JPH0524964A - 化合物半導体単結晶の製造方法 - Google Patents

化合物半導体単結晶の製造方法

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JPH0524964A JP20240391A JP20240391A JPH0524964A JP H0524964 A JPH0524964 A JP H0524964A JP 20240391 A JP20240391 A JP 20240391A JP 20240391 A JP20240391 A JP 20240391A JP H0524964 A JPH0524964 A JP H0524964A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 メルトバック深さを適切に制御することがで
き、且つ光素子や電子素子の基板材料として好適な高品
質の化合物半導体結晶を低コストで製造することのでき
る方法を提供する。 【構成】 垂直ブリッジマン法や垂直温度勾配法の様
に、単結晶製造用原料融液を、ヒータによって温度勾配
を与えつつ未融解単結晶から上方に向かって固化させて
化合物半導体結晶を製造するに当たり、るつぼとヒータ
の間に、るつぼの外周を取り囲む熱シールド部材を配置
すると共に、該熱シールド部材のるつぼに対する垂直方
向の相対的な位置を変化させつつ操業を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば垂直ブリッジマ
ン法や垂直温度勾配法の様に、るつぼ内に存在する単結
晶製造用原料融液を、るつぼ底部に配置された種結晶を
出発点として上方に向かって固化させつつ化合物半導体
単結晶を製造する方法に関し、特に種結晶の溶かし込み
位置を適切に制御しつつ、結晶欠陥密度の低い高品質の
化合物半導体単結晶を製造することのできる方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】GaAsやInP等の化合物半導体単結
晶の工業的製造法としては、水平ブリッジマン法(HB
法),液体封止引き上げ法(LEC法),垂直ブリッジ
マン法(VB法)および垂直温度勾配法(VGF法)等
様々な方法が知られている。これらの方法のうちVB法
やVGF法は、(a) 結晶の直径を制御する必要なしに円
柱状の単結晶を製造できること、(b) 低温度勾配下での
結晶成長が可能であること等の利点を有し、他の方法に
比べて欠陥密度の低い良質の結晶を低コストで製造でき
る方法として有望視されている。VB法やVGF法に関
する従来技術としては、例えば公表特許昭58-500020 号
や特開昭63-79792号等に開示された技術が知られてい
る。また上記方法において、酸化硼素(B23 )の融
液を液体封止材として用い、GaAs原料融液からAs
の蒸発を防止することも行なわれている。
【0003】VB法やVGF法による化合物半導体単結
晶の製造方法では、るつぼ底部に種結晶、その上方に原
料固体を配置し、るつぼ外周を取り囲むヒータによっ
て、前記原料固体の全部を融解すると共に前記種結晶の
上部を溶かし込み(以下これをメルトバックと呼ぶ)、
前記融解された単結晶製造用原料融液を、るつぼ底部に
配置された未融解種結晶を出発点として上方に向かって
固化させつつ、るつぼの内面形状に見合った外面形状の
単結晶を成長させていく。そして上記の様な単結晶成長
を行なわせるには、固化した結晶と原料融液の界面であ
る成長界面より上方を原料固体の融点より高く且つ下方
を該融点よりも低くする様な温度分布を、るつぼに対し
て与えてやる必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来技術では、るつぼ
外周を取り囲むヒータを、垂直方向に複数のゾーンに分
割して配置し、これらの各ゾーン間の出力を調整するこ
とによって単結晶成長に必要な温度分布を付与するのが
一般的である。しかしながらこうした技術では、(1) 固
化した後の結晶内で垂直方向に大きな温度勾配が生じ、
結晶中に熱応力が発生する、(2) 結晶の固化を開始する
前のメルトバック深さの調節が容易でない等の欠点があ
った。以下これらの欠点について更に詳細に説明する。
