および後処理後の中性オキシム)の相対量
は、制御することが可能でいくつかの因子に依存してい
る。これらの因子には、(a)塩基試薬の強度と量、
(b)対イオンM+ の大きさと分極率、および(c)反
応溶媒がある。
【0038】適切な塩基としては、水酸化物、アルコキ
シド、カルボネート、アミド、アミンおよび水素化物が
ある。
【0039】下記の試薬リストは適切な塩基と溶媒を示
すための表であるが、網羅したものではなく、当該技術
分野の熟練者に知られている他の塩基と溶媒を除外する
ものではない。好ましい塩基と溶媒はひとつ星の印
(*)で示してあるが、最も好ましい塩基は星印(☆)
で示してある。
【0040】塩基類 1.水酸化物類 *☆LiOH 水酸化リチウム *☆NaOH 水酸化ナトリウム * KOH 水酸化カリウム CsOH 水酸化セシウム Ca(OH)2 水酸化カルシウム Mg(OH)2 水酸化マグネシウム * Me4 NOH テトラメチルアンモニウ
ムヒドロキシド BnMe3 NOH ベンジルトリメチルアンモニ
ウムヒドロキシド Et4 NOH テトラエチルアンモニウムヒ
ドロキシド Bu4 NOH テトラブチルアンモニウムヒ
ドロキシド2.アルコキシド類 *☆LiOMe リチウムメトキシド *☆LiOEt リチウムエトキシド LiOiPr リチウムイソプロポキシド LiOnBu リチウムn−ブトキシド LiOsBu リチウムsec−ブトキシド *☆NaOMe ナトリウムメトキシド *☆NaOEt ナトリウムエトキシド NaOPr ナトリウムn−プロポキシド NaOiPr ナトリウムiso−プロポキ
シド NaOnBu ナトリウムn−ブトキシド NaOsBu ナトリウムsec−ブトキシ
ド NaOtBu ナトリウムtert−ブトキ
シド NaOSiMe3 ナトリウムトリメチルシラノ
エート KOMe カリウムメトキシド * KOEt カリウムエトキシド KOtBu カリウムtert−ブトキシ
ド KOSiMe3 カリウムトリメチルシラノエ
ート KOsBu カリウムsec−ブトキシド CsOtBu セシウムtert−ブトキシ
ド Ca(OMe)2 カルシウムメトキシド * Mg(OEt)2 マグネシウムエトキシド Ti(OEt)4 チタン(IV)エトキシド Ti(OiPr)4 チタン(IV)イソプロポキ
シド BnMe3 NOMe ベンジルトリメチルアンモニ
ウムメトキシド3.炭酸塩類2 CO3 炭酸カリウム * Cs2 CO3 炭酸セシウム Na2 CO3 炭酸ナトリウム4.アミド類 (非プロトン性溶媒中で使用する) LiNH2 リチウムアミド LiNMe2 リチウムジメチルアミド * LiNiPr2 リチウムジイソプロピル
アミド LiN(C6 112 リチウムジシクロヘキシルア
ミド LiN(SiMe3 2 リチウムビス(トリメチルシ
リル)アミド NaNH2 ナトリウムアミド KN(SiMe3 2 カリウムビス(トリメチルシ
リル)アミド5.アミン類 * TMG 1,1,3,3−テトラ
メチルグアニジン DBU 1,8−ジアザビシクロ
[5,4,0]ウンデク−7−エン プロトンスポンジ 1,8−ビス(ジメチルアミ
ノ)ナフタレン6.水素化物類 (非プロトン性溶媒中で使用) LiH 水素化リチウム * NaH 水素化ナトリウム KH 水素化カリウム7.溶媒類 a.プロトン性溶媒2 O(一般にアルコール溶媒と混合して使用する) *☆MeOH メタノール *☆EtOH エタノール * iPrOH イソプロパノール n−BuOH n−ブタノール s−BuOH sec−ブタノール t−BuOH tert−ブタノールb.非プロトン性溶媒 i非極性 (これら溶媒は一般にプロトン性もしくは極性
の溶媒と混合して使用される) Et2 O ジエチルエーテル THF テトラヒドロフラン DME ジメトキシエタンPhMe
トルエン CH2 Cl2 ジクロロメタン CHCl3 クロロホルムii極性 * DMF ジメチルホルムアミド DMAC ジメチルアセトアミド DMI 1,3−ジメチル−2−イミ
ダゾリジノン NEP 1−エチル−2−ピロリジノ
ン * NMP 1−メチル−2−ピロリ
ジノン HMPA ヘキサメチルホスホルアミド MeNO2 ニトロメタン * MeCN アセトニトリル ジオキサン ピリジン * DMSO ジメチルスルホキシド 異性化反応は、E−オキシムの溶媒に対する濃度を1〜
25%W/Vで行うのが好ましいが、10%W/Vが最
も好ましい。塩基の使用量は、1.0〜10.0モル当
量の塩基が好ましく、より好ましいのは1.0〜3.0
モル当量であり、最も好ましいのは2.0モル当量であ
る。この反応は0℃〜80℃の温度で一般に行われる
が、22〜25℃が一層好ましい。この反応は30分間
〜20日間続けさせてもよいが、20〜24時間にわた
って実施するのが最も好ましい。
【0041】(9Z)−9−デオキソ−9−ヒドロキシ
イミノエリスロマイシンAのベックマン転位
【0042】
【化21】 (9Z)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリス
ロマイシンA(IV)の8a−アザ−8a−ホモエリス
ロマイシン生成物(VI)、(VII)および(VII
I)への転化は、ベックマン転位反応によって行われる
(“Comprehensive Organic C
hemistry”、I.O.Sutherland
編、Pergamon Press、ニューヨーク、1
979年、2巻、398−400頁および967−96
8頁参照)。一般に、ケトオキシム類のベックマン転位
を行うとカルボキサミドが得られ、環式の系ではリング
が膨脹してラクタムになる。この転位反応の機序は、最
初オキシムのヒドロキシル基が脱離基に転化し、次にこ
の脱離基が、この基に対してアンチの位置にあるオキシ
ム炭素の置換基の同時に起こる移動に際して失われるも
のである。水性媒体中では、上記のように生成した中間
体のニトリリウムカチオンが通常、水と反応してアミド
生成物が得られる。またこのニトリリウム中間体は、他
の適切な求核試薬によってトラップされて、イミデート
およびアミジンのようなイミノ生成物になる。
【0043】このベックマン転位反応は、各種の、酸
性、中性および塩基性の条件下で行われる。この変換反
応を促進する汎用の酸性試薬としては、濃硫酸、ポリリ
ン酸、塩化チオニル、五塩化リン、二酸化硫黄およびギ
酸がある。しかし、これらの試薬は一般に、オキシム
(IV)の転位反応に使用するできない。その理由は、
マクロライド分子の特にクラジノース糖の残基が酸性条
件に対して敏感だからである。また効率的なベックマン
転位反応は、シリカゲル含有キシレンとともに該オキシ
ムを加熱するか、または緩和な塩基性条件下で該オキシ
ムをヘキサメチルホスホルアミド中で加熱することによ
って起こる。これらの条件は、化合物(IV)の、生成
物(VI)、(VII)および(VIII)への転化反
応に対して特に価値があるわけではない。というのは、
これらの反応条件ではそのオキシム官能基が競合異性化
を行うからである。
【0044】ベックマン転位反応を行う好ましい方法
は、最初に、オキシム基のO−スルホニル化を、ハロゲ
ン化アルキルスルホニル、ハロゲン化アリールスルホニ
ルまたは無水アリールスルホン酸によって行う方法であ
る。このようにして生成した中間体のオキシムスルホネ
ートは、単離することができるが、より一般的には、そ
のまま転位生成物に転化される。このスルホニル化反応
と転位反応は一般に有機もしくは無機の塩基の存在下で
行われる。この方法は、オキシム(IV)の、転位生成
物(VI)、(VII)および(VIII)への転化に
特に価値がある。
【0045】オキシム(IV)の転位反応を行うのに好
ましいスルホン化剤としては、メタンスルホニルクロリ
ド、ベンゼンスルホニルクロリド、4−アセトアミドベ
ンゼンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルク
ロリド、無水ベンゼンスルホン酸および無水p−トルエ
ンスルホン酸がある。この反応は、炭酸水素ナトリウム
もしくは炭酸カリウムのような無機塩基の存在下、また
はピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチル
アミンもしくはN,N−ジイソプロピルエチルアミンの
ような有機塩基の存在下で行われる。適切な溶媒には、
水性アセトンもしくは水性ジオキサンのような水性混合
物およびジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、ア
セトニトリルおよびピリジンのような有機溶媒が含まれ
る。有機溶媒の混合物、特にピリジンを含有するそれは
非常に有用である。この反応は、1〜3モル当量のスル
ホン化剤と1モル当量以上の塩基とを用い、−20℃〜
50℃の反応温度で行われる。ピリジンを、溶媒兼塩基
として用いることが多い。
【0046】オキシム(IV)のベックマン転位反応で
生成する各生成物の比率は、利用する特定の反応条件に
よって決まる。例えば、この転位反応が、水性アセトン
中、p−トルエンスルホニルクロリドと炭酸水素ナトリ
ウムとで行われると、主生成物はラクラム(VI)と
6,9−架橋イミノエーテル(VII)である。反応
が、ピリジン中、p−トルエンスルホニルクロリドのよ
うな無水の条件下で行われると、主生成物は、6,9−
架橋イミノエーテル(VII)と9,12−架橋イミノ
エーテル(VIII)である。生成物(VII)と(V
III)の比率は、補助溶媒の添加、温度およびオキシ
ムの最初の濃度によって左右される。一般に、ピリジン
の溶媒としての比率を増やし、反応温度を上げ、および
オキシムの最初の濃度を減らすことは全て、6,9−生
成物(VII)よりも9,12−生成物(VIII)の
生成に有利になる。
【0047】オキシム(IV)のベックマン転位反応を
行う特に好ましい方法は、2.5モル当量のp−トルエ
ンスルホニルクロリドを溶解したジエチルエーテルの溶
液をオキシムのピリジン溶液に0〜5℃の温度で添加す
る方法である。オキシムのO−スルホニル化に続いて転
位が、上記反応条件下で起こり、イミノエーテル生成物
(VII)と(VIII)の1:3混合物が得られる。
【0048】オキシム(IV)のベックマン転位反応に
よる生成物はクロマトグラフィー法によって簡便に精製
される。例えば、ラクタム(VI)は、シリカゲルのカ
ラムクロマトグラフィーを使用するか、または逆相高圧
液体クロマトグラフィーによってイミノエーテル(VI
I)から容易に分離される。生成物(VII)と(VI
II)もクロマトグラフィー法で分離することができ、
得られた(VIII)はニトロメタンから結晶化してさ
らに精製することができる。しかし、一般に、(VI
I)と(VIII)の異性体の混合物を、それ以上精製
せずに、次の還元ステップに単に移行させるだけの方が
得策である。
【0049】先に述べたように、無水条件下でのオキシ
ム(IV)のベックマン転位によって、6,9−架橋イ
ミノエーテル(VII)と9,12−架橋イミノエーテ
ル(VIII)からなる生成物混合物が得られる。9,
12−架橋生成物は、中間体のニトリリウム種がC−1
2位のヒドロキシ基によって、立体選択的に分子内捕獲
されることによって生ずるが、最初、イミノの二重結合
についての異性体である主要形と少量形の混合物として
単離される。この最初の異性体混合物は、溶液状態でま
たは粗泡状物に置くと、室温で平衡化して、異性体のほ
ぼ1:1混合物になる。最初に生成した主要異性体は、
ニトロメタン溶液から結晶化させることによって混合物
から単離することができる。しかし両方の形態とも次の
ステップで容易に還元されて9−デオキソ−8a−アザ
−8a−ホモエリスロマイシンAになるので、9,12
−架橋イミノエーテル(VIII)の平衡化は全工程に
とって重要なことではないことに留意すべきである。
【0050】9−デオキソ−6−デオキシ−6,9−エ
ポキシ−8a,9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a−ホ
モエリスロマイシンA(VII)および9−デオキソ−
12−デオキシ−9,12−エポキシ−8a,9−ジデ
ヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシンA
(VIII)の還元
【0051】
【化22】 化合物(VII)と(VIII)は、大環状ラクタム
(VI)の環状イミデート類(即ちイミジン酸エステ
ル)とみなすことができる。これらのイミデート類は、
6位と12位のヒドロキシル基がラクタムのカルボニル
基に渡環的付加を行い次いで水を除いて、形態的には、
化合物(IV)から誘導される。しかしイミデートの
(VII)と(VIII)は、恐らくベックマン転位の
ニトリリウム中間体と6位と12位のヒドロキシ基との
分子内インターセプションによって生成すると考えられ
る。構造(VII)内のイミデート官能基(−N=C−
O−)は、完全に6員環に属しているので5,6−ジヒ
ドロ−1,3−オキサジン系を生成している。一方、第
2の構造(VIII)は、酸素原子を有する5員環に対
して環外にイミノの窒素を持っているので2−イミノテ
トラヒドロフラン系を生成している。
【0052】これらイミデート類を還元して対応するア
ミン類にするのに用いる多数の試薬が知られている
(“The Chemistry of Amidin
es and Imidates”S. Patai
編、John Wiley andSons、1975
年、460〜461頁;および“Comprehens
ive Organic Chemistry”、I.
