JPH0524403B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は燃焼機器により急速な暖機と車室の暖
房を図る、車両における暖機・暖房装置に関する
ものである。

［従来の技術］ 特開昭52−87543号公報に開示される暖機装置
では、燃焼筒の内部にバーナと水管を配設し、機
関の冷却水を水管で加熱して機関を暖め、同時に
送風機により吸引した空気を燃焼筒の外周壁で加
熱し、吸気管を経て機関のシリンダへ供給してい
る。しかし、上述の装置では、燃焼ガスは外部へ
捨てられるので、燃焼熱が有効に利用されず、暖
機・暖房に時間がかかる。また、燃料気化装置を
備えていないので、燃焼器の燃焼と消化を繰り返
す時、特にデイーゼル燃料を使用する場合に、迅
速な燃焼開始が得にくいという問題がある。

［発明が解決しようとする問題点］ 本発明の目的は上述の問題に鑑み、燃焼器の消
化時、燃料気化管の残留燃料を吸い戻して消化時
の不完全燃焼を防止し、燃焼開始時、吸い戻した
燃料を瞬時に燃料気化管へ圧送して迅速な燃焼開
始を得る、車両における暖機・暖房装置を提供す
ることにある。

［問題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本発明の構成は機
関の吸気管の内部に上流側から順に燃焼器と熱交
換器を配設し、熱交換器に空気取入口と出口を備
え、出口を送風機を経て車室の暖房ユニツトに接
続し、前記燃焼器は周壁に多数の空気取入孔を有
する燃焼筒の内部に、多孔質の隔壁板を嵌挿して
着火室と出口を有する燃焼室とを区画し、燃焼筒
の周壁に支持した燃料気化管の内部に気化グロー
プラグを配設し、燃料気化管の先端に隔壁板の中
心開口へ突出するノズルを接続し、燃料ポンプと
燃料気化管の基端部とを結ぶ燃料供給管の途中
に、燃焼開始時燃料室の燃料を燃料気化管へ圧送
し、消化時燃料気化管の燃料を燃料室へ吸い戻す
電磁式プランジヤポンプを接続したものである。

［作用］ 予め電磁式プランジヤポンプに燃料ポンプから
燃料が充填されているので、燃焼器の燃焼開始
時、電磁コイルに通電すると、プランジヤがばね
の力に抗して押し下げられ、燃料室の燃料が燃料
気化管へ瞬時に充填され、気化グロープラグによ
り加熱気化され、着火室へ供給されるので、燃焼
器の燃焼が迅速に開始され、暖機と車室の暖房が
達せられる。

燃焼器を消火するために、気化グロープラグ、
電磁コイル、燃料ポンプへの通電を停止すると、
電磁式プラジヤポンプのプランジヤがばねにより
押し戻され、燃料気化管の残留燃料が電磁式プラ
ジヤポンプの燃料室へ吸い戻され、燃焼器が消火
され、残留燃料の不完全燃焼による白煙の発生、
燃料気化管へのカーボンの付着などが防止され
る。

［発明の実施例］ 第１図に示すように、機関１０の吸気管７の端
部に公知の空気清浄器２が接続され、空気清浄器
２の下流側に吸気管７と並列にバイパス管５が接
続される。吸気管７の途中に上流側から順に燃焼
器４と暖房用の熱交換器９が接続される。熱交換
器９は空気取入口８からの外気を加熱し、出口か
ら吸気ダクト１８の送風機１７により暖房ユニツ
ト１４のケース、吹出口１３を経て車室へ吹き出
す。

暖房ユニツト１４は送風機２１により外気を吸
気ダクト２０を経て冷凍サイクルを構成する冷媒
蒸発器（冷却器）１９へ送り、冷媒蒸発器１９で
外気を冷却するか冷却しないで、暖房ユニツト１
４の温水式熱交換器１５へ送り、温水式熱交換器
１５で加熱し、吹出口１３を経て車室へ吹き出
す。温水式熱交換器１５は導管１６を経て機関１
０の冷却水を貫流される。

燃焼器４は気化グロープラグ３ａ（第２図）を
内臓する燃料気化管３と点火グロープラグ６を備
えており、吸気管７へ吸引された空気と、燃料気
化管３からの気化燃料とを混合し、点火グロープ
ラグ６により着火する。燃焼ガスは熱交換器９を
経て内燃機関１０のシリンダへ送られる。燃料気
化管３は機関１０により駆動される燃料ポンプ１
２から燃料供給管２２を経て燃料を供給される。

本発明によれば、燃料供給管２２の途中に電磁
式プランジヤポンプ２３が接続される。上述の点
火グロープラグ６、燃料気化管３、電磁式プラン
ジヤポンプ２３、送風機１７は制御装置３１によ
り制御される。すなわち、制御装置３１はマイク
ロコンピユータ３８からなり、機関１０の水温セ
ンサ３２、アクセルペダルセンサ３３、発電機
（オールタネータ）センサなどの検出信号に基づ
き、スイツチａ，ｂ，ｃ，ｄを開閉し、送風機１
７、電磁式プランジヤポンプ２３、気化グロープ
ラグ３ａ、点火グロープラグ６の通電を制御す
る。

