JP2645268B2 - 角度測定用変換機 - Google Patents

角度測定用変換機

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JP2645268B2
JP2645268B2 JP59059283A JP5928384A JP2645268B2 JP 2645268 B2 JP2645268 B2 JP 2645268B2 JP 59059283 A JP59059283 A JP 59059283A JP 5928384 A JP5928384 A JP 5928384A JP 2645268 B2 JP2645268 B2 JP 2645268B2
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  • Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)
  • Measuring Phase Differences (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は特別に高精度の部品を使用しなくとも高精度
の角度測定を行うための角度測定用変換機に関する。な
お、本明細書で言う位相とは当然、角度の概念も含む。
先行技術による位相測定装置、およびこの応用である
角度変換装置の多くはAC信号を発生しその位相差は入力
の位相や角度に対応している。たとえば、アメリカ合衆
国特許2,930,033号および3,278,928号を参照のこと。こ
れらの装置の精度は一部には信号発生要素がその信号を
作るために相互作用を行う機械的精度に関係するととも
に、得られた位相を測定するために使用する手段の精度
にも関係する。この種の幾つかの周期の構成では対応す
る固定および可動のセンサに光学的、容量的、あるいは
誘導的のいずれかで結合された一つまたは複数の回転極
を備えている。他の構成でも極とセンサとの機械的役割
が入れ換わっている他は同じである。このような装置の
精度を高めるためには、先ず発生される2つの信号(つ
まり、固定側と可動側からの)全サイクルについて、入
力角が二つの信号の対応するサイクルでの位相差に忠実
に翻訳されたものになっている様にしなければならない
と、一般に考えられている。測定した位相の信頼性を高
めるために平行化が行なわれることが屡々ある。平均化
は単に非常に多くのサイクルに亘って位相を測定した
り、センサの数を増やしてその出力を電気的に加算した
りする。しかし平均化しても極配置の誤差を必ずしも正
確に解消しないばかりでなく、位相測定アルゴリズムに
特別な準備をしないかぎり、極の角度的配置誤差から生
ずる信号周期の変動が測定結果に誤差を生ずる可能性が
ある。特に、複数のセンサ出力を加算する方法は、セン
サの信号の振幅が変動する場合には、それ自体、誤差を
生ずることがある。たとえば、センサが偏心して取付け
られた場合、センサと極との距離が変化することがあ
り、これがセンサ信号に対応する振幅の変化を起す。
或る種の偏心誤差を減らすために共通に使用されてい
る技法では、実際には、これら先行技術の角度変換器が
その性能を発揮するためには極の機械的配置の正確さに
一層大きく依拠することがある。たとえば、直径の反対
側に置かれた一対または複数対のセンサから生ずる信号
をアナログ的に加算するという技法がある。ほとんど0
になるまで加算しつづけることによって反対の位相誤差
は互いに実質的に打消される。本質的に、この技法は二
つの以上の信号を一つに組合わせてこれを位相測定にお
ける二成分の一つとして使用する。極の配置が誤差が大
きかったり、センサが真に正反対になかったりした場
合、対向するセンサの正反対配置から生ずることになる
希望する効果は相殺されあるいは無効になる。すなわ
ち、センサ信号をそのまま加算することにより平均化さ
れることになっている誤差成分が実質に一致し且つ周期
が等しくないかぎり、希望する誤差の相殺は起らない。
このことから、極を規則正しく配置する必要性が強まる
と共に、極の形状が同じでなければならないという条件
が加わってくる。
偏移信号位相角度変換装置の精度の極配置の精度に基
本的には少しも依存せず、位相測定手段の精度にのみ依
存することが望ましい。偏心誤差を減らす技法が極配置
の精度あるいはその形状の対称性に依存しないことも望
ましいことである。
偏心誤差補正について簡単に説明を加えると、打消さ
れている誤差成分は位相誤差である。原理的には、前述
のような即時相殺は、直径の正反対位置に配置された両
センサからの信号の振幅が等しければ、ほとんど正確に
行なわれる。残念ながら、偏心誤差の性質上、二つの信
号の振幅差も生ずる。従って、位相誤差を振幅差に関係
なしに打消すことができることが望ましい。これらの注
意は或る種の他の誤差にも同様にあてはまる。
回転要素の角速度が変化すれば位相測定手段の精度に
重大な影響をおよぼすことがある。このような変動があ
れば位相差を求めようとしている信号の周期が変化す
る。位相測定手段が角速度の定常状態の変化(つまり、
平均値等の変化)と回転部材の各回転中に起きる周期的
変化とに本質的に鈍感であることが非常に望ましい。周
期的変化に鈍感であれば、これらの変動をならすために
各運動量を生ずる質量(フライホィール効果)の必要性
が減り、したがって本装置の重量を軽くすることができ
る。
固定および可動のセンサの信号間のクロストーク(こ
れらの信号用の信号線間で一方の信号が他方の信号線に
対して漏れ出して信号線の上でこれらの信号が重なり合
ってしまうこと)は位相歪を生ずることがあり、これが
あれば本位相の精度が非常に低下する。このようなクロ
ストークは遮蔽を施すことによって減少させあるいは除
くことができることが多いが、これにより原価と機械的
複雑さとが増え、重量が増し、またおそらくは大きさも
増大することになる。AC信号を発生するために使用する
技法が、クロストークがあってもその情報を正確に伝え
ることができるような性質を有するAC信号を発生するよ
うなものであること、および位相測定技法がクロストー
クに本質的に鈍感で、真の位相情報を正確に得ることが
できるようになっていることが非常に望ましい。
可変位相差の信号を発生するあらゆる種類の変換器を
用いる先行技術の位相測定技法によれば「精」の測定と
して最もよく特徴づけられる結果を生ずることがよくあ
る。この精密な結果は剰余(modulo)値であり、「粗」
の測定の結果と組合わせなければならない。これがどの
ように行なわれるかによって一般に装置が増分式(incr
emental)か絶対式(absolute)かが決る。上述の精・
粗の測定ということが当てはまる装置の例にはある種の
角度変換装置や距離測定装置がある。「粗」測定と
「精」測定の結果を組合わせて最終的な測定結果を得る
という方法自体には本質的には何の問題もない。しかし
ながら、高精度かつ高分解能の測定結果を、上のような
組合わせではなく直接的に得ることができれば好都合で
ある。粗−精式測定によって起こる問題のひとつは、そ
の精側の測定の結果が絶対的な値ではなく、剰余(モジ
ュロ)として得られるというモジュロ的性格に起因す
る。
モジュロ的性格とは、換言すれば、精側の測定結果が
最終的な測定結果の下位の何桁かだけ求まるということ
である。この場合、精側の測定結果を粗側の測定結果に
加算(あるいは減算)して始めて最終的な測定結果が求
まる。具体例をあげるなら、ノギスの副尺で求まる値が
このようなモジュロ的性格を持った精側の測定値であ
る。ノギスの主目盛り(分解能が1mmであるとする)で
例えば12mmという値(粗側の測定結果)が求まり、副尺
で0.3mmという精側の測定結果が求まったとすると、最
終的な測定結果(最終的に得られる測定精度における真
値)は12mm+0.3mm=12.3mmとなる。このとき、精側の
測定結果0.3mmは真の値を粗側の分解能である1mmで割っ
たときの剰余である。
さて、上の例で真値が12.0mmである場合を考えよう。
測定誤差がないとすると、粗側の測定値は12mm、精側の
測定値は0.0mmとなるはずである。ここで精側の測定値
に+0.1mmの誤差がある場合には精側の測定値は正しい
測定値に近い0.1mmとなる。ところが、精側の測定値に
−0.1mmというわずかな負の誤差が導入されただけで精
側の測定値0.9mmという、正しい値0.0mmとははるかにか
け離れた値を取ってしまう。これは剰余としての精度の
測定値は0.0mm以上、1.0mm未満という範囲の値しか取る
ことができないため、−0.1mmを1mmで割った場合に商が
1で剰余が0.9mmとなってしまうからである。このよう
に精側の値=剰余が剰余の取り得る値の端点に接近して
いる場合の取り扱いには十分な注意を要するのである。
これらの問題はすべて今までは工合よく取り扱われてき
たが、その解決法は費用に無関係ではなかった。したが
ってこのような「粗−精」方式の精度と分解能とをすべ
て維持したままこれらの心配を無くすことができること
が望ましい。このような位相測定技法は信号周期の変動
(極の配置の誤差、モーターの速度変動)やクロストー
クに対する鈍感性をも保っていなければならない。
位相測定技法の重要な考慮事項はいわゆる「位相一致
問題」からの開放である。これは位相測定の「始動−停
止」方法と呼んでもよい方法において一般に経験される
ものである。この方法は同じ周波数で既知周期の二つの
信号間の位相を測定するものである。ここにおいては、
一方の信号のゼロ交叉点またはエッジでタイマーを始動
させ、他方の信号の対応するゼロ交叉点またはエッジで
このタイマーを停止させることにより位相が測定され
る。つまりタイマーで測定された時間は1周期のうちの
一部分であり、したがって位相を表わす。この方法につ
いて一般的な平均化の技法は単にn個の測定間隔を記憶
しておき、その結果をn個の周期で割ることである。
しかしこの方法は、特にこのような平均化と共に使用
するとき、始動と停止の条件が互いに非常に接近してく
ると重大な困難を伴う。ノイズによってそれらが取違え
られて観測されることがあり、このため非常に大きな角
度および非常に小さな角度を見分け平均することが非常
に困難になる。この問題に対する普通の対策、測定値が
0の両側の選定した領域内に通常入ったときは180度の
オフセットを導入し後で取り除くことである。平均をと
ることの長所を保ちながらこのような余分な手間を省く
ことが望ましい。
回転部材を備えた装置では絶対式測定の粗情報あるい
は他の情報は各回転の完了をしめす信号から得られる場
合が非常に多い。これらの1回転に1回の信号を発生す
るために余分な極またはセンサを設ける必要がないこと
が望ましい。
そして最後に、いままでの利点がすべてディジタル方
式で達成でき、精密な、ドリフトの少ないアナログ回路
の必要性をできるかぎり少なくできれば好都合である。
特に、マイクロプロセッサの計算能力及び判断能力を利
用して、測定のハードウェアに好適な構造的特徴を利用
することと相俟って、全体としての変換器の大量の論理
的複雑さを処理アルコリズムに移すことが望ましい。
これらのおよび他の利点は以下に要約する教示を利用
することにより実現できる。その結果、必要な機械部品
は少ないが秒(1/60度)のレンジの測定に優れた能力を
発揮する比較的低コストの精密な角度変換器が得られ
る。
ここに説明する角度変換器は、原理的に極の配置誤差
には鈍感な位相測定技法を用いることによって回転極の
配置に高い精度を必要としなくなっている。この技法は
またセンサと極との間隙の不均一さまたは変動に本質的
に鈍感である。以下で説明する角度変換器では、回転極
は標準の市販の歯車を2枚共通の軸に軸受けしモータで
駆動するようになっている。直径の反対側に独立に(す
なわち、別々に、且つ出力がアナログ的に加算されな
い)配置された固定および可動の磁気センサ対から、歯
車が回転するにつれべ四つのAC信号が発生される。
偏心誤差のほか、同様な誤差も、直径の反対側に独立
に配置したセンサで極めて正確に補正される。しかもこ
の様な補正をするからと言って、歯車の歯の間隔を規則
的あるいは正確にする必要はないし、またセンサの対の
配置を正確に直径の反対側にする必要もない。いろいろ
な独立のセンサは各々それ自身の個別の信号を発生し、
そこに含まれている回転で起きる遷移情報の少なくとも
1回転分が周期的サンプリングで捕えられ記憶装置に記
憶される。測定を行うときは、各センサに関する遷移情
報が総計され他のセンサの同様な総計と組合わされる。
このようにしてすべての自己相殺位相情報が提示され、
総計が組合わされるとき打消しが行われる。しかしなが
ら、偏心による位相誤差は、アナログセンサ信号が実時
間で集計されるときのように、元々同時対比で感知され
る必要はないものである。誤差の打消しを最大にするた
めに極の配置を理想的にしなければならないのは直径両
端のセンサの対称性による反対誤差のこの同時性のため
である。ちょうど1回転分または整数回転分についての
信号の位相情報をストアしたものを処理することによっ
て、直径の両端に置かれた両センサ間での誤差が対称で
あるという本質的な性質を維持しながら、その一方では
両センサが同時に信号検出を行う必要はなくなる。それ
は、アナログ信号のままでの両信号の加算による誤差の
相殺とは異なり、上述のやり方ではストアしておいた信
号系列を後でディジタル的に計算処理すればよいので、
時間基準さえ正確ならば両者を別の時間帯で測定しても
何の問題もないからである。このように、極の幅は回転
軸に対して等角する必要がなくなる。すなわち軸の周り
に規則正しい角度で配置する必要はなくなる。
また、いろいろなセンサーに関する測定は同じ回転中
に行われるので、自己相殺が可能ではあるが回転ごとに
同じではないいろいろな他の誤差が最大限まで任意に減
ることになる。この例はいくつかのボールベアリングの
うち1つだけ寸法が大きなものが混じっている玉軸受で
ある。
前述の総計量は二つの独立なセンサの信号の間の位相
を測定する家庭で形成される。多数の異なる位相測定
が、センサの1つの組合せごとに1つ行われる。つま
り、位相は固定センサと可動センサの組合わせごとに測
定される。この位相測定は関係する信号の振幅に影響さ
れない。一旦いろいろな位相のすべてが手に入るとこれ
らを平均して偏心によりもたらされる位相誤差を打消す
ことができる。要するに、位相と振幅の両方の情報を含
む信号をそのまま平信してから位相を測定する(従っ
て、平均によって得られた信号の位相にはもとの複数の
信号の夫々の振幅が影響を与える)かわりに、最初に位
相情報だけを分離して獲得し、このようにして得られた
位相情報だけを平均するのである。従って偏心による位
相誤差は、偏心または極−センサ間距離の不均一性によ
って導入される振幅変動にもかかわらず、ほとんど正確
に打ち消される。
位相が測定される両信号は夫々周波数がことなるた
め、クロストークは以下で説明する角度変換器には影響
を与えない。すなわち、可動センサからの信号で運ばれ
る位相情報は固定センサからの信号で運ばれる位相情報
とは直交(orthogonal)している。周波数を適正に選択
すると各周波数の他に及ぼすクロストークを積分した結
果は、原理的に0になる。実際には、ディジタル方式で
は離散サンプルが行なわれるという性質から、誤差の打
消しは近似的に達成されるだけであるが、この近似は、
原理的には、正確な値にいくらでも近づけることができ
る。どの周波数も他の整数倍になることのないようにし
て上述の異なる周波数が選定される。本発明による位相
測定装置では歯数が互いにことなる歯車を使うという簡
単な手段によって、このような周波数の信号を作り出し
ている。
本発明による位相測定技法では、相異なるしかもおそ
らくは一定でない周波数の信号でも、ただ以下の条件を
満足するだけで、使用可能である。まず、一方の周波数
のP個のサイクルに対して必ず他方の信号では正確にQ
個のサイクルが存在しなければならない。第2に、一方
または両方の信号についての絶対的な基準位置を繰返し
識別しあるいは追跡するための何らかの手段が用いらね
ばならない。両信号に絶対位置マークがあれば、前回の
結果に対する変化分という形ではなく何らかの固定位置
を基準としたという意味で絶対的な、また粗側の測定結
果と精側の測定結果に別れた形で測定結果が求まるので
はないという意味で統合された、結果が求まる。結果を
粗と精とに分けることも可能である。絶対基準マークが
1つだけある場合には精の方の測定結果が得られ、粗の
方の情報は別個の絶対測定により、あるいは増分の積上
げにより得られる。後に検討する詳細な事項によれば、
絶対基準マークはハード的に(つまり、実際の信号とし
て)得られるか、あるいはソフト的に(つまり、マイク
ロプロセッサがマークとなるべきあるサイクルを抽出す
る。この抽出のため、マイクロプロセッサはマークとし
て抽出されるべき各サイクルの間隔を用いてマークを見
失なわない様にする)得られる。前者の場合には位相測
定技法に有用なある定数を見い出してマイクロプロセッ
サが使用するためコード化され恒久的に貯えておくか、
あるいは装置に電源を投入する毎にマイクロプロセッサ
がその値を自動的に見つけて貯えるかのどちらかにより
使用できる様になる。後者の場合には、基準マークとし
てどのサイクルが選ばれたかにより上述の定数値が変化
し得るので定数を恒久的に記憶しておくことは不可能で
ある。後者の場合に自動的に定数を見つけるには、オペ
レータが一つまたは二つの既知の静的条件を装置に入力
して定数の値を発見できるようにしなければならない。
いずれの場合でも、定数の値を見つけなくてもよいよう
にする方法も存在する。
本発明の応用である角度変換装置では、各歯車から任
意に選択された歯を取り除くという簡単な手段により、
絶対基準マークを容易に発生することができる。すなわ
ち、この場合、マイクロプロセッサは各センサー信号の
中から取り除かれた歯に対応する周期的な乱れを検知す
る。この検知により絶対基準マークの相対的位置が求ま
る。一旦この位置が決まるとマイクロプロセッサはそれ
らの除去された歯がそこにあった場合に各センサにより
発生されるはずである信号(あるいはこれから得られる
位置・時間情報)を正確に近似できる。これにより、こ
の処置をとらなかった場合に欠けた歯が位相測定自身に
およぼした影響(このような影響は現在知られていな
い)および関連する誤差減少機構におよぼす影響(これ
らの或るものが知られており、二次の効果を起しやす
い)が最小になる。
位相測定自身は、二つの信号のP個あるいはQ個のサ
イクルの間の任意の時刻から始めることができる。マイ
クロ処理装置は各信号毎に、全体サイクルの単位で、開
始時刻とそのそれぞれの絶対基準マークが最近に起った
時刻との差を指示する。信号の一つが次にゼロを交叉し
た時点を局所的基準時刻として測定を始め、所定的基準
時刻とそれぞれの信号のP個およびQ個の連続したサイ
クルのゼロ交叉又時刻とを測定して、表に記憶する。以
下で説明される本発明の実施例では、正方向の(positi
ve going)ゼロ交叉のみを考慮したが、代りに負の方向
の(negative going)ゼロ交叉を使用することもでき
る。システムは各ゼロ交叉をどちらでも容易に使用する
ことができる。表の中のデータを使用して一方の信号の
P個の遷移時刻と他方の信号のQ個の遷移時刻のそれぞ
れについて和がとられる。これらの和を、これらの和に
加えて、PまたはQサイクルに必要な時間、開始時刻と
絶対基準との差の測定値、およびPとQの値も変数とす
る式に代入することにより、位相が算出される。
この技法は先に述べた「位相一致問題」を免がれてい
る。というのは、ここで必要なのは夫々単一の基準時刻
からの連続したP個およびQ個の時刻を独立に測定する
ことだけだからである。ノイズによってもたらされるの
は、その値を正確には知り得ないことによる避けること
ができない不確実性のみである。しかしながら、この不
確実性は本技法に固有の平均化によって軽減される。し
かしこのようなノイズは、P個の時刻とQ個の時刻との
間には特別な対応はないから、法(modulus、つまりモ
ジュロ演算における除数;ここでは具体的には先に述べ
た粗側の測定の分解能の値を指す)の値分の誤りを有す
る測定値を導入する機会はない。このことは極の配置が
任意にできるという利点と矛盾しない。問題となるのは
「等価単極」と以下で呼ぶものの生起の両平均時刻の差
の変化である。しかしこの平均時刻は夫々互いに別個に
求められるので、位相一致の問題は全く起らない。
前述の測定・計算はゼロ交叉検出器を独立のセンサの
出力に結合して行われる。遅延機構は各ゼロ交叉検出器
出力を遅延させた信号を生ずる。遷移検出回路は各信号
毎に遅延と非遅延の両者を比較していずれかの信号が遷
移したことを検出する。遷移を検出すると、どのような
遷移がなされたかがディジタルクロック回路中の時刻と
ともに直ちに捕捉される。順々に起きる遷移と時刻のデ
ータが、読出し/書込みが互いに独立になされる様にし
た循環バッファに一時記憶される。これによって非同期
的なデータが短期間にバースト的に生起しても、これら
データの捕捉は、マイクロプロセッサ側で割込制御を用
いて自己のペーストで記憶装置に取り込んでいくのとは
独立にその間に行なうことができるようになる。アップ
ダウンカウンタ回路は循環バッファに新しい情報が入っ
ていると、マイクロプロセッサに割込みをかける。割込
処理ルーチンの制御のもとでマイクロプロセッサは読取
/書込記憶装置内の表に記憶されている遷移−時間対情
