JPH0524442B2 - - Google Patents

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JPH0524442B2
JPH0524442B2 JP6565391A JP6565391A JPH0524442B2 JP H0524442 B2 JPH0524442 B2 JP H0524442B2 JP 6565391 A JP6565391 A JP 6565391A JP 6565391 A JP6565391 A JP 6565391A JP H0524442 B2 JPH0524442 B2 JP H0524442B2
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JP
Japan
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pole
rotor
equation
poles
phase
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Application number
JP6565391A
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English (en)
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JPH04212008A (ja
Inventor
Uein Reibii Robaato
Jei Beikaa Aran
Ii Kuraisu Roderitsuku
Ii Rindobaagu Aaru
Sutoruto Deiriru
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hewlett Packard Japan Inc
Original Assignee
Yokogawa Hewlett Packard Ltd
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Publication date
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Priority claimed from US06/478,759 external-priority patent/US4533902A/en
Priority claimed from US06/479,043 external-priority patent/US4630033A/en
Application filed by Yokogawa Hewlett Packard Ltd filed Critical Yokogawa Hewlett Packard Ltd
Publication of JPH04212008A publication Critical patent/JPH04212008A/ja
Publication of JPH0524442B2 publication Critical patent/JPH0524442B2/ja
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    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01DMEASURING NOT SPECIALLY ADAPTED FOR A SPECIFIC VARIABLE; ARRANGEMENTS FOR MEASURING TWO OR MORE VARIABLES NOT COVERED IN A SINGLE OTHER SUBCLASS; TARIFF METERING APPARATUS; MEASURING OR TESTING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G01D5/00Mechanical means for transferring the output of a sensing member; Means for converting the output of a sensing member to another variable where the form or nature of the sensing member does not constrain the means for converting; Transducers not specially adapted for a specific variable
    • G01D5/12Mechanical means for transferring the output of a sensing member; Means for converting the output of a sensing member to another variable where the form or nature of the sensing member does not constrain the means for converting; Transducers not specially adapted for a specific variable using electric or magnetic means
    • G01D5/244Mechanical means for transferring the output of a sensing member; Means for converting the output of a sensing member to another variable where the form or nature of the sensing member does not constrain the means for converting; Transducers not specially adapted for a specific variable using electric or magnetic means influencing characteristics of pulses or pulse trains; generating pulses or pulse trains
    • G01D5/247Mechanical means for transferring the output of a sensing member; Means for converting the output of a sensing member to another variable where the form or nature of the sensing member does not constrain the means for converting; Transducers not specially adapted for a specific variable using electric or magnetic means influencing characteristics of pulses or pulse trains; generating pulses or pulse trains using time shifts of pulses
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01DMEASURING NOT SPECIALLY ADAPTED FOR A SPECIFIC VARIABLE; ARRANGEMENTS FOR MEASURING TWO OR MORE VARIABLES NOT COVERED IN A SINGLE OTHER SUBCLASS; TARIFF METERING APPARATUS; MEASURING OR TESTING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G01D5/00Mechanical means for transferring the output of a sensing member; Means for converting the output of a sensing member to another variable where the form or nature of the sensing member does not constrain the means for converting; Transducers not specially adapted for a specific variable
    • G01D5/12Mechanical means for transferring the output of a sensing member; Means for converting the output of a sensing member to another variable where the form or nature of the sensing member does not constrain the means for converting; Transducers not specially adapted for a specific variable using electric or magnetic means
    • G01D5/243Mechanical means for transferring the output of a sensing member; Means for converting the output of a sensing member to another variable where the form or nature of the sensing member does not constrain the means for converting; Transducers not specially adapted for a specific variable using electric or magnetic means influencing the phase or frequency of ac

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  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)
  • Length Measuring Devices With Unspecified Measuring Means (AREA)
  • Transmission And Conversion Of Sensor Element Output (AREA)
  • Measuring Phase Differences (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は特別に高精度の
部品を使用しなくとも高精度の位相測定を行なう
ことができる位相測定装置に用いられる変換器に
関する。なお、本明細書で言う位相とは当然、角
度の概念も含む。
【0002】
【従来技術及びその問題点】 先行技術による位
相測定装置、およびこの応用である角度変換装置
の多くはAC信号を発生しその位相差は入力の位
相や角度に対応している。たとえば、アメリカ合
衆国特許2930033号および3278928号を参照のこ
と。これらの装置の精度は一部には信号発生要素
がその信号を作るために相互作用を行う機械的精
度に関係するとともに、得られた位相を測定する
ために使用する手段の精度にも関係する。この種
の幾つかの周知の構成では、対応する固定および
可動のセンサに光学的、容量的、あるいは誘電的
のいずれかで結合された1つまたは複数の回転極
を備えている。他の構成でも極とセンサとの機械
的役割が入れ代わつている他は同じである。この
ような装置の精度を高めるためには、先ず発生さ
れる2つの信号(つまり、固定側と可動側から
の)全サイクルについて、入力角が2つの信号の
対応するサイクルでの位相差に忠実に翻訳された
ものになつている様にしなければならないと、一
般に考えられている。測定した位相の信頼性を高
めるために平均化が行なわれることが屡々ある。
平均化は単に非常に多くのサイクルに亘つて位相
を測定したり、センサの数を増やしてその出力を
電気的に加算したりする。しかし平均化しても極
配置の誤差を必ずしも正確に解消しないばかりで
なく、位相測定アルゴリズムに特別な準備をしな
いかぎり、極の角度的配置誤差から生ずる信号周
期の変動が測定結果に誤差を生ずる可能性があ
る。特に、複数のセンサ出力を加算する方法は、
センサの信号の振幅が変動する場合には、それ自
体、誤差を生ずることがある。たとえば、センサ
が偏心して取付けられた場合、センサと極との距
離が変化することがあり、これがセンサ信号に対
応する振幅の変化を起す。
【0003】 或る種の偏心誤差を減らすために共通
に使用されている技法では、実際には、これら先
行技術の角度変換器がその性能を発揮するために
は極の機械的配置の正確さに一層大きく依拠する
ことがある。たとえば、直径の反対側に置かれた
一対または複数対のセンサから生ずる信号をアナ
ログ的に加算するという技法がある。ほとんど0
になるまで加算しつづけることによつて反対の位
相誤差は互いに実質的に打消される。本質的に、
この技法は2つ以上の信号を1つに組合わせてこ
れを位相測定における2成分の1つとして使用す
る。極の配置の誤差が大きかつたり、センサが真
に正反対になかつたりした場合、対向するセンサ
の正反対配置から生ずることになる希望する効果
は相殺されあるいは無効になる。すなわち、セン
サ信号をそのまま加算することにより平均化され
ることになつている誤差成分が実質に一致し且つ
周期が等しくないかぎり、希望する誤差の相殺は
起らない。このことから、極を規則正しく配置す
る必要性が強まると共に、極の形状が同じでなけ
ればならないという条件が加わつてくる。
【0004】 偏移信号位相角度変換装置の精度が極
配置の精度に基本的には少しも依存せず、位相測
定手段の精度にのみ依存することが望ましい。偏
心誤差を減らす技法が極配置の精度あるいはその
形状の対称性に依存しないことも望ましいことで
ある。
【0005】 偏心誤差補正について簡単に説明を加
えると、打消されるべき誤差成分は位相誤差であ
る。原理的には、前述のような即時相殺は、直径
の正反対位置に配置された両センサからの信号の
振幅が等しければ、ほとんど正確に行なわれる。
残念ながら、偏心誤差の性質上、2つの信号の振
幅差も生ずる。従つて、位相誤差を振幅差に関係
なしに打消すことができることが望ましい。これ
らの注意は或る種の他の誤差にも同様にあてはま
る。
【0006】 回転要素の角速度が変化すれば位相測
定手段の精度に重大な影響をおよぼすことがあ
る。このような変動があれば位相差を求めようと
している信号の周期が変化する。位相測定手段が
角速度の定常状態の変化(つまり、平均値等の変
化)と回転部材の各回転中に起きる周期的変化と
に本質的に鈍感であることが非常に望ましい。周
期的変化に鈍感であれば、これらの変動をならす
ために角運動量を生ずる(「フライホイール効
果」)質量の必要性が減り、したがつて本装置の
重量を軽くすることができる。
【0007】 固定および可動のセンサの信号間のク
ロストークは位相歪を生ずることがあり、これが
あれば本位相の精度が非常に低下する。このよう
なクロストークは遮蔽を施すことによつて減少さ
せあるいは除くことができることが多いが、これ
により原価と機械的複雑さとが増え、重量が増
し、またおそらくは大きさも増大することにな
る。AC信号を発生するために使用する技法が、
クロストークがあつてもその情報を正確に伝える
ことができるような性質を有するAC信号を発生
するようなものであること、および位相測定技法
がクロストークに本質的に鈍感で、真の位相情報
を正確に得ることができるようになつていること
が非常に望ましい。
【0008】 可変位相差の信号を発生するあらゆる
種類の変化器を用いる先行技術の位相測定技法に
よれば「精」の測定として最もよく特徴づけられ
る結果を生ずることがよくある。この精密な結果
は剰除(modulo)値であり、「粗」の測定の結果
と組合わせなければならない。これがどのように
行なわれるかによつて一般に装置が増分式
(incremental)か絶対式(absolute)かが決る。
これらの注意が適用される装置の例にはある種の
角度変換装置や距離測定装置がある。「粗−精」
測定に関しては固有の悪いところはないが、高精
度かつ高分解能の統一的な結果を直接に得ること
により、粗と精の成分を別々平均し次いでそれら
を組合わせる際に起る周知の落し穴を避ける必要
のない位相測定の技法を使用すれば好都合である
のは確かである。この問題の幾つかは測定のモジ
ユロ的性格から生じ、非常に小さいあるいは非常
に大きい値(すなわち、剰余をとつた測定結果が
剰余をとるための法の値に近いところからゼロに
転換する転換点に極めて近い値)を取り扱う方法
に関係している。これらの問題はすべて今までは
工合よく取り扱われてきたが、その解決法は費用
に無関係ではなかつた。したがつてこのような
「粗−精」方式の精度と分解能とをすべて維持し
たままこれらの心配を無くすことができることが
望ましい。このような位相測定技法は信号周期の
変動(極の配置の誤差、モータの速度変動)やク
ロストークに対する鈍感性をも保つていなければ
ならない。
【0009】 位相測定技法の重要な考慮事項はいわ
ゆる「位相一致問題」からの開放である。これは
位相測定の「始動−停止」方法と呼んでもよい方
法において一般に経験されるものである。この方
法は同じ周波数で既知周期の2つの信号間の位相
を測定するものである。ここにおいては、一方の
信号のゼロ交叉点またはエツジでタイマーを始動
させ、他方の信号の対応するゼロ交叉点またはエ
ツジでこのタイマーを停止させることにより位相
が測定される。つまりタイマで測定された時間は
1周期のうちの一部分であり、したがつて位相を
表わす。この方法について一般的な平均化の技法
は単にn個の測定間隔を記憶しておき、その結果
をn個の周期で割ることである。
【0010】 しかしこの方法は、特にこのような平
均化と共に使用するとき、始動と停止の条件が互
いに非常に接近してくると重大な困難を伴う。ノ
イズによつてそれらが取違られて観測されること
があり、このため非常に大きな角度および非常に
小さな角度を見分け平均することが非常に困難に
なる。この問題に対する普通の対策は、測定値が
0の両側の選定した領域内に通常入つたときは
180度のオフセツトを導入し後で取り除くことで
ある。平均をとることの長所を保ちながらこのよ
うな余分な手間を省くことが望ましい。
【0011】 回転部材を備えた装置では絶対式測定
の粗情報あるいは他の情報は各回転の完了をしめ
す信号から得られる場合が非常に多い。これらの
1回転に1回の信号を発生するために余分な極ま
たはセンサを設ける必要がないことが望ましい。
【0012】 そして最後に、いままでの利点がすべ
てデイジタル方式で達成でき、精密な、ドリフト
の少ないアナログ回路の必要性をできるかぎり少
なくできれば好都合である。特に、マイクロプロ
セツサの計算能力及び判断能力を利用して、測定
のハードウエアに好適な構造的特徴を利用するこ
とと相俟つて、全体としての変換器の大量の論理
的複雑さを処理アルゴリズムに移すことが望まし
い。
【0013】
【発明の目的】 本発明は上記した従来技術の問
題点を解消し、望ましいことであると延べられた
事項を達成することを目的とする。
【0014】
【発明の概要】 これらのおよび他の利点は以下
に要約する教示を利用することにより実現でき
る。その結果、必要な機械部品は少ないが秒(1/
60度)のレンジの測定に優れた能力を発揮する比
較的低コストの精密な角度変換器が得られる。
【0015】 実施例で説明する角度変換器は、原理
的に極の配置誤差には鈍感な位相測定技法を用い
ることによつて回転極の配置に高い精度を必要と
しなくなつている。この技法はまたセンサと極と
の間〓の不均一さまたは変動に本質的に鈍感であ
る。実施例の角度変換器では、回転極は標準の市
販の歯車を2枚共通の軸に軸受けしモータで駆動
するようになつている。直径の反対側に独立に
(すなわち、別々に、且つ出力がアナログ的に加
算されない)配置された固定および可動の磁気セ
ンサ対から、歯車が回転するにつれて4つのAC
信号が発生される。
【0016】 偏心誤差のほか、同様な誤差も、直径
の反対側に独立に配置したセンサで極めて正確に
補正される。しかもこの様な補正をするからと言
つて、歯車の歯の間隔を規則的あるいは正確にす
る必要はないし、またセンサの対の配置を正確に
直径の反対側にする必要もない。いろいろな独立
のセンサは各々それ自身の個別の信号を発生し、
そこに含まれている回転で起きる遷移情報の少な
くとも1回転分が周期的サンプリングで捕えられ
記憶装置に記憶される。測定を行うときは、各セ
ンサに関する遷移情報が総計され他のセンサの同
様な総計と組合わされる。このようにしてすべて
の自己相殺位相情報が提示され、総計が組合わさ
れるとき打消しが行われる。しかしながら、偏心
による位相誤差は、アナログセンサ信号が実時間
で集計されるときのように、元々同時対比で感知
される必要はないものである。誤差の打消しを最
大にするために極の配置を理想的にしなければな
らないのは直径両端のセンサの対称性による反対
誤差のこの同時性のためである。正確に1回転ま
たは整数回の回転の信号を記憶した位相情報を処
理することによつて直径両端のセンサにおける誤
差の対称性という本質的な性質が保されるが、同
時性の必要は無くなる。このように、極の幅は回
転軸に対して等角にする必要がなくなる、すなわ
ち軸の周りに規則正しい角度で配置する必要はな
くなる。
【0017】 また、いろいろなセンサに関する測定
は同じ回転中に行われるので、自己相殺が可能で
はあるが回転ごとに同じではないいろいろな他の
誤差が最大限まで任意に減ることになる。この例
はいくつかのボールベアリングのうち1つだけ寸
法が大きなものが混じつている玉軸受である。
【0018】 前述の総計量は2つの独立なセンサの
信号の間の位相を測定する過程で形成される。多
数の異なる位相測定が、センサの1つの組合せご
とに1つ行われる。つまり、位相は固定センサと
可動センサの組合わせごとに測定される。この位
相測定は関係する信号の振幅に影響されない。一
旦いろいろな位相のすべてが手に入るとこれらを
平均して偏心によりもたらされる位相誤差を打消
すことができる。要するに、分離できない実体と
して位相と振幅とを平均して(したがつて振幅差
が位相差に影響する)から位相を測定するかわり
に、最初に位相を測定してから位相だけを平均す
るのである。したがつて偏心による位相誤差はほ
とんど正確に打消され、同様に偏心または極−セ
ンサ間距離の不均一性によつて入り込む付随的振
幅変動も関係しない。
【0019】 位相が測定される両信号は夫々周波数
がことなるため、クロストークは以下で説明する
角度変換器には影響を与えない。すなわち、可動
センサからの信号で運ばれる位相情報は固定セン
サからの信号で運ばれる位相情報とは直交
(orthogonal)している。周波数を適正に選択す
ると各周波数の他に及ぼすクロストークを積分し
た結果は、原理的に0になる。実際には、デイジ
タル方式では離散サンプリングが行なわれるとい
う性質から、誤差の打消しは近似的に達成される
だけであるが、この近似は、原理的には、正確な
値にいくらでも近づけることができる。どの周波
数も他の整数倍になることのないようにして上述
の異なる周波数が選定される。本発明による位相
測定装置では歯数が互いに異なる歯車を使うとい
う簡単な手段によつて、このような周波数の信号
を作り出している。
【0020】 本発明にかかる位相測定技法では、相
異なるしかもおそらくは一定でない周波数の信号
でも、ただ以下の条件を満足するだけで使用可能
である。まず、一方の周波数のP個のサイクルに
対して必ず他方の信号では正確にQ個のサイクル
が存在しなければならない。第2に、一方または
両方の信号についての絶対的な基準位置を繰返し
識別しあるいは追跡するための何らかの手段が用
いられねばならない。両信号に絶対位置マークが
あれば絶対的な(すなわち、増分的でない)統合
された(すなわち、粗と精が別々に求まるのでは
ない)結果が得られる。結果を粗と精とに分ける
ことも可能である。絶対基準マークが1つだけあ
る場合には精の方の測定結果が得られ、粗の方の
情報は別個の絶対測定により、あるいは増分の積
上げにより得られる。後に検討する詳細な事項に
よれば、絶対基準マークはハード的に(つまり、
実際の信号として)得られるか、あるいはソフト
的に(つまり、マイクロプロセツサがマークとな
るべきあるサイクルを抽出する。この抽出のた
め、マイクロプロセツサがマークとして抽出され
るべき各サイクルの間隔を用いてマークを見失な
わない様にする)に得られる。前者の場合には位
相測定技法に有用なある定数を見い出してマイク
ロプロセツサが使用するためにコード化され恒久
的に貯えておくか、あるいは装置に電源を投入す
る毎にマイクロプロセツサがその値を自動的に見