【0005】まず上記(1) の欠点について説明する。V
B法やVGF法による単結晶製造では、上述した様に、
結晶成長界面より上方が原料固体の融点より高く、下方
が原料固体の融点より低い温度分布をるつぼに与えてや
る必要がある。ところで固化した単結晶内に温度分布を
形成すると、結晶内に熱応力が発生し、このために成長
した単結晶内に転位等の結晶欠陥が誘起される。従来の
方法では、固化した結晶中に垂直方向への温度勾配が生
じて単結晶中に熱応力が発生することは回避できず、転
位欠陥密度の低い高品質の化合物半導体単結晶を製造す
ることはできなかった。成長界面で結晶成長を行なわせ
るのに必要な温度勾配を与える一方、既に固化した結晶
内を垂直方向に均一な温度分布となる様に保持すること
は、るつぼ外周に配置されたヒータの出力を制御するだ
けでは到底達成されず、仮にヒータの垂直方向の分割ゾ
ーン数を技術的に可能な範囲で増加させても温度勾配を
実質上なくすことは不可能である。
【0006】次に、上記(2) の欠点について説明する。
VB法やVGF法による単結晶製造では、上述した様に
結晶の固化を開始する前に、原料の下に充填された種結
晶の上部をメルトバックする。単結晶を製造するにはメ
ルトバック工程は必須であり、またこのメルトバックを
適切に行なう必要があり、例えば種結晶が全く溶かし込
まれなかったり、すべて融解してしまったりすると単結
晶の製造ができなくなる。これまでの方法では、メルト
バック深さの制御を、それに対応するヒータの各ゾーン
の出力を経験的に設定することにより行なうのが一般的
であるが、これではメルトバック深さを確実に制御する
ことはできない。またるつぼ中に充填する原料固体量、
るつぼの形状や材質、更にはるつぼを支持する支持台の
形状や材質等の条件変化があると、るつぼ内およびその
周辺での熱的環境が変化するので、その都度メルトバッ
ク深さを適切な位置に設定する為に、ヒータの出力値等
を決定し直すという複雑な作業が必要であった。
【0007】ところで種結晶を全て溶かしてしまうこと
を防止する為に、直径が数5〜10mm程度の比較的細長い
種結晶を用いることも提案されているが、この方法では
種結晶部から成長結晶部の間に結晶の直径を徐々に広げ
る拡径部分(通常逆円錐状に形成されている)が必要と
なり、この場合前記拡径部分で双晶欠陥等の結晶欠陥が
導入され易くなる。こうした問題を避ける方法として、
種結晶の直径を成長結晶部の直径と同じとして操業を行
なうことも提案されているが、この様な比較的直径の大
きな種結晶を用いた場合には、メルトバック深さの制御
が更に難しくなる。
【0008】本発明はこの様な状況のもとになされたも
のであって、その目的は、メルトバック深さを適切に制
御することができ、且つ光素子や電子素子の基板材料と
して好適な高品質の化合物半導体単結晶を低コストで製
造することのできる方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明とは、るつぼ底部に種結晶、その上方に原料固体を
配置し、るつぼ外周を取り囲むヒータによって、前記原
料固体の全部を融解すると共に前記種結晶の上部を部分
的に溶かし込み、前記融解された単結晶製造用原料融液
を、るつぼ底部に配置された未融解種結晶から上方に向
かって固化させつつ化合物半導体単結晶を製造するに当
たり、前記るつぼとヒータの間に、前記るつぼの外周を
取り囲む熱シールド部材を配置すると共に、該熱シール
ド部材のるつぼに対する垂直方向の相対的な位置を変化
させつつ操業を行なう点に要旨を有する化合物半導体単
結晶の製造方法である。
【0010】
【作用】本発明の構成および作用効果を図面を用いて説
明する。図1は本発明を実施する為の装置のメルトバッ
ク工程の状態を模式的に示した説明図であり、図中1は
るつぼ,2は単結晶製造用原料固体,3は種結晶,4a
〜4dは垂直方向の複数のゾーンに分割して配置された
ヒータ,5はるつぼ1とヒータ4a〜4dの間にるつぼ
1の外周を取り囲む様に配置された熱シールド部材、6
はるつぼ受けを夫々示す。
【0011】本発明に係る装置の最大の特徴点は、図1
に示した様に、るつぼ1とヒータ4a〜4dの間に熱シ
ールド部材5を配置したことである。この熱シールド部
