JPH0524838Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、車両において、車両の駆動系以外へ
エンジンの駆動力を伝達する、多段階変速式
PTO（Power take off）出力装置に関する。

〔従来の技術〕

従来、車両の駆動系以外へ、クレーン等付属機
器の駆動力として、エンジンの駆動力を伝達する
PTO出力装置は、トランスミツシヨンに、その
メインシヤフトにおける特定のギヤに噛合する駆
動ギヤ付きPTO出力軸を付設するという構成に
よつている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

このような従来のPTO出力装置による場合、
PTO出力装置は、エンジンから特定の出力ギヤ
を通じて伝達される回転速度で駆動される。

このため、PTO出力軸により取り出される回
転は一段階であり、他の変速段に対応する回転お
よび駆動トルクを得ることができず、応用範囲が
限られるという不具合がある。

本考案は、このような問題点の解決をはかろう
とするもので、従来公知の２軸式の多段階変速機
の構成を有効に用いることにより、これに極めて
少ない点数の部品を追加するだけで多段階変速式
PTO出力装置を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上述の目的を達成するため、本考案の多段階変
速式PTO出力装置は、エンジンの出力軸に接続
された入力軸と、車両の駆動系に接続されたメイ
ンシヤフトと、同メインシヤフトに遊嵌され各変
速比に対応する複数のギヤと、同ギヤを上記メイ
ンシヤフトに選択的に接続せしめる同期手段と、
上記入力軸に接続されるとともに上記メインシヤ
フトにおける複数のギヤに噛合するギヤを有する
カウンタシヤフトをそなえてなるものにおいて、
上記メインシヤフトに遊嵌されたメインシヤフト
PTOギヤと、同メインシヤフトPTOギヤと上記
メインシヤフトとの接断を行なうメインシヤフト
PTOギヤシンクロナイザと、上記メインシヤフ
トPTOギヤにより駆動されるPTO出力軸と、上
記カウンタシヤフトに遊嵌され上記メインシヤフ
トPTOギヤに噛合するカウンタシヤフトPTOギ
ヤと、同カウンタシヤフトPTOギヤと上記カウ
ンタシヤフトとの接断を行なうカウンタシヤフト
PTOギヤシンクロナイザとが設けられたことを
特徴としている。

〔作用〕

上述の本考案の多段階変速式PTO出力装置で
は、メインシヤフトPTOギヤシンクロナイザを
断作動させ、カウンタシヤフトPTOギヤシンク
ロナイザを接作動させてエンジンの出力トルクを
カウンタシヤフト、カウンタシヤフトPTOギヤ
およびメインシヤフトPTOギヤを介してPTO出
力軸にトルクを伝達させたり、メインシヤフト
PTOギヤシンクロナイザを接作動させ、カウン
タシヤフトPTOギヤシンクロナイザを断作動さ
せてエンジンの出力トルクをカウンタシヤフト、
各変速比に対応する複数のギヤの中から操作者が
選択した何れかのギヤ、およびメインシヤフト
PTOギヤを介してPTO出力軸にトルクを伝達さ
せることにより、所望のPTO出力軸トルクが得
られる。

〔実施例〕

以下、図面により本考案の実施例について説明
すると、第１〜７図は本考案の一実施例としての
多段階変速式PTO出力装置をそなえたブレーキ
エネルギ回収装置を示すもので、第１図はその全
体構成を示す模式図、第２図はそのトランスミツ
シヨンの縦断面図、第３〜７図はそれぞれの作動
を示す模式図である。

第１，２図に示すように、車両のエンジン１に
クラツチ２が付設されており、クラツチ２の出力
軸はトランスミツシヨン３の入力軸１９に連結さ
れている。

クラツチ２の出力軸から入力軸１９に入力され
たエンジンの回転は、メインシヤフト４にそなえ
られた各変速比に対応するギヤ１７と、カウンタ
シヤフト５にそなえられた各変速比に対応するギ
ヤ１８との組み合わせにより所要の変速された回
転駆動力としてメインシヤフト４から出力される
ようになつている。

そして、メインシヤフト４にはその出力側端部
にメインシヤフトPTOギヤ６が遊嵌されており、
メインシヤフトPTOギヤシンクロナイザ９の接
作動によりメインシヤフト４とメインシヤフト
PTOギヤ６とが接状態となり、相互に駆動力が
伝達されるようになつている。

メインシヤフトPTOギヤ６は、駆動ギヤ７を
介してPTO出力軸８に連結されている。

一方、カウンタシヤフト５の出力側端部には、
カウンタシヤフトPTOギヤ１０が遊嵌されてお
り、カウンタシヤフトPTOギヤシンクロナイザ
１１の接作動により、カウンタシヤフト５とカウ
ンタシヤフトPTOギヤ１０とが接状態になり、
相互に駆動力が伝達されるようになつている。

