JPH05240101A - エンジンのクランク角検出方法 - Google Patents

エンジンのクランク角検出方法

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JPH05240101A
JPH05240101A JP4390492A JP4390492A JPH05240101A JP H05240101 A JPH05240101 A JP H05240101A JP 4390492 A JP4390492 A JP 4390492A JP 4390492 A JP4390492 A JP 4390492A JP H05240101 A JPH05240101 A JP H05240101A
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JP
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time
rotation
angle
rotation speed
difference
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JP4390492A
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Inventor
Kanji Kizaki
幹士 木崎
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】定常回転時には、回転速度の違いによらず余り
角度の時間換算のために使用される最終的な角度時間を
精度良く予測する。 【構成】エンジン回転パルスの基準位置から目標クラン
ク角度位置までのパルスカウント数と余り角度を求め、
その余り角度の時間換算のための最終的な角度時間TS
1125Aを求めるに当たり、前回の角度時間TS11
25(i−1)を求める。同一燃焼サイクル内にて回転
上昇時時間TN13と回転低下時時間TN6との差を回
転速度変化に相当する時間差として求め、各回転速度N
Eの定常回転時には、その時間差を実質的にゼロとする
オフセット値Aで補正して補正後時間差ΔTNとし、更
にその補正後時間差ΔTNにより前回の角度時間TS1
125(i−1)を補正して最終的な角度時間TS11
25Aを予測する。よって、定常回転時には最終的な角
度時間TS1125Aが一律同じに予測される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば自動車に適用
されるエンジンにおいて、その燃料噴射量制御や点火時
期制御の演算処理のために使用されるクランク角度を検
出するクランク角検出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば電子制御ディーゼルエンジ
ンの燃料噴射ポンプにおいては、そのプランジャのリフ
トに応じて得られる燃料噴射量が所要の目標噴射量とな
るように、電磁スピル弁等が制御されてスピルポートが
開かれるようになっている。これにより、プランジャ高
圧室からの燃料を燃料室へ溢流(スピル)させ、燃料の
圧送終わり、即ち燃料噴射の終了時期を制御して所要の
目標噴射量を得るようにしていた。
【0003】このような電磁スピル弁の制御では、通
常、プランジャのリフトに同期し且つ一定のポンプ回転
角度毎に入力される信号、例えばエンジン回転パルスと
エンジンの平均回転速度とに基づき目標スピル角度が時
間換算され、もって目標スピル時期が決定されるように
なっていた。そして、その目標スピル時期に基づき電磁
スピル弁がオン・オフ制御されるようになっていた。
【0004】例えば、日本自動車工業会特許部会から発
行されている自動車技術事例集(発行番号92140,
発行日:1992年1月20日)に開示された技術で
は、所要の目標噴射量を得るべく、一定のクランク角度
毎に得られるエンジン回転パルスに基づき、そのエンジ
ン回転パルスのある基準位置から目標スピル角度位置ま
でのパルスカウント数と1パルス分に満たない余り角度
が求められた。そして、その余り角度がエンジン回転速
度に基づいて時間換算され、もって目標スピル時期が決
定されていた。この場合、図12,13に示すように、
前回の燃焼サイクルにて目標スピル角度位置を含む所定
のクランク角度の間で検出されたエンジンの回転に要す