つけて貯えるかのどちらかにより使用できる様に
なる。後者の場合には、基準マークとしてどのサ
イクルが選ばれたかにより上述の定数値が変化し
得るので、定数を恒久的に記憶しておくことは不
可能である。後者の場合に自動的に定数を見つけ
るには、オペレータが1つまたは2つの既知の静
的条件を装置に入力して定数の値を発見できるよ
うにしなければならない。いずれの場合でも、定
数の値を見つけなくてもよいようにする方法も存
在する。
【0021】 本発明にかかる角度変換装置では、各
歯車から任意に選択された歯を取り除くという簡
単な手段により、絶対基準マークを容易に発生す
ることができる。すなわち、この場合、マイクロ
プロセツサは各センサ信号の中から取り除かれた
歯に対応する周期的な乱れを検知する。この検知
により絶対基準マークの相対的位置が求まる。一
旦この位置が決まるとマイクロプロセツサはそれ
らの除去された歯がそこにあつた場合に各センサ
により発生された信号(あるいはこれらから得ら
れる位置・時間情報)を正確に近似できる。これ
により、この処置をとらなかつた場合に欠けた歯
が位相測定自身におよぼした影響(このような影
響は現在知られていない)および関連する誤差減
少機構におよぼす影響(これらの或るものが知ら
れており、二次的な効果を起しやすい)が最小に
なる。
【0022】 位相測定自身は、2つの信号P個ある
いはQ個のサイクルの間の任意の時刻から始める
ことができる。マイクロ処理装置は各信号毎に、
全体サイクルの単位で、開始時刻とそのそれぞれ
の絶対基準マークが最近に起つた時刻との差を指
示する。信号の1つが次にゼロを交叉した時点を
局所的基準時刻として測定を始め、局所的基準時
刻とそれぞれの信号のP個およびQ個の連続した
サイクルのゼロ交叉時刻とを測定して、表に記憶
する。以下で説明される本発明の実施例では、正
方向の(positive going)ゼロ交叉のみを考慮し
たが、代りに負の方向の(negative going)ゼロ
交叉を使用することもできる。システムは各ゼロ
交叉をどちらでも容易に使用することができる。
表の中のデータを使用して一方の信号のP回の遷
移時刻と他方の信号のQ個の遷移時刻のそれぞれ
について和がとられる。これらの和は、Pあるい
はQサイクルに必要な時間、開始時刻と絶対基準
との差の測定値、およびPとQの値と算術的に組
合わされることにより、位相が算出される。
【0023】 この技法は先に述べた「位相一致問
題」を免がれている。というのは、ここで必要な
のは夫々単一の基準時刻からの連続したP個およ
びQ個の時刻を独立に測定することだけだからで
ある。ノイズによつてもたらされるのは、その値
を正確には知り得ないことによる避けることかで
きない不確実性のみである。しかしながら、この
不確実性は本技法に固有の平均化によつて軽減さ
れる。しかしこのようなノイズは、P個の時刻と
Q個の時刻との間に特別な対応はないから、法
(modulus)の値分の誤りを有する測定値を導入
する機会はない。このことは極の配置が任意にで
きるという利点と矛盾しない。問題となるのは
「等価単極」と以下で呼ぶものの生起の両平均時
刻の差の変化である。しかしこの平均時刻は夫々
互いに別個に求められるので、位相一致の問題は
全く起らない。
【0024】 前述の測定・計算はゼロ交叉検出器を
独立のセンサの出力に結合して行われる。遅延機
構は各ゼロ交叉検出器出力を遅延させた信号を生
ずる。遷移検出回路は各信号毎に遅延と非遅延の
両者を比較していずれかの信号が遷移したことを
検出する。遷移を検出すると、どのような遷移が
なされたかがデイジタルクロツク回路中の時刻と
ともに直ちに捕捉される。順々に起きる遷移と時
刻のデータが、読出し/書込みが互いに独立にな
される様にした循環バツフアに一時記憶される。
これによつて非同期的なデータが短期間にバース
ト的に生起しても、これらデータの捕捉は、マイ
クロプロセツサ側で割込制御を用いて自己のペー
スで記憶装置に取り込んでいくのとは独立にその
間に行なうことができるようになる。アツプダウ
ンカウンタ回路は循環バツフアに新しい情報が入
つていると、マイクロプロセツサに割込みをかけ
る。割込処理ルーチンの制御のもとでマイクロプ
ロセツサは読取/書込記憶装置内の表に記憶され
ている遷移−時間対情報を更新する。この表には
回転で起るデータが少なくとも1回転分入つてい
る。角度測定を行なうようにとの要求がなされる
と、マイクロプロセツサは表を使用してセンサ間
の各種の位相測定を行ない、その結果を適当な答
にまとめる。
【0025】
【発明の実施例】 図1は本発明にしたがつて構
成された角度変換装置の機構部分を組上げたもの
の斜視図である。静止側の基盤である基準ステー
タ2は回転可能なハウジングである入力ステータ
3を支持し、また電子回転とモータとを包蔵して
いる。機械部分1内の回路から発生する電気信号
はへその緒状(umbinical)ケーブルによりマイ
クロプロセツサを含む付加回路(図示せず)に与
えられる。マイクロプロセツサは4つの信号の遷
移のタイミングに含まれている位相情報に関して
演算を行ない、使用システムに角度での秒の精度
まで出せる絶対角度のデータを提供する。
【0026】 ステータ2は、角度測定が行なわれる
器具または装置にしつかりと取付けられる。たと
えば、軸受台(pedestal)に取付けることもでき
るし、三脚載置装置たとえばセオドライト
(theodolite)の基準部材に取付けることができ
る。角度を測定すべき可動部材は回転可能な入力
ステータ3に機械的に結合される。この様にし
て、入力角度は可動部材により結合されている入
力ステータ3と基準ステータ2との間の角変位と
して示される。
【0027】 機械部分1の中の電子回路は4つの方
形波信号を発生する。角度情報は4つの方形波信
号のうちの選ばれた組の各信号の間のある法
(modulus)のいろいろな位相差の中に他の組の
残りの各信号との関連で含まれている。これら4
つの信号を、たとえばA,B,XおよびYと名付
けると、信号Aと信号Bとは同じ周波数になり、
たとえば入力ステータに対応する。また信号Xと
信号Yは同じ周波数だか、この周波数は信号A,
Bとは同じでない方が望ましい。信号A,Bは基
準ステータに対応する。この節の2番目の文に記
述した複数通りの比較は信号Aの位相を信号Bの
位相と比較することについて述べるのではない
し、また信号Xの位相と信号Yの位相との比較の
ことを言つているのでもない。そこで述べられて
いるのは「信号Bと組合わされた信号A」と「信
号Yとく組合わされた信号X」との間の位相差を
見つけ出すということなのである。これを行なう
には、実際に行なわれる位相測定はA:X、A:
Y、B:X、およびB:Yである。今後、これら
を簡単にAX,AYなどと云うことにする。これ
らの位相測定を行なう理由は以下の適切な箇所で
詳細に説明することにする。2つ前の節で言及し
た付加回路はこれらの位相差を示すタイミングデ
ータを得、マイクロプロセツサはこのデータを高
精度の絶対角度測定値に変える。
【0028】 図1に示すように、機械部分1は比較
的簡素な構成にすることができる。1つの実際の
実施例においては機械部分1は直径が約114.3mm
(約4.5インチ)、高さが約57.15mm(約2.25インチ)
である。
【0029】 次に図2を参照すると、角度変換装置
の機械部分1が一部分分解して示されている。回
転可能ハウジングである入力ステータ3は取外さ
れており且つ上下がひつくり返されている。ロー
タ軸4は見えない軸受で静止ベースである基準ス
テータ2の底に確実に軸受けされている。ロータ
軸4はその軸の周りに回転自由であるが、軸の延
長方向への力に対して固定されている。一対の軸
受(このうち上部軸受12だけが見える)により
ロータ軸4に軸受けされているのは、モータ駆動
され透磁性歯付の2つの環状部材である基準ロー
タ6である。この2つの環状部材は好ましくは透
磁率の低いスペーサ19によつてしつかりと取付
けられ且つ分離されている。基準ロータ5、入力
ロータ6は各々スペーサー19にねじ止めされ互
いに相対的に動けない。これらは一体としてロー
タ軸4の周りに回転できるだけである。基準ロー
タ5、入力ロータ6の歯の位相精度は角度変換装
置の精度にほとんど影響しないことが以下で説明
される様に実証されているので、標準在庫品の鋼
製歯車を用いて差支えない。
【0030】 基準ロータ5と入力ロータ6とは印刷
回路板7の下にある静止ベースである基準ステー
タ2の凹所の中に配置されている本図では見えな
いモータで駆動される。ここに示した構成に好ま
しいモータは直流のホール効果整流3相モータで
その回転速度は毎秒3回転に電気的に調製されて
いる。(少なくとも毎秒2から10回転までの速さ
が実用的と思われる。回転速度の低下につれて磁
気センサからの信号振幅も低下するということで
上述の下限が定まる。一方上限の方は低価格のマ
イクロプロセツサの処理能力および可搬モータの
消費電力の点から今のところ毎秒10回転に抑えら
れている。原理的には、ロータの回転速度はもし
希望するならば、かなり大きくすることができる
はずである。)モータの界磁巻線は前述の凹部の
内部に固定されているが、電機子は基準ロータ5
の下側に固定された磁気リングに取付けされてい
る永久磁石から構成されている。
【0031】 一対の独立した自己バイアス式磁気セ
ンサである基準センサ8,9は基準ロータ5の周
りに直径の反対側に対向して配置されている。基
準ロータ5が回転するにつれて、互いに独立した
基準センサ8,9は夫々のセンサとそのすぐ傍の
歯車の歯とで形成される関連する磁気回路のリラ
クタンスの時間的変化を検知する。基準センサ
8,9の各々が発生する信号は夫々形成されて前
述の4つの方形波のうちの2つ(先に記したXと
Y)になる。
【0032】 他の組の独立の自己バイアス式磁気セ
ンサである入力センサ10,11は回転可能なハ
ウジングである入力ステータ3の下側に配置され
ている。入力センサ10,11も入力ロータ6の
回転によるリラクタンスの時間的変化に応答して
別々の信号を発生する。この別々の信号はそれぞ
れ方形波に成形されるが、これが残りの2つの方
形波信号(前述のAとB)である。
【0033】 印刷回路板7は、モータ速度制御回路
のほかに、増幅器と、4つの磁気センサ8〜11
からの一般に正弦波状の出力をその関連する方形
波信号A,B,XおよびYに変換するゼロ交叉検
出器とを備えている。
【0034】 組立てたとき、回転可能な入力ステー
タ3はロータ軸に錠止され、ロータ軸4は前述の
ように静止ベースである基準ステータ2の底部に
あるロータの下(見えない)軸受で回転を確実に
支えられている。ロータ軸4は回転する入力ステ
ータ3の回転の安定な軸となり、これを介して入
力角度が加えられる。入力ステータ3は更にリテ
ーナ16で所定位置に保持されている一連の玉軸
受15によつて基準ステータ2に支持されてい
る。焼入研磨した軸受表面13,14は夫々介在
する玉軸受15が運行するレース(race)を形成
する。これにより、ロータ軸4の安定軸の周りに
なめらかな且つ低摩擦の回転をするように入力ス
テータ3を基準ステータ2上にしつかりと支持す
る。本軸受構成はセオドライトの望遠鏡を角度変
換装置の直上に取付けることができるようにする
ためのものである。
【0035】 他の機械的構成も可能である。たとえ
ば、ロータ軸4を基準ステータにしつかりと取付
け、他方、入力ステータをロータ軸に軸受で支持
してもよい。
【0036】 入力ステータ3はどんな入力角度を変
換することになつても自由に回転できなければな
らない。この目的のため、回転可能ハウジングで
ある入力ステータ3の下側にある4個の円形スリ
ツプリング17が4組の弾性接点18と対応して
配置されている。弾性接点18は入力センサ1
0,11からの信号を印刷回路板7に伝える。し
たがつてこの入力ステータ3においては入力角度
の方向と大きさとに関する制限はない。
【0037】 角度が入力されることにより、入力ロ
ータ6についての入力センサ10,11からの信
号と基準ロータ5についての基準センサ8,9か
らの信号との間に、入力角度に対応する位相差が
発生される。何故こうなのかを見るため、入力ス
テータ3は入力センサ10,11が夫々基準セン
サ8,9の直上に配置されるような位置になつて
いると仮定する。また、入力及び基準ロータ5と
6には同じ歯車を用い、かつロータ軸方向から見
れば両歯車の歯がぴつたり重なつている様に取付
けられていると仮定する。この寧ろ制限的である
条件のもとでは、対応する信号の組が同時に発生
するため、基準センサ信号と入力センサ信号との
間には位相差がないことになる。ロータにn個の
歯があると仮定すれば、たとえば360/n度の機
械的角度が入力されたときにおいても、前述の空
間的配置によつて両方で同時に信号が発生するた
め、入力、基準センサ信号の間に電気的位相ずれ
は発生しないことになる。すなわち、n個の歯は
360/n機械度の機械的な法(modulus)を有す
る信号(つまり、この法についての剰余信号)を
発生する。この機械的な法の範囲内で(すなわち
ロータがi×360/n度から(i+1)×360/n
度まで回転する間に)センサ出力は360電気度の
完全なサイクルを示す(つまりセンサの出力信号
の位相は360度回る)。もし機械的入力が360/n
度の1/4であれば、センサの出力信号には360度の
1/4すなわち90度の位置ずれが得られることにな
る。
【0038】 機械的な1回転毎にセンサ出力信号の
方では位相が丁度n回回るから、電気的位相差は
便宜的に「精」の測定値とも言える。入力角度に
は「精」のサイクルがいくつ含まれているかを示
す「粗」の値と「精」の値とを結合すれば入力角
が測定できる。粗の値は普通は精の測定において
位相が丁度1回分回つたことが判つたことに応答
して今記憶されている粗の値をインクリメントす
ることにより得るか(いわゆる増分法)、直接に
測定するか(いわゆる絶対法)のいずれかでなけ
ればならない。以下に詳しく検討する好ましい位
相測定技法はこの粗/精の概念と両立し、また増
分および絶対の測定法の概念と両立するものであ
る。しかしながら、本発明の利点を最大限に利用
すると、測定の結果がそのまま最終的「答」とな
るため、本測定結果は明確に粗と精の成分に分離
することはできない。従つて粗と精という概念は
不必要となる。ある意味で、これらの概念はなお
存在する。たとえば歯車の歯が規則正しく配置さ
れている場合には、「粗」と「精」とはその本来
の意味と幾分似通つたものを持つている。(本発
明においては、粗と精の概念がその旧来の意味を
持つためには、各ロータの極の数が等しくなけれ
ばならないと思われる)。しかし先に述べたとお
り、これらはロータが満足しなくてもよい不必要
な条件である。両ロータに用いられる歯車の歯数
が互いに等しくなかつたり、あるいは歯が不規則
に配置されている場合には、「粗」と「精」とに
はむしろ特殊な意味がでてくる。このことについ
ては位相測定技法を説明する部分の終りで更に詳
しく論ずることにする。
【0039】 本発明にかかる位相測定技法の好まし
い使用法では各ロータの1回転毎につき1回出現
するハード的なマークを発生する手段を備えてい
る必要がある。これは各ロータ上のある極を「絶
対基準極」として識別することに等しい。しかし
ながら、また、ここに説明する技法が柔軟である
ことの例として、位相測定自身が、「完全な」答
をなお必要としながら「精密な」答だけを発生す
るならば、増分測定法を使用する(入力ロータの
「1回転につき1回」のマークを省略できる)か
2つの「1回転につき1回」のマークを別個の粗
測定を行なうために使用するかすることになる。
この後の2つのいずれかの場合にはロータ回転子
5に(P=Qでないかぎり)置かれた1回転1回
のマークが本測定にあたつて基準ロータ5のため
の基準極情報を提供する。ソフト的な1回転1回
のマークついては他の箇所で説明する。マークの
必要性はいずれにせよ同じである。異なつている
のは主としてそのマークの発生の仕方である。
(ここに書かれているように、これらの注意は以
後のいろいろな章に現れるそれらの支持項目とは
切り離されており、完全にはそれと認識されない
かもしれない。これらは単に事柄を述べるためと
本発明の位相測定技法の柔軟さとを説明するため
に記述してあるのである。)
【0040】 別々の1回転につき1回のマークを用
いれば、精測定と関連させることのできる粗測定
を行なつて絶対の(すなわち増分式ではない)角
度測定値を発生する手段が得られる。このような
粗測定は位相比較でも行なわれる。しかしなが
ら、その位相を測定すべき夫々の信号には機械的
回転あたり1電気サイクルだけしかないから、電
気的位相の360度は入力ロータ3が丁度360度だけ
機械回転したことに対応する。更に、2つの1回
転1回マーク間の粗位相測定値を求める際に、ロ
ータ回転あたりn個の精サイクルをクロツクとし
て使用することができる。これによつて粗測定の
モータ速度変化の影響がかなり軽減される。ハー
ド的に1回転1回の信号を発生するため入力、基
準ロータに夫々個別にセンサを備えるかわりに、
入力、基準ロータから夫々歯を1つ取除くだけで
この信号を容易に得ることができる。図2で、歯
20と21が夫々基準ロータ5、入力ロータ6か
ら取除かれている。マイクロプロセツサは1回転
1回のマークほども長い周期を認識できるととも
に、無くなつたサイクルからそれが実際にそこに
あつた場合どうなつていたかについての高精度の
推定をすることができる。
【0041】 1回転1回のマークの他に考えられる
使用法は丁度1回転分のデータを集めるための時
間間隔を指示することである。丁度1回転分のデ
ータは本発明の位相測定技法において重要であ
る。しかしながら、このような方法では、このよ
うな時間間隔の開始時点が制限され(つまり、1
回転1回マークの検出時点しか開始時点になれな
い)、測定の進行をかなり遅くする。プロセツサ
が利用でき、且つロータ極数が変らないのである
から、丁度1回転分のデータを集める好ましい方
法はサイクルを数えることである。このようにし
て位相測定は任意の極がいずれのセンサを通過し
た時点で開始することができる。
【0042】 センサの偏心(および、モータの傾き
などのような他の条件)から生ずる誤差は、先行
技術による装置のように、複数の入力センサ出力
のアナログ和および複数の基準センサ出力のアナ
ログ和をその位相比較前に作らないことによつて
益々減少できる。その代り、信号は分離されたま
まになつており、各独立のセンサからの位相情報
はそれら信号のタイミングに厳密に関係する測定
によつて探される。これによつて位相だけに基づ
く偏心補正ができる。前にも述べたとおり、従来
の技術においては、複数の信号の代数的加算を行
なう際、必然的に大振幅信号の位相が小振幅の信
号の位相情報を抑圧してしまつた。本発明におい
てはこの欠点はない。このことが重要である理由
は、偏心が存在すれば同時に信号振幅のかなりな
(しかも非線形の)変動をも引き起すからである。
【0043】 最初に位相を測定し次にその結果を平
均する技法は、他の方法よりは、一般に「1周1
回」誤差、「1周2回」誤差などとして知られて
いる種類の他の種類の誤差を減らす上にも有利で
ある。1周1回誤差は入力角度の周期関数である
測定角度中の誤差であり360入力度の周期を有し
ている。1周2回誤差は180入力度の周期を有し
ている(入力の1回転中に誤差関数が2度繰返
す)。1周1回誤差を減小するには平均化と共に
直径の反対側にセンサを配置するのが良い。1周
2回誤差を減小するには平均化と共に直径の反対
側に配置したセンサを90度ずらして2対配置する
のが良い。これらのおよび関連する技法の有効性
は最初に位相を測定中しその後で平均することで
かなり向上させることができる。
【0044】 最後に入力、基準センサ間のクロスト
ークは変換装置の精度にかなり影響することがあ
る。この影響はロータが丁度整数回だけ回転する
期間にわたり測定すると共に、入力ロータ5の歯
車を基準ロータ6の歯数と等しくないように適当
に選定することによりほとんど全く除くことがで
きる。
【0045】 前記の特徴は従来の位相比較回路で実
行することは困難であるかまたは不可能であるこ
とが明らかである。しかしながら、以下に詳細に
説明する様な、マイクロプロセツサベースの装置
を用いれば、効果的に且つ能率よく実行される。
ここにおいて、マイクロプロセツサは記憶装置の
中にセンサからの4つの方形波信号の遷移方向お
よびその生起時刻の表を作る。この表は4つの信
号のいずれかが遷移することにより起動される割
込処理ルーチンにより作られる。割込状態でない
ときには、マイクロプロセツサは、測定要求があ
れば直ちに、既に表の中にあるデータの処理を開
始することができる。表を循環式にすることがで
きるから、充分古いデータは自動的に新しいデー
タで書き変えられる。
【0046】 角度変換装置のブロツク図 図3Aないし図3Cは前記の特徴を備えた角度
変換装置の簡略ブロツク図である。図3Aないし
図3C中の構成要素のうちで図1及び図2に対応
するものがある場合は、物理的外見は多少異なつ
ていても、図1及び図2中の対応する参照符号を
そのまま用いる。
【0047】 まず図3Aを参照すると、基準ロータ
5と入力ロータ6は、軸22が図2のロータ軸4
に対応する軸に関して回転するように取付けされ
ている。説明を簡単かつ容易にするため、図2で
もつと複雑になつているロータ取付部と駆動機構
は、ここに示すものと置き変えてある。軸が22
である回転軸を駆動するモータおよびその回転軸
を支える軸受は共に図示しない。しかしながら、
ここで描いた構造は確実に動作するものであり、
もし使用する場合にはロータ軸は非磁性材料、た
とえば黄銅で作られる。
【0048】 入力ロータ6の極数は或る整数Qであ
り、基準ロータの極数は、他の整数Pである。実
際の実施例ではQは120であり、Pは144である。
しかし、見やすくするため本図では回転子5と6
と極数はずつと少なく描いてある。このため、こ
れによつて欠除極20,21を明瞭に示すことが
できる。ここに説明する好ましい実施例の場合の
ように、1回転1回の標示マークとして欠除極
(たとえば、歯を除去した歯車)を用いるときは、
物理的な歯数は夫々(P−1)個、(Q−1)個
しかないが、それでもないP個の極およびQ個の
極と言う表現を用いる。勿論、その意味は(P−
1)個及び(Q−1)個の「実際の極」と2個の
「名目上の極」とがあることであり、後者はその
不存在によつて独立に検知することができる。換
言すれば、欠除極を極として数えるということで
ある。もちろん必ずしもこのように考える必要は
なく、たとえば、本実施例における極数Q=119
およびP=143であるとして構造を特徴づけ、欠
除極を極としては解釈しないこともまた容易に可
能である。つまり、この別の解釈においては、欠
除極を2つの極の間に丁度入る全く別の1回転1
回の標示マークと考えることになる。以後の説明
に照らしてこれら2つの方法は、最終解析におい
て、同じ事柄を同等に見ている2つの方法である
ことが明らかになる。
【0049】 基準センサ8,9は基準ロータ5に関
して直径の反対側に位置している。各基準センサ
は磁石23,24、透磁性極片25,26及び検
知巻線27,28を有している。基準センサ8,
9は基準ステータ2の一部であり、固定された位
置に置かれている。 入力センサ10,11は同じ構造であり、入力
ロータ6に対して直径の反対側に配置されてい
る。これら入力センサ10,11は入力ステータ
3の一部であり、入力角度の方向と大きさとに応
じて一体となつて動く。
【0050】 独立した基準センサ8,9及び入力セ
ンサ10,11の各々は、その出力が他のセンサ
の出力に代数的に加算されることはなく、別々に
対応するデータを与える。この様にするため、独
立した基準センサ8,9及び入力センサ10,1
1は増幅器29ないし32に夫々1つずつ結合し
ている。増幅器29ないし32の出力は夫々ゼロ
交叉検出器33ないし36に夫々1つずつ結合し
ている。
【0051】 後の説明の便宜のため、入力ステータ
3上のセンサ10,11に関連する信号及びデー
タに夫々A,Bという名を付け、基準ステータ2
上の基準センサ8,9に関連する信号及びデータ
には夫々X,Yという名を付ける。A,B,X,
及びYは一般に関連する信号経路の情報内容を言
うものであつて、その経路上の特別な点での信号
の特別な電気的形式を指すものではない。
【0052】 図3Bに参照するに、データA,B,
X,及びYは夫々遅延回路37ないし40の対応
する1つに送られる。遅延回路37ないし40を
実現する方法自体は重要ではない。これらはある
仕様を満たしさえすればいろいろな方法で実現す
ることができる。この仕様としては第1次段の回
路において遅延信号と非遅延信号とを比較するこ
とにより信号遷移を検知することができるので充
分な遅延を与えなければならないということであ
る。第2に、各遷移が確実に検出できる様にする
ため、遅延は遅らされる信号の周期の1/2未満で
なければならないということである。そして第3
に、遷移のタイミングがあるクロツクによつて量
子化されるならば、遅延量はそのクロツク周期の
1/2以下でなければならないということである。
第3の仕様は2つの連続する遷移が量子化された
とき、これらが異なる状態として分離される様に
することにより、これらが単一の検出結果に埋れ
ることがないようにするものである。図3Bにつ
いてこのことを具体的に示せば、これら2つの連