O.Sutherland編、Pergamon Pr
ess、ニューヨーク、1979年、2巻、495頁参
照)。これらの試薬には、酸性溶液中のナトリウムアマ
ルガムまたはエタノールもしくは液体アンモニア中のナ
トリウムのような金属/プロトン供与体の組み合わせ、
加圧下での接触水素化反応および水素化アルミニウムリ
チウムおよび水素化ホウ素ナトリウムのような水素化金
属の錯体がある。イミデート類を電気化学的に還元する
と、よい収率でアミンが得られることも報告されてい
る。
【0053】大環状イミデート(VII)(VIII)
を還元してアミン(IX)とするのに選択される方法で
は、適切な溶媒系内で水素化金属の錯体が使用される。
適切な水素化物の試薬としては、水素化アルミニウムリ
チウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素
ナトリウムおよび水素化ジイソブチルアルミニウムがあ
る。水素化アルミニウムリチウムと水素化ジイソブチル
アルミニウムはともに、ベンゼン、トルエン、ジエチル
エーテル、テトラヒドロフランおよびジメトキシエタン
のような無水の溶媒を使用する必要がある。一方、水素
化ホウ素ナトリウムと水素化シアノホウ素ナトリウム
は、水の存在下、またはメタノール、エタノール、イソ
プロパノールおよびエチレングリコールのようなアルコ
ール系溶媒中で使用できる。水素化シアノホウ素ナトリ
ウムを使用する場合、反応媒体は通常、水性酸、(pH
≧3)もしくは酢酸を添加して酸性にする。この反応
は、一般に、イミデートを、1〜5モル当量の還元剤
で、−20℃〜50℃の範囲の温度にて、1〜20時間
処理することによって達成される。
【0054】イミデート(VII)と(VIII)を還
元してアミン(IX)とするのに特に好ましい方法で
は、メタノールもしくはエチレングリコール中2〜3モ
ル当量の水素化ホウ素ナトリウムを0℃〜25℃の温度
で使用する。エチレングリコールは、水素化ホウ素試薬
を活性化し、かつアミン生成物のホウ酸エステル錯体を
分解するという2つの目的を果たす。
【0055】イミデート(VII)と(VIII)を還
元してアミン(IX)を得るのに好ましい第2の方法
は、高圧下で接触水素化を行う方法である。この反応
は、メタノール、エタノール、水性ジオキサンもしくは
酢酸のような適切な溶媒中のイミデートと触媒の混合物
を、1000〜3000psiの水素圧力下、2〜20
時間、常温で振盪することによって通常達成される。適
切な触媒としては、貴金属およびその酸化形例えば白金
−炭、酸化白金(アダムス触媒)、パラジウム−炭、水
酸化パラジウム−炭(パールマン触媒)およびロジウム
−炭が挙げられる。特に好ましいイミデート(VII)
の還元法は、ほぼ一当量の酸化白金触媒を含有する酢酸
を用い、2000psiの水素で、室温にて18〜20
時間行われる。
【0056】9−デオキソ−8a−アザ−8a−ホモエ
リスロマイシンAのメチル化 (IX)のような第2級アミンは、還元剤の存在下、ホ
ルムアルデヒドを用いて還元的にメチル化して第3級ア
ミンにすることができる。この反応に用いる適切な還元
剤としては、貴金属触媒、ラネーニッケルの存在下での
水素、並びに水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホ
ウ素ナトリウムおよびギ酸がある。この反応は、多数の
有機溶媒中で行うことができる。例えばメタノール、エ
タノール、アセトニトリル、クロロホルム、テトラヒド
ロフランもしくはジオキサンがあるが、水は添加しても
しなくてもよい。これらのメチル化法の中で最も一般的
なのは恐らくエッシュワイラー・クラーク法であろう。
この方法では、ギ酸の存在下でアミンとホルムアルデヒ
ドの反応が行われる。
【0057】化合物(IX)にエッシュワイラー・クラ
ーク法を適用すると、リングがメチル化された生成物
(X)(但しRはCH3 )が得られる。この反応は、化
合物(IX)を、不活性溶媒中、20〜100℃にて1
〜2モル当量のホルムアルデヒドと2〜3モル当量のギ
酸で処理することによって達成される。好ましい系で
は、37%ホルムアルデヒド水溶液、および四塩化炭素
もしくはクロロホルム中のギ酸を用いて、1〜2日間加
熱還流が行われる。生成物は、水性エタノールから結晶
化させることによって簡便に単離される。
【0058】
【化23】 化合物(IX)のメチル化は3段階法を用いても行うこ
とができる(G.M.Brightら、J.Antib
iotics、41巻、1029頁、1988年および
米国特許第4,474、768号参照)。この方法では
化合物(IX)をまず酸化して、中間体のN−ヒドロキ
シドN′−オキシド(XI)にし、次にこの中間体をメ
チル化剤で処理して、中間生成物(XII)を得て、最
後に脱酸素反応に付して所望の生成物が得られる。この
方法では、N′−酸素が一時性保護基として働いてデソ
サミンのジメチルアミノ基で第4級化するのを防止す
る。
【0059】酸化ステップは、不活性溶媒中、酸化剤と
して、過酸化水素、または過酢酸もしくは3−クロロペ
ルオキシ安息香酸のような過酸を用いて行われる。この
反応に用いる適切な溶媒としては、ジクロロメタン、ク
ロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノ
ール、エタノールおよび酢酸がある。一般に、メタノー
ルもしくは酢酸のような水混和性溶媒は過酸化水素およ
び過酢酸のような水溶性酸化剤ととも用い、一方、ジク
ロロメタンもしくはテトラヒドロフランのような無水溶
媒は3−クロロペルオキシ安息香酸とともに用いられ
る。この反応は、通常、過剰の酸化剤(2〜40モル当
量)を用い、0℃〜50℃の温度にて、24時間までの
時間で達成される。特に好ましい実施態様では、メタノ
ール溶媒中、酸化剤として過剰の過酸化水素30%水溶
液を用い、室温で18〜20時間反応が行われる。
【0060】リングへのN−メチル基の導入は、N−ヒ
ドロキシ−N′−オキシド中間体(XI)を、不活性溶
媒中、酸受容体の存在下、メチル化剤で処理することに
よって達成される。不活性溶媒としては上記反応条件下
ではメチル化剤と反応しないものと定義する。適切な溶
媒としては、限定されないが、ジクロロメタン、クロロ
ホルム、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジメ
チルスルホキシドおよびトルエンが挙げられる。窒素位
置においてアルキル化を行うことが知られている多数の
メチル化剤の中で、ヨウ化メチル、臭化メチル、ジメチ
ル硫酸およびトリフルオロメタンスルホン酸メチルが本
発明に対して好適である。メチル化剤とリングの窒素原
子との反応で生成する酸を中和する働きをする酸受容体
の成分は、アルカリ金属の水酸化物もしくは炭酸塩のよ
うな無機塩基、またはヒンダードアミン塩基でよい。適
切な酸受容体の例は、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウ
ム、水酸化カリウムおよび2,6−ルチジンである。こ
のメチル化反応は、メチル化剤と酸受容体の両者の大過
剰(10〜75モル当量)を用いて、0℃〜80℃の温
度で、1〜20時間行って達成される。好ましい方法
は、化合物(XI)を、ジクロロメタン中、ほぼ40モ
ル当量のヨウ化メチルとほぼ70モル当量の無水炭酸カ
リウムとともに室温で攪拌する方法である。このメチル
化反応の生成物は、通常、リングの窒素原子が部分脱酸
素反応を受けた成分(XII、n=0および1)の混合
物として得られる。これらの成分はクロマトグラフィー
で分離することができるが、一般に精製せずに次の脱酸
素のステップで使用される。
【0061】一連の反応の最後のステップである、化合
物(XII)を脱酸素反応に付して化合物(X)を得る
ステップは接触水素化反応で容易に達成できる。この水
素化反応は、18℃〜25℃の温度で15psi〜20
00psiの水素圧で不活性溶媒中で実施される。適切
な触媒は貴金属とその酸化物であり、例えばパラジウム
−炭、水酸化パラジウム−炭、酸化白金、白金−炭およ
びロジウム−炭がある。この接触還元反応に用いる代表
的な不活性溶媒はメタノール、エタノール、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン、酢酸およびその混合物である。
典型的な接触還元法では、溶媒としてエタール、45p
siの水素圧、および触媒として10%パラジウム−炭
を1:1〜1:2の基質:触媒比率で用いる。
【0062】化合物(XII)を還元的脱酸素反応に付
して化合物(X)を得ることは多数の化学的還元剤で実
施することができる。この種の代表的な試薬としては、
水素化ホウ素ナトリウムもしくは水素化シアノホウ素ナ
トリウムのような金属水素化物、酢酸中の亜鉛、および
トリフェニルホスフィンが含まれる。
【0063】上記の考察では、9−デオキソ−8a−ア
ザ−8a−ホモエリスロマイシンA(IX)のN−アル
キル化反応を、アルキル基(R)がメチル基の場合につ
いて示した。他のアルキル基は、当該技術分野の熟練者
に公知の類似の方法を用いて導入される。例えば、各種
のC2 −C10カルボキシアルデヒド(ホルムアルデヒド
に代えて)による化合物(IX)の還元的アルキル化反
応によって、RがC2−C10アルキルの高級類似体
(X)が得られる。あるいは、N−ヒドロキシ−N′−
オキシドの中間体(XI)は各種のC2 −C10アルキル
化剤と反応して、リングの窒素がC2 −C10のアルキル
基で置換されている化合物(XII)を生成する。化合
物(XII)を脱酸素反応に付すとN−アルキルの生成
物(X)が得られる。この方法に使用する適切なアルキ
ル化剤には、限定されないが、ヨウ化C2 −C10アルキ
ル、トシレート、メシレートおよびトリフレートが含ま
れる。
【0064】ここで、フローチャートIIに戻ると、式
(X)の化合物がアセチル化されて、保護された部分と
なる第1ステップの転化が示されている。次の酸化ステ
ップを行うのに必要な2′−ヒドロキシル基の保護は、
一般にアセチルもしくはピロピオニルのような低級アル
カノイル保護基を使用することによって達成できる。一
般に、無水酢酸とピリジンを含有するジクロロメタンを
室温で数時間反応させると、2′−ヒドロキシ基にアセ
チル基が結合する。
【0065】次に、この2′−保護中間体は、塩基の存
在下、ジメチルスルホキシドと適切な活性化剤とで処理
すると、4″−ヒドロキシ置換基が酸化されて対応する
4″−オキソ(ケト)化合物になる。この酸化反応の代
表的な反応条件は、(a)ピリジニウムトリフルオロア
セテートの存在下、N−エチル−N′−(N,N−ジメ
チルアミノプロピル)カルボジイミドとジメチルスルホ
キシドを用いるモファット酸化反応;または(b)ジク
ロロメタン中の塩化オキサリルとジメチルスルホキシド
を使い次いでトリエチルアミンを添加するか、もしくは
ジクロロメタン中の無水トリフルオロ酢酸とジメチルス
ルホキシドを使い次いでトリエチルアミンを添加するス
ワーン酸化反応の反応条件である。
【0066】次のステップで、2′−保護基が、室温で
1〜2日間メタノールで加溶媒分解することによって除
去され、次いでメタノールを減圧蒸発させる。
【0067】続く還元ステップでは、ラネーニッケルと
水素を用いる接触水素化反応によって、4″−オキソ基
が還元されて、化合物(II)の4″−エピヒドロキシ
異性体が生成する。また還元を行うために、メタノール
中の水素化ホウ素ナトリウムのような水素化金属の錯体
も使用できる。4″位について異性体混合物が生成する
が、生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィーも
しくはHPLC法によって簡便に分離される。
【0068】ここでフローチャートIIIに戻ると、前
記の4″オキソ化合物を対応する4″アミノ化合物に直
接転化する還元アミノ化反応が示されている。この反応
は、(a)メタノール性酢酸中の水素化シアノホウ素ナ
トリウムと酢酸アンモニウム;または(b)水素および
メタノール中の酢酸アンモニウムのようなアンモニア源
の存在下、ラネーニッケルもしくは10%パラジウム−
炭を用いる接触水素化応によって達成される。生成した
4″位についてのアミノ異性体は、HPLCまたはシリ
カゲルもしくはアルミナのクロマトグラフィーによって
分離することができる。
【0069】あるいは、この4″−アミノ誘導体は、前
記4″オキソ化合物を、中間的にオキシム化して対応す
る4″オキシム化合物にし、次いで還元して4″−アミ
ンにすることによっても製造することができる。このオ
キシム化反応は、ピリジン中の塩酸ヒドロキシルアミ
ン、またはメタノール中の塩酸ヒドロキシルアミンとト
リエチルアミンもしくはイミダゾールのような塩基とを
用いて行われる。生成したオキシムの還元は、(a)水
素と、エタノール中のラネーニッケルを用いる接触水素
化反応、または(b)水素化シアノホウ素ナトリウムを
含有するメタノールを酢酸アンモニウムで緩衝した液中
の三塩化チタンによる還元反応で実施される。
【0070】得られた4″−アミン化合物は、アセチル
化もしくはスルホニル化して、対応するアミドとカルバ
メートにすることができる。この方法に適した試薬とし
ては限定されないが、(a)トリエチルアミン含有ジク
ロロメタン中のR″COCl、(R″CO)2 O、R″
SO2 Clもしくは(R″SO2 2 O(但しR″は目
的とする置換基);(b)ジクロロメタン中のR″CO
2 Hとジシクロヘキシルカルボジイミド;または(c)
N−メチルモルホリン含有ジクロロメタン中のR″CO
2 Hとイソブチルクロロホルメートがある。
【0071】構造式(XIX)はNアシル基R12を有す
る。R12は好ましくは、置換されているか未置換の、C
1 −C10アルキルカルボニル、C1-10アルコキシカルボ
ニル、アリールカルボニル、アリールC1-10アルキルカ
ルボニル、アリールC1-10アルコキシカルボニル、アリ
ールもしくはヘテロアリールのカルボニル基、またはア
リールスルホニル基である。これらの置換基は、1〜3
個のフルオロ、アリール、アミノ、置換アミノ(但しそ
の置換基はホルミルもしくはC1 −C10アルキルカルボ
ニル)、シアノ、イソニトリロ、カルボキシ、カルバモ
イル、Br、Cl、ジ置換アミノ(但しその置換基はC
1 −C10アルキル)、ニトロ、ヘテロ環、ヘテロアリー
ル、置換カルバモイル(但しその窒素原子はC1-10アル
キルによってモノもしくはジ置換されている)、アリー
ルオキシ、アリールチオ、C1-10アルコキシカルボニル
ヒドロキシ、C1-10アルコキシ、メルカプト、C1-10
ルキルチオ、C1-10アルキルスルフィニル、C1-10アル
キルスルホニル、未置換もしくは置換のイミノメチル
(但しその置換基はC1-10アルキル)、スルファモイ
ル、未置換もしくは置換のC1-10アルキルアミノ(但し
その置換基はホルミル)、およびC1-10アルキルカルボ
ニルである。
【0072】また好ましくは、R12は、水素、アリール
スルホニル、ハロゲン置換アリールスルホニル、チエニ
ルスルホニル、フラニルスルホニル、または−C(=
O)−X−A−R (式中Xは接合単結合、OまたはNH;Aは接合単結合
もしくはC1 −C3 アルキレン;Rは水素、C1 −C10
アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘ
テロ環、もしくはC3 −C7 シクロアルキルであり、水
素以外のR基はいずれも、1つ以上のハロゲン、ヒドロ
キシル、C1 −C3 アルコキシ、シアノ、ニトロ、アミ
ノ、モノ−もしくはジ−(C1 −C3 )アルキルアミ
ノ、メルカプト、C1 −C3 アルキルチオ、C1 −C3
アルキルスルフィニル、C1 −C3 アルキルスルホニ
ル、アリールチオ、アリールスルフィニル、スルファモ
イル、アリールスルホニル、カルボキシ、カルバモイ
ル、C1 −C3 アルキルカルボニル、C1 −C3 アルコ
キシカルボニル、もしくはC1 −C3 置換ハロゲンで置
換されていてもよい)である。
【0073】
【作用】式(II)の化合物は、抗生物質として、次の
ような経口剤形で投与することができる。すなわち、錠
剤、カプセル剤、丸散、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、
チンキ剤、懸濁剤、シロップ剤および乳剤である。同様
にこの化合物は、医薬の技術分野の熟練者にとって公知
の形態を使用して、静脈内、腹腔内、皮下もしくは筋肉
内用形態で投与することができる。一般に好ましい投与
形態は経口投与である。この化合物の有効ではあるが無
毒の量を、哺乳類の抗生物質として利用できる。
【0074】式(II)の化合物を用いる投与計画は、
患者の病型、種、年齢、体重、性別および医学的状況;
治療される症状の重篤度;投与経路;患者の腎臓と肝臓
の機能;および使用される特定の化合物もしくはその塩
を含む各種の因子に従って選択される。通常の熟練した
医師または獣医は、症状の進行を防止し、妨害もしくは
抑えるのに必要な医薬の有効量を容易に決定し処方する
ことができる。
【0075】式(II)の化合物を指定の効果を得るた
めに用いる場合、その投与量は、約0.2mg/kg体
重/日(mg/kg/日)〜約120mg/kg/日で
あり、4〜50mg/kg/日が好ましい。この化合物
は、1日の投与量を1度に投与可能であり有利である
が、または1日の全投与量を1日当たり、2回、3回、
もしくは4回に分けた投与量で投与してもよい。
【0076】さらに式(II)の化合物は、適切な賦形
剤を用いて、局所、耳もしくは目に投与する形態で投与
することもできる。
【0077】化合物(II)を用いる方法では、一般に
この化合物は、目的とする投与形態、すなわち経口の錠
剤、カプセル剤、エレキシル剤、シロップ剤などについ
て通常の製薬慣行に沿って適切に選択された適切な医薬
用希釈剤、賦形剤もしくは担体(本発明ではまとめて
“担体”材料と呼ぶ)と混合して投与される。
【0078】例えば、錠剤もしくはカプセル剤の形態で
経口投与するには、活性医薬成分は、経口で無毒の医薬
として許容される不活性な担体、例えばラクトース、デ
ンプン、スクロース、グルコース、メチルセルロース、
ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸
カルシウム、マンニトール、ソルビトールなどと混合す
ることができる。また液体の形態で経口投与するには、
その経口医薬成分は、経口で無毒の医薬として許容され
る不活性な担体、例えば、エタノール、グリセリン、水
などと混合することができる。さらに、所望もしくは必
要なときには、適切な結合剤、潤滑剤、崩壊剤および着
色剤も、上記混合物に入れることができる。適切な結合
剤にはデンプン、ゼラチン、グルコースもしくはβ−ラ
クトースのごとき天然の糖、コーン甘味剤、アカシヤゴ
ム、トラガカントゴムもしくはアルギン酸ナトリウムの
ような天然もしくは合成のガム状物、カルボキシメチル
セルロース、ポリエチレングリコール、ワックス類など
が含まれる。崩壊剤としては、限定されないが、デンプ
ン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタ
ンガムなどがある。
【0079】また式(II)の化合物は、リポソーム放
出系の形態、例えば単一層の小形のベヒクル、単一層の
大形ベヒクルおよび多重層ベヒクルで投与できる。リポ
ソームは、各種のリン脂質、例えば、コレステロール、
ステアリルアミンまたはホスファチジルコリン類で製造
することができる。
【0080】また式(II)の化合物は、標的性医薬担
体としての可溶性ポリマーと結合させることもできる。
このようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、
ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリル
アミドフェニル、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミ
ド−フェノール、またはパルミトイル残基で置換された
ポリエチレンオキシド−ポリリシンがある。さらに、式
(II)の化合物は、医薬の放出制御に有効な1群の生
分解性ポリマーに結合させてもよい。これらのポリマー
としては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ
乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリε−カプロ
ラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル
類、ポリアセタール類、ポリジヒドロピラン類、ポリシ
アノアクリレート類、およびヒドロゲル類の架橋ブロッ
クコポリマーもしくは両親媒性ブロックコポリマーがあ
る。
【0081】実施例1
【0082】
【化24】 (9E)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリス
ロマイシンAの製造 塩酸ヒドロキシルアミン(224g、3.23mol)
を、エリスロマイシンA(100g、約95%純度、
0.129mol、ウイスコンシン州、ミルオーキーの
Aldrich Chemical Co.から入手)
のピリジン(500mL)溶液に添加した。得られた混
合物を室温で27時間攪拌し、次に減圧下、約40℃で
濃縮した。半固体の残渣を一夜高真空下に保持し、次い
でエタノール(600mL)とともに15分間攪拌し濾
過した。集めた固体を熱(50℃)エタノールで洗浄し
た。濾液を合して、洗浄物を減圧で蒸発させて淡青色の
泡状物を得た。その泡状物を水(850mL)とともに
振盪して濃厚な乳液を生成させ、これを室温にて2.5
時間、高速で攪拌して濾過可能な沈澱を得た。この沈澱
を集めて、水(150mL)で洗浄し、減圧乾燥して白
色固体(117.7g)を得た。
【0083】得られた粗製の塩酸オキシムを、炭酸水素
ナトリウムの5%水溶液(1000mL)および塩化メ
チレン(1000mL)中に懸濁させ、その混合物を攪
拌し、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを
9.5にした。層を分離して、その水性部分を酢酸エチ
ル(500mL)とエチルエーテル(500mL)で抽
出した。有機層と上記抽出液を合して、硫酸ナトリウム
で脱水し、濾過し、減圧で蒸発させて白色固体(92.
3g)を得た。得られた固体を熱酢酸エチル(250m
L)に溶解し、その溶液を熱ヘキサン(400mL)で
希釈し、一夜冷蔵庫内に保管した。(9E)−9−デオ
キソ−9−ヒドロキシイミノエリスロマイシンAの結晶
を集め、氷冷ヘキサン(250mL)で洗浄し、減圧乾
燥して白色固体(88.5g)を得た。
【0084】IR(CH2 Cl2 )3560、3400
(br)、2980、2950、1735、1460、
1389、1165、1110、1085、1050、
および1010cm-1
【0085】1H NMR(CDCl3 )δ5.05
(dd,H−13)、4.90(d,H−1″)、4.
38(d,H−1′)、4.01(m,H−5″)、
3.99(d,H−3)、3.74(m,H−8)、
3.66(s,H−11)、3.54(d,H−5)、
3.45(m,H−5′)、3.28(s,OC
3 )、3.23(dd,H−2′)、2.96(t,
H−4″)、2.87(m,H−2)、2.64(q,
H−10)、2.43(m,H−3′)、2.32
(d,H−2″eq)、2.27(s,N(C
3 2 )、1.98(m,H−4)、1.87(m,
H−14eq)、1.63(m,H−4′eq)、およ
び1.46(s,6−CH3 )。
【0086】1H NMR(CD3 OD)δ5.19
(dd,H−13)、4.48(d,H−1′)、4.
15(dq,H−5″)、3.98(d,H−3)、
3.76(m,H−8)、3.70(m,H−5′)、
3.67(s,H−11)、3.58(d,H−5)、
3.33(s,OCH3 )、3.23(dd,H−
2′)、3.01(d,H−4″)、2.92(m,H
−2)、2.72(m,H−10)、2.70(m,H
−3′)、2.43(d,H−2″eq)、2.33
(s,N(CH3 2 )、2.01(m,H−4)、
1.88(m,H−14eq)、1.72(m,H−
4′eq)、1.58(dd,H−2″ax)、1.4
8(m,H−14ax)、1.45(s,6−C
3 )、1.26(d,5″−CH3 )、1.23
(s,3″−CH3 )、1.14(s,12−C
3 )、1.10(d,4−CH3 )、1.05(d,
8−CH3 )、および0.84(t,CH2 3 )。
【0087】13C NMR(CDCl3 )δ175.
3、171.3、103.1、96.3、83.5、8
0.3、78.1、77.1、75.1、74.3、7
2.6、71.2、70.9、68.8、65.4、6
5.3、49.4、44.6、40.3、38.8、3
7.8、35.1、32.6、29.2、27.0、2
5.4、21.5、21.3、18.7、18.6、1
6.3、14.3、10.6、および9.3。
【0088】13C NMR(CD3 OD)δ177.