メインシヤフトPTOギヤ６とカウンタシヤフ
トPTOギヤ１０とは噛合しており、相互に駆動
力が伝達されるようになつている。

PTO出力軸８には、継手１３および電磁クラ
ツチ１４を介し、油圧ポンプ１５、油圧モータ１
６が連結されており、電磁クラツチ１４の接時に
PTO出力軸８により油圧ポンプ１５が駆動され
るか、または、油圧モータ１６によりPTO出力
軸８が駆動されるようになつている。

本考案の一実施例としての多段階変速式PTO
出力装置をそなえたブレーキエネルギ回収装置
は、上述のごとく構成されているので、車両の定
常走行時には、第３図に示すように、クラツチ２
を接作動、メインシヤフトPTOギヤシンクロナ
イザ９およびカウンタシヤフトPTOギヤシンク
ロナイザ１１を断作動させることにより、メイン
シヤフトPTOギヤ６、カウンタシヤフトPTOギ
ヤ１０は、メインシヤフト４、カウンタシヤフト
５の作動と無関係になり、クラツチ２を介し入力
軸１９から入力されるエンジン１の回転は、トラ
ンスミツシヨン３において通常と同様の変速作動
が行なわれ、変速された回転がメインシヤフト４
を通じ車両の駆動系としてのプロペラシヤフト１
２へ伝達される。

次に、車両の減速時には、第４図に示すよう
に、クラツチ２を断作動、メインシヤフトPTO
ギヤシンクロナイザ９を接作動、カウンタシヤフ
トPTOギヤシンクロナイザ１１を断作動させる。

これにより、プロペラシヤフト１２、メインシ
ヤフト４、メインシヤフトPTOギヤ６、駆動ギ
ヤ７およびPTO出力軸８が、エンジン１から切
り離された状態で連結された駆動系となる。

この駆動系を通じ、車輪の回転力がPTO出力
軸８の駆動力として伝達され、電磁クラツチ１４
を接作動させることにより油圧ポンプ１５が駆動
され、車両の減速エネルギが油圧として蓄えられ
る。

そして、車両の停止時には、第５図に示すよう
に、クラツチ２を接作動、メインシヤフトPTO
ギヤシンクロナイザ９を断作動、カウンタシヤフ
トPTOギヤシンクロナイザ１１を接作動させる
ことにより、クラツチ２、カウンタシヤフト５、
カウンタシヤフトPTOギヤ１０、メインシヤフ
トPTOギヤ６、駆動ギヤ７およびPTO出力軸８
が連結され、電磁クラツチ１４の接作動時にエン
ジン１により油圧ポンプ１５が駆動される。

これにより、発進用エネルギ用等の油圧が不足
している場合に、油圧を補充できる。

さらに、車両の発進時には、第６図に示すよう
に、メインシヤフトPTOギヤシンクロナイザ９
を断作動、カウンタシヤフトPTOギヤシンクロ
ナイザ１１を接作動させクラツチ２を断状態のま
ま電磁クラツチ１４を接作動させる。

これにより、油圧モータ１６、PTO出力軸８、
駆動ギヤ７、メインシヤフトPTOギヤ６、カウ
ンタシヤフトPTOギヤ１０、カウンタシヤフト
５、メインシヤフト４およびプロペラシヤフト１
２が連結された駆動系になる。

すなわち、油圧ポンプ１５により蓄えられた油
圧が油圧モータ１６を駆動し、油圧モータ１６の
回転力が上記の駆動系を通じてプロペラシヤフト
１２に伝達され、車両が発進する。

したがつて、従来発進時に行われていたクラツ
チ２の半クラツチ操作を行なうことなく、車両を
スムーズに発進させることができる。

そして、車両の加速時には、第７図に示すよう
に、クラツチ２を接作動、メインシヤフトPTO
ギヤシンクロナイザ９を接作動、カウンタシヤフ
トPTOギヤシンクロナイザ１１を断作動させる。

これにより、クラツチ２からカウンタシヤフト
５を通じ所要の変速段のギヤ１７，１８およびメ
インシヤフト４を経由してプロペラシヤフト１２
へ至る駆動系と、PTO出力軸８、駆動ギヤ７、
メインシヤフトPTOギヤ６およびメインシヤフ
ト４を通じプロペラシヤフト１２へ至る駆動系と
が並列的に形成される。

したがつて、エンジン１の駆動力と、油圧モー
タ１６の駆動力とがともにプロペラシヤフト１２
へ入力され、車両の加速が迅速に行なわれる。

このように、本考案の実施例としての多段階変
速式PTO出力装置はエネルギ回収用および蓄積
エネルギ放出用として装備されることにより、高
い効果を発揮する。

そして、クラツチ２を接作動させ、トランスミ
ツシヨン３において、メインシヤフトPTOギヤ
シンクロナイザ９を接作動させ、カウンタシヤフ
トPTOギヤシンクロナイザ１１を断作動させた
後、ギヤ１７とギヤ１８の組み合わせを変更する
通常の変速作動により、PTO出力軸８は、トラ
ンスミツシヨン３の段数に対応する数の異なる回
転速度を得ることができる。