続する遷移があつても、その各々について
EVENTと呼ばれる信号が1つずつ別個に出され
るということを意味する。このような遅延を実現
するにはいろいろな手法があり、それらを提案す
ることもできるが、図3Bに示す回路は簡単かつ
好都合に上の仕様を満足している。以下では4個
の同一な遅延回路37ないし40のうちの1つを
代表としてとり上げて説明する。
【0053】 遅延回路37には2個のD型ラツチ4
1と42とがある。D型ラツチ41のD入力はゼ
ロ交叉検出器36の出力に接続されている。クロ
ツク信号回路45から発生される互いに逆極性の
クロツク信号CLK43,/CLK44(/によつ
てオーバーラインを表わす)の前縁でD入力に現
在ある信号Aの値がラツチされD型ラツチ41の
Q信号に現れる。Q出力はD型ラツチ42のD入
力へ与えられ、今度はクロツク信号/CLK44
によつて計時される。クロツク信号/CLK44
の前縁でクロツク信号CLK43の半周期遅れで、
D型ラツチ41にラツチされた値がD型ラツチ4
2にラツチされ、そのQ出力に現れる。クロツク
信号CLK43のなお半周期後に、他の(そして、
前回と異なつているかもしれない)信号Aの量子
化サンプルがD型ラツチ41にラツチされる。信
号Aの遷移は、クロツク信号CLK43の半周期
分だけ離れた2つのQ出力の値が異なるという事
態として現れる。
【0054】 遅延回路37ないし40に対して夫々
XORゲート46ないし49が1つずつ対応して
いる。たとえば、信号Aについては、XORゲー
ト46は遅延回路37の2つの出力に接続され
る。信号Aの遷移がたび毎にXORゲート46は
最後に量子化された値Anが前に量子化されたAn
−1に等しくない半周期を検出する。このような
差を検出すると対応する信号ΔAが発生される。
他の信号ΔB,ΔX,ΔY,及びΔYは夫々XORゲ
ート47ないし49で発生される。
【0055】 ORゲート50には信号ΔAないしΔY
が入力され、信号A,B,X,およびYのいずれ
かが正または負の方向の遷移をしたことを表わす
信号であるEVENT51を発生する。EGENT5
1のパルス幅はCLK43の周期の1/2である。上
に述べた遷移方向およびその時刻の表用のデータ
は次に述べる回路で集められる。先に述べたクロ
ツク信号45の周波数500KHzである。500KHzの
信号CKL43はまた時間の進行を示す情報を提
供する12ビツトのカウンタ52に与えられる。
500KHz及び12ビツトという値は或る程度任意に
選べる。便利さ、費用、および性能等からこれら
の値がほぼ定まつてくる。他の周波数および他の
ビツト数も確かに可能である。
【0056】 信号EVENT51が発生する毎に、そ
の前縁における時刻および状態のデータが数個の
一時ラツチのうちの1つに記憶される。新データ
カウンタ53はどの一時ラツチに記憶されるかを
指示する。信号EVENTの後縁で新データカウン
タ53が進歩される。新データカウンタ53は、
今の例では0、1、2、3、0、…と数える。新
データカウンタ53はその計数値Nなデコーダ/
マルチプレクサ54に与え、時刻及び状態データ
の一時的なラツチ先として、4個の一時ラツチの
次の(Nの計数に続く)ものを選択する。状態デ
ータ遅延回路37ないし40からのXo-1から
Ao-1までの信号である。この4ビツトの情報は
最近の遷移の直前における信号A,B,X,およ
びYの各々の値を表しており、EVENTの前縁で
ラツチされる。これらをその以前捕捉され貯えら
れている以前の信号と比較することにより、最近
のものの1回前の遷移の性質がわかる。今の信号
のEVENTの生起の原因となつた最近の遷移の性
質は信号EVENTの次の発生時に明らかになる。
以下同様である。
【0057】 信号EVENTが発生し一時ラツチ55
ないし58のうちの次に記憶が行なわれるものが
選択されるごとに、Xo-1からAo-1についての状
態データが、カウンタ52の現在の計算値と共
に、その選択された一時ラツチに貯えられる。
【0058】 新データカンウンタ53の歩進計数値
Nは今や、やはり0、1、2、3、0…と計算す
る割込キヤツチアツプカウンタ59の計数値Iと
は等しくない。これにより比較回路60がカウン
タ53,59のN,I出力に結合された比較回路
60は両者の計数値が不一致であることを意味す
る信号N≠Iを発生す。信号N≠Iはマイクロプ
ロセツサ61の割込要求入力に加えられる。これ
はマイクロプロセツサ61に表に加えるべき追加
データがあることを知らせる。するとマイクロプ
ロセツサ61は割込サービスルーチン(ISR)を
実行して一時ラツチから新しいデータを検索して
それを表に入れる。詳細は使用する夫々のマイク
ロプロセツサにより異なるが、行われる事柄の一
般的説明はこのとおりである。ISRは割込キヤツ
チアツプカウンタ59を歩進させる。歩進した計
数値Iはデコーダ/マルチプレクサ62に加えら
れる。デコーダ/マルタプレクサ62は次に、状
態および時間のデータをマイクロプロセツサに送
るラツチとしての一時ラツチ55ないし58の次
の計数値を(Iの計数値の順に)選択する。
【0059】 このようにして、新しいデータが貯え
られたとき割込要求が発生する。状態および時間
の情報は、マイクロプロセツサが決して5遷移以
上遅れない限り、マイクロプロセツサがデータを
記憶装置に貯えることができるようになるまで一
時ラツチにより記憶される。この機構によりA,
B,X,およびYの任意のまたはすべての信号が
各遷移で変化することができ、連続する量子化遷
移を捕らえることができる。
【0060】 図3cはマイクロプロセツサ61が状
態及び時間のデータを記憶するために何を行なう
かを簡略化されたとともに示している。第1に、
割込制御下で、マイクロプロセツサはランダムア
クセス記憶装置63の中に状態遷移とその関連時
刻との表を作り上げる。実際の構成は図3Cに簡
単に示すことができるよりははるかに複雑であ
り、或る特徴については具体的な構成ごとに異な
ることがあるけれども、本図は一般的考え方を適
切に示している。状態データは遷移の性質をつき
とめるために検討され、それの記号的標示の幾つ
かが準備され記憶される。関連する時刻も記憶さ
れる。ここに述べる好ましい実施例ではマイクロ
プロセツサは12ビツトの500KHzの時間情報(1
カウントにつき2μsecで4096カウント、すなわち
カンウンタを一杯にするのに8192μsec)を、ある
時刻Toで始まる絶対時間軸上の点に変換する。
時刻Toがいつ始まるかは特別に重要であるとい
うわけではないが、測定の開始点と一致されるの
が便利である。(これは測定要求を受け取ると単
に記憶装置内に既に記憶してあるデータを使うか
わりに、回転で起きる他のデータを待つているこ
とを意味する。両方法とも同様にうまく動作す
る。)この目的のため、カウンタ52は必要に応
じて簡単に動作し最大値からゼロに戻ることがで
きる。フアームウエアはカウント値がゼロに戻つ
たことで値が急に低下したことを検出し必要な
4096カウンタを加え戻して正しい計数値を発生す
る。修正された計数値は次に、でき上つている絶
対時間スケール上に得られた前の値に加えられ
る。これが今度は新しい値となり、処理が続行さ
れる。これがうまくいくのは、毎秒3回転且つ1
回転あたり120枚の歯とした場合、(ロータの回転
方向の入力ステータの回転と歯車の歯形の非対称
との他に、他の歯車の存在も無視すると、相続く
正の遷移の間は精々2.778μsecだからである。絶
対時間スケールの開始と再開始は実現にあたり便
利な事柄である。
【0061】 マイクロプロセツサは新しい正の遷移
のデータを表に付加しつづける。負の遷移に関す
るデータは単に無視される。表は性格上循環的に
構成されているのだから、1回転以上古いデータ
が入つている古い部分は新しいデータを貯えるた
めに使用される。マイクロプロセツサは欠けた歯
を注視し、何からの手段により後に位置決めし易
いようにそれらにフラグを立てておくか、あるい
は好ましくは、欠けた歯が来たときそのロータに
関連するフアームウエアの極カウンタを再スター
トさせる。以下の説明では、これらのカウンタの
計数値をP#(基準ロータについて)およびQ
#(入力ロータについて)と呼ぶ。P#及びQ
#と表記することはロータ毎に極カウンタが唯1
つあることを意味している。実現形態によつて
は、このようにしてもよいし、あるいは好ましく
はセンサごとに極カンウンタを置くのが良い。こ
の点については後に論ずる。
【0062】 欠けた歯の検出はその周期が異常に長
いことから(すなわち、歯の検出間隔が大きくあ
くことから)検出される。欠除した遷移を示す簡
単で満足な方法は、それがあるべき場所にそれを
置くことである。たとえば、その正の遷移を隣接
する正の遷移の中点に置く。平均化のような、一
層精巧な方法も可能である。
【0063】 使用システムが角度測定を必要とする
ときは、測定要求信号を発生する。これもマイク
ロプロセツサに割込を起す。これによりマイクロ
プロセツサが表の中のデータの処理を、最も早く
入つているものから始める。これはロータの以前
の完全な1回転分のデータについては続けられ
る。必要な完全勝点(full revolution)は表中に
貯えられている遷移を数えて検出される。一旦測
定値に関する計算が完了すると答が記憶装置に置
かれ測定完了信号が使用システムに送られる。代
りに、測定要求信号の生起に続く新しい回転に関
連するデータを集め、そのデータを処理して角度
を求めることもまた望ましい。丁度今終つた回転
のデータを使用するかあるいは測定完了信号の直
後のデータを使用するかの選択は実際の装置の設
計上の問題である。
【0064】 前の半回転分のデータを測定要求信号
を受け取ると直ちに保持し続く半回転で起きるデ
ータと組合わせて答を出すようにすることも望ま
しいことである。この様にすれば、入力角度が或
る最大値より少ない一定の割込で変化している場
合でもこの変化の影響が相殺されることもわか
る。従つて答は測定要求信号が発せられた頃の入
力角度の値を表わす本質的に正確な答になる。
【0065】 表の中の状態および時間のデータを構
成するいろいろ変つたしかし同等な方法はそのデ
ータがどのように使用されるかの説明が進むにつ
れて明らかになるのであろう。
【0066】 位相測定技法 図4ないし図9Cは入力ロータ及び基準ロータ
を関連する各々の1つの入力センサ及び基準セン
サと共に理想化して表わした概要図である。これ
らの図は単一位相測定AX,AY,BX,BYがど
のように行なわれるかを説明する上に有用であ
る。
【0067】 図4ないし図9Cの構造は磁気センサ
の前の回転して通り過ぎる高透磁率の極に限られ
ない。本発明の位相測定技法は、同じ周期を持つ
2つの「標示」間の位相測定に使用することがで
きる。ここでのこの2つの標示に必要な条件とし
ては、各標示内で既知の回数の事象が生起し、各
事象の標示内の生起位置は周期毎に変動しないこ
とだけである。この技法はまた標示内の事象の間
の間隔が一様でないことにも影響されない。
【0068】 すなわち、ロータは光センサと協動す
る溝付円板または他の光学的エンコーダでよい
し、あるいは変位の関数として、また現在の例で
は磁気センサ付の歯車として、その値が周期的に
変るコンデンサでもよいが、そのように発生した
信号の位相は本技法によつて容易に測定すること
ができる。1回転あたり(あるいは単位時間あた
り)発生する信号の変化の数はロータ間で同じで
ある必要はなく、またロータからの信号の個々の
サイクルの周期が一定である必要もない。特に、
角度変換器の歯車に関して考察している例題につ
いて、本発明の位相測定技法は、原理上および実
用上、歯車の歯の配列誤差に鈍感である。
【0069】 次に図4を参照すると、基準ロータ5
と入力ロータ6とが概略的に描かれている。各ロ
ータに1つずつのセンサ(すなわち基準センサ8
と入力センサ10)が設けられている。直径の反
対側にある第2のセンサは本発明のこの特徴を説
明する上で簡略にするため省いてある。第2のセ
ンサの発生する信号の位相は図示した個々の1つ
のセンサについて説明したと同じ一般的仕方で同
時に測定される。これらは同じ回転中に測定され
るが、それ自身の値P#とQ#とを持つている。
4つのセンサについて位相がとのように測定され
次いて偏心の影響を除くため組合わされるかにつ
いては以後の章で論ずる。今のところは、図4の
理想化した概略構造には偏心はないと仮定する。
【0070】 P,Qを夫々基準ロータおよび入力ロ
ータ上の極(歯車の個々の歯)の数であるとし、
またRを回転子が1回転を完了するに要する時間
の長さとすれば、入力ロータが経験する角度は
(ラジアンで)で下の式(1)で与えられる。
【0071】
【数1】 (1) θ=2π{ΣTQi〕/Q−ΣTPi〕/P/R+P
#/P−Q#/Q}−Ψ
【0072】 式(1)の導出法、解釈等については以下
で詳細に述べるが、ここでもこの式の中で用いら
れる記号等について多少説明する。式(1)で
ΣTQ[i]とΣTP[i]は関係するセンサからの信
号の連続する前縁の生起の時刻を、いくつかの便
宜上の開始時刻のうちの1つから測り始め丁度1
回転を完了するまで加算したものである。(なお、
Q[i],P[i]等は夫々Qi、Piを表わす。電子
出願の文書の仕様上、2段階あるいはそれ以上の
部分行下げはできないので、2段階目以降の添字
は全て[ ]に入れて表現する。)ΣTQ[i]は入
力センサについてのQ個の連続遷移の合計であ
り、ΣTP[i]は基準センサについてのP個の連
続遷移の合計である。時間Rは式(1)を使用する毎
に同じである必要ない。その都度の時間Rの値は
夫々の位相測定を行なうときに測定することがで
きる。この時間Rの測定は、たとえば、基準セン
サ出力中のPサイクル離れている2つの事象の各
生起時刻を比較したり、また入力センサ出力中の
Qサイクル離れている2つの事象の各生起時刻を
比較して容易に行なうことができる。P#,Q
#は各ロータについてどこで加算が始まつたか
を、各々の固定の基準点から数えたものである。
P#の範囲は0からP−1までであり、Q#は0
からQ−1までである。各ロータの基準点は便宜
的にその欠けた極としてよい。項Ψは夫々のロー
タの形、その極配列に関する特定の不正確さなど
により決る或る定数であつて、夫々の個々の変換
器を関する信号対につき1回だけ求められなけれ
ばならないものである。項Ψはθの関数ではな
い。もし式(1)の位相測定技法を使用して、逐次的
に得られた結果からはじめの結果を差引いて個々
の測定結果を得る等の手法を用いて初期設定から
逐次的な角度変移を求める場合には、Ψの値を知
る必要さえない。すなわち、それぞれのΨはすべ
て相殺されて、結果としてθのいろいろな値の差
だけが残る。
【0073】 合計を作りP#およびQ#の値を求め
る規則がある。入力角度を測定する要求はロータ
回転に関係する任意の時刻で起り得る。加算は基
準ロータから得られた任意の前縁、たとえば測定
要求に続く最初の前縁で開始することができる。
(すべての測定は代りに後縁を用いて行なうこと
ができる。)欠除の推定位置で開始するか否かは
実際の装置を作る上での問題である。設計者は
夫々のシステムで最良のものを選択して差し支え
ない。 基準ロータ5のいずれかの極を現在の開始極
(P個の極のi番目の極)として、或るT0=0を
時刻の基準として測定を始めて、P個の連続する
時刻の合計を互いに加え合わせる。簡単に図4を
参照するに、P1が開始極であり、且つP1がセン
サを通過した時刻が0であるとすれば(一時的な
便宜上の仮定)、TP[i]の所定の合計は下の式(2)
に示す時間間隔の合計と同じになる。
【0074】
【数2】 (2) y 〓 〓l TP[i]=(l)+(l+m)+(l+m+n)+……+(
l+m+…+y)
【0075】 議論を進める前に、Σ記号の使用に関
して注意するのが順序である。たとえば式(2)につ
いて、上下限1、yがTP[i]に現れる添字の数
値ではないということは多少不便である。勿論、
意味するところは1からyまでの間隔を定義する
のに必要な特定の値から始めて、i mod Pの
対応するP個の値を取るということである。これ
らの式および以後の式は、勿論、完全に従来の記
法を用いて表現することができる。しかし、そう
することはそれに対応して情報内容が増えないで
記号の量だけが増加することになると思われる。
正しく理解すれば、Σ記号についてここに取つた
記法により、明確でしかも比較的簡単且つそれ自
身本来の役割を良好に果す記述的記号ができ上が
る。Δθ及びΔφJ,Kの記号を導入する場合は特にそ
うである。これらの構成には任意の大きさの間隔
が含まれており、またこれらは和の中に含まれて
いるが、これら常にi mod Pの値で満足に表
わされているわけではない。
【0076】 (2)式を各時間間隔1、m、n、……y
毎にまとめると、以下の様に表現される。
【0077】
【数3】 (3)y 〓 〓l TP[i]=(P−1)l+(P−2)m+(P−3)n+
……+y
【0078】 また、TQ[i]の加算も同様にして以
下の様に表現される。
【0079】
【数4】 (3′)y 〓 〓a TQ[i]=(Q−1)a+(Q−2)b+(Q−3)c+
……+j
【0080】 ここで、「加算は時刻ゼロから始まる」
という仮定をしても上述の式は一般性を失うこと
がない。またこの仮定により以下の説明における
式を簡単にする便宜がある。式(1)についてだけ見
れば、0でない時刻から加算を始めたとしてもそ
の効果は自分自身で相殺されるので、このような
「0に等しい初期時刻」という仮定は必要としな
い。これがどのように起こるかについては、説明
が進むうちに指摘される。
【0081】 図4および式(2)と(3)とにおいて記号
1、m、n、……y、zは基準ロータの極の間の
増分時間(時間間隔)を表わす。回転速度が一定
であると仮定すると、ロータ上の極が等角度で配
置されている場合に限つて時間1、m、…zは等
しくなる。基準ロータも入力ロータも高精度位相
測定を可能にするため特別に高い精度で極を配置
する必要はないことをここで強調しておく。原理
的には、基準ロータについての時間間隔1、m、
n、…zは入力ロータの対応する時間間隔a、
b、c…kとともに、ロータ上の極の間隔の異な
る任意の配置を表わすことができる。実際上は、
時間間隔1、m、n、…zは時間間隔a、b、c
…kと同様等しくなる傾向がある。このようにし
たい充分な理由がある。このような規則性があれ
ば欠除極を確実に検出し、センサでの不適当な過
度現象(undue transient)を防止し、クロスト
ークを抑制するに役立つ。しかし他には、このよ
うな均一性がないからと言つて原理上位相測定の
精度が低下しない。以下の吟味を通じて、時間間
隔1、m、n、…zおよびa、b、c、…kは個
別の数として取扱い、またけつして等間隔に配置
された極を表わすものとは仮定しない。
【0082】 入力ロータ6の時刻の加算は基準ロー
タ5の場合と丁度同じ時刻に始まる。一般には、
この開始時刻は入力ロータ6から得られる遷移に
一致して始まるものではないが、極配置と入力角
度との関数であり、また一致して始まることがあ
る。いずれにしても、同じ一般規則が適用され
る。開始時刻から始めて、入力ロータ6の次のQ
個の極の時刻が加算される。再び図4を参照する
に、基準ロータ5と同様、入力ロータ6の極の間
の増分時間、つまり時間間隔がa、b、c、…k
と表示されている。代表的には、和の第1項は
a、b、c、…kのうちの1つの時間間隔の一部
分である。その割合がどれ程であるかは部分的に
は、入力ステータ3の回転角、すなわち入力角度
によつて決まり、以後の説明ではその一部分をそ
の使い方によつてΔθまたはΔφと呼ぶことにす
る。
【0083】 たとえば、図5において、入力ステー
タ3の入力センサが、加算の開始時点において極
QからΔθだけ手前にあつたとすれば、入力ロー
タ6についての合計は以下のようになる。
【0084】
【数5】 (4)j 〓 〓 〓〓TQ[i]=(Δθ)+(Δθ+a)+(Δθ+a+b
)+……+(Δθ+a+b+…+j) (5) =QΔθ+(Q−1)a+(Q−2)b+…+
【0085】 夫々の合計において、時間間隔a、
b、c、…y、zのうちの1つ及び時間間隔1、
m、n…j、kの1つは現れないことがわかる。
すなわち、たとえば
【0086】
【数6】yl TP[i]にはzが含まれておらず、zm TP[i]にはlが含まれておらず、ln TP[i]にはmが含まれておらず、j 〓 〓〓TP[i]にはnが含まれていない。
【0087】 一見して、これは丁度一回り分につい
て合計することによつて加算を完結し切つておら
ず、有用な情報が捨られているかの如く見える。
しかしながら、各極に関係する時刻は皆使用され
ている。基準ロータである1つの極についての時
刻は(一時的に)そのロータ上の残りの極に対す
る基準としての他に、入力ロータ上のすべての極
についての基準として採られている。欠除極につ
いての「欠けた」時刻を算入するには2つの極の
「二重使用」を伴う。更に、ここに与えた規則に
は式(5)から見ることができる望ましい性質があ
る。すなわち、Δθ項の計数は、Q+1あるいは
Q−1ではなく丁度Qである。何故これが有用で
あるかは説明が進むにつれて明らかにされる。
【0088】 最後に(式(1)の)P#、Q#の項は各
ロータの絶対基準極が通過してから加算が始まつ
た時刻までに、各ロータ上に極が幾つか通過した
かに注目することにより決る。絶対基準極は便宜
的に普通の極または欠除極でよい。たとえば、
P1、Q1が夫々基準ロータおよび入力ロータにつ
いての絶対基準極であるとすれば、P#はP1
開始極のとき0であり、P2が開始極のとき1で
あり、P3が開始極のとき2であり、以下同様と
なる。同様にして、P#はQ1がP側、つまり基
準側の開始からの最初のQ極であるとき0であ
り、Q2が最初の極のとき1であり、Q3が最初の
とき2であり、以下同様となる。任意の特定の測
定に対するP#とQ#との値は記憶装置に記憶さ
れた遷移と時刻とのデータを検査することにより
マイクロプロセツサ61で容易に決定される。
【0089】 次に図4に戻ると、図4に示すものか
ら始まる一連の可能な場合を解析することによ
り、式(1)が所要の結果を生ずることがわかる。
【0090】 図4はP個の極を有する基準ロータ5
とQ個の極を有する入力ロータ6を概要図で示し
ている。2つのロータは回転のため共通の軸に取
付けられている。基準ロータ5のP個の極はP1
P2,P3,…PPであり、時間Rに1回転の速度の
一定の角速度で基準センサを通過して回転すると
き、時間間隔1、m、n、……zを生ずる角変位
で区分されている。入力ロータ6のQ個の極は
Q1,Q2,Q3,…QQである。これについての時間
間隔はa、b、c、…kである。
【0091】 図4は幾分簡略化されてはいるもの、
入力角が0度の場合を表わすものとしてよい。こ
れは入力ステータ3上の入力センサ10の位置に
ついて見れば入力ステータ3が0度のとき基準ス
テータ2の丁度上にあり、またこのような条件下
でP1とQ1とが夫々関連するセンサを同時に通過
する(すなわち、TP[1]=TQ[1]))というこ
とである。この様に仮定してもよいということは
以下の説明が進むうちにわかることなのだが、簡
単に言えば、次の様になる。すなわちこれらの仮
定が成立しないとしても、結局は個々の答に或る
一定のオフセツトがかかつてくるだけなのであ
る。しかし、わかるとおり、とにかく、答には或
る一定のオフセツトがある。オフセツトが具体的
に何であるかは問題ではなく、オフセツトを2つ
の部分に分けなくてもよいことで説明が簡単にな
る。実際には、センサが0度で互いに他の直上に
あるか否かということ、あるいは「0度」で
TP[1]がTQ[1]に等しいか否かということに
注意を払う必要はない。
【0092】 しかしながら、これらの仮定をして、
TP1のわずか先に起つた測定の要求に続いて得ら
れる式(6b)および式(7)に示す差異を考える。
【0093】 これらの式に戻る前に、式(6b)の
導出法を説明しておくのが順序である。まず始め
に、式(6b)が正しい等式であることは明らか
であるが、先行する何物からこの式が導かれたか
については言及しない。(式(6b)が等式である
ことを示すには左辺に式(3)及び式(3′)を適用す
れば良い)。式(6b)が等式であることは証明で
きるが、それでもなお式(6b)の左辺の各項が
何処から来たかを尋ねるのが公正である。その答
はそれが考察に便利で都合がよいということであ
り、それ以外の何物でもない。それは経験により
得られたものであり、本発明の位相測定技法に質
問を投げかける便利な場所として役立つ。或る意
味で、単に次のような質問をしていることにな
る。:「この差〔すなわち、式(6b)の左辺の各
項〕を作つたと仮定せよ。それでどうなるか」
と。答としては、1つには得られた式は再構成す
ることによりθに関する式を作ることができると
いうことであり、最後にこの差は式(1)中に現れる
量に計数Qを乗算したものである。すなわち、
【0094】
【数7】
【化】
【0095】 式(6a)の右辺の括弧内の量は入力
ロータ6の極の生起の平均時刻から基準ロータ5
の極の生起の平均時刻を減じたとき得られる時刻
の差と考えてよい。後程、このような生起とその
差との平均時刻について大いに言及しなければな
らなくなるだろう。しかし、暫くは、式(6b)
を調べると何が得られるかについて再度議論しな
ければならない。
【0096】
【数8】 (6b) ja TQ[i]−Q/Py 〓 〓l TP[i]=(Q−1)a+(Q−2)b+……+j−Q/