5、171.6、104.0、98.0、84.2、8
1.2、79.3、78.3、76.3、74.2、7
2.9、72.2、69.0、66.7、65.2、5
0.0、46.3、40.7、39.3、36.2、3
2.0、27.4、26.7、22.3、22.0、2
1.6、19.3、19.1、17.3、16.6、1
4.8、11.2、および10.2。
【0089】EI マススペクトル、m/z748、5
90、574、462、431、416、398、17
4、159、158、および116。
【0090】実施例2
【0091】
【化25】 (9E)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリス
ロマイシンAの(9Z)−9−デオキソ−9−ヒドロキ
シイミノエリスロマイシンAへの転化 方法1: (9E)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミ
ノエリスロマイシンA(20.0g、26.7mMo
l)を、水酸化リチウム一水和物(2.25g、53.
5mMol)を無水エタノール(200mL)に溶解し
た溶液にこれを攪拌しながら添加した。生成した溶液を
窒素雰囲気下にて室温で一夜攪拌した。溶媒を減圧で蒸
発させ、残渣を酢酸エチル(200mL)とブライン
(120mL)とに分配した。混合物のpHは、2N塩
酸で11から9.3に調節した。酢酸エチル部分を取り
出し、ブライン部分をさらに酢酸エチル(2×200m
L)で再抽出した。酢酸エチル抽出液を合してブライン
(100mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水
し、濾過し、減圧乾燥して泡状物(約20g)を得た。
【0092】得られた粗製のオキシム混合物を塩化メチ
レン(220mL)に溶解し、次いで室温で1時間攪拌
して濾過しうる白色固体(18.7g)を得た。この物
質を、酢酸エチル(100mL)に溶解し、ニトロメタ
ン(100mL)で希釈し、50mLの溶媒を減圧で蒸
発させた。追加のニトロメタン(50mL)を添加し、
次いで80mLの溶媒を減圧で蒸発させた。得られた溶
液に(9Z)異性体を結晶種として入れ、常温で3時間
攪拌した。得られた懸濁液を濾過し、得られた固体をニ
トロメタン(20mL)ですすぎ、窒素気流下で乾燥し
て、(9Z)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエ
リスロマイシンA(14.8g、74%収率)を白色固
体として得た。
【0093】MP 157〜164℃ IR(CHCl3 )3680、3435(br)、29
70、2940、1725、1455、1375、13
45、1165、1105、1085、1045、10
05、および950cm-1
【0094】1H NMR(CDCl3 )δ5.01
(dd,H−13)、4.87(d,H−1″)、4.
40(d,H−1′)、3.98(m,H−3およびH
−5″)、3.80(s,H−11)、3.49(m,
H−5およびH−5′)、3.27(s,OCH3 )、
3.21(dd,H−2′)、2.99(m,H−
4″)、2.8(m,H−8,H−2およびH−1
0)、2.74(m,H−10)、2.43(m,H−
3′)、2.32(d,H−2″eq)、2.27
(s,N(CH3 2 )、1.91(m,H−4)、
1.87(m,H−14eq)、1.63(m,H−
4′eq)、1.51(m,H−2″axおよびH−
7)、1.42(m,H−14ax)、1.37(s,
6−CH3 )、1.28(d,10−CH3 )、1.2
4(d,5″−CH3 )、1.19(s,3″−C
3 )、1.18(d,5′−CH3 )、1.12
(d,2−CH3 )、1.11(s,12−CH3 )、
1.08(d,8−CH3 )、1.04(d,4−CH
3 )、および0.79(t,CH2 3 )。
【0095】1H NMR(CD3 OD)δ5.20
(br d,H−13)、4.50(br d,H−
1′)、4.16(dq,H−5″)、4.02(d,
H−3)、3.70(m,H−5′)、3.56(br
d,H−5)、3.34(s,OCH3 )、3.25
(dd,H−2′)、3.03(d,H−4″)、2.
87(m,H−8)、2.84(m,H−2)、2.7
3(m,H−3′)、2.44(d,H−2″eq)、
2.33(s,N(CH3 2 )、1.97(m,H−
4)、1.88(m,H−14eq)、1.73(m,
H−4′eq)、1.64(m,H−7)、1.59
(dd,H−2″ax)、1.47(m,H−14a
x)、1.36(br s,6−CH3 )、1.28
(d,5″−CH3 )、1.24(s,3″−C
3 )、1.18(m,5′−CH3 ,2−CH3 ,8
−CH3 および10−CH3 )、1.13(s,12−
CH3 )、1.08(d,4−CH3 )、および0.8
6(t,CH2 3 )。
【0096】13C NMR(CDCl3 )δ176.
2、168.2、102.8、95.9、83.6(b
r)、79.3(br)、77.9、77.3、75.
2、75.1、72.7、71.0、70.9、68.
8、65.5、65.3、49.4、40.2、39.
9(br)、37.8(br)、35.7(br)、3
4.9、34.1(br)、28.9、26.0(b
r)、21.4、21.3、19.8(br)、18.
4、16.8、15.3(br)、10.7、および
9.2。
【0097】13C NMR(CD3 OD)δ177.
7、170.0、103.9、97.7、84.3(b
r)、80.7、79.2、78.1、77.0(b
r)、76.1、74.1、72.8、71.7(b
r)、69.2、66.7、65.1、49.9、4
6.2(br)、41.8(br)、40.8、40.
5(br)、36.0、33.8(br)、31.9、
26.7(br)、22.8、21.8、21.7(b
r)、21.6、19.1、17.5、15.8(b
r)、12.2(br)、11.3、および10.1。
【0098】FAB マススペクトル、m/z749、
591、416、398、174、159、158、お
よび116。
【0099】 元素分析 C H N C37682 13としての計算値 59.34 9.15 3.74 実測値 59.12 8.80 3.82方法2:EtOH中1.0のLiOH (9E)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリス
ロマイシンA(255mg、0.34mmol)を、水
酸化リチウム一水和物(14.3mg、0.34mmo
l)の無水エタノール(2.55mL)による溶液に添
加した。得られた溶液を室温で25時間攪拌し、次いで
冷凍庫内に−20℃で68時間貯蔵した。室温まで昇温
させた後、溶液を減圧下蒸発させて溶媒を除いた。残渣
を、塩化ナトリウム飽和水溶液(5mL)と酢酸エチル
(5mL)とともに攪拌し、希塩酸を添加することによ
ってpHを9.2に調節した。振盪した後、相を分離
し、水性部分をさらに酢酸エチル(2×2.5mL)で
抽出した。酢酸エチル抽出液を合し、飽和塩化ナトリウ
ム溶液(4mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水濾
過し、減圧で蒸発させて白色泡状物(263mg)を得
た。この物質を 1HNMR分析で検査したところ、(9
E)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリスロマ
イシンAと(9Z)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイ
ミノエリスロマイシンAの31:69混合物であること
が分かった。
【0100】方法3:EtOH中2.0のLiOH (9E)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリス
ロマイシンA(291mg、0.388mmol)を、
水酸化リチウム一水和物(32.6mg、0.776m
mol)の無水エタノール(2.9mL)による溶液中
に添加した。得られた溶液を、窒素雰囲気下、室温で2
2.5時間攪拌した。溶媒を減圧で蒸発させ、次いで残
渣を、酢酸エチル(5mL)と塩化ナトリウム飽和水溶
液(5mL)とともに攪拌し、2N塩酸を添加すること
によってpHを9に調節した。得られた混合物を振盪
し、相を分離し、その水性部分をさらに酢酸エチル(2
×2.5mL)で抽出した。酢酸エチル抽出液を合し、
飽和塩化ナトリウム溶液(4mL)で洗浄し、硫酸マグ
ネシウムで脱水し、濾過し、次に減圧で蒸発させて白色
泡状物(299mg)を得た。この物質は 1H NMR
によると、(9E)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイ
ミノエリスロマイシンAと(9Z)−9−デオキソ−9
−ヒドロキシイミノエリスロマイシンAの21:79混
合物であることが分かった。
【0101】方法4:EtOH中3.0のLiOH (9E)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリス
ロマイシンA(239mg、0.319mmol)を、
水酸化リチウム一水和物(40.2mg、0.957m
mol)と無水エタノール(2.4mL)の混合物に添
加し、得られた溶液を、窒素雰囲気下、室温で21.7
時間攪拌した。方法3に記載したのと同様に後処理して
白色泡状物(236mg)を得た。この生成物は 1
NMRによって、(9E)−9−デオキソ−9−ヒドロ
キシイミノエリスロマイシンAと(9Z)−9−デオキ
ソ−9−ヒドロキシイミノエリスロマイシンAの19:
81混合物で構成されていることが分かった。
【0102】方法5:EtOH中2.0のNaOEt 新たに切取った金属ナトリウム(48mg、2.087
mmol)を窒素雰囲気下で無水エタノール(7.8m
L)に溶解した。(9E)−9−デオキソ−9−ヒドロ
キシイミノエリスロマイシンA(782mg、1.04
3mmol)を添加し、得られた溶液を室温で攪拌し
た。結晶性沈澱が数時間後に現れたが、これは薄層クロ
マトグラフィーによって出発物質のオキシムと同定され
た。一夜攪拌したところ混合物は再び透明溶液になっ
た。54時間後に反応混合物の約1/2(3.9mL)
を取出して減圧で蒸発させた。ガム状の残渣を、酢酸エ
チル(5mL)および塩化ナトリウム飽和水溶液(5m
L)とともに攪拌し、希塩酸(2Nと0.2Nの溶液)
を添加することによってpHを9.2に調節した。得ら
れた混合物を振盪し、相を分離し、その水性相をさらに
酢酸エチル(2×2.5mL)で抽出した。酢酸エチル
溶液を合して、ブライン(5mL)で洗浄し、硫酸マグ
ネシウムで脱水し、濾過し、減圧で蒸発して白色泡状物
(361mg)を得た。この物質は 1H NMR分析に
よって、9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリスロ
マイシンAの(9E)と(9Z)の異性体の22:78
混合物で構成されていることが分かった。
【0103】方法6:EtOH中2.0のNaOH 方法5の反応混合物の残りの1/2を水(0.0188
mL、1.04mmol)で処理して、事実上水酸化ナ
トリウムとオキシムを含有しているエタノール溶液を得
た。その溶液を、室温で23時間攪拌した。次に方法5
に記載したのと同様に後処理を行い白色泡状物(402
mg)を得た。この物質は1 H NMRによって、9−
デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリスロマイシンAの
(9E)と(9Z)の異性体の24:76混合物で構成
されていることが分かった。
【0104】方法7:MeOH中2.0のLiOH 水酸化リチウム一水和物(37mg、0.88mmo
l)、(9E)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノ
エリスロマイシンA(330mg、0.44mmol)
およびメタノール(3.3mL)からなる溶液を、室温
で65.5時間攪拌した。得られた溶液を、次に−20
℃で13日間貯蔵し、次に室温まで昇温させ、減圧で溶
媒を蒸発させた。残渣を、酢酸エチル(5mL)とブラ
イン(5mL)とともに攪拌し、希塩酸を段階的に添加
することによってpHを9.2に調節した。得られた混
合物を振盪し、相を分離し、次いで水性部分をさらに酢
酸エチル(2×2.5mL)で抽出した。酢酸エチル溶
液を合し、ブライン(5mL)で洗浄し、硫酸マグネシ
ウムで脱水し、減圧で蒸発させて白色の泡状物(324
mg)を得た。この物質をNMRで分析したところ、9
−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリスロマイシンA
の(9E)と(9Z)の異性体の比率が45:55であ
ることが分かった。
【0105】方法8:MeOH中2.0のNaOMe (9E)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリス
ロマイシンA(375mg、0.5mmol)の無水メ
タノール(3.5mL)溶液を氷浴内で冷却し、次に窒
素雰囲気下、メタノール性ナトリウムメトキシド(25
重量%溶液の0.23mL、1.01mmol)を注射
器によって添加しながら攪拌した。冷却浴を取外し、溶
液を、窒素雰囲気下、室温で66時間攪拌した。得られ
た溶液を−20℃で13.3日間貯蔵し、次いで方法7
に記載したのと同様にして後処理して白色泡状物(32
9mg)を得た。この生成物は、 1H NMR分析で測
定したところ、(9E)−9−デオキソ−9−ヒドロキ
シイミノエリスロマイシンAと(9Z)−9−デオキソ
−9−ヒドロキシイミノエリスロマイシンAの35:6
5混合物で構成されていた。
【0106】方法9:MeOH中10.0のNaOMe (9E)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリス
ロマイシンA(100mg、0.134mmol)の無
水メタノール(4.70mL)溶液を、ナトリウムメト
キシド(25重量%メタノール溶液の0.305mL、
1.335mmol)で処理し、室温で74.5時間攪
拌した。溶媒を減圧で蒸発させ、残渣を、酢酸エチル
(5mL)とブライン(5mL)とともに攪拌し、2N
塩酸で水性相のpHを9.4に調節した。その混合物を
振盪し、相を分離し、水性部分をさらに酢酸エチル(2
×2.5mL)で抽出した。酢酸エチル溶液を合し、ブ
ライン(5mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水
し、濾過し、減圧で蒸発させて白色泡状物(102m
g)を得た。この物質は、9−デオキソ−9−ヒドロキ
シイミノエリスロマイシンAの(9E)と(9Z)の2
6:74混合物で構成されていることが 1H NMR分
析で分かった。
【0107】方法10:iPrOH中2.0のLiOH (9E)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリス
ロマイシンA(279mg、0.361mmol)を、
水酸化リチウム一水和物(30.3mg、0.721m
mol)のイソプロパノール(2.7mL)による部分
溶液に添加し、得られた混合物を、ふたをしたフラスコ
内で室温にて攪拌した。数分間後に微細な白色沈澱が生
成し、一夜攪拌したところ、混合物は濁った懸濁液にな
った。21時間後、その混合物を−20℃の冷凍庫に移
し、15日間保管した。室温まで昇温させた後、溶媒を
減圧で蒸発させ、次に残渣を、酢酸エチル(5mL)と
ブライン(5mL)とともに攪拌し、希塩酸でpHを
9.2に調節した。得られた混合物を振盪し、相を分離
し、水性相をさらに酢酸エチル(2×2.5mL)で抽
出した。酢酸エチル溶液を合し、ブライン(4mL)で
洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧で蒸
発させて白色泡状物(249mg)を得た。生成物は 1
H NMR分析で測定したところ、(9E)−9−デオ
キソ−9−ヒドロキシイミノエリスロマイシンAと(9
Z)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリスロマ
イシンAの26:74の混合物で構成されていた。
【0108】方法11:MeCN中1.0のLiOH (9E)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリス
ロマイシンA(500mg、0.668mmol)、水
酸化リチウム一水和物(28mg、0.668mmo
l)および無水エタノール(5mL)の混合物を、室温
で10分間攪拌して溶液を得た。得られた溶液を減圧で
蒸発させ、得られた残渣を2回エタノール(10mL)
で希釈し、減圧で蒸発させ、次に無水アセトニトリル
(5mL)中に懸濁させ、減圧で蒸発させた。固体の残
渣を無水アセトニトリル(5mL)中に懸濁させ、得ら
れた混合物を室温で18日間攪拌した。溶媒を減圧で蒸
発させ、生成した残渣を、酢酸エチル(5mL)と塩化
ナトリウム飽和水溶液(5mL)とともに攪拌し、希塩
酸を添加することによって水性相のpHを9.5に調節
した。得られた混合物を振盪し、相を分離し、その水性
部分をさらに酢酸エチル(2×2.5mL)で抽出し
た。酢酸エチル溶液を合し、ブライン(5mL)で洗浄
し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧で蒸発さ
せて泡状物(442mg)を得た。この物質は、9−デ
オキソ−9−ヒドロキシイミノエリスロマイシンAの
(9E)と(9Z)の異性体の44:56の混合物で構
成されていることが、 1H NMR分析で分かった。
【0109】方法12:DMF中1.0のLiOH (9E)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリス
ロマイシンA(500mg、0.668mmol)を、
水酸化リチウム一水和物(28mg)およびジメチルホ
ルムアミド(5mL)の混合物を、ふたをしたフラスコ
内で、室温にて攪拌した。数時間後に、最初は懸濁液で
あったものが溶液になった。18日間と18時間攪拌し
た後、得られた溶液を減圧で蒸発させ、得られた残渣を
方法11に記載したのと同様に処理して泡状物(402
mg)を得た。この物質を 1HNMR分析した結果、9
−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリスロマイシンA
の(9E)と(9Z)の異性体の62:38の混合物で
あることが分かった。
【0110】方法13:MeCN中1.2のLiN(SiMe 3 2 (9E)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリス
ロマイシンA(500mg、0.668mmol)の無
水アセトニトリル(4mL)による懸濁液を、リチウム
ヘキサメチルジシラジド(ヘキサンによる1M溶液の
0.80mL、0.80mmol)で処理した。得られ
た懸濁液は急速に溶液になったが、数日間室温で攪拌し
たところ、再び懸濁液になった。18日間と19時間後
に、反応混合物を方法11に記載したのと同様に後処理
して泡状物(423mg)を得た。この物質は、(9
E)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリスロマ
イシンAと(9Z)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイ
ミノエリスロマイシンAの50:50の混合物であるこ
とが 1H NMRで分かった。
【0111】実施例3 (9Z)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリス
ロマイシンAの結晶化 (9Z)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリス
ロマイシンAと(9E)−9−デオキソ−9−ヒドロキ
シイミノエリスロマイシンAの3:1混合物(30.0
g)をよく攪拌されている酢酸エチル(60mL)に2
分間かけて添加した。溶液が得られた後、塩化メチレン
(120mL)を迅速に添加し、得られた懸濁液を氷浴
内で1時間攪拌した。沈澱を濾別し、塩化メチレン(6
0mL)で洗浄し、窒素気流で乾燥して、(9Z)−9
−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリスロマイシンA
と(9E)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリ
スロマイシンAの86:14混合物(26.5g)を得
た。
【0112】上記固体の酢酸エチル(60mL)による
溶液を塩化メチレン(120mL)で希釈した。生成し
た懸濁液を氷浴内で1時間冷却し、次いで濾過した。集
めた固体を塩化メチレン(60mL)ですすぎ、窒素気
流で乾燥して、(9Z)−9−デオキソ−9−ヒドロキ
シイミノエリスロマイシンAと(9E)−9−デオキソ
−9−ヒドロキシイミノエリスロマイシンAの95:5
混合物(23.4g)を得た。
【0113】実施例4
【0114】
【化26】 9Z−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリスロマ
イシンAのベックマン転位による8a−アザ−8a−ホ
モエリスロマイシンAと9−デオキソ−6−デオキママ
−6,9−エポキシ−8a,9−ジデヒドロ−8a−ア
ザ−8a−ホモエリスロマイシンAの合成 方法1: (9Z)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミ
ノエリスロマイシンA(200mg、0.27mMo
l)をアセトン(2ml)に溶解し、得られた溶液を氷
浴中で冷却し、窒素雰囲気下で攪拌した。炭酸水素ナト
リウム(84mg、1.0mMol)の水(2mL)溶
液を添加し、次いでp−トルエンスルホニルクロリド
(100mg、0.53mMol)のアセトン(2m
L)溶液を、5分間かけて滴下しながら添加した。
【0115】0〜5℃で1.5時間攪拌した後、生成し
た混合物をジクロロメタン(10mL)と水(5mL)
で希釈し、2N HClを使ってpHを10から5.5
に調節した。ジクロロメタン層を廃棄し、水性層を追加
のジクロロメタン(2×10mL)で洗浄しこのジクロ
ロメタンも廃棄した。ジクロロメタン(10mL)を水
性層に添加し、2.5N NaOHでpHを8.5に調
節した。ジクロロメタン層を除き、水性層をさらにジク
ロロメタン(2×20mL)で抽出した。ジクロロメタ
ンの抽出液を合し、無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾
過し、減圧で蒸発させて標題化合物の混合物を泡状物
(150mg)として得た。
【0116】上記の混合物を分取薄層クロマトグラフィ
ー(0.1mm×20×20cmのAnaltechシ
リカゲルGFプレート2枚、ジクロロメタン−メタノー
ル−濃水酸化アンモニウムの60:10:1混合物で展
開・溶離)で精製して、8a−アザ−8a−ホモエリス
ロマイシンA(95mg)と9−デオキソ−6−デオキ
シ−6,9−エポキシ−8a,9−ジデヒドロ−8a−
アザ−8a−ホモエリスロマイシンA(33mg)を得
た。
【0117】方法2:p−トルエンスルホニルクロリド
(1.00g,5.2mmol)のアセトン(20m
L)溶液を、炭酸水素ナトリウム(0.90g、10.