る角度時間、即ちスピル時パルス時間TS1125(i
−1)がエンジンの平均回転速度に基づいて補正され、
もって今回の燃焼サイクルにおける補正後スピル時パル
ス時間が予測されていた。そして、その補正後スピル時
パルス時間に基づき今回の余り角度が時間換算されるよ
うになっていた。ここで、上記の平均回転速度として
は、同一燃焼サイクル内における回転上昇時及び回転低
下時それぞれの平均回転速度が使用されていた。そし
て、それら各平均回転速度位置近傍で一定クランク角度
だけ回転するのに要する回転上昇時時間TN13(i)
及び回転低下時時間TN6(i)が求められていた。
又、それら両時間TN13(i),TN6(i)の間の
差を回転速度変化に相当する時間差とし、その時間差に
基づいて前回のスピル時パルス時間TS1125(i−
1)が補正されて補正後スピル時パルス時間が予測され
るようになっていた。
【0005】この構成により、エンジン回転速度の変化
中にも、余り角度の時間換算を精度良く行い、燃料噴射
の終了時期を精度良く制御して所要の目標噴射量を正確
に得るようにしていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来技
術において、エンジン回転速度の変化の少ない定常回転
時には、図12,13の比較からも明らかなように、一
燃焼サイクル内における瞬時回転速度の変動は各燃焼サ
イクルの間でほぼ同じ程度となるが、そのときのエンジ
ン回転速度のレベルの違いによっては、一定クランク角
度だけ回転するのに要する時間が異なることになった。
そのため、図12に示すように、エンジン回転速度のレ
ベルが相対的に低いアイドル時には、一燃焼サイクルの
時間が長くなり、それに伴って前述した両時間TN13
(i),TN6(i)もそれぞれ長くなり、それらの間
の時間差も大きくなる。一方、図13に示すように、エ
ンジン回転速度のレベルが相対的に高いアイドル時以外
の定常回転時には、一燃焼サイクルの時間が短くなり、
それに伴って両時間TN13(i),TN6(i)もそ
れぞれ短くなり、それらの間の時間差も小さくなる。
【0007】従って、アイドル時を含む定常回転時に、
単に上記のような時間差に基づいて前回のスピル時パル
ス時間TS1125(i−1)を補正していたのでは、
エンジン回転速度が変化していないにもかかわらず変化
したものとして、誤った補正が行われるおそれがあっ
た。その結果、今回の燃焼サイクルにおける補正後スピ
ル時パルス時間の予測精度が低下するおそれがあった。
【0008】この発明は前述した事情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、エンジンの定常回転時に
は、回転速度の違いにかかわらず、余り角度の時間換算
のために使用される今回の最終的な角度時間を精度良く
予測することの可能なエンジンのクランク角検出方法を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明においては、エンジンの瞬間回転速度が
最低となる時期近傍のクランク角度を検出するクランク
角検出方法において、一定クランク角度毎に得られるエ
ンジン回転パルスに基づき、そのエンジン回転パルスの
ある基準位置から検出すべき時期に相当する目標クラン
ク角度位置までのパルスカウント数と1パルス分に満た
ない余り角度を求め、更にその余り角度を時間換算する
に際し、各回転速度における定常回転時に、同一燃焼サ
イクル内における回転上昇時及び回転低下時それぞれの
平均回転速度位置近傍で一定クランク角度だけ回転する
のに要する角度時間に対し、それら二つの角度時間の差
を実質的にゼロとするような時間差補正値を、各回転速
度をパラメータとしたデータとして予め定めて備えてお
き、余り角度の時間換算のために使用される今回の最終
的な角度時間を求めるに当たり、前回の同一クランク角
度位置にて同一クランク角度だけ回転するのに要した角
度時間を換算用の角度時間として求めておき、今回の同
一燃焼サイクル内における回転上昇時及び回転低下時そ
れぞれの平均回転速度位置近傍で、一定クランク角度だ
け回転するのに要する角度時間をそれぞれ求め、次いで
その求められた二つの角度時間の差を回転速度変化に相
当する時間差として求め、更にその時間差を時間差補正
値により補正して補正後時間差とし、先に求められた換
算用の角度時間を補正後時間差に基づいて補正すること