P 〔(P−1)l+(P−2)m+…
…+y〕 (7) =ψ
【0097】 よく考えてみると、極が等間隔である
という束縛がないから、ψは(回転時間Rが一定
と仮定して)ロータによつて決る或る定数になつ
ていることがわかるであろう。ψの値は大きく見
積つて一方の端が−QR、他が+QRの間の範囲
にあるが、具体的な値を予見することはできな
い。一般に、信号対AX,AY,BXおよびBYの
位相測定をすれば各々にそれ自身別個のψの値が
ある。それにも拘わらず、ψは有用であり、これ
について再び言及する機会があるだろう。なお、
図4に示した例ではP#、Q#はともにゼロであ
ることに注意されたい。
【0098】 今度は図5を参照すると、図4に比較
して変更されているのは、入力ステータ3を正の
小さな角度θだけ回転させたという点である。図
4について説明したように、加算をTP[1]から
始める。角度θは充分小さいと仮定するので、
TQ[1]は入力ステータ3についてのT0後に検出
される最初の遷移である。すなわち最初の遷移は
TQ[Q]ではなくまたTQ[Q]に先立つて起る遷
移のいずれでもない。 測定した和の間で式(6b)と同じ差を作るも
のとしよう。すなわち、
【0099】
【数9】 (8) j 〓 〓〓TQ[i]−Q/Pyl TP[i] =QΔθ+(Q−1)a+(Q−2)b+… …+j−Q/Pyl TP[i] (9) =QΔθ+ja TQ[i]−Q/Pyl TP[i] (10) =QΔθ+ψ 故に、
【化】
【化】
【0100】 項2πψ/QRはψに関する他の定数で
あることに注意のこと。したがつて次のように書
く。 (13) Ψ=2πψ/QR この記法を用いて(12)式を書き直せば、
【0101】
【数10】
【化】
【0102】 図5の例に関してはP#とQ#とは
夫々やはり0に等しいことに注意されたい。
【0103】 さて続いて図6に示した状態を考え
る。ここでP#は1に等しくQ#は0のままであ
る。ここでの問題は「この条下でθに関する公式
は如何?」ということである。
【0104】 ロータをこのような状態にするために
は極P2、QQおよびQQ-1を配置し直すと共に、明
瞭に細分できるようにθを大きくしなければなら
ない。このように変更しても証明の妥当性あるい
は厳密さには一切影響しない。というのも、P
#を0から1にするためには何かを変えなければ
ならないからである。このような自由な変形は実
際の変換器のばあいに問題を生じない。というの
はその極が固定されていて動き回らないからであ
る。そして最後に、(そして図4ないし図9Cの
すべてに関して)ロータをセンサの前を横切つて
実際に回転させるのではなく、対応する分だけセ
ンサを静止しているロータのまわりに位相をずら
して示してある。これは一般に描きやすいばかり
でなく、「前後の」重ね合わせを楽にすると共に、
一般に図をたどるのが簡単且つ容易になる。
【0105】 さて、本題に帰つて、図6に示されて
いる特定の場合について測定した和についての前
と同様の差について考える。
【0106】
【数11】 (15) j 〓 〓〓TQ[i]−Q/Pzm TP[i] =QΔφ+(Q−1)a+(Q−2)b+… …+j−Q/Pzm TP[i]
【0107】 図6に示すΔφ=Δθ−1を代入する
と、
【0108】
【数12】 (16) =Q(Δθ−l)+(Q−1)a+(Q−2)b +……+j−Q/P〔(P−1)m +(P−2)n+……+z〕 (17) =QΔθ+ja TQ[i]−Q/P〔Pl+(P −1)m+(P−2)n+……+z〕 (18) =QΔθ+ja TQ[i]−Q/P〔l+m+n+…… +z+(P−1)l+(P−2)m+……+
y〕
【0109】 ところが、l+m+n+……+zは1
回の回転時間Rに等しいから、
【0110】
【数13】 (19) =QΔθ−QR/P+ja TQ[i] −Q/Pyl TP[i] (20) =QΔθ−QR/P+ψ
【0111】 式(15)の左辺と式(20)から下式が得られ
る。
【0112】
【数14】
【化】 すなわち
【化】
【0113】 式(22)と式(14)とを比較すると同じで
ないことがわかる。式(22)は括弧内に1/Pを含
んでいるがこれは式(14)にはないものである。この
2組の状況の差は(14)ではP#が0に等しく式
(22)では1に等しいことである。下に追加検討
する2つの特定な場合から得られる式についてP
#、Q#および差の関係が強く暗示される。最後
の一般化した例題からこの関係が確認され、式(1)
が得られる。
【0114】 次に図7に示す状況を考える。P#は
0のままでQ#が1に等しい状態を作り出すため
θを非常に大きな正の値(またはわずかに負)と
した。 以前の説明と同じ差から式の導出を始める。
【0115】
【数15】 (23) k 〓 〓〓TQ[i]−Q/Pyl TP[i] =QΔφ+(Q−1)b+(Q−2)c+…… +k−Q/Pyl TP[i]
【0116】 ところが、図7において
【0117】
【数16】 Δ+Δφa及び Δ=R−Δθ
【0118】 が成立することからR−Δθ+Δφ=a
すなわちΔφ=Δθ+a−Rが得られる。これを式
(23)に代入することにより下式を得る。
【0119】
【数17】 (24) =Q(Δθ+a−R)+(Q−1)b+(Q−
2)c+……+k−Q/Pyl TP[i] (25) =QΔθ+Qa+(Q−1)b+(Q−2)c+
……+k−Q/Pyl TP[i]−QR (26) =QΔθ+a+b+c+……+k+(Q−1)
a+(Q−2)b+……+j−Q/Pyl TP[i]−QR
【0120】 ところが式(19)の上に示したようにa+
b+c+……+kはロータが丁度1回転する時間
Rであることを用いて上式を変形すれば、
【0121】
【数18】 (27) =QΔθ+R−QR+ja TQ[i] −Q/Pyl TP[i] (28) =QΔθ+R(1−Q)+ψ
【0122】 式(23)の左辺と式(28)をΔθにつ
いて解けば、
【0123】
【数19】
【化】 すなわち、
【化】
【0124】 式(30)の括弧内の右側の項は+1−
1/Qになる。+1は、括弧の外の2πを乗ずる
と、答を2πラジアン、すなわち丁度1回転だけ
増す効果がある。θとθ+2πとは等価な答であ
るから、−(1−Q)/Qを単に−1/Qで置き換
えてよい。よつて下式を得る。
【0125】
【数20】
【化】
【0126】 前と同様、式(31)は式(14)または式
(22)と同じではない。
【0127】 今度はP#とQ#とが共に0でない場
合を考える。これらが夫々1に等しいときどうな
るかを考えよう。このような状況を図8に示して
ある。前のように進める。式(33)は図8に示す
Δφを代入する。
【0128】
【数21】 (32) k 〓 〓〓TQ[i]−Q/Pzm TP[i] =QΔφ+(Q−1)b+(Q−2)c +……+k−Q/P〔(P−1)m +(P−2)n+……+z〕 (33) =QΔθ+Qa+(Q−1)b+……+k −Q/P〔(P−1)m +(P−2)m+……+z〕 (34) =QΔθ+R+ja TQ[i] −Q/P〔R+yl TP[i]〕 (35) =QΔθ+R+QR/P+ψ 故に次式を得る。
【化】
【0129】 今度は式(14)、(22)、(31)および(36)
を比較する。式(14)の括弧内に(+0−0)/Rが
入つていると考えると、次の各項目及び各々に関
連するP#およびQ#の値を挙げることができ
る。 (14)から+0−0 P#=0 Q#=0 (22)から+1/P−0 P#=1 Q#=0 (31)から+0−1/Q P#=0 Q#=1 (36)から+1/P−1/Q P#=1 Q#=
【0130】 これらの結果を調べるとP#/P−Q
#/Qを括弧内の右側の各項の代りに一般的に使
用できることが暗示される。更に厳密に証明を行
えば全くそのとおりであることが示される。
【0131】 P#およびQ#の値が、夫々Pおよび
Qより小さい任意の0でない値としよう。この状
態を小さな正の入力角φに関して図9Aに示して
ある。入力ステータ上のセンサはロータの回転方
向に基準ステータ上のセンサから角φだけ進ませ
て示されているから角φだけは正である。正(1)は
等価単極(single equivalent pole)の生起の平
均時刻の概念に照らして理解することができる。
入力ステータをロータの回転方向に動かすと入力
ロータの等価単極に時間遅れが生じ、基準ロータ
の等価単極の時刻を減ずると、ロータの回転時間
Rの間で、正で且つ入力角に比例して時間差が増
大する。便宜のため、φ=0のときTP1とTQ1
は一致しているとも仮定する。すなわち、P1
Q1とは回転子上に垂直に配列されている。こう
すると説明をたどり易くなるが、証明の終りに、
式(1)にはこのような仮定が必要ないことがわかる
であろう。
【0132】 いろいろな項目をその添字に基づいて
演算ができるように記述する必要があるが、図9
Aないし図9Cに使用した記号は図4ないし図8
に使用したものとはいくらか違つている。Q個の
極を有する入力ロータ6についての時間間隔a、
b、c、……kはここにおいてはy1ないしyQの名
が付いている。同様に、P個の極を有する基準ロ
ータについての時間間隔l、m、n、……zはx1
ないしxpの名がついている。
【0133】 P#の値をJ、Q#の値をKとしよ
う。JとKは夫々xiおよびyiについての1つの添
字の中の該当する値として使用される。また、
J、KはΔφに関する二重添字としても使用され
る。項ΔφJ,Kは与えられたJおよびKの値に関し
て得られるΔφを示す。或る入力φに対する個々
の和の一般化した形を式(37)と(38)に示す。
式(39)において前と同じ差ができる。
【0134】
【数22】 (37) yk-1 〓 〓J,KTQ[i]=QΔφJ,K+(Q−1)y k+1+(Q−2)yk+2+……+kyQ +(k−1)y1+……+yk-1 (38) XJ-1XJ+1 TP[i]=(P−1)XJ+1 +(P−2)xJ+2+……+JxP +(J−1)x1+……+xJ-1 (39) yk-1 〓 〓〓J,KTQ[i]−Q/PxJ-1xJ+1 TP[i] =QΔφJ,K+(Q−1)yk+1 +(Q−2)yk+2+……+KyQ +(k−1)y1+……+yk-1−Q/P 〔(P−1)xJ+1+(P−2)xJ+2 +……+JP+(J−1)x1 +……+xJ-1
【0135】 (その起原に関する式(6b)の前に
述べた注意は式(39)にも適用される。式(6b)
と式(39)は記号の違いを除けば同じものであ
る。)
【0136】 さて式(39)に行なうことができる
ΔφJ,Kの置換を考える。間もなく明らかになる理
由により、ΔφJ,KをΔφ0,0の項に置換することに関
心がある。
【0137】 図9Aを調べることにより、且つ図6
が示すわずかな重ね合せの助けを借りて、次の置
換を得ることができる。 (40) ΔφJ-1,K=ΔφJ,K+xJ
【0138】 このような置換を物理的に解釈すれ
ば、TQiの合計については、入力ロータ6上の同
じ一連の極Qが使用されるが、加算の開始のため
基準ロータ5からの局所基準(rocal reference)
はこの置換によりそのロータ上で1極分だけ時間
的に手前へずらされたということである。これは
基準ステータ上のセンサの再位置決めに対応され
てもよいが、実際の変換器で期待できるものでは
ない。一層有用な解釈はロータとセンサとの物理
的関係は変えずにおいて、一方、時刻および状態
遷移の表の中のデータを加算する仕方を調節する
ことである。すなわち、ΣTP[i]とΣTQ[i]と
は時間的により少ししか重ならないということで
ある。
【0139】 いずれにしても式(40)の特定の置
換、Kが既に0でJが1でないかぎり、充分なも
のであるとは言えない。式(41a)〜(41b)は
基準ロード5上で極をもつとスキツプした場合に
この置換がどうなるかを示している。 (41a) ΔφJ-2,K=ΔφJ-1,K+xJ-1 この右辺に式(40)を代入して、 (41b) ΔφJ-2,K=ΔφJ,K+xJ+xJ-1
【0140】 かくて、J、を0にまで減らした場合
の一般的置換は明らかに次のようになる。 (42a) Δφ0,K=ΔφJ-1,K=ΔφJ,K+xJ+xJ-1+…
…+x1 すなわち、 (42b) ΔφJ,K=Δφ0,K−xJ−xJ-1−……−x1
【0141】 次にKを0に減らすにはどんな置換が
利用できるかを考える。図9Bを参照するに、J
に対して与えられた値によりTQ[i]の加算を開
始すべき回転における時刻を決定するが、どの極
QiをTP[J]の生起に続く「最初」の極と認める
べきかはKの値による。普通「最初」は「時間的
に次」を意味し、Jは周囲条件に依存するKの値
を強制的に定める。置換を進めるため、その規制
を保留し、Kの値を0に固定し、同じJに対して
ことなるΔφを与えることによつてプロセスを逆
にする。
【0142】 式(42b)と同様に、ΔφJ,KとΔφJ,0
の関係を探す。或るTP[J]後の次のTQ[i]で
ΣTQ[i]を開始すると言う規則を述べたが、こ
の下では量ΔφJ,0は多少抽象的になる様に思われ
る。この規則によれば、任意の入力角度に対して
Jが実効的にKを決定できるようになり、Kは与
えられたJに対してときどき0になることがある
が、普通の場合はそうはならない。ここでの直接
の質問は「任意のJについてKを0にさせること
は何を意味するか?」である。この質問は答えや
すく、少なくとも所要の置換を進める目的につい
ては、加算につて述べられた規則が過度に限定的
であることを理解すれば、ΔφJ,0の抽象性がかな
り除かれる。(これはこの規則が実際問題として
厳しすぎるということではない。この規則の効果
は、ΣTQiとΣTPiとをロータのできる限り同一の
回転から発生させることである。このことはモー
タの速度変化により発生する悪影響を最小するか
ら望ましいことである。)
【0143】 ΔφJ,0への第一歩として、もつと自由
な加算規則の例として、更に実際、有用であると
いうことからも、先ずΔφJ,0の概念の検討から始
める。このことはおそらくわかりやすく、また
ΔφJ,0を理解する上で有用であろう。ΔφJ,K
JP[J+1]とJQ[K+1](J、Kはスキツプされた極
の数である、ということを思い出されたい)との
間の普通の時間間隔であるとすれば、TQ[K]は
TP[J+1]に先行するがTQ[K+1]はTP[J+1]に
は先行しない場合、ΔφJ,0は (43) ΔφJ,0=ΔφJ,K+yK+1+……+yQ となる。
【0144】 この物理的解釈は簡単であつて、
TQ[K+1]からTQ[Q]までを「次」としては見
ないで、その代りTQ[1]をじつと待つというこ
とである。KをQの値まで上げることはさてお
き、この唯一の効果はΣTP[i]とΣTQ[i]両開
始時点の間隔を増加することである。しかし、量
ΔφJ,QはなおTP[J+1]で始まり、TQ[Q]はなお
TP[J+1]のあとで起る。これはΔφJ,0の場合とは
異なる。この極のスキツプにより、Q#を値Qに
まで上げることを目指しているのである。これ
は、極がQ個しかないので、普通は決してひとり
でには起らないことである。つまり、Q#は普通
は高々Q−1までの値しかとらない。それにもか
かわらず、Q#がQになれば(これはΔφJ,Qを発
生することになる)、何が起るかを熟慮すること
ができるし、このようなΔφJ,QとΔφJ,0の探索との
関係を検討することができる。
【0145】 ΔφJ,0を図示する上で困難が起りそう
である。というのは、古い規則のもとでは、
ΔφJ,0なる量は「開始する前に終つている」測定
を考えることを要求しているように思われるから
である。しかしここで考察中のΔφJ,K型の量は単
に始まりと終りを有する時間間隔を表わすだけで
ある。古い規則のもとでは、添字Jははじまりを
定義し、常に時間的に後なる添字Jが常に間隔の
終りを定義する様になつている。ΔφJ,0の概念は
なお始まりと終りとを有する時間間隔であるが、
今だけはK側の添字(すなわち2番目の添字)が
始まりを定義し、J側のが終りを定義する。時間
間隔の大きさの絶対値を問題にする限りでは、こ
うしても2つのうちの早い方を「開始」、後の方
を「停止」としても何らかの差異も生じない。ロ
ータはやはり同じ方向に回転しており、時間間隔
の生の増分がやはり測定されることになる(しか
しながら、将来の符号変化に関して、「基準のゼ
ロ点」を心に留めておかなければならない)。同
様に、測定の過程で幾つかの極をスキツプしたと
しても何らの害もない。
【0146】 次の仮設的状況がΔφJ,0を理解する上
で役に立つ。図3Aないし図3Cに関連して記し
た様に、入力ロータ6と入力ステータ3のセンサ
との関係の最近の履歴を保存しておく或る手段が
あるとする。TP[J+1]が起ると、何時極Q1が入
力ステータセンサを通過したかを見つけるために
履歴をチエツクし、これを時間間隔の開始時刻と
して使用する。TP[J+1]が起つた時刻は時間間
隔を終らせるが、また加算のために仮定したゼロ
点でもあるとともに、実際の角度情報を運ぶΔφ
型の時間間隔のための仮想ゼロ点でもある。した
がつてΔφJ,Kを正と考えるとすれば、ΔφJ,0は負の
値である。これらは互いにTP[J+1]の反対側に
ある。簡単な減算から間隔ΔφJ,0の値が見つかる。
実際にこれを行なわないが、このようなΔφJ,0
負にしたものにΔφJ,Kを加えて組合わせるとこの
ような最近の履歴に頼らずにすぐれて測定可能な
他の何物かに等しくなる。すなわち、 (44a) −ΔφJ,0+ΔφJ,K=y1+y2+……+yK
【0147】 ΔφJ,0を理解する上で他の助けがある。
考察中のもののような回転系は本質的に法
(modulo)の性質を有する。或る意味では、Qの
値と0の値を有するKの間には意味のある差異は
ほとんどない。それはすなわち以下の様に説明さ
れる:Q番目の極がセンサに達すると、それをQ
と数えるか0と数えるかを決定しなければならな
い。もしQを選ぶとすれば、TQ[Q]が間隔に対
する「停止」信号となり、先のTP[J]が「開始」
信号となる。もし0の方を選べば、それは「開
始」信号となり次のTP[J+1](すなわち、
TP[J+1]の2番目の生起)が「開始」となる。
しかしいずれの場合でも円周上の同じ2つの点A
とBとを考えているのである。ただ一方の場合に
はAからBへ測定しており、他の場合にはBから
Aへ測定しているか、あるいは同じことである
が、AからBではあるが逆回り方向に測定してい
る。丁度、同じ方向のこれらの2つの測定値の和
は丁度1周分になるから、 (44b) −(ΔφJ,0)+ΔφJ,Q=R
【0148】 式(43)および(44b)を出発点にと
れば、式(44a)は式(43)から式(44b)を差
引くことによつて得られることに注意されたい。
【0149】 式(44a)について移項を行なうこと
により、ΔφJ,KをΔφJ,0で表現した所望の結果を得
ることができる。すなわち、 (45) ΔφJ,K=yK+yK-1+……y1+ΔφJ,0
【0150】 式(44a)から生ずる−ΔφJ,0を物理的
に解釈すれば、y1からyKまでの和を作るために
は、実際に測定した時間間隔ΔφJ,Kにその値−
ΔφJ,0を加えなければならないということである。
TQ[i]についての新しい和が、基準センサがxJ
xJ-1、などだけ後ろ向きにJが0になるまでスリ
ツプすることにより測定されるという様な同じ意
味での直接の測定を行なうことはできないが、た
しかにΔφJ,0を熟慮することができる。そこで
Δφ0,KとΔφJ,0との両者につて考える(もつともど
ちらも実際には測定しないが)。
【0151】 この点で、式(42b)を式(39)に代
入し、図6に関する式(16)ないし式(22)について
のやり方にしたがつて、この代入の結果を変形し
ていくことができる。これからΔφJ,KとΔφ0,Kとに
関する方程式が作られ、これに式(45)を代入す
ることができる。更に式の変形を続けるとΔφJ,K
とΔφ0,0とに関する方程式が作られる。これが実
際、直接の目的である。同様な仕方で代入の順序
を逆にすることができる。すなわち、まず最初に
Kを0にし、次にJを0にする。これは単に上に
示した手順を実際に行なうことによつて証明でき
る。更には簡潔さとおそらくは一層エレガントの
証明を望むために、2つの代入を組合わせてもよ
い。こうすれば計数の量がほとんど半分になる。
これが今から進めようとしている方法なのであ
る。
【0152】 さて、ここで図9Cを参照すると、
Δφ0,0と名付けられた時間間隔は単に先行して起
るTP[1]とその後のTQ[1]との間の時間差に
等しい。一旦結合軸上の各ロータの向きが与えら
れると、Δφ0,0は厳密に入力角度の関数であるこ
とに注意されたい。またΔφ0,0はP#とQ#とが
共に0のとき丁度入力角度から期待されるもので
ある。視察により次のように書ける。 (46a) Δφ0,0−ΔφJ,0+ΔφJ,K=Δφ0,K
【0153】 今度は式(46a)に式(46b)と
(46c)とを代入する。 (46b) Δφ0,K=ΔφJ,K+xJ+xJ-1+……x1 (式(42a)から) (46b) −ΔφJ,0=y1+y2+……+yK−ΔφJ,K (式(44a)から)
【0154】 ΔφJ,Kについて解いて簡単にすると結
果は (47) ΔφJ,K=y1+y2+……+yK−x1−x2−…
…−xJ+Δφ0,0
【0155】 式(47)はまた、下記の状況を表わす
図9Cと同様な図(図示せず)を視察することに
よつても得られる。すなわち、基準センサと入力
センサとの間の角度変位は基準センサが加算が始
まつたときの極P1と丁度反対になるまで基準セ
ンサと入力センサとをロータの回転軸の周りに一
体として回転させた場合でも一定に保たれる。
TP[1]が起つてからTQ[1]が起るまで極Q1
回転する角度はφ0,0である。
【0156】 式(47)はすべてを1つに複合した
「殺し屋」的置換である。この式はP#、Q#の
あらゆる値についてのΔφJ,KをΔφ0,0に関係付け
る。今式(39)の中のΔφJ,Kに式(47)を代入し
よう。
【0157】
【数23】 (48a) yk-1 〓 〓〓J,KTQ[i]−Q/PxJ-1xJ+1 TP[i] =Q〔y1+y2+……yk−x1−x2−……−xJ
+Δφ0,0〕+(Q−1)yk+1+(Q−2)k+2
……+KyQ+(k−1)y1+……+yk-1
Q/P〔(P−1)xJ+1+(P−2)xJ+2+… …+JxP (48b) =QΔφ0,0+(Q−1)yk+1+(Q−2)
yk+2+……+KyQ+(Q+k−1)y1+(Q
+k−2)y2+……+(Q+1)yk-1+Qyk
−Q/P〔(P−1)xJ+1+(P−2)xJ+2+ ……+JxP+(P+J−1)x1〕K
【0158】 図6ないし図8に関連する式について
行なつたと同様y項とx項とから「Rを減算」し
よう。Rはx1からxPまでの(x1およびxPを含む)
すべての時間間隔の合計に等しく、またy1からyQ
までの(y1およびyQを含む)すべての時間間隔の
合計にも等しいことを想起しよう。式(48b)中
のy項を考える。すべてのyiが存在し且つ最小の
計数がKであることに注意する。明らかに、K個
のRをy項から引き去ることにより、見慣れた形
の和を残すことができる。同様に、x項は最小計
数としてJを有するすべてのx1を含んでいる。よ
つて、J個のRをこれらの項から引き去ることに
よつて、もう1つの見慣れた形の合計を残すこと
ができる。下の表1と表2とは夫々KRとJRとの
減算を表の形で示したものである。
【0159】
【表1】 ■■■ 亀の甲 [0003] ■■■
【表2】 ■■■ 亀の甲 [0004] ■■■
【0160】 それ故明らかに
【0161】
【数24】 (48c) yk-1 〓 〓〓J,KTQ[i]−Q/PxJ-1xJ+1 TP[i] =QΔφ0,0+KR +yQ-1y1 TQ[i]−QJR/P −Q/PxP-1x1 TP[i]
【化】
【0162】 J=P#およびK=Q#であることを
想起し、φ0,0について解くと、
【0163】
【数25】
【化】
【0164】 式(48e)の右辺の左側の括弧の中の
項は、記号の種類の相違だけを無視すれば、丁度
式(1)の括弧の中の項である。2πと式(48e)の右
側の括弧の中の項との積は式(1)の定数Ψを定義す
る。
【0165】 上記の式(48e)の右辺の右側の積が
実際に式(1)のΨの値になるということをここで示
す。式(13)に式(7)を代入すると、
【0166】
【数26】 (49a) Ψ=2π/QR{ia TQ[i]−Q/Pyl TP[i]} ところが、 (49b) ja TQ[i]=yQ-1y1 TQ[i] および (49c) yl TP[i]=xP-1x 1 TP[i]
【0167】 それ故、式(49a)の記号に式(49b)
ないし式(49c)の記号を代入して良い。これを
行なつて整理すれば下式を得る。
【0168】
【数27】
【化】
【0169】 式(49d)は式(48e)の右辺の右側
部分が実際に正しく式(1)と同等であることを示し
ている。
【0170】 以上で示した様に、我々は式(1)を導
き、また式(1)で得られる角θの性質をその過程で
明らかにした。更にΨを正確に定義した。角θは
φ0,0であることを示したが、これは簡単に言え
ば、関連するP#とQ#とが0でない限り加算を
決して始めない場合に得られる角度である。勿
論、その場合にはP#およびQ#(JよおびK)
に任意の値を与えることができることに比べれば
もつと厳しい規則が必要であろう。式(1)と式