マイクロコンピユータ３８は機関１０を始動す
るキースイツチ３６を閉じると、電源バツテリ３
７から通電され、燃焼器４を運転して急速な車室
暖房を得るための操作スイツチ３５を閉じると、
スイツチｄを経て気化グロープラグ３ａが通電さ
れる。気化グロープラグ３ａの加熱用抵抗線と図
示してない３個の抵抗とからなるホイートストン
ブリツジ回路４２のバランス状態を検出する比較
器と、比較器の出力により駆動されるリレーとに
より、気化グロープラグ３ａの電流を制御され、
気化グロープラグ３ａの温度が所定値（例えば約
500℃）に維持される。

同様に、スイツチｃにより駆動される点火グロ
ープラグ６は、加熱用抵抗線と図示してない３個
の抵抗とからなるホイートストンブリツジ回路４
１のバランス状態を検出する比較器と、比較器の
出力により駆動されるリレーとにより、点火グロ
ープラグ６の電流を制御され、点火グロープラグ
６の温度が所定値（例えば約900℃）に維持され
る。

第２図に示すように、燃焼器４は円筒形のハウ
ジング４７の内部に環状の空気室４６を区画する
ように、セラミツクスからなる燃焼筒７１を収容
して構成される。燃焼筒７１の一端部はハウジン
グ４７により閉鎖され、他端部は出口４９を設け
られる。空気室４６は吸気管７を介して空気清浄
器２に、出口４９は吸気管７を経て熱交換器９に
それぞれ接続される。燃焼筒７１の周壁に空気取
入孔４８が設けられ、燃焼筒７１の内部に多数の
細孔を有する隔壁板４５を嵌挿して、着火室４３
と燃焼室５２が区画される。燃焼筒７１の周壁に
燃料気化管３が支持され、燃料気化管３の先端か
ら燃焼室５２を経て隔壁板４５の中心開口４４へ
ノズル５０が突出される。燃料気化管３は内部に
気化グロープラグ３ａを配設され、燃料供給管２
２から燃料を供給される。

燃料供給管２２は燃料タンク５９から燃料ポン
プ１２により燃料を供給され、燃料供給管２２の
途中に電磁式プランジヤポンプ２３を接続され
る。すなわち、燃料供給管２２はシリンダ６０に
嵌装したプランジヤ５４により区画された燃料室
７２に常時連通している。プランジヤ５４の反対
側の室は大気口５５を経て大気へ開放される。プ
ランジヤ５４とシリンダ６０の端壁との間に介装
したばね５３により、プランジヤ５４は大気室側
へ付勢されている。シリンダ６０の外側に配設し
た電磁コイル５７が励磁されると、磁性体からな
るプランジヤ５４が吸引され、燃料室７２の燃料
が燃料供給管２２を経て燃料気化管３へ供給され
る。

次に、本発明による車両における暖機・暖房装
置の作動について説明する。キースイツチ３６を
閉じ（但し機関は回転しない）、操作スイツチ３
５を閉じると、制御装置３１のマイクロコンピー
タ３８が作動され、機関の水温センサ３２、アク
セルセンサ３３などの燃焼機４の運転を要する外
的条件を検出するセンサの電気信号がマイクロコ
ンピユータ３８へ加えられ、これらの入力信号に
基づくマイクロコンピユータ３８の出力により、
スイツチａ，ｂ，ｃ，ｄが適時閉じられる。スイ
ツチｄが閉じると、ブリツジ回路４２を経て気化
グロープラグ３ａが通電され、スイツチｃが閉じ
ると、ブリツジ回路４１を経て点火グロープラグ
６が通電される。

スイツチｂが閉じると、電磁式プランジヤポン
プ２３の電磁コイル５７が励磁され、プランジヤ
５４がばね５３の力に抗して押し下げさられ（第
２図）、燃料室７２の燃料が瞬時に燃料気化管３
へ圧送される。燃料は気化グロープラグ３ａによ
り加熱気化され、ノズル５０から着火室４３へ噴
出される。燃料は着火室４３で点火グロープラグ
６により迅速に着火される。着火された燃料は多
数の細孔を有する隔壁板４５を経て燃焼室５２へ
入り、燃焼室５２で完全に燃焼される。燃焼ガス
は吸気管７の熱交換器９を経て機関１０のシリン
ダへ供給され、燃焼室を加熱するので、始動電動
機の駆動に伴つて機関１０が始動される。

