JPH0525071Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、磁気テープ巻取巻戻系或いはフイル
ム巻取巻戻系等に使用するスリツプ機構に係り、
特に摩擦力を回転体の半径方向に作用させる薄型
のスリツプ機構に関する。

リール対リール方式のテープ駆動系において、
巻取側や送り出し側にそれぞれ適当な巻取力や弛
み防止力を与えるためにスリツプ機構が使用され
る。第１図はその一例で、固定軸１に対し回転自
在に設けられた円板状摩擦車２をベルト３で回転
させると、該摩擦車の上面に固着された環状の摩
擦部材（フエルト等）４を通して同じく軸１に回
転自在に枢止されたリール受け台５が、その負荷
の軽重に応じて適当にスリツプしながら回転する
ものである。このスリツプ機構はいわば縦型で、
摩擦部材４とリール受け台５との間に発生する摩
擦力は、摩擦車２の下面からそれを上方に押し上
げる板バネ（又はコイルバネ）６の弾性反発力に
起因する。これらの部材は縦方向に並ぶので薄形
に製造しにくく構造が複雑な上、バネ６の圧力を
一定に保つ管理、調整がしにくい欠点がある。

本考案はこの点を改善するもので、固定軸に対
し回転自在に設けられた円板部を有するリール受
け台と、該リール受け台に対し略同心的に且つ水
平移動可能に設けられその内周面の一部が該円板
部の外周面の一部に摺接する環状部を有した摩擦
車と、該円板部の外周面及び該摩擦車の環状部内
面の少なくとも一方に固着されたシート状の摩擦
材料と、該摩擦車の環状部の外周面に巻架された
ベルトにより該摩擦車に対し回転駆動力を与える
回転伝達系とを備え、前記ベルトはその張力によ
り前記摩擦車に半径方向への押圧力も加えること
を特徴とするが、以下図示の実施例を参照しなが
らこれを詳細に説明する。

第２図および第３図は本考案の一実施例で、第
３図は全体の平面図、第２図ａ，ｂはその一部平
面図および断面図である。本例のスリツプ機構
は、固定軸１にリール受け台５が回転自在に枢止
される点は第１図と同様であるが、摩擦車２は
ほゞ環状体で内部にリール受け台５の円板部５ａ
が入り、また固定軸１が貫通する中央孔部分が比
較的大きな孔径を持ちこのため水平方向に移動可
能で、ベルト３により引張られてその内周面の一
部（第２図の左側）を受け台５の円板部５ａの外
周の一部に摺接させる。摩擦部材４は該円板部５
ａの外周に摺接する様に摩擦車２の内周面に固着
される。受け台５の上部ツバ５ｂと摩擦車２の下
部ツバ２ａは回転軸１の下部径大部と共にこれら
の回転体の上下位置関係を規制する。

第３図はこのスリツプ機構付リール受け台５，
５を左右に配したテープ巻取系（カセツトプレー
ヤ等）を示し、この系ではモータ７の回転がベル
ト３を通して左右の摩擦車２，２に伝達される。
本例は、本来回転力伝達手段であるベルト３を第
１図の板バネ６の様な摩擦力発生源として兼用す
るものである。ベルト３にはベルト張力設定機構
８を設けて該ベルト３に側方から押圧力Ａを加
え、摩擦車２を矢印Ｂで示す半径方向に偏倚する
ベルト張力を発生させる。本例のベルト張力設定
機構８は、バネ８ａによつて反時計方向に回動し
ようとするレバー８ｂの先端に軸支したアイドラ
８ｃをベルト３に圧接して張力を発生させるもの
で、バネ８ａの一端を差し込む調整穴８ｄの位置
を変えることで押圧力Ａ、従つてベルト張力を容
易に変更できる。このため経年変化して摩擦力が
低下することを容易に防止できる。

第４図は光学フイルム式マツプデイスプレイ装
置（道路地図などをフイルムに収めておいてそれ
を拡大表示する装置）のマツプフイルム駆動巻取
系への応用例で、１０はアイドラ、１１はピンチ
ローラ、１２は駆動キヤプスタン、１３，１４は
リール、１５はマツプフイルム、１６，１７は摩
擦車である。図示の状態はリール１４側が巻取り
動作で、スリツプ機構の働きにより適当な巻取り
テンシヨンＣでフイルム１５は矢印Ｄ方向に巻取
られる。この時リール１３側は逆転しており、適
当なバツクテンシヨンＥでフイルム１５の弛みを
防いでいる。駆動キヤプスタン１２が逆転すれば
リール１３，１４も逆動作してフイルム１５は逆
方向に駆動される。

第５図は摩擦伝達系に適用した本考案の他の実
施例で、ａは全体の平面図、ｂおよびｃは要部平
面図および縦断面図である。この系ではモータ７
の回転はその出力軸に固定された摩擦車２０から
直接右側の摩擦車２へ、また中間的な摩擦車（ア
イドラ）２１を介して左側の摩擦車２へそれぞれ
伝達される。そしてコイルスプリング２２でブラ
ケツト２３を矢印Ｆ方向に引張ることで左右いず
れのスリツプ機構において矢印Ｇ方向の摩擦力が
発生する。

尚、第３図におけるベルト３を小径のものとし
て、それを伸ばしてリール受け台５，５およびモ
ータ７に架け渡せば、張力発生機構８がなくとも
摩擦力Ｂは発生する。

以上述べたように本考案によれば、回転伝達系
の張力または圧接力で摩擦車に半径方向の力も与
えるようにしたので摩擦力発生のために圧接部材
を新たにリール装置自体に設ける必要がなく、構
造を簡単且つ小型化できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の縦型スリツプ機構を示す平面図
および縦断面図、第２図ａ，ｂは本考案の一実施
例を示す平面図および縦断面図、第３図は同実施
例全体の平面図、第４図は本考案の応用例を示す
平面図、第５図ａ〜ｃは本考案の他の実施例を示
す全体の平面図、要部平面図および縦断面図であ
る。 図中、１は固定軸、２は摩擦車、３はベルト、
４は摩擦部材、５はリール受け台、８はベルト張
力設定機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定軸に対し回転自在に設けられた円板部を有
   するリール受け台と、該リール受け台に対し略同
   心的に且つ水平移動可能に設けられその内周面の
   一部が該円板部の外周面の一部に摺接する環状部
   を有した摩擦車と、該円板部の外周面及び該摩擦
   車の環状部内面の少なくとも一方に固着されたシ
   ート状の摩擦材料と、該摩擦車の環状部の外周面
   に巻架されたベルトにより該摩擦車に対し回転駆
   動力を与える回転伝達系とを備え、前記ベルトは
   その張力により前記摩擦車に半径方向への押圧力
   も加えることを特徴とするスリツプ機構。