JPH0524360U - パツド印刷機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ［目的］ 容易かつ迅速な調整作業でもって、被印刷部
材とパッド部材とについて十分、高い平行精度を得、再
度の調整も可能とし、パッド下降位置で転写インクを転
写する際、パッド部材の押し付けを均一として濃淡の発
生を防止し、良好な印刷をなす。 ［構成］ 支持部材４とこれに対応する保持部材５との
両部材間において、駆動軸３の駆動軸線Ａ上に介在して
配置された球状体２１と、当該両部材４、５の対向面に
それぞれ形成された凹状の球状体受け部２２と、該球状
体受け部２２とこれにより保持された球状体２１とによ
って球状体２１を中心として支持部材４と相対的に傾斜
可能な保持部材５の傾斜位置を設定する位置決め手段２
３と、設定された傾斜位置において支持部材に対して保
持部材を固定する固定手段２４とを設けてなる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、転写インクが付与されたパッド部材を被印刷部材に押し付けること により被印刷部材に転写印刷を遂行してなるパッド印刷機に関する。

【０００２】

【従来の技術】

この種のパッド印刷機として、昇降駆動されるシリンダロッドにフランジ部材 を固定し、そのフランジ部材に、パッド部材を垂下したパッドホルダを支持させ る一方、テーブルに、離型されたままの状態でキーが多数、連結配設された一群 のキーボード等の被印刷部材を載置保持可能としており、シリンダロッドの往復 動に伴いパッド上昇位置とパッド下降位置との間でパッド部材を昇降させ、転写 インクを付与されたパッド部材を、パッド下降位置で被印刷部材に押し付け、一 群のキーボードの各キーに、一度に当該転写インクを転写印刷するようにしたも のが、従来、公知である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記従来のパッド印刷機にあっては、各構成部品個々の寸法精度や それらの組み付け精度に、また被印刷部材の寸法精度やテーブルによる被印刷部 材の保持精度に、おのずから限界があるので、被印刷部材とパッド部材とについ て高い平行精度を得るのは容易でなく、従って、パッド下降位置で転写インクを 被印刷部材に転写する際、被印刷部材とパッド部材とが相互に傾むいてしまい、 パッド部材の押し付けが不均一となって濃淡が生じ、良好な印刷が行なわれず、 問題があった。

【０００４】 特に、一群のキーボード等のようにその印刷が広い面に亘る場合には、問題は 重大であった。

【０００５】 これを解消するために、シリンダロッドのフランジ部材とパッドホルダと間に 適当に板状のスペーサ材を介在させ、被印刷部材とパッド部材とを平行に調整し 、更にその状態で、接着剤を用いてフランジ部材とパッドホルダとを固定するよ うにしたものがあるが、これによれば、その調整作業が面倒で、時間も掛かり、 また、接着剤により固定するので、再度の調整が不能となり、異種の被印刷部材 に印刷を行うに際し再調整を必要とするような場合には、もはや対応できず、問 題があった。

【０００６】 本考案は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、各 構成部品個々の寸法精度やそれらの組み付け精度に、また被印刷部材の寸法精度 やその保持精度について高い精度を得ることができなくても、容易かつ迅速な調 整作業によって、被印刷部材とパッド部材とについて十分、高い平行精度を得、 再度の調整も可能とし、パッド下降位置で転写インクを転写する際、パッド部材 の押し付けを均一として濃淡の発生を防止し、良好な印刷を行なえるパッド印刷 機を提供するにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案にあっては、上記従来の課題を解決するために、駆動軸線に沿って昇降 駆動される駆動軸と、該駆動軸に固定され該駆動軸とともに昇降動作を行う第１ の支持部材と、基台を構成する固定の第２の支持部材と、前記第１の支持部材に 対応して設けられるとともに該第１の支持部材に支持されパッド部材を垂下保持 してパッド上昇位置とパッド下降位置との間で第１の支持部材とともに昇降する 第１の保持部材と、前記第２の支持部材に対応して設けられるとともに該第２の 支持部材に支持され被印刷部材を載置保持する第２の保持部材とを備え、前記第 １の支持部材の下降に際して転写インクが付与されたパッド部材を被印刷部材に 押し付けることにより被印刷部材に転写印刷を遂行してなるパッド印刷機におい て、前記第１及び第２の支持部材の少なくともいずれか一方の支持部材とこれに 対応する保持部材との両部材間において、前記駆動軸の駆動軸線上に介在して配 置された球状体と、当該両部材の対向面にそれぞれ形成された凹状の球状体受け 部と、該球状体受け部とこれにより保持された球状体とによって球状体を中心と して支持部材と相対的に傾斜可能な保持部材の傾斜位置を設定する位置決め手段 と、設定された傾斜位置において支持部材に対して保持部材を固定する固定手段 とを設けた構成を特徴とするパッド印刷機を提案するものである。