7mmol)の水(20mL)溶液に添加した。得られ
た懸濁液を−10℃の浴内で冷却し、攪拌しながら、
(9Z)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリス
ロマイシンA(2.00g、2.7mmol)のアセト
ン(20mL)溶液を徐々に75分かけて添加した。得
られた混合物を−10℃で5時間攪拌し、10分間かけ
て0℃まで昇温させ、0〜5℃で30分間攪拌した。得
られた混合物を減圧で蒸発させてアセトンを除去した。
水性残渣を、水(40mL)とジクロロメタン(60m
L)で希釈して攪拌し、希塩酸でpHを5.5に調節し
た。水性層を分離し、ジクロロメタン(60mL)で洗
浄し、ジクロロメタン(60mL)で重層にして攪拌
し、希水酸化ナトリウム水溶液でpHを9に保持した。
層を分離し、水性部をさらにジクロロメタン(2×50
mL)で抽出した。pH9の抽出液を合し硫酸マグネシ
ウムで脱水し、濾過し、減圧で蒸発させてガム状物
(1.97g)を得た。このガム状物は、 1H NMR
分析で、8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシンAと
9−デオキソ−6−デオキシ−6,9−エポキシ−8
a,9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリスロ
マイシンAの1:1混合物であることが分かった。
【0118】粗製の生成物混合物を、ジクロロメタン−
メタノール−濃水酸化アンモニウム水溶液の120:1
0:1混合液(5mL)に溶解し、シリカゲルのカラム
(4×16cm)に注入した。そのカラムを、ジクロロ
メタン−メタノール−水酸化アンモニウムの120:1
0:1混合液で溶離した。150mLを前溶出させた
後、15mLずつの画分を集めた。画分9〜13を合し
て減圧で蒸発させて、9−デオキソ−6−デオキシ−
6,9−エポキシ−8a,9−ジデヒドロ−8a−アザ
−8a−ホモエリスロマイシンA(約500mg)が得
られ、画分22〜26を合して蒸発させて8a−アザ−
8a−ホモエリスロマイシンA(約500mg)が得ら
れた。後者の生成物をエーテルから結晶化させてアミド
(約130mg)を白色固体として得た。
【0119】9−デオキソ−6−デオキシ−6,9−エ
ポキシ−8a,9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a−ホ
モエリスロマイシンAの物理データ IR(CHCl3 )3550、3440(br)、29
70、2940、2880、1725、1665、14
55、1375、1345、1325、1240、11
70、1105、1080、1050、1015、99
5、および955cm-1
【0120】1H NMR(CDCl3 )δ5.02
(d,H−1″)、4.90(dd,H−13)、4.
48(d,H−1′)、4.09(dq,H−5″)、
4.02(t,H−3)、3.81(d,H−5)、
3.53(m,H−5′)、3.49(d,H−1
1)、3.43(m,H−8)、3.35(s,OCH
3 )、3.20(dd,H−2′)、3.07(t,H
−4″)、2.75(dq,H−2)、2.68(d
q,H−10)、2.52(ddd,H−3′)、2.
43(d,H−2″eq)、2.28(s,N(C
3 2 )、1.98(ddq,H−4)、1.91
(m,H−14a)、1.90(dd,H−7a)、
1.68(ddd,H−4′eq)、1.62(dd,
H−2″ax)、1.46(m,H−14b)、1.3
9(s,6−CH3 )、1.32(d,5″−C
3 )、1.27(s,3″−CH3 )、1.24
(m,H−7b)、1.22(d,5′−CH3 )、
1.21(m,H−4′ax)、1.16(d,10−
CH3)、1.15(d,8−CH3 )、1.15
(s,12−CH3 )、1.14(d,2−CH3 )、
1.08(d,4−CH3 )、および0.87(t,C
2 3 )。
【0121】13C NMR(CDCl3 )δ177.
6、160.6、102.4、94.6、80.1、7
8.9、77.9、77.4、76.5、75.7、7
3.0、70.6、70.0、68.8、65.8、6
5.6、49.4、44.9、44.0、42.3、4
2.1、40.3、34.5、32.0、28.5、2
3.8、22.4、21.5、21.3、21.0、1
8.2、17.0、16.4、12.5、10.8、お
よび8.4。
【0122】FAB マススペクトル、m/z731、
713、602、573、555、398、159、1
58、および116。
【0123】8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシン
Aの物理データ MP 170〜176℃。
【0124】IR(CHCl3 )3500(br)、3
430、3320、2970、2935、2880、1
730、1630、1560、1525、1455、1
375、1325、1280、1170、1160、1
105、1085、1045、1010、および995
cm-1
【0125】1H NMR(CDCl3 )δ5.89
(br d,NH)、5.07(d,H−1″)、4.
92(dd,H−13)、4.43(d,H−1′)、
4.35(d,H−3)、4.21(m,H−8)、
4.01(dq,H−5″)、3.58(d,H−
5)、3.50(m,H−5′)、3.50(s,H−
11)、3.32(s,OCH3 )、3.21(dd,
H−2′)、3.03(t,H−4″)、2.62(d
q,H−2)、2.54(m,H−3′)、2.35
(m,H−10)、2.35(s,N(CH3 2 )、
2.31(d,H−2″eq)、1.90(m,H−
4)、1.89(m,H−14a)、1.75(br
d,H−4′eq)、1.57(dd,H−2″a
x)、1.51(m,H−7aおよびH−7b)、1.
44(m,H−14b)、1.43(s,6−C
3)、1.30(d,5″−CH3 )、1.24
(s,3″−CH3 )、1.23(m,H−4′a
x)、1.23(d,5′−CH3 )、1.20(d,
8−CH3 )、1.19(d,10−CH3 )、1.1
8(d,2−CH3 )、1.09(s,12−C
3 )、1.05(d,4−CH3 )、および0.89
(t,CH2 3 )。
【0126】13C NMR(CDCl3 )177.6、
176.6、102.7、94.2、83.0、77.
9、77.0、76.6、74.6、73.7、72.
9、70.0、69.8、68.8、65.8、65.
2、49.2、45.8、43.2、42.4、41.
0、40.4、40.1、34.5、28.3、27.
6、23.1、21.7、21.5、21.2、18.
0、16.1、14.6、11.2、10.0、および
9.1。
【0127】FAB マススペクトル、m/z749、
731、591、589、573、416、174、1
59、158、および117。
【0128】 元素分析結果 C H N C37682 13としての計算値 59.31 9.15 3.74 実測値 59.24 9.15 3.44 120℃での乾燥による減量:3.11%実施例5 (9Z)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリス
ロマイシンAのベックマン転位による、9−デオキソ−
6−デオキシ−6,9−エポキシ−8a,9−ジデヒド
ロ−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシンAと9−
デオキソ−12−デオキシ−9,12−エポキシ−8
a,9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリスロ
マイシンAの合成
【0129】
【化27】 方法1:p−トルエンスルホニルクロリド(15.0
g、0.079mol)のジエチルエーテル(50m
L)溶液を、(9Z)−9−デオキソ−9−ヒドロキシ
イミノエリスロマイシンA(23.2g、0.031m
ol)のピリジン(180mL)氷冷・攪拌溶液に、8
分かけて滴下した。得られた溶液を0〜5℃で2.5時
間攪拌し、次にジクロロメタン(400mL)と水(5
00mL)で希釈し、5N水酸化ナトリウム溶液を添加
することによってpH9.5のアルカリ性にした。層を
分離し、水性部分をさらにジクロロメタン(200m
L、100mL)で抽出した。ジクロロメタン抽出液を
合して硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧で蒸発
させて油状物を得た。生成物を、2回、トルエン(10
0mL)に溶解し溶媒を減圧蒸発させることによって、
残留ピリジンを除去した。得られた泡状物(21.4
g)は、 1H NMR分析で、9−デオキソ−6−デオ
キシ−6,9−エポキシ−8a,9−ジデヒドロ−8a
−アザ−8a−ホモエリスロマイシンAと9−デオキソ
−12−デオキシ−9,12−エポキシ−8a,9−ジ
デヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシンA
の26:74混合物であることが分かった。
【0130】方法2:p−トルエンスルホニルクロリド
(160mg、0.84mmol)のジエチルエーテル
(0.5mL)溶液を、(9Z)−9−デオキソ−9−
ヒドロキシイミノエリスロマイシンA(250mg、
0.33mmol)のピリジン(2.0mL)への氷冷
溶液に迅速に添加した。得られた溶液を0〜5℃で1.
5時間攪拌し、次にジクロロメタン(4mL)と水(4
mL)で希釈し、5Nの水酸化ナトリウム溶液を添加す
ることによってpHをアルカリ性の9.5にした。層を
分離し、その水性部分をさらにジクロロメタン(2×4
mL)で抽出した。ジクロロメタン抽出液を合し、硫酸
マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧で蒸発させ、ヘキ
サン(4×15mL)でストリップして、黄色の固体
(260mg)を得た。この物質は、9−デオキソ−6
−デオキシ−6,9−エポキシ−8a,9−ジデヒドロ
−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシンAと9−デ
オキソ−12−デオキシ−9,12−エポキシ−8a,
9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイ
シンAの25:75混合物であることが、 1H NMR
分析で分かった。
【0131】方法3:p−トルエンスルホニルクロリド
(160mg、0.84mmol)のアセトニトリル
(0.5mL)溶液を、(9Z)−9−デオキソ−9−
ヒドロキシイミノエリスロマイシンA(250mg、
0.33mmol)のピリジン(2.0mL)への氷冷
溶液に迅速に添加した。得られた溶液を0〜5℃で80
分間攪拌し、次いでジクロロメタン(4mL)と水(5
mL)で希釈し、5N水酸化ナトリウムを添加すること
によってpH9.5のアルカリ性にした。層を分離し、
その水性部分を、さらにジクロロメタン(2×4mL)
で抽出した。ジクロロメタン抽出液を合し、硫酸マグネ
シウムで脱水し、濾過し、減圧で蒸発させて泡状物を得
た。この泡状物をトルエン(2×10mL)とヘキサン
(10mL)でストリップして固体(230mg)を得
た。この物質は、 1H NMR分析によって、9−デオ
キソ−6−デオキシ−6,9−エポキシ−8a,9−ジ
デヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシンA
と9−デオキソ−12−デオキシ−9,12−エポキシ
−8a,9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリ
スロマイシンAの33:67混合物であることが分かっ
た。
【0132】方法4:p−トルエンスルホニルクロリド
(160mg、0.84mmol)のトルエン(0.5
mL)溶液を、(9Z)−9−デオキソ−9−ヒドロキ
シイミノエリスロマイシンA(250mg、0.33m
mol)のピリジン(2.0mL)への氷冷溶液に迅速
に添加した。得られた溶液を0〜5℃で90分間攪拌
し、次にジクロロメタン(4mL)と水(4mL)で希
釈し、1N水酸化ナトリウムを添加することによってp
H9.5のアルカリ性にした。層を分離し、その水性層
をさらにジクロロメタン(3×4mL)で抽出した。ジ
クロロメタン抽出液を合し、硫酸マグネシウムで脱水
し、濾過し、減圧で蒸発させて固体(250mg)を得
た。この物質は、 1H NMR分析によって、9−デオ
キソ−6−デオキシ−6,9−エポキシ−8a,9−ジ
デヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシンA
と9−デオキソ−12−デオキシ−9,12−エポキシ
−8a,9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリ
スロマイシンAの27:73混合物であることが分かっ
た。
【0133】方法5:ベンゼンスルホニルクロリド
(0.107mL、0.84mmol)を、(9Z)−
9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエリスロマイシン
A(250mg、0.33mmol)をピリジン(2.
0mL)に溶解して氷冷した溶液に注射器で添加した。
得られた溶液を0〜5℃で75分間攪拌し、次に上記と
同様に処理して黄色の固体(240mg)を得た。この
物質は、 1H NMR分析によって、9−デオキソ−6
−デオキシ−6,9−エポキシ−8a,9−ジデヒドロ
−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシンAと9−デ
オキソ−12−デオキシ−9,12−エポキシ−8a,
9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイ
シンAの31:69混合物であることが分かった。
【0134】方法6:メタンスルホニルクロリド(0.
065mL、0.84mmol)を、(9Z)−9−デ
オキソ−9−ヒドロキシイミノエリスロマイシンA(2
50mg、0.33mmol)をピリジン(2.0m
L)に溶解して氷冷した溶液に注射器で添加した。得ら
れた溶液を0〜5℃で2時間攪拌し、次に前記のように
処理して灰白色の固体(246mg)を得た。この物質
は、 1H NMR分析によって、9−デオキソ−6−デ
オキシ−6,9−エポキシ−8a,9−ジデヒドロ−8
a−アザ−8a−ホモエリスロマイシンA;9−デオキ
ソ−12−デオキシ−9,12−エポキシ−8a,9−
ジデヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシン
A;および9−デオキソ−12−デオキシ−9,12−
エポキシ−4″−O−メタンスルホニル−8a,9−ジ
デヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシンA
の25:70:5の混合物であることが分かった。
【0135】方法7:(9Z)−9−デオキソ−9−ヒ
ドロキシイミノエリスロマイシンA(250mg、0.
33mmol)のピリジン(2.0mL)溶液を、−2
0℃の浴内で冷却し、メタンスルホニルクロリド(0.
071mL、0.92mmol)で処理した。得られた
濁った溶液を−10〜−20℃で90分間攪拌し、次い
で前記と同様に処理して黄色の固体(254mg)を得
た。この物質は、 1H NMR分析によって、9−デオ
キソ−6−デオキシ−6,9−エポキシ−8a,9−ジ
デヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシンA
と9−デオキソ−12−デオキシ−9,12−エポキシ
−8a,9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリ
スロマイシンAの88:12混合物であることが分かっ
た。
【0136】方法8:ジクロロメタン(5.0mL)中
に、(9Z)−9−デオキソ−9−ヒドロキシイミノエ
リスロマイシンA(0.50g、0.67mmol)、
p−トルエンスルホニルクロリド(318mg、1.6
7mmol)およびピリジン(0.162mL、2.0
mmol)を入れた混合物を室温で1.5時間攪拌し
た。得られた混合物を水で希釈し、5N水酸化ナトリウ
ム溶液によってpHを11に調節しながら高速度で攪拌
した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾
過し、減圧で蒸発させて黄色の固体(570mg)を得
た。この粗生成物は、 1HNMR分析した結果、9−デ
オキソ−6−デオキシ−6,9−エポキシ−8a,9−
ジデヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシン
Aと9−デオキソ−12−デオキシ−9,12−エポキ
シ−8a,9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエ
リスロマイシンAの80:20の混合物であることが明
らかになった。
【0137】実施例6 9−デオキソ−12−デオキシ−9,12−エポキシ−
8a,9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリス
ロマイシンAのカラムクロマトグラフィーによる精製 次の還元ステップに進むには不必要であるが、上記異性
体の6,9−エポキシ生成物と9,12−エポキシ生成
物は、シリカゲルもしくはアルミナのカラムクロマトグ
ラフィーによって分離することができる。下記の方法
は、9−デオキソ−12−デオキシ−9,12−エポキ
シ−8a,9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエ
リスロマイシンAの精製方法を示す。
【0138】実施例5の方法3と4で得た粗生成物を合
し、ジクロロメタン−メタノール−トリエチルアミンの
94:5:1混合物に溶解し、シリカゲルのカラム(2
30〜400メッシュ、2.5×24.5cm、ジクロ
ロメタン−メタノール−トリエチルアミンの94:5:
1混合物で湿潤充填)に注入した。このカラムをジクロ
ロメタン−メタノール−トリエチルアミンの94:5:
1混合物で溶離し、6mLずつの画分を収集した。画分
15〜18を合し、減圧で蒸発させ、残渣をトルエンで
2回ストリップして、9−デオキソ−12−デオキシ−
9,12−エポキシ−8a,9−ジデヒドロ−8a−ア
ザ−8a−ホモエリスロマイシンA(190mg)を泡
状物として得た。この生成物は、 1Hと13CのNMR分
析で確認した結果、8a,9−イミノ2重結合について
の異性体である主要分と少量分の混合物であった。
【0139】IR(CHCl3 )3550、3390
(br)、2975、2940、2880、1735、
1690、1455、1375、1240、1165、
1085、1045、1010、および970cm-1
【0140】FAB マススペクトル、m/z731、
713、602、573、556、および158。
【0141】実施例7 9−デオキソ−6−デオキシ−6,9−エポキシ−8
a,9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリスロ
マイシンAと9−デオキソ−12−デオキシ−9,12
−エポキシ−8a,9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a
−ホモエリスロマイシンAのクロマトグラフィーによる
分離、および9−デオキソ−12−デオキシ−9,12
−エポキシ−8a,9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a
−ホモエリスロマイシンAの結晶化 実施例5の方法1に記載のようにして得た粗生成物の混
合物の試料(4.0g)を、ジクロロメタン−メタノー
ル−水酸化アンモニウム濃水溶液の60:10:1混合
物(6mL)に溶解し、その溶液をEMシリカゲル60
のカラム(4.5×18cm、230〜400メッシ
ュ、ジクロロメタン−メタノール−水酸化アンモニウム
濃水溶液の60:10:1混合液で湿潤充填)に注入し
た。そのカラムを、ジクロロメタン−メタノール−水酸
化アンモニウム濃水溶液の60:10:1混合物で溶離
した。溶出液の150mL〜165mLの間の画分を収
集し減圧で蒸発させて、9−デオキソ−6−デオキシ−
6,9−エポキシ−8a,9−ジデヒドロ−8a−アザ
−8a−ホモエリスロマイシンA(0.34g)を泡状
物として得た。溶出液の185mL〜285mLの間の
画分を収集して合し、減圧で蒸発させて、9−デオキソ
−12−デオキシ−9,12−エポキシ−8a,9−ジ
デヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシンA
の2つの異性体形の混合物(1.36g)を泡状物とし
て得た。
【0142】9,12−エポキシ異性体の混合物のニト
ロメタン(2mL)溶液を、数日間、室温で静置すると
大きな結晶塊が析出した。その混合物をニトロメタン
(10mL)で希釈し、濾過して固体部分を取出してニ
トロメタン(2mL)で洗浄し、高真空で乾燥した。得
られた白色固体(0.9g)は、 1H NMR分析によ
って、ベックマン転位反応で最初に生成した9,12−
エポキシ生成物の主成分異性体であることが分かった。
この結晶異性体は、固体状態では安定であるが、重クロ
ロホルム溶液で室温で数時間静置すると異性化して、9
−デオキソ−12−デオキシ−9,12−エポキシ−8
a,9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリスロ
マイシンAのイミノ2重結合に関する2つの異性体の
1:1混合物になる。
【0143】9−デオキソ−12−デオキシ−9,12
−エポキシ−8a,9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a
−ホモエリスロマイシンAの物理データ 異性体A(結晶異性体) MP 124〜130℃(徐々に軟化) IR(CHCl3 )3550、3380(br)、29
70、2935、2875、1735、1695、15
60、1460、1375、1250、1165、11
15、1085、1045、1015、および975c
-1
【0144】1H NMR(CDCl3 )δ5.17
(dd,H−13)、4.73(d,H−1″)、4.
