JPH0525111A - 脂肪族アミドまたはその塩の製法 - Google Patents

脂肪族アミドまたはその塩の製法

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JPH0525111A
JPH0525111A JP3298207A JP29820791A JPH0525111A JP H0525111 A JPH0525111 A JP H0525111A JP 3298207 A JP3298207 A JP 3298207A JP 29820791 A JP29820791 A JP 29820791A JP H0525111 A JPH0525111 A JP H0525111A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 (±)−(E)−4−エチル−2−[(E)
−ヒドロキシイミノ]−5−ニトロ−3−ヘキセンアミ
ドまたはその塩を、少ない工程数で収率良く製造するこ
とのできる方法を提供する。この目的化合物は、血管拡
張剤、抗血栓症剤、狭心症治療剤等として有用である。 【構成】 脂肪族アルデヒドを出発原料とし、これを分
子中にカルバモイル基を有するウイティッヒ試薬を反応
させた後、三酸化二窒素を反応させるか、または酸の存
在下に亜硝酸塩を反応させて一般式Aの目的化合物を高
収率で製造する。 (R〜Rは同一もしくは異なって水素または低級ア
ルキル基を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、下記一般式[A]
【0002】
【化5】
【0003】(式中、R1 〜R3 は同一もしくは異なっ
て水素もしくは低級アルキル基を表わす)で示される脂
肪族アミドまたはその塩を、少ない工程数で収率良く製
造することのできる方法に関するものである。
【0004】
【従来の技術】上記一般式[A]で表わされる脂肪族ア
ミドまたはその塩は、特開昭59−152366号公報
により公知となっており、この化合物が血管拡張剤、抗
血栓症剤、狭心症治療剤等として薬理活性を有している
ことも、上記公報に記載されている。
【0005】ところで上記化合物を製造する方法として
上記公開公報に開示されているのは、たとえば脂肪族
アルデヒドを出発原料とし、これをアルキルホスホノア
セテート等と反応させることによってエステル体を得、
これを加水分解して遊離の酸に変え、次いでアミド
体とした後、これを三酸化二窒素、もしくは酸の存在
下で亜硝酸塩と反応させて目的物を得る方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが上記の方法
は、工程数が多いため製造が煩雑であるばかりでなく、
全工程を通すと目的物質の収率は非常に低くなり、製造
コストを高める要因となっている。
【0007】この発明は上記の様な事情に着目してなさ
れたものであって、その目的は、前記[A]式で示され
る脂肪族アミドまたはその塩を、少ない工程数で収率良
く製造することのできる方法を提供しようとするもので
ある。
【0008】
【発明の構成】この発明は、下記一般式[B]
【0009】
【化6】
【0010】(式中、R1 〜R3 は前記と同じ意味)で
示される脂肪族アルデヒドを、カルバモイル基を有する
ウイティッヒ試薬と反応せしめ、反応生成物を単離し、
若しくは単離することなく、三酸化二窒素を反応させる
か、または酸の存在下に亜硝酸塩を反応させて、前記一
般式[A]で示される脂肪族アミドを製造するところに
要旨を有するものである。この発明の方法は下記反応式
【0011】
【化7】
【0012】によって表わすことができる。以下、この
発明における種々の定義および好ましい製造条件等につ
いて、詳細に説明する。
【0013】この明細書において「低級アルキル基」と
は、炭素原子1〜6個を有するアルキル基を意味するも
のであり、好ましい例としては、メチル、エチル、プロ
ピル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソブチル、
第3級ブチル等が挙げられる。
【0014】また化合物の塩とは、医薬として許容され
る塩であり、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のア
ルカリ金属塩;カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;
アンモニウム塩;エタノールアミン塩、トリエチルアミ
ン塩、ジシクロヘキシルアミン塩等の有機アミン塩等の
様な無機塩基との塩または有機塩基との塩が挙げられ
る。
【0015】本発明で使用される「カルバモイル基を有