材5は、例えばMoやW等の耐熱性金属、或はアルミ
ナ,カーボンまたはSiC等の耐熱性材料によって構成
され、円筒状等の形状を有し、前記るつぼ1の外周を取
り囲む様にして配置され、垂直方向に移動可能に構成さ
れている。なお図1では、熱シールド部材5が最も高い
位置に移動した状態を仮想線5bで示してある。
【0012】メルトバック工程では図1の実線で示した
様に、熱シールド部材5の上端部5aが種結晶3のメル
トバック深さdとほぼ同じ高さとなる様に配置される。
上記の様な熱シールド部材5を配置することによって、
熱シールド部材5の存在するところでヒータ4a〜4d
からるつぼ1への輻射熱が遮蔽され、熱シールド部材5
の上端部5aより下方では、るつぼ1およびその内部の
温度が急速に低下する。
【0013】図2は熱シールド部材5による熱遮蔽効果
を説明する為のグラフであり、図中Bは熱シールド部材
5を設けずにヒータの出力調整だけで温度勾配を付与し
た場合のるつぼ1内での温度分布を示しており、図中A
は熱シールド部材5を設けた場合のるつぼ1内での温度
分布を示している。図2から明らかな様に、熱シールド
部材5を配置した場合は、その上端部5aよりも下方で
急速な温度低下が起こっていることが分かる。
【0014】図1に示した構成であれば、ヒータ4a〜
4dの出力を調整することによって、熱シールド部材5
の上端部5aよりも上方を化合物半導体の融点よりも高
い温度に、また下方を低い温度に保つことが容易に達成
される。従って、原料の充填量等の条件が変化しても、
その変化に追従してメルトバック深さdを容易且つ高精
度に制御することができる。またメルトバックすべき位
置の上下で、急峻な温度勾配を付与することができるの
で、比較的大きな直径の種結晶を用いても、メルトバッ
ク深さdの確実な制御ができる。
【0015】図3は本発明を実施する為の装置の融液固
化工程の状態を模式的に示した説明図であり、図中12は
固化した結晶,13は原料融液,14は成長界面を夫々示
し、その他図1と対応する部分には同一の参照符号が付
してある。
【0016】熱シールド部材5は上述した様に、垂直方
向に移動可能に構成され、るつぼに対する相対的位置を
所定の速度で変化させることができる様にされる。ヒー
タ4a〜4dの出力を調整することによって、固化した
結晶12と原料融液13の成長界面14を、熱シールド部材5
の上端部5a近くに位置させる様な温度分布を付与する
ことができる。尚熱シールド部材5には、製造しようと
する結晶の長さよりも十分に長い形状のものが用いられ
る。
【0017】上記構成によれば、固化した結晶12はその
外周が熱シールド部材5に取り囲まれており、これによ
って結晶内部の温度分布は、シールド部材5の温度分布
により強く支配される。また成長界面14の上下で温度勾
配を付与する為には、成長界面より下部のヒータの出力
を抑える必要があり、この為熱シールド部材5の外側
では下方になるにつれて徐々に温度が低くなる様な温度
分布になるが、熱シールド部材5は上述した様な、比較
的熱伝導性の良い材料で構成すれば、ヒータ温度分布が
ならされ、熱シールド5およびその内部はほぼ均一な温
度に保つことができる。こうした作用によって、単結晶
製造中に固化した結晶12は垂直方向に温度分布が殆どな
い状態に保たれ、この為熱応力が発生せず、転位等の結
晶欠陥が誘起されることが防止される。図4は熱シール
ド部材5による温度均一効果を説明する為のグラフであ
り、熱シールド部材5を配置しなかった場合のるつぼ1
内の温度分布Bと比較して、熱シールド部材5を配置し
た場合の温度分布Aは、熱シール度部材5の上端部5a
より下方の温度の均一性が非常に良好であることがよく
わかる。
【0018】尚本発明で用いるるつぼ1としては、図1
および図3に示した様に上方が解放されたもの、或は後
記実施例に示す様に密封されたもの等いずれも採用する
ことができる。また原料融液13中の解離性成分の解離・
蒸発を抑制するという観点からすれば、原料融液13の液
面を液体封止剤としての酸化硼素(B23 )融液で被
覆した状態として操業することも推奨される。更に後記
実施例に示す様に、るつぼ1として封管されたものを用
い、るつぼ1内の空間のうち化合物半導体結晶,原料融
液(および酸化硼素融液)が占める部分以外の残余の空