により、換算用としての今回の最終的な角度時間を予測
するようにしている。
【0010】
【作用】上記の構成によれば、エンジンの瞬間回転速度
が最低となる時期近傍のクランク角度を検出するクラン
ク角検出方法において、余り角度の時間換算のために使
用される今回の最終的な角度時間を求めるに当たり、前
回の同一クランク角度位置にて同一クランク角度だけ回
転するのに要した角度時間を換算用の角度時間として求
めておく。又、今回の同一燃焼サイクル内における回転
上昇時及び回転低下時それぞれの平均回転速度位置近傍
で、一定クランク角度だけ回転するのに要する角度時間
をそれぞれ求める。次いで、その求められた二つの角度
時間の差を回転速度変化に相当する時間差として求め
る。更にその時間差を時間差補正値により補正して補正
後時間差とし、先に求められた換算用の角度時間をその
補正後時間差に基づいて補正することにより、換算用と
しての今回の最終的な角度時間を予測する。
【0011】ここで、時間差補正値とは、各回転速度に
おける定常回転時に、同一燃焼サイクル内における回転
上昇時及び回転低下時それぞれの平均回転速度位置近傍
で一定クランク角度だけ回転するのに要する角度時間に
対し、それら二つの角度時間の差を実質的にゼロとする
ように、各回転速度をパラメータとしたデータとして予
め定められて備えられたものである。即ち、前述した平
均回転速度位置近傍の二つの角度時間の差は、回転速度
変化の少ない定常回転時であっても、その回転速度の違
いによって異なってくる。そこで、この時間差補正値
は、定常回転時に各回転速度によって前述した二つの角
度時間の差に違いが出ないように、その差を実質的にゼ
ロとするように定められている。
【0012】従って、今回の燃焼サイクルにおいて実際
に求められる前述した平均回転速度位置近傍での二つの
角度時間の差を、前述した時間差補正値により補正して
補正後時間差とすることにより、定常回転時には、各回
転速度の違いによらず補正後時間差が実質的に一律にゼ
ロとなる。よって、回転速度変化の少ない定常回転時に
は、各回転速度の違いによらず、その補正後時間差に相
当する回転速度変化が一律に同じとなる。その結果、定
常回転時には、その補正後時間差に基づいて補正される
今回の最終的な角度時間も一律に同じとなり、回転速度
の違いによって異なった角度時間が予測されることがな
い。
【0013】
【実施例】以下、この発明におけるエンジンのクランク
角検出方法をディーゼルエンジンに具体化した一実施例
を図1〜図11に基いて詳細に説明する。
【0014】図9はこの実施例における過給機付ディー
ゼルエンジンの燃料噴射量制御装置を示す概略構成図で
あり、図10はその分配型燃料噴射ポンプ1を示す断面
図である。燃料噴射ポンプ1はディーゼルエンジン2の
クランク軸40にベルト等を介して駆動連結されたドラ
イブプーリ3を備えている。そして、そのドライブプー
リ3の回転によって燃料噴射ポンプ1が駆動され、ディ
ーゼルエンジン2の各気筒(この場合は4気筒)毎に設
けられた各燃料噴射ノズル4に燃料が圧送されて燃料噴
射が行われる。
【0015】燃料噴射ポンプ1において、ドライブプー
リ3はドライブシャフト5の先端に取付けられている。
又、そのドライブシャフト5の途中には、べーン式ポン
プよりなる燃料フィードポンプ(この図では90度展開
されている)6が設けられている。更に、ドライブシャ
フト5の基端側には円板状のパルサ7が取付けられてい
る。このパルサ7の外周面には、ディーゼルエンジン2
の気筒数と同数の、即ちこの場合4個の切歯が等角度間
隔で形成され、更に各切歯の間には14個ずつ(合計で
56個)の突起が等角度間隔で形成されている。そし
て、ドライブシャフト5の基端部は図示しないカップリ
ングを介してカムプレート8に接続されている。
【0016】パルサ7とカムプレート8との間には、ロ
ーラリング9が設けられ、同ローラリング9の円周に沿
ってカムプレート8のカムフェイス8aに対向する複数
のカムローラ10が取付けられている。カムフェイス8
aはディーゼルエンジン2の気筒数と同数だけ設けられ
ている。又、カムプレート8はスプリング11によって
常にカムローラ10に付勢係合されている。
【0017】カムプレート8には燃料加圧用プランジャ
12の基端が一体回転可能に取付けられ、それらカムプ
レート8及びプランジャ12がドライブシャフト5の回