47(d,H−1′)、4.15(dq,H−5″)、
4.09(dd,H−3)、3.99(br s,H−
5)、3.81(t,H−11)、3.68(m,H−
8)、3.65(m,H−5′)、3.40(ddd,
H−2′)、3.23(s,OCH3 )、2.96
(t,H−4″)、2.70(p,H−10)、2.6
8(m,H−3′)、2.57(br d,11−O
H)、2.45(p,H−2)、2.31(s,N(C
3 2 )、2.28(d,H−2″eq)、2.20
(d,4″−OH)、2.07(ddq,H−14
a)、1.90(br d,H−7a)、1.75(d
d,H−7b)、1.74(m,H−4)、1.70
(m,H−4′eq)、1.69(m,H−14b)、
1.46(dd,H−2″az)、1.40(s,6−
CH3 )、1.29(m,H−4′ax)、1.27
(d,10−CH3 )、1.27(d,5″−C
3 )、1.25(d,2−CH3 )、1.24(d,
5′−CH3 )、1.21(s,3″−CH3 )、1.
18(s,12−CH3 )、1.07(d,8−C
3 )、1.01(d,4−CH3 )、および0.86
(t,CH2 3)。
【0145】13C NMR(CDCl3 )δ174.
2、161.3、106.7、98.3、85.4、8
4.2、80.5、79.8、77.4、75.0、7
2.3、70.3、69.4、66.3、63.8、4
9.4、49.2、49.0、47.1、45.4、4
3.2、40.4、35.0、29.3、27.5、2
4.6、24.4、23.3、21.4、21.0、1
7.6、17.2、16.9、11.3、および11.
2。
【0146】 元素分析結果 C H N C37662 12としての計算値 60.80 9.10 3.83 実測値 60.71 9.38 3.78 120℃での乾燥による減量:2.82%異性体B 1 H NMR(CDCl3 )δ5.20(dd,H−1
3)、4.74(d,H−1″)、4.48(d,H−
1′)、4.17(t,H−3)、4.15(m,H−
5″)、4.11(dd,H−11)、3.97(m,
H−8)、3.71(d,H−5)、3.62(m,H
−5′)、3.30(br dd,H−2′)、3.2
3(s,OCH3 )、2.97(t,H−4″)、2.
88(d,11−OH)、2.85(p,H−10)、
2.60(m,H−3′)、2.46(p,H−2)、
2.28(s,N(CH3 2 )、2.27(d,H−
2″eq)、2.23(d,4″−OH)、1.98
(ddq,H−14a)、1.84(dd,H−7
a)、1.77(m,H−4)、1.76(m,H−1
4b)、1.66(m,H−4′eq)、1.64(d
d,H−7b)、1.49(dd,H−2″ax)、
1.29(s,6−CH3 )、1.27(d,5″−C
3 )、1.19(d,10−CH3 )、1.19
(s,3″−CH3 )、1.14(s,12−C
3 )、1.09(d,8−CH3 )、1.09(d,
4−CH3 )、および0.94(t,CH2 3 )。
【0147】13C NMR(CDCl3 )δ174.
4、160.5、104.6、97.0、86.2、7
9.1、78.6、77.7、77.4、75.1、7
0.5、69.4、66.0、64.7、49.4、4
8.2、47.7、47.4、42.3、40.4、3
4.9、29.1、25.6、24.0、23.6、2
2.9、21.5、21.0、15.8、11.7、1
0.7、および9.6。
【0148】実施例8 9−デオキソ−6−デオキシ−6,9−エポキシ−8
a,9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリスロ
マイシンAと9−デオキソ−12−デオキシ−9,12
−エポキシ−8a,9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a
−ホモエリスロマイシンAを水素化ホウ素ナトリウムで
還元することによる、9−デオキソ−8a−アザ−8a
−ホモエリスロマイシンAの合成
【0149】
【化28】 方法1:9−デオキソ−6−デオキシ−6,9−エポキ
シ−8a,9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエ
リスロマイシンAと9−デオキソ−12−デオキシ−
9,12−エポキシ−8a,9−ジデヒドロ−8a−ア
ザ−8a−ホモエリスロマイシンA(27:73混合物
の22.6g、0.031mol)のメタノール(50
mL)溶液を氷浴内で冷却し窒素雰囲気下で攪拌した。
固体の水素化ホウ素ナトリウム(3.6g、0.093
mol)を少しずつ3時間かけて添加した。得られた粘
稠な溶液を、室温までゆっくり昇温させ、次いで室温で
一夜攪拌した。得られた溶液を水(50mL)で希釈
し、2N塩酸を使ってpH2の酸性にし、室温で10分
間攪拌した。得られた溶液を水(150mL)とジクロ
ロメタン(200mL)で希釈し、5N水酸化ナトリウ
ム溶液を添加することによってpHを6.5にしながら
激しく攪拌した。ジクロロメタン層を廃棄し、水性層に
新しいジクロロメタンで重層して高速で攪拌し、5N水
酸化ナトリウム溶液でpH9.5の塩基性にした。層を
分離し、水性部分をさらにジクロロメタン(2×100
mL)で抽出した。pH9.5のジクロロメタン抽出液
を合し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧で蒸
発させて泡状物(15.4g)を得た。
【0150】得られた粗生成物を2−プロパノール(9
0mL)に溶解し、室温で攪拌して結晶性沈澱を得た。
この物質を収集し、冷2−プロパノール(20mL)で
洗浄し、乾燥して、9−デオキソ−8a−アザ−8a−
ホモエリスロマイシンA(6.0g)を白色固体として
得た。
【0151】母液と洗浄液を減圧で蒸発させて固体残渣
を得た。その固体を水(50mL)中に懸濁させ、pH
2の酸性にし、次いで室温で30分間攪拌した。得られ
た混合物を水(50mL)とジクロロメタン(100m
L)で希釈し、pHを6.5に調節しながら激しく攪拌
した。そのジクロロメタン層を廃棄し、新しいジクロロ
メタン(100mL)と取替えた。得られた混合物を攪
拌し、pHを9.5に調節した。層を分離し、水性層を
さらにジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。
塩基性抽出液を合し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過
し減圧で蒸発させて泡状物(6.2g)を得た。この物
質を2−プロパノール(30mL)に溶解し、その溶液
を冷却して追加の結晶性生成物を得た。固体を収集し乾
燥して追加の9−デオキソ−8a−アザ−8a−ホモエ
リスロマイシンA(2.7g)を得た。
【0152】MP 177〜180℃ IR(CHCl3 )3540、3340(br)、29
70、2930、2880、1725、1450、13
75、1325、1125、1105、1085、10
65、1045、955、および870cm-1
【0153】1H NMR(CDCl3 )δ5.00
(d,H−1″)、4.75(dd,H−13)、4.
48(br d,H−3)、4.34(d,H−
1′)、4.02(dq,H−5″)、3.56(br
s,H−11)、3.52(d,H−5)、3.45
(m,H−5′)、3.31(s,OCH3 )、3.1
6(dd,H−2′)、3.01(br d,H−
4″)、2.78(m,H−8)、2.69(dq,H
−2)、2.59(dd,H−9a)、2.42(br
t,H−9b)、2.30(d,H−2″eq)、
2.26(s,N(CH3 2 )、1.91(m,H−
14a)、1.77(br p,H−4)、1.61
(br d,H−4′eq)、1.55(dd,H−
2″ax)、1.44(m,H−14b)、1.38
(m,H−7)、1.36(s,6−CH3 )、1.2
9(d,5″−CH3 )、1.21(s,3″−C
3 )、1.20(d,5′−CH3 )、1.18
(d,2−CH3 )、1.10(d,8−CH3 )、
1.06(s,12−CH3 )、1.04(d,4−C
3 )、0.94(d,10−CH3 )、および0.8
6(t,CH2 3 )。
【0154】13C NMR(CDCl3 )δ178.
6、103.4、94.6、83.6、78.1、7
7.6、76.6、74.9、72.8、70.7、6
8.9、66.8、65.7、65.2、49.6、4
9.4、45.5、43.4、40.3、35.3、3
4.7、28.7、27.6、21.6、21.3、2
0.8、18.2、16.3、15.1、12.1、1
1.3、および9.5。
【0155】FAB マススペクトル、m/z735、
577、559、402、159、158、および11
6。
【0156】 元素分析結果 C H N C37702 12としての計算値 60.47 9.60 3.81 実測値 59.98 9.46 3.62 120℃での乾燥による減量:0.33%方法2: 9−デオキソ−6−デオキシ−6,9−エポキ
シ−8a,9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエ
リスロマイシンAと9−デオキソ−12−デオキシ−
9,12−エポキシ−8a,9−ジデヒドロ−8a−ア
ザ−8a−ホモエリスロマイシンA(5.0gの1:3
混合物、6.84mmol)のエチレングリコール(2
5mL)溶液を、氷浴内で冷却し、窒素のゆっくりした
気流下で攪拌した。水素化ホウ素ナトリウム(0.60
g、15.86mmol)を、1時間間隔をあけて、2
回に分けほぼ等量ずつ添加した。この水素化ホウ素化合
物の添加に続いて、得られた反応混合物を、0〜5℃で
1.5時間攪拌し、次いで室温まで昇温させ、室温で一
夜攪拌した。反応混合物を水(50mL)とジクロロメ
タン(25mL)で希釈し、激しく攪拌し、層を分離し
た。水性部分をさらにジクロロメタン(4×25mL)
で抽出した。、有機抽出液をブライン(50mL)で洗
浄し硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧で蒸発さ
せて泡状物(4.0g)を得た。
【0157】得られた粗生成物を2−プロパノール(2
0mL)に溶解し、その溶液を室温で攪拌して結晶性沈
澱を得た。生成物を集め、窒素気流下で乾燥し、9−デ
オキソ−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシンA
(2.2g)を白色固体として得た。
【0158】実施例9 9−デオキソ−6−デオキシ−6,9−エポキシ−8
a,9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリスロ
マイシンAを接触水素化反応に付すことによる、9−デ
オキソ−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシンAの
合成
【0159】
【化29】 9−デオキソ−6−デオキシ−6,9−エポキシ−8
a,9−ジデヒドロ−8a−アザ−8a−ホモエリスロ
マイシンA(100mg)、酢酸(4mL)および酸化
白金(120mg)の混合物を、2000psiで一夜
水素化反応に付した。得られた混合物をセライトで濾過
し、濾液を減圧で蒸発させ、残渣をジクロロメタン(1
2mL)と炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(5mL)間
に分配した。ジクロロメタン層を除き、水性層をさらに
ジクロロメタン(2×5mL)で抽出した。ジクロロメ
タン抽出液を合し、無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾
過し、減圧で蒸発させてガム状物(60mg)を得た。
【0160】油状物を分取薄層クロマトグラフィー(A
naltech 0.1mm×20×20cm、塩基性
アルミナプレート、5%メタノール含有のジクロロメタ
ンで展開し溶離する)によって精製して標題の化合物を
白色泡状物(42mg)として得た。
【0161】上記の方法と類似の方法で、9−デオキソ
−6−デオキシ−6,9−エポキシ−8a,9−ジデヒ
ドロ−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシンA(4
00mg)と酸化白金(400mg)を含有する酢酸
(8mL)の混合物を2000psiで一夜水素化反応
に付した。後処理を行い泡状物(372mg)が得ら
れ、これを1%メタノール性ジクロロメタン(2mL)
に溶解し、塩基性アルミナのカラム(1.75×26c
m、1%メタノール含有ジクロロメタンを用いて湿潤充
填)に注入した。カラムを1%メタノール含有ジクロロ
メタンで溶離し、6mLずつの画分を収集した。画分2
7〜42を合し、減圧で蒸発させて9−デオキソ−8a
−アザ−8a−ホモエリスロマイシンA(178mg)
を泡状物として得た。
【0162】実施例10 9−デオキソ−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシ
ンAをメチル化することによる9−デオキソ−8a−ア
ザ−8a−メチル−8a−ホモエリスロマイシンAの合
【0163】
【化30】 9−デオキソ−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシ
ンA(7.30g、9.9mmol)のクロロホルム
(45mL)溶液を、37%ホルムアルデヒド水溶液
(0.81mL、10.8mmol)および98%ギ酸
(1.08mL、28.0mmol)で処理した。得ら
れた混合物を、25.5時間加熱して還流した。次に室
温まで冷却し、ジクロロメタン(150mL)と水(1
20mL)で希釈し、数分間激しく攪拌した。そのジク
ロロメタン層を廃棄し、新しいジクロロメタン(100
mL)を添加した。得られた混合物を高速で攪拌し、5
N水酸化ナトリウム溶液を添加することによってpHを
9.5に調節した。ジクロロメタン層を除き、水性部分
をさらにジクロロメタン(50mL、25mL)で再抽
出した。ジクロロメタン抽出液を合し、無水硫酸マグネ
シウムで脱水し、濾過し、減圧で蒸発させて泡状物
(7.27g)を得た。
【0164】上記泡状物の温エタノール(24mL)溶
液を水(12mL)で希釈し、室温で5分間攪拌して沈
澱を得た。得られた混合物をさらに水(12mL)で希
釈し、氷浴で冷却しながら攪拌し、次いで冷蔵庫内に一
夜保管した。混合物を濾過し、集めた固体を、3:1の
水−エタノールの冷混合液(12mL)ですすぎ、窒素
の気流下で乾燥し、最後に減圧で乾燥して標題の化合物
(6.20g)を白色固体として得た。
【0165】MP 187〜188℃ IR(CHCl3 )3540、3330(br)、29
70、2940、2880、2830、1725、14
55、1375、1350、1325、1275、11
60、1125、1105、1085、1065、10
45、995、975、および955cm-1
【0166】1H NMR(CDCl3 、55℃)δ
5.10(d,H−1″)、4.86(dd,H−1
3)、4.51(t,H−3)、4.38(d,H−
1′)、4.04(dq,H−5″)、3.53(br
s,H−11)、3.52(d,H−5)、3.51
(m,H−5′)、3.32(s,OCH3 )、3.2
3(dd,H−2′)、3.01(dd,H−4″)、
2.99(m,H−8)、2.81(dq,H−2)、
2.52(m,H−9a)、2.40(m,H−
3′)、2.34(s,N(CH3 2 )、2.30
(m,H−9b)、2.30(d,H−2″eq)、
2.04(s,NCH3 )、1.99(m,H−1
0)、1.92(m,H−14a)、1.88(m,H
−7a)、1.85(m,H−4)、1.72(br
d,H−4′eq)、1.55(dd,H−2″a
x)、1.48(m,H−14b)、1.37(s,6
−CH3 )、1.30(d,5″−CH3 )、1.24
(d,5′−CH3 )、1.23(m,H−4′a
x)、1.23(s,3″−CH3 )、1.19(d,
2−CH3 )、1.12(m,H−7b)、1.10
(d,4−CH3 )、1.10(s,12−CH3 )、
0.96(d,10−CH3 )、0.94(d,8−C
3 )、および0.92(t,CH2 3 )。
【0167】13C NMR(CDCl3 、55℃)δ1
78.3、103.6、94.7、85.5、78.
4、77.2、76.7、75.9、74.9、73.
1、71.0、69.1、67.1、65.8、65.
4、60.0、56.7、49.4、45.8、43.
5、40.4、37.1、35.1、30.9、29.
3、27.8、22.1、21.7、21.3、18.
3、16.4、14.3、12.7、12.0、11.
4、および11.3。
【0168】FAB マススペクトル、m/z749、
591、573、158、および116。
【0169】 元素分析結果 C H N C38722 12としての計算値 60.94 9.69 3.74 実測値 60.87 9.39 3.70 120℃での乾燥による減量:0.74%実施例11 9−デオキソ−8a−アザ−8a−ヒドロキシ−8a−
ホモエリスロマイシンA3′−N−オキシドをメチル化
することによる、9−デオキソ−8a−アザ−8a−メ
チル−8a−ホモエリスロマイシンAの合成
【0170】
【化31】 ステップ1 9−デオキソ−8a−アザ−8a−ヒドロキシ−8a−
ホモエリスロマイシンA3′−N−オキシド 9−デオキソ−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシ
ンA(385mg、0.524mmol)含有のメタノ
ール(1.5mL)を、30%過酸水素水(1.9m
L、18.6mmol)で処理し、得られた混合物を室
温で24時間攪拌した。混合物を氷浴内で冷却し、ジク
ロロメタン(10mL)と水(8mL)で希釈し、亜硫
酸ナトリウム飽和水溶液(10mL)で処理し、次いで
15分間攪拌して過剰の酸化剤を分解した。相を分離
し、その水性部分を追加のジクロロメタン(2×15m
L)で抽出した。有機溶液を合し、硫酸マグネシウムで
脱水し、濾過し、減圧で蒸発して粗製の9−デオキソ−
8a−ヒドロキシ−8a−アザ−8a−ホモエリスロマ
イシンA3′−N−オキシド(349mg)を白色固体
として得た。
【0171】ステップ2 9−デオキソ−8a−メチル−8a−アザ−8a−ホモ
エリスロマイシンA 上記ステップ1の生成物の1部(150mg、0.19
6mmol)をジクロロメタン(3mL)に溶解し、そ
の溶液を、粉末の無水炭酸カリウム(2.0g、14.