(48e)の利点はこのような厳しい規則が必要ない
ということである。Ψの定義は本質的には0に等
しいφ0,0が入力角度であるとき得られる残留オフ
セツトである。Ψを求める際に必要な和はP#=
0の場合のΣTP[i]および正確にQ#=0(すな
わち、Δθが残らない)の場合のΣTP[i]である。
0度入力でΔθが0に等しいと言うことは言い換
えればTP[1]がTQ[1]と一致しているという
ことである。しかし、式(1)も式(48e)も「0度」
入力に際してTP[1]がTQ[1]に一致すること
を要求していない。というのはΨは使用者が「0
度」であることを望んでいる入力値でTP[1]と
TQ[1]との間にどんな任意の状態が得られても
正確に基準を提供することができるからである。
これには入力ステータの「0」位置を任意に定義
することばかりでなく軸上で接続されたロータ間
の相互の位置関係を任意に設定することも含まれ
ている。このようなTP[1]とTQ[1]との一致
は証明の初めに行なつた簡略化のための仮定の1
つであつたことを想起されたい。今やこの特別な
仮定は不必要であることを示すことができる。何
故これがそうなるかを見るため、ステータの
「0」位置またはP1のQ1に対する向きには無関係
に、TP[1]とTQ[1]とが一致する機械的入力
値が1つ存在することを観察する。それが便利な
らこの様な入力条件を0度とみなすか、あるいは
それを0度とすべきではない場合には或る任意の
値αとみなす。後者を選択したとしてもその唯一
の影響は測定した結果にαのオフセツトが入つて
来ることだけである。オフセツトαの量は、機械
的入力が変化するときTP[1]とTQ[1]が同時
に生起する点を監視することによつて確かに見つ
け出すことを可能であるが、厳密にわかる必要は
ない。このようなTP[1]とTQ[1]の同時性を
生ずる機械的入力角と角度がゼロであるとしたい
機械的入力角との差がαである。αを直接見つけ
出すことを避けるため機械的入力を「0」、「10」
等といつた任意の基準値θrefに設定することが
時々ある。それで測定によりθrefの基本値を見つ
けるために−Ψの項を含まない修正した式(1)を使
用する。しかしその値は以下の様に表わされる。 (50) θref=α−Ψideal
【0171】 勿論、αとΨidealの実際の値は未知で
あり、その差θoewだけが(測定と修正されさ式(1)
とにより)既知である。
【0172】 次にθrefのその元の値から値の量γだ
け機械的入力角を増してθoewにした結果を考え
る。ここで行ないたいことはγを見出すことであ
る。ただしθrefはその値を得ることができる測定
可能な量である。 (51) θoew=α+γ−Ψideal γについて解けば、 (52) γ=θoew−(α−Ψideal
【0173】 式(50)を上式の右辺に適用して下式
を得る。 (53) γ=θoew−θref
【0174】 すなわち、γはθrefを基準としえ測つ
た入力値であつて、θrefの値は任意である。α及
びΨidealの実際の値は決して厳密にわかる必要は
ないということに気付かれたい。また上述の議論
から、下記の如く式(1)を式(1′)および(1″)に
書き直すことができる。
【0175】
【数28】 (1′) θ=2π{θo+1′−θo′) ここで、 (1)″ θo′=〓TQ[i]/Q−ΣTP[i]/P/R+P#
/P−Q#/Q
【0176】 式(1′)のθは式(48e)に関連して
説明したように必ずしもφ0,0に等しい必要はな
く、φ0,0とは或る定数だけ異なつても良い。この
両者が等しいか否かは「0度」を表わすために選
んだ条件に依つて決る。その条件が「0度」にお
いてTQ[1]とTP[1]が一致するということで
あればθは実際にφ0,0に等しくなる。これは式
(49)のΨの定義からおよび式(1)または(1″)の
「0度」条件の効果から起る。式(1)の場合、括弧
内の項はそのときΨの値を有し、Ψ−Ψは0であ
る。式(1″)の場合、「0度」でθo′として得られ
る値はこれまたΨであり、それで式(1′)はΨが
既知である式(1)と全く同じ働きをする。しかし、
「θが0度に等しい」ということがTP[1]が
TQ[1]に一致する条件でなければ、θはφ0,0
両「ゼロ条件」の差の値である、定数オフセツト
を加算あるいは減算したものになる。しかし、い
ずれにしても、θの変化分はφ0,0の変化分に等し
い。
【0177】 当該分野に精通している者であれば、
上に説明した性質を利用する幾つかの方法が可能
であることがわかるだろう。その方法は、一旦実
際にαとΨidealとを見出す(所与の固定された構
成についてただ1度だけ見出す、あるいは電源投
入時のような、要求のあつたときにそれらを見出
すことから電源投入時に初めてθrefだけを見出し
て各角度を新しいθrefからの異なるθoewへの変位
として測定することまでに亘つている。これらは
与えられた用途にとつて最も意味のあるものを選
ぶという基準によつて決定すべき設計上の問題で
ある。
【0178】 Ψが見つかり使用されるか否か、0度
とみなされる条件、極がロータ上にどの様に配置
されているかなどによつて、式(1)あるいは式
(1″)でさえもが時により負の答を出す可能性が
ある。このような負の答が得られても、その負の
値に単に正の1周分の角を加えることにより容易
に正の値を得ることができるから、何ら問題には
ならない。
【0179】 今度は式(1)に戻り、先の証明のはじめ
に行なつたもう1つの簡略化のための仮定を再び
検討することにしよう。図4ないし図8を参照し
て、式(2)と(3)とにおいては、「時刻が0に等しい」
時点から開始すると仮定したことを想起された
い。このことは、図9Aないし図9Cにあてはめ
て考えれば、TP[1]が0に等しいと仮定するこ
とと同じである。今度は、TP[1]は0でないと
して、どの様名結果が得られるかを検討すること
にしよう。TP[1]を或る0でない値βとし、こ
れが式(48e)に及ぼす影響を考える。その結論
は式(1)にも適用できる。なんとなれば、これらの
式は等価だからである。
【0180】 これまでの説明はすべて時間間隔
(a、b、c、…およびl、m、n、…あるいは
y1、y2、y3、…およびx1、x2、x3、…)を使つて
表現してきた。式(2)と(3)とは、これらの時間間隔
の終結時刻を合計すること(式(1)でのように)と
時間間隔を合計すること(こちらの方が説明上好
都合である)との関係を示している。βは時間間
隔のいずれかに対する増分ではなく(つまり、こ
れらの時間間隔の値は不変のままである)、
TQ[i]の合計についてであろうとTP[i]の合計
についてであろうと、各時間間隔の終結時刻の測
定値の共通の増分であるというとを記憶しておく
ことは重要である。式(1)で行つたように、
TQ[i]についてQ個のこのような項の合計がと
られ、TP[i]については、P個の項の合計がと
られる。Q個のTP[i]は夫々βだけ増加するか
ら、その合計はQβだけ増加する。同様に、
TP[i]の合計はPβだけ増加する。いろいろな
TP[i]がどんな順序になつているかは問題では
ないし、またいろいろなTQ[i]がどんな順序で
加算されるかも問題ではない。すなわち、合計が
或るΔφのために式(48e)の右辺の左側の括弧内
にあろうと、Ψとして右側の括弧内にあろうと、
ΣTQ[i]はおのおのQβだけ増加し、ΣTP[i]は
各々Pβだけ増加する。各組の括弧内では、
【0181】
【数29】 (54) ΣTQ[i]+Qβ/Q−ΣTP[i]+Pβ/P =ΣTQ[i]/Q+β−ΣTP[i]/P−β =ΣTQ[i]/Q−ΣTP[i]/P
【0182】 であるから、β≠0は自己相殺の条件
であることは明らかである。
【0183】 最後に、式(2)と(3)とを考慮して且つ簡
略化のための仮定に関する先の注意に照らして、
式(1)の意味を強調したい。式(1)が導入されたと
き、そしてそれがここで繰返されるとき、式(1)は
P個の連続する遷移時刻とQ個の遷移時刻との和
を必要とするということを指摘した。何段にもわ
たつて、時間間隔を中心に据えての説明を行なつ
て来たので、不用意な読者はことによつたら答を
出すためには一連の多数回の減算を行なつて各時
間間隔を実際に見つけ出す必要があるという誤つ
た印象を受けるかもしれない。しかし、実際はそ
うではない。説明や証明に時間間隔を用いるのは
便利である。というのも時間間隔はロータ上の極
の配置に対応するからである。しかし、先に指摘
した通り、式(2)およびは時間間隔を式(1)に必要な
合計に関係付ける。これらの合計は単に連続する
Q個のTQ[i]を加算し、更に単に連続するP個
のTP[i]を加算することによつて正確に得られ
る。これらの合計を作るのに減算は必要がない。
加えられるTP[i]の第1番目は0である必要が
なく、またTP[i]とTQ[i]が一致しなければな
らないこともない。測定が行なわれる際には、か
くして作り上げられた合計に対して、少数回の減
算および乗算のような他の演算を行なうだけでよ
いのである。
【0184】 ここにおいて式(1)および式(48e)の
「意味」を検討することは有用と思われる。これ
らを上でまさに導いたことはまちがいないし、ま
た事実これらの式によりうまく測定できることは
明らかであつても、「何故それが本当にうまくい
くか」について何かごまかされた様な気がするか
もしれない。「何故それが本当にうまくいくか」
ということの基礎はある基本原理が存在する。そ
の原理を取出して手短かに説明することは役に立
つと思う。これをわかつた上で、次に角度θを見
出す或る方程式の解釈を提供しよう。
【0185】 図10に示す回転している4極のロー
タを考える。時間Rでロータが丁度1回転する間
にT1からT4までの各時刻にセンサは信号を発生
する。最初の例のように、極間の時間間隔をa、
d、cおよびdとする。aないしdについての唯
一の制限は、これらの合計はRになるということ
である。特に、これらが等しいとは仮定しない。
従つて以下の式もしくは条件(イ)ないし(ホ)が成立す
る。 (イ) T1=T1 (このT1はゼロであるかあるいは先行するある
時刻T0=0を起点として測られる) (ロ) T2=T1+a (ハ) T3=T1+a+b (ニ) T4=T1+a+b+c (ホ) R=a+b+c+d
【0186】 ここにおいて下に示す式(ヘ)は「極の平
均時刻」を見出すため、4つの連続する遷移時刻
を平均した結果、すなわち「等値単極」の生起時
刻を示している。
【0187】
【数30】
【化】
【0188】 この平均化または等価時刻は極番号1
で加算開始したことに関するものであるというこ
とを理解することは重要である。今「極番号2」
で始まる(平均を開始する上で「a」の遅れ)4
つの連続する時刻を平均した場合、平均時刻ある
いは新しい等価単極にどんな変化があるであろう
か?」ということを考えてみる。ここまでの説明
を読んだ上で、新しい等価単極の生起時刻は時間
間隔「a」だけ遅れるであろうと予期するのは誠
にもつともである。しかしながら、これは正に丁
度極間の平均時間間隔となるからである。以下の
式(ト)ないし式(ヌ)に新しい値を示す。
【0189】
【数31】 (ト) 〓i=2,3,4,1 Ti=(T1+a)+(T1+a+b) +(T1+a+b+c)+(T1+a+b+c+d) (チ) =4T1+4a+3b+2c+d (リ) =4T1+3a+2b+c+R
【化】
【化】
【0190】 式(ル)に示す様に、これら2つの値
(すなわち式(ヘ)と式(ル)の違いは1回転時間の
丁度1/4、すなわちR/4である。2つの極がスキ
ツプされたとすればその差は1回転の2/4になる
ことがわかるであろう。更に、4つではなく5つ
の極があるとすれば、今度の場合の対応する差は
夫々1回転の1/5および2/5になる。ここで得られ
ることはP#/PおよびQ#/Qと呼んだものに
ついての法則の概要であることは明白である。こ
の法則の大事の点は、Q個の極のあいだのQ個の
任意の時間間隔a、b、c、…kについて、これ
らの合計がRであることを除き個々には知られて
いなくても、極生起の平均時刻を決定する加算を
始めるまでに極を1つスキツプする毎に、平均時
刻は正確にR/Qだけ増加するということであ
る。これは興味のあるしかもおそらくは予期しな
い結果であり、それは任意の且つ未知の大きさ
(スキツプされた量)をその大きさが予めはつき
りしおり且つ既知のもの(補正の大きさ)と関係
付ける。
【0191】 この補正の原理は、連続した生起時刻
を1回転を超す時間に亘り平均する場合にも等し
く適用される。今度はこの可能性に関して若干説
明しよう。n回の回転について平均をとるものと
し、かつスキツプされた極の数はロータ上の極の
数より少ないものと考えよう。この場合、式(ト)及
び式(ヌ)は次のように表わせる。
【0192】
【数32】
【化】
【化】
【0193】 すなわち、回転数はスキツプされた極
の数に関する補正の大きさには影響しない。これ
は4極の回転子に関する特定の例であるが、一般
化された原理はロータ上に任意の複数個の極があ
る場合に成立することは明白である。ロータ上の
極数よりも少ない個数の極をスキツプするという
上記の必要条件は好ましい実施例に関連してP
#およびQ#を求めるために与えられた規則と矛
盾しない。というのも複数回転の測定を行なわな
ければならない場合には、P#により、Q#が強
制的に定まり、この2つの値は最初の回転中に得
られるからである。したがつてその差は多くとも
1回転に満たない。
【0194】 本来、式(1)の他の事項はn回の回転の
測定に対しては変化する。合計ΣTQ[i]はnQで
割られ、合計ΣTP[i]はnPで割られることにな
るが、この2つの商の差はやはりRで割られるこ
とになる。また補正項(P#/P)−(Q#/Q)
は同じままになる。
【0195】 複数回転の他の可能性は手短かに考察
する価値がある。普通のP個およびQ個の極につ
いて夫々の合計に対してロータをn回転しなけれ
ばならないと考えよう。更にこの合計は同じ回転
内で始まる保障はないとしよう(モータ速度の変
動は考えない)。ここでは一方のロータについて
n回の回転は、他方のロータのn回の回転とほと
んど共通部分(時間的オーバーラツプ)がないこ
ともありうる。つまりこの場合は合計をとる時間
帯はほぼ2n回にまでなり得る。)もしこれに固執
するのであれば、これを行なう方法は、1つの
「超回転」に関し、各ロータを夫々nPおよびnQ
の極を有する「超ロータ」として取り扱うことに
なる。この取扱いのもとでは、P#、Q#はPお
よびQより大きくなることができ、ただ、Pの代
りにnPを、Qの代りにnQを、そしてRの代わり
にnRを用いることを除いては、測定は既に述べ
たいずれかの式を用いて容易に行われる。わずか
ばかりの余分な手間としては、実際の1回転1回
のマークのn番目ごとのマークを「超1回転1回
マーク」と認めることである。
【0196】 上記複数回転方式のいずれによつて
も、2つ以上全体測定を平均したい場合にある種
の効用がある。 夫々1回転の測定をn回行なう代りに、n回転
の測定を1回で行なうことができることになる。
こちらの方が大量のメモリを必要とすることにな
るが、おそらくは測定が早くなり、0°または360°
に非常に近接している答を組合せる際の困難さが
かなり少なくなる。
【0197】 説明を簡単にするため、図10の原理
のもつと公式的な説明はここでは提示しない。し
かし、この証明はさして困難ではなく、図6、図
9A、または図9Bおよびこれらに関係する本文
は証明の基礎と解釈することができることに注意
しなければならない。疑いもなく何度にも亘つて
この原理のいろいろな変形を証明してきた。本発
明の目標は位相角の公式、すなわち式(1)がどうし
て「本当にうまくいくか」の解釈をすることであ
るということを想起すれば、図10およびこれを
関連する原理を例示した目的は単に、明確に見て
とれるある種の有用な原理を作ることである。こ
うしてから今やその解釈に進むことにする。
【0198】 おそらく解釈を始めるもつとも容易な
地点は式(48d)であろう。この式で、時間Δφ0,0
は4つの他の時刻および2つの補正項(JR/P
およびKP/Q、すなわちP#/PとQ#/Q)
についての差に等しいとされた。この式から出発
するのが好ましい理由は先ず、単位の大部分は
元々の測定の単位である時刻だからであり、更に
はすべての項は、算術的手間を減らすが量の間の
構造的関係を不明瞭にしあるいは吸収する「簡略
化のための」再構成をされることなく厳密に提示
されているからである。式(48d)は下に示す式
(55)の様に書きなおすことができる。
【0199】
【数33】
【化】
【0200】 式(55)において、先ず(A)項は、入力
角を反映したQ極の第2の平均時刻であり、J個
およびK個の極をスキツプした後から平均をとり
始めたものである。(B)項はK個の極をスキツプし
たことにより平均時刻にもたらされた変化を補正
するものである。(C)項はP極の第2の平均時刻で
あり、角度はゼロで、J個の極をスキツプした後
から平均をとり始めたものである。(D)項はJ個の
極をスキツプしたことにより平均時刻にもたらさ
れた変化を補正するものである。(E)項は角度がゼ
ロの場合のQ極の第1の平均時刻であり、この平
均はP極の先頭が検出されたときに始められる。
(F)項は角度がゼロの場合のP極の第1の平均時刻
であり、この平均はP個の先頭が検出されたとき
に始められる。
【0201】 項は入力角を反映したP極の等価単
極の第2の平均時刻をQ極の先頭からのものに補
正した結果でる。なお、J個の極をスキツプする
ことは、本来的には、K個の極をスキツプさせる
ことになるということ以外には上記量に影響を与
えない。そして、ここで、行なわれた補正の目的
はこの影響を除去することである。項は角度ゼ
ロの場合のP極の等価単極の第2の平均時刻をP
極の先頭からのものに補正した結果である。項
はP極の等価単極とQ極の等価単極との間の差で
ある固定的な基準値であり、真の角度ゼロの条件
を表わしている。ただし、他の箇所で述べている
様に、差をとることによりこの項が打ち消される
場合には、この項の実際の値を求める必要はな
い。普通はこの項の値は求められない。
【0202】 (イ)項はP極の平時刻と入力角を反映し
たQ極の新しい平均時刻との間の変更された差で
ある。この差は入力角のもう一方の境界を表わす
初期基準差と比べられる。すなわちトランスデユ
ーサの現在位置から入力角を引いたものである。
初期基準差は固定的な基準値でもよいし、または
単に以前の測定の結果(たとえば、この差の測定
の様な)でもよい。
【0203】 すなわち、(A)〜(D)項の測定は同一の回
転期間中に行なわれるが、Ψ、すなわち項の測
定とは多くの場合異つた回転期間中に行なわれ
る。また、項はΨを表わしているが、もしこの
測定が実際に行なわれるとしたならば、本項中の
(E)項および(F)項の測定は同一の回転期間中に行な
われる。
【0204】 上の説明から引出し得る結論は、左側
の2つの括弧間の差は新しい角度に関して測定さ
れた差であるということである。この差の値から
差引かなければならない量は、その角を測るとき
の基準点となる基準状態について、はじめに測定
しておいた差の値である。基準状態はΨでもよい
し、あるいは再定義可能なゼロ角度状態に対応す
るある選ばれた状態において測定された差の値で
あつてもよい。Ψおよび式(1)についてのはじめに
与えた説明との他に、Ψideal、α、および式
(50)から式(53)まで、および特に式(1′)と
(1″)に関連する説明を参照されたい。
【0205】 上記の測定された差は、P極の平均時
刻についてのQ極の生起の平均時刻である。この
2つの平均は本質的に同じ1回転についてとられ
る。両平均時刻はその夫々のロータ上にある開始
極についてとられている。この点から見て、基準
ロータとそのセンサは、入口ロータの回転中の平
均時刻のため時間間隔を測定する安定な基準点と
なる。夫々のロータの形状および入口ロータの位
置に従つて、Jに与えられた値がKの値を本質的
に定めてしまうことに注目されたい。一旦ΔφJ,K
とΔφM,NがQ#=0とした値に調節されてしまえ
ば、ΔφJ,KとΔφM,Nとはある意味で比例している。
つまり時間ΔφJ,0とΔφM,Nは2つのP極JとMの間
の時間間隔だけ異なつている。(測定ごとにRが
変動するならばどの回転かということを問題にす
ることは正しい。このことは以下に式(56)によ
り説明する)。換言すれば、基準ロータは2つの
測定に対して異なる基準点を提供する。この差の
正確な量はJとMをゼロにすることにより見つか
る。この過程ではJとM(この事に関してはKお
よびNも共に)はことなる速度であつてもよい異
なる回転の部分を自由に表わせる。
【0206】 もし式(55)の右側)の括弧内の項
(これらはΨに対応する)を無視するなら、式
(1′)と式(1″)はΨが減算により抹消される場
合を取り扱つているということを想起すれば、式
(1″)を式(55)に照らして解釈することは困難
ではない。唯一の差異は式をRで除し、次いで多
少の変形を加えることにより、Δθを見出すこと
からθを見出すことに変換することである。Rで
除すことは特に望ましい。というのはこれにより
いろいろに変化し得る回転速度も正規化
(normalize)して、特定の時間とは異なり、1
回転中のある割合を表わすP#/PとQ#/Qと
が得られるからである。また、これにより、式(1)
におけるように2πを乗ずると結果はラジアンで
表わした角度となり、もはや1回転についての割
合ではなくなる。式(1″)は夫々任意の開始極に
関係する2個の等価単極間の1回転についての割
合を示すと言つてもよい。こさは次に前述の原理
にしたがつてある固定開始極に関係するように調
節される。減数としてのTP[i]の合計は大きす
ぎてまだはじめの開始点までは調節し戻されてい
ないので、P#/Pが加え戻される。またQ#/
Qが差引かれる、というのも減らされたTQ[i]
の和はその量だけ大き過ぎて開始したので、まだ
はじめの開始点までは調節し戻されていないから
である。
【0207】 基準ロータとその合計とが「0基準」
としてどのように働くかに関しての一層の洞察が
式(56)を検討することから得られる。
【0208】
【数34】
【化】
【0209】 式(56)において、まず(G)項は入力角
を反映したQ極の第2の平均時刻であり、J個及
びK個の極をスキツプした後から平均をとりはじ
めたものであつてかつある第2のT0を基準とし
た値である。(H)項はK個の極をスキツプしたこと
により平均時刻にもたらされた変化を補正するも
のである。(J)項はQ極の第1の平均時刻であり、
角度はゼロの場合である。この平均はQ極の先頭
からはじめられかつある第1のT0を基準とした
値である。(K)項は角度ゼロの場合のP極の第2の
平均時刻である。この平均はJ個の極をスキツプ
した後からはじめられかつある第2のT0を基準
とした値である。(L)項はJ個の極をスキツプした
ことにより平均時にもたらされた変化を補正する
ものである。(M)項は角度ゼロの場合のP極の第1
の平均時刻であり、P極の先頭からなじめられ、
ある第1のT0を基準とした値である。
【0210】 項は入力角を反映したQ極の第2の
平均時刻をP極の先頭を基準とした値に補正した
ものである。これはこの差についてJ個のP極を
スキツプしたことによる効果(ここでJ個にスキ
ツプの影響はK個のスキツプをおこさせることだ
けである)と打ち消す。この平均時刻は第2の
T0を基準にしたものである。項は角度ゼロに
ついてのP極の第2の平均時刻である。この値は
P極の先頭を基準に補正されているが、第2の
T0を基準としている。なお(M)項と項は一般に
異なつた値を持つ。それは、合計毎に異なつた
T0を与えるために行うタイマのリセツトによる
ものであり、またモータスピードの変動のためで
もある。
【0211】 (ロ)項は入力角によるQ極の平均時刻の
変化を示すが、また2つのT0間のオフセツトも
含んでいる。(ハ)項は第1、第2のT0間のオフセ
ツトである。入力角に基づく変化はない。という
のは基準ステータは動かないからである。
【0212】 かくして式(56)は厳密に入力角のみ
によるQ極に平均時刻の変化を表わしている。注
釈の多くは同じであるが、式(48d)の項の組分
けは異なつている。すなわちTP[i]に関するす
べての項はまとめられて差を作つている。前述の
原理によれば、式(56)の右側の括弧内の量は
各々の合計が同じT0を基準としている場合には
0になる。すなわち、「新しいが調節された」
TP[i]の合計は「古い」TPiの合計に等しい。明
らかに、この式ではTQ[i]だけが「角度情報」
を作り出しており、この情報は、基準センサが動
かないとすれば、我々が期待しているものであ
る。
【0213】 それでは何故TP[i]について細々と
した検討を行なうのか?その答は、少なくとも部
分的には、理想的な変換器においてさえも右側の
括弧の中の項の値は、少なくとも2つの理由で、
一般には0にはならないということである。第1
の理由は2つの合計が同じT0=0を基準として
得られたとしてもこれらはなお異なる時間に行な
われ、したがつて生起の平均時刻に0でない差を
生じる(勿論、同じことは左側の括弧内について
も当てはまる)。しかし、右側の括弧内の項の差
が「たまたま」ゼロになることはある、というの
はどんなクロツクでも任意に与えられた時刻T0
=0からの単調に増加する時間をいつまでも計時
していることはできないからである。クロツクは
ある時点で(クロツクのレジスタが保持し得る最