間を、化合物半導体を構成する元素のうち解離性を有す
る元素の単体を気化させた気体および/若しくは不活性
ガス(或は更に酸化硼素から放出された水蒸気)で充満
した状態で操業することも有効であり、こうした構成を
採用することによって、原料融液からの解離性成分の解
離・蒸発がより一層抑制され、製造された単結晶に組成
のずれに由来した点欠陥等が導入されることなく、化学
量論的組成に制御された単結晶を得ることができる。
【0019】以下本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0020】
【実施例】
実施例1 図5に示す様に熱分解性窒化硼素(PBN)製るつぼ22
中に、GaAs原料固体(GaAs多結晶)23,種結晶
24およびB23 (固体)25を充填し、このるつぼ22
と、結晶の組成を制御する為の適量の固体As26を、石
英製るつぼ21に充填し、真空排気した後石英製るつぼ21
を封管した。尚種結晶24の直径は、成長させる結晶の外
径と同じものとし、50mmのものと75mmのものの2種類を
用い、厚さは30mmとし、結晶成長方向に(100)面を有す
るGaAs単結晶である。また熱シールド部材5はMo
製のものを用い、その厚さが1mmであり、内径が石英製
るつぼ21の外径よりも8mm大きく且つ長さが250mm の円
筒状のものであって、その軸心がるつぼの軸心と一致す
る様に配置した。ヒータ4a〜4dが垂直方向に複数の
ゾーンに分割されて配置されるのは、前記図1および図
3の場合と同様である。
【0021】メルトバック工程では、熱シールド部材5
をその上端部5aが種結晶24の厚みのほぼ中央に位置す
る様に配置した。またヒータ4a〜4dの各ゾーンの出
力を調整することによって、熱シールド部材5の上端部
5aよりも上方ではGaAsの融点(1238℃)よりも高
く、下方ではそれより低くなる様な温度分布を石英製る
つぼ21内に付与した。そして種結晶24と原料融液を馴染
ませるために、原料固体23と種結晶24の上部(およびB
23 25)が融解してからそのままの状態で4時間保持
した。
【0022】一方原料融液を固化させて単結晶を成長さ
せる工程では、熱シールド部材5を5mm/ 時間の速度で
垂直方向に上昇させ、また熱シールド部材5の上端部5
aよりも上方は1238℃よりも高く、且つ下方はこれより
低い温度分布をるつぼ21に付与する様に、ヒータ4a〜
4dの各ゾーンの出力を調整した。
【0023】こうした方法によって単結晶の製造を行な
ったところ、種結晶24のメルトバックはその位置も含め
て確実に制御することができた。また成長させる結晶の
外径や原料固体の充填量を変化させて単結晶製造を行な
ったが、種結晶24を全て溶かしてしまったり、全く溶か
し込まれなかったりという様なことは一切なく、メルト
バック位置の制御は容易に可能であった。
【0024】こうして得られた単結晶はいずれも、比抵
抗が1×107Ω・cm以上で半絶縁性を示すものであり、
2次イオン質量分析法で検出された不純物は硼素のみで
あり、他の不純物の濃度は検出限界以下であり、特に半
絶縁性実現に有害な珪素の濃度は1×1015atoms/cm3
下であった。また製造された単結晶の転位欠陥密度を溶
融水酸化カリウムでのエッチング法により評価したとこ
ろ、固化率0.9 以下で5×103cm-2 以下であり、低転位
密度であることがわかった。
【0025】比較例1 熱シールド部材5を設置しないこと以外は、図5と同じ
装置を用いて単結晶の製造を行なった。このとき種結晶
24のメルトバック、および原料融液の固化に必要なるつ
ぼ内温度分布は、ヒータの出力制御のみで行なった。そ
の結果、メルトバック位置の制御は非常に難しく、種結
晶をすべて溶かし込んでしまったり、全く溶かし込まれ
なかったりして、単結晶が得られないことが3〜5回に
1回の割合で発生した。また製造された単結晶の転位欠
陥密度は、固化率が0.9以下で平均2.0 ×104cm-2 と多
かった。
【0026】実施例2 図6は本実施例で用いた単結晶製造装置の概略説明図で
あり、種結晶24として直径6mm,長さ30mmのものを用
い、るつぼ21,22 が細い種結晶14を充填することのでき
る形状のものになっていること以外は、図5に示した装