報を更新する。この表には回転で起るデータが少なくと
も1回転分入っている。角度測定を行なうようにとの要
求がなされると、マイクロプロセッサは表を使用してセ
ンサ間の各種の位相測定を行ない、その結果を適当な答
にまとめる。
第1図は本発明にしたがって構成された角度変換装置
の機構部分を組上げたものの斜視図である。静止側の基
盤である基準ステータ2は回転可能なハウジングである
入力ステータ3を支持し、また電子回路とモータとを包
蔵している。機械部分1内の回路から発生する電気信号
はへその緒状(umbinical)ケーブルによりマイクロプ
ロセッサを含む付加回路(図示せず)に与えられる。マ
イクロプロセッサは4つの信号の遷移のタイミングに含
まれている位相情報に関して演算を行ない、使用システ
ムに角度で秒の精度まで出せる絶対角度のデータを提供
する。
ステータ2は、角度測定が行なわれる器具または装置
にしっかりと取付けられる。たとえば、軸受台(pedest
al)に取付けることもできるし、三脚載置装置たとえば
セオドライト(theodolite)の基準部材に取り付けるこ
とができる。角度を測定すべき可動部材は回転可能な入
力ステータ3に機械的に結合される。この様にして、入
力角度は可動部材により結合されている入力ステータ3
と基準ステータ2との間の角変位として示される。
機械部分1の中の電子回路は4つの方形波信号を発生
する。角度情報は4つの方形波信号のうちの選ばれた組
の各信号の間のいろいろな位相差の中に他の組の残りの
各信号との関連で含まれている。これらの4つの信号
を、たとえばA,B,X,およびYと名付けると、信号Aと信
号Bとは同じ周波数になり、たとえば入力ステータに対
応する。また信号Xと信号Yは同じ周波数だが、この周
波数は信号A,Bとは同じでない方が望ましい。信号X,Yは
基準ステータに対応する。この節の2番目の文に記述し
た複数通りの比較は信号Aの位相を信号Bの位相と比較
することについて述べているのではないし、また信号X
の位相と信号Yの位相との比較のことを言っているので
もない。そこで述べられているのは「信号Bと組合わさ
れた信号A」と「信号Yと組合わされた信号X」との間
の位相差を三つけ出すということなのである。これを行
なうには、実際に行なわれる位相測定はA:X,A:Y,B:X、
およびB:Yである。今後、これらを簡単にAX,AYなどと云
うことにする。これらの位相測定を行なう理由は以下の
適切な箇所で詳細に説明することにする。2つの前の節
で言及した付加回路はこれらの位相差を示すタイミング
データを得、マイクロプロセッサはこのデータを高精度
の絶対角度測定値に変える。
第1図に示すように、機械部分1は比較的簡素な構成
にすることができる。一つの実際の実施例においては機
械部分1は直径が約114.3mm(約4.5インチ)、高さが約
57.15mm(約2.25インチ)である。
次に第2図を参照すると、角度変換装置の機械部分1
が一部分分解して示されている。回転可能ハウジングで
ある入力ステータ3は取外されており且つ上下がひっく
り返されている。ロータ軸4は見えない軸受で静止ベー
スである基準ステータ2の底に確実に軸受けされてい
る。ロータ軸4はその軸の周りに回転自由であるが、軸
の延長方向への力に対しては固定されている。一対の軸
受(このうち上部軸受12だけが見える)によりロータ軸
4に軸受けされているのは、モータ駆動され透磁性歯付
の2つの環状部材である基準ロータ5である。この2つ
の環状部材は好ましくは透磁率の低いスペーサ19によっ
てしっかりと取付けられ且つ分離されている。基準ロー
タ5,入力ロータ6は各々スペーサー19にねじ止めされ互
いに相対的に動けない。これらは一体としてロータ軸4
の周りに回転できるだけである。基準ロータ5,入力ロー
タ6の歯の位相精度は角度変換装置の精度にほとんど影
響しないことが以下で説明される様に実証されているの
で、標準在庫品の鋼製歯車を用して差支えない。
基準ロータ5と入力ロータ6とは印刷回路板7の下に
ある静止ベースである基準ステータ2の凹所の中に配置
されている本図では見えないモータで駆動される。ここ
に示した構成に好ましいモータは直流のホール効果整流
3相モータでその回転速度は毎秒3回転に電気的に調整
されている。(少なくとも毎秒2から10回転までの速さ
が実用的と思われる。回転速度の低下につれて磁気セン
サからの信号振幅も低下するということで上述の下限が
定まる。一方上限の方は低価格のマイクロプロセッサの
処理能力および可搬モータの消費電力の点から今のとこ
ろ毎秒10回転に抑えられている。原理的には、ロータの
回転速度はもし希望するならば、かなり大きくすること
ができるはずである。)モータの界磁巻線は前述の凹部
の内部に固定されているが、電機子は基準ロータ5の下
側に固定された磁気リングに取付けされている永久磁石
から構成されている。
一対の独立した自己バイアス式磁気センサである基準
センサ8,9は基準ロータ5の周りに直径の反対側に対向
して配置されている。基準ロータ5が回転するにつれ
て、互いに独立した基準センサ8,9は夫々のセンサとそ
のすぐ傍の歯車の歯とで形成される関連する磁気回路の
リラクタンスの時間的変化を検知する。基準センサ8,9
の各々が発生する信号は夫々整形されて前述の4つの方
法波のうちの2つ(先に記したXとY)になる。
他の組の独立の自己バイアス式磁気センサである入力
センサ10,11は回転可能なハウジングである入力ステー
タ3の下側に配置されている。入力センサ10,11も入力
ロータ6の回転によるリラクタンスの時間的変化に応答
して別々の信号を発生する。この別々の信号はそれぞれ
方形波に整形されるが、これが残りの2つの方形波信号
(前述のAとB)である。
印刷回路板7は、モータ速度制御回路のほかに、増幅
器と、4つの磁気センサ8〜11からの一般に正弦波状の
出力をその関連する方形波信号A,B,XおよびYに変換す
るゼロ交叉検出器とを備えている。
組立てたとき、回転可能な入力ステータ3はロータ軸
4に錠止され、ロータ軸4は前述のように静止ベースで
ある基準ステータ2の底部にあるロータの下の(見えな
い)軸受で回転を確実に支えられている。ロータ軸4は
回転する入力ステータ3の回転の安定な軸となり、これ
を介して入力角度が加えられる。入力ステータ3は更に
リテーナ16で所定位置に保持されている一連の玉軸受15
によって基準ステータ2に支持されている。焼入研磨し
た軸受表面13,14は夫々介在する玉軸受15が運行するレ
ース(rece)を形成する。これにより、ロータ軸4の安
定軸の周りになめらかな且つ低摩擦の回転をするように
入力ステータ3を基準ステータ2上にしっかりと支持す
る。本軸受構成はセオドライトの望遠鏡を角度変換装置
の直上に取付けることができるようにするためである。
他の機械的構成も可能である。たとえば、ロータ軸4
を基準ステータにしっかりと取付け、他方、入力ステー
タをロータ軸に軸受で支持してもよい。
入力ステータ3はどんな入力角度を変換することにな
っても自由に回転できなければならない。この目的のた
め、回転可能ハウジングである入力ステータ3の下側に
ある4個の円形スリップリング17が4組の弾性接点18と
対応して配置されている。弾性接点18は入力センサ10,1
1からの信号を印刷回路板7に伝える。したがってこの
入力ステータ3においては入力角度の方向と大きさとに
関する制限はない。
角度が入力されることにより、入力ロータ6について
の入力センサ10,11からの信号と基準ロータ5について
の基準センサ8,9からの信号との間に、入力角度に対応
する位相差が発生される。何故こうなのかを見るため、
入力ステータ3は入力センサ10,11が夫々基準センサ8,9
の直上に配置されるような位置になっていると仮定す
る。また、入力及び基準ロータ5と6には同じ歯車を用
い、かつロータ軸方向から見れば両歯車の歯がぴったり
重なっている様に取付けられていると仮定する。この寧
ろ制限的である条件のもとでは、対応する信号の組が同
時に発生するため、基準センサ信号と入力センサ信号と
の間には位相差が無いことになる。ロータにn個の歯が
あると仮定すれば、たとえば360/n度の機械的角度が入
力されたときにおいても、前述の空間的配置によって両
方で同時に信号が発生するため、入力,基準センサ信号
の間に電気的位相ずれは発生しないことになる。すなわ
ち、n個の歯は360/n機械度の機械的な法(modulus、こ
こでは360度/nの周期のことである)を有する信号を発
生する。この機械的な法、つまり周期、の範囲内で(す
なわちロータがi×360/n溶から(i+1)×360/n度ま
で回転する間に)センサ出力は360電気度の完全なサイ
クルを示す(つまりセンサの出力信号の位相は360度回
る)。もし機械的入力が360/n度の1/4であれば、センサ
の出力信号には360の1/4すなわち90度の位相ずれが得ら
れることになる。
機械的な1回転毎にセンサ出力信号の方では位相が丁
度n回回る(つまり、ロータが360度回転すると繰り返
し信号であるセンサ出力信号は丁度n回だけ繰り返され
る)から、粗側の測定値を以下のように取ることによっ
て、電気的位相差を「精−粗」測定の精側の測定結果で
あると考えることができる。つまり、粗側の測定値を、
入力ロータの回転角(つまり入力角)には精側のサイク
ルがいくつ(整数)含まれるか(つまり、センサ出力信
号の1周期に相当する角度で入力角を除算して得られる
商(整数)の値)であるとするのである。粗の値は普通
は精の測定において位相が丁度1回分回ったことを監視
することに応答して今記憶されている粗の値をインクリ
メントすることにより得るか(いわゆる増分法)、直接
に測定するか(いわゆる絶対法)のいずれかでなければ
ならない。以下に詳しく検討する好ましい位相測定技法
はこの粗/精の概念と両立し、また増分および絶対の測
定法の概観と両立するものである。しかしながら、本発
明の利点を最大限に利用すると、測定の結果がそのまま
最終的「答」となるため、本測定結果は明確に粗と精の
成分に分離することはできない。従って粗と精という概
念は不必要となる。ある意味で、これらの概念はなお存
在する。たとえば歯車の歯が規則正しく配置されている
場合には、「粗」と「精」とはその本来の意味と幾分似
通ったものを持っている。(本発明においては、粗と精
の概念がその旧来の意味を持つためには、各ロータの極
の数が等しくなければならないと思われる)しかし先に
述べたとおり、これらはロータが満足しなくてもよい不
必要な条件である。両ロータに用いられる歯車の歯数が
互いに等しくなかったり、あるいは歯が不規則に配置さ
れている場合には、「粗」と「精」とにはむしろ特殊な
意味がでてくる。このことについては位相測定技法を説
明する部分の終りで更に詳しく論ずることにする。
本発明にかかる位相測定技法の好ましい使用法では各
ロータの1回転毎につき1回出現するハード的なマーク
を発生する手段を備えている必要がある。これは各ロー
タ上のある極を「絶対基準極」として識別することに等
しい。しかしながら、また、ここに説明する技法が柔軟
であることの例として、位相測定自身が、「完全な」答
をなお必要としながら「精密な」答だけを発生するなら
ば、増分測定法を使用する(入力ロータの「1回転につ
き1回」のマークを省略できる)か2つの「1回転につ
き1回」のマークを別個の粗測定を行なうために使用す
るかすることになる。この後の二つのいずれかの場合に
はロータ回転子5に(P=Qでないかぎり)置かれた1
回転1回のマークが本測定にあたって基準ロータ5のた
めの基準極情報を提供する。ソフト的な1回転1回のマ
ークについては他の所で説明する。マークの必要性はい
ずれにせよ同じである。異なっているのは主としてその
マークの発生の仕方である。(ここに書かれているよう
に、これらの注意は以後のいろいろな章に現れるそれら
の支持項目とは切り離されており、完全にはそれと認識
されないかもしれない。これらは単に事柄を述べるため
と本発明の位相測定技法の柔軟さとを説明するために記
述してあるのである。) 別々の1回転につき1回のマークを用いれば、精測定
と関連させることのできる粗測定を行なって絶対の(す
なわち増分式ではない)角度測定値を発生する手段を供
給する。このような粗測定は位相比較でも行なわれる。
しかしながら、その位相を測定すべき夫々の信号には機
械的回転あたり1電気サイクルだけしかないから、電気
的位相の360度は入力ロータ3が丁度360度だけ機械回転
したことに対応する。更に、2つの1回転1回マーク間
の粗位相測定値を求める際に、ロータ回転あたりn個の
精サイクルをロックとして使用することができる。これ
によって粗測定のモータ速度変化の影響がかなり軽減さ
れる。ハード的に1回転1回の信号を発生するための入
力,基準ロータに夫々個別にセンサを備えるかわりに、
入力,基準ロータから夫々歯を1つ取除くだけでこの信
号を容易に得ることができる。第2図で、歯20と21が夫
々基準ロータ5,入力ロータ6から取除かれている。マイ
クロプロセッサは1回転1回のマークほども長い周期を
認識できるとともに、無くなったサイクルからそれが実
際にそこにあった場合どうなっていたかについての高精
度の推定をすることができる。
1回転1回のマークの他に考えられる使用法は丁度1
回転分のデータを集めるための時間間隔を支持すること
である。丁度1回転分のデータは本発明の位相測定技法
において重要である。しかしながら、このような方法で
は、このような時間間隔の開始時点が制限され(つま
り、1回転1回マークの検出時点しか開始時点になれな
い)、測定の進行をかなり遅くする。プロセッサが利用
でき、且つロータ極数が変らないのであるから、丁度1
回転分のデータを集める好ましい方法はサイクルを数え
ることである。このようにして位相測定は任意の極がい
ずれかのセンサーを通過した時点で開始することができ
る。
センサの偏心(および、モータの傾きなどのような他
の条件)から生ずる誤差は、先行技術による装置のよう
に、複数の入力センサ出力のアナログ和および複数の基
準センサ出力のアナログ和をその位相比較前に作らない
ことによって益々減少できる。その代りに、信号は分離
されたままになっており、各独立のセンサからの位相情
報はそれら信号のタイミングに厳密に関係する測定によ
って探される。これによって位相だけに基づく偏心補正
ができる。前にも述べたとおり、従来の技術において
は、複数の信号の代数的加算を行なう際、必然的に大振
幅信号の位相が小振幅の信号の位相情報を抑圧してしま
っていた。本発明においてはこの欠点はない。このこと
が重要である理由は、偏心が存在すれば同時に信号振幅
のかなりな(しかも非線形の)変動をも引き起すからで
ある。
最初に位相を測定し次にその結果を平均する技法は、
他の方法よりは、一般に「1周1回」誤差、「1周2
回」誤差などとして知られている種類の他の種類の誤差
を減らす上にも有利である。1周1回誤差は入力角度の
周期関数である測定角度中の誤差であり360入力度の周
期を有している。1周2回誤差は180入力度の周期を有
している(入力の1回転中に誤差関数が2度繰返す)。
1周1回誤差を減小するには平均化と共に直径の反対側
にセンサを配置するのが良い。1周2回誤差を減小する
には平均化と共に直径の反対側に配置したセンサを90度
ずらして2対配置するのが良い。上述した誤差低減のた
めのセンサの配置技法は、直前の段落で説明したよう
に、信号を先ず平均してその平均信号から位相を求める
のではなく個々の信号から位相を求めた上でこれらの位
相を平均することによって更に効果を発揮するようにな
る。
最後に入力,基準センサ間のクロストークは変換装置
の精度にかなり影響することがある。この影響はロータ
が丁度整数回だけ回転する期間にわたり測定すると共
に、入力ロータ5の歯車を基準ロータ6の歯数と等しく
ないように適当に選定することによりほとんど全く除く
ことができる。
前記の特徴は従来の位相比較回路で実行することは困
難であるかまたは不可能であることが明らかである。し
かしながら、以下に詳細に説明する様な、マイクロプロ
セッサベースの装置を用いれば、効果的に且つ能率よく
実行される。ここにおいて、マイクロプロセッサは記憶
装置の中にセンサからの4つの方形波信号の遷移方向お
よびその生起時刻の表を作る。この表は4つの信号のい
ずれかが遷移することにより起動される割込処理ルーチ
ンにより作られる。割込状態でないときには、マイクロ
プロセッサは、測定要求があれば直ちに、既に表の中に
あるデータの処理を開始することができる。表を循環式
にすることができるから、十分古いデータは自動的に新
しいデータで書き変えられる。
角度変換装置のブロック図 第3Aないし第3C図は前記の特徴を備えた角度変換装置
の簡略ブロック図である。第3A図ないし第3C図中の構成
要素のうちで第1図及び第2図中に対応するものがある
場合は、物理的外見は多少異なっていても、第1図及び
第2図中の対応する参照符号をそのまま用いる。
まず第3A図を参照すると、基準ロータ5と入力ロータ
6は、軸22が第2図のロータ軸4に対応する軸に関して
回転するように取付けされている。説明を簡単かつ容易
にするため第2図でもっと複雑になっているロータ取付
部と駆動機構は、ここに示すものと置き換えてある。軸
が22である回転軸を駆動するモータおよびその回転軸を
支える軸受は共に図示しない。しかしながら、ここで描
いた構造は確実に動作するものであり、もし使用する場
合にはロータ軸は非磁性材料、たとえば黄銅で作られ
る。
入力ロータ6の極数は或る整数Qであり、基準ロータ
5の極数は、他の整数Pである。実際の実施例ではQは
120であり、Pは144である。しかし、見やすくするため
本図では回転子5と6と極数はずっと少なく描いてあ
る。このため、これによって欠除極20,21を明瞭に示す
ことができる。ここに説明する好ましい実施例の場合の
ように、1回転1回の標示マークとして欠除極(たとえ
ば、歯を除去した歯車)を用いるときは、物理的な歯数
は夫々(P−1)個,(Q−1)個しかないが、それで
もなおP個の極およびQ個の極と言う表現を用いる。勿
論、その意味は(P−1)個及び(Q−1)個の「実際
の極」と2個の「名目上の極」とがあることであり、後
者はその不存在によって独立に検知することができる。
換言すれば、欠除極を極として数えるということであ
る。もちろん必ずしもこのように考える必要はなく、た
とえば、本実施例における極数Q=119およびP=143で
あるとして構造を特徴づけ、欠除極を極としては解釈し
ないこともまた容易に可能である。つまり、この別の解
釈においては、欠除極を2つの極の間に丁度入る全く別
の1回転1回の標示マークと考えることになる。以後の
説明に照らしてこれら二つの方法は、最終解析におい
て、同じ事柄を同等に見ている二つの方法であることが
明らかになる。
基準センサ8,9は基準ロータ5に関して直径の反対側
に位置している。各基準センサは磁石23,24、透磁性極
片25,26及び検知巻線27,28を有している。基準センサ8,
9は基準ステータ2の一部であり、固定された位置に置
かれている。
入力センサ10,11は同じ構造であり、入力ロータ6に
対して直径の反対側に配置されている。これら入力セン
サ10,11は入力ステータ3の一部であり、入力角度の方
向と大きさとに応じて一体となって動く。
独立した基準,入力センサ8ないし11の各々は、その
出力が他のセンサの出力に代数的に加算されることはな
く、別々に対応するデータを与える。この様にするた
め、独立した基準,入力センサ8ないし11は増幅器29な
いし32に夫々1つずつ結合している。増幅器29ないし32
の出力は夫々ゼロ交叉検出器33ないし36に夫々1つずつ
結合している。
後の説明の便宜のため、入力ステータ3上のセンサ1
0,11に関連する信号及びデータに夫々A,Bという名を付
け、基準ステータ2上の基準センサ8,9に関連する信号
及びデータには夫々X,Yという名を付ける。A,B,X,及び
Yは一般に関連する信号経路の情報内容を言うものであ
って、その経路上の特別な点での信号の特別な電気的形
式を指すものではない。
第3B図を参照するに、データA,B,X,及びYは夫々遅延
回路37ないし40の対応する1つに送られる。遅延回路37
ないし40を実現する方法自体は重要ではない。これらは
ある仕様を満たしさえすればいろいろな方法で実現する
ことができる。この仕様としては第1次段の回路におい
て遅延信号と非遅延信号とを比較することにより信号遷
移を検知することができるのに充分な遅延を与えなけれ
ばならないということである。第2に、各遷移が確実に
検出できる様にするため、遅延は遅らされる信号の周期
の1/2未満でなければならないということである。そし
て第3に、遷移のタイミングがあるクロックによって量
子化されるならば、遅延量はそのクロック周期の1/2以
下でなければならないということである。第3の仕様は
2つの連続する遷移が量子化されたとき、これらが異な
る状態として分離される様にすることにより、これらが
単一の検出結果に埋れることがないようにするものであ
る。第3B図についてこのことを具体的に示せば、これは
2つの連続する遷移があってもその各々についてEVENT
と呼ばれる信号が1つずつ別個に出されるということを
意味する。このような遅延を実現するにはいろいろな手
法があり、それらを提案することもできるが、第3B図に
示す回路は簡単かつ好都合に上の仕様を満足している。
以下では4個の同一な遅延回路37ないし40のうち1つを
代表としてとり上げて説明する。
遅延回路37には2個のD型ラッチ41と42とがある。D