高値までカウントしたこと等により)リセツトさ
れなければならないから、右側の括弧内の2つの
合計はクロツクの同一のT0=0を基準として得
られたものではおそらくなくなる。このように条
件が変化することにより同じでないはずの合計同
志が等しくなる場合が現れる。(同じことは左側
の括弧内の合計についても言える)。この様な事
態はしかしながら問題とはならない。それは、2
組の括弧が夫々任意の別々のT0の間の同じ差を
含んでいるからであり、またその結果、(56)式
を見ればわかる様に、その「同じ差」同志の差を
とることになるからである。この差同志の差をつ
くることこそが、2つのΣTP[i]を見つけ出す
主な理由である。これにより2つのΣTQ[i]の
間の差のオフセツトを見出しこれを取除くことが
できる。第2の理由は第1の理由の場合と同様な
誤差キヤンセルを行なうためだが、別の誤差原因
について考えている。合計が異なつてくるのは、
モータ速度やクロツクレートがわずかに異なるこ
とから生ずる。これらの合計が異なるため、左側
の括弧に除去しなければならない測定可能なオフ
セツトが生ずるが、このオフセツトは右側の括弧
内にも共通に生ずることになる。
【0214】 これらのでき事(異なる時刻での測
定、クロツクのリセツト、モータ速度やクロツク
レートの変化)のどれ1つとして心配する必要が
ないことがわかる。これは式(56)を考察すれば
容易にわかる。つまり本計算の差動的性質から、
これらの影響による定常状態偏倚に起因するオフ
セツトがキヤンセルされるのである。勿論、位相
測定が行なわれている時間中の回転の途中でクロ
ツクをリセツトしないよう注意しても良い。
【0215】 以下に、式(1)の2つの解釈を示す。こ
こにおいては、図3Aないし図3Cの構造および
測定の規則、上記の原理、および等価単極の概念
を仮定している。
【0216】
【数35】
【化】
【0217】 上の形で表現した式(1)において、まず
(M)項は入力角とQ#個の極をスキツプしたことに
よる、Q極が1つ現れる平均時刻である(Q#個
の極のスキツプ自体は、現在の入力角においてP
#個の極をスキツプすることに起因する)。この
時刻はQ極の等価単極が現れる時刻である。(N)項
はP#個のP極をスキツプしたことによるP極が
1つ現れる平均時刻である。この時刻はP極の等
価単極が現れる時刻である。(O)項は1回転に要す
る時間である。(P)項はTP[1]を基準とした値で
あつて、P#個のP極をスキツプしたことによる
等価極間隔の減少の、1回転に対する割合であ
る。なんとなればこのスキツプはTP[i]の合計
平均を増加させたが、TQ[i]の合計には対応し
た変化をもたらさなかつたからである。(Q)項は
TP[1]を基準とした価であつて、Q#個の極を
スキツプしたことによる等価極間隔の増加の、1
回転に対する割合である。なんとなれば、このス
キツプはTQ[1]の合計平均を増加させたが、
TP[1]の合計には対応した変化をもたらさなか
つたからである。(R)項は等価極間の当初の基準角
における残余(residual)間隔である。この値は
実際に求めても求めなくても良い。普通は求める
ことはせず、θの2つの異なる測定の共通モード
成分として打消される。
【0218】 項は入力角を与える以前から存在し
た(つまりTP[1]≠TQ[1])時間間隔に起因
し、また入力角自体(これはQ極の等価単極が現
れるのを遅らせる)に起因し、また極をスキツプ
すること(つまり、TP[1]とTQ[1]を待たず
に合計を開始すること)にも起因する。
【0219】 (ニ)項はロータの回転に対する割合とし
て表わされた時間間隔である。
【0220】
【数36】
【化】
【0221】 上の形で表現された式(1)において、(S)
項は最初の時間間隔、入力角およひQ#個のQ極
をスキツプしたことを反映させ、更にP#個のP
極をスキツプしたことについての補正を行なつて
得られた、1回転に対する割合である。
【0222】 項は最初の時間間隔と入力角のみに
よる、1回転に対する割合である。つまり、仮に
最初の極が現れたとき、TP[1]およびTQ[1]
において夫々の合計を開始していたら測定されて
いたであろう値が得られる様に補正したのであ
る。
【0223】 (ホ)項はTP[1]とTQ[1]において
夫々の合計を開始させることを基準として、入力
角のみの1回転に対する割合である。ここでΨは
式(1)の様に、値を求めて減算しても良いし、ある
いは式(1′)や式(1″)の様に、入力角の2つの
異なる値についての測定値の減算により打消して
も良い。
【0224】 式(1)全体としては、TP[1]と
TQ[1]間の最初の差を基準とし、入力角を反映
した2つの等価単極間のロータの回転をラジアン
で表現したものになつている。
【0225】 今や式(1)、式(1′)、および式(1″)
は実際に正しいことがわかつた。また、各ロータ
の極数が互いに等しい必要もないし、また極がロ
ータに一様等間隔に配置されている必要も全くな
いことがわかる。上の証明により、明らかに極は
任意に配置できることが明白にわかる。実際問題
として、ロータ上の極がかなり一様に位置される
ことはありそうなことであり、これはセンサの応
答を最適化して過度状態を抑制してクロストーク
が存在する場合これを抑制するのに役立てるため
に望ましいことである。このような一様性によつ
て、ロータ上の絶対位置を標示するのに役立ち、
またP#およびQ#を常に把握しておくための基
礎として役立つ欠除極の確実な検出ができるよう
にもなる。しかしながら、ロータの絶対位置の検
出は他の手段(たとえば、各歯車に永久的に取付
け、特定の極と関連付けられたインジケータと、
これを検出する別個の1回転1回センサを設け
る)によつても達成することができる。このよう
な手段によれば、原理上、ロータ上の位置決めは
(クロストークのないシステムでは)全く任意で
よいことになる。要するに、他にそうする良い理
由がないかぎり、極を故意にでたらめに配置する
ことは特には奨めないが、本発明による位相測定
技法によれば精度が極配置の精度で制限されない
位相測定が可能である。他の因子によつてはな
お、とにかく、本質的に規則正しい極配置をしな
ければならないかもしれない。
【0226】 装置依存の定数Ψを取扱うということ
だけを条件とすれば、式(1)、(1′)および(1″)
は「粗」でもなく「精」でもないが、おそらく時
間測定の精度と安定性と同程度の高精度を有する
統合された高分解能の解である絶対的な答を与え
る。これを実現するには、タイムベースとゼロ交
叉検出器が用いられるだろう。測定の差動的性質
のため、タイプベースはただ短期安定性が良好で
あればよい。異なる時間に行なわれた測定値間の
差で長期安定性の欠如による成分は「コモンモー
ド」効果によつて相殺される。全体として角度変
換装置の精度に影響することのある機械的因子が
存在するが、これらの幾つかについては以降の別
の章で説明することにする。しかしこれらの因子
は概ね式(1)または式(1″)の原理に妨害を与える
ことによつて、精度に悪い影響を与えることはな
い。
【0227】 式(1)および式(1″)によつて与えられ
る統合した答は、各ロータに付けられた多数の極
の「平均化」、すなわちこの多数の極により与え
られる寄与のため高分解能の答となる。この意味
で、あたかも2つの単極ロータがあつて、各セン
サからの信号の遷移を非常な自信を以てつきとめ
ることにより決定することができるように見え
る。
【0228】 この目的のため、極範囲とモータ速度
とをわずかに変動させれば、これらの変動が少な
くとも擬似ランダム性のものであるかぎり、分解
能の増大に実際に役立つであろう。周知のとお
り、このような「摂動」は一定数の極に集められ
る算術データの精度を増すことができる。
【0229】 式(1)と式(1″)における統合された答
には、極が本質的に規則的に配置されているとき
でさえも、容易に認め得る「粗」と「精」との成
分は入つていない。合計の項は答の精部を表すよ
うに見え、一方項P#/P〜Q#/Qは粗部を表
わすように一見考えられる。このわなに落ちる容
易な道は、規則性は和に関する商の差にモジユロ
的性質を与えるように見えるから、規則正しく配
置した極ではどの極から合計を始めるかは問題で
はないと誤つて結論することである。
【0230】 しかしこのような解釈では原因の類似
性は効果の類似性に先行すると誤つて結論するこ
とになる。ローダが規制正しく配置された極を備
えていればP#およびQ#を決定する同じ事柄が
或る異なる位相測定技法で測定した結果の粗部分
をも決定するということは正しい。しかしこれは
「Q#付きP#」と「粗」とは同じ事柄であるこ
とを意味しない。このことが起こるのは、単に、
それらを異なるものとして示す条件が手に入らな
いかあるいは正しく認められないということにす
ぎない。このような解釈を正しいとするにはPを
Qに等しくさせなければならず極の間隔が規則正
しくなければならないことがわかる。
【0231】 極端な場合を簡単に考察すれば、合計
の項が原理上、単に答の精部分ではなく、一方P
#/P、Q#/Qも、原理上、単に粗部分にすぎ
ないのではないということがよくわかるにちがい
ない。極端な例として、各ロータ上の極のすべて
が回転子の円周の小さな部分に集められたと想像
しよう。このような状態下で入力角度を等しく増
大させたときP#/PとQ#/Qは等しく変化し
ない。「入力円」のわずかな部分についてP#/
PやQ#/Qにかなりな変化があるが、残りの大
きな部分に関しては変化しない。しかるに「粗の
部分」は規則正しく変化する入力にしたがつて規
則正しく変化しなければならない。同様な不一致
は加算の挙動と「精の部分」との間にも存在す
る。
【0232】 更に、原理に照らして且つ何故割合の
補正(fractional adjustment)をはじめから行
なうかをよく考えてみれば、平均値は平均をとる
処理が始まつた場所に対して修正されていること
がわかる。しかしロータ上の何処で加算が始まる
かは回転中何時測定が行なわれるかの関数でもあ
り、ただ単に入力角度により入力ステータが何処
にあるかだけではない。しかし「粗」と「精」と
は確かに入力固定子が何処にあるかだけの関数で
ある。「何時」ということがどうして角度を変え
ることができようか?式(1)、(1′)および(1″)
に関するかぎり、粗および精という概念は、統合
された結果という考えのためには、以上説明した
様に捨て去つてしまうのが最も良いように思われ
る。
【0233】 しかし、式(1)は答の「精」の部分だけ
を生ずる下記の他の式(57)の基礎である。式
(57)で得られる答は別の粗測定で補足すること
ができるか、あるいは答の精の部分が完全な1回
転分になつたとき粗の部分を蓄積するという、完
全に増分的なシステムの中で使用することができ
る。式(57)は式(57′)と(57″)の基礎であ
り、これは式(1′)、(1″)の式(1)に対する関係と
相似な関係となつている。
【0234】
【数37】 (57) θfioe=2πQ/RΔθ =2π{ΣTQ[i]−Q/PΣTP[i]/R +P#(Q−P)/P}−QΨ (57′) θfioe=2π{θo+1′−θo′}ここで (57″) θo′=ΣTQ[i]−Q/PΣTP[i]/R+P#
(Q−P)/P 「精」の値
【0235】 式(57)は次のようにして式(1)から得
られる。まず、式(1)にQを乗じてロータの1回転
あたりQ回分「回る」答を作る。次の答の中に
2πの倍数は単に整数回の回転の計算(ラジアン
で表される)を答の粗の部分に付加するだけであ
ることがわかる。これにより、得られたθfioeが今
やモジユロ量であることを理解して、乗算された
式(1)の右辺中の要素から或る項を除くことができ
るようになる。
【0236】 その結果得られる式には次の項が入つ
ている。
【0237】
【数38】 (58a) …+〔P#/P−Q#/Q〕Q…
【0238】 しかし(58a)は次のように簡略化さ
れる。
【0239】
【数39】 (58b) =QP#/P−Q# (58c) =(Q−P+P)P#/P−Q# (58d) =(Q−P)P#/P+P#−Q# (58e) =P#(Q−P)/P
【0240】 上の導出過程において、式(58d)中
の差P#−Q#は整数回転の計数と言う粗の答
(夫々2πラジアンの量で表わされる)だけに寄与
することに注目して式(58e)を得る。
【0241】 式(57)は2つの方法で使用すること
ができる。第1に、増分的システム
(incremental system)を構成する簡易な方法と
なる。このようなシステムでは粗測定は行なわれ
ず、実際の最終値は精の計数が「1回転する」に
つれて「精」用の法の値(2π)だけ答を上下し
て調節することによつて維持される。このような
システムでは入力ロータすなわちQロータには絶
対基準極を備える必要はない。式(57)にはQ
#が現れていないことに注意されたい。また粗測
定を行なわないから、この目的のためにはそれは
必要がない。したがつて入力ロータ上の欠除極は
無くてもよいことになる。
【0242】 第2に、式(57)は「粗」の答を得る
ための別個の測定を行なうシステムで、「精」の
答を作る部分に使用することができる。このよう
なシステムではやはりQ#は必要ないが、入力ロ
ータ上に或る種の1回転1回のマークは必要と思
われる。このマークは欠除極の形態でも、または
別個のマークとそれに関連したセンサとの組合わ
せの形態をとつてもよい。いずれにしても、入口
ロータ上の極が入力ステータのセンサを通過する
のを位相粗測定のクロツク信号として使用するこ
とは有益である。その理由は、ロータの角速度の
変化に対する測定の不感性を高めることである。
大体において、このようなシステムは式(1)、(1′)
および(1″)に基づくものと実質的に同等である
が、余分なオーバーヘツドを有している。この種
のシステムは、しかし、実際に作られて極めて良
く動作している。
【0243】 最後に、式(1)と(57)とのRは、測定
の都度のRの実際に生ずる値を当該測定に使用す
るかぎり、Rの値が測定が変つても一定である必
要はない。これは合計をとる際使用される夫々の
丁度1回転に要する時間を測定することによつて
容易に保障される。つまり、i値を1つ任意に定
め、1つのTP[i]からその次のTP[i]までの時
間(TQ[i]間の時間でもよい)を測定すればそ
れがRとなる。モータの速度変動がかなりある場
合には2つを平均してRの値を求めることが望ま
しい。
【0244】 角度測定 次に図3Aないし図3Cに示す角度変換装置に
戻つて、入力角度を示す値を作る図3Aのロータ
とセンサとによつて作り出される信号A,B,X
およびYに位相測定技法がどのように適用される
かを考える。
【0245】 はじめに、基本位相測定技法の説明の
場合の2つのセンサおよび2つの信号とは違つ
て、4個のセンサと4個の信号とがある。にもか
かわらず所望の最終結果は同じである。一方でB
と「結合した」Aと他方でYと「結合した」Xと
の位相の差が探そうとするものである。AとBお
よびXとYの「結合」によつて平均化がなされ、
偏心誤差だけでなく或る種の他の誤差をも減らす
ことができる。しかしながら、「平均化」という
言葉はここでは平均位相を求めることを言い、こ
れは信号の瞬時値がアナログ加算で平均されると
きに得られるものとは必ずしも同じではない。
【0246】 ここで考察している偏心の種類は、入
力ステータの回転の中心がロータの回転軸22上
にない場合のものである。なかんずく、このよう
な偏心によつて入力センサの各々と入力ロータと
の結合度が変動する。この場合この変動は入力角
度の関数である。その結果、センサ自身から生ず
る信号振幅に差が現れる。この信号振幅の差があ
るため、直接アナログ平均化を行なつた平均位相
を有する信号を作り出すことが妨げられる。これ
を要約して言えば以下のようになる。すなわち、
信号を平均化して次の位相を測るのではなく、最
初に位相を測定し、次に平均するという方法が必
要になる。
【0247】 入力センサAが1個だけあると想像し
よう。先に記した位相測定技法が位相AXおよび
AYを測定するのに使える。AX位相に対する角
度はAY位相に対する角度はAY位相に対す角度
とは理想的には正確に半円周(πラジアンすなわ
ち180度)異なつている。この差を考慮に入れる
(たとえば、180度分のオフセツトにしたがつて補
正する)と、これら2つの角度を平均することが
できる。位相BXとBYとに対応する結果はBが
唯1つの入力センサである場合に得られる。しか
し夫々の場合得られる平均化した答は同じ入力角
度に対応し、したがつてこれらはセンサXとセン
サYとの間の半円周の差を考慮すれば平均するこ
とができる。この差はAXおよびBXについての
基準XからAYおよびBYについての基準Yへの
オフセツトになる。すなわち、AXからBYまで
のいろいろな位相についての角度がはじめにその
半円周分の差について補正されるとすれば下式を
得る。
【0248】
【数40】 (59a)∠AX+∠AY/2+∠BX+∠BY/2/2=∠AX+
∠AY+∠BX+∠BY/4
【0249】 すなわち、平均値を平均するか、また
は4個のすべての測定値を直接平均することがで
きる。
【0250】 同様に、更に多くのセンサがある場合
には以下のようになる。
【0251】
【数41】 (59b) ∠AX+∠AY/2+∠BX+∠BY/2+∠CX+∠C
Y/2/3 =∠AX+∠AY+∠BX+∠BY+∠CX+∠CY/6 (59c) ∠AX+∠AY+∠AZ/3+∠BX+∠BY+∠BZ/
3/2 =∠AX+∠AY+∠AZ+∠BX+∠BY+∠BZ/6
【0252】 上の形の平均化は式(1)または(1″)か
らの結合した答に対して、あるいは式(57)また
は(57″)からの精の角度に対して行なうことが
できる。精の角度を使用する場合には粗角度と組
合わせる前に平均しなければならない。これはそ
れ自身同様の平均となる。図3Aないし図3Cの
構成についての好ましい実施例では平均化は式
(59a)の右辺に示す様にして行なわれる。
【0253】 さて直径の反対側に配置された独立の
センサが正確に直径の反対側にないことが起り得
る。これが所望の偏心補正に及ぼす影響の程度は
特にきびしくはない。顕著な誤差を生ずるには1°
から2°のこのような配置誤差がなければならな
い。しかしながら、センサ間のオフセツトがわか
つていれば、正確に直径の反対側に配置されてい
てもいなくても、式(59a)〜(59c)に関連し
て説明した平均化に関して複数の独立センサを使
用することができる。
【0254】 式(1)の厳密な解釈に基づく平均した統
合解を与えるシステムでは、すなわち、Ψが明確
に求められる場合には、直径の反対側に配置され
ていないセンサから得られる結果は正確に半円周
だけ離れてはいない。図3Aを参照するに、位相
AXの結果を求め次に位相BXを求める場合、こ
れは入力ステータを第2の測定の前に動かすここ
とにより、Aセンサを丁度Bセンサがあつたとこ
ろまでもつてくることと同じである。偏心の影響
を別にすればこれら2つの測定方法は全く同等で
ある。別の考え方をすれば、AXとBXとが共に
基準ロータとXセンサとで決る同じ基準状態から
測るということである。同じ注意がAYとBYと
についても適用される。AXとBXとのセンサ配
置によるオフセツトが、たとえば、BXから取除
かれ、またAYとBYとの間のセンサ配置のオフ
セツトが、たとえば、BYから取除され、更にま
たAXとAYとの間のセンサ配置のオフセツトが
AYおよび既に一旦調節したBYから取除かれる
と、4つのすべての位相は先に説明したように平
均することができる。今述べた補正は結局、他の
夫々の位相の基準としてAXを使用することにな
る。センサ配置のオフセツトは夫々の新しい
BX,AY、およびBYの各々について正確に除く
ことができるし、あるいはそれらの測定値に対し
てΨの値に組み入れることができる。。4つの位
相測定値の各々にはそれ自身の定数Ψがあり、ま
たセンサ配置のオフセツトも一定である。従つ
て、これらは結合することができる。
【0255】 統合された答についてのもつと便利な
方法は、式(1′)および式(1″)に基づいた測定
を基礎とすることである。このアプローチを用い
れば、センサ配置のオフセツトが偏心補正を満足
させるに充分なほど180度に近いかぎり、オフセ
ツトがどれ位であるかを正確に知る必要はない。
問題とされる特定の位相値AiXは或る基準値Ap
Xからの変化として実際に測定され、一方BiXは
BpXに関して測定される。そして以下同様に測
定される。ApXとBpXとの間の元のオフセツト
は残存するが、AiX−ApXは、測定の差動的性
質によつて、原理上はBiX−BpXと直接平均す
ることができる。(原理上は平均できるが実際に
はできない。次節を参照。)同様にAiY−ApYと
BiY−BpYも平均できる。更に、これらは夫々
入力角度の同じ変化を表わしているものであるか
ら、この2つの平均値は平均できる。本質的に、
Ψの個々の具体的な値を知る必要がないと同種の
理由によつてセンサ配置のオフセツトの具体的な
値を知る必要もない。これらは減算によつてキヤ
ンセルされる。
【0256】 しかし、状況はこれまで述べてきたよ
りもいささか複雑である。結合された答も精の角
度も共にモジユロ数であり、また周知のとおり法
の値の近くにある数を平均するときは特別な注意
を払わなければならない。ここにおいて、法の値
は電気角360度に対応する値である。先行技術の
或るシステムでは、平均すべき角値に電気角180
度に対応する或る値を加えまたは減じ、平均化
し、次いで加えた値を除去することによりこの問
題を解決した。本実施例における方法に関する問
題は、法の値の近くの一対の値を180度だけ変え
ればその一対を面倒な領域の外に追い出せるが他
の組が面倒な面倒な領域に入つてくるということ
である。180度を加えるという方法に固執すると
すれば、選択したいくつかの値に180度を加え、
その結果から180度の適切な分数を除去すること
ができる。たとえば、4つの値のうちの1つだけ
が変る場合、180度の1/4、すなわち45度を平均か
ら減ずる。この方法はかなりな労力を伴うもので
あり、平均を行なうたびにかなりな程度の判定と
フラグの設定とが必要になる。
【0257】 他の、より簡単な方法も少なくとも同
様にうまくいく。この方法はいろいろな位相
AX,AY,BXおよびBYの間のオフセツトを観
察することである。これは位相の1つ、たとえば
AXを、基本として取り上げ、次の「平均可能性
オフセツト(averagability offset)」を作ること
により行なわれる。 (60a) O1=AX−AX (60b) O2=AY−AX (60c) O3=BX−AX (60d) O4=BY−AX
【0258】 これらの平均可能オフセツトは、セン
サ配置に関連して上に述べたものと同様変換器を
任意の位置に回した状態で測定してよい。これら
は相対測定値だからである。また、これらは定数
であるから、1回だけ測定すればよい。
【0259】 平均可能オフセツトを使用することに
より、測定された位相を次のように修正すること
ができる。 (61a) AX′=(AX−O1)mod 360° (61b) AY′=(AY−O2)mod 360° (61c) BX′=(BX−O3)mod 360° (61d) BY′=(BY−O4)mod 360° これら修正された位相は通常の仕方で(つま
り、通常の方法で180度の加算を先に行なつてよ
いということ)、すべての項を調節するかあるい
は全く調節を行なわないで、平均することができ
る。
【0260】 上に使用した「偏心」という語は関連
する他の種類の誤差の原因を示唆している。すな
わち偏心して取付けられたロータに関する誤差の
ことである。この誤差は、信号振幅の変動がロー
タの極とセンサ間の間隔の変化で生ずるにもかか
わらず、センサから見ると極の配置が不完全なロ
ータの様に見える。振幅の変化それ自体は、測定
の性質が位相だけに限られているため、誤差を起
しはしない。また位相測定技法は、原理上、極配
置誤差に免疫性があるから、偏心して取付けられ
たロータの場合測定に誤差は入つてこない。
【0261】 クロストークの減少 今度はクロストークの問題を説明しよう。この
影響を除くことは、何故入力ロータと基準ロータ
とが異なる数の極を備えなければならないかの第
1の理由である。また、個々のクロストークの起
源は各種実施例でことなることはあるが、正味の
結果は一般に同じであるから、図3Aないし図3
Cに関連して示す特定の実施例についてクロスト
ークの性質を調べることは有用である。
【0262】 クロストークの最終結果は図3Aない
し図3Cに示したと同様の構成だが歯車は夫々同
数の歯を備えている。装置で見られたそこでの答
には、角度で120秒もの周期誤差が存在していた。
誤差の大きさは入力ステータの位置の関数であ
る。誤差の値は入力と基準のステータのセンサが
整列した(aligned)とき最大であつた。これら
極端な値の間では誤差に入力ステータの位置の関
数として、振幅の変化する多くのサイクルを有す
る波形となつた。続いて行なつた実験では、この
誤差の原因は全く磁気的クロストークであること
がわかつた。というのは基準磁気回路と入力磁気
回路との間に高透磁率金属のシールドを入ると変
換器内のほとんどすべての観察できる誤差が除か
れたからである。
【0263】 シールドはしばしば言うに易く行なう
に難い。考える手間がかかり、重量が増えるだけ
でなく、シールドは芯合せと修理の期間に有難く
ない複雑さを示すことがある。ここではほぼ等間