するウイティッヒ試薬」としては、たとえば下記一般式
[D]
【0016】
【化8】 で示されるウイティッヒ試薬を挙げることができ、具体
的なものとしては、
【0017】
【化9】
【0018】などが挙げられる。上記「カルバモイル基
を有するウイティッヒ試薬」は、たとえば低級アルコキ
シカルボニル基を有するウイティッヒ試薬にアンモニア
を反応させる方法によって容易に得ることができる。
【0019】この発明を実施するに当たっては、まず前
記一般式[B]で示される脂肪族アルデヒドを適当な溶
媒に溶解し、好ましくは窒素雰囲気下で撹拌しつつ、カ
ルバモイル基を有するウイティッヒ試薬を加えて反応さ
せる。溶媒としては、例えばジクロロメタン、ジオキサ
ン、テトラヒドロフランあるいはこれらの混合物の如
く、この反応に悪影響を及ぼすことのない様々の溶媒を
使用することができる。この反応は冷却下、室温または
緩やかな加温下で行なうことができるが、好ましいのは
0℃付近の冷却下で行なうことである。反応時間は反応
温度等を考慮して決めればよいが通常は1〜10時間程
度で十分である。この反応は塩基の存在下で行うのが好
ましく、この場合に使用される好ましい塩基としては、
例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カル
シウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水
酸化物または対応するそれらの炭酸塩または炭酸水素
塩、水酸化アンモニウム等の様な無機塩基;例えばナト
リウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム第
3級ブトキシド等の前記金属のアルコキシドまたはフェ
ノキシド、例えばメチルアミン、エチルアミン、N,N
−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、トリメチルア
ミン、トリエチルアミン等のモノ−、ジ−またはトリ−
アルキルアミンの様なアミン等の有機塩基が挙げられ
る。
【0020】上記の反応により、前記一般式[C]で示
される中間体が生成するが、本発明ではこの中間体を一
旦単離し、あるいは単離することなく引き続いて、これ
に三酸化二窒素を反応させると、前記一般式[A]で示
される目的物質を得ることができる。ここで、三酸化二
窒素は、通常亜硝酸塩と酸を反応させることによって製
造されるので、三酸化二窒素を反応させる代わりに、酸
の存在下で亜硝酸塩を反応させることによっても同様に
目的物質を得ることができる。ここで使用される亜硝酸
塩の好ましい例としては、ナトリウム塩,カリウム塩等
のアルカリ金属塩;カルシウム塩等のアルカリ土類金属
塩等が挙げられる。また酸の好ましい例としては、塩
酸,硫酸,蟻酸,酢酸等の無機酸もしくは有機酸が挙げ
られる。この反応も前記と同様の溶媒の存在下で、常
温、冷却下もしくは緩やかな加温下で行なうことがで
き、反応時間は1〜10時間程度でよい。
【0021】尚、この反応が中間体を一旦単離し、もし
くは単離することなく引き続いて行ない得ることは先に
述べた通りであるが、操作性および収率の点では単離せ
ずに引き続いて反応を行なう方が有利である。得られる
粗生成物を常法に従って再結晶法等によって生成する
と、高純度の目的物質を高収率で得ることができる。
【0022】
【実施例】実施例 カルバモイル基を有するウイティッヒ試薬の製造 25%アンモニア水400mlに、内温10℃以下でジエ
チルホスホノ酢酸エチル100g(0.446mol) を加えて
溶解する。内温15℃以下で一夜静置して反応させた
後、減圧下でアンモニア水を留去し、残留物にトルエン
25mlを加えてから更に減圧下に水分を共沸留去する。
残留物にトルエン300mlを加え、常圧下で100mlを
共沸留去することにより水分を完全に除去する。次いで
残液を冷却し、内温50℃で種晶を加えて結晶を析出さ
せ、内温5℃以下まで冷却した後、更に同温で1時間以
上熟成してから結晶を濾取する。得られた結晶をトルエ
ン100mlで洗浄した後、一夜真空乾燥すると、ジエチ
ルホスホノアセトアミド(カルバモイル基を有するウイ
ティッヒ試薬)76.7gが得られる(収率88.0%)。 IR(ヌジョール)cm-1:3350,3180,1660,12401 H NMR(DMSO-d6):1.23(6H,tr,J=7Hz),2.89(2H,d,J=11H
z),4.01(4H,m),7.05(1H,bs), 7.39(1H,bs)
【0023】(±)−(E)−4−エチル−2−
[(E)−ヒドロキシイミノ]−5−ニトロ−3−ヘキ
センアミド(目的物質)の製造 上記で得たジエチルホスホノアセトアミド218.7 g(1.