型ラッチ41のD入力はゼロ交叉検出器36の出力に接続さ
れている。クロック信号回路45から発生される互いに逆
極性のクロック信号CLK43,▲▼44の前縁でD入力
に現在ある信号Aの値がラッチされD型ラッチ41のQ信
号に現れる。Q出力はD型ラッチ42のD入力へ与えら
れ、今度はクロック信号▲▼44によって計時され
る。クロック信号▲▼44の前縁でクロック信号CL
K43の半周期遅れで、D型ラッチ41にラッチされた値が
D型ラッチ42にラッチされ、そのQ出力に現れる。クロ
ック信号CLK43のなお半周期後に、他の(そして、前回
と異なっているかもしれない)信号Aの量子化サンプル
がD型ラッチ41にラッチされる。信号Aの遷移は、クロ
ック信号CLK43の半周期分だけ離れた2つのQ出力の値
が異なるという事態として現れる。
遅延回路37ないし40に対して夫々XORゲート46ないし4
9が1つずつ対応している。たとえば、信号Aについて
は、XORゲート46は遅延回路37の二つのQ出力に接続さ
れる。信号Aの遷移が起こる毎にXORゲート46は最後に
量子化された値Anが前に量子化されたAn−1に等しくな
い半周期を検出する。このような差を検出すると対応す
る信号ΔAが発生される。他の信号ΔB,ΔX,ΔY,及びΔ
Yは夫々XORゲート47ないし49で発生される。
ORゲート50には信号ΔAないしΔYが入力され、信号
A,B,X,およびYのいずれかが正または負の方向の遷移を
したことを表わす信号であるEVENT51を発生する。EVENT
51のパルス幅はCLK43の周期の1/2である。上に述べた遷
移方向およびその時刻の表用のデータは次に述べる回路
で集められる。先に述べたクロック信号45の周波数は50
0KHzである。500KHzの信号CLK43はまた時間の進行を示
す情報を提供する12ビットのカウンタ52に与えられる。
500KHz及び12ビットという値は或る程度任意に選べる。
便利さ、費用、および性能等からこれらの値がほぼ定ま
ってくる。他の周波数および他のビット数も確かに可能
である。
信号EVENT51が発生する毎に、その前縁における時刻
および状態のデータが数個の一時ラッチのうちの一つに
記憶される。新データカウンタ53はどの一時ラッチに記
憶されるかを指示する。信号EVENTの後縁で新データカ
ウンタ53が進歩される。新データカウンタ53は、今の例
では0、1、2、3、0、....と数える。新データカウ
ンタ53はその係数値Nをデコーダ/マルチプレクサ54に
与え、時刻及び状態データの一時的なラッチ先として、
4個の一時ラッチの次の(Nの計数に続く)ものを選択
する。状態データは遅延回路37ないし40からのXn−1か
らAn−1までの信号である。この4ビットの情報は最近
の遷移の直前における信号A,B,X,およびYの各々の値を
表しており、EVENTの前縁でラッチされる。これらをそ
の以前捕捉され貯えられている以前の信号と比較するこ
とにより、最近のものの1回前の遷移の性質がわかる。
今の信号のEVENTの生起の原因となった最近の遷移の性
質は信号EVENTの次の初政治に明らかになる。以下同様
である。
信号EVENTが発生し一時ラッチ55ないし58のうちの次
に記憶が起なわれるものが選択されるごとに、Xn−1か
らAn−1についての状態データが、カウンター52の現在
の計数値と共に、その選択された一時ラッチに貯えられ
る。
新データカウンタ53の進歩計数値Nは今や、やはり
0、1、2、3、0、....と計算する割込キャッチアッ
プカウンタ59の計数値Iとは等しくない。これにより、
カウンタ53,59のN,I出力に接続された比較回路60は、両
カウンタの計数値が不一致であることを表す信号N≠I
を発生する。信号N≠Iはマイクロプロセッサ61の割込
要求入力に加えられる。これはマイクロプロセッサ61に
表に加えるべき追加データがあることを知らせる。する
とマイクロプロセッサ61は割込サービスルーチン(IS
R)を実行して一時ラッチから新しいデータを検索して
それを表に入れる。詳細は使用する夫々のマイクロプロ
セッサにより異なるが、行われる事柄の一般的説明はこ
のとおりである。ISRは割込キャッチアップカウンタ59
を歩進させる。歩進した計数値Iはデコーダ/マルチプ
レクサ62に加えられる。デコーダ/マルチプレクサ62は
次に、状態および時間のデータをマイクロプロセッサに
送るラッチとしての一時ラッチ55ないし58の次の計数値
を(Iの計数値の順に)選択する。
このようにして、新しいデータが貯えられたとき割込
要求が発生する。状態および時間の情報は、マイクロプ
ロセッサが決して5繊維以上遅れない限り、マイクロプ
ロセッサがデータを記憶装置に貯えることができるよう
になるまで一時ラッチにより記憶される。この機構によ
りA,B,X,およびYの任意のまたはすべての信号が各遷移
で変化することができ、連続する量子化遷移を捕えるこ
とができる。
第3C図は簡単化された表とともに、マイクロプロセッ
サ61が状態及び時間のデータを記憶するために何を行な
うかを示している。第1に、割込制御下で、マイクロプ
ロセッサはランダムアクセス記憶装置63の中に状態遷移
とその関連時刻との表を作り上げる。実際の構成は第3C
図に簡単に示すことができるよりははるかに複雑であ
り、或る特徴については具体的な構成ごとに異なること
があるけれども、本図は一般的考え方を適切に示してい
る。状態データは遷移の性質をつきとめるために検討さ
れ、それの記号的標示の幾つかが準備され記憶される。
関連する時刻も記憶される。ここに述べる好ましい実施
例ではマイクロプロセッサは12ビットの500KHzの時間情
報(1カウントにつき2μsecで4096カウント、すなわ
ちカウンターを一杯にするのに8,192μsec)を、ある時
刻Toで始まる絶対時間軸上の点に変換する。時刻Toがい
つ始まるかは特別に重要であるというわけではないが、
測定の開始点と一致されるのが便利である。(これは測
定要求を受け取ると単に記憶装置内に既に記憶してある
データを使うかわりに、回転で起きる他のデータを待っ
ていることを意味する。両方法とも同様にうまく動作す
る。)この目的のため、カウンタ52は必要に応じて簡単
に動作し最大値からゼロに戻ることができる。ファーム
ウェアはカウント値がゼロに戻ったことで値が急に低下
したことを検出し必要な4096カウンタを加え戻して正し
い計数値を発生する。修正された計数値は次に、でき上
っている絶対時間スケール上に得られた前の値に加えら
れる。これが今度は新しい値となり、処理が続行され
る。これがうまくいくのは,毎秒3回転、かつ1回転当
たり120枚の歯とした場合(ロータの回転方向の入力ス
テータの回転と歯車の歯形の非対称に加えて、他の歯車
の存在も無視すると)、隣合う正の遷移の間は精々2.77
8μsecだからである。絶対時間スケールの開始と再開始
は実現にあたり便利な事柄である。
マイクロプロセッサは新しい正の遷移のデータを表に
付加しつづける。負の遷移に関するデータは単に無視さ
れる。表は性格上循環的に構成されているのだから、1
回転以上古いデータが入っている古い部分は新しいデー
タを貯えるために使用される。マイクロプロセッサは欠
けた歯を注視し、何らかの手段により後に位置ぎめし易
いようにそれらのフラグを立てておくか、あるいは好ま
しくは、欠けた歯が来たときそのロータに関連するファ
ームウェアの極カウンタを再スタートさせる。以下の説
明では、これらのカウンタの計数値をP#(基準ロータ
について)およびQ#(入力ロータについて)と呼ぶ。
P#およびQ#と表記することはロータ毎に極カウンタ
が唯1つあることを意味している。実現形態によって
は、このようにしてもよいし、あるいは好ましくはセン
サごとに極カウンタを置くのが良い。この点については
後に論ずる。
欠けた歯の検出はその周期が異常に長いことから(す
なわち、歯の検出間隔が大きくあくことから)検出され
る。欠除した遷移を示す簡単で満足な方法は、それがあ
るべき場所にそれを置くことである。たとえば、その正
の遷移を隣接する正の遷移の中点に置く。平均化のよう
な、一層精巧な方法も可能である。
使用システムが角度測定を必要とするときは、測定要
求信号を発生する。これもマイクロプロセッサに割込を
起す。これによりマイクロプロセッサが表の中のデータ
の処理を、最も早く入っているものから始める。これは
ロータの以前の完全な1回転分のデータについて続けら
れる。必要な完全回転(full revolution)は表中に貯
えられている遷移を数えて検出される。一旦測定値に関
する計算が完了すると答が記憶装置に置かれ測定完了信
号が使用システムに送られる。代りに、測定要求信号の
生起に続く新しい回転に関連するデータを厚め、そのデ
ータを処理して角度を求めることも望ましい。丁度今終
った回転のデータを使用するかあるいは測定完了信号の
直後のデータを使用するかの選択は実際の装置の設計上
の問題である。
前の半回転分のデータを測定要求信号を受け取ると直
ちに保持し続く半回転で起きるデータと組合わせて答を
出すようにすることも望ましいことである。この様にす
れば、入力角度が或る最大値より少ない一定の割込で変
化している場合でもこの変化の影響が相殺されることも
わかる。従って答は測定要求信号が発せられた頃の入力
角度の値を表わす本質的に正確な答になる。
表の中に状態および時間のデータを構成するいろいろ
変ったしかし同等な方法はそのデータがどのように使用
されるかの説明が進むにつれて明らかになるであろう。
位相測定技法 第4図ないし9C図は入力ロータ及び基準ロータを関連
する各々一つの入力センサ及び基準センサと共に理想化
して表わした概要図である。これらの図は単一位相測定
AX,AY,BX,BYがどのように行なわれるかを説明する上に
有用である。
第4図ないし第9C図の構造は磁気センサの前の回転し
て通り過ぎる高透磁率の極に限られない。本発明の位相
測定技法は、同じ周期を持つ2つの「標示」間の位相測
定に使用することができる。ここでこの2つの標示に必
要な条件としては、各標示内で既知の回数の事象が生起
し、各事情の標示内の生起位置は周期毎に変動しないこ
とだけである。この技法はまた標示内の事象の間の間隔
が一様でないことにも影響されない。
すなわち、ロータは光センサと協動する溝付円板また
は他の光学的エンコーダでよいし、あるいは変位の関数
として、または現在の例では磁気センサ付の歯車とし
て、その値が周期的に変るコンデンサでもよいが、その
ように発生した信号の位相は本技法によって容易に測定
することができる。1回転あたり(あるいは単位時間あ
たり)発生する信号の変化の数はロータ間で同じである
必要はなく、またロータからの信号の個々のサイクルの
周期が一定である必要もない。特に、角度変換器の歯車
に関して考察している例題について、本発明の位相測定
技法は、原理上および実用上、歯車の歯の配列誤差に鈍
感である。
次に第4図を参照すると、基準ロータ5と入力ロータ
6とが概略的に描かれている。各ロータに1つずつのセ
ンサ(すなわち基準センサ8と入力センサ10)が設けら
れている。直径の反対側にある第2のセンサは本発明の
この特徴を説明する上で簡略にするため省いてある。第
2のセンサの発生する信号の位相は図示した個々の一つ
のセンサについて説明したと同じ一般的仕方で同時に測
定される。夫々のロータの第2のセンサからの信号は第
1のセンサからの信号の測定を行っている回転と同じ回
転中に測定されるが、第1のセンサからの信号の測定で
用いるカウンタP#、Q#とは別のカウンタがこれら信
号の測定に当たって割り当てられる。4つのセンサにつ
いて位相がどのように測定され次いで偏心の影響を除く
ため組合わされるかについては以後の章で論ずる。今の
ところは、第4図の理想化した概略構造には偏心は無い
と仮定する。
P,Qを夫々基準ロータおよび入力ロータ上の極(歯車
の個々の歯)の数であるとし、またRを回転子が1回転
を完了するに要する時間の長さとすれば、入力ロータが
基準ロータに対して回転させられた角度は(ラジアン
で)下の式(1)で与えられる。
式(1)の導出法、解釈等については以下で詳細に述
べるが、ここでもこの式の中で用いられている記号等に
ついて多少説明する。式(1)でΣTQiとΣTPiとは関係
するセンサからの信号の連続する前縁の生起の時刻を、
いくつかの便宜上の開始時刻のうちの1つから測り始め
丁度1回転を完了するまで加算したものである。ΣTQi
は入力宣さについてのQ個の連続遷移の合計であり、Σ
TPiは基準センサについてのP個の連続遷移の合計であ
る。時間Rは式(1)を使用する毎に同じである必要は
ない。その都度の時間Rの値は夫々の位相測定を行なう
ときに測定することができる。この時間Rの測定は、た
とえば、基準センサ出力中のPサイクル離れている2つ
の事象の各生起時刻を比較したり、または入力センサ出
力中のQサイクル離れている2つの事象の各生起時刻を
比較して容易に行なうことができる。P#,Q#は各ロー
タについてどこで加算が始まったかを、各々の固定の基
準点から数えたものである。P#の範囲は0からP−1
までであり、Q#は0からQ−1までである。各ロータ
の基準点は便宜的にその欠けた極としてよい。項Ψは夫
々のロータの形、その極配列に関する特定の不正確さな
どにより決る或る定数であって、夫々の個々の変換器に
関する信号対につき1回だけ求められなければならない
ものである。項Ψはθの関数ではない。もし式(1)の
位相測定技法を使用して、逐次的に得られた結果からは
じめの結果を差引いて個々の測定結果を得る等の手法を
用いて初期設定から逐次的な角度変位を求める場合に
は、Ψの値を知る必要さえない。すなわち、Ψはすべて
相殺されて、結果としてθのいろいろな値の差だけが残
る。
合計を作りP#およびQ#の値を求める規則がある。
入力角度を測定する要求はロータの回転に関係する任意
の時刻で起り得る。加算は基準ロータから得られた任意
の前縁、たとえば測定要求に続く最初の前縁で開始する
ことができる。(すべての測定は代りに後縁を用いて行
なうことができる。)欠除の推定位置で開始するか否か
は実際の装置を作る上での設計上の問題である。設計者
は夫々のシステムで最良のものを選択して差し支えな
い。
基準ロータ5のいずれかの極を現在の開始極(P個の
極のi番目の極)として、或るT0=0を時刻の基準とし
て測定を始めて、P個の連続する時刻の合計を互いに加
え合わせる。簡単に第4図を参照するに、P1が開始極で
あり、且つP1がセンサを通過した時刻が0であるとすれ
ば(一時的な便宜上の仮定)、TPiの所定の合計は下の
式(2)に示す時間間隔の合計と同じになる。
議論を進める前に、Σ記号の使用に関して注意するの
が順序である。たとえば式(2)について、上下限l,y
がTPiに現れる添字の数値ではないということは多少不
便である。勿論、意味するところはlからyまでの間隔
を定義するのに必要な特定の値から始めて、i mod P
(モジュロ演算、つまりiをPで割った際の剰余を表
す)の対応するP個の値を取るということである。これ
らの式および以後の式は、勿論、完全に従来の記法を用
いて表現することができる。しかし、そうすることはそ
れに対応して情報内容が増えないで記号の量だけが増加
することになると思われる。正しく理解すれば、Σ記号
についてここに取った記法により、明確でしかも比較的
簡単且つそれ自身本来の役割を良好に果す記述的記号が
でき上がる。Δθ及びΔφJ,Kの記号を導入する場合は
特にそうである。これらの構成には任意の大きさの間隔
が含まれており、またこれらは和の中に含まれてはいる
が、これらが常に剰余i mod Pの値で満足に表わされて
いるわけではない。
(2)式を各時間間隔l,m,n,....y毎にまとめると、
以下の様に表現される。
また、TQiの加算も同様にして以下の様に表現され
る。
ここで、「加算は時刻ゼロから始まる」という仮定を
しても上述の式は一般性を失うことがない。またこの仮
定により以下の説明における式を簡単にする便宜があ
る。式(1)についてだけ見れば、0でない時刻から加
算を始めたとしてもその効果は自分自身で相殺されるの
で、このような「0に等しい初期時刻」という仮定は必
要としない。これがどのようにおこるかについては、説
明が進むうちに指摘される。
第4図および式(2)と(3)とにおいて記号l,m,
n,....y,zは基準ロータの極の間の増分時間(時刻間
隔)を表わす。回転速度が一定であると仮定すると、ロ
ータ上の極が等角度で配置されている場合に限って時間
l,m,....zは等しくなる。基準ロータも入力ロータも高
精度位相測定を可能にするため特別に高い精度で極を配
置する必要はないことをここで強調しておく。原理的に
は、基準ロタについての時間間隔l,m,n,...zは入力ロー
タの対応する時間間隔a,b,c,....kとともに、ロータ上
の極の間隔の異なる任意の配置を表わすことができる。
実際上は、時間間隔l,m,n,....zは時間間隔a,b,c,....k
と同様等しくなる傾向がある。このようにしたい充分な
理由がある。このような規則性があれば欠除極を確実に
検出し、センサでの不適当な過渡現象(undue transien
t)を防止し、クロストークを抑制するに役立つ。しか
し他には、このような均一性がないからと言って原理上
位相測定の精度が低下しない。以下の吟味を通じて、時
間間隔l,m,n,...zおよびa,b,c,....kは個別の数として
取扱い、またけっして等間隔に配置された極を表わすも
のとは仮定しない。
入力ロータ6の時刻の加算は基準ロータ5の場合と丁
度同じ時刻に始まる。一般には、この開始時刻は入力ロ
ータ6から得られる遷移に一致して始まるものではない
が、極配置と入力角度との関数であり、また一致して始
まることがある。いずれにしても、同じ一般規則が適用
される。開始時刻が始めて、入力ロータ6の次のQ個の
極の時刻が加算される。再び第4図を参照するに、基準
ロータ5と同様、入力ロータ6の極の間の増分時間、つ
まり時間間隔がa,b,c,....kと表示されている。代表的
には、和の第1項はa,b,c,....kのうちの一つの時間間
隔の一部分である。その割合がどれ程であるかは部分的
には、入力ステータ3の回転角、すなわち入力角度によ
って決まり、以後の説明ではその1部分をその使い方に
よってΔθまたはΔφと呼ぶことにする。
たとえば、第5図において、入力ステータ3の入力セ
ンサが、加算の開始時点において極QからΔθだけ手前
にあったとすれば、入力ロータ6についての合計は (5) =QΔθ+(Q−1)a+(Q−2)b+…+
j となる。
夫々の合計において、時間間隔a,b,c,....y,zのうち
の一つ及び時間間隔l,m,n,....j,kの一つは現れないこ
とがわかる。すなわち、たとえば 一見して、これは丁度ひとまわり分について合計するこ
とによって加算を完結し切っておらず、有用な情報が捨
てられているかの如く見える。しかしながら、各極に関
係する時刻は皆使用されている。基準ロータではある一
つの極についての時刻は(一時的に)そのロータ上の残
りの極に対する基準としての他に、入力ロータ上のすべ
ての極についての基準として採られている。欠除極につ
いての「欠けた」時刻を算入するには二つの極の「二重
使用」を伴う。更に、ここに与えた規則には式(5)か
ら見ることができる望ましい性質がある。すなわち、Δ
θ項の計数は、Q+1あるいはQ−1ではなく丁度Qで
ある。何故これが有用であるかは説明が進むにつれて明
らかにされる。
最後に(式(1)の)P#,Q#の項は各ロータの絶対
基準極が通過してから、加算が始まった時刻までに、各
ロータ上の極が幾つ通過したかに注目することにより決
る。絶対基準極は便宜的に普通の極または欠除極でよ
い。たとえば、P1,Q1が夫々基準ロータおよび入力ロー
タについての絶対基準極であるとすれば、P#はP1が開
始極のとき0であり、P2が開始極のとき1であり、P3
開始極のとき2であり、以下同様となる。同様にして、
P#はQ1がP側、つまり基準側の開始からの最初のQ極
であるとき0であり、Q2が最初の極のとき1であり、Q3
が最初のとき2であり、以下同様となる。任意の特定の
測定に対するP#とQ#との値は記憶装置に記憶された
遷移と時刻とのデータを検査することによりマイクロプ
ロセッサ61で容易に決定される。
次に第4図に戻ると、第4図に示すものから始まる一
連の可能な場合を解析することにより、式(1)が所要
の結果を生ずることがわかる。
第4図はP個の極を有する基準ロータ5とQ個の極を
有する入力ロータ6を概要図で示している。二つのロー
タは回転のため共通の軸に取付けられている。基準ロー
タ5のP個の極はP1,P2,P3,....PPであり、時間Rに1
回転の速度の一定の角速度で基準センサを通過して回転
するとき、時間間隔l,m,n,....zを生ずる角変位で区分
されている。入力ロータ6のQ個の極はQ1,Q2,Q3...QQ
である。これについての時間間隔はa,b,c,....kであ
る。
第4図は幾分簡略化されてはいるもの、入力角が0度
の場合を表わすものとしてよい。これは入力ステータ3
上の入力センサ10の位置について見れば入力ステータ3
が0度のとき基準ステータ2の丁度上にあり、またこの
ような条件下でP1とQ1とが夫々関連するセンサを同時に
通過する(すなわち、TP1=TQ1)ということである。こ
の様に仮定してもよいということは以下の説明が進むう
ちにわかることなのだが、簡単に言えば、次の様にな
る。すなわちこれらの仮定が成立しないとしても、結局