転に連動して回転される。即ち、ドライブシャフト5の
回転力が図示しないカップリングを介してカムプレート
8に伝達されることにより、カムプレート8が回転しな
がらカムローラ10に係合して、気筒数と同数だけ図中
左右方向へ往復駆動される。又、この往復駆動に伴って
プランジャ12が回転しながら同方向へ往復駆動され
る。つまり、カムプレート8のカムフェイス8aがロー
ラリング9のカムローラ10に乗り上げる過程でプラン
ジャ12が往動(リフト)され、その逆にカムフェイス
8aがカムローラ10を乗り下げる過程でプランジャ1
2が復動される。
【0018】プランジャ12はポンプハウジング13に
形成されたシリンダ14に嵌挿されており、プランジャ
12の先端面とシリンダ14の底面との間が高圧室15
となっている。又、プランジャ12の先端側外周には、
ディーゼルエンジン2の気筒数と同数の吸入溝16と分
配ポート17が形成されている。又、それら吸入溝16
及び分配ポート17に対応して、ポンプハウジング13
には分配通路18及び吸入ポート19が形成さている。
【0019】そして、ドライブシャフト5が回転されて
燃料フィードポンプ6が駆動されることにより、図示し
ない燃料タンクから燃料供給ポート20を介して燃料室
21内へ燃料が供給される。又、プランジャ12が復動
されて高圧室15が減圧される吸入行程中に、吸入溝1
6の一つが吸入ポート19に連通することにより、燃料
室21から高圧室15へと燃料が導入される。一方、プ
ランジャ12が往動されて高圧室15が加圧される圧縮
行程中に、分配通路18から各気筒毎の燃料噴射ノズル
4へ燃料が圧送されて噴射される。
【0020】ポンプハウジング13には、高圧室15と
燃料室21とを連通させる燃料溢流(スピル)用のスピ
ル通路22が形成されている。このスピル通路22の途
中には、高圧室15からの燃料スピルを調整するスピル
調整弁としての電磁スピル弁23が設けられている。こ
の電磁スピル弁23は常開型の弁であり、コイル24が
無通電(オフ)の状態では弁体25が開放されて高圧室
15内の燃料が燃料室21へスピルされる。又、コイル
24が通電(オン)されることにより、弁体25が閉鎖
されて高圧室15から燃料室21への燃料のスピルが止
められる。
【0021】従って、電磁スピル弁23の通電時間を制
御することにより、同弁23が閉弁・開弁制御され、高
圧室15から燃料室21への燃料のスピル調整が行われ
る。そして、プランジャ12の圧縮行程中に電磁スピル
弁23を開弁させることにより、高圧室15内における
燃料が減圧されて、燃料噴射ノズル4からの燃料噴射が
停止される。つまり、プランジャ12が往動しても、電
磁スピル弁23が開弁している間は高圧室15内の燃料
圧力が上昇せず、燃料噴射ノズル4からの燃料噴射が行
われない。又、プランジャ12の往動中に、電磁スピル
弁23の閉弁・開弁の時期を制御することにより、燃料
噴射ノズル4からの噴射終了が調整されて燃料噴射量が
制御される。
【0022】ポンプハウジング13の下側には、燃料噴
射時期を制御するためのタイマ装置(この図では90度
展開されている)26が設けられている。このタイマ装
置26は、ドライブシャフト5の回転方向に対するロー
ラリング9の位置を変更することにより、カムフェイス
8aがカムローラ10に係合する時期、即ちカムプレー
ト8及びプランジャ12の往復駆動時期を変更するため
のものである。
【0023】タイマ装置26は制御油圧により駆動され
るものであり、タイマハウジング27と、同ハウジング
27内に嵌装されたタイマピストン28と、同じくタイ
マハウジング27内一側の低圧室29にてタイマピスト
ン28を他側の加圧室30へ押圧付勢するタイマスプリ
ング31等とから構成されている。そして、タイマピス
トン28はスライドピン32を介してローラリング9に
接続されている。
【0024】タイマハウジング27の加圧室30には、
燃料フィードポンプ6により加圧された燃料が導入され
るようになっている。そして、その燃料圧力とタイマス
プリング31の付勢力との釣り合い関係によってタイマ
ピストン28の位置(以下、「タイマピストン位置」と
いう)が決定される。又、そのタイマピストン位置が決
定されることにより、ローラリング9の位置が決定さ
れ、カムプレート8を介してプランジャ12の往復動タ
イミングが決定される。
【0025】タイマ装置26の制御油圧として作用する