12モル)を、窒素気流下で塩化メチレン500mlに加え
て撹拌し溶解する。これを冷却し、内温−10〜0℃で
カリウム第3級ブトキシド125.8 g(1.12モル) を加え
た後、同温度で2−エチルクロトンアルデヒド100g
(1.02モル)を1〜2時間かけて滴下し、滴下終了後、
更に同温度で2時間反応する。
【0024】反応終了後、空気雰囲気下で水250mlと
亜硝酸ナトリウム225.0 g(3.26モル)を加えて溶解
し、更に内温−10〜0℃で17.5%塩酸500mlを1〜
1.5 時間かけて滴下する。滴下終了後、さらに同温度で
1時間反応を行ない、同温度で30分間保って、反応中
に析出した結晶を熟成してから濾取する。濾取した結晶
は、冷水1リットル、冷塩化メチレン1リットル、冷水
500ml、冷塩化メチレン500mlで順次洗浄した後、
一夜真空乾燥すると、(±)−(E)−4−エチル−2
−[(E)−ヒドロキシイミノ]−5−ニトロ−3−ヘ
キセンアミドの粗結晶179.8 gが得られる(収率82
%)。
【0025】得られる粗結晶を65%イソプロピルアル
コール水溶液2.1 リットルに溶解し、炭素粉末で処理し
た後、内温5℃以下まで冷却して晶析する。水を加えて
30%イソプロピルアルコール水溶液5.4 リットルとし
てから析出結晶を濾取する。濾取した結晶を25%イソ
プロピルアルコール水溶液360mlで洗浄してから一夜
真空乾燥すると、(±)−(E)−4−エチル−2−
[(E)−ヒドロキシイミノ]−5−ニトロ−3−ヘキ
センアミド(目的物質)の精製結晶156.4 gが得られる
(収率87.0%)(出発原料からの収率は71.34%)。 IR(ヌジョール)cm-1:3460,3200,1660,1550,10001 H NMR(DMSO-d6):0.92(3H,tr,J=8Hz),1.60(3H,d,J=7H
z),2.06(2H,q,J=7Hz),5.41(1H,q,J=7Hz),6.16(1H,s),7.
31(1H,s), 7.47(1H,s),11.9(1H,s)
【0026】従来法 工程1 ナトリウムメトキシド12.7kg(235モル)とジエチル
ホスホノ酢酸エチル48.0kg(214モル)を40リット
ルのメチルアルコールに溶解し、この溶液に2−エチル
クロトンアルデヒド20kg(204モル)を20〜30
℃で30分間かけて滴下した後、同温度で2時間撹拌す
る。次いで反応液を180リットルの水と120リット
ルのトルエンの混合液に注入して撹拌し、トルエン相を
分離した後、水相を50リットルのトルエンで抽出し、
抽出液をトルエン相と合する。これを120リットルの
塩化ナトリウム飽和水溶液で2回に分けて洗浄した後、
無水硫酸マグネシウムによって乾燥する。溶媒を留去し
た後、残留物を減圧蒸留すると(E,E)−4−エチル
−2,4−ヘキサジエン酸エチル(収量28.5kg)(83.1
%)が得られる。b.P.41−75℃/5−8mmHg.
【0027】工程2 (E,E)−4−エチル−2,4−ヘキサジエン酸エチ
ル20.0kg(119モル)を15リットルのメチルアルコ
ールに溶かした溶液に、水酸化ナトリウム6.0kg (15
0モル)を60リットルの水に溶かした水溶液を加え
る。混合液を50〜55℃で1時間加温してから20〜
25℃に冷却した後、同温度に保たれた8%塩酸に注入
する。生成する沈殿を濾取し、200リットルの水で洗
浄した後一夜減圧乾燥すると、16.2kgの(E,E)−4
−エチル−2,4−ヘキサジエン酸(収率97.4%)が得
られる。
【0028】工程3 (E,E)−4−エチル−2,4−ヘキサジエン酸16.0
kg(114モル)とトリエチルアミン11.5kg(114モ
ル)を112リットルのジクロロメタンに溶かし、この
溶液に−5〜−10℃でクロロ蟻酸イソプロピル14.0kg
(114モル)を滴下し、同温度に保って1時間反応さ
せる。この反応液に乾燥アンモニアガス7.4kg(435モ
ル)を吹込んでから20〜30℃で一夜放置した後、溶
媒と過剰のアンモニアガスを減圧下に除去する。残留物
を128リットルの酢酸エチルに溶解し、80リットル
の5%塩化ナトリウム水溶液、80リットルの5%塩酸
水溶液、80リットルの塩化ナトリウム水溶液、80リ
ットルの7%水酸化ナトリム水溶液及び80リットルの
5%塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄した後、溶媒を減