置と同様である。
【0027】実施例1と同様にして、外径50mmと75mmの
単結晶の製造を行なったところ、種結晶14のメルトバッ
クはその位置も含めて確実に制御することが可能てあっ
た。また成長させる結晶の外径や原料固体の充填量を変
化させて結晶製造を行なったが、種結晶14を全て溶かし
込んでしまったり、および全く溶かし込まれなかったり
という様なことは一切なく、メルトバック深さdの制御
は容易に可能であった。但し、この場合には、成長結晶
の外径を種結晶14の外径から広げていく部分で、双晶が
発生することもあった。
【0028】こうして得られた単結晶は、比抵抗が1×
107 Ω・cm以上で半絶縁性を示すものであり、2次イオ
ン質量分析法で検出された不純物は硼素のみであり、他
の不純物の濃度は検出限界以下であり、特に半絶縁性実
現に有害な珪素の濃度は1×1015atoms/cm3 以下であっ
た。また製造された単結晶の転位欠陥密度を溶融水酸化
カリウムでのエッチング法により評価したところ、固化
率0.9 以下で5×103cm-2 以下であり、低転位密度であ
ることがわかった。
【0029】比較例2 熱シールド部材5を設置しないこと以外は、図6と同じ
装置を用いて単結晶の製造を行なった。このとき単結晶
24のメルトバック、および原料融液の固化に必要なるつ
ぼ内温度分布は、ヒータの出力制御のみで行なった。そ
の結果、メルトバック深さの制御は可能であるが確実性
に欠け、種結晶14を全て溶かし込んでしまったり、全く
溶かしこまなかったりして、単結晶が得られないことが
10〜15回に1回の割合で発生した。またこの場合には、
成長結晶の外径を種結晶24の外径から広げていく部分
で、双晶が発生して、単結晶がえられないこともしばし
ばあった。製造された単結晶の転位欠陥密度を測定した
ところ、固化率0.9 以下で平均2.4 ×104cm-2 と多かっ
た。
【0030】
【発明の効果】本発明の方法によって、結晶欠陥特に転
位欠陥密度の低い高品質の化合物半導体単結晶を製造で
きる様になった。またメルトバック深さの制御が、確実
且つ容易におこなうことができるので、単結晶を歩留り
よく製造することができ、製造コストの低減が図れる。
更に本発明によれば、製造しようとする単結晶と同じ直
径の種結晶を用いた場合であっても、メルトバックの制
御が容易且つ確実に達成されるので、比較的細長い種結
晶を用いた場合における双晶が発生し易いという不都合
を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する為の装置のメルトバック工程
の状態を模式的に示した説明図である。
【図2】熱シールド部材5による熱遮蔽効果を説明する
為のグラフである。
【図3】本発明を実施する為の装置の融液固化工程の状
態を模式的に示した説明図である。
【図4】熱シールド部材5による温度均一化効果を説明
する為のグラフである。
【図5】実施例1で用いた結晶製造装置の封管後の状態
を示す概略説明図である。
【図6】実施例2で用いた結晶製造装置の封管後の状態
を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1,21,22 るつぼ 2,23 原料固体 3,24 種結晶 4a〜4d ヒータ 5 熱シールド部材

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 るつぼ底部に種結晶、その上方に原料固
    体を配置し、るつぼ外周を取り囲むヒータによって、前
    記原料固体の全部を融解すると共に前記種結晶の上部を
    部分的に溶かし込み、前記融解された単結晶製造用原料
    融液を、るつぼ底部に配置された未融解種結晶から上方
    に向かって固化させつつ化合物半導体単結晶を製造する
    に当たり、前記るつぼとヒータの間に、前記るつぼの外
    周を取り囲む熱シールド部材を配置すると共に、該熱シ
    ールド部材のるつぼに対する垂直方向の相対的な位置を
    変化させつつ操業を行なうことを特徴とする化合物半導
    体単結晶の製造方法。
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