5mmol)およびヨウ化メチル(0.5mL、8.0
mmol)で処理した。得られた混合物を、窒素雰囲気
下、室温で3.5時間攪拌した。得られた混合物を濾過
し、固体をジクロロメタン(5mL)で洗浄した。合し
た濾液に水(3mL)を加え、洗浄液と混合物を激しく
攪拌し、1N水酸化ナトリウムでpHを11にした。ジ
クロロメタン層を、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過
し、減圧で乾燥して、9−デオキソ−8a−メチル−8
a−ホモエリスロマイシンA3′−N−オキシドと9−
デオキソ−8a−メチル−8a−ホモエリスロマイシン
A8a,3′−N−ビスオキシドの混合物(136m
g)を泡状物として得た。
【0172】上記粗生成物をエタノール(6mL)に溶
解し、10%パラジウム−炭(240mg)で処理し、
次いでParrふりまぜ器を使い45psiで75分間
水素化を行った。生成混合物を濾過し、濾液を減圧で蒸
発させた。ジクロロメタン(20mL)中の残渣を炭酸
カリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水
し、濾過し、減圧で蒸発させて9−デオキソ−8a−メ
チル−8a−ホモエリスロマイシンA(107mg)を
泡状物として得た。
【0173】実施例12 2′−O−アセチル−9−デオキソ−8a−アザ−8a
−メチル−8a−ホモエリスロマイシンA
【0174】
【化32】 9−デオキソ−8a−アザ−8a−メチル−8a−ホモ
エリスロマイシンA(1.5g、2.0mmol)の酢
酸エチル(30mL)溶液(室温)に無水酢酸(0.3
06g、2.99mmol)を添加し、その混合物を2
4時間攪拌した。生成した反応混合物に30mLの水を
加え、混合物をさらに30分間攪拌した。水性層のpH
を、1N塩酸を使って2〜3の範囲に調節し有機層と水
性層を分離した。水性層のpHを1N水酸化ナトリウム
溶液で9〜10の範囲に調節し、酢酸エチルで抽出し
た。酢酸エチル層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリ
ウムで脱水し、蒸発させて、標題の化合物を白色泡状物
として得た(1.47g、93%収率)。
【0175】TLC Rf 0.37(CH2 Cl2 −M
eOH−NH4 OH、9:1:0.1) MP 100〜102℃で軟化し、114〜117℃で
溶融する。
【0176】1H NMR(400MHz、CDC
3 )δ5.09(d,H−1″)、4.81(dd,
H−13)、4.70(dd,H−2′)、4.48
(br,H−3)、4.46(d,H−1′)、3.3
0(s,OCH3 )、2.22(s,N(C
3 2 )、2.03(s,OCOCH3 )、1.99
(s,NCH3 )。
【0177】13C NMR(400MHz、CDC
3 )δ178.41、169.89、100.46、
94.17、84.15、78.16、76.72、7
5.95、75.69、74.75、72.91、7
1.49、68.60、66.53、65.14、6
3.69、59.59、56.41、49.32、4
5.26、42.59、40.66、35.86、3
4.70、30.52、30.28、27.75、2
1.98、21.66、21.48、21.10、1
8.14、16.27、14.21、12.57、1
1.89、11.66、11.38。
【0178】FAB マススペクトル(Liスパイ
ク)、m/z797、633、574、555。
【0179】実施例13 2′−O−アセチル−4″−デオキシ−4″−オキソ−
9−デオキソ−8a−アザ−8a−メチル−8a−ホモ
エリスロマイシンA
【0180】
【化33】 2′−O−アセチル−9−デオキソ−8a−アザ−8a
−メチル−8a−ホモエリスロマイシンA(5.9g、
7.4mmol)の乾燥塩化メチレン(100mL)溶
液に、ジメチルスルホキシド(5.3mL、7.4mm
ol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エ
チルカルボジイミド塩酸塩(7.15g、3.73mm
ol)、およびピリジニウムトリフルオロアセタート
(7.15g、3.73mmol)を窒素雰囲気下、室
温で順次添加した。反応混合物を2時間攪拌し、その時
点で300mLの酢酸エチルを加え続いて100mLの
水を添加した。溶液のpHを、1Nの水酸化ナトリウム
溶液で9〜10の範囲に調節した。酢酸エチル層をブラ
インで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、蒸発させ
た。酢酸エチル−アセトン−水酸化アンモニウム(9:
1:0.1)で溶離するシリカのクロマトグラフィーに
付して、標題の化合物(4.8g、82%収率)を白色
固体として得た。
【0181】TLC Rf 0.47(EtOAc−Ac
etone−NH4 OH、10:1:0.1) MP 68〜70℃1 H NMR(400MHz、CDCl3 )δ5.49
(t,H−1″)、4.85(dd,H−13)、4.
66(dd,H−2′)、4.63(br,H−3)、
4.40(q,H−5″)、4.36(d,H−
1′)、3.28(s,OCH3 )、2.20(s,N
(CH3 2 )、2.07(s,OCOCH3 )、2.
02(s,NCH3 )。
【0182】13C NMR(400MHz、CDC
3 )δ212.19、178.62、169.82、
99.77、95.53、83.81、77.47、7
7.34、77.02、74.69、71.52、7
1.25、69.06、66.55、63.59、5
9.89、56.67、51.31、44.43、4
0.59、40.46、36.74、36.62、3
0.74、30.70、30.50、30.10、2
9.22、27.64、22.00、21.46、2
1.40、21.08、16.23、15.71、1
3.75、12.48、11.89、11.30。
【0183】FAB マススペクトル、m/z789、
630、599、575、551。
【0184】実施例14 4″−デオキシ−4″−オキソ−9−デオキソ−8a−
アザ−8a−メチル−8a−ホモエリスロマイシンA
【0185】
【化34】 2′−O−アセチル−4″−デオキシ−4″−オキソ−
9−デオキソ−8a−アザ−8a−メチル−8a−ホモ
エリスロマイシンA(4.8g、6.1mmol)のメ
タノール(160mL)溶液を、室温で48時間攪拌し
た。溶媒を蒸発させて標題の化合物(4.52g、99
%収率)を得た。
【0186】TLC Rf 0.44(CH2 Cl2 −M
eOH−NH4 OH、9.3:0.7:0.1) MP 73℃で軟化し86〜89℃で溶融する。
【0187】1H NMR(400MHz、CDC
3 )δ5.44(t,H−1″)、4.82(dd,
H−13)、4.55(br,H−3)、4.42
(q,H−5″)、4.22(d,H−1′)、3.2
8(s,OCH3 )、3.15(dd,H−2′)、
2.24(s,N(CH3 2 )、2.00(s,NC
3 )。
【0188】13C NMR(400MHz、CDC
3 )δ212.19、178.89、103.61、
95.32、85.37、77.47、77.35、7
7.13、75.45、74.88、71.53、7
0.37、69.38、66.30、65.40、5
9.50、56.44、51.29、45.08、4
2.45、40.24、36.63、36.38、3
6.30、30.49、28.50、27.69、2
1.90、21.41、21.30、16.35、1
5.85、14.15、12.45、11.91、1
1.83、11.30。
【0189】FAB マススペクトル(Liスパイ
ク)、m/z753、573、398、256。
【0190】実施例15 4″−エピ−9−デオキソ−8a−アザ−8a−メチル
−8a−ホモエリスロマイシンA
【0191】
【化35】 4″−デオキシ−4″−オキソ−9−デオキソ−8a−
アザ−8a−メチル−8a−ホモエリスロマイシンA
(0.10g、0.13mmol)含有の乾燥テトラヒ
ドロフラン(15mL)に、窒素雰囲気下、室温で、リ
チウムトリ−tert−ブトキシアルミノヒドリド
(0.35mL、1.0M THF溶液)を添加した。
反応が完了したことを、15分後にTLCで判定した。
反応混合物に、5mLの水と続いて30mLの酢酸エチ
ルを加えて反応停止した。得られた溶液のpHを、1N
水酸化ナトリウム溶液で9〜10の範囲に調節した。酢
酸エチル層を分離し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナト
リウムで脱水し、次いで蒸発させた。9−デオキソ−8
a−アザ−8a−メチル−8a−ホモエリスロマイシン
Aと4″−エピマーの混合物を分取TLCで分離した。
TLCのプレートをCHCl3 −アセトン−NH4 OH
の6:4:0.2混合物で溶離し、2回展開して、標題
の化合物(35mg、35%収率)を得た。
【0192】TLC Rf 0.37(CHCl3 −アセ
トン−NH4 OH、3:3:0.2)1H NMR(4
00MHz、CDCl3 )δ5.13(br,H−
1″)、4.77(br,H−13)、4.55(q,
H−5″)、4.40(br,H−3)、4.36
(d,H−1′)、3.27(s,OCH3 )、3.1
4(dd,H−2′)、2.24(s,N(C
3 2 )、1.92(s,NCH3 )。
【0193】FAB マススペクトル(Liスパイ
ク)、m/z755、591、573、159、11
7。
【0194】実施例16 4″−デオキシ−4″−ヒドロキシイミノ−9−デオキ
ソ−8a−アザ−8a−メチル−8a−ホモエリスロマ
イシンA
【0195】
【化36】 4″−デオキシ−4″−オキソ−9−デオキソ−8a−
アザ−8a−メチル−8a−ホモエリスロマイシンA
(2.5g、3.3mmol)含有のメタノール(20
mL)に、ピリジン(2.7mL、33mmol)を添
加し、続いて塩酸ヒドロキシルアミン(1.2g、16
mmol)を添加した。得られた混合物を室温で48時
間攪拌した。、次に、メタノールを減圧で除き、残渣を
50mLの水および100mLの酢酸エチルに溶解し
た。その溶液のpHを、1N水酸化ナトリウム溶液で9
〜10の範囲に調節した。酢酸エチル層をブラインで洗
浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し蒸発させた。CH2
Cl2 −メタノール−NH4 OHの93:7:1混合液
で溶離するシリカのクロマトグラフィーに付して、標題
の化合物を、EとZの異性体の混合物として得た(1.
5g、58%収率)。
【0196】TLC Rf 0.37(CHCl3 −アセ
トン−NH4 OH、3:3:0.2)MP 122℃で
軟化し131〜136℃で溶融する。
【0197】1H NMR(400MHz、CDC
3 )δ5.19(t,H−1″)、5.06(q,H
−5″)、4.81(dd,H−13)、4.38
(q,H−3)、4.23(d,H−1′)、3.25
(s,OCH3 )、3.17(dd,H−2′)、2.
23(s,N(CH3 2 )、1.96(s,NC
3 )。
【0198】13C NMR(400MHz、CDC
3 )δ178.58、160.64、103.16、
95.18、84.95、78.51、77.35、7
7.24、77.04、74.69、70.66、7
0.50、69.38、68.95、66.62、6
5.57、65.40、59.41、56.24、5
1.14、50.45、45.16、42.03、4
0.31、39.45、30.52、28.95、2
7.76、25.27、23.13、21.87、2
1.77、21.33、17.60、16.98、1
6.34、14.84、12.47、12.05、1
1.30、11.05。
【0199】FAB マススペクトル(Liスパイ
ク)、m/z768、574、416、306。
【0200】実施例17 4″−デオキシ−4″−アミノ−9−デオキソ−8a−
アザ−8a−メチル−8a−ホモエリスロマイシンA
【0201】
【化37】 前記実施例に記載したようにして製造したオキシム混合
物(0.50g、0.65mmol)の酢酸(5mL)
溶液を、0.50gの酸化白金を使い、1000psi
で室温にて、まず48時間水素化した。続いて2回目の
酸化白金0.20gを添加して反応を1000psiで
さらに24時間続けた。反応混合物を濾過し、酢酸を減
圧で除去した。残渣を、10mLの水および50mLの
酢酸エチルに溶解した。その溶液のpHを、1N水酸化
ナトリウム溶液で9〜10の範囲に調節した。酢酸エチ
ル層を分離し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム
で脱水し、蒸発させて標題の化合物(0.47g、95
%収率)を得た。生成物は、プロトンNMRで分析した
結果、4″−(S)(δ4.61、q、H−5″)と
4″−(R)(δ4.00、br、H−5″)のアミン
混合物でほぼ2:1の比率であることが分かった。
【0202】実施例18 4″−デオキシ−4″−(S)−および4″−(R)−
のアミノ−9−デオキソ−8a−アザ−8a−メチル−
8a−ホモエリスロマイシンAの分離
【0203】
【化38】 前記実施例に記載したようにして製造した4″−アミノ
異性体(0.05g、0.06mmol)の塩化メチレ
ン(1.5mL)溶液に、室温で、N−(9−フルオレ
ニルメトキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(FM
OC−ONSu)(0.027g、0.080mmo
l)を添加し、続いてトリエチルアミン(0.050m
L、0.33mmol)を添加した。得られた反応混合
物を40時間攪拌した。溶媒を減圧で除き、残渣を分取
薄層クロマトグラフィーで精製した。薄層クロマトグラ
フィーのプレートをEtOAc−ヘキサン−MeOH−
NH4 OHの8:2:0.15:0.15混合液で展開
した。2つの化合物を単離し、NMRで分析した結果、
極性が小さい方の成分(Rf =0.48、δ4.05、
m、H−5″、16.8mg)は4″−(S)アミンの
FMOC誘導体(エクアトリアル)と同定され、わずか
に極性が大きい方の成分(Rf =0.44、δ4.6
6、q、H−5″、6.6mg)は4″−(R)アミン
のFMOC誘導体(アキシアル)と同定された。
【0204】実施例19 FMOCを脱保護することによる、4″−デオキシ−
4″−(S)−アミノ−9−デオキソ−8a−アザ−8
a−メチル−8a−ホモエリスロマイシンAの生成
【0205】
【化39】 16.8mgの4″−(S)−FMOC誘導体に0.2
5mLのピペリジンを加え、得られた混合物を室温で攪
拌した。TLCによる試験結果が15分後に反応が完了
したことを示したので、この時点でピペリジンを減圧で
除去し、残渣をシリカのクロマトグラフィーで精製し
た。CH2 Cl2 −MeOH−NH4 OHの9.3:
0.7:0.1混合物で溶離して8.2mgの4″−デ
オキシ−4″−(S)−アミノ−9−デオキソ−8a−
アザ−8a−メチル−8a−ホモエリスロマイシンAを
白色固体として得た。
【0206】1H NMR(400MHz、CDC
3 、60℃)δ5.10(d,H−1″)、4.82
(dd,H−13)、4.46(q,H−3)、4.3
9(d,H−1′)、4.00(br,H−5″)、
3.27(s,OCH3 )、2.38(s,N(C
3 2 )、2.03(s,NCH3 )。
【0207】実施例20 FMOCを脱保護することによる、4″−デオキシ−
4″−(R)−アミノ−9−デオキソ−8a−アザ−8
a−メチル−8a−ホモエリスロマイシンAの生成
【0208】
【化40】 7.0mgの4″−(R)−FMOC誘導体に0.25
mLのピペリジンを添加し、その混合物を室温で攪拌し
た。TLCの試験結果が、15分後に反応が完了したこ
とを示したので、その時点でピペリジンを減圧で除去
し、残留物をシリカのクロマトグラフィーで精製した。
CH2 Cl2 −MeOH−NH4 OHの9.3:0.
7:0.1混合物で溶離し、4.3mgの4″−デオキ
シ−4″−(R)−アミノ−9−デオキソ−8a−アザ
−8a−メチル−8a−ホモエリスロマイシンAを白色
固体として得た。
【0209】1H NMR(400MHz、CDC
3 、60℃)δ5.10(d,H−1″)、4.82
(dd,H−13)、4.61(q,H−5″)、4.
48(q,H−3)、4.41(d,H−1′)、3.
30(s,OCH3 )、3.16(dd,H−2′)、
2.27(s,N(CH3 2 )、2.01(s,NC
3)。
【0210】実施例21 4″−デオキシ−4″−(S)−アセチルアミノ−9−
デオキソ−8a−アザ−8a−メチル−8a−ホモエリ
スロマイシンA
【0211】
【化41】 4″−デオキシ−4″−(S)−アミノ−9−デオキソ
−8a−アザ−8a−メチル−8a−ホモエリスロマイ
シンA(17.0mg、0.022mmol)の酢酸エ
チル(1.0mL)溶液に無水酢酸(4.7mg、0.
046mmol)を添加し、得られた混合物を24時間
攪拌した。生成した反応混合物に1.0mLの水を添加
し、その混合物をさらに30分間攪拌した。次に水性層
のpHを1N水酸化ナトリウム溶液で9〜10の範囲に
調節し、この層を酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層
をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、蒸
発させて粗生成物を得た。この生成物は、NMRによっ
て、2′−O−アセチル−4″−デオキシ−4″−
(S)−アセチルアミノ−9−デオキソ−8a−アザ−
8a−メチル−8a−ホモエリスロマイシンA(δ4.
72における特徴的なシグナル、dd、H−2′および
3.70におけるシグナル、t、H−4″)と同定され
た。この生成物は精製しなかったが、メタノール中で、
室温にて24時間、単に攪拌するだけですぐに加溶媒分
解した。メタノールを蒸発させた後、シリカのクロマト
グラフィーに付してCH2 Cl2 −MeOH−NH4
Hの95:5:1混合液で溶離し16.2mgの4″−
デオキシ−4″−(S)−アセチルアミノ−9−デオキ
ソ−8a−アザ−8a−メチル−8a−ホモエリスロマ
イシンAを白色固体として得た。
【0212】TLC Rf 0.50(CH2 Cl2 −M
eOH−NH4 OH、9.5:0.5:0.1) MP 131〜135℃1 H NMR(400MHz、60℃、CDCl3 )δ
5.76(d,NHAc)、5.13(d,H−
1″)、4.83(dd,H−13)、4.49(t,
H−3)、4.30(d,H−1′)、4.07(m,
H−5″)、3.70(t,H−4″)、3.25
(s,OCH3 )、2.29(br,N(C
3 2)、3.01(s,NHCOCH3 )、1.9
6(s,NCH3 )。
【0213】FAB マススペクトル(Liスパイ
ク)、m/z796、579、374、306、16
1。
【0214】実施例22 4″−デオキシ−4″−(R)−アセチルアミノ−9−
デオキソ−8a−アザ−8a−メチル−8a−ホモエリ
スロマイシンA
【0215】
【化42】 4″−デオキシ−4″−(R)−アミノ−9−デオキソ
−8a−アザ−8a−メチル−8a−ホモエリスロマイ
シンA(20.0mg、0.026mmol)の酢酸エ
チル(1.0mL)溶液に無水酢酸(5.8mg、0.