圧留去すると、黄色油状の(E,E)−4−エチル−
2,4−ヘキサジエンアミド11.9kg(収率74.7%)が得
られる。
【0029】工程4 (E,E)−4−エチル−2,4−ヘキサジエンアミド
10.0kg(71.8モル)と亜硝酸ナトリウム19.8kg(287
モル)を、100リットルのジオキサンと70リットル
の水の混合溶媒に溶かし、この溶液を15〜20℃に保
って激しく撹拌しながら、13リットルの35%塩酸を
2時間かけて滴下する。滴下終了後30分間反応させた
後、生成する沈殿を濾取し、20リットルの冷水で洗浄
する。得られるケーキ状物を100リットルの冷水に3
0分間懸濁させてから濾過し、20リットルの冷水で洗
浄する。ケーキ状物を50リットルのジクロルメタンに
20〜25℃で30分間懸濁させ、濾過した後、80リ
ットルのジクロルメタンで洗浄した後、一夜減圧乾燥す
ると、(±)−(E)−4−エチル−2−[(E)−ヒ
ドロキシイミノ]−5−ニトロ−3−ヘキセンアミド粗
生成物10.3kg(収率66.6%)が得られる。
【0030】工程5 上記で得た粗生成物10.0kg(46.5モル)を140リット
ルのエチルアルコールに溶解し、この溶液に20リット
ルの水を20〜25℃で15分かけて滴下する。30分
間撹拌した後、1.0kg の活性炭を加えてから濾過し、濾
液を10〜15℃に冷やした後、260リットルの水で
希釈する。次いで0〜5℃に冷却し、生成する結晶を濾
取してから20リットルの25%水性エチルアルコール
溶液で洗浄し、一夜減圧乾燥すると、(±)−(E)−
4−エチル−2−[(E)−ヒドロキシイミノ]−5−
ニトロ−3−ヘキセンアミド精製物8.0kg(収率80%)
が得られる(出発原料からの収率は32.1%)。
【0031】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、一
般式[A]で示される薬理活性物質を少ない工程数で製
造することができ、生産性および収率を大幅に高め得る
ことになった。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式[B] 【化1】 (式中、R1 〜R3 は同一もしくは異なって水素または
    低級アルキル基を意味する)で示される脂肪族アルデヒ
    ドまたはその塩を、カルバモイル基を有するウイティッ
    ヒ試薬と反応せしめ、反応生成物を単離し、もしくは単
    離することなく三酸化二窒素を反応させるか、または酸
    の存在下に亜硝酸塩を反応させて、下記一般式[A] 【化2】 (式中、R1 〜R3 は前記と同じ意味)で示される脂肪
    族アミドまたはその塩を得ることを特徴とする脂肪族ア
    ミドまたはその塩の製法。
  2. 【請求項2】 カルバモイル基を有するウイティッヒ試
    薬が、下記一般式[D] 【化3】 で示されるものである請求項1に記載の製法。
  3. 【請求項3】 一般式[A],[B]において、R1
    水素、R2 がメチル基、R3 がエチル基である請求項1
    または2に記載の製法。
  4. 【請求項4】 一般式[A]で示される目的化合物が
    (±)−(E)−4−エチル−2−[(E)−ヒドロキ
    シイミノ]−5−ニトロ−3−ヘキセンアミドである請
    求項1に記載の製法。
  5. 【請求項5】 カルバモイル基を含有するウイティッヒ
    試薬が、下記一般式[D1 ] 【化4】 で示されるものである請求項1に記載の製法。
  6. 【請求項6】 一般式[A]で示される脂肪族アミドが
    (±)−(E)−4−エチル−2−[(E)−ヒドロキ
    シイミノ]−5−ニトロ−3−ヘキセンアミド、一般式
    [B]で示される脂肪族アルデヒドが2−エチルクロト
    ンアルデヒド、一般式[D]で示されるウイティッヒ試
    薬がジエチルホスホノアセトアミドである請求項1に記
    載の脂肪族アミドまたはその塩の製法。
  7. 【請求項7】 脂肪族アルデヒドとウイティッヒ試薬と
    の反応を塩の存在下で行なう請求項1〜6のいずれかに
    記載の脂肪族アミドまたはその塩の製法。
  8. 【請求項8】 塩がカリウム第3級ブトキシである請求
    項7に記載の脂肪族アミドまたはその塩の製法。
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