は個々の答に或る一定のオフセットがかかってくるだけ
なのである。しかし、わかるとおり、とにかく、答には
或る一定のオフセットがある。オフセットが具体的に何
であるかは問題ではなく、オフセットを二つの部分に分
けなくてもよいことで説明が簡単になる。実際には、セ
ンサが0度で互いに他の直上にあるか否かということ、
あるいは「0度」でTP1がTQ1に等しいか否かということ
に注意を払う必要はない。
しかしながら、これらの仮定をして、TP1のわずか先
の起った測定の要求に続いて得られる式(6b)および式
(7)に示す差異を考える。
これらの式に戻る前に、式(6b)の導出法を説明して
おくのが順序である。まず始めに、式(6b)が正しい等
式であることは明らかである。先行する何物からこの式
が導かれたかについては言及しない。(式(6b)が等式
であることを示すには左辺に式(3)及び式(3)′を
適用すれば良い)。式(6b)が等式であることを証明で
きるが、それでもなお式(6b)の左辺の各項が何処から
来たかを尋ねるのが公正である。その答はそれが考察に
便利で都合がよいということであり、それ以外の何物で
もない。それは経験により得られたものであり、本発明
の位相測定技法に質問を投げかける便利な場所として役
立つ。或る意味で、単に次のような質問をしていること
になる:「この差〔すなわち、式(6b)の左辺の各項〕
を作ったと仮定せよ。それでどうなるか」。答として
は、一つには得られた式は再構成することによりθに関
する式を作ることができるということであり、最後にこ
の差は式(1)に現れる量に計数Qが掛ったものであ
る。すなわち、 式(6a)の右辺の括弧内の量は入力ロータ6の極の生
起の平均時刻から基準ロータ5の極の生起の平均時刻を
減じたとき得られる時刻の差と考えてよい。後程、この
ような生起とその差との平均時刻について大いに言及し
なければならなくなるだろう。しかし、暫くは、式(6
b)を調べると何が得られるかについて再度議論しなけ
ればならない。
(7) =ψ よく考えてみると、極が等間隔であるという束縛がな
いから、ψは(回転時間Rが一定と仮定して)ロータに
よって決る或る定数になっていることがわかるであろ
う。ψの値は大きく見積って一方の端が−QR、他が+QR
の間の範囲にあるが、具体的な値を予見することはでき
ない。一般に、信号対AX,AY,BXおよびBYの位相測定をす
れば各々にそれ自身別個のψの値がある。それにも拘わ
らず、ψは有用であり、これについて再び言及する機会
があるだろう。なお、第4図に示した例ではP#,Q#は
ともにゼロであることに注意されたい。
今度は第5図を参照すると、第4図に比較して更新さ
れているのは、入力ステータ3を正の小さな角度Δθだ
け回転させたという点である。第4図について説明した
ように、加算をTP1から始める。角度Δθは十分小さい
と仮定するので、TQ1は入力ステータ3についてのT0
に検出される最初の遷移である。すなわち最初の遷移は
TQQではなくまたTQQに先立って起る遷移のいずれでもな
い。
測定した和の間で式(6b)と同じ差を作るものとしよ
う。すなわち、 (10) =QΔθ+ψ 故に、 項2πψ/QRはψに関する他の定数であることに注意の
こと。したがって次のように書く。
この記法を用いて(12)式を書き直せば、 第5図の例に関してはP#とQ#とは夫々やはり0に
等しいことに注意されたい。
さて続いて第6図に示した状態を考える。ここでP#
は1に等しくQ#は0のままである。ここでの問題は
「この条件下でθに関する公式は如何?」ということで
ある。
ロータをこのような状態にするためには極P2、QQおよ
びQQ-1を配置し直すと共に、明瞭に細分できるようにθ
を大きくしなければならない。このように変更しても証
明の妥当性あるいは厳密さには一切影響しない。という
のも、P#を0から1にするためには何かを変えなけれ
ばならないからである。このような自由な変形は実際の
変換器のばあいに問題を生じない。というのはその極が
固定されていて動き回らないからである。そして最後
に、(そして第4図ないし第9C図のすべてに関して)ロ
ータをセンサの前を横切って実際に回転させるのではな
く、対応する分だけセンサを静止しているロータのまわ
りに位相をずらして示してある。これは一般に描きやす
いばかりでなく、「前後の」重ね合わせを楽にすると共
に、一般に図をたどるのが簡単且つ容易になる。
さて、本題に帰って、第6図に示されている特定の場
合について測定した和についての前と同様の差について
考える。
第6図に示すΔφ=Δθ−lを代入すると、 ところが、l+m+n+....+zは1回の回転時間Rに
等しいから、 式(15)の辺片と式(20)から下式が得られる。
すなわち、 式(22)と式(14)とを比較すると同じでないことが
わかる。式(22)は括弧内に1/Pを含んでいるがこれは
式(14)には無いものである。この二組の状況の差は
(14)ではP#が0に等しく式(22)では1に等しいこ
とである。下に追加検討する二つの特定な場合から得ら
れる式についてP#,Q#および差の関係が強く暗示され
る。最後の一般化した例題からこの関係が確認され、式
(1)が得られる。
次に第7図に示す状況を考える。P#は0のままでQ
#が1に等しい状態を作り出すためθを非常に大きな正
の値(またはわずかに負)とした。以前の説明と同じ差
から式の導出を始める。
ところが、第7図においてΔ+Δφ=a及びΔ=
R−Δθが成立するから、R−Δθ+Δφ=aすなわち
Δφ=Δθ+a−Rが得られる。これを式(23)に代入
することにより下式を得る。
ところが式(19)の上に示したようにa+b+c+…
+kはロータが丁度1回転する時間Rであることを用い
て上式を変形すれば、 (28) =QΔθ+R(1−Q)+ψ 式(23)の左辺と式(28)をΔθについて解けば、 すなわち、 式(30)の括弧内の右側の項は になる。+1は、括弧の外の2πを乗ずると、答を2π
ラジアン、すなわち丁度1回転だけ増す効果がある。θ
とθ+2πとは等価な答であるから、 を単に−1/Qで置き換えてよい。よって下式を得る。
前と同様、式(31)は式(14)または式(22)と同じ
ではない。
今度はP#とQ#とが共に0でない場合を考える。こ
れらが夫々1に等しいときどうなるかを考えよう。この
ような状況を第8図に示してある。前のように進める。
式(33)は第8図に示すΔφを代入する。
故に次式を得る。
今度は式(14),(22),(31)および(36)を比較
する。式(14)の括弧内に(+0−0)/Rが入っている
と考えると、次の各項目及びその関連のP#およびQ#
の値を挙げることができる。
(14)から +0−0 P#=0 Q#=0 (22)から +1/P−0 P#=1 Q#=0 (31)から +0−1/Q P#=0 Q#=1 (36)から +1/P−1/Q P#=1 Q#=1 これらの結果から一般に(1)式が成立することが予
測される。この予測が正しいことは以下のようにして確
かめられる。
第10図にはこれまで説明してきた基準ロータや入力ロ
ータの例として、回転している4極のロータが示されて
いる。このロータについてのパラメータは以下の通りで
ある: 1番目〜4番目の極によるセンサ信号発生時刻:T1
T2、T3、T4 1回転に要する時間:R 1番目の極から2番目の極への回転時間(T2−T1):a 2番目の極から3番目の極への回転時間(T3−T2):b 3番目の極から4番目の極への回転時間(T4−T3):c 4番目の極から1番目の極への回転時間((T1+R)−
T4):d (ここで4番目の極から1番目の極へ移るときには1番
目の極は2回り目なのでそのセンサ信号発生時刻は1回
り目の時刻T1にRが加算されることに注意) ここでa、b、c、dは互いに等しくてもよいしある
いは夫々異なる値を取ってもよい。
ここでα番目の極(αは1〜4のいずれか)から始め
て順番にセンサ信号発生時刻を1周分合計して4で割っ
た値Aiを求める。これはi番目の極から始めた場合のセ
ンサ信号発生時刻の平均を求めることを意味する。
A1=(T1+T2+T3+T4)/4 A2=(T2+T3+T4+(T1+R))/4=A1+R/4 以下同様にして、一般に Aα=A1+(α−1)R/4 が成立する。
上の結果は極の数がP、Q等の任意の値を取る場合に
も直ちに一般化できる。すなわち、 ・極数=P、α=P#+1の場合(以前に説明してある
ように、先頭の極から測定を開始した場合にはP#は1
ではなく0であることに注意されたい) AP#+1=A1+R×P#/P ここで、式をA1について解いた上で、Aiを加算の記
号を使って表現すれば、 を得る。ただし、加算の範囲の上限のP#が0である場
合には代りにPを上限とする。なお、式の左辺は
(3)式をPで割ったものと同じである。言い換えれば
(3)式を別の形態で表現したものであることは明らか
であろう。
・極数=Q、α=Q#の場合 同様に以下の式を得る。
を得る。ただし、式と同様、加算の範囲の上限のQ#
が0である場合には代りにQを上限とする。
ここで第5図を用いて得られた、P#=Q#=0の場
合の式(14) について検討する。(14)式の中かっこ内の分数の分子
の第1項 における加算は、そのインデックスとして時刻(もっと
正確に言えば時刻T1、T2・・・の添え字をインデクスと
している)を用いている式等とは異なり、時間間隔
a、b、c・・・をインデックスとしている。そこでこ
れを式等と同じ表記とすると以下の式を得る。
式に式を代入して式と等しいと置くことによ
り、下式を得る。
すなわち、 式の右辺の第1項は、入力センサの位置が第5図に示
す状態である場合に、加算を開始する極をQ#個だけ右
回りにずらした場合の加算結果を示す。
式および式を(14)式の中かっこ内の分数の分子
の第1項および第2項に夫々代入することによって下式
を得る。
上式の右辺は(1)式の右辺そのものである。従っ
て、(1)式が一般に成立することがわかる。
なお、(1)式が一般に成立することは、第6図ない
し第8図と同様な図である第9A図ないし第9C図を用いて
も証明することができる。この証明はきわめて煩雑であ
るが、参考までに以下に示す。
P#およびQ#の値が、夫々PおよびQより小さい任
意の0でない値としよう。この状態を小さな正の入力角
φに関して第9A図に示してある。入力ステータ上のセン
サはロータの回転方向に基準ステータ上のセンサから角
φだけ進ませて示されているから角φだけは正である。
正(1)は等価単極(single equivalent pole)の生起
の平均時刻の概念に照らして理解することができる。入
力ステータをロータの回転方向に動かすと入力ロータの
等価単極に時間遅れが生じ、基準ロータの等価単極で時
刻を減ずると、ロータの回転時間Rの間で、正で且つ入
力角に比例して時間差が増大する。便宜のため、φ=0
のときTP1とTQ1とは一致しているとも仮定する。すなわ
ち、P1とQ1とは回転子上に垂直に配列されている。こう
すると説明をどおり易くなるが、証明の終りに、式
(1)にはこのような仮定が必要ないことがわかるであ
ろう。
いろいろな項目をその添字に基づいて演算ができるよ
うに記述する必要があるが、第9A図ないし第9C図に使用
した記号は第4図ないし第8図に使用したものとはいく
らか違っている。Q個の極を有する入力ロータ6につい
ての時間間隔a,b,c,....kはここにおいてはy1ないしyQ
の名が付いている。同様に、P個の極を有する基準ロー
タについての時間間隔l,m,n,.....zはx1ないしxPの名が
ついている。
P#の値をJ,Q#の値をKとしよう。JとKは夫々xi
およびyiについての一つの添字の中の該当する値として
使用される。またJ,KはΔφに関する二重添字としても
使用される。項ΔφJ,Kは与えられたJおよびKの値に
関して得られるΔφを示す。或る入力φに対する個々の
和の一般化した形を式(37)と(38)とに示す。式(3
9)において前と同じ差ができる。
(その起源に関する式(6b)の前に述べた注意は式(3
9)にも適用される。式(6b)と式(39)とは記号の違
いを除けば同じものである。) さて式(39)に行なうことができるΔφJ,Kの置換を
考える。間もなく明らかになる理由により、ΔφJ,K
Δφ0,0の項に置換することに関心がある。
第9A図を調べることにより、且つ第6図が示唆するわ
ずかな重ね合わせの助けを借りて、次の置換を得ること
ができる。
(40) ΔφJ−1,K=ΔφJ,K+xJ このような置換を物理的に解釈すれば、TQiの合計に
ついては、入力ロータ6上の同じ一連の極Qiが使用され
るが、加算の開始のため基準ロータ5からの局所基準
(local reference)はこの置換によりそのロータ上で
1極分だけ時間的に手前へずらされたということであ
る。これは基準ステータ上のセンサの再位置決めに対応
させてもよいが、実際の変換器で期待できるものではな
い。一層有用な解釈はロータとセンサとの物理的関係は
変えずにおいて、一方、時刻および状態遷移の表の中の
データを加算する仕方を調節することである。すなわ
ち、ΣTPiとΣTQiは時間的により少ししか重ならないと
いうことである。
いずれにしても式(40)の特定の置換は、Kが既に0
でJが1でないかぎり、十分なものであるとは言えな
い。式(41a)〜(41b)は基準ロータ5上で極をもつと
スキップした場合にこの置換がどうなるかを示してい
る。
(41a) ΔφJ−2,K=ΔφJ−1,K+xJ-1 この右辺に式(40)を代入して、 (41b) ΔφJ−2,K=ΔφJ,K+xJ+xJ-1 かくて、Jを0にまで減らした場合の一般的置換は明
らかに次のようになる。
(42a) Δφ0,K=ΔφJ−1,K =ΔφJ,K+x+xJ-1+…+x1 すなわち、 (42b) ΔφJ,K=Δφ0,K−xJ−xJ-1−…−x1 次にKを0に減らすにはどんな置換が利用できるかを
考える。第9B図を参照するに、Jに対して与えられた値
によりTQiの加算を開始すべき回転における時刻を決定
するが、どの極QiをTQJの生起に続く「最初」の極と認
めるべきかはKの値による。普通「最初」は「時間的に
次」を意味し、Jは周囲条件に依存するKの値を強制的
に定める。置換を進めるため、その規則を保留し、Kの
値を0に固定し、同じJに対してことなるΔφを与える
ことによってプロセスを逆にする。
式(42b)と同様に、ΔφJ,KとΔφJ,0との関係を探
す。或るTPJ後の次のTQiでΣTQiを開始すると言う規則
を述べたが、この下では量ΔφJ,0は多少抽象的になる
様に思われる。この規則によれば、任意の入力角度に対
してJが実行的にKを決定できるようになり、Kは与え
られたJに対してときどき0になることがあるが、普通
の場合はそうはならない。ここでの直接の質問は「任意
のJについてKを0にさせることは何を意味するか?」
である。この質問は答えやすく、少なくとも所要の置換
を進める目的については、加算について述べられた規則
が過度に限定的であることを理解すれば、ΔφJ,0の抽
象性がかなり除かれる。(これはこの規則が実際問題と
して厳しすぎるということではない。この規則の効果
は、ΣTQiとΣTPiとをロータのできる限り同一の回転か
ら発生させることである。このことはモーターの速度変
化により発生する悪影響を最小にするから望ましいこと
である。) ΔφJ,0への第1歩として、もっと自由な加算規則の
例として、更に実際、有用であるということからも、先
ずΔφJ,0の概念の検討から始める。このことはおそら
くわかりやすく、またΔφJ,0を理解する上で有用であ
ろう。ΔφJ,KがJPJ+1とJQK+1(J,Kはスキップされた極
の数である、ということを思い出されたい)との間の普
通の時間間隔であるとすれば、TQKはTPJ+1に先行するが
TQK+1はTPJ+1には先行しない場合、ΔφJ,0は (43) ΔφJ,0=ΔφJ,K+yK+1+....+yQ となる。
この物理的解釈は簡単であって、TQK+1からTQQまでを
「次」としては見ないで、その代りTQ1をじっと待つと
いうことである。KをQの値まで上げることはさてお
き、この唯一の効果はΣTPiとΣTQi両開始時点の間隔を
増加することである。しかし、量ΔφJ,QはなおTPJ+1
始まり、TQQはなおTPJ+1のあとで起る。これはΔφJ,0
の場合とは異なる。この極のスキップにより、Q#を値
Qにまで上げることを目指しているのである。これは、
極がQ個しかないので、普通は決してひとりでに起らな
いことである。つまり、Q#は普通は高々Q−1までの
値しかとらない。それにもかかわらず、Q#がQになれ
ば(これはΔφJ,Qを発生することになる)、何が起る
かを熟慮することができるし、このようなΔφJ,QとΔ
φJ,0の探索との関係を検討することができる。
ΔφJ,0を図示する上で困難が起りそうである。とい
うのは、古い規則のもとでは、ΔφJ,0なる量は「開始
する前に終っている」測定を考えることを要求している
ように思われるからである。しかしここで考察中のΔφ
J,K型の量は単に始まりと終りを有する時間間隔を表わ
すだけである。古い規則のもとでは、添字Jははじまり
を定義し、常に時間的に後になる添字Jが常に間隔の終
りを定義する様になっている。ΔφJ,0の概念はなおは
じまりと終りとを有する時間間隔であるが、今だけはK
側の添字(すなわち2番目の添字)が始まりを定義し、
J側のが終りを定義する。時間間隔の大きさの絶対値を
問題にする限りでは、こうしても二つのうちの早い方を
「開始」,後の方を「停止」としても何らかの差異も生
じない。ロータはやはり同じ方向に回転しており、時間
間隔の正の増分がやはり測定されることになる(しかし
ながら、将来の符号変化に関して、「基準のゼロ点」を
心に留めておかなければならない)。同様に、測定の過
程で幾つかの極をスキップしたとしても何らの害もな
い。
次の仮設的状況がΔφJ,0を理解する上で役に立つ。
第3A図ないし第3C図に関連して記した様に、入力ロータ
6と入力ステータ3のセンサとの関係の最近の履歴を保
存しておく或る手段があるとする。TPJ+1が起ると、何
時極Q1が入力ステータセンサを通過したかを見つけるた
めに履歴をチェックし、これを時間間隔の開始時刻とし
て使用する。TPJ+1が起った時刻は時間間隔を終らせる
が、また加算のために仮定したゼロ点でもあるととも
に、実際の角度情報を運ぶΔφ型の時間間隔のための仮
想ゼロ点でもある。したがってΔφJ,Kを正と考えると
すれば、ΔφJ,0は負の値である。これらは互いにTPJ+1
の反対側にある。簡単な減算から間隔ΔφJ,0の値が見
つかる。実際にこれを行なわないが、このようなΔφ
J,0を負にしたものにΔφJ,Kを加えて組合わせるとこの
ような最近の履歴に頼らずにすぐれて測定可能な他の何
物かに等しくなる。すなわち、 (44a) −ΔφJ,0+ΔφJ,K=y1+y2+..+yK ΔφJ,0を理解する上で他の助けがある。考察中のも
ののような回転系は本質的に法(modulo)の性質を有す
る。或る意味では、Qの値と0の値を有するKの間には
意味のある差異はほとんど無い。それはすなわち以下の
様に説明される:Q番目の極がセンサに達すると、それを
Qと数えるか0と数えるかを決定しなければならない。
もしQを選ぶとすれば、TQQが間隔に対する「停止」信
号となり、先のTPJが「開始」信号となる。もし0の方
を選べば、それは「開始」信号となり次のTPJ+1(すな
わち、TPJ+1の2番目の生起)が「開始」となる。しか
しいずれの場合でも円周上の同じ二つの点AとBとを考
えているのである。ただ一方の場合にはAからBへ測定
しており、他の場合にはBからAへ測定しているか、あ
るいは同じことであるが、AからBではあるが逆回り方
向に測定している。丁度、同じ方向のこれら二つの測定
値の和は丁度一周分になるから、 (44b) −(ΔφJ,0)+ΔφJ,Q=R 式(43)および(44b)を出発点にとれば、式(44a)
は式(43)から式(44b)を差引くことによって得られ
ることに注意されたい。
式(44a)について移項を行なうことにより、ΔφJ,K
をΔφJ,0で表現した所望の結果を得ることができる。
すなわち、 (45) ΔφJ,K=yK+yK-1+....+y1+ΔφJ,0 式(44a)から生ずる−ΔφJ,0を物理的に解釈すれ
ば、Y1からYKまでの和を作るためには、実際に測定した
時間間隔ΔφJ,Kにその値−ΔφJ,0を加えなければなら
ないということである。TQiについての新しい和が、基
準センサがXJ,XJ-1、などだけ後ろ向きにJが0になる
までスリップすることにより測定されるという様な同じ
意味での直接の測定を行なうことはできないが、たしか
にΔφJ,0を熟慮することができる。そこでΔφ0,KとΔ
φJ,0との両者について考える(もっともどちらも実際
には測定しないが)。
この点で、式(42b)を式(39)に代入し、第6図に
関する式(16)ないし式(22)についてのやり方にした
がって、この代入の結果を変形していくことができる。
これからΔφJ,KとΔφ0,Kとに関する方程式が作られ、
これに式(45)を代入することができる。更に式の変形
を続けるとΔφJ,KとΔφ0,0とに関する方程式が作られ
る。これが実際、直接の目的である。同様な仕方で代入
の順序を逆にすることができる。すなわち、まず最初に
Kを0にし、次にJを0にする。これは単に上に示した
手順を実際に行なうことによって証明できる。更には簡
潔さとおそらくは一層エレガントな証明を望むために、
二つの代入を組合わせてもよい。こうすれば計数の量が
ほとんど半分になる。これが今から進めようとしている