056mmol)を添加し、その混合物を24時間攪拌
した。生成した反応混合物に1.0mLの水を添加し、
混合物をさらに30分間攪拌した。次に水性層のpH
を、1N水酸化ナトリウム溶液で9〜10の範囲に調節
し、この層を酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層をブ
ラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、蒸発さ
せて粗生成物を得た。その生成物は、2′−O−アセチ
ル−4″−デオキシ−4″−(R)−アセチルアミノ−
9−デオキソ−8a−アザ−8a−メチル−8a−ホモ
エリスロマイシンAであることがNMRで同定された
(δ4.70における特徴的なシグナル、dd、H−
2′およびδ3.66におけるシグナル、d、H−
4″)。この生成物は精製しなかったが、メタノール
中、室温にて24時間攪拌するだけで直ちに加溶媒分解
した。メタノールを蒸発させて次にシリカのクロマトグ
ラフィーに付してCH2 Cl2 −MeOH−NH4 OH
の95:5:1混合液で溶離し、17.6mgの4″−
デオキシ−4″−(R)−アセチルアミノ−9−デオキ
ソ−8a−アザ−8a−メチル−8a−ホモエリスロマ
イシンAを白色固体として得た。
【0216】TLC Rf 0.60(CH2 Cl2 −M
eOH−NH4 OH、9.0:1.0:0.1) MP 153〜156℃1 H NMR(400MHz、60℃、CDCl3 )δ
5.75(d,NHAc)、5.17(d,H−
1″)、4.83(dd,H−13)、4.68(q,
H−5)、4.48(br,H−3′)、4.39
(d,H−1″)、3.74(d,H−4″)、3.2
9(s,OCH3 )、2.27(br,N(C
3 2 )、2.01(s,NHCOCH3 )、1.9
9(s,NCH3 )。
【0217】FAB マススペクトル(Liスパイ
ク)、m/z796、597、579、366、30
6。
【0218】実施例23 9−デオキソ−8a−アザ−8a−アリル−8a−ホモ
エリスロマイシンA
【0219】
【化43】 9−デオキソ−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシ
ンA(5.0g、6.8mmol)、酢酸アリル(35
mL)、トリエチルアミン(2.5mL)およびテトラ
キス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)
(0.23g)の混合物を油浴中で、80℃で7時間加
熱攪拌した。室温で一夜攪拌した後、得られた混合物を
減圧で蒸発させて過剰の酢酸アリルを除去した。残留物
を、ジクロロメタン(50mL)および水(50mL)
とともに攪拌し、2Nの塩酸を用いてpHを5.6から
4.0まで調節した。層を分離し、有機部分をさらに水
(15mL)で抽出した。水溶液を合し、ジクロロメタ
ンで重層して攪拌し、5N水酸化ナトリウム溶液を添加
してpHを9.4にした。層を分離して、水性部分を追
加のジクロロメタン(50mL、25mL)で抽出し
た。ジクロロメタン抽出液を合し、硫酸マグネシウムで
脱水し、濾過し、減圧で蒸発させて泡状物(4.85
g)を得た。
【0220】上記泡状物の2−プロパノール(40m
L)溶液を室温で攪拌したところ、結晶が析出した。そ
の結晶性生成物を集め、2−プロパノール(3×4m
L)で洗浄し、窒素気流下で乾燥して、9−デオキソ−
8a−アザ−8a−アリル−8a−ホモエリスロマイシ
ンA(1.8g)を白色固体として得た。母液と洗浄水
を減圧で蒸発させ、得られた残渣をエタノール(12m
L)とともに攪拌して、標題の化合物の2度目の収穫
(1.5g)を得た。
【0221】1H NMR(CDCl3 )δ5.90
(m,CH=CH2 )、5.13(d,H=CHaH
b)、5.03(m,CH=CHaHbおよびH−
1″)、4.92(m,H−13)、4.36(m,H
−3)、4.35(d,H−1′)、4.03(m,H
−5″)、3.62(br s,H−11)、3.50
(m,H−5およびH−5′)、3.27(s,OCH
3 )、3.24(m,H−2′)、2.26(s,N
(CH3 2 )、1.87(m,H−14a)、1.6
5(m,H−4′eq)、1.53(dd,H−2″a
x)、1.44(m,H−14b)、1.29(br
s,6−CH3 )、0.87(t,CH2 3 )。
【0222】FAB−MS m/z798(M+N
a)、776(M+H)、618、600、159。
【0223】実施例24 2′−O−アセチル−9−デオキソ−8a−アザ−8a
−アリル−8a−ホモエリスロマイシンA
【0224】
【化44】 9−デオキソ−8a−アザ−8a−アリル−8a−ホモ
エリスロマイシンA(8.65g、11.16mmo
l)の酢酸エチル(65mL)溶液を無水酢酸(1.6
mL、16.7mmol)で処理し、次いで室温で30
分間攪拌した。得られた反応混合物を水(60mL)で
希釈して攪拌し、2N塩酸を添加することによってpH
を6.2から4.0に調節した。水性層を分離し、ジク
ロロメタン(60mL)で重層し、生成した混合物を攪
拌し、5N水酸化ナトリウム溶液でpH10にした。相
を分離し、水性部分をさらにジクロロメタン(2×40
mL)で抽出した。ジクロロメタン抽出液を合し、硫酸
マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧で蒸発させて、
2′−O−アセチル−9−デオキソ−8a−アザ−8a
−アリル−8a−ホモエリスロマイシンA(8.08
g)を泡状物として得た。
【0225】FAB−MS m/z824(M+L
i)、818(M+H)、658、642。
【0226】実施例25 4″−デオキシ−4″−オキソ−9−デオキソ−8a−
アザ−8a−アリル−8a−ホモエリスロマイシンA
【0227】
【化45】 2′−O−アセチル−9−デオキソ−8a−アザ−8a
−アリル−8a−ホモエリスロマイシンA(8.0g、
9.79mmol)を、ジクロロメタン(75mL)と
ジメチルスルホキシド(7mL、97.9mmol)の
混合液に溶解した溶液を、1−(3−ジメチルアミノプ
ロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(5.64
g、29.4mmol)で2分間処理し、次にピリジニ
ウムトリフルオロアセテート(5.7g、29.4mm
ol)で3分間処理した。得られた混合物を室温で2.
5時間攪拌し、次いで水(75mL)で希釈し、次に激
しく攪拌し、5N水酸化ナトリウム溶液を添加すること
によって水性相のpHを4.6から9.5に調節した。
相を分離し、水性部分をさらにジクロロメタン(2×5
0mL)で抽出した。ジクロロメタンの抽出液を合し、
炭酸水素ナトリウムの5%水溶液(3×50mL)で洗
浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧で蒸発
させて、粗製の2′−O−アセチル−4″−デオキシ−
4″−オキソ−9−デオキソ−8a−アザ−8a−アリ
ル−8a−ホモエリスロマイシンA(8.4g)を泡状
物として得た。
【0228】この粗生成物をメタノール(50mL)に
溶解し、その溶液を室温で一夜攪拌し、次いで50℃で
1時間攪拌した。室温まで冷却させた後、混合物を減圧
で蒸発させて、4″−デオキシ−4″−オキソ−9−デ
オキソ−8a−アザ−8a−アリル−8a−ホモエリス
ロマイシンA(7.7g)を泡状物として得た。
【0229】FAB−MS m/z780(M+L
i)、774(M+H)、616、600。
【0230】実施例26 4″−デオキシ−4″−ヒドロキシイミノ−9−デオキ
ソ−8a−アザ−8a−アリル−8a−ホモエリスロマ
イシンA
【0231】
【化46】 塩酸ヒドロキシルアミン(3.4g、49mmol)
を、4″−デオキシ−4″−オキソ−9−デオキソ−8
a−アザ−8a−アリル−8a−ホモエリスロマイシン
A(4.0g、4.9mmol)のピリジン(12m
L)溶液に添加した。得られた混合物を室温で16時間
攪拌し、次に減圧で蒸発してピリジンを除いた。残留物
をジクロロメタン(100mL)および水(100m
L、水性相のpHは5.9であった)とともに攪拌し、
次いで相を分離した。水性部分を追加のジクロロメタン
(100mL)とともに攪拌し、5N水酸化ナトリウム
溶液を使ってpHを6.0に調節した。抽出工程を、ジ
クロロメタン(3×100mL)を用い、水性相のpH
を6.5、7.0および11.0に調節して繰返した。
pHが7.0と11.0の抽出液を合し、減圧で蒸発さ
せることによって、4″−デオキシ−4″−ヒドロキシ
イミノ−9−デオキソ−8a−アザ−8a−アリル−8
a−ホモエリスロマイシンA(2.36g)をオキシム
異性体の混合物として得た。
【0232】1H NMR(CDCl3 、60℃)δ
5.95(br m,CH=CH2 )、5.32(t,
H−1″)、5.14(m,CH=CH2 )、5.05
(m,H−5″)、4.92(dd,H−13)、4.
42(d,H−1′)、4.38(m,H−3)、3.
63(br s,H−11)、3.31(s,OC
3 )、2.48(br s,N(CH3 2 )、0.
90(t,CH2 3 )。
【0233】FAB−MS m/z795(M+L
i)、789(M+H)、630、616、600。
【0234】実施例27 4″−デオキシ−4″−アミノ−9−デオキソ−8a−
アザ−8a−アリル−8a−ホモエリスロマイシンA
【0235】
【化47】 4″−デオキシ−4″−ヒドロキシイミノ−9−デオキ
ソ−8a−アザ−8a−アリル−8a−ホモエリスロマ
イシンA(2.0g、2.4mmol)のメタノール
(50mL)溶液を、酢酸アンモニウム(4.5g、5
8mmol)、水素化シアノホウ素ナトリウム(0.5
g、95%純度、7.6mmol)、および塩化チタン
(III)(20%塩酸による15%溶液の5.0m
L、5.8mmol)で順に処理した。得られた混合物
を室温で27時間攪拌し、次にニトロメタン(40滴)
で処理し、さらに15分間攪拌して過剰の酸化剤を減少
させた。混合物の見かけのpHを、5Nの水酸化ナトリ
ウムで6.05から7.0に調節し、次いで溶媒を減圧
で蒸発させた。残留物をジクロロメタン(200mL)
と水(200mL)とともに攪拌し、水性相のpHを5
N水酸化ナトリウムで9.5に調節した。層を分離し、
水性部分を追加のジクロロメタン(2×100mL)で
抽出した。ジクロロメタンの抽出液を合し、硫酸マグネ
シウムで脱水し、濾過し、減圧で蒸発させて粗製の4″
−アミノ誘導体(1.88g)を得た。
【0236】粗生成物の1部(1.6g)をEMシリカ
ゲル60のカラムクロマトグラフィー(4.5×23c
m、230〜400メッシュ、ジクロロメタン−メタノ
ール−水酸化アンモニウム濃溶液の90:10:1で湿
潤充填)で精製した。カラムをジクロロメタン−メタノ
ール−水酸化アンモニウム濃溶液の90:10:1混合
液で溶離し、25mLずつの画分を収集した。画分15
〜24を合し、減圧で蒸発させ、残渣をベンゼンから凍
結乾燥させて、4″−デオキシ−4″−アミノ−9−デ
オキソ−8a−アザ−8a−アリル−8a−ホモエリス
ロマイシンA(1.02g)を、(4″R):(4″
S)の比率が3:2の異性体混合物として得た。
【0237】1H NMR(CDCl3 、60℃)δ
5.94(m,CH=CH2 )、5.08(m,CH=
CH2 およびH−1″)、4.93(m,H−13)、
4.64(q,4″R−異性体のH−5″)、4.39
(m,H−1′およびH−3)、4.06(dq,4″
S−異性体のH−5″)、3.65(s,H−11)、
3.54(m,H−5およびH−5′)、3.28
(s,4″R−異性体のOCH3 )、3.26(s,
4″S−異性体のOCH3 )、2.36(br s,N
(CH3 2 )。
【0238】FAB−MS m/z781(M+L
i)、775(M+H)、617、616、600。
【0239】実施例28 4″−デオキシ−4″−アミノ−9−デオキソ−8a−
アザ−8a−プロピル−8a−ホモエリスロマイシンA
【0240】
【化48】 4″−デオキシ−4″−アミノ−9−デオキソ−8a−
アザ−8a−アリル−8a−ホモエリスロマイシンA
(4″−異性体の混合物の約150mg)、10%パラ
ジウム−炭(120mg)および酢酸(5mL)の混合
物を、水素雰囲気下、室温で5時間攪拌した。得られた
混合物を濾過し濾液を減圧で蒸発させた。残渣をジクロ
ロメタン(6mL)および水(4mL)とともに攪拌
し、水酸化ナトリウム希水溶液でpHを10に調節し
た。層を分離し、水性部分をさらにジクロロメタン(4
mL)で抽出した。抽出液を合し、硫酸マグネシウムで
脱水し、濾過し、減圧蒸発を行い、粗生成物を得た。
【0241】得られた粗生成物を、EMシリカゲル60
のカラム(4.5×14cm、230〜400メッシ
ュ)のクロマトグラフィーで精製した。カラムは、ジク
ロロメタン−メタノール−水酸化アンモニウム濃溶液の
90:10:1混合液で湿潤充填され、同じ液で溶離し
8mLずつの画分を集めた。画分25〜30を合し、減
圧で蒸発させて、4″−デオキシ−4″−アミノ−9−
デオキソ−8a−アザ−8a−プロピル−8a−ホモエ
リスロマイシンA(121mg)を、4″−異性体の混
合物(R:S比は約2:1)として得た。
【0242】1H NMR(CDCl3 、60℃)δ
4.66(q,4″R−異性体のH−5″)、4.03
(m,4″S−異性体のH−5″)、3.27(s,
4″R−異性体のOCH3 )、3.25(s,4″S−
異性体のOCH3 )、2.40(br s,N(C
3 2 )。
【0243】FAB−MS m/z777(M+H)、
619、618、602、158。
【0244】実施例29 9−デオキソ−8a−アザ−8a−(3−トキメシ−3
−オキソプロピル)−8a−ホモエリスロマイシンA
【0245】
【化49】 塩化亜鉛(215mg、1.58mmol)とメタノー
ル(0.11mL、2.7mmol)を、9−デオキソ
−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシンA(2.0
g、2.7mmol)およびアクリル酸メチル(30m
L、333mmol)の混合物に添加した。得られた混
合物を60℃で91時間攪拌した。過剰のアクリル酸メ
チルを減圧で除いて白色固体の残渣を得た。その粗生成
物を、EMシリカゲル60のフラッシュクロマトグラフ
ィー(7.0×30.5cm、カラムはクロロホルム:
メタノール:アンモニア水溶液の95:5:1混合物で
溶離し、50mLずつの画分を収集する)で精製した。
画分29〜40を合し、減圧で蒸発させて、9−デオキ
ソ−8a−アザ−8a−(3−メトキシ−3−オキソプ
ロピル)−8a−ホモエリスロマイシンA(1.58
g)を泡状物として得た。
【0246】1H NMR(400MHz、CD3
D)δ5.14(d,H−1″)、4.97(dd,H
−13)、4.42(br s,H−3)、4.39
(d,H−1′)、4.19(m,H−5″)、3.6
7(s,CO2 CH3 )、3.64(m,H−5′)、
3.51(d,H−5)、3.48(br s,H−1
1)、3.31(s,OCH3 )、3.27(dd,H
−2′)、3.00(d,H−4″)、2.36(s,
N(CH3 2 )、1.34(br s,6−C
3)、1.14(d,8−CH3 )、1.10(s,
12−CH3 )、1.02(d,4−CH3 )、0.9
3(d,10−CH3 )、0.89(t,CH2
3 )。
【0247】FAB−MS m/z821(M+H)、
827(M+Li)。
【0248】実施例30 2′−O−アセチル−9−デオキソ−8a−アザ−8a
−メトキシカルボニルエチル−8a−ホモエリスロマイ
シンA
【0249】
【化50】 無水酢酸(0.062mL、0.66mmol)を、9
−デオキソ−8a−アザ−8a−(3−メトキシ−3−
オキソプロピル)−8a−ホモエリスロマイシンA(3
55mg、0.43mmol)の乾燥酢酸エチル(2.
7mL)溶液に添加した。得られた溶液を室温で3.5
時間攪拌した。水(2mL)を添加し、生成した2相の
混合物を室温で2時間攪拌した。水性相のpHを、1N
塩酸を添加することによって2.5に調節した。相を分
離し、有機相を廃棄した。新しい酢酸エチルを添加し、
水性層のpHを、1N水酸化ナトリウム溶液を添加する
ことによって9.5に調節した。相を分離し、水性層を
酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル抽出液を合し、
硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧で蒸発させ
て、2′−O−アセチル−9−デオキソ−8a−アザ−
8a−(3−メトキシ−3−オキソプロピル)−8a−
ホモエリスロマイシンA(299mg)を透明無色の油
状物として得た。この粗生成物は事実上純品であったの
で、それ以上精製することなく次のステップで使用し
た。
【0250】1H NMR(400MHz、CD3
D)δ5.11(br s,H−1″)、4.75(d
d,H−2′)、4.65(d,H−1′)、4.29
(brs,H−3)、4.15(m,H−5″)、3.
71(m,H−5′)、3.67(s,CO2
3 )、3.56(d,H−5)、3.48(br
s,H−11)、3.35(s,OCH3 )、3.03
(d,H−4″)、2.27(s,N(CH3 2 )、
2.08(s,OCOCH3 )、1.33(br s,
6−CH3 )、1.11(s,12−CH3 )、0.9
1(t,CH2 3 )。
【0251】実施例31 2′−O−アセチル−4″−デオキシ−4″−オキソ−
9−デオキソ−8a−アザ−8a−(3−メトキシ−3
−オキソプロピル)−8a−ホモエリスロマイシンA
【0252】
【化51】 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカル
ボジイミド塩酸塩(200mg、1.04mmol)
を、2′−O−アセチル−9−デオキソ−8a−アザ−
8a−(3−メトキシ−3−オキソプロピル)−8a−
ホモエリスロマイシンA(299mg、0.35mmo
l)の乾燥ジクロロメタン(2.1mL)溶液に添加し
た。メチルスルホキシド(0.246mL、3.5mm
ol)を滴下して加え、続いてピリジニウムトリフルオ
ロアセテート(204mg、1.06mmol)の乾燥
ジクロロメタン(0.7mL)溶液を滴下して加えた。
得られた反応混合物を室温で110分間攪拌した。炭酸
カリウムの5%水溶液を添加し、次に水性層のpHを固
体の炭酸カリウムを添加することによって10に調節し
た。相を分離し、その水性層を酢酸エチルで4回抽出し
た。有機層を合し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過
し、減圧で蒸発させて、2′−O−アセチル−4″−デ
オキシ−4″−オキソ−9−デオキソ−8a−アザ−8
a−(3−メトキシ−3−オキソプロピル)−8a−ホ
モエリスロマイシンAを透明な黄色油状物(746m
g)として得た。この粗生成物はいくらかの残留DMS
Oと他の試薬由来の不純物を含有している。しかしそれ
以上精製することなく、次のステップに使用した。
【0253】1H NMR(400MHz、CD3
D)δ5.56(m,H−1″)、5.03(dd,H
−13)、4.79(dd,H−2′)、4.58(b
r s,H−3)、4.56(d,H−1′)、4.5
3(q,H−5″)、3.66(s,CO2 CH3 )、
3.58(d,H−5)、3.55(m,H−5′)、
3.41(br s,H−11)、3.26(s,OC
3 )、2.26(s,N(CH3 2 )、2.10
(s,OCOCH3 )、0.90(t,CH2
3)。
【0254】実施例32 4″−デオキシ−4″−ヒドロキシイミノ−9−デオキ
ソ−8a−アザ−8a−(3−メトキシ−3−オキソプ
ロプル)−8a−ホモエリスロマイシンA
【0255】
【化52】 粗2′−O−アセチル−4″−デオキシ−4″−オキソ
−9−デオキソ−8a−アザ−8a−(3−メトキシ−
3−オキソプロプル)−8a−ホモエリスロマイシンA
(746mg)のメタノール(4mL)溶液を室温で1
9時間攪拌した。分析TLCは脱アセチル化反応が完了
したことを示した。次に塩酸ヒドロキシルアミン(12
1mg)を添加した。得られた反応混合物を室温で1.