また、メインシヤフトPTOギヤシンクロナイ
ザ９を断作動させ、カウンタシヤフトPTOギヤ
シンクロナイザ１１を接作動させた場合には、エ
ンジン１の回転速度に比例した回転が得られる。

さらに、油圧モータ１６でプロペラシヤフト１
２を駆動する際には、メインシヤフトPTOギヤ
シンクロナイザ９を接作動させ、カウンタシヤフ
トPTOギヤシンクロナイザ１１を断作動させた
場合には一段、メインシヤフトPTOギヤシンク
ロナイザ９を断作動させ、カウンタシヤフト
PTOギヤシンクロナイザ１１を接作動させた場
合には、トランスミツシヨン３の変速作動により
トランスミツシヨン３の変速段数に対応する数の
異なる駆動トルク比が得られる。

〔考案の効果〕

以上詳述したように、本考案の多段階変速式
PTO出力装置によれば、エンジンの出力軸に接
続された入力軸と、車両の駆動系に接続されたメ
インシヤフトと、同メインシヤフトに遊嵌され各
変速比に対応する複数のギヤと、同ギヤを上記メ
インシヤフトに選択的に接続せしめる同期手段
と、上記入力軸に接続されるとともに上記メイン
シヤフトにおける複数のギヤに噛合するギヤを有
するカウンタシヤフトをそなえてなるものにおい
て、上記メインシヤフトに遊嵌されたメインシヤ
フトPTOギヤと、同メインシヤフトPTOギヤと
上記メインシヤフトとの接断を行なうメインシヤ
フトPTOギヤシンクロナイザと、上記メインシ
ヤフトPTOギヤにより駆動されるPTO出力軸
と、上記カウンタシヤフトに遊嵌され上記メイン
シヤフトPTOギヤに噛合するカウンタシヤフト
PTOギヤと、同カウンタシヤフトPTOギヤと上
記カウンタシヤフトとの接断を行なうカウンタシ
ヤフトPTOギヤシンクロナイザとが設けられた
という構成をとることにより、従来公知の２軸式
の多段階変速機の構成を有効に利用しながら、こ
れに極めて少ない点数の部品を追加するだけの単
純かつ安価な構成で、２軸式の多段階変速式
PTO出力装置が得られるという極めて優れた効
果を有するものである。

また、エネルギ回収装置に応用できる利点があ
り、エネルギ回収装置として装備した場合には、
車両の走行エネルギを効率よく回収できるととも
に、車両の発進時に半クラツチ操作が不要になる
利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１〜７図は本考案の一実施例としての多段階
変速式PTO出力装置をそなえたブレーキエネル
ギ回収装置を示すもので、第１図はその全体構成
を示す模式図、第２図はそのトランスミツシヨン
の縦断面図、第３〜７図はそれぞれその作動を示
す模式図である。 １……エンジン、２……クラツチ、３……トラ
ンスミツシヨン、４……メインシヤフト、５……
カウンタシヤフト、６……メインシヤフトPTO
ギヤ、７……駆動ギヤ、８……PTO出力軸、９
……メインシヤフトPTOギヤシンクロナイザ、
１０……カウンタシヤフトPTOギヤ、１１……
カウンタシヤフトPTOギヤシンクロナイザ、１
２……車両駆動系としてのプロペラシヤフト、１
３……継手、１４……電磁クラツチ、１５……油
圧ポンプ、１６……油圧モータ、１７，１８……
ギヤ、１９……入力軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンの出力軸に接続された入力軸と、車両
   の駆動系に接続されたメインシヤフトと、同メイ
   ンシヤフトに遊嵌され各変速比に対応する複数の
   ギヤと、同ギヤを上記メインシヤフトに選択的に
   接続せしめる同期手段と、上記入力軸に接続され
   るとともに上記メインシヤフトにおける複数のギ
   ヤに噛合するギヤを有するカウンタシヤフトとを
   そなえてなるものにおいて、上記メインシヤフト
   に遊嵌されたメインシヤフトPTOギヤと、同メ
   インシヤフトPTOギヤと上記メインシヤフトと
   の接断を行なうメインシヤフトPTOギヤシンク
   ロナイザと、上記メインシヤフトPTOギヤによ
   り駆動されるPTO出力軸と、上記カウンタシヤ
   フトに遊嵌され上記メインシヤフトPTOギヤに
   噛合するカウンタシヤフトPTOギヤと、同カウ
   ンタシヤフトPTOPギヤと上記カウンタシヤフト
   との接断を行なうカウンタシヤフトPTOギヤシ
   ンクロナイザとが設けられたことを特徴とする、
   多段階変速式PTO出力装置。