燃料圧力を調整するために、タイマ装置26にはタイマ
制御弁(TCV)33が設けられている。即ち、タイマ
ハウジング27の加圧室30と低圧室29とが連通路3
4によって連通されており、同連通路34の途中にTC
V33が設けられている。このTCV33は、デューテ
ィ制御された通電信号によって開閉制御される電磁弁で
あり、同TCV33の開閉制御によって加圧室30内の
燃料圧力が調整される。そして、その燃料圧力の調整に
よって、プランジャ12のリフトタイミングが制御さ
れ、各燃料噴射ノズル4からの燃料噴射時期が制御され
る。
【0026】ローラリング9の上部には、電磁ピックア
ップコイルよりなる回転数センサ35が、パルサ7の外
周面に対向して取付けられている。この回転数センサ3
5はパルサ7の突起等が横切る際に、それらの通過を検
出してエンジン回転速度NEに相当するタイミング信
号、即ち一定のクランク角度(11.25°CA)毎の
エンジン回転パルスを出力する。又、この回転数センサ
35は、そのエンジン回転パルス毎の瞬時回転速度を検
出する。更に、この回転数センサ35は、ローラリング
9と一体であるため、タイマ装置26の制御動作に関わ
りなく、プランジャリフトに対して一定のタイミングで
基準となるタイミング信号を出力する。
【0027】次に、ディーゼルエンジン2について説明
する。このディーゼルエンジン2ではシリンダ41、ピ
ストン42及びシリンダヘッド43によって各気筒毎に
対応する主燃焼室44がそれぞれ形成されている。又、
それら各主燃焼室44に連通する副燃焼室45が各気筒
毎に対応して設けられている。そして、各副燃焼室45
には、各燃料噴射ノズル4から噴射される燃料が供給さ
れるようになっている。又、各副燃焼室45には、始動
補助装置としての周知のグロープラグ46がそれぞれ取
り付けられている。
【0028】ディーゼルエンジン2には、吸気管47及
び排気管48がそれぞれ設けられている。又、その吸気
管47には過給機を構成するターボチャージャ49のコ
ップレッサ50が設けられ、排気管48にはターボチャ
ージャ49のタービン51が設けられている。又、排気
管48には、過給圧PiMを調節するウェイストゲート
バルブ52が設けられている。周知のようにこのターボ
チャージャー49は、排気ガスのエネルギーを利用して
タービン51を回転させ、その同軸上にあるコンプレッ
サ50を回転させて吸入空気を昇圧させる。この作用に
より、密度の高い混合気を主燃焼室44へ送り込んで燃
料を多量に燃焼させ、ディーゼルエンジン2の出力を増
大させるようになっている。
【0029】又、ディーゼルエンジン2には、排気管4
8内の排気の一部を吸気管47の吸入ポート53へ還流
させる還流管54が設けられている。そして、その還流
管54の途中には、排気の還流量を調節するエキゾース
トガスリサキュレイションバルブ(EGRバルブ)55
が設けられている。このEGRバルブ55はバキューム
スイッチングバルブ(VSV)56の制御によって開閉
制御される。
【0030】更に、吸気管47の途中には、アクセルペ
ダル57の踏込量に連動して開閉されるスロットルバル
ブ58が設けられている。又、そのスロットルバルブ5
8に平行してバイパス路59が設けられ、同バイパス路
59にはバイパス絞り弁60が設けられている。このバ
イパス絞り弁60は、二つのVSV61,62の制御に
よって駆動される二段式のダイヤフラム室を有するアク
チュエータ63によって開閉制御される。このバイパス
絞り弁60は各種運転状態に応じて開閉制御されるもの
である。例えば、アイドル運転時には騒音振動等の低減
のために半開状態に制御され、通常運転時には全開状態
に制御され、更に運転停止時には円滑な停止のために全
閉状態に制御される。
【0031】そして、上記のように燃料噴射ポンプ1及
びディーゼルエンジン2に設けられた電磁スピル弁2
3、TCV33、グロープラグ46及び各VSV56,
61,62は電子制御装置(以下単に「ECU」とい
う)71にそれぞれ電気的に接続され、同ECU71に
よってそれらの駆動タイミングが制御される。
【0032】ディーゼルエンジン2の運転状態を検出す
るセンサとしては、前述した回転数センサ35に加え
て、以下の各種センサが設けられている。即ち、吸気管
47の入口に設けられたエアクリーナ64の近傍には、
吸気温度THAを検出する吸気温センサ72が設けられ
ている。又、スロットルバルブ58の開閉位置から、デ