一方、熱交換器９で加熱された暖房用空気は、
吸気ダクト１８、送風機１７、暖房ユニツト１
４、吹出口１３を経て車室へ吹き出され、車室の
急速暖房が達せられる。

こうして、燃焼器４による車室の急速暖房が達
せられると、機関の冷却水温度が次第に上昇し、
水温センサ３２の信号に基づいてマイクロコンピ
ユータ３８からスイツチｂを開く信号が発生し、
電磁式プランジヤポンプ２３の電磁コイル５７が
消磁される。ばね５３の力によりプランジヤ５４
が押し戻され、燃料気化管３の残留燃料が電磁式
プランジヤポンプ２３の燃料室７２へ吸い戻さ
れ、燃焼器４が迅速に消火される。同時に、スイ
ツチｃ，ｄが開かれ、燃焼器４の運転が停止され
る。

電磁式プランジヤポンプ２３の電磁コイル５７
は、シリンダ６０の外側に配置されているので、
燃焼室７２の容積を十分大きく、プランジヤ５４
のストロークを大きくできる。

なお、運転者が通常の温水式熱交換器１５によ
る暖房ユニツトの運転を操作すると、送風機２１
により吸引された車室の空気が吸気ダクト２０、
非作動状態にある冷媒蒸発器１９を経て、暖房ユ
ニツト１４のケースの内部で機関の冷却水が貫流
する温水式熱交換器１５により加熱され、吹出口
１３を経て車室へ吹き出される。

［発明の効果］ 本発明は上述のように、機関の吸気管の内部に
上流側から順に燃焼器と熱交換器を配設し、熱交
換器に空気取入口と出口を備え、出口を送風機を
経て車室の暖房ユニツトに接続し、前記燃焼器は
周壁に多数の空気取入孔を有する燃焼筒の内部
に、多孔質の隔壁板を嵌挿して着火室と出口を有
する燃焼室とを区画し、燃焼筒の周壁に支持した
燃料気化管の内部に気化グロープラグを配設し、
燃料気化管の先端に隔壁板の中心開口へ突出する
ノズルを接続し、燃料ポンプと燃料気化管の基端
部とを結ぶ燃料供給管の途中に、燃焼開始時燃料
室の燃料を燃料気化管へ圧送し、消火時燃料気化
管の燃料を燃料室へ吸い戻す電磁式プランジヤポ
ンプを接続したものであるから、次のような効果
を奏する。

燃焼器は機関の吸気管の内部に配設され、機関
の吸気を燃料の燃焼に利用し、燃焼ガスを機関の
シリンダへ供給するものであるから、機関の冷間
始動性が向上し、かつ急速な暖機運転が得られ
る。

燃焼ガスが熱交換器を貫流する時、暖房用空気
が加熱されて暖房ユニツトの吹出口から車室へ吹
き出されるので、急速暖房が得られる。

燃焼器の運転開始時、燃料気化管の内部に燃料
がなくても、電磁式プランジヤポンプの燃料室に
予め貯留された燃料が、燃料気化管へ瞬時に圧送
されるので、燃料の迅速な着火性が向上され、瞬
間的に燃焼を開始できる。

燃焼器の運転停止時、燃料気化管の燃料が電磁
式プランジヤポンプの燃料室へ瞬時に吸い戻され
るので、消火時の白煙の発生を防止し、燃料気化
管の残留燃料の炭化による目詰りを防止できる。

燃料ポンプからの叶出圧の脈動は、燃焼器へ送
られる燃料流量を変化させ、燃焼状態を不安定に
するが、電磁式プランジヤポンプの燃料室が燃料
供給管に接続されているので、燃料ポンプの脈動
圧が緩和され、燃焼器の安定した燃焼状態が得ら
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る車両における暖機・暖房
装置の構成図、第２図は同要部の構成図である。 ２：空気清浄器、３：燃料気化管、３ａ：気化
グロープラグ、４：燃焼器、６：点火グロープラ
グ、７：吸気管、８：空気取入口、９：熱交換
器、１０：機関、１２：燃料ポンプ、１４：暖房
ユニツト、１７：送風機、２２：燃料供給管、２
３：電磁式プランジヤポンプ、３１：制御装置、
４３：着火室、４５：隔壁板、４８：空気導入
孔、４９：出口、５０：ノズル、５２：燃焼室、
５９：燃料タンク、７１：燃焼筒、７２：燃料
室。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 機関の吸気管の内部に上流側から順に燃焼器
   と熱交換器を配設し、熱交換器に空気取入口と出
   口を備え、出口を送風機を経て車室の暖房ユニツ
   トに接続し、前記燃焼器は周壁に多数の空気取入
   孔を有する燃焼筒の内部に、多孔質の隔壁板を嵌
   挿して着火室と出口を有する燃焼室とを区画し、
   燃焼筒の周壁に支持した燃料気化管の内部に気化
   グロープラグを配設し、燃料気化管の先端に隔壁
   板の中心開口へ突出するノズルを接続し、燃料ポ
   ンプと燃料気化管の基端部とを結ぶ燃料供給管の
   途中に、燃焼開始時燃料室の燃料を燃料気化管へ
   圧送し、消化時燃料気化管の燃料を燃料室へ吸い
   戻す電磁式プランジヤポンプを接続したことを特
   徴とする、車両における暖機・暖房装置。