5時間攪拌し、次に減圧で蒸発させた。残渣を酢酸エチ
ルと炭酸カリウム水溶液とに分配した(水性層のpHは
固体の炭酸カリウムを添加することによって10に調節
した)。水性層を酢酸エチルで4回抽出し、有機層を合
し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧で蒸発さ
せて透明無色の油状物(294mg)を得た。得られた
粗生成物をEMシリカゲル60のフラッシュクロマトグ
ラフィー(4.0×48cmのカラム、クロロホルム:
メタノール:アンモニア水溶液の95:5:1混合液で
溶離、30mLずつの画分を収集)で精製した。画分2
3〜34を合し、減圧で蒸発させて、4″−デオキシ−
4″−ヒドロキシイミノ−8a−アザ−8a−(3−メ
トキシ−3−オキソプロピル)−8a−ホモエリスロマ
イシンA(169mg)を泡状物として得た。
【0256】1H NMR(400MHz、CD3
D)δ5.33(dd,H−1″)、5.16(q,H
−5″)、5.05(dd,H−13)、4.42
(d,H−1′)、4.31(br s,H−3)、
3.71(br s,H−11)、3.66(s,CO
2 CH3 )、3.65(d,H−5)、3.58(m,
H−5′)、3.28(s,OCH3 )、3.25(d
d,H−2′)、2.32(s,N(CH3 2 )、
1.31(br s,6−CH3 )、1.10(s,1
2−CH3 )、1.08(d,8−CH3 )、1.03
(d,4−CH3 )、0.96(d,10−CH3 )、
0.90(t,CH2 3 )。
【0257】実施例33 4″−デオキシ−4″−アミノ−9−デオキソ−8a−
アザ−8a−(3−メトキシ−3−オキソプロプル)−
8a−ホモエリスロマイシンA
【0258】
【化53】 4″−デオキシ−4″−ヒドロキシイミノ−9−デオキ
ソ−8a−アザ−8a−(3−メトキシ−3−オキソプ
ロプル)−8a−ホモエリスロマイシンA(169m
g、0.19mmol)の無水エタノール溶液を、ラネ
ーニッケルとともに室温で2時間攪拌して潜在的な触媒
毒を除いた。ラネーニッケルを濾過して除き濾液を減圧
で蒸発させた。残渣を酢酸(4mL)に溶解し次いで酸
化白金(123mg、0.54mmol)を添加した。
反応混合物を、水素雰囲気下(1000psi)、室温
で48時間振盪した。次に混合物をセライト(登録商
標)で濾過し濾液を減圧で蒸発させた。残渣を、炭酸水
素ナトリウム10%水溶液と酢酸エチルとに分配した。
水性層を酢酸エチルで6回抽出した。有機層を合し、硫
酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧で蒸発させ無色
の油状物(116mg)を得た。分析TLCによる試験
結果は、反応が全く起こっていなかったことを示した。
それ故に、上記粗生成物を酢酸(4mL)に再び溶解
し、酸化白金(115mg、0.50mmol、異なる
バッチのもの)を添加した。その混合物を水素の雰囲気
下(1000psi)、室温で72時間振盪した。先に
行ったのと同様に後処理を実施して、4″−デオキシ−
4″−アミノ−9−デオキソ−8a−アザ−8a−(3
−メトキシ−3−オキソプロピル)−8a−ホモエリス
ロマイシンA(C−4″についてのエピマーの約1:1
の混合物)を白色固体(73mg)として得た。
【0259】1H NMR(400MHz、CD3
D)δ5.23および5.19(2つのs,N(C
3 2 )。
【0260】FAB−MS m/z826(M+L
i)。
【0261】実施例34 2′−O−アセチル−8a−アザ−8a−ホモエリスロ
マイシンA
【0262】
【化54】 8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシンA(1.37
g、1.83mmol)と無水酢酸(0.26mL、
2.75mmol)の酢酸エチル(12mL)溶液を、
室温で27分間攪拌し、次にピリジン(0.15mL、
1.83mmol)で処理しさら18分間攪拌した。得
られた混合物を減圧で蒸発させて大部分の酢酸エチルを
除去した。残渣をジクロロメタン(12mL)と水(1
2mL)とともに攪拌し、水性相のpHを水酸化ナトリ
ウム水溶液を添加することによって11に注意深く調節
した。層を分離し、水性部分をさらにジクロロメタン
(12mL)で抽出した。抽出液を合し、硫酸マグネシ
ウムで脱水し、濾過し、減圧で蒸発させて、2′−O−
アセチル−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシンA
(1.45g)を泡状物として得た。この物質はそれ以
上精製することなく次のステップに使用した。
【0263】実施例35 4″−デオキシ−4″−オキソ−8a−アザ−8a−ホ
モエリスロマイシンA
【0264】
【化55】 2′−O−アセチル−8a−アザ−8a−ホモエリスロ
マイシンA(1.45g、1.83mmol)のジクロ
ロメタン(20mL)溶液を、ジメチルスルホキシド
(1.3mL、18.4mmol)、1−(3−ジメチ
ルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(1.
06g、5.52mmol)およびピリジニウムトリフ
ルオロアセテート(1.06g、5.52mmol)で
順に処理した。得られた溶液を室温で3.5時間攪拌
し、次に水(12mL)で希釈して攪拌し、水性相のp
Hを、水酸化ナトリウム水溶液を使って9.5にした。
層を分離し、水性部分をさらにジクロロメタン(3×3
5mL)で抽出した。ジクロロメタンの抽出液を合し、
炭酸水素ナトリウムの5%水溶液で洗浄し、硫酸マグネ
シウムで脱水し、濾過し、減圧で蒸発させて、粗製の
2′−O−アセチル−4″−デオキシ−4″−オキソ−
8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシンAを泡状物と
して得た。
【0265】1H NMR(CDCl3 )δ5.52
(d,NH)、5.35(t,H−1″)、4.94
(dd,H−13)、4.72(dd,H−2′)、
4.37(m,H−3およびH−5″)、4.31
(d,H−1′)、4.17(m,H−8)、3.47
(d,H−5)、3.37(m,H−5′)、3.43
(s,H−11)、3.32(s,OCH3 )、2.5
8(m,H−2)、2.27(brs,N(C
3 2 )、2.06(s,OCOCH3 )、0.89
(t,CH2 3 )。
【0266】上記の生成物をメタノール(12mL)に
溶解し、トリエチルアミン(約0.2mL)を添加し、
得られた溶液を室温で3日間攪拌することによって脱ア
セチル化反応を行った。溶媒を減圧で除去し、残渣を、
EMシリカゲル60のクロマトグラフィー(230〜4
00メッシュ、1.5×4.5cmのカラム、ジクロロ
メタン−メタノール−水酸化アンモニウム濃溶液の9
0:10:1混合液で湿潤充填し同じ混合液で溶離す
る。25mLずつの画分を6回採取し続いて8mLずつ
の画分を採取する)に付した。画分11〜15をプール
し、減圧で蒸発させて、4″−デオキシ−4″−オキソ
−8a−アザ−8a−ホモエリスロマイシンA(0.9
5g)を泡状物として得た。
【0267】1H NMR(CDCl3 )δ6.06
(br d,NH)、5.37(t,H−1″)、4.
92(dd,H−13)、4.43(m,H−3)、
4.41(q,H−5″)、4.21(d,H−
1′)、4.16(m,H−8)、3.50(d,H−
5)、3.44(s,H−11)、3.36(m,H−
5′)、3.29(s,OCH3 )、3.12(dd,
H−2′)、2.60(dq,H−2)、2.42
(m,H−3′)、2.23(s,N(CH3 2 )、
1.87(m,H−4およびH−14a)、1.63
(m,H−4′eq)、0.87(t,CH2
3 )。
【0268】13C NMR(CDCl3 )δ212.
1、177.8、176.6、103.7、95.4、
83.2、77.4、77.3、77.0、76.8、
76.7、74.7、74.1、71.6、70.4、
70.0、69.3、65.4、51.2、45.5、
42.7、42.6、41.6、40.5、40.2、
36.8、28.4、27.6、23.4、21.6、
21.4、20.8、16.2、16.1、14.8、
11.3、9.2。
【0269】FAB−MS m/z748(M+H)、
591、158。
【0270】実施例36 4″−デオキシ−4″−ヒドロキシイミノ−8a−アザ
−8a−ホモエリスロマイシンA
【0271】
【化56】 4″−デオキシ−4″−オキソ−8a−アザ−8a−ホ
モエリスロマイシンA(0.90g、1.2mmo
l)、塩酸ヒドロキシルアミン(0.85g、12mm
ol)およびピリジン(4mL)の混合物を、室温で2
4時間攪拌し次いで減圧で蒸発させた。残渣を水(25
mL)およびジクロロメタン(25mL)とともに攪拌
し、水酸化ナトリウム水溶液を使って水性相のpHを5
から11まで調節した。層を分離し、水性部分をさらに
ジクロロメタン(6mL)で抽出した。ジクロロメタン
抽出液を合し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減
圧で蒸発させ、次いで温トルエン(20mL)に溶解し
て減圧蒸発させる処理を3回行って、粗製の4″−デオ
キシ−4″−ヒドロキシイミノ−8a−アザ−8a−ホ
モエリスロマイシンA(0.90g)を、オキシム異性
体の3:1混合物として得た。
【0272】1H NMR(CDCl3 )δ5.97
(br d,NH)、5.22(t,少量異性体のH−
1″)、5.14(t,主異性体のH−1″)、5.0
7(q,主異性体のH−5″)、4.95(br d,
主異性体のH−13)、4.92(br d,少量異性
体のH−13)、4.54(q,少量異性体のH−
5″)、4.38(d,H−1′)、4.24(m,H
−3)、4.15(m,H−8)、3.74(d,H−
5)、3.56(m,H−5′)、3.45(br
s,H−11)、3.27(s,OCH3 )、3.16
(dd,H−2′)、3.47(m,H−3′)、2.
34(s,N(CH3 2 )、0.87(t,CH2
3 )。
【0273】13C NMR(CDCl3 )δ177.
6、176.3、160.4、157.4、104.
1、102.9、95.6、95.4、83.8、8
3.2、79.9、76.9、76.6、75.0、7
4.9、74.2、74.0、70.6、70.3、6
9.4、68.9、66.8、65.8、65.5、6
5.4、51.1、50.3、45.3、42.8、4
2.4、41.7、41.6、41.4、40.7、3
9.4、35.3、29.0、28.9、27.4、2
7.3、25.2、23.4、23.0、21.7、2
1.5、21.4、21.3、17.5、17.3、1
6.5、15.4、14.8、11.2、11.1、
9.4。
【0274】FAB−MS m/z785(M+N
a)、769(M+Li)、763(M+H)、59
2、417、158。
【0275】実施例37 4″−デオキシ−4″−アミノ−8a−アザ−8a−ホ
モエリスロマイシンA
【0276】
【化57】 4″−デオキシ−4″−ヒドロキシイミノ−8a−アザ
−8a−ホモエリスロマイシンA(200mg、0.2
6mmol)のメタノール(4mL)溶液を、酢酸アン
モニウム(450mg、5.78mmol)、水素化シ
アノホウ素ナトリウム(48mg、95%純度、0.7
3mmol)および塩化チタン(III)(20%塩酸
による15%溶液の0.50mL、0.58mmol)
で順に処理した。得られた混合物を、室温で24.5時
間攪拌し、次いでニトロメタン(8滴)で処理して数分
間攪拌した。溶媒を減圧で蒸発して得られた残渣をジク
ロロメタンと水とともに攪拌し、水性相のpHを水酸化
ナトリウムを使って9.5に調節した。層を分離し、水
性部分をさらにジクロロメタンで抽出した。有機抽出液
を合し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧で蒸
発させて泡状物(163mg)を得た。
【0277】上記の粗生成物をEMシリカゲル60のク
ロマトグラフィー(230〜400メッシュ、1.5×
30.5cmのカラム、ジクロロメタン−メタノール−
水酸化アンモニウム濃水溶液の90:10:1混合液で
湿潤充填し同じ混合液で溶離、7×8mLずつの画分を
集め続いて43×3mLずつの画分を集め次に8mLず
つの画分を収集)に付した。画分53〜62を合し、減
圧で蒸発させ、得られた残渣を、数滴のジクロロメタン
を含有するベンゼン(8mL)から凍結乾燥させて、
4″−デオキシ−4″−アミノ−8a−アザ−8a−ホ
モエリスロマイシンA(76mg)を、4″−異性体の
混合物( 1H NMRによる測定結果では、(4″
R):(4″S)比が約55:45の混合物であった)
として得た。
【0278】1H NMR(CDCl3 )δ6.69お
よび6.54(2つのbr d,NH)、5.08およ
び5.06(2つの重複したd,H−1″)、4.87
(dd,H−13)、4.56(q,4″R−異性体の
H−5″)、4.50(d,4″R−異性体のH−
1′)、4.44(d,4″S−異性体のH−1′)、
4.30(m,H−3)、4.13(m,H−8)、
3.99(dq,4″S−異性体のH−5″)、3.5
5および3.53(2つの重複したd,H−5)、3.
46および3.45(2つのs,H−11)、3.26
(s,4″R−異性体のOCH3 )、3.24(s,
4″S−異性体のOCH3 )、3.16および3.13
(2つの重複したdd,H−2′)、2.31(br
s,4″S−異性体のN(CH3 2 )、2.77(b
r s,4″R−異性体のN(CH3 2 )、1.67
(m,H−4′eq)、1.48(s,6−CH3 )、
0.86(t,CH2 3 )。
【0279】13C NMR(CDCl3 、60℃)δ1
77.6、177.5、176.5、176.3、10
3.0、102.6、95.1、94.9、83.4、
83.0、77.3、77.2、77.0、76.8、
76.6、75.1、74.8、74.1、74.0、
72.7、70.5、70.2、68.6、68.4、
66.1、65.8、65.7、62.8、61.9、
57.9、49.2、45.7、43.2、43.0、
42.6、42.5、41.6、41.5、40.6、
40.5、40.1、35.1、29.1、29.0、
27.7、23.2、22.0、21.7、21.2、
18.7、17.8、16.2、16.1、14.6、
14.5、11.0、9.7、9.6、9.2、9.
1。
【0280】FAB−MS m/z771(M+N
a)、592、158。
【0281】本発明の化合物の活性を測定するのに使用
した試験法は下記の通りである。
【0282】実施例38 一連の好気性のグラム陽性菌とグラム陰性菌に対する実
施例8と10の化合物の抗菌活性を下記の表に示す。検
定法には、ブロス培地内での最小阻止濃度(MIC)を
測定する液体濁度測定のマイクロタイター法を採用して
いる。MICの終点(mcg/ml)は、細菌の増殖を
完全に阻害する(濁りがない)被験化合物の最小濃度と
定義する。MICは一般に絶対値ではなく、2倍希釈法
の限界内にある濃度範囲である。一般に被験化合物の2
倍希釈を、128mcg/mlに設定された初期濃度に
対して12回行う。
【0283】
【表1】
【0284】
【表2】
【0285】
【効果】式(II)の化合物は、生体外および生体内
両方において抗菌剤として有用であり、その活性スペク
トルはエリスロマイシンAと類似している。その結果、
これらの化合物は、エリスロマイシンAと同じ目的のた
めに同じ方式で使用することができる。一般に式IIの
抗菌化合物とその塩は、例えばストレプトコッカス・ピ
オゲネスのような各種のグラム陽性微生物、および球形
もしくは楕円体形(球菌)のようなある種のグラム陰性
菌に対する生体外活性を示す。これらの活性は、各種の
微生物に対する生体外の試験によって容易に実証するこ
とができる。これらの化合物はその生体外の活性によっ
て、局所用;例えば病室の台所用具を滅菌するための用
途;ならびに産業用抗菌剤として例えば、水処理用、ス
ライム制御剤および塗料と木材の保存剤用に有用であ
る。マクロライド化合物の上記のような有用性を裏付け
る上記の生体外の試験の応用については先に挙げた米国
特許第4,518,590号に教示されている。
【0286】本発明の方法を、その好ましい実施態様に
ついて記載し、例示しおよび例証してきたが、当該技術
分野の熟練者ならば、本発明の思想と適用範囲から逸脱
することなく、本発明の各種の変更、改変および置換を
行うことができることは分かるであろう。
【0287】それ故に本発明は、特許請求の範囲の適用
範囲によってのみ限定され、かつその特許請求の範囲は
妥当な限り広く解すべきである。
フロントページの続き (72)発明者 ロバート・アール・ウイルケニング アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・ 07042、メイプルウツド、サルター・プレ イス・11

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)下記式: 【化1】 (式中、Rは水素、ヒドロキシル、C1-10アルキルもし
    くはC1-10アルコキシ−カルボニルC1-10アルキル)で
    表される化合物を酸化して、下記式: 【化2】 の化合物を製造し、次いで (b)上記ステップ(a)の生成物をアミノ化して下記
    式: 【化3】 で表される製品化合物を製造する、ステップからなる、
    9−デオキソー8a−アザ−8a−アルキル−8a−ホ
    モエリスロマイシンAの4″アミノ化誘導体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 ステップ(b)の生成物を置換して下記
    式: 【化4】 (式中、R12は、C1-10アルキルカルボニル、C1-10
    ルコキシカルボニル、アリールカルボニル、アリールC
    1-10アルキルカルボニルまたはアリールC1-10アルコキ
    シカルボニル)で表される化合物を製造する追加のステ
    ップを含む請求項1記載の方法。
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