方法なのである。
さて、ここで第9C図を参照すると、Δφ0,0と名付け
られた時間間隔は単に先行して起るTP1とその後のTQ1
の間の時間差に等しい。一旦結合軸上の各ロータの向き
が与えられると、Δφ0,0は厳密に入力角度の関数であ
ることに注意されたい。またΔφ0,0はP#とQ#とが
共に0のとき丁度入力角度から期待されるものである。
視察により次のように書ける。
(46a) Δφ0,0−ΔφJ,0+ΔφJ,K=Δφ0,K 今度は式(46a)に式(46b)と(46c)とを代入す
る。
(46b) Δφ0,K=ΔφJ,K+xJ+xJ-1+...+x1 (式(42a)から) (46b) −ΔφJ,0=y1+y2+....+yK−ΔφJ,K (式(44a)から) ΔφJ,Kについて解いて簡単にすると結果は (47) ΔφJ,K=y1+y2+...+yK−x1 −x2−.....−xJ+Δφ0,0 式(47)はまた、下記の状況を表わす第9C図と同様な
図(図示せず)を視察することによっても得られる。す
なわち、基準センサと入力センサとの間の角度変位は基
準センサが加算が始まったときの極P1と丁度反対になる
まで基準センサと入力センサとをロータの回転軸の周り
に一体として回転させた場合でも一定に保たれる。TP1
が起ってからTQ1が起るまで極Q1が回転する角度はφ0,0
である。
式(47)はすべてを1つに複合した「殺し屋」的置換
である。この式はP#,Q#のあらゆる値についてのΔφ
J,KをΔφ0,0に関係付ける。今式(39)の中のΔφJ,K
に式(47)を代入しよう。
第6図ないし第8図に関連する式について行なったと
同様y項とx項とから「Rを減算」しよう。Rはx1から
xPまでの(x1およびxPを含む)すべての時間間隔の合計
に等しく、またy1からyQまでの(y1およびyQを含む)す
べての時間間隔の合計にも等しいことを想起しよう。式
(48b)中のy項を考える。すべてのyiが存在し且つ最
小の計数がKであることに注意する。明らかに、K個の
Rをy項から引き去ることにより、見慣れた形の和を残
すことができる。同様に、x項は最小計数としてJを有
するすべてのxiを含んでいる。よって、J個のRをこれ
らの項から引き去ることによって、もう1つの見慣れた
形の合計を残すことができる。下の表IとIIとは夫々KR
とJRとの減算を表の形で示したものである。
それ故明らかに J=P#およびK=Q#であることを想起し、φ0,0
ついて解くと、 式(48e)の右辺の左側の括弧の中の項は、記号の種類
の相違だけを無視すれば、丁度式(1)の括弧の中の項
である。2πと式(48e)の右側の括弧の中の項との積
は式(1)の定数Ψを定義する。
上記の式(48e)の右辺の右側の積が実際に式(1)
のΨの値になるということをここで示す。式(13)に式
(7)を代入すると、 ところが、 および それ故、式(49a)の記号に式(49b)ないし式(49c)
の記号を代入して良い。これを行なって整理すれば下式
を得る。
式(49d)は式(48e)の右辺の右側部分が実際に正し
く式(1)と同等であることを示している。
以上で示した様に、我々は式(1)を導き、また式
(1)で得られる角θの性質をその過程で明らかにし
た。更にΨを正確に定義した。角θはφ0,0であること
を示したが、これは簡単に言えば、関連するP#とQ#
とが0でない限り加算を決して始めない場合に得られる
角度である。勿論、その場合にはP#およびQ#(Jお
よびK)に任意の値を与えることができることに比べて
ばもっと厳しい規則が必要であろう。式(1)と式(48
e)のとの利点はこのような厳しい規則が必要ないとい
うことである。Ψの定義は本質的には0に等しいφ0,0
が入力角度であるとき得られる残留オフセットである。
Ψを求める再に必要な和はP#=0の場合にΣTPiおよ
び正確にQ#=0(すなわち、Δθが残らない)の場合
のΣTQiである。0度入力でΔθが0に等しいと言うこ
とは言い換えればTP1がTQ1と一致しているということで
ある。しかし、式(1)も式(48e)も「0度」入力に
際してTP1がTQ1に一致することを要求していない。とい
うのはΨは使用者が「0度」であることを望んでいる入
力値でTP1とTQ1との間にどんな任意の状態が得られても
正確に基準を提供することができるからである。これに
は入力ステータの「0」位置を任意に定義することばか
りでなく軸上で接続されたロータ間の相互の位置関係を
任意に設定することも含まれている。このようなTP1とT
Q1との一致は証明の初めに行なった簡略化のための仮定
の一つであったことを想起されたい。今やこの特別な仮
定は不必要であることを示すことができる。何故これが
そうなるかを見るため、ステータの「0」装置またはP1
のQ1に対する向きには無関係に、TP1とTQ1とが一致する
機械的入力値が一つ存在することを観察する。それが便
利ならこの様な入力条件を0度とみなすか、あるいはそ
れを0度とすべきではない場合には或る任意の値αとみ
なす。後者を選択したとしてもその唯一の影響は測定し
た結果にαのオフセットが入って来ることだけである。
オフセットαの量は、機械的入力が変化するときTP1とT
Q1とが同時に生起する点を監視することによって確かに
見つけ出すことを可能であるが、厳密にわかる必要はな
い。このようなTP1とTQ1との同時性を生ずる機械的入力
角と角度がゼロであるとしたい機械的入力角との差がα
である。αを直接見つけ出すことを避けるため機械的入
力を「0」、「10」等といった任意の基準値θrefに設
定することが時々ある。それで測定によりθrefの基本
値を見つけるために−Ψの項を含まない修正した式
(1)を使用する。しかしその値は以下の様に表わされ
る。
(50) θref=α−Ψideal 勿論、αとΨidealの実際の値は未知であり、その差
θrefだけが(測定と修正された式(1)とにより)既
知である。
次にθrefのその元の値から値の量γだけ機械的入力
角を増してθnewにした結果を考える。ここで行ないた
いことはγを見出すことである。ただしθnewはその値
を得ることができる測定可能な量である。
(51) θnew=α+γ−Ψideal γについて解けば、 (52) γ=θnew−(α−Ψideal) 式(50)を上式の右辺に適用して下式を得る。
(53) γ=θnew−θref すなわち、γはθrefを基準として測った入力値であ
って、θrefの値は任意である。α及びΨidealの実際の
値は決して厳密にわかる必要はないということに気付か
れたい。また上述の議論から、下記の如く式(1)を式
(1)′および(1)″に書き直すことができる。
(1)′ θ=2π{▲θ n+1▼−▲θ ▼} ここで、 式(1)′のθは式(48e)に関連して説明したよう
に必ずしもφ0,0に等しい必要はなく、φ0,0とは或る定
数だけ異なっても良い。この両者が等しいか否かは「0
度」を表わすために選んだ条件に依って決る。その条件
が「0度」においてTQ1とTP1とが一致するということで
あればθは実際にφ0,0に等しくなる。これは式(49)
のΨの定義からおよび式(1)または(1)″の「0
度」条件の効果から起る。式(1)の場合、括弧内の項
はそのときΨの値を有し、Ψ−Ψは0である。式
(1)″の場合、「0度」でθ′として得られる値は
これまたΨであり、それで式(1)′はΨが既知である
式(1)と全く同じ働きをする。しかし、「θが0度に
等しい」ということがTP1がTQ1に一致する条件でなけれ
ば、θはφ0,0に両「ゼロ条件」の差の値である、定数
オフセットを加算あるいは減算したものになる。しか
し、いずれにしても、θの変化分はφ0,0の変化分に等
しい。
当該分野に精通している者であれば、上に説明した性
質を利用する幾つかの方法が可能であることがわかるだ
ろう。その方法は、一旦実際にαとΨidealとを見出す
(所与の固定された構成についてただ一度だけ見出す、
あるいは電源投入時のような、要求のあったときにそれ
らを見出すことから電源投入時に初めにθrefだけを見
出して各角度を新しいθrefからの異なるθnewへの変位
として測定することまでに亘っている。これらは与えら
れた用途にとって最も意味のあるものを選ぶという基準
によって決定すべき設計上の問題である。
Ψが見付かり使用されるか否か、0度とみなされる条
件、極がロータ上にどの様に配置されているかなどによ
って、式(1)あるいは式(1)″でさえもが時により
負の答を出す可能性がある。このような負の答が得られ
ても、その負の値に単に正の一周分の角を加えることに
より容易に正の値を得ることができるから、何ら問題に
はならない。
今度は式(1)に戻り、先の証明のはじめに行なった
もう一つの簡略化のための仮定を再び検討することにし
よう。第4図ないし第8図を参照して、式(2)と
(3)とにおいては、「時刻が0に等しい」時点から開
始すると仮定したことを想起されたい。このことは、第
9A図ないし第9c図にあてはめて考えれば、TP1が0に等
しいと仮定することと同じである。今度は、TP1は0で
ないとして、どの様な結果が得られるかを検討すること
にしよう。TP1を或る0でない値βとし、これが式(48
e)に及ぼす影響を考える。その結論は式(1)に適用
できる。なんとなれば、これらの式は等価だからであ
る。
これまでの説明はすべて時間間隔(a,b,c,.....およ
びl,m,n,....あるいはy1,y2,y3,....およびx1,x2,
x3,....)を使って表現してきた。式(2)と(3)と
は、これらの時間間隔の終結時刻を合計すること(式
(1)でのように)と時間間隔を合計すること(こちら
の方が説明上好都合である)との関係を示している。β
は時間間隔のいずれかに対する増分ではなく(つまり、
これらの時間間隔の値は不変のままである)、TQ1の合
計についてであろうとTPiの合計についてであろうと、
各時間間隔の終結時刻の測定値の共通の増分であるとい
うことを記録しておくことは重要である。式(1)で行
ったように、TQiについてQ個のこのような項の合計が
とられ、TPiについては、P個の項の合計がとられる。
Q個のTQiは夫々βだけ増加するから、その合計はQβ
だけ増加する。同様に、TPiの合計はPβだけ増加す
る。いろいろなTPiがどんな順序になっているかは問題
ではないし、またいろいろなTQiがどんな順序で加算さ
れるかも問題ではない。すなわち、合計が或るΔφのた
めに式(48e)の右辺の左側の括弧内にあろうと、Ψと
して右側の括弧内にあろうと、ΣTQiはおのおのQβだ
け増加し、ΣTPiは各々Pβだけ増加する。各組の括弧
内では であるから、β≠0は自己相殺の条件であることは明ら
かである。
最後に、式(2)と(3)とを考慮して且つ簡略化の
ための仮定に関する先の注意に照らして、式(1)の意
味を強調したい。式(1)が導入されたとき、そしてそ
れがここで繰返されるとき、式(1)はP個の連続する
遷移時刻とQ個の遷移時刻との和を必要とするというこ
とを指摘した。何段にもわたって、時間間隔を中心に据
えての説明を行なって来たので、不用意な読者はことに
よったら答を出すためには一連の多数回の減算を行なっ
て各時間間隔を実際に見つけ出す必要があるという誤っ
た印象を受けるかもしれない。しかし、実際はそうでは
ない。説明や証明に時間間隔を用いるのは便利である。
というのも時間間隔はロータ上の極の配置に対応するか
らである。しかし、先に指摘した通り、式(2)および
式(3)は時間間隔を式(1)に必要な合計に関係付け
る。これらの合計は単に連続するQ個のTQiを加算し、
更に単に連続するP個のTPiを加算することによって正
確に得られる。これらの合計を作るのに減算は必要がな
い。加えられるTPiの第1番目は0である必要がなく、
またTpiとTQiとが一致しなければならないこともない。
測定が行なわれる際には、かくして作り上げられた合計
に対して、小数回の減算および乗算のような他の演算を
行なうだけでよいのである。
ここで式(48e)の解釈を与える。この解釈を行うた
め式(48d)から出発する。この式で、時間Δφ0,0は4
つの他の時刻および2つの補正項(JR/PおよびKR/Q、す
なわちP#/PとQ#/Q)についての差に等しいとされ
た。この式から出発するのが好ましい理由は先ず、単位
の大部分は元々の測定の単位である時刻だからであり、
更にはすべての項は、算術的手間を減らすが量の間の構
造的関係を不明瞭にしあるいは吸収する「簡略化のため
の」再構成をされることなく厳密に提示されているから
でもある。式(48d)は下に示す式(55)の様に書きな
おすことができる。
式(55)において、先ず(A)項は、入力角を反映し
たQ極の第2の平均時刻であり、J個およびK個の極を
スキップした後から平均をとり始めたものである。
(B)項はK個の極をスキップしたことにより平均時刻
にもたらされた変化を補正するものである。(C)項は
P極の第2の平均時刻であり、角度はゼロで、J個の極
をスキップした後から平均をとり始めたものである。
(D)項はJ項の極をスキップしたことにより平均時刻
にもたらされた変化を補正するものである。(E)項は
角度がゼロの場合のQ極の第1の平均時刻であり、この
平均はP極の先頭が検出されたときに始められる。
(F)項は角度がゼロの場合のP極の第1の平均時刻で
あり、この平均はP個の先頭が検出されたときに始めら
れる。
(I)項は入力角を反映したP極の等価単極の第2の
平均時刻をQ極の先頭からのものに補正した結果であ
る。なお、J個の極をスキップすることは、本来的に
は、K個の極をスキップさせることになるということ以
外には上記量に影響を与えない。そして、ここで行なわ
れた補正の目的はこの影響を除去することである。(I
I)項は角度ゼロの場合のP極の等価単極の第2の平均
時刻をP極の先頭からのものに補正した結果である。
(III)項はP極の等価単極とQ極の等価単極との間の
差である固定的な基準値であり、真の角度ゼロの条件を
表わしている。ただし、他の箇所で述べている様に、差
をとることによりこの項が打ち消される場合には、この
項の実際の値を求める必要はない。普通はこの項の値は
求められない。
(イ)項はP極の平均時刻と入力角を反映したQ極の
新しい平均時刻との間の変更された差である。この差は
入力角のもう一方の境界を表わす初期基準差と比べられ
る。すなわちトランスデューサの現在位置から入力角を
引いたものである。初期基準差は固定的な基準値でもよ
いし、または単に以前の測定の結果(たとえば、この差
の測定の様な)でもよい。
すなわち、(A)〜(D)項の測定は同一の回転期間
中に行なわれるが、Ψ,すなわち(III)項の測定とは
多くの場合異った回転期間中に行なわれる。また、(II
I)はΨを表わしているが、もしこの測定が実際に行な
われるとしたならば、本項中(E)項および(F)項の
測定は同一の回転期間中に行なわれる。
上の説明から引出し得る結論は、左側の2つの括弧間
の差は新しい角度に関して測定された差であるというこ
とである。この差の値から差引かなければならない量
は、その角を測るときの基準点となる基準状態について
は、はじめに測定しておいた差の値である。基準状態は
Ψでもよいし、あるいは再定義可能なゼロ角度状態に対
応するある選ばれた状態において測定された差の値であ
ってもよい。Ψおよび式(1)についてのはじめに与え
た説明との他に、Ψideal、α、および式(50)から式
(53)まで、および特に式(1)′と(1)″に関連す
る説明を参照されたい。
上記の測定された差は、P極の平均時刻についてのQ
極の生起の平均時刻である。この2つの平均は本質的に
同じ1回転についてとられる。両平均時刻はその夫々の
ロータ上にある開始極についてとられている。この点か
ら見て、基準ロータとそのセンサは、入力ロータの回転
中の平均時刻のため時間間隔を測定する安定な基準点と
なる。夫々のロータの形状および入力ロータの位置に従
って、Jに与えれた値がKの値を本質的に定めてしまう
ことに注目されたい。一旦ΔφJ,KとΔφM,NがQ#=0
とした値に調節されてしまえば、ΔφJ,KとΔφM,Nとは
ある意味で比例している。つまり時間ΔφJ,0とΔφM,N
とは2つのP極JとMとの間の時間間隔だけ異なってい
る。(測定ごとにRが変動するならばどの回転かという
ことを問題にすることは正しい。このことは以下に式
(56)により説明する)。換言すれば、基準ロータは2
つの測定に対して異なる基準点を提供する。この差の正
確な量はJとMをゼロにすることにより見つかる。この
過程ではJとMと(この事に関してはKおよびNも共
に)はことなる速度であってもよい異なる回転の部分を
自由に表わせる。
もし式(55)の右側の括弧内の項(これらはΨに対応
する)を無視するなら、式(1)′と式(1)″はΨが
減算により抹消される場合を取り扱っているということ
を想起すれば、式(1)″を式(55)に照らして解釈す
ることは困難ではない。唯一の差異は式をRで除し、次
いで多少を変形を加えることにより、Δθを見出すこと
からθを見出ことに変換することである。Rで除すこと
は特に望ましい。というのはこれによりいろいろに変化
し得る回転速度を正規化(normalize)して、特定の時
間とは異なり、1回転中のある割合を表わすP#/PとQ
#/Qとが得られるからである。また、これよにより、式
(1)におけるように2πを乗ずると結果はラジアンで
表わした角度となり、もはや1回転についての割合では
なくなる。式(1)″は夫々任意の開始極に関係する2
個の等価単極間の1回転についての割合を示すと言って
もよい。こさは次に前述の原理にしたがってもある固定
開始極に関係するように調節される。減数としてのTPi
の合計は大きすぎてまだはじめの開始点までは調節し戻
されていないのて、P#/Pが加え戻される。またQ#/Q
が差引かれる、というのも減らされたTQiの和はその量
だけ大き過ぎて開始したので、まだはじめの開始点まで
は調節し戻されていないからである。
基準ロータとその合計とが「0基準」としてどのよう
に働くかに関しての一層の洞察が式(56)を検討するこ
とから得られる。
式(56)において、まず(G)項は入力角を反映した
Q極の第2の平均時刻であり、J個及びK個の極をスキ
ップした後から平均をとりはじめたものであってかつあ
る第2のT0を基準とした値である。(H)はK個の極を
スキップしたことにより平均時刻にもたらされた変化を
補正するものである。(J)項はQ極の第1の平均時刻
であり、角度はゼロの場合である。この平均はQ極の先
頭からはじめられかつある第1のT0を基準とした値であ
る。(K)項は角度ゼロの場合のP極の第2の平均時刻
である。この平均はJ個の極をスキップした後からはじ
められかつある第2のT0を基準とした値である。(L)
項はJ個の極をスキップしたことにより平均時にもたら
された変化を補正するものである。(M)項は角度ゼロ
の場合のP極の第1の平均時刻であり、P極の先頭から
はじめられ、ある第1のT0を基準とした値である。
(IV)項は入力角を反映したQ極の第2の平均時刻を
P極の先頭を基準とした値に補正したものである。これ
はこの差についてJ個のP極をスキップしたことによる
効果(こごでJ個のスキップの影響はK個のスキップを
おこさせることだけである)を打ち消す。この平均時刻
は第2のT0を基準にしたものである。(V)項は角度ゼ
ロについてのP極の第2の平均時刻である。この値はP
極の先頭を基準に補正されているが、第2のT0を基準と
している。なお(M)項と(V)項は一般に異なった値
を持つ。それは、合計毎に異なったT0を与えるために行
うタイマのリセットによるものであり、またモータスピ
ードの変動のためでもある。
(ロ)項は入力角によるQ極の平均時刻の変化を示す
が、また2つのT0間のオフセットも含んでいる。(ハ)
項は第1,第2のT0間のオフセットである。入力角に基づ
く変化はない。というのは基準ステータは動かないから
である。
かくして式(56)は厳密に入力角のみによるQ極の平
均時刻の変化を表わしている。注釈の多くは同じである
が、式(48d)の項の組分けは異なっている。すなわちT
Piに関するすべての項はまとめられて差を作っている。
前述の原理によれば、式(56)の右側の括弧内の量は各
々の合計が同じT0を基準としている場合には0になる。
すなわち、「新しいが調節された」TPiの合計は「古
い」TPiの合計に等しい。明らかに、この式ではTQiだけ
が「角度情報」を作り出しており、この情報は、基準セ
ンサが動かないとすれば、我々が期待しているものであ
る。
それでは何故TPiについて細々とした検討を行なうの
か?その答は、少なくとも部分的には、理想的な変換器
においてさえも右側の括弧の中の項の値は、少なくとも
二つの理由で、一般には0にはならないということであ
る。第1の理由は2つの合計が同じT0=0を基準として
得られたとしてもこれらはなお異なる時間に行なわれ、
したがって生起の平均時刻に0でない差を生じる(勿
論、同じことは左側の括弧内についても当てはまる)。
しかし、右側の括弧内の項の差が「たまたま」ゼロにな
ることはある、というのはどんなクロックでも任意に与
えられた時刻T0=0からの単調に増加する時間をいつま
でも計時していることはできないからである。クロック
はある時点で(クロックのレジスタが保持し得る最高値
までカウントしたこと等により)リセットされなければ
ならないから、右側の括弧内の2つの合計はクロックの
同一のT0=0を基準として得られたものではおそらくな
くなる。このように条件が変化することにより同じでな