隔に配置した異なる数の極を備えるロータを用い
たとき先に述べた位相測定技法は、あらゆる実用
目的に対して、クロストークによりもたらされた
誤差を免がれることを示そう。本発明の好ましい
実施例ではロータ間またはステータ間のシールド
を省いても悪い影響は認められず、しかもなお角
度で秒の精度と分離能を達成した。クロストーク
に対する同様な不感性が得られるためには、クロ
ストークの影響がセンサからの信号の或る位相歪
に相似しており且つこのような位相歪が下に述べ
る一定の判定基準に合致しているだけでよい。す
なわち、磁気を使つた装置においても、静電的お
よび光学的装置中のクロストークに対すると同等
の不感性が得られることを妨げている様な磁気固
有の事情等はない。クロストーク機構が実際のロ
ータ間またはステータ間の干渉に限定される必要
もない。クロストークの物理的位置としては敏感
な部品または導体が相互に充分近接している場所
ならどこでもよい。
【0264】 なお、考察中の磁気を使つた装置のク
ロストークの機構を更に手短かに検討することは
有用である。図3Aの磁気センサである基準セン
サ8を考える。磁石23に対する主磁気回路は磁
極片25を通つて歯車5に、次いで空気中を戻つ
て磁石23の他端に達している。他の戻り通路は
ロータ5から空気を通つてロータ6に、そこから
入力センサ10を通つて、ケースに、次いで基準
センサ8に戻る。同様な戻り通路は入力センサ1
1を通るものが、基準センサ9を通るものととも
に存在する。明らかにこれらの他の戻り通路は遠
いロータの極が関連する遠いセンサに近ずくこと
によつて影響を受ける。すなわち、夫々の他の戻
り通路の個々の影響はロータの極が基準センサ8
にどれだけ近いかには一般に無関係な何物かに依
存している。入力センサ10,11の場合には
「何物」とは(基準センサとロータに関するかぎ
り)入力ロータ上に任意の配置された極と結合し
た入力ステータの位置である。基準センサ9の場
合でさえ、センサ8に対する他の戻り通路の影響
は、基準センサ8側でどんな状態になつているか
は必ずしも強く関係しない。基準ロータ5の極が
理想的に配置されており且つ歯車が完全に丸い、
等々の場合にはその影響は常に同じであり、無視
することができる。ロータの円周の周囲の極の配
置間隔に任意の差があれば、対応する任意の影響
が基準センサ9により基準センサ8に与えられ
る。しかし、この場合でさえ、1回転にわたるこ
のようなクロストークの効果は一定であつて決し
て変らない。その効果は単に幾らかの一定のオフ
セツトである。したがつて、各センサが他のセン
サの夫々から本質的に任意に影響されても、同じ
ロータ上のセンサ間でのクロストークよりは、主
としてロータ間クロストークの効果に注目するこ
とになろう。他の戻り通路の影響を簡単に互いに
相殺するためにこれら各種の個々の影響に頼るこ
とはできない。すなわち、これらは、少なくとも
瞬間的には、「合計してゼロに」はならず、クロ
ストークが存在する。与えられた信号AからXま
でに関する観察のレベルでは、夫々異なつた数の
極を有するロータを用いた場合に起ることは、ク
ロストークの影響の位相相歪により、いろいろな
ゼロ交叉のうちあるものはそれらが起るはずのと
きより早く起り、他のものはそれらが起るずのと
きよりおくれて起るということである。しかしこ
の位相歪によつてもゼロ交叉の数は変らない。そ
れはクロストークの大きさはかなり小さく、たと
えば−40dB程度だからである。このようなロー
タ間のクロストークの影響により、動的に変化す
る極の配置誤差が入つてきたかのように見える。
すなわち、ロータ上の見掛けの極位置が入力角度
の関数であるかのように見える。もしロータ間ク
ロストークが1回転に関して、「対称的」である
か、あるいはほとんどそうであるならば、一定の
極位置の見掛けの変化は他の見掛けの極位置の対
応する逆の変化により相殺され、クロストークの
正味の効果は非常に小さくなるであろう。すべて
の実用目的に対して、このようなクロストークの
効果の相殺は、説明された実施例の場合におこつ
ている。
【0265】 上記のような断言だけでは皮相的に過
ぎるかもしれないので以下で更に詳しい説明を与
える。第1には、式(1)ないし式(57)のいろいろ
なψ、Ψは手元にある特定のロータ上の特定の極
配置に関係する(任意の)定数であると説明し
た。θの最初の測定に対してΨの1つの値をもと
めることはできず、第2の測定に対して顕著に異
なる値を得ることができず、2つのθの差は正確
に2つの測定の間に経験した角度であると期待す
ることはできない。またΨが実質的に定数でなけ
れば常に常数Ψを差引いて個々のθを単独に求め
ることもできない。
【0266】 式(1)ないし式(57)の中のいろいろな
φとΨとは、ロータ間クロストークが見掛け上は
ロータ上の極のダイナミツクな誤配置として現れ
るとしても、仮定したとおり本質的に定数であ
る。限界内ではそれらは実際に真に定数である。
この限界の状況の性質は、提示した実施例におけ
るゼロ交差の有限サンプリングとは反対に連続で
ある。しかし、後者は前者の適切な近似を構成す
る。
【0267】 何故これがそうであるかを見るには、
再び式(2)で作つた合計の性質を考える。式(2)の括
弧内の項の各々はクロストークがない場合につい
て正しく示されていると考えよう。クロストーク
がある場合には、次のように書くことができる。
【0268】
【数42】 (62a) l=Tp[2]−Tp[1]l′=TP[2]+
δ2−(Tp[1]+δ1) (62b) m=Tp[3]−TP[2]m′=TP[3]
+δ3−(Tp[2]+δ2) (62c) y=Tp[P]−TP[P-1]y′=TP[P]
+δP−(TP[P-1]+δP-1
【0269】 これらの式でδiからδpまではクロスト
ークから生じた位相歪で発生したゼロ交叉時刻の
変化である。量l′、m′、…y′は(増分時間で表現
された)ロータ上の極の間の新しい角度変位であ
る。
【0270】 したがつて、次のように書ける。
【0271】
【数43】 (63a) y′ 〓 〓l ′TP[i]=TP[1]+δ1+TP[2]+δ2+……+TP[P-1]+
δP-1+TP[P]+δP (63b) =Pi=1 δiPi=1 TP[i]
【0272】 しかし上式の右側の項は単に
【0273】
【数44】 (63c) Pi=1 TP[i]=yl TP[i]
【0274】 と表現できるので下式を得る。
【0275】
【数45】 (64) y′ 〓l ′TP[i]=Pi=1 δiyl TP[i]
【0276】 すなわち、今問題にしている2つの合
計(すなわちTp[i]についての合計とT′p[i]
についての合計)はいろいろなδiの合計が0なら
ば相等しい。同様な議論がT′Q[i]について成立
する。いろいろなδiの1回転に亘つての合計が小
さくなければならないという条件は、位相測定技
法がクロストークに鈍感でなければならない場
合、クロストークが満足しなければならない必須
の基準である。この基準が満たされればこのよう
な不感性は保証される。というのはTp[i]およ
びTQ[i]に関する合計はクロストークが入つた
ときそのクロストーク前の値から著しくは変らな
いからである。かくして、Ψの値は同じままにな
り、正しい答が得られる。さて、2つのロータを
有する極の数が互いに異なるときいろいろなδi
合計が何故ほぼゼロになるのかを考える。以下の
説明では入力ロータ/ステータからのクロストー
クが基準ロータ/ステータに及ぼす影響を考え
る。この目的のため、干渉信号は、クロストーク
経路を通つて減衰してから、基準センサで大きさ
1の振幅を有し、一方基準センサで生じた本来測
定されるべき信号の振幅は1よりA倍大きいと考
えるのが便利である。これと対応して、入力セン
サにおける基準ロータ/ステータのクロストーク
について考察するという説明も存在する。しか
し、どちらについても同じ様な説明になるため、
話を簡潔にしたい都合上、2番目の説明は省略す
る。
【0277】 入力ロータ/ステータからの干渉信号
を以下であるとしよう。
【0278】
【数46】 (65) y=sin〔2πラジアン/回転・回転/秒
・極/回数・秒〕=sin(2πωQt)(「Q信号」)
【0279】 同様に、基準ロータ/ステータからの
主信号は (67) y=Asin(2πωPt)(「P信号」)
【0280】 P信号はQ信号が或る平均周期nのサ
イクルをQ回経験するとき、同じ長さの時間R中
に或る平均周期mのサイクルをP回経験する。し
たがつて、 (68) Pm=Qn=R
【0281】 PとQとの比を既約な分数の形で考え
るのが便利である。 (69) P/Q=P′/Q′
【0282】 P′/Q′を既約な分数とし、かつ整数
P′およびQ′のいずれも1に等しくないとする。
【0283】 さて、いろいろなδiが実際に0になる
或る状況が存在する。P信号とQ信号とが少なく
とも1つの共通のゼロ交叉を有すると想像する。
ゼロ交叉の一致は、両方とも正に向かうときか、
両方とも負に向かうときか、あるいはその混合で
起る。このような場合に得られる信号間の和(ま
たは差)、すなわち合成信号はその周期Rの中点
に関して次のような形態で対称であることを(た
とえば、重ねた波形の視察により)示すことがで
きる。すなわち、中点の一方のゼロ交叉の位置の
どんな変化でも、中点の他の側の関連するゼロ交
叉との比較において、反対方向に等しい大きさの
対応する変化を有している。(なおここではロー
タ上の極はほぼ等間隔に配置されていると仮定し
ている)。両信号を合成したとき、上述の各々の
反対方向の変化はたがいに打消し合う。等しいが
反対の対称が共通のゼロ交叉を経験する2つの対
称波形の代数和の対称的性質から直ちに出てく
る。このような共通ゼロ交叉の周期はmおよびn
の小さい方の1/2である。ここにおける変換器磁
気クロストークの場合、この周期性は入力ステー
タが位置を変えるとき経験され、クロストーク誤
差の振動的性質の原因となる。
【0284】 しかし、一般には主信号とクロストー
ク信号とは共通のゼロ交叉を有していない。この
ような共通のゼロ交叉がないと2つの信号の和は
その周期の中点に関して、対称でなくなり、ゼロ
交差に対する擾乱は、大きさは等しいが反対方向
の対と組合わせることができなくなる。これらの
場合には、δiの和は実際に0でない。そこでこの
様な状況についての説明を以下で与える。
【0285】 説明を進めるために、式(65)を次の
ように書き換えるのが便利である。 (70) y=sin(2πωQt+φ) ここでφはP信号と共通ゼロ交差がない点のQ
信号の位相を表わす。
【0286】 このようなφの一例を図11に示す。
図に示すとおり、φはP信号が時刻tiで正に向か
うゼロ交叉をするときQ信号が最大になるような
値である(このような1/4周分のQ信号の差は或
る意味で手近な最悪の場合と思われる。この状況
は、両者のゼロ交叉が一致する場合から「最も遠
い」。しかし、他の意味ではそれはφの或る異な
る値がδiと、δiの近似値とする以下で明らかにな
る他の量εiとの差の絶対値を最大にする場合かも
しれない。)Q信号はtiの正のピーク値1になる
からtiの前の或る時刻でti−δiの合理的な近似値と
する。下の式(71)に示す関係は、両信号の合成
の結果得られるゼロ交叉の近傍でP信号の傾斜が
実質的に一定ならば妥当である。この妥当性の条
件はすなわちQ信号の最大傾斜がP信号の最大傾
斜と比べて小さければ、ということであるが、こ
れはP信号の振幅がQ信号よりはるかに大きいと
いう条件から出てくるものである。Q信号のピー
ク値が実際のti−δiの前に起るか後に起るかによ
つて、εiは時に関連するδiより大きくなり、時に
は小さくなる。
【0287】 εiは以下の様にして定められる。図1
1に示す通り、ti近傍のP信号をほぼ直線と見な
し、その傾斜を2通りの方法によつて求める。第
1の方法は、P信号のtiにおける微係数として傾
斜を得る。第2の方法は、P,Q両信号を加えて
ゼロになる点からP信号単独でゼロになる点まで
(時間軸ではti−δiからtiまで)を直線と見なして
その傾の傾斜としてP信号の傾を求める。なお、
ここでδiは充分小さいので、ti−δiの近傍ではQ信
号をほぼ定数と見なせる(なんとなればQ信号は
tiで最大値をとるから)ことを用いて、ti−δiにお
けるQ信号の値をtiにおける値で近似する。かく
して得られた2つの傾斜の値を等しいとおいてこ
れをδiで解けば、δiの近似式、εiが以下のごとく
得られる。
【0288】 すなわち、第1の方法による傾斜は sin(2πωQti+φ)/(−εi) 第2の方法による傾斜は
【0289】
【数47】 dy/dtA cos(2πωPti)・2πωPti=A 2πω
P
【0290】 (なんとなれば、Asin(2πωPt)はt
=2πPtiで傾き正がゼロ交叉するから)
【0291】 故に、 (71) εi=sin(2πωQti+φ)/(A2πωP)=δi
【0292】 εiの合計でδiの合計を近似することに
する。
【0293】
【数48】 (72)〓ΣiΣδi
【0294】 これはすべて見かけほど悪くない。式
(71)の中央の式の分母は或る定数である。分子
の正弦関数のアーギユメントは、式(72)の合計
に使用される場合は、異なつた値はP′通りしかな
い。これらのP′個の値は、得られる合計のQ′/Q
の部分を構成する連続するところのQ信号の
Q′サイクル期間中に時間的に等間隔に配置され
ている。すなわち、P信号のゼロ交叉であるいろ
いろなP′個のtiはQ信号のQ′個の連続サイクルの
間でサンプルされるP′個の標本なのである。各標
本は対応するδを近似するεを生ずる。しかし各
εはP信号のゼロ交差点でQ信号の値に分割され
る或る定数である。このことから単位正弦波の
Q′個の連続サイクルの間で、等間隔に配置され
たP′個の時間間隔毎にサンプルされた振幅を加算
することから得られるものは何かという考えが出
てくる。
【0295】 当該状況を図12に描いてある。便宜
上、P=144およびQ=120の場合を表わすように
描いてある。これからP′=6およびQ′=5が得ら
れる。すなわち、入力センサ信号の5サイクルご
とに基準センサ信号の6サイクルがある。更にロ
ータが1回転する毎にこのような対応の事象が24
回出現する。各事象は同じなので(回転子上に極
が規則正しく配列されていると仮定して)、この
ような事象1つだけの間に何が起るかを検討する
必要がある。
【0296】 図12はQ信号の振幅のP′個の連続し
且つ等間隔のサンプルをどの様にしてQ信号の単
一サイクル中にマツピングできるかを示してい
る。これをより詳細に説明すれば、先ず時間間隔
0〜P′・m=Q′・nにおけるサンプリング時刻の
集合Sは明らかにS={0、m、2m、…、(P′−
1)・m}これは上記時間間隔をP′等分する点で
あるからSは以下の様に表現できる。 S={α/P′×Q′・n|αは0からP′−1まで
の整数 これらのサンプリング時点をQ信号上で考えた
場合、Q信号は周期がnであるから、各サンプリ
ング時点(α×P′)×Q′×nをnの適当な整数倍
の時間だけ平行移動させることにより時間間隔0
〜nでのサンプリングの結果は同じになる。この
意味でSに等価なサンプリング時点の集合S′は以
下の様に表現できる。
【0297】
【数49】 S′={x mod n|x∈S}={n×β/P′|B∈
Np′} ただし N={(Q′×0mod P′、(Q′×1)mod P′、(Q′×
2)mod P′、……、Q′×(P′×1)mod P′}
【0298】 ところがP′とQ′とは互いに素であるか
ら、よく知られている様にNp′は0からP′−1ま
での整数の集合となる。故に下式を得る。 S′={0、n/P′、2n/P′、…、(P′−1)n/
P′}
【0299】 この単一サイクル中へのマツピングに
より圧縮された標本間の時間間隔は上記S′からわ
かる様にはやり一様である。したがつて、P′×
1/P′の間隔でサンプリングされた正弦関数が得
られる。このような標本の和は常に0であること
が知られている。よつて直ちに下式が得られる。
【0300】
【数50】 (73) Σεi=0 およびΣδi
【0301】 今までの証明は「クロストークの効果
を除くにはストロークの振幅を減らせ」という同
語反復以上のことを示唆している。εiの合計とδi
の合計との差は主信号と干渉信号との振幅比に関
係するが、これらの合計に両合計間の差の割合は
サンプル数が増加するにつれて小さくなる。すな
わち、クロストークで生じた位相歪を連続の場合
で考えると、位相の乱れは、必ずしも対称的では
ないが、周期的(回転毎に1回繰り返す)であ
り、平均されて周期ごとに0になる。次にこの考
え方のもつと厳密な検討の概要を述べる。
【0302】 式(67)と(70)とを結びつけるに
は、各々の正弦関数のアーギユメントが異なるパ
ラメータで表されているかぎり難しい。しかし式
(70)は次のようにか書き直せる。 (74) y=sin〔2πωPt+((Q−P)2πωt+φ)
【0303】 正弦関数のアーギユメント中の2つの
項を夫々以下の様におく。 (75) X=2πωPt (76) Z=(Q−P)2πωPt+φ
【0304】 Xはtに或る周波数を掛けたものZは
時間により変る位相と考えることができる。
【0305】 これらを(67)と(70)とに代入し2
つの式を加え合わせると、
【0306】
【数51】 (77) AsinX+Bsin(X+Z)=Bsin(X+σ) ただし、 (78) B=√(+)2+ および (79) σ=tan-1〔sinZ/cosZ+A〕
【0307】 式(77)の右辺はクロストークに起因
する位相の歪んだ信号である。ここでσの値の連
続的な変化は本装置の動きによる歪である。式
(79)はこの変化を示している。式(79)にZを
代入すると、次式が得られる。
【0308】
【数52】 (80) σ=tan-1〔sin((Q−P)2πωt+φ)/co
s((Q−P)2πωt+φ)+A〕
【0309】 式(80)は半波対称の周期奇関数を示
しておりその周期は1/(Q−P)ωである。し
たがつて、式(80)を1周期に亘つて積分すれば
結果は0になる。
【0310】 さて、式(80)の周期が1/(Q−
P)ωであるということはP個の極とQ個の極が
夫々に関連するセンサの前を通過する同じ時間間
隔の間に、(Q−P)個の極に対応する信号の1
周期が存在するということである。しかし、この
時間間隔は丁度1回転分の時間かあるいは1回転
分の時間の整数分の1である。したがつて1回転
中には式(80)の周期が整数回入つているから、
式(80)の1回転に亘る積分も0になる。
【0311】 式(80)のσの値は、しかしながら、
有限回数だけサンプリングされる。また、更に、
そのサンプリグは、サンプリグが位相の歪んだ信
号のゼロ交叉点で行なわれるので、原理上、正確
に等間隔でない。しかし、サンプル数が増加する
につれて、「サンプリングの密度」が全時間間隔
を通じて実質的に一定な場合のみ、サンプリング
が等間隔に行なわれるか否かには関係なく、サン
プリングは連続の場合の積分をもつとよく近似す
るということが明らかである。
【0312】 ここに述べたクロストーク低減技法は
2つの理由で低レベルのクロストークに対してよ
りよく働く。第1に低レベルクロストーク下では
サンプリング間隔が等しくなる傾向にあり(ゼロ
交叉の位置での位相歪が少ない)、σを表わす関
数(式(80)の形が正弦関数に近付く。たとえ
ば、高クロストークレベル(A=2)時のσの時
間変化を表わす図13Aと低クロストークレベル
(A=10)時のσの時間変化を表わす図13Cは
波形を比較する。図13Aは波形半波対称を示し
ているけれども、半サイクルそれ自身はその中点
に関して対称ではないから、等間隔の標本でさえ
も合計して0になることを期待することはできな
い。このことは等間隔にサンプリングされた値か
らいろいろと任意のペアを取出してみれば最も容
易にわかる。これとは対照的に、図13cの波形
は、振幅がかなり小さいにもかかわらず、ほとん
ど正弦状である。よつてほぼ等間隔のサンプリン
グを行なえば、合計はほとんど0になる。図13
Aと図13Cとの差異は、式(67)のAとして選
んだ値が異なることを反映している。これがσを
表わす関数(式(80))の形にどのように影響す
るかに注意されたい。
【0313】 要約すれば、クロストークの大きさが
低いが中程度ならばサンプリングによる近似は非
常に効果がある。サンプリングによる近似の精度
はプリングのポイント数を増すことによつて更に
高められる。これを容易に行なうことのできる方
法が少なくとも2つある。第1の方法は、サンプ
リングを行なう点をP信号の正に向うゼロ交叉の
点だけではなく、全ゼロ交叉点において行なうこ
とである。第2の方法としては、P′−Q′を同じに
保ちながらP′、Q′の夫々を増加させることであ
る。そしてよく考えてみると、クロストークの基
本レベルが異常に高い場合でさえも充分サンプリ
ング密度を高くすれば(たとえばP′とQ′とを充分
に大きくすれば)低レベルから中程度のレベルの
クロストークで得られた利点を失わないようにで
きる。たとえば、A=2、P′=6、Q′=5の場合
のクロストークが混入した信号の位相歪α、振幅
Bsin(2πω×Pt+α)をそれぞれ示す図13Aと
図13Bとを参照されたい。ここでは主信号と干
渉信号との比は2対1に過ぎず、σ関数の形は丸
味のある鋸歯状である。しかし図13Aの丸味の
ある鋸歯状波の1回転に亘る積分はやはり0であ
り、有限のサンプリングもサンプリングポイント
数を充分に多くすればこの積分をいくらでも近似
することができる。
【0314】 P#およびQ#についての1回転1回
の検知 絶対基準マークをセンサからの波形に対して設
けることができる方法は多数ある。たとえば歯車
あるいはロータの間隔に検知が可能な非一様性を
持たせることができる。こうすれば1回転する毎
にそれに対応する1回の周期的変動がセンサから
の信号に生ずる。このような非一様性は多数な手
段によつて可能であつて、たとえば極の間隔を単
調に増加させること、正常の極よりも幅広の極を
設けること、2つの極の間隔を正常の間隔よりわ
ずかに狭くあるいは広くすること、および既に説
明した様に、欠除極を設けることなどにより実現
できる。位相測定技法に関するかぎり、およびク
ロストークの影響を無視するかぎり、これらの非
一様性はその実現に際し、特別に正確である必要
はない。位相測定技法それ自身は、結局、極配置
誤差には敏鈍である。
【0315】 極とそれに関連する検知機構の性質に
よつては、1回転1回マークのために設けられた
非一様性を他から識別するために使用する技法に
影響が及ぶことがある。たとえばロータ上に交互
に設けられた透明・不透明の両領域を光学的に検
知することを考えよう。おそらくそうであるよう
に、光束が極めてよく平行になつているかあるい
はセンサの視野が充分に狭い場合には、センサか
らの出力波形はロータ上の領域分布と同形のパタ
ーン像となるはずである。たとえば、欠除極の検
知にあたつては、もし極が存在すれば出ていたで
あろう正常な波形部分が削除されて現れるだけで
あろう。検知におけるこのような「忠実さ」は、
それに到達するには一層の手間が必要ではある
が、磁気的および容量的検知機構の場合には可能
である。たとえば、磁極が磁石のN極およびS極
から延在している磁気センサはその空〓を歯車の
歯の山に沿う縁の線の先端の上および下に取るこ
とができ、最も近い歯が通過したために起る磁束
の変化を最大にできると共に隣接する歯と交番磁
束通路とがセンサの出力信号に影響する程度を最
小にすることができる。それがどのように行なわ
れようと、要点は、次節で述べる状況とは対照的
に、検知にこのような忠実さがあれば非一様性を
認識し、(必要なら)欠除極位置を推定するかあ
るいはデータ処理上の便宜のため非一様性を「な
らす」という作業でのある種の複雑さが回避でき
るということである。たとえば、極が欠けている
場合、ゼロ交叉検出器からのサイクルは、副次的
な乱れを起さずに単に消失するだけである。同じ
方向の連続するゼロ交叉間の周期が長くなること
に気づくと共に、その中途に「置き換え用のも
の」を挿入することになるであろう。
【0316】 既述の特定の磁気応用の実施例におい
ては磁気センサは「狭い視野」を備えていない。 再び図3Aを参照すると、たとえば、磁力線が
歯車5に最も近い端にある磁極25をはなれると
すぐ、この磁力線は歯車に向つてあらゆる方向に
拡がる。磁束通路リラクタンスにかなりな程度に
影響を与えるものとしては、歯車上で磁極25に
最も真正面に対向している歯の両側にある他の歯
もあげられる。すなわち、歯が欠けていればセン
サをその前後に通過する歯の検知に影響が出る。
この効果は欠除歯があるべき場所に関して対称で
あり、磁気検知のdφ/dtの性質に関連してセン
サが、普通は2サイクル存在していたはずの時間
に長周期の1サイクルを発生する。このようにし
て、サイクルが欠けるだけでなく、他のあるサイ
クルはその遷移が本来あるべき位置からずれる様
になる。
【0317】 更に状況をまとめれば、すべてのセン
サが、極の前進端と出合つたとき常に同極性の遷
移を起すように製作され取付けられていると考え
るのは不都合であるかもしれない。従つて、ある
センサにとつては正の遷移であるものが他方のセ
ンサにとつてはまさは対応してもよい。しかしセ
ンサ間で極性が異なつていても、システムとして
は一方向のゼロ交叉だけについて動作することが
望ましい。このようにセンサの極性が入り混じつ
ていれば、異なる極性のセンサの間の欠除歯に近