【０００８】

【作用】

本考案は、上記構成により、前記第１及び第２の支持部材の少なくともいずれ か一方の支持部材とこれに対応する保持部材との両部材間において、前記駆動軸 の駆動軸線上に介在して配置された球状体と、当該両部材の対向面にそれぞれ形 成された凹状の球状体受け部と、該球状体受け部とこれにより保持された球状体 とによって球状体を中心として支持部材と相対的に傾斜可能な保持部材の傾斜位 置を設定する位置決め手段と、設定された傾斜位置において支持部材に対して保 持部材を固定する固定手段とを設けてなるので、各構成部品個々の寸法精度やそ れらの組み付け精度に、また被印刷部材の寸法精度やその保持精度について高い 精度を得ることができなくなくても、被印刷部材とパッド部材とが平行となるよ うに支持部材に対する保持部材の傾斜位置を可変設定することにより、容易かつ 迅速な調整作業によって、被印刷部材とパッド部材とについて十分、高い平行精 度を得、再度の調整も可能とし、パッド下降位置で転写インクを転写する際、パ ッド部材の押し付けを均一として濃淡の発生を防止し、特に、被印刷部材が一群 のキーボード等のようにその印刷が広い面に亘る場合に有効的であり、また、支 持部材に対する保持部材の傾斜位置にかかわらず、支持部材の往復駆動力をパッ ド部材に的確に伝達し、傾斜位置の設定に際し、保持部材の横方向の移動を抑制 して被印刷部材の所定の位置にパッド部材を下降させ、良好な印刷を可能とする 。

【０００９】

【実施例】

本考案に係るパッド印刷機の一実施例を図に基づき詳細に説明する。

【００１０】 図１中、鎖線で示す１は、パッド印刷機のハウジングである。ハウジング１の 上部には、駆動シリンダ２が位置し、これにより、駆動軸を構成するそのピスト ンロッド３が、駆動軸線Ａに沿って、同図に矢印Ｂで示すように、昇降駆動され るようになっている。

【００１１】 ピストンロッド３の下端部には、第１の支持部材を構成するフランジ部材４が 水平方向に沿って固定され、ピストンロッド３とともに昇降動作を行うようにな っている。また、フランジ部材４の下には、第１の支持部材と対応し、第１の保 持部材を構成するパッドホルダ取付台５が支持されるとともに、パッドホルダ取 付台５には、パッドホルダ６を介してパッド部材７が垂下保持されており、これ によって、パッドホルダ取付台５は、パッド上昇位置とパッド下降位置との間で フランジ部材４とともに昇降可能となっている。パッド部材７は、パッドホルダ ６の下面に形成された溝８に装着され、パッドホルダ６とパッドホルダ取付台５ とは各隅部においてボルト９で取り外し自在に締結されており、種々のパッド部 材７に対応して適正なパッドホルダ６が選択可能となっている。なお、パッド部 材７の素材としては、シリコン等が、一般的である。

【００１２】 一方、ハウジング１の下部には、基台を構成する第２の支持部材をなす台部材 １１が、水平方向に沿って設けられ、台部材１１上には、これと対応する第２の 保持部材を構成する被印刷部材取付台１２が支持されいる。そして、被印刷部材 取付台１２上に、保持具１３を用いて、被印刷部材１４、例えば、合成樹脂を素 材として、成型型から脱型されたままの状態でキー１５が多数、連結配設された 一群のキーボード等が載置保持されるようになっている。なお、台部材１１は、 その各隅部に位置するボルト１６により、ハウジング１に支持されたテーブル１ ７に固定され、被印刷部材取付台１２は、同様に各隅部に位置するボルト１８に より、台部材１１に固定されている。

【００１３】 被印刷部材１４に印刷を行うには、まず、駆動シリンダ２をレール１７に沿っ て、図１に矢印Ｃで示す右方向に走行移動し、パッド部材７を、同図の矢印Ｄに 沿って、同図に印刷機に比して縮小サイズでシンボル表示したエッチング処理鋼 版１９に向けて移動可能とし、当該鋼版１９よりパッド部材７に転写インク２０ を付与する。そして、駆動シリンダ２を原位置に復帰させ、パッド下降位置で、 パッド部材７を被印刷部材１４に押し付けることにより、パッド部材７の転写イ ンク２０を、被印刷部材１４に、本実施例においては、各キー１５の上面に、一 度に転写するようになっている。