いはずの合計同志が等しくなる場合が現れる。(同じこ
とは左側の括弧内の合計についても言える)。この様な
事態はしかしながら問題とはならない。それは、2組の
括弧が夫々任意の別々のT0の間の同じ差を含んでいるか
らであり、またその結果、(56)式を見ればわかる様
に、その「同じ差」同志の差をとることになるからであ
る。この差同志の差をつくることこそが、2つのΣTPi
を見つけ出す主な理由である。これにより2つのΣTQi
の間の差のオフセットを見出しこれを取除くことができ
る。第2の理由は、第1の理由の場合と同様な誤差キャ
ンセルを行なうためだが、別の誤差原因について考えて
いる。合計が異なってくるのは、モータ速度やクロック
レートがわずかに異なることから生ずる。これらの合計
が異なるため、左側の括弧に除去しなければならない測
定可能なオフセットが生ずるが、このオフセットは右側
の括弧内にも共通に生ずることになる。
これらのでき事(異なる時刻での測定、クロックのリ
セット、モータ速度やクロックレートの変化)のどれ一
つとして心配する必要がないことがわかる。これは式
(56)を考察すれば容易にわかる。つまり本計算の差動
的性質から、これらの影響による定常状態偏倚に起因す
るオフセットがキャンセルされるのである。勿論、位置
測定が行なわれている時間中の回転の途中でクロックを
リセットしないよう注意しても良い。
以下に、式(1)の2つの解釈を示す。ここにおいて
は、第3A図ないし第3C図の構造および測定の規則、上記
の原理、および等価単極の概念を仮定している。
上の形で表現した式(1)において、まず(M)項は
入力角とQ#個の極をスキップしたことによる、Q極が
1つ現れる平均時刻である(Q#個の極のスキップ自体
は、現在の入力角においてP#個の極をスキップするこ
とに起因する)。この時刻はQ極の等価単極が現れる時
刻である。(N)項はP#個のP極をスキップしたこと
によるP極が1つ現れる平均時刻である。この時刻はP
極の等価単極が現れる時刻である。(O)項は1回転に
要する時間である。(P)項はTP1を基準とした値であ
って、P#個のP極をスキップしたことによる等価極間
隔の減少の、1回転に対する割合である。なんとなれば
このスキップはTPiの合計平均を増加させたが、TQiの合
計には対応した変化をもたらさなかったからである。
(Q)項はTP1を基準とした値であって、Q#個の極を
スキップしたところによる等価極間隔の増加の、1回転
に対する割合である。なんとなれば、このスキップはT
Qiの合計平均を増加させたが、TPiの合計には対応した
変化をもたらさなかったからである。(R)項は等価極
間の当初の基準角における残余(residual)間隔であ
る。この値は実際に求めても求めなくとも良い。普通は
求めることはせず、θの2つの異なる測定の共通モード
成分として打消される。
(VI)項は入力角を与える以前から存在した(つまり
TP1≠TQ1)時間間隔に起因し、また入力角自体(これは
Q極の等価単極が現れるのを遅らせる)に起因し、また
極をスキップすること(つまり、TP1とTQ1を待たずに合
計を開始すること)にも起因する。
(ニ)項はロータの回転に対する割合として表わされ
た時間間隔である。
上の形で表現された式(1)において、(S)項は最
初の時間間隔、入力角およびQ#個のQ極をスキップし
たことを反映させ、更にP#個のP極をスキップしたこ
とについての補正を行なって得られた、1回転に対する
割合である。
(VII)項は最初の時間間隔と入力角のみによる、1
回転に対する割合である。つまり、仮に最初の極が現れ
たとき、TP1およびTQ1に夫々の合計をかいししていたら
測定されていたであろう値が得られる様に補正したので
ある。
(ホ)項はTP1とTQ1に夫々の合計を開始させることを
基準として、入力角のみの1回転に対する割合である。
ここでΨは式(1)の様に、値を求めて減算しても良い
し、あるいは式(1)′や式(1)″の様に、入力角の
2つの異なる値についての測定値の減算により打消して
も良い。
式(1)全体としては、TP1とTQ1間の最初の差を基準
とし、入力角を反映した2つの等価単極間のロータの回
転をラジアンで表現したものになっている。
今や式(1),式(1)′、および式(1)″は実際
に正しいことがわかった。また、各ロータの極数が互い
に等しい必要もないし、また極がロータに一様等間隔に
配置されている必要も全くないことがわかる。上の証明
により、明らかに極は任意に配置できることが明白にわ
かる。実際問題として、ロータ上の極がかなり一様に配
置されることはありそうなことであり、これはセンサの
応答を最適化して過度状態を抑制しクロストークが存在
する場合これを抑制するのに役立てるために望ましいこ
とである。このような一様性によって、ロータ上の絶対
位置を標示するのに役立ち、またP#およびQ#を常に
把握しておくための基礎として役立つ欠除極の確実な検
出ができるようにもなる。しかしながら、ロータの絶対
位置の検出は他の手段(たとえば、各歯車に永久的に取
付け、特定の極と関連付けられたインジケーターと、こ
れを検出する別個の1回転1回センサを設ける)によっ
ても達成することができる。このような手段によれば、
原理上、ロータ上の位置決めは(クロストークの無いシ
ステムでは)全く任意でよいことになる。要するに、他
にそうする良い理由が無いかぎり、極を故意にでたらめ
に配置することは特には奨めないが、本発明による位置
測定技法によれば精度が極配置の精度で制限されない移
送測定が可能である。他の因子によってはなお、とにか
く、本質的に規則正しい極配置をしなければならないか
もしれない。
装置依存の定数Ψを取扱うということだけを条件とし
て、式(1)、(1)′、および(1)″は「粗」でも
なく「精」でもないが、おそらく時間測定の精度と安定
性と同程度の高精度を有する統合された高分解能の解で
ある絶対的な答を与える。これを実現するには、タイム
ベースとゼロ交叉検出器が用いられるだろう。測定の差
動的性質のため、タイムベースはただ短期安定性が良好
であればよい。異なる時間に行なわれた測定値間の差で
長期安定性の欠如による成分は「コモンモード」効果に
よって相殺される。全体として角度変換装置の精度に影
響することのある機械的因子が存在するが、これらの幾
つかについては以降の別の章で説明することにする。し
かしこれらの因子は概ね式(1)または式(1)″の原
理に妨害を与えることによって、精度に悪い影響を与え
ることはない。
式(1)および式(1)″によって与えられる統合し
た答は、各ロータに付けられた多数の極の「平均化」、
すなわちこの多数の極により与えられる寄与のため高分
解能の答となる。この意味で、あたかも2つの単極ロー
タがあって、各センサからの信号の遷移を非常な自信を
以てつきとめることにより決定することができるように
見える。
この目的のため、極範囲とモータ速度とをわずかに変
動させれば、これらの変動が少なくとも擬似ランダム性
のものであるかぎり、分解能の増大に実際に役立つであ
ろう。周知のとおり、このような「摂動」は一定数の極
に集められる算術データの精度を増すことができる。
式(1)と式(1)″における統合された答には、極
が本質的に規則的に配置されているときでさえも、容易
に認め得る「粗」と「精」との成分は入っていない。合
計の項は答の精部を表わすように見え、一方項P#/P〜
Q#/Qは粗部を表わすように一見考えられる。このわな
に落ちる容易な道は、規則性は和に関する商の差にモジ
ュロ的性質を与えるように見れるから、規則正しく配置
した極ではどの極から合計を始めるかは問題ではないと
誤って結論することである。
しかしこのような解釈では原因の類似性は効果の類似
性に先行すると誤って結論することになる。ロータが規
則正しく配置された極を備えていればP#およびQ#を
決定する同じ事柄が或る異なる位相測定技法で測定した
結果の粗部分をも決定するということは正しい。しかし
これは「Q#付きP#」と「粗」とは同じ事柄であるこ
とを意味しない。このことが起こるのは、単に、それら
を異なるものとして示す条件が手に入らないかあるいは
正しく認められないということにすぎない。このような
解釈を正しいとするにはPをQに等しくさせなければな
らず極の間隔が規則正しくなければならないことがわか
る。
極端な場合を簡単に考察すれば、合計の項が原理上、
単に答の精部分ではなく、一方P#/P,Q#/Qも、原理
上、単に粗部分にすぎないのではないということがよく
わかるにちがいない。極端な例として、各ロータ上の極
のすべてが回転子の円周の小さな部分に集められたと想
像しよう。このような状態下で入力角度を等しく増大さ
せたときP#/PとQ#/Qは等しく変化しない。「入力
円」のわずかな部分についてP#/PやQ#/Qにかなりな
変化があるが、残りの大きな部分に関しては変化しな
い。しかるに「粗の成分」は規則正しく変化する入力に
したがって規則正しく変化しなければならない。同様な
不一致は加算の挙動と「精の成分」との間にも存在す
る。
更に、原理に照らして且つ何故割合の補正(fraction
al adjustment)をはじめから行なうかをよく考えてみ
れば、平均値は平均をとる処理が始まった場所に対して
修正されていることがわかる。しかしロータ上の何処で
加算が始まるかは回転中何時測定が行なわれるかの関数
でもあり、ただ単に入力角度により入力ステータが何処
にあるかだけではない。しかし「粗」と「精」とは確か
に入力固定子が何処にあるかだけの関数である。「何
時」ということがどうして角度を変えることができよう
か?式(1),(1)′および(1)″に関するかぎ
り、粗および精という概念は、統合された結果という考
えのためには、以上説明した様に捨て去ってしまうのが
最も良いように思われる。
しかし、式(1)は答の「精」の部分だけを生ずる下
記の他の式(57)の基礎である。式(57)で得られる答
は別の粗測定で補足することができるか、あるいは答の
精の部分が完全な1回転分になったとき粗の部分を蓄積
するという、完全に増分的なシステムの中で使用するこ
とができる。式(57)は式(57)′と(57)″の基礎で
あり、これは式(1)′,(1)″の式(1)に対する
関係と相似な関係となっている。
式(57)は次のようにして式(1)から得られる。ま
ず、式(1)にQを乗じてロータの1回転あたりQ回分
「回る」を作る。次に答の中の2πの倍数は単に整数回
の回転を計数(ラジアンで表わされる)を答の粗の部分
に付加するだけであることがわかる。これにより、得ら
れたθfineが今やモジュロ量であることを理解して、乗
算された式(1)の右辺中の要素から或る項を除くこと
ができるようになる。
その結果得られる式には次の項が入っている。
しかし(58a)は次のように簡略化される。
上の導出過程において、式(58d)中の差P#−Q#
は整数回転の計数と言う粗の答(夫々2πラジアンの量
で表わされる)だけに寄与することに注目して式(58
e)を得る。
式(57)は二つの方法で使用することができる。第1
に、増分的システム(incremental system)を構成する
簡易な方法となる。このようなシステムでは粗測定は行
なわれず、実際の最終値は精の計数が「1回転する」に
つれて「精」用の法の値(2π)だけ答を上下して調節
することによって維持される。このよなシステムでは入
力ロータすなわちQロータには絶対基準極を備える必要
はない。式(57)にはQ#が現れていないことに注意さ
れたい。また粗測定を行なわないから、この目的のため
にはそれは必要がない。したがって入力ロータ上の欠除
極は無くてよいことになる。
第2に、式(57)は「粗」の答を得るための別個の測
定を行なうシステムで、「精」の答を作る部分に使用す
ることができる。このようなシステムではやはりQ#は
必要ないが、入力ロータ上に或る種の1回転1回のマー
クは必要と思われる。このマークは欠除極の形態でも、
または別個のマークとそれに関連したセンサとの組合わ
せの形態をとってもよい。いずれにしても、入力ロータ
上の極が入力ステータのセンサを通過するのを位相粗測
定のクロック信号として使用することは有益である。こ
の理由は、ロータの角速度の変化に対する測定の不感性
を高めることである。大体において、このようなシステ
ムは式(1),(1)′、および(1)″に基づくもの
と実質的に同等であるが、余分なオーバーヘッドを有し
ている。この種のシステムは、しかし、実際に作られて
極めて良く動作している。
最後に、式(1)と(57)とのRは、測定の都度のR
の実際に生ずる値を当該測定に使用するかぎり、Rの値
が測定が変っても一定である必要はない。これは合計を
とる際使用される夫々の丁度1回転に要する時間を測定
することによって容易に保障される。つまり、i値を1
つ任意に定め、1つのTPiからその次のTPiまでの時間
(TQi間の時間でもよい)を測定すればそれがRとな
る。モータの速度変動がかなりある場合には二つを平均
してRの値を求めることが望ましい。
角度測定 次に第3A図ないし第3C図に示す角度変換装置に戻っ
て、入力角度を示す値を作る第3A図のロータとセンサと
によって作り出される信号A,B,X,およびYに位相測定技
法がどのように適用されるかを考える。
はじめに、基本位相測定技法の説明の場合の2つのセ
ンサおよび2つの信号とは違って、4個のセンサと4個
の信号とがある。にもかかわらず所望の最終結果は同じ
である。一方でBと「結合した」Aと他方でYと「結合
した」Xとの位相の差が探そうとするものである。Aと
BおよびXとYとの「結合」によって平均化がなされ、
偏心誤差だでなく或る種の他の誤差をも減らすことがで
きる。しかしなら、「平均化」という言葉はここでは平
均位相を求めることを言い、これは信号の瞬時値がアナ
ログ加算で平均されるときに得られるものとは必ずしも
同じではない。
ここで考察している偏心の種類は、入力ステータの回
転の中心がロータの回転軸22上にない場合のものであ
る。なかんずく、このような偏心によって入力センサの
各々と入力ロータとの結合度が変動する。この場合この
変動は入力角度の関数である。その結果、センサ自身か
ら生ずる信号振幅に差が現れる。この信号振幅の差があ
るため、直接アナログ平均化を行なった平均位相を有す
る信号を作り出すことが妨げられる。これを要約して言
えば以下のようになる。すなわち、信号を平均化して次
に位相を測るのではなく、最初に位相を測定し、次に平
均するという方法が必要になる。
入力センサAが1個だけあると想像しよう。先に記し
た位相測定技法が位相AXおよびAYを測定するのに使え
る。AX位相に対する角度はAY位相に対する角度はAY位相
に対す角度とは理想的には正確に半円周(πラジアンす
なわち180度)異なっている。この差を考慮に入れる
(たとえば、180度分のオフセットにしたがって補正す
る)と、これら二つの角度を平行することができる。位
相BXとBYとに対応する結果はBが唯一つの入力センサで
ある場合に得られる。しかし夫々の場合得られる平均化
した答は同じ入力角度に対応し、したがってこれらはセ
ンサXとセンサYとの間の半円周の差を考慮すれば平均
することができる。この差はAXおよびBXについての基準
XからAYおよびBYについての基準Yへのオフセットにな
る。すなわち、AXからBYまでのいろいろな位相について
の角度がはじめにその半円周分の差につて補正されると
すれば、 すなわち、平均値を平均するか、または4個のすべて
の測定値を直接平均することができる。
同様に、更に多くのセンサがある場合には、 上の形の平均化は式(1)または(1)″からの結合
した答に対して、あるいは式(57)または(57)″から
の精の角度に対して行なうことができる。精の角度の使
用する場合には粗角度と組合わせる前に平均しなければ
ならない。これはそれ自身同様の平均となる。第3A図な
いし第3C図の構成についての好ましい実施例では平均化
は式(59a)の右辺に示す様にして行なわれる。
さて直径の反対側に配置された独立のセンサが正確に
直径の反対側にないことが起り得る。これが所望の偏心
補正に及ぼす影響の程度は特にきびしくはない。顕著な
誤差を生ずるには1゜から2゜のこのような配置誤差が
なければならない。しかしながら、センサ間のオフセッ
トがわかっていれば、正確に直径の反対側に配置されて
いてもいなくても、式(59a)〜(59c)に関連して説明
した平均化に関して複数の独立センサを使用することが
できる。
式(1)の厳密な解釈に基づく平均した統合解を与え
るシステムでは、すなわち、Ψが明確に求められる場合
には、直径の反対側に配置されていないセンサから得ら
れる結果は正確に半円周だけ離れてはいない。第3A図を
参照するに、位相AXの結果を求め次に位相BXを求める場
合、これは入力ステータを第2の測定の前に動かすこと
により、Aセンサを丁度Bセンサーがあったところまで
もってくることと同じである。偏心の影響を別にすれば
これら2つの測定方法は全く同等である。別の考え方を
すれば、AXとBXとが共に基準ロータとXセンサとで決る
同じ基準状態から測るということである。同じ注意がAY
とBYとについても適用される。AXとBXとのセンサ配置に
よるオフセットが、たとえば、BXから取除かれ、またAY
とBYとの間なセンサー配置のオフセットが、たとえば、
BYから取除かれ、更にまたAXとAYとの間のセンサー配置
のオフセットがAYおよび既に一旦調節したBYから取除か
れると、4つのすべての位相は先に説明したように平均
することができる。今述べた補正は結局、他の夫々の位
相の基準としてAXを使用することになる。センサ配置の
オフセットは夫々の新しいBX,AX,およびBYの各々につい
て正確に除くことができるし、あるいはそれらの測定値
に対してΨの値に組み入れることができる。4つの位相
測定値の各々にはそれ自身の定数Ψがあり、またセンサ
配置のオフセットも一定である。従って、これらは結合
することができる。
統合された答についてのもっと便利な方法は、式
(1)′および式(1)″に基づいた測定を基礎とする
ことである。このアプローチを用いれば、センサ配置の
オフセットが偏心補正を満足させるに十分なほど180度
に近いかぎり、オフセットがどれ位であるかを正確に知
る必要はない。問題とされる特定の位相値AiXは或る基
準値A0Xからの変化として実際に測定され、一方BiXはB0
Xに関して測定される。そして以下同様に測定される。A
0XとB0Xとの間の元のオフセットは残存するが、AiX−A0
Xは、測定の差動的性質によって、原理上はBiX−B0Xと
直接平均することができる。(原理上は平均できるが実
際にはできない。次節を参照。)同様にAiY−A0YとBiY
−B0Yも平均できる。更に、これらは夫々入力角度の同
じ変化を表わしているものであるから、この二つの平均
値は平均できる。本質的に、Ψの個々具体的な値を知る
必要がないと同種の理由によってセンサ配置のオフセッ
トの具体的な値を知る必要もない。これらは減算によっ
てキャンセルされる。
しかし、状況はこれまで述べてきたよりもいささか複
雑である。統合された答も精の角度も共にモジュロ数で
あり、また周知のとおり法の値の近くにある数を平均す
るときは特別な注意を払わなければならない。ここにお
いて、法の値は電気角360度に対応する或る値である。
先行技術の或るシステムでは、平均すべき角値に電気角
180度に対応する値を加えまたは減じ、平均化し、次い
で加えた値を除去することによりこの問題を解決した。
本実施例における方法に関する問題は、法の値の近くの
一対の値を180度だけ変えればその一対を面倒な領域の
外に追い出せるが他の組が面倒な領域に入ってくるとい
うことである。180度を加えるという方法に固執すると
すれば、選択したいくつかの値に180度を加え、その結
果から180度の適切な分数を除去することができる。た
とえば、4つの値のうちの一つだけが変る場合、180度
の1/4、すなわち45度を平均から減ずる。この方法はか
なりな労力を伴うものであり、平均を行なうたびにかな
りな程度の判定とフラグの設定とが必要になる。
他の、より簡単な方法も少なくとも同様にうまくい
く。この方法はいろいろな位相AX,AY,BX,およびBYの間
のオフセットを観察することである。これは位相の一
つ、たとえばAXを、基本として取り上げ、次の「平均可
能性オフセット(averagability offset」を作ることに
より行なわれる。
(60a) O1=AX−AX (60b) O2=AY−AX (60c) O3=BX−AX (60d) O4=BY−AX これらの平均可能オフセットは、センサ配置に関連し
て上に述べたものと同様、変換器を任意の位置に回した
状態で測定してよい。これらは相対測定値だからであ
る。また、これらは定数であるから、1回だけ測定すれ
ばよい。
平均可能オフセットを使用することにより、測定され
た位相を次のように修正することができる。
(61a) AX′=(AX−O1)mod360゜ (61b) AY′=(AY−O2)mod360゜ (61c) BX′=(BX−O3)mod360゜ (61d) BY′=(BY−O4)mod360゜ これら修正された位相は通常の仕方で(つまり、通常
の方法で180度の加算を先に行なってよいというこ
と)、すべての項を調節するかあるいは全く調節を行な
わないで、平均することができる。
上に使用した「偏心」という語は関連する他の種類の
誤差の原因を示唆している。すなわち偏心して取付けら
れたロータに関する誤差のことである。この誤差は、信
号振幅の変動がロータの極とセンサ間の間隔の変化で生
ずるにもかかわらず、センサから見ると極の配置が不完
全なロータの様に見える。振幅の変化それ自体は、測定
の性質が位相だけに限られているため、誤差を起しはし
ない。また位相測定技法は、原理上、極配置誤差に免疫
性があるから、偏心して取付けられたロータの場合測定
に誤差は入ってこない。
クロストークの減少 今度はクロストークの問題を説明しよう。この影響を
除くことは、何故入力ロータと基準ロータとが異なる数
の極を備えなければならないかの第1の理由である。ま
た、個々のクロストークの起原は各種実施例でことなる
ことはあるが、正味の結果は一般に同じであるから、第
3A図ないし第3C図に関連して示す特定の実施例について
ロストークの性質を調べることは有用である。
クロストークの最終結果は第3A図ないし第3C図に示し
たと同様の構成だが歯車は夫々同数の歯を備えている。
装置で見られたそこでの答には、角度で120秒もの周期
誤差が存在していた。誤差の大きさは入力ステータの位
置の関数である。誤差の値は入力と基準のステータのセ
ンサが整列した(aligned)とき最大であった。これら
極端な値の間では誤差に入力ステータの位置の関数とし
て、振幅の変化する多くのサイクルを有する波形となっ
た。続いて行なった実験では、この誤差の原因は全く磁
気的クロストークであることがわかった。というのは基
準磁気回路と入力磁気回路との間に高透磁率金属のシー
ルドを入ると変換器内のほとんどすべての視察できる誤
差が除かれたからである。
シールドはしばしば言うに易く行なうに難い。考える
手間がかかり、重量が増えるだけでなく、シールドは芯
合せと修理の期間に有難くない複雑さを示すことがあ
る。ここではほぼ等間隔に配置した異なる数の極を備え
るロータを用いたとき先に述べた位相測定技法は、あら
ゆる実用目的に対して、クロストークによりもたらされ
た誤差を免がれることを示そう。本発明の好ましい実施
例ではロータ間またはステータ間のシールドを省いても
悪い影響は認められず、しかもなお角度で秒の精度と分
解能を達成した。クロストークに対する同様な不感性が
得られるためには、クロストークの影響がセンサからの
信号の或る位相歪に相似しており且つこのような位相歪
が下に述べる一定の判定基準に合致しているだけでよ
い。すなわち、磁気を使った装置においても、静電的お
よび光学的装置中のクロストークに対すると同等の不感
性が得られることを防げている磁気固有の事情等はな
い。クロストーク機構が実際のロータ間またはステータ
間の干渉に限定される必要もない。クロストークの物理
的位置としては敏感な部品または導体が相互に十分近接
している場所ならどこでもよい。
なお、考察中の磁気を使った装置のクロストークの機
構を更に手短かに検討することは有用である。第3A図の
磁気センサである基準センサ8を考える。磁石23に対す
る主磁気回路は磁極片25を通って歯車5に、次いで空気
中を戻って磁石23の他端に達している。他の戻り通路は
ロータ5から空気を通ってロータ6に、そこから入力セ
ンサ10を通って、ケースに、次いで基準センサ8に戻
る。同様な戻り通路は入力センサ11を通るものが、基準
センサ9を通るものとともに存在する。明らかにこれら
の他の戻り通路は遠いロータの極が関連する遠いセンサ
に近ずつことによって影響を受ける。すなわち、夫々の
他の戻り通路の個々の影響はロータの極が基準センサ8
にどれだけ近いかには一般に無関係な何物かに依存して
いる。入力センサ10,11の場合には「何物」とは(基準
センサとロータに関するかぎり)入力ロータ上に任意に
配置された極と結合した入力ステータの位置である。基
準センサ9の場合でさえ、センサ8に対する他の戻りの
通路の影響は、基準センサ8側でどんな状態になってい
るかには必ずしも強く関係しない。基準ロータ5の極が
理想的に配置されており且つ歯車が完全に丸い、等々の
場合にはその影響は常に同じであり、無視することがで
きる。ロータの円周の周囲の極の配置間隔に任意の差が
あれば、対応する任意の影響が基準センサ9により基準
センサ8に与えられる。しかし、この場合でさえ、1回
転にわたるこのようなクロストークの効果は一定であっ
て決して変らない。その効果は端に幾らかの一定のオフ
セットである。したがって、各センサが他のセンサの夫
々から本質的に任意に影響されても、同じロータ上のセ
ンサ間でのクロストークよりは、主としてロータ間クロ
ストークの効果に注目することになろう。他の戻り通路
の影響を簡単に互いに相殺するためにこれら各種の個々
の影響に頼ることはできない。すなわち、これらは、少
なくとも瞬間的には、「合計してゼロに」はならず、ク
ロストークが存在する。与えられた信号AからXまでに
関する観察のレベルでは、夫々異なった数の極を有する
ロータを用いた場合に起ることは、クロストークの影響
の位相相歪により、いろいろなゼロ交叉のうちあるもの
はそれらが起るはずのときより早く起り、他のものはそ
れらが起るはずのときよりおくれて起るということであ
る。しかしこの位相歪によってもゼロ交叉の数は変らな
い。それはクロストークの大きさはかなり小さく、たと
えば−40dB程度だからである。このようなロータ間のク
ロストークの影響により、動的に変化する極の配置誤差
が入ってきたかのように見える。すなわち、ロータ上の
見掛けの極位置が入力角度の関数であるかのように見え
る。もしロータ間クロストークが1回転に関して、「対
照的」であるか、あるいはほとんどそうであるならば、
一定の極位置の見掛けの変化は他の見掛けの極位置の対
応する逆の変化により相殺され、クロストークの正味の
効果は非常に小さくなるであろう。すべての実用目的に
対して、このようなクロストークの効果の相殺は、説明
された実施例の場合におこっている。
上記のような断言だけでは皮相的に過ぎるかもしれな
いので以下で更に詳しい説明を与える。第1には、式
(1)ないし式(57)のいろいろなψ、Ψは手元にある
特定のロータ上の特定の極配置に関係する(任意の)定
数であると説明した。θの最初の測定に対してΨの一つ
の値をもとめることはできず、第2の測定に対して顕著
に異なる値を得ることができず、2つのθの差は正確に
2つの測定の間に経験した角度であると期待することは
できない。またΨが実質的に定数でなければ常に常数Ψ
を差引いて個々のθを単独に求めることもできない。
式(1)ないし式(57)の中のいろいろなψとΨと
は、ロータ間クロストークが見掛け上はロータ上の極の
ダイナミックな誤配置として現れるとしても、仮定した
とおり本質的に定数である。限界内ではそれらは実際に
真に定数である。この限界の状況の性質は、提示した実
施例におけるゼロ交差の有限サンプリングとは反対に連
続である。しかし、後者は前者の適切な近似を構成す
る。
何故これがそうであるかを見るには、再び式(2)で
作った合計の性質を考える。式(2)の括弧内の項の各
々はクロストークが無い場合について正しく示されてい
ると考えよう。クロストークがある場合には次のように
書くことができる。
これらの式でδからδまではクロストークから生
じた位相歪で発生したゼロ交叉時刻の変化である。量
l′,m′,.....y′は(増分時間で表現された)ロータ
上の極の間の新しい角度変位である。
したがって、次のように書ける。
しかし上式の右側の項は単に と表現できるので下式を得る。
すなわち、今問題にしている2つの合計(すなわちT
Piについての合計と▲T Pi▼についての合計)はいろ
いろδの合計が0ならば相等しい。同様な議論が▲T
Q1▼について成立する。いろいろなδの1回転に亘
っての合計が小さくなければならないという条件は、位
相測定技法がクロストークに鈍感でなければならない場
合、クロストークが満足しなければならない必須の基準
である。この基準が満たされればこのような不感性は保
証される。というのはTPiおよびTQiに関する合計はクロ
ストークが入ったときそのクロストーク前の値から著し
くは変らないからである。かくして、Ψの値は同じまま
になり、正しい答が得られる。さて、2つのロータの有
する極の数が互いに異なるときいろいろなδの合計が
何故ほぼゼロになるのかを考える。以下の説明では入力
ロータ/ステータからのクロストークが基準ロータ/ス
テータに及ぼす影響を考える。この目的のため、干渉信
号は、クロストーク経路を通って減衰してから、基準セ
ンサで大きさ1の振幅を有し、一方基準センサで生じた
本来測定されるべき信号の振幅は1よりA倍大きいと考
えるのが便利である。これと対応して、入力センサにお
ける基準ロータ/ステータのクロストークについて考察
するという説明も存在する。しかし、どちらについても
同じ様な説明になるため、話を簡潔にしたい都合上、2
番目の説明は省略する。
入力ロータ/ステータからの干渉信号を (66) =sin(2πωQt)(「Q信号」) としよう。
同様に、基準ロータ/ステータからの主信号は (67) y=Asin(2πωPt)(「P信号」) P信号はQ信号が各々或る平均周期nのサイクルをQ
回経験する間、同じ長さの時間R中に或る平均周期mの
サイクルをP回経験する。したがって、 (68) Pm=Qm=R PとQとの比を既約な分数の形で考えるのが便利であ
る。
P′/Q′を既約な分数とし、かつ整数P′およびQ′
のいずれも1に等しくないとする。
さて、いろいろなδが実際に0になる或る状況が存
在する。P信号とQ信号とが少なくとも一つの共通のゼ
ロ交叉を有すると想像する。ゼロ交叉の一致は、両方と
も正に向かうときか、両方とも負に向かうときか、ある
いはその混合で起る。このような場合に得られる信号間
の和(または差)、すなわち合成信号はその周期Rの中
点に関して次のような形態で対称であることを(たとえ
ば、重ねた波形の視察により)示すことができる。すな
わち、中点の一方のゼロ交叉の位置のどんな変化でも、
中点の他の側の関連するゼロ交叉との比較において、反
対方向に等しい大きさの対応する変化を有している。
(なおここではロータ上の極はほぼ等間隔に配置されて
いると仮定している)。両信号を合成したとき、上述の
各々の反対方向の変化はたがいに打消し合う。等しいが
反対の対称が共通のゼロ交叉を経験する二つの対称波形
の代数和の対称的性質から直ちに出てくる。このような
共通ゼロ交叉の周期はmおよびnの小さい方の1/2であ
る。ここにおける変換器磁気クロストークの場合、この
周期性は入力ステータが位置を変えるとき経験され、ク
ロストーク誤差の振動的性質の原因となる。
しかし、一般には主信号とクロストーク信号とは共通
のゼロ交叉を有していない。このような共通のゼロ交差
が無いと二つの信号の和はその周期の中点に関して、対
称でなくなり、ゼロ交差に対する擾乱は、大きさは等し
いが反対方向の対と組合わせることができなくなる。こ
れらの場合には、δの和は実際に0でない。そこでこ
の様な状況についての説明を以下で与える。
説明を進めるためために、式(65)を次のように書き
換えるのが便利である。
(70) y=sin(2πωQt+φ) ここでφはP信号と共通ゼロ交差がない点のQ信号の
位相を表わす。
このようなφの一例を第11図に示す。図に示すとお
り、φはP信号が時刻tiで正に向かうゼロ交叉をすると
きQ信号が最大になるような値である(このような1/4
周分のQ信号の差は或る意味で手近な最悪の場合と思わ
れる。この状況は、両者のゼロ交叉が一致する場合から
「最も遠い」。しかし、他の意味ではそれはφの或る異
なる値がδと、δの近似値とする以下で明らかにな
る他の量εとの差の絶対値を最大にする場合かもしれ
ない。)Q信号はtiで正のピーク値1になるからtiの前
の或る時刻ti−δでP,Q2つの信号の和がゼロになる。
δの実際の値を表わすのは一般には難しく以下で示す
εをδの合理的な近似値とする。下の式(71)に示
す関係は、両信号の合成の結果得られるゼロ交叉の近傍
でP信号の傾斜が実質的に一定ならば妥当である。この
妥当性の条件はすなわちQ信号の最大傾斜がP信号の最
大傾斜と比べて小さければ、ということであるが、これ
はP信号の振幅がQ信号よりはるかに大きいという条件
から出てくるものである。Q信号のピーク値が実際のti
−δの前に起るか後に起るかによって、εは時には
関連するδより大きくなり、時には小さくなる。
εは以下の様にして定められる。第11図に示す通
り、ti近傍のP信号をほぼ直線と見なし、その傾斜を2
通りの方法によって求める。第1の方法は、P信号のti
における微係数として傾斜を得る。第2の方法は、P,Q
両信号を加えてゼロになる点からP信号単独でゼロにな
る点まで(時間軸ではti−δからtiまで)を直線と見
なしてその傾の傾斜としてP信号の傾を求める。なお、
ここでδは十分小さいので、ti−δの近傍ではQ信
号をほぼ定数と見なせる(なんとなればQ信号はtiで最
大値をとるから)ことを用いて、ti−δにおけるQ信
号の値をtiにおける値で近似する。かくして得られた2
つの傾斜の値を等しいとおいてこれをδで解けば、δ
の近似式、εが以下のごとく得られる。
すなわち、第1の方法による傾斜は 第2の方法による傾斜は 故に、 εの合計でδの合計を近似することにする。
(72) ΣεΣδ これはすべて見かけほど悪くない。式(71)の中央の
式の分母は或る定数である。分子の正弦関数のアーギュ
メントは、式(72)の合計に使用される場合は、異なっ
た値はP′通りしかない。これらのP′個の値は、得ら
れる合計のQ′/Qの部分を構成する連続するところのQ
信号のQ′サイクル期間中に時間的に等間隔に配置され
ている。すなわち、P信号のゼロ交叉であるいろいろな
P′個のtiはQ信号のQ′個の連続サイクルの間でサン
プルされるP′個の標本なのである。各標本は対応する
δを近似するεを生ずる。しかし各εはP信号のゼロ交
差点でQ信号の値に分割される或る定数である。このこ
とから単位正弦波のQ′個の連続サイクルの間で、等間
隔に配置されたP′個の時間間隔毎にサンプルされた振
幅を加算することから得られるものは何かという考えが
出てくる。
当該状況を第12図に描いてある。便宜上、P=144お
よびQ=120の場合を表わすように描いてある。これか
らP′=6およびQ′=5が得られる。すなわち、入力
センサ信号の5サイクルごとに基準センサ信号の6サイ
クルがある。更にロータが1回転する毎にこのような対
応の事象が24回出現する。各事象は同じなので(回転子
上に極が規則正しく配列されていると仮定して)、この
ような事象1つだけの間に何が起るかを検討する必要が
ある。
第12図はQ信号の振幅のP′個の連続し且つ等間隔の
サンプルをどの様にしてQ信号の単一サイクル中にマッ
ピングできるかを示している。これをより詳細に説明す
れば、先ず時間間隔0〜P′・m=Q′・nにおけるサ
ンプリング時刻の集合Sは明らかにS={o,m,2m,....,
(P′−1)・m} これは上記時間間隔をP′等分する点であるからSは
以下の様に表現できる。
S={α/p′×Q′・n|αは0からP′−1までの整
数}これらのサンプリング時点をQ信号上で考えた場
合、Q信号は周期がnであるから、各サンプリング時点
(α×P′)×Q′×nをnの適当な整数倍の時間だけ
平行移動させることにより時間間隔0〜nでのサンプリ
ングを行なう様にしても、サンプリングの結果は同じに
なる。この意味でSに等価なサンプリング時点の集合
S′は以下の様に表現できる。
S′={x modn|x∈S} ={n×β/P′|β∈NP′} ただし、 N={{Q′×0)mod P′,(Q′×1)mod P′, (Q′×2)mod P′,....,Q′x(P′−1)mod
P′} ところがP′とQ′とは互いに素であるかろ、よく知
られている様にNP′は0からP′−1までの整数の集合
となる。
故に、 S′ ={0,n/P′,2n/P′,...,(P′−1)n/P′} この単一サイクル中へのマッピングにより圧縮された
標本間の時間間隔は上記S′からわかる様にやはり一様
である。したがって、P′×1/P′の間隔でサンプリン
グされた正弦関数が得られる。このような標本の和は常
に0であることが知られている。よって直ちに下式が得
られる。
(73) Σε=0 および Σε0 今までの証明は「クロストークの効果を除くにはクロ
ストークの振幅を減らせ」という同語反復以上のことを
示唆している。εの合計とδの合計との差は主信号
と干渉信号の振幅比に関係するが、これらの合計に両合
計間の差の割合はサンプル数が増加するにつれて小さく
なる。すなわち、クロストークで生じた位相歪を連続の
場合で考えると、位相の乱れは、必ずしも対称的ではな
いが、周期的(回転毎に1回繰り返す)であり、平均さ
れて周期ごとに0になる。次にこの考え方のもっと厳密
な検討の概要を述べる。
式(67)と(70)とを結びつけるには、各々の正弦関
数のアーギュメントが異なるパラメータで表わされてい
るかぎり難しい。しかし式(70)は次のように書き直せ
る。
(74) y=sin〔2πωPt +((Q−P)2πωt+φ)〕 正弦関数のアーギュメント中の2つの項を夫々以下の
様におく。
(75) X=2πωPt (76) Z=(Q−P)2πωt+φ Xはtに或る周波数を掛けたものZは時間により変る
位相と考えることができる。
これらを(67)と(70)とに代入し二つの式を加え合
わせると、 (77) AsinX+sin(X+Z)=Bsin(X+σ) ただし、 および 式(77)の右辺はクロストークに起因する位相の歪ん
だ信号である。ここでσの値の連続的な変化は本装置の
動きによる歪である。式(79)はこの変化を示してい
る。式(79)にZを代入すると、次式が得られらる。
式(80)は半波対称の周期奇関数を示しておりその周
期は1/(Q−P)ωである。したがって、式(80)を1
周期に亘って積分すれば結果は0になる。
さて、式(80)の周期が1/(Q−P)ωであるという
ことはP個の極とQ個の極が夫々に関連するセンサの前
を通過する同じ時間間隔の間に、(Q−P)個の極に対
応する信号の1周期が存在するということである。しか
し、この時間間隔は丁度1回転分の時間かあるいは1回
転分の時間の整数分の1である。したがって1回転中に
は式(80)の周期が整数回入っているから、式(80)の
1回転に亘る積分も0になる。
式(80)のσの値は、しかしながら、有限回数だけサ
ンプリングされる。また、更に、このサンプリングは、
サンプリングが位相の歪んだ信号のゼロ交叉点で行なわ
れるので、原理上、正確に等間隔ではない。しかし、サ
ンプル数が増加するにつれて、「サンプリングの密度」
が全時間間隔を通じて実質的に一定な場合のみ、サンプ
リングが等間隔に行なわれるか否かには関係なく、サン
プリングは連続の場合の積分をもっとよく近似するとい
うことが明らかである。
ここに述べたクロストーク低域技法は2つの理由で低
レベルのクロストークに対してより働く。第1に低レベ
ルクロストーク下ではサンプリング間隔が等しくなる傾
向にあり(ゼロ交叉の位置での位相歪が少ない)、σを
表わす関数(式(80)の形が正弦関数に近付く。たとえ
ば、高クロストークレベル(A=2)時のσの時間変化
を表わす第13図(A)と低クロストークレベル(A=1
0)時のσの時間変化を表わす第13図(C)は波形を比
較する。第13図(A)は波形半波対称を示しているけれ
ども、半サイクルそれ自身はその中点に関して対称では
ないから、等間隔の標本でさえも合計して0になること
を期待することはできない。このことは等間隔にサンプ
リングされた値からいろいろと任意のペアを取出してみ
れば最も容易にわかる。これとは対照的に、第13図
(C)の波形は、振幅がかなり小さいにもかかわらず、
ほとんど正弦状である。よってほぼ等間隔のサンプリン
グを行なえば、合計はほとんど0になる。第13図(A)
と第13図(C)との差異は、式(67)のAとして選んだ
値が異なることを反映している。これがσを表わす関数
(式(80))の形にどのように影響するかに注意された
い。
要約すれば、クロストークの大きさが低いか中程度な
らばサンプリングによる近似は非常に効果がある。サン
プリングによる近似の精度はプリングのポイント数を増
すことによって更に高められる。これを容易に行なうこ
とのできる方法が少なくとも2つある。第1の方法は、
サンプリングを行なう点をP信号の正に向うゼロ交叉の
点だけではなく、全ゼロ交叉点において行なうことであ
る。第2の方法としては、P′−Q′を同じに保ちなが
らP′,Q′の夫々を増加させることである。そしてよく
考えてみると、クロストークの基本レベルが異常に高い
場合でさえも充分サンプリング密度を高くすれば(たと
えばP′とQ′とを充分に大きくすれば)低レベルから
中程度のレベルのクロストークで得られた利点を失わな
いようにできる。たとえば、A=2,P′=6,Q′=5の場
合のクロストークが混入した信号の位相歪α、振幅Bsin
(2πω×Pt+α)をそれぞれ示す第13図(A)と第13
図(B)とを参照されたい。ここでは主信号と干渉信号
との比は2対1に過ぎず、σ関数の形は丸味のある鋸歯
状である。しかし第13図(A)の丸味のある鋸歯状波の
1回転に亘る積分はやはり0であり、有限のサンプリン
グもサンプリングポイント数を充分に多くすればこの積
分をいくらでも近似することができる。
P#およびQ#についての1回転1回の検知 絶対基準マークをセンサからの波形に対して設けるこ
とができる方法は多数ある。たとえば歯車あるいはロー
タの間隔検知が可能な非一様性を持たせることができ
る。こうすれば1回転する毎にそれに対応する1回の周
期的変動がセンサからの信号に生ずる。このような非一
様性は多様な手段によって可能であって、たとえば極の