ィーゼルエンジン2の負荷に相当するアクセル開度AC
CPを検出するアクセル開度センサ73が設けられてい
る。吸入ポート53の近傍には、ターボチャージャ49
によって過給された後の吸入空気圧力、即ち過給圧Pi
Mを検出する吸気圧センサ74が設けられている。更
に、ディーゼルエンジン2の冷却水温THWを検出する
水温センサ75が設けられている。又、クランク軸40
の回転基準位置、例えば特定気筒の上死点に対するクラ
ンク軸40の回転位置を検出するクランク角センサ76
が設けられている。更に又、図示しないトランスミッシ
ョンには、そのギアの回転によって回されるマグネット
77aによりリードスイッチ77bをオン・オフさせて
車両速度(車速)SPを検出する車速センサ77が設け
られている。
【0033】そして、ECU71には上述した各センサ
72〜77がそれぞれ接続されると共に回転数センサ3
5が接続されている。又、ECU71は各センサ35,
72〜77から出力される検出信号に基づき、電磁スピ
ル弁23、TCV33、グロープラグ46及びVSV5
6,61,62等を好適に制御する。
【0034】次に、前述したECU71の構成につい
て、図11のブロック図に従って説明する。ECU71
は中央処理装置(CPU)81、所定の制御プログラム
及びマップ等を予め記憶した読み出し専用メモリ(RO
M)82、CPU81の演算結果等を一時記憶するラン
ダムアクセスメモリ(RAM)83、予め記憶されたデ
ータを保存するバックアップRAM84等と、これら各
部と入力ポート85及び出力ポート86等とをバス87
によって接続した論理演算回路として構成されている。
ここで、CPU81は演算処理のために、フリーランニ
ングカウント動作を行うようになっている。
【0035】入力ポート85には、前述した吸気温セン
サ72、アクセル開度センサ73、吸気圧センサ74及
び水温センサ75が、各バッファ88,89,90,9
1、マルチプレクサ93及びA/D変換器94を介して
接続されている。同じく、入力ポート85には、前述し
た回転数センサ35、クランク角センサ76及び車速セ
ンサ77が、波形整形回路95を介して接続されてい
る。そして、CPU81は入力ポート85を介して入力
される各センサ35,72〜77等の検出信号を入力値
として読み込む。又、出力ポート86には各駆動回路9
6,97,98,99,100,101を介して電磁ス
ピル弁23、TCV33、グロープラグ46及びVSV
56,61,62等が接続されている。
【0036】そして、CPU81は各センサ35,72
〜77から読み込んだ入力値に基づき、電磁スピル弁2
3、TCV33、グロープラグ46及びVSV56,6
1,62等を好適に制御する。
【0037】次に、前述したECU71により実行され
る燃料噴射量制御の処理動作について図1〜図8に従っ
て説明する。先ず、図1のフローチャートはECU71
により実行される各処理のうち、回転数センサ35から
入力されるエンジン回転速度NEのエンジン回転パルス
の立ち上がりで割り込まれる「NE割込みルーチン」を
示している。
【0038】処理がこのルーチンへ移行すると、先ずス
テップ101において、フリーランニングカウント動作
により求められる今回のNE割込み時における現在時刻
FCと、前回のNE割込み時における現在時刻に相当す
る割込み時刻T0との差を、パルス時間TNINTとし
て設定する。即ち、図2のタイムチャートに示すよう
に、エンジン回転パルスの1パルス分に相当するクラン
ク角度(11.25°CA)だけ進むのに要する時間を
算出する。この図2では、パルスカウンタCNIRQの
値が「10」になってから「11」になるまでの1パル
ス分を例として挙げている。
【0039】次いで、ステップ102において、パルス
カウンタCNIRQの値が「13」であるか否かを判断
する。ここで、パルスカウンタCNIRQの値が「1
3」でない場合には、そのままステップ104へ移行す
る。これに対し、パルスカウンタCNIRQの値が「1
3」である場合には、ステップ103において、先にス
テップ101にて求められたパルス時間TNINTを回
転上昇時時間TN13として設定する。この回転上昇時
時間TN13は、図2に示すように、パルスカウンタC
NIRQの値が「12」になってから「13」になるま
でに、クランク角度で「11.25°CA」だけ進むの
に要するパルス時間TNINTに相当している。又、回