【００１４】 ここにおいて、フランジ部材４とパッドホルダ取付台５との両部材間には、前 記駆動軸線Ａ上に介在する球状体２１が配置され、両部材４、５間には、間隙が 形成されるようになっている。また、両部材４、５の対向面には、それぞれ、円 錐形の凹状の球状体受け部２２が形成され、球状体２１と対接してそれを保持し 、この球状体受け部２２と球状体２１とによって、球状体２１を中心として、パ ッドホルダ取付台５がフランジ部材４と相対的に傾斜可能、すなわち傾斜角度を 可変できるようになっている。これに伴い、パッド部材７も傾斜可能となる。な お、凹状の球状体受け部２２は、円錐形状に限定されず、球状体２１を保持して それを中心としてパッドホルダ取付台５を傾斜可能とするような凹状のものであ ればよいものである。

【００１５】 また、フランジ部材４とパッドホルダ取付台５との両部材間には、球状体２１ の周囲に、位置決め手段を構成する位置決めボルト２３が、図２に示すように、 ４箇所に設けられている。この位置決めボルト２３は、フランジ部材４に螺合し 、その先端部が両部材４、５間に突出長さ可変に突出してパッドホルダ取付台５ の上面に当接し、これにより、フランジ部材４に対するパッドホルダ取付台５の 傾斜可変動作が規制され、各位置決めボルト２３の個々の調節によって得られる 先端部の突出長さに応じてパッドホルダ取付台５の傾斜位置が設定されるように なっている。

【００１６】 更に、両部材４、５間には、固定手段を構成する固定ボルト２４が、位置決め ボルト２３の外側に、図２に示すように、４箇所に設けられている。固定ボルト ２４は、フランジ部材４を挿通し、先端部がパッドホルダ取付台５に螺合して、 両部材４、５を締結固定するようになっている。パッドホルダ取付台５の傾斜位 置を再調整するには、固定ボルト２４を弛緩し、パッドホルダ取付台５の傾斜可 変動作を許容し、位置決めボルト２３を調節することにより行う。

【００１７】 上記構成により、フランジ部材４とこれに対応するパッドホルダ取付台５との 両部材間において、ピストンロッド３の駆動軸線Ａ上に介在して配置された球状 体２１と、当該両部材４、５の対向面にそれぞれ形成された凹状の球状体受け部 ２２と、球状体受け部２２とこれにより保持された球状体２１とによって球状体 ２１を中心としてフランジ部材４と相対的に傾斜可能なパッドホルダ取付台５の 傾斜位置を設定する位置決めボルト２３と、設定された傾斜位置においてフラン ジ部材４に対してパッドホルダ取付台５を固定する固定ボルト２４とを設けてい るので、各構成部品個々の寸法精度やそれらの組み付け精度に、また被印刷部材 １４の寸法精度やその保持精度について高い精度を得ることができなくても、被 印刷部材１４とパッド部材７とが平行となるようにフランジ部材４に対するパッ ドホルダ取付台５の傾斜位置を可変設定することにより、容易かつ迅速な調整作 業によって、被印刷部材１４とパッド部材７とについて十分、高い平行精度を得 、再度の調整も可能とし、パッド下降位置で転写インク２０を転写する際、パッ ド部材７の押し付けを均一として濃淡の発生を防止し、特に、被印刷部材１４が 一群のキーボード等のようにその印刷が広い面に亘る場合に有効的であり、また 、フランジ部材４に対するパッドホルダ取付台５の傾斜位置にかかわらず、フラ ンジ部材４の往復駆動力をパッド部材７に的確に伝達し、傾斜位置の設定に際し 、パッドホルダ取付台５の横方向の移動を抑制して被印刷部材１４の所定の位置 にパッド部材７を下降させ、良好な印刷を可能とする。

【００１８】 また、位置決め手段を位置決めボルト２３で構成することにより、微調整が可 能となり、パッドホルダ取付台５の傾斜位置の可変設定が精度よく行える。

【００１９】 以上に実施例を挙げて本考案を説明したが、本考案は上記実施例に限定される ことなく、その要旨を変更しない範囲で種々変更可能である。

【００２０】 例えば、実施例では、第１及び第２の支持部材のうち、一方の第１の支持部材 を構成するフランジ部材４とこれに対応する第２の保持部材を構成するパッドホ ルダ取付台５との間に球状体２１を配置してパッドホルダ５の傾斜位置を可変設 定しているが、これに限定されるものではない。具体的には、他方の第２の支持 部材を構成する台部材１１とこれに対応する第２の保持部材を構成する被印刷部 材取付台１２との両部材間において、上記実施例と同様に、まず、図１に鎖線で 示すように、前記駆動軸線Ａ上に球状体２１を配置（これにより、図では示し得 ないが両部材１１、１２間に間隙が形成される。）するとともに、凹状の球状体 受け部２２を形成し、位置決めボルト２３を設け、そして、ボルト１８を固定ボ ルト２４として用いることにより、被印刷部材取付台１２の傾斜位置を可変設定 するものでもよく、あるいは、第１及び第２の支持部材の両方について、それら と、それらに対応する第１及び第２の保持部材間において、上記実施例と同様に 構成し、パッド部材５及び被印刷部材取付台１２のいずれをもその傾斜位置をそ れぞれ可変設定してなるものでもよい。

【００２１】

【考案の効果】

以上に説明したように、本考案に係るパッド印刷機は、前記第１及び第２の支 持部材の少なくともいずれか一方の支持部材とこれに対応する保持部材との両部 材間において、前記駆動軸の駆動軸線上に介在して配置された球状体と、当該両 部材の対向面にそれぞれ形成された凹状の球状体受け部と、該球状体受け部とこ れにより保持された球状体とによって球状体を中心として支持部材と相対的に傾 斜可能な保持部材の傾斜位置を設定する位置決め手段と、設定された傾斜位置に おいて支持部材に対して保持部材を固定する固定手段とを設けてなるので、各構 成部品個々の寸法精度やそれらの組み付け精度に、また被印刷部材の寸法精度や その保持精度について高い精度を得ることができなくても、被印刷部材とパッド 部材とが平行となるように支持部材に対する保持部材の傾斜位置を可変設定する ことにより、容易かつ迅速な調整作業によって、被印刷部材とパッド部材とにつ いて十分、高い平行精度を得、再度の調整も可能とし、パッド下降位置で転写イ ンクを転写する際、パッド部材の押し付けを均一として濃淡の発生を防止し、特 に、被印刷部材が一群のキーボード等のようにその印刷が広い面に亘る場合に有 効的であり、良好な印刷を可能とし、また、支持部材に対する保持部材の傾斜位 置にかかわらず、支持部材の往復駆動力をパッド部材に的確に伝達し、傾斜位置 の設定に際し、保持部材の横方向の移動を抑制して被印刷部材の所定の位置にパ ッド部材を下降させ、良好な印刷を可能とする等、種々の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るパッド印刷機の一実施例の要部を
示すとともに図２の１−１線に沿って一部切断した状態
で示す正面図である。

【図２】図１の２−２線に沿って一部切断した状態で示
す要部平面図である。

【符号の説明】

３ ピストンロッド ４ フランジ部材 ５ パッドホルダ取付台 ６ パッドホルダ ７ パッド部材 １１ 台部材 １２ 被印刷部材取付台 １４ 被印刷部材 ２０ 転写インク ２１ 球状体 ２２ 球状体受け部 ２３ 位置決めボルト ２４ 固定ボルト Ａ 駆動軸線

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 駆動軸線に沿って昇降駆動される駆動軸
   と、該駆動軸に固定され該駆動軸とともに昇降動作を行
   う第１の支持部材と、基台を構成する固定の第２の支持
   部材と、前記第１の支持部材に対応して設けられるとと
   もに該第１の支持部材に支持されパッド部材を垂下保持
   してパッド上昇位置とパッド下降位置との間で第１の支
   持部材とともに昇降する第１の保持部材と、前記第２の
   支持部材に対応して設けられるとともに該第２の支持部
   材に支持され被印刷部材を載置保持する第２の保持部材
   とを備え、前記第１の支持部材の下降に際して転写イン
   クが付与されたパッド部材を被印刷部材に押し付けるこ
   とにより被印刷部材に転写印刷を遂行してなるパッド印
   刷機において、前記第１及び第２の支持部材の少なくと
   もいずれか一方の支持部材とこれに対応する保持部材と
   の両部材間において、前記駆動軸の駆動軸線上に介在し
   て配置された球状体と、当該両部材の対向面にそれぞれ
   形成された凹状の球状体受け部と、該球状体受け部とこ
   れにより保持された球状体とによって球状体を中心とし
   て支持部材と相対的に傾斜可能な保持部材の傾斜位置を
   設定する位置決め手段と、設定された傾斜位置において
   支持部材に対して保持部材を固定する固定手段とを設け
   たことを特徴とするパッド印刷機。