間隔を単調に増加させること、正常の極よりも幅広の極
を設けること、2つの極の間隔を正常の間隔よりわずか
に狭くあるいは広くすること、および既に説明した様
に、欠除極を設けることなどにより実現できる。位相測
定技法に関するかぎり、およびクロストークの影響を無
視するかぎり、これらの非一様性はその実現に際し、特
別に正確である必要はない。位相測定技法それ自身は、
結局、極配置誤差には鈍感である。
極とそれに関連する検知機構の性質によっては、1回
転1回マークのために設けられた非一様性を他から識別
するために使用する技法に影響が及ぶことがある。たと
えばロータ上に交互に設けられた透明・不透明の両領域
を光学的に検知することを考えよう。おそらくそうであ
るように、光束が極めてよく平行になっているかあるい
はセンサの視野が充分に狭い場合には、センサからの出
力波形はロータ上の領域分布と同形のパターン像となる
はずである。たとえば、欠除極の検知にあたっては、も
し極が存在すれば出ていたであろう正常な波形部分が削
除されて現れるだけであろう。検知におけるこのような
「忠実さ」は、それに到達するには一層の手間が必要で
はあるが、磁気的および容量的検知機構の場合には可能
である。たとえば、磁極が磁石のN極およびS極から延
在している磁気センサはその空隙を歯車の歯の山に沿う
縁の線の先端の上および下に取ることができ、最も近い
歯が通過したために起る磁束の変化を最大にできると共
に隣接する歯と交番磁束通路とがセンサの出力信号に影
響する程度を最小にすることができる。それがどのよう
に行なわれようと、要点は、次節で述べる状況とは対照
的に、検知にこのような忠実さがあれば非一様性を認識
し、(必要なら)欠除極位置を推定するかあるいはデー
タ処理上の便宜のため非一様性を「ならす」という作業
である種の複雑さが回避できるということである。たと
えば、極が欠けている場合、ゼロ交叉検出器からのサイ
クルは、副次的な乱れを起さずに単に消失するだけであ
る。同じ方向の連続するゼロ交叉間の周期が長くなるこ
とに気づくと共に、その中途に「置き換え用のもの」を
挿入することになるであろう。
既述の特定の磁気応用の実施例においては磁気センサ
は「狭い視野」を備えていない。
再び第3A図を参照すると、たとえば、磁力線が歯車5
に最も近い端にある磁極25をはなれるとすぐ、この磁力
線は歯車に向ってあらゆる方向に拡がる。磁束通路リラ
クタンスにかなりな程度に影響を与えるものとしては、
歯車上で磁極25に最も真正面に対向している歯の両側に
ある他の歯もあげられる。すなわち、歯が欠けていれば
センサをその前後に通過する歯の検知に影響が出る。こ
の効果は欠除歯があるべき場所にに関して対称であり、
磁気検知のdφ/dtの性質に関連してセンサが、普通は
2サイクル存在していたはずの時間に長周期の1サイク
ルを発生する。このようにして、サイクルが欠けるだけ
でなく、他のあるサイクルはその遷移が本来あるべき位
置からずれる様になる。
更に状況をまとめれば、すべてのセンサが、極の前進
端と出会ったとき常に同極性の遷移を起すように製作さ
れ取付けられていると考えるのは不都合であるかもしれ
ない。従って、あるセンサにとっては正の遷移であるも
のが他方のセンサにとってはまさは対応してもよい。し
かしセンサ間で極性が異なっていても、システムとして
一方向のゼロ交叉だけについて動作することが望まし
い。このようにセンサの極性が入り混っていれば、異な
る極性のセンサの間の欠除歯に近い位置に見掛けのずれ
が生じ、これに伴い欠けた歯を「埋める」手順が変化す
る。見掛けのずれは無視することができる。第1に、関
連したロータの残りの部分に対するこの様なセンサによ
る表現は同じ量だけずれる。第2にP#またはQ#の値
はその同じロータについての他のP#またはQ#の値と
比較されるということは決してない。この値は別のロー
タについてのQ#またはP#と関連して使用されるだけ
である。このずれがどれ程の量になるかは「何時その情
報が利用できるようになるか」の相違であって、その情
報が「何であるか」の相違ではない。たとえこのような
センサを粗の位相測定(すなわち、2つのロータの絶対
基準マーク間の時間が1回転の何パーセントであるかを
測定すること)を行なうのに使用しても、見掛けのずれ
は得られる答に一定のオフセットを生ずるだけである。
このようなオフセットはその不変の値が一旦知れれば容
易に除かれる。
長周期と極性の相違とにより、欠除極のことに関して
の2つの異なる状況を生ずる。これらの状況は第14A図
および第14B図に示すように取扱うことができる。マイ
クロプロセッサを用いれば、信号AないしXの夫々の中
の長い周期を認識し、そして与えられた非一様性に基い
てケースIかまたはケースIIの極性かを確かめることは
困難でない。この情報はロータが動くにつれて繰返し確
かめられるか、あるいは夫々のセンサについて1回だけ
求めて永久に符号化される。一旦これらの極性が知れる
と、第14A図および第14B図に示す一定の関係にしたがっ
て誤差を含んだ遷移点の位置を補正し、また欠けた遷移
を近似することは簡単なことである。
勿論、すべてのセンサがある選択された同一の極性を
有する様にし、常に第14A図と第14B図に示した2種の状
況のどちらか1つを使用してもよい。しかしながら、同
一の選択された極性を有する様にしておくというような
条件は、組立てまたは修理によって成立しなくなること
がある様な条件であると信じている人もいる。この見解
は、極性がどちらであろうとはじめから問題にしない場
合はうまくいかなくなり様がないということ、および特
定方向の極性に頼らないのがよいであろうということを
考えての上で主張されているのである。
第2の一般的方法はロータ上の非一様性によって波形
に生ずる認識可能な周期的乱れを全く不要にすることで
ある。代りに、マイクロプロセッサは基準ロータからの
信号のQ個のサイクルを繰返す間に入力回転子からの信
号がP個のサイクルを繰返すことを期待している。マイ
クロプロセッサはいろいろなP#およびQ#の基準とな
る擬似絶対基準マークとなる各波形のサイクルを任意に
選択する。選択されたサイクルはPを法とするサイクル
およびQを法とするサイクルを数えることによって繰返
し認識される。かくして、P#とQ#は測定要求を受け
取ったときモジュロの計数がいくらであるかに注目して
求められる。
一般化された位相測定 擬似絶対基準マークを使用することにより、式
(1),式(57)およびこれらから誘導された諸式の適
用範囲を、一方の信号のP個のサイクルが他の信号のQ
個のサイクルと同じ時間内に起る状況まで一般化でき
る。これにはP=Qの場合、すなわち、信号が位相おく
れを生ずる或る現象にさられれてからそれ自身と比較さ
れる場合が確実に含まれている。このような方式は伝播
おくれによって対応する位相ずれを生ずる物理的性質
(たとえば距離)を変換するために屡々使用される。
このような用途における以上説明した位相測定技法の
利点は、位相測定の精度が位相がずれて測定される信号
の精度あるいは安定性によらないことである。位相測定
に関して必要なことは、ゼロ交叉により区切られるいろ
いろの時間間隔およびP個のまたはQ個のサイクルの時
間とを正確に測定する安定性だけである。これら後者の
2つの時間が等しいことを信頼してよければこれらは同
時に起る必要はなく、全く別々に、一方が他方の直後か
或る遅れの後起ってよいということもわかるであろう。
同様に、これらは一部互いに重なり合ってもよい。
角度測定技法 共通の回転軸に取付けられた多極入力ロータと多極基
準ロータとは極が関連する入力センサおよび基準センサ
を通過するとき夫々入力信号および基準信号を発生す
る。入力センサは共通回転軸のまわりに軌道回転するよ
うに軸受けされていて、入力ロータの周辺に沿って軌道
運動ができる。基準センサは基準ロータの周辺に隣接す
る位置に固定されている。各ロータ上の1回転1回のマ
ークが各ロータにある一つの極を基準極すなわち指標極
として識別する様に構成してよい。各極がその関連する
センサを通過すると関連する入力信号および基準信号に
サイクルを生ずる。ロータにはその極を特別な高精度で
配置する必要はない。クロストークが問題となる場合に
は一方のロータ上の極の数を他方のロータ上の極の数と
異なるようにしてよい。
入力および基準の信号に含まれている情報は、少なく
とも1回転分の遷移時間データが捕えられ記憶装置に記
憶された後で検索される様に構成してよい。指標極の識
別を行なうため、その極を物理的に除去し、この欠除極
により合図(flag)され推定される遷移を記憶装置に入
れるのも便利である。
各ロータが少なくとも1回転する間に、極の発生する
相続く時刻の平均を計算し、関連する等価単極が生起す
る平均時刻を求める。これらの等価単極の生起の平均時
刻は、次にこれらが実際に一つだけしか極がないロータ
から生じたかのように比較される。入力ステータセンサ
がロータの回転方向に進むと、等価単極間の時間間隔は
その時間間隔が1回転分に到達するまでは増大する。入
力ステータセンサが更に前進すると等価単極間の一致点
を過ぎ、この点で時間間隔が突然0に落ち再び増大しは
じめる。測定された時間間隔は入力および基準センサの
間の角度に比例しており、これは入力角度に等しいか、
あるいは入力角度とは定数分の相異があるだけである。
測定された時間間隔は任意の希望する単位で入力角度を
表わすように目盛られる。既述の例では、測定された時
間間隔はまずその測定された時間間隔をロータの回転時
間の測定値で割って1回転に対す比率として正規化され
る。この正規化の結果は次に適切な定数のオフセットだ
け増したり減らしたりすることができる。
等価単極生起平均時刻の測定は各ロータについて、少
なくともロータの1回転分(あるいは整数回転分)の間
隔で発生する連続した極の生起時刻の合計を極の数で除
した値に注目して行なわれる。つまり1回転の端数の分
については上述の合計は行なわれない。また両合計は共
通の時刻基準点に関して行なわれる。どちらの合計も常
に夫々対応する指標極の検出つまり生起により開始され
る(すなわちそれまで待つ)ものとすれば、生起の平均
時刻の差は実際上記の時間間隔の測定値になる。これは
確かに実現可能であるが、夫々の合計が関連する回転が
できるだけ多くオーバーラップした方が良いという要請
に反することになる。つまり夫々異なる回転について合
計がとられた場合、一つの回転と次の回転との回転速度
のばらつきで、回転時間の両平均値で共通でなくなり、
これらが別々に正規化されないかぎり、比較できなくな
るからである。このような複雑さを避けるには、好まし
くは、両合計についての回転のオーバーラップが最大で
あればよい。この目的のため、指標極のかわりに、任意
の極が通過すると直ぐに合計を開始させる。しかし、時
刻の基準の共通点は保存される。この共通点はたとえば
便宜的に基準信号の連続する遷移の最初とすることがで
きる。
合計を開始する時点についてのこの柔軟性の見返えり
に、合計が指標極から見てどこから開始されたかたを見
失わない様にしなければならない。これは関連する指標
極が最後に現れてから各ロータ上でスキップされた極の
数を数えることによって行なうことができる。有用な原
理によれば、等価単極に生起した時刻の平均測定値を、
スキップされた極1つにつき、極間の平均時間間隔で補
正することができる。この極間の平均時間間隔は単に1
回転分の時間を極の数で割ったものである。基準ロータ
側でスキップされた極の一つ毎に、基準ロータ上の極間
平均時間間隔を両等価単極の生起の平均値の測定値間の
差の値に加えなければならない。同様にして、入力ロー
タ側の極のスキップ毎に入力ロータ極間の平均時間間隔
を上述の差から差し引かなければならない。このように
して、入力,基準ロータにおいてスキップされた極数を
数え、それに基づいて両等価単極の生起時刻間の差の測
定値を平均極間時間間隔とスキップ極数により補正する
ことにより、合計の開始は実際には任意の極からである
のだが、指標極から合計を開始した場合の生起時刻間の
差の値を得る。
結果には平均化によって与えられた特別な信頼性がす
べて入っており、その精度は、合計を作るために使用し
た時刻測定の精度と同等である。ロータ上の極配置の精
度は、おそらくクロストークのような間接的な影響によ
る以外は、結果のせいどには全く入ってこない。しか
し、極がほぼ規則的に配置されている場合に限り、両ロ
ータの極数が異なる様に選べば事実上クロストークが打
ち消される。この場合でも極を高い精度で配置する必要
はない。
得られる結果は統合されたモジュロ解でありその1サ
イクルは入力角度の丁度1回転分、すなわち360度を直
接表わしており、粗あるいは精の成分は無い。したがっ
て粗および精の成分を正しく結びつけるアルゴリズムを
付加する必要はなく、測定値が法の値すなわち「転換
点」に近いときノイズにより誤差が入るのではないかと
疑う必要はない。
等価単極間の時間間隔の測定値または補正された測定
値は入力角度の直接標示(勿論、適切なスケーリング)
とすることができるし、あるいは或る任意の入力条件に
関係する残り(residual)の時間間隔と比較してもよ
い。この任意の入力条件としては「0度」または或る未
知の値として差支えない。いずれにしても、等価単極の
生起の平均時刻の差の測定値または測定後に補正された
値は、この残りの時間間隔を差し引かれたとき、現在の
入力条件と任意の入力条件との間の掃引角度を表わして
いる。この残りの時間間隔は指標極の一致が起ったとき
の等価単極についての両平均時刻がはじめから持ってい
る差、あるいは単に純粋に任意の入力条件についての別
の測定値または測定後に補正された値を表わすことがで
きる。
上述の測定技法はまた、周波数の比が有理数である
(すなわち、一方の信号の整数回のサイクルが他方の信
号の別の整数回のサイクルに等しい長さの時間内で起
る)2つの信号間の位相を測定する方法であると考えて
もよい。上述の方法を、たとえば、一方のP個のサイク
ルが他方のQ個のサイクルに等しい長さの時間内にある
ような2つの信号間の位相を測定するのに使用する場
合、指標サイクルとして、夫々の波形の任意のサイクル
を用い、その後夫々のP番目とQ番目とのサイクルを指
標サイクルとして用いるのが便利である。P番目とQ番
目のサイクルは夫々modPおよびmodQにより関係している
信号のサイクルを数えることにより簡単に見分けられ
る。
上述の位相測定技法は直径の反対側に配置された1対
のセンサを用いてもよい。好ましい実施例では、入力ス
テータと基準ステータは共に夫々互いに直径の反対側に
配列した1対のセンサを備えている。4つの位相が測定
される。つまり、一方のステータ上のセンサの各々は他
方のステータ上の2つのセンサと個別の関係に取られる
ことにより、4通りの組合わせになるのである。かくし
て得られた4つの位相測定値は、4つの中の一つを基準
として固有のオフセットについて補正される。基準の位
相と残り3つの補正された位相とはその後平均される。
クロストークの抑制技法 センサ間のクロストークはロータ上の極の数を特定の
仕方で等しくないように選択して上記の位相測定技法を
実行することによって抑制される。一方のロータの極を
P個、他方のロータについてはQ個と選定する。分数P/
Qの既約型を分数P′/Q′とする。ただしP′とQ′と
はいずれも1に等しくないとする。勿論、PとQとはP
とQとがいずれも1でない状態でP/Qが既に既約になっ
ているように選択してよい。
この効果は1回転に亘る積分が0になる位相測定誤差
関数を作る出すことである。したがって、整数回の回転
に亘ってクロストーク作信号を充分高密度でサンプリン
グすればクロストークの影響を任意に望む程度まで自己
相殺させることができる。
上記の位相測定技法はこの点について好ましい。なぜ
なら本技法では整数回に亘って平均を測定すると共にP
とQを任意の値にとることができるからである。
周期誤差を補正する方法 入力角度の関数である誤差(偏心誤差等)、およびそ
の周期が360入力角度(1周1回誤差)または180入力角
度(1周2回誤差)などである誤差関数を有する誤差の
自己相殺作用は、これらの位相を平均する前に関連する
直径反対側センサ間の位相を測定することによって強め
られる。好ましい方法では各センサはその位相が基準に
対して測定される別々の信号を発生する。ゼロ交叉検出
と時間測定とは振幅変動に対する感度を下げるので好ま
しい。測定された位相は次に直径反対側センサ同志で算
術平均することができ、次にその結果は、もしこのよう
なものがあれば、他の組の直径反対側センサからの同様
な結果と平均することができる。一般に、「1周1回」
誤差には1組の直径反射側センサが必要であり、「1周
2回」誤差には90゜隔てた2対が必要である、等々。こ
のような平均化前に別々のセンサによって位相測定を行
なうと、2つの信号が位相測定前にアナログ的に平均さ
れるとき振幅の小さい信号中の位相情報が振幅の大きな
信号によってゆがめられることが無くなる。このような
振幅変動は誤差の機構によって導入されることが多く、
アナログ平均位相に現れるゆがみは平均化にもかかわら
ず誤差として残る。最初に位相を測定し、次に平均化を
行なえばこのような付随的な振幅変動によって起る悪影
響が除かれ、誤差を一層完全に近い所まで自己相殺でき
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の機械部分の斜視図、第2図
は第1図の機械部分の分解図、第3A図ないし第3C図は本
発明の一実施例のブロック図、第4図ないし第10図は本
発明の基本原理の説明図、第11図ないし第13図はクロス
トーク誤差補正の説明図、第14A図ないし第14B図は検出
器の極性の相異により欠除歯位置検出に与えられる影響
を説明する図である。 1:機械部分、2:基準ステータ、 3:入力ステータ、4:ロータ軸、 5:基準ロータ、6:入力ロータ、 7:印刷回路基板、8,9:基準センサ、 10,11:入力センサ、22:軸、23,24:磁石、 29,30,31,32:増幅器、 33,34,35,36:ゼロ交叉検出器、 37,38,39,40:遅延回路、45:クロック信号、 52:カウンタ、53:新データカウンタ、 54,62:デコーダ/マルチプレクサ、 59:割込キャッチアップカウンタ、 60:比較回路、61:マイクロプロセッサ、 63:ランダムアクセス記憶装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 479043 (32)優先日 1983年3月25日 (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 479046 (32)優先日 1983年3月25日 (33)優先権主張国 米国(US) 審判番号 平5−15987 (72)発明者 ロデリツク・イ−・クライス アメリカ合衆国コロラド州ラブランド・ ガブリエル・ドライブ5613 (72)発明者 ア−ル・イ−・リンドバ−グ アメリカ合衆国カリフオルニア州サニ− ベイル・ヘレナ・ドライブ964 (72)発明者 デイリル・ストルト アメリカ合衆国コロラド州ラブランド・ ダイアナ・ドライブ2005 (56)参考文献 特開 昭57−48608(JP,A) 特開 昭56−133607(JP,A) 実公 昭53−987(JP,Y2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の(a)ないし(e)の特徴を有して
    なる角度測定用変換機: (a)軸のまわりに同時にかつ同一の回転をなすように
    軸支された第1ロータおよび第2ロータ:前記第1ロー
    タと第2ロータの各々はその周縁部に相異なる個数の極
    を有する; (b)前記第1ロータおよび第2ロータを前記軸のまわ
    りに回転させる手段; (c)前記第1ロータの周縁部の近傍に設けられた第1
    センサ手段:前記第1センサ手段は前記第1ロータの周
    縁部に設けられた極の通過に応答して前記第1ロータの
    回転の際に周期的な第1センサ信号を発生する; (d)前記第2ロータの周縁部の近傍に設けられるとと
    もに前記第2ロータの周縁部のまわりに前記軸を中心と
    した回転が可能であるように軸支された第2センサ手
    段:前記第2センサ手段は前記第2ロータの周縁部に設
    けられた極の通過に応答して周期的な第2センサ信号を
    発生し、前記第2センサ信号の前記第1センサ信号に対
    する位相は、前記第2センサ手段の前記軸のまわりにお
    ける前記第1センサ手段に対する回転角の関数であり、
    前記第1センサ信号および前記第2センサ信号が前記角
    度測定用変換器の角度測定用信号として出力される; (e)前記第1ロータおよび第2ロータの前記周縁部に
    夫々第1マークおよび第2マークを設けている:前記第
    1マークおよび第2マークは、夫々前記第1ロータおよ
    び第2ロータの周縁部上の極のうちの特定の2つの隣接
    する極の間隔が他の2つの隣接する極の間隔と異なるこ
    とによって識別される。
  2. 【請求項2】前記第1ロータおよび第2ロータの周縁部
    に夫々設けられた極の個数は互いに相手の倍数になって
    いないことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の角
    度測定用変換機。
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