転上昇時時間TN13の位置は、ディーゼルエンジン2
の同一燃焼サイクル内において、そのエンジン回転速度
NEの瞬時回転速度が、回転上昇時の平均回転速度とな
る時期近傍に相当している。
【0040】そして、ステップ102又はステップ10
3から移行してステップ104においては、パルスカウ
ンタCNIRQの値が「6」であるか否かを判断する。
ここで、パルスカウンタCNIRQの値が「6」でない
場合には、そのままステップ106へ移行する。これに
対し、パルスカウンタCNIRQの値が「6」である場
合には、ステップ105において、先にステップ101
にて求められたパルス時間TNINTを回転低下時時間
TN6として設定する。この回転低下時時間TN6は、
図2に示すように、パルスカウンタCNIRQの値が
「5」になってから「6」になるまでに、クランク角度
で「11.25°CA」だけ進むのに要するパルス時間
TNINTに相当している。又、回転低下時時間TN6
の位置は、同一燃焼サイクル内において、そのエンジン
回転速度NEの瞬時回転速度が、回転低下時の平均回転
速度となる時期近傍に相当している。
【0041】そして、ステップ104又はステップ10
5から移行してステップ106においては、そのときの
エンジン回転速度NEにより時間差補正値としてのオフ
セット値Aを算出する。ここでのエンジン回転速度NE
の値は、別途の処理ルーチンにおいて、回転数センサ3
5の検出値の読み込みにより求められるものである。そ
して、このオフセット値Aは、図3に示すように、エン
ジン回転速度NEに対するオフセット値Aの関係を予め
定めたマップを参照して求められる。このマップでは、
各エンジン回転速度NEにおける定常回転時、即ちエン
ジン回転速度NEの変化(以下単に「回転速度変化」と
いう)の少ない時に、前述した同一燃焼サイクル内にお
ける回転上昇時時間TN13と回転低下時時間TN6と
の差を実質的にゼロとするようなオフセット値Aが、各
エンジン回転速度NEをパラメータとしたデータとして
実験的に確かめられた上で設定されている。このマップ
において、オフセット値Aはアイドル時に相当する低速
領域で大きく、低速領域から中速領域になるに連れて急
激に小さくなるようにプラスの値として設定されてい
る。即ち、回転上昇時時間TN13と回転低下時時間T
N6との差は、回転速度変化の少ない定常回転時であっ
ても、その回転速度の違いによって異なってくる。そこ
で、このマップのオフセット値Aによれば、定常回転時
に各エンジン回転速度NEによって、前述した二つの時
間TN13,TN6の差に違いが出ないように、その差
を実質的にゼロとするように定められている。
【0042】そして、ステップ107において、先にス
テップ103にて求められた回転上昇時時間TN13と
ステップ105にて求められた回転低下時時間TN6と
の差を、回転速度変化に相当する時間差として求め、更
にその時間差に、ステップ106にて求められたオフセ
ット値Aを加算して補正し、その算出結果をそのときの
回転速度変化に相当する時間差ΔTNとして設定する。
【0043】続いて、ステップ108において、その設
定された時間差ΔTNより、後述するスピル時パルス時
間TS1125を補正するための時間補正係数KDT1
を算出する。この時間補正係数KDT1は、図4に示す
ように、時間差ΔTNに対する時間補正係数KDT1の
関係を予め定めたマップを参照して求められる。このマ
ップでは、時間差ΔTNがプラスの場合、即ちエンジン
回転速度NEが上昇変化している場合には、スピル時パ
ルス時間TS1125を小さく補正すべく、時間補正係
数KDT1の値が「1.0」よりも小さく設定されてい
る。又、時間差ΔTNがマイナスの場合、即ちエンジン
回転速度NEが下降変化している場合には、スピル時パ
ルス時間TS1125を大きく補正すべく、時間補正係
数KDT1の値が「1.0」よりも大きく設定されてい
る。
【0044】その後、ステップ109においては、パル
スカウンタCNIRQの値が「9」であるか否かを判断
する。ここで、パルスカウンタCNIRQの値が「9」
でない場合には、そのままステップ111へ移行する。
これに対し、パルスカウンタCNIRQの値が「9」で
ある場合には、ステップ110において、先にステップ
101にて求められたパルス時間TNINTをスピル時
パルス時間TS1125として設定する。このスピル時