い位置に見掛けのずれが生じ、これに伴い欠けた
歯を「埋める」手順が変化する。見掛けのずれは
無視することができる。第1に、関連したロータ
の残りの部分に対するこの様なセンサによる表現
は同じ量だけずれる。第2にP#またはQ#の値
はその同じロータについての他のP#またはQ
#の値と比較されるということは決してない。こ
の値は別のロータについてのQ#またはP#と関
連して使用されるだけである。このずれがどれ程
の量になるかは「何時その情報が利用できるよう
になるか」の相違であつて、その情報が「何であ
るか」の相違ではない。たとえこのようなセンサ
を粗の位相測定(すなわち、2つのロータの絶対
基準マーク間の時間が1回転の何パーセントであ
るかを測定すること)を行なうのに使用しても、
見掛けのずれは得られる答に一定のオフセツトを
生ずるだけである。このようなオフセツトはその
不変の値が一旦知れれば容易に除かれる。
【0318】 長周期と極性の相違とにより、欠除極
のことに関しての2つの異なる状況を生ずる。こ
れらの状況は図14Aおよび図14Bに示すよう
に取扱うことができる。マイクロプロセツサを用
いれば、信号AないしXの夫々の中の長い周期を
認識し、そして与えられた非一様性に基いてケー
スかまたはケースの極性かを確かめることは
困難でない。この情報はロータが動くにつれて繰
返し確かめられるか、あるいは夫々のセンサにつ
いて1回だけ求めて永久に符号化される。一旦こ
れらの極性が知れると、図14Aおよび図14B
に示す一定の関係にしたがつて誤差を含んだ遷移
点の位置を補正し、また欠けた遷移を近似するこ
とは簡単なことである。
【0319】 勿論、すべてのセンサがある選択をさ
れた同一の極性を有する様にし、常に図14Aお
よび図14Bに示した2種の状況のどちらか1つ
を使用してもよい。しかしながら、同一の選択さ
れた極性を有する様にしておくというような条件
は、組立てまたは修理によつて成立しなくなるこ
とがある様な条件であると信じている人もいる。
この見解は、極性がどちらであろうとはじめから
問題にしない場合はうまくいかなくなり様がない
ということ、および特定方向の極性に頼らないの
がよいであろうということを考えての上で主張さ
れているのである。
【0320】 第2の一般的方法はロータ上の非一様
性によつて波形に生ずる認識可能な周期的乱れを
全く不要にすることである。代りに、マイクロプ
ロセツサは基準ロータからの信号のQ個のサイク
ルを繰返す間に入力回転子からの信号がP個のサ
イクルを繰り返すことを期待している。マイクロ
プロセツサはいろいろなP#およびQ#の基準と
なる擬似絶対基準マークとなる各波形のサイクル
を任意に選択する。選択されたサイクルはPを法
とするサイクルおよびQを法とするサイクルを数
えることによつて繰返し認識される。かくして、
P#とQ#は測定要求を受け取つたときモジユロ
の計数がいくらであるかに注目して求められる。
【0321】 一般化された位相測定 擬似絶対基準マークを使用することにより、式
(1)、式(57)およびこれらから誘導された諸式の
適用範囲を、一方の信号のP個のサイクルが他の
信号のQ個のサイクルと同じ時間内に起る状況ま
で一般化できる。これにはP=Qの場合、すなわ
ち、信号が位相遅れを生ずる或る現象にさらされ
てからそれ自身と比較される場合が確実に含まれ
ている。このような方式は伝播遅れによつて対応
する位相ずれを生ずる物理的性質(たとえば距
離)を変換するために屡々使用される。
【0322】 このような用途における以上説明した
位相測定技法の利点は、位相測定の精度が位相が
ずれて測定される信号の精度あるいは安定性によ
らないことである。位相測定に関して必要なこと
は、ゼロ交叉により区切られるいろいろの時間間
隔およびP個のまたはQ個のサイクルの時間とを
正確に測定する安定性だけである。これら後者の
2つの時間が等しいことを信頼してよければこれ
らは同時に起る必要はなく、全く別々に、一方が
他方の直後か或る遅れの後起つてよいということ
もわかるであろう。同様に、これらは一部互いに
重なり合つてもよい。
【0323】 角度測定技法 共通の回転軸に取付けられた多極入力ロータと
多極基準ロータとは極が関連する入力センサおよ
び基準センサを通過するとき夫々入力信号および
基準信号を発生する。入力センサは共通回転軸の
まわりに軌道回転するように軸受けされていて、
入力ロータの周辺に沿つて軌道運動ができる。基
準センサは基準ロータの周辺に隣接する位置に固
定されている。各ロータ上の1回転1回のマーク
が各ロータにある1つの極を基準極すなわち指標
極として識別する様に構成してよい。各極がその
関連するセンサを通過すると関連する入力信号お
よび基準信号にサイクルを生ずる。ロータにはそ
の極を特別な高精度で配置する必要はない。クロ
ストークが問題となる場合には一方のロータ上の
極の数を他方のロータ上の極の数と異なるように
してよい。
【0324】 入力および基準の信号に含まれている
情報は、少なくとも1回転分の遷移時間データが
捕えられ記憶装置に記憶された後で検索される様
に構成してよい。指標極の識別を行なうため、そ
の極を物理的に除去し、この欠除極により合図
(flag)され推定される遷移を記憶装置に入れる
ものも便利である。
【0325】 各ロータが少なくとも1回転する間
に、極の発生する相続く時刻の平均を計算し、関
連する等価単極が生起する平均時刻を求める。こ
れらの等価単極の生起の平均時刻は、次にこれら
が実際に1つだけしか極がないロータから生じた
かのように比較される。入力ステータセンサがロ
ータの回転方向に進むと、等価単極の時間間隔は
その時間間隔が1回転分に到達するまでは増大す
る。入力ステータセンサが更に前進すると等価単
極間の一致点を過ぎ、この点で時間間隔が突然0
に落ち再び増大しはじめる。測定された時間間隔
は入力および基準センサの間の角度に比例してお
り、これは入力角度に等しいか、あるいは入力角
度とは定数分の相異があるだけである。測定され
た時間間隔は任意の希望する単位で入力角度を表
わすように目盛られる。既述の例では、測定され
た時間間隔はまずその測定された時間間隔をロー
タの回転時間の測定値で割つて1回転に対する比
率として正規化される。この正規化の結果は次に
適切な定数のオフセツトだけ増したり減らしたり
することができる。
【0326】 等価単極生起平均時刻の測定は各ロー
タについて、少なくともロータの1回転分(ある
いは整数回転分)の間隔で発生する連続した極の
生起時刻の合計を極の数で除した値に注目して行
なわれる。つまり1回転の端数の分については上
述の合計は行なわれない。また両合計は共通の時
刻基準点に関して行なわれる。どちらの合計も常
に夫々対応する指標極の検出つまり生行により開
始される(すなわちそれまで待つ)ものとすれ
ば、生起の平均時刻の差は実際上記の時間間隔の
測定値になる。これは確かに実現可能であるが、
夫々の合計が関連する回転ができるだけ多くオー
バーラツプした方が良いという要請に反すること
になる。つまり夫々異なる回転について合計がと
られた場合、1つの回転と次の回転との回転速度
のばらつきで、回転時間の両平均値で共通でなく
なり、これらが別々に正規化されないかぎり、比
較できなくなるからである。このような複雑さを
避けるには、好ましくは、両合計についての回転
のオーバーラツプが最大であればよい。この目的
のため、指標極のかわりに、任意の極が通過する
と直ぐに合計を開始させる。しかし、基準の時刻
の共通点は保存される。この共通点はたとえば便
宜的に基準信号の連続する遷移の最初とすること
ができる。
【0327】 合計を開始する時点についてのこの柔
軟性の見返えりに、合計が指標極から見てどこか
ら開始されたかを見失わない様にしなければなら
ない。これは関連する指標極が最後に現れてから
各ロータ上でスキツプされた極の数を数えること
によつて行なうことができる。有用な原理によれ
ば、等価単極の生起した時刻の平均測定値を、ス
キツプされた極1つにつき、極間の平均時間間隔
で補正することができる。この極間の平均時間間
隔は単に1回転分の時間を極の数で割つたもので
ある。基準ロータ側でスキツプされた極の1つ毎
に、基準ロータ上の極間平均時間間隔を両等価単
極の生起の平均値の測定値間の差の値に加えなけ
ればならない。同様にして、入力ロータ側の極の
スキツプ毎に入力ロータ極間の平均時間間隔を上
述の差から差し引かなければならない。このよう
にして、入力、基準ロータにおいてスキツプされ
た極数を数え、それに基づいて両等価単極の生起
時刻間の差の測定値を平均極間時間間隔とスキツ
プ極数により補正することにより、合計の開始は
実際には任意の極からであるのだが、指標極から
合計を開始した場合の生起時刻間の差の値を得
る。
【0328】 結果には平均化によつて与えられた特
別な信頼性がすべて入つており、その精度は、合
計を作るために使用した時刻測定の精度と同等で
ある。ロータ上の極配置の精度は、おそらくクロ
ストークのような間接的な影響による以外は、結
果の精度には全く入つてこない。しかし、極がほ
ぼ規則的に配置されている場合に限り、両ロータ
の極数が異なる様に選べば事実上クロストークが
打ち消される。この場合でも極を高い精度で配置
する必要はない。
【0329】 得られる結果は統合されたモジユロ解
でありその1サイクルは入力角度の丁度1回転
分、すなわち360度を直接表わしており、粗ある
いは精の成分はない。したがつて粗および精の成
分を正しく結びつけるアルゴリズムを付加する必
要はなく、測定値が方の値すなわち「転換点」に
近いときノイズにより誤差が入るのではないかと
疑う必要はない。
【0330】 等価単極間の時間間隔の測定値または
補正された測定値は入力角度の直接標示(勿論、
適切なスケーリング)とすることができるし、あ
るいは或る任意の入力条件に関係する残り
(residual)の時間間隔と比較してもよい。この
任意の入力条件としては「0度」または或る未知
の値として差支えない。いずれにしても、等価単
極の生起の平均時刻の差の測定値または測定後に
補正された値は、この残りの時間間隔を差し引か
れたとき、現在の入力条件と任意の入力条件との
間の掃引角度を表わしている。この残りの時間間
隔は指標極の一致が起つたときの等価単極につい
ての両平均時刻がはじめから持つている差、ある
いは単に純粋に任意の入力条件についての別の測
定値または測定後に補正された値を表わすことが
できる。
【0331】 上述の測定技法はまた、周波数の比が
有理数である(すなわち一方の信号の信号の整数
回のサイクルが他方の信号の別の整数回のサイク
ルに等しい長さの時間内で起る)2つの信号間の
位相を測定する方法であると考えてもよい。上述
の方法を、たとえば、一方のP個のサイクルが他
方のQ個のサイクルに等しい長さの時間内にある
ような2つの信号間の位相を測定するのに使用す
る場合、指標サイクルとして、夫々の波形の任意
のサイクルを用い、その後夫々のP番目とQ番目
とのサイクルを指標サイクルとして用いるのが便
利である。P番目とQ番目のサイクルは夫々
modPおよびmodQにより関係している信号のサ
イクルを数えることにより簡単に見分けられる。
【0332】 上述の位相測定技法は直径の反対側に
配置された1対のセンサを用いてもよい。好まし
い実施例では、入力ステータの基準ステータは共
に夫々互いに直径の反対側に配列した1対のセン
サを備えている。4つ位相が測定される。つま
り、一方のステータ上のセンサの各々は他方のス
テータ上の2つのセンサと個別の関係に取られる
ことにより、4通りの組合わせになるのである。
かくして得られた4つの位相測定値は、4つの中
の1つを基準として固有のオフセツトについて補
正される。基準の位相と残り3つの補正された位
相とはその後平均化される。
【0333】 クロストーク抑制技法 センサ間のクロストークはロータ上の極の数を
特定の仕方で等しくないように選択して上記の位
相測定技法を実行することによつて抑制される。
一方のロータの極をP個、他方のロータについて
はQ個と選定する。分数P/Qの既約型を分数P′/
Q′とする。ただしP′とQ′とはいずれも1に等し
くないとする。勿論、PとQとはPとQとがいず
れも1でない状態でP/Qが既に既約になつている
ように選定してよい。
【0334】 この効果は1回転に亘る積分が0にな
る位相測定誤差関数を作り出すことである。した
がつて、整数回の回転に亘つてクロストーク付信
号を充分高密度でサンプリングすればクロストー
クの影響を任意に望む程度まで自己相殺させるこ
とができる。
【0335】 上記の位相測定技法はこの点について
好ましい。なぜなら本技法では整数回に亘つて平
均を測定すると共にPとQを任意の値にとること
ができるからである。
【0336】 周期誤差を補正する方法 入力角度の関数である誤差(偏心誤差等)、お
よびその周期が360入力角度(1周1回誤差)ま
たは180入力角度(1周2回誤差)などである誤
差関数を有する誤差の自己相殺作用は、これらの
位相を平均する前に関連する直径反対側センサ間
の位相を測定することによつて強められる。好ま
しい方法では各センサはその位相が基準に対して
測定される別々の信号を発生する。ゼロ交叉検出
と時間測定とは振幅変動に対する感度を下げるの
で好ましい。測定された位相は次に直径反対側セ
ンサ同志で算術平均することができ、次にその結
果は、もしこのようなものがあれば、他の組の直
径反対側センサからの同様な結果と平均すること
ができる。一般に、「1周1回」誤差には1組の
直径反対側センサが必要であり、「1周2回」誤
差には90°隔てて2対が必要である、等々。この
ような平均化前に別々のセンサによつて位相測定
を行なうと、2つの信号が位相測定前にアナログ
的に平均されるとき振幅の小さい信号中の位相情
報が振幅の大きな信号によつてゆがめられること
が無くなる。このような振幅変動は誤差の機構に
よつて導入されることが多く、アナログ平均位相
に現れるゆがみは平均化にもかかわらず誤差とし
て残る。最初に位相を測定し、次に平均化を行な
えばこのような付随的な振幅変動によつて起る悪
影響が除かれ、誤差を一層完全に近い所まで自己
相殺できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の機械部分の斜視図。
【図2】図1の機械部分の分解図。
【図3A】本発明の一実施例のブロツク図。
【図3B】本発明の一実施例のブロツク図。
【図3C】本発明の一実施例のブロツク図。
【図4】本発明の基本原理の説明図。
【図5】本発明の基本原理の説明図。
【図6】本発明の基本原理の説明図。
【図7】本発明の基本原理の説明図。
【図8】本発明の基本原理の説明図。
【図9A】本発明の基本原理の説明図。
【図9B】本発明の基本原理の説明図。
【図9C】本発明の基本原理の説明図。
【図10】本発明の基本原理の説明図。
【図11】クロストーク誤差補正の説明図。
【図12】クロストーク誤差補正の説明図。
【図13】クロストーク誤差補正の説明図。
【図14A】検出器の極性の相異により欠除歯位
置検出に与えられる影響を説明する図。
【図14B】検出器の極性の相異により欠除歯位
置検出に与えられる影響を説明する図。
【符号の説明】
1:機械部分 2:基準ステータ 3:入力ステータ 4:ロータ軸 5:基準ロータ 6:入力ロータ、 7:印刷回路基板 8,9:基準センサ 10,11:入力センサ 22:軸、 23,24:磁石 29,30,31,32:増幅器 33,34,35,36:ゼロ交叉検出器 37,38,39,40:遅延回路 45:クロツク信号 52:カウンタ 53:新データカウンタ 54,62:デコーダ/マルチプレクサ 59:割込キヤツチアツプカウンタ 60:比較回路 61:マイクロプロセツサ 63:ランダムアクセス記憶装置。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の(a)ないし(k)を設けてなる変
    換器; (a) それぞれP個及びPとは異なるQ個の極を第
    1及び第2周縁部に持ち、軸のまわりに同時にか
    つ同一の回転をなすように軸支された第1及び第
    2ロータ:前記第1及び第2ロータはそれぞれ1
    回転当り1個の第1第及び第2指標マークを持
    つ; (b) 前記第1及び第2ロータに結合され、これら
    を軸の回りに回転させる手段; (c) 前記第1周縁部の近傍に設けられ、前記第1
    周縁部の極の通過に応答して1回転毎にPサイク
    ルの第1センサ信号を発生する第1センサ手段; (d) 前記第2周縁部の近傍に設けられるとともに
    前記軸のまわりであつて前記第2周縁部のまわり
    に軌道状の回転をするように軸支され、前記第2
    周縁部の極の通過に応答して1回転毎にQサイク
    ルの第2センサ信号を発生する第2センサ手段; (e) それぞれ前記第1及び第2センサ信号に結合
    され、第1及び第2デイジタル信号を発生する第
    1及び第2ゼロ交叉手段; (f) 前記第1及び第2デイジタル信号に結合さ
    れ、両信号の内の少なくとも一方が遷移したこと
    を検出する遷移検出手段; (g) デイジタル時間情報を提供するクロツク手
    段; (h) 前記第1デイジタル信号に結合され、1回転
    当り1回の第1指標マークを識別する第1指標マ
    ーク識別手段; (i) 前記第2デイジタル信号に結合され、1回転
    当り1回の第2指標マークを識別する第2指標マ
    ーク識別手段; (j) 前記第1及び第2デイジタル信号と前記遷移
    検出手段と前記クロツク手段と前記第1及び第2
    指標識別手段とに結合され、 前記ロータの1回転の時間Rと ゼロ点から前記第1デイジタル信号のP個の連
    続したサイクル中のそれぞれ選択された遷移まで
    のP個の時刻の合計ΣTPと 前記ゼロ点から前記第1デイジタル信号のQ個
    の連続したサイクル中のそれぞれ選択された遷移
    までのQ個の時刻の合計ΣTQと 前記第1デイジタル信号中において前記第1指
    標マークから前記P個の連続したサイクルの内の
    最初のサイクルまでの間に介在するサイクルの個
    数のPについてのモジユロを取つた数P#と 前記第2デイジタル信号中において前記第2指
    標マークから前記Q個の連続したサイクルの内の
    最初のサイクルまでの間に介在するサイクルのQ
    についてのモジユロを取つた数個数Q#と を判定する第1デイジタル処理手段と、 (k) 前記Rと前記ΣTPと前記ΣTQとP#とQ#と
    に結合され、前記センサ信号と前記第2センサ信
    号との間の位相θを求める第2デイジタル処理手
    段。
  2. 【請求項2】 前記位相θは下記の項を含む式を
    評価することによつて得られることを特徴とする
    請求項1記載の変換器: (ΣTQ/Q−ΣTP/P)/R+P#/P−Q#/Q
  3. 【請求項3】 前記位相θは下記の項を含む式を
    評価することによつて得られることを特徴とする
    請求項1記載の変換器: (ΣTQ/Q−ΣTP/P)/R+P#/P−Q#/Q−ψ ただし、ψは定数である。
  4. 【請求項4】 前記PとQは互いに一方が他方の
    倍数であるという関係にはなく、 前記第1周縁部の前記P個の極は(P−1)個
    の等間隔に配置された実際の極と実際の極の欠如
    によつて識別可能な1つの仮想の極からなり、 前記第2周縁部の前記Q個の極は(Q−1)個
    の等間隔に配置された実際の極と実際の極の欠如
    によつて識別可能な1つの仮想の極からなる ことを特徴とする請求項1記載の変換器。
  5. 【請求項5】 前記1回転当り1回の第1指標マ
    ークは前記第1周縁部の前記仮想の極であり、 前記第1指標マークを識別する手段は前記第1
    周縁部での前記実際の極の欠如に応答し、 前記1回転当り1回の第2指標マークは前記第
    2周縁部の前記仮想の極であり、 前記第2指標マークを識別する手段は前記第2
    周縁部での前記実際の極の欠如に応答する ことを特徴とする請求項4記載の変換器。
  6. 【請求項6】 下記の(a)ないし(k)を設けてなる変
    換器: (a) それぞれP個及びPとは異なるQ個の極を第
    1及び第2周縁部に持ち、軸のまわりに同時にか
    つ同一の回転をなすように軸支された第1及び第
    2ロータ:前記第1及び第2ロータはそれぞれ1
    回転当り1個の第1及び第2指標マークを持つ; (b) 前記第1及び第2ロータに結合され、これら
    を軸の回りに回転させる手段; (c) 前記第1周縁部の近傍に設けられ、前記第1
    周縁部の極の通過に応答して1回転毎にPサイク
    ルの第1センサ信号を発生する第1センサ手段; (d) 前記第2周縁部の近傍に設けられるとともに
    前記軸のまわりであつて前記第2周縁部のまわり
    に軌道状の回転をするように軸支され、前記第2
    周縁部の極の通過に応答して1回転毎にQサイク
    ルの第2センサ信号を発生する第2センサ手段; (e) それぞれ前記第1及び第2センサ信号に結合
    され、第1及び第2デイジタル信号を発生する第
    1及び第2ゼロ交叉手段; (f) 前記第1及び第2デイジタル信号に結合さ
    れ、両信号の内の少なくとも一方が遷移したこと
    を検出する遷移検出手段; (g) デイジタル時間情報を提供するクロツク手
    段; (h) 前記第1デイジタル信号に結合され、1回転
    当り1回の第1指標マークを識別する第1指標マ
    ーク識別手段; (i) 前記第2デイジタル信号に結合され、1回転
    当り1回の第2指標マークを識別する第2指標マ
    ーク識別手段; (j) 前記第1及び第2デイジタル信号と前記遷移
    検出手段と前記クロツク手段と前記第1及び第2
    指標識別手段とに結合され、 前記ロータの1回転の時間Rと ゼロ点から前記第1デイジタル信号のP個の連
    続したサイクル中のそれぞれ選択された遷移まで
    のP個の時刻の合計ΣTPと 前記ゼロ点から前記第1デイジタル信号のQ個
    の連続したサイクル中のそれぞれ選択された遷移
    までのQ個の時刻の合計ΣTQと を判定し、 更に前記第1デイジタル信号中において前記第
    1指標マークから前記P個の連続したサイクルの
    内の最初のサイクルまでの間に介在するサイクル
    の個数のPについてのモジユロを取つた数P#を
    判定する第1デイジタル処理手段と、 (k) 前記第1デイジタル処理手段に結合され、前
    記第1センサ信号と前記第2センサ信号との間の
    位相θの高精度部分を求める第2処理手段:前記
    位相θの高精度部分のQ個のサイクルは前記第2
    センサ手段の前記軸のまわりでの軌道状の1回転
    に相当する。
  7. 【請求項7】 前記位相θの高精度部分は下記の
    項を含む式を評価することによつて得られること
    を特徴とする請求項6記載の変換器: (ΣTQ−(Q/P)ΣTP)/R−P#(Q−P)/P
  8. 【請求項8】 前記位相θの高精度部分は下記の
    項を含む式を評価することによつて得られること
    を特徴とする請求項6記載の変換器: (ΣTQ−(Q/P)ΣTP)/R−P#(Q−P)/P−
    ψ だたしψは定数である。
  9. 【請求項9】 1回転当り1回の前記第1及び第
    2指標マークを識別する手段に結合され前記Rに
    応答して粗の位相θを発生する第3デイジタル処
    理手段と、 前記第2デイジタル処理手段と前記第3デイジ
    タル処理手段とに結合されて前記粗の位相θと前
    記位相θの高精度部分とをまとめることを特徴と
    する請求項6記載の変換器。
  10. 【請求項10】 前記PとQは互いに一方が他方
    の倍数であるという関係にはなく、 前記第1周縁部の前記P個の極は(P−1)個
    の等間隔に配置された実際の極と実際の極の欠如
    によつて識別可能な1つの仮想の極からなり、 前記第2周縁部の前記Q個の極は(Q−1)個
    の等間隔に配置された実際の極と実際の極の欠如
    によつて識別可能な1つの仮想の極からなる ことを特徴とする請求項6記載の変換器。
  11. 【請求項11】 前記1回転当り1回の第1指標
    マークは前記第1周縁部の前記仮想の極であり、 前記第1指標マークを識別する手段は前記第1
    周縁部での前記実際の極の欠如に応答し、 前記1回転当り1回の第2指標マークは前記第
    2周縁部の前記仮想の極であり、 前記第2指標マークを識別する手段は前記第2
    周縁部での前記実際の極の欠如に応答する ことを特徴とする請求項10記載の変換器。
JP6565391A 1983-03-25 1991-03-06 変換器 Granted JPH04212008A (ja)

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US479043 1983-03-25
US478819 1983-03-25
US06/479,043 US4630033A (en) 1983-03-25 1983-03-25 Method and apparatus for measuring phase
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