パルス時間TS1125は、図2に示すように、パルス
カウンタCNIRQの値が「8」になってから「9」に
なるまでにクランク角度で「11.25°CA」だけ進
むのに要するパルス時間TNINTに相当している。こ
れと共に、スピル時パルス時間TS1125の位置は、
エンジン回転速度NEの瞬間回転速度が最低となる時期
近傍に相当している。又、スピル時パルス時間TS11
25の位置は、ディーゼルエンジン2の運転状態に応じ
て決定される目標噴射量を得るべく、その噴射終了時期
である目標スピル角度に相当している。更に、スピル時
パルス時間TS1125は、次回の燃焼サイクルにおい
て目標スピル時期を予測決定するために用いられるもの
である。
【0045】そして、ステップ109又はステップ11
0から移行してステップ111においては、ステップ1
01における現在時刻FCを割込み時刻T0として設定
した後、その後の処理を一旦終了する。
【0046】次に、上記のように「NE割込みルーチ
ン」で求められる時間補正係数KDT1及びスピル時パ
ルス時間TS1125を使用して行われる燃料噴射量制
御の処理動作について説明する。
【0047】図5に示すフローチャートはECU71に
より実行される各処理のうち、燃料噴射ポンプ1におけ
る燃料噴射量制御のための「メインルーチン」であっ
て、所定時間毎の定時割込みで実行される。
【0048】処理がこのルーチンへ移行すると、先ずス
テップ201において、回転数センサ35、アクセル開
度センサ73及び水温センサ75の各検出値に基づい
て、エンジン回転速度NE、アクセル開度ACCP及び
冷却水温THWをそれぞれ読み込む。これと共に、「N
E割込みルーチン」で求められた時間補正係数KDT1
及び前回の燃焼サイクルにおけるスピル時パルス時間T
S1125(i−1)をそれぞれ読込む。
【0049】続いて、ステップ202において、そのア
クセル開度ACCP及び冷却水温THWにより、補正後
アクセル開度ACCPAを算出する。この補正後アクセ
ル開度ACCPAは冷却水温THWに応じて求められる
始動時疑似アクセル開度ACSTAと、アクセル開度A
CCP等との比較によって求められる。
【0050】次に、ステップ203において、先に読み
込まれたエンジン回転速度NE及び補正後アクセル開度
ACCPA等に基づき最終噴射量QFINを算出する。
この最終噴射量QFINは、予め定められた計算式に従
って求められる。
【0051】そして、ステップ204においては、先に
求められた最終噴射量QFINにより、スピル時期パル
ス数CANGLa及び余り角度θREMをそれぞれ算出
する。これらスピル時期パルス数CANGLa及び余り
角度θREMは、以下の計算式を参照して求められる。
【0052】QFIN=11.25×CANGLa+θ
REM つまり、図6に示すように、最終噴射量QFINをエン
ジン回転パルス1個分の角度に相当する「11.25」
で除算して、その商をスピル時期パルス数CANGLa
として求め、その余りを余り角度θREMとして求めて
設定するのである。ここで、スピル時期パルス数CAN
GLaは燃料噴射を終了するために電磁スピル弁23を
オフさせるべき、即ち燃料をスピルすべき目標スピル時
期に対応するエンジン回転パルス数に相当している(図
6では「8」である)。又、余り角度θREMは、その
スピル時期パルス数CANGLaにおける更に厳密な目
標スピル時期を角度で示した値である。
【0053】次に、ステップ205においては、先に読
み込まれた前回のスピル時パルス時間TS1125(i
−1)及び時間補正係数KDT1より、今回の最終的な
角度時間としての補正後スピル時パルス時間TS112
5Aを算出する。この補正後スピル時パルス時間TS1
125Aは、前回のスピル時パルス時間TS1125
(i−1)を、時間補正係数KDT1で補正して回転速
度変化を反映させたものであり、以下の計算式に従って
求められる。
【0054】TS1125A=TS1125(i−1)
*KDT1 そして、ステップ206において、先に求められた余り
角度θREMと補正後スピル時パルス時間TS1125
Aとにより、スピル時期パルス数CANGLaにおける
スピル時刻TSPONaを算出する。即ち、余り角度θ
REMを補正後スピル時パルス時間TS1125Aに基
づいて時間換算するのである。このスピル時刻TSPO
Naは以下の計算式に従って求められる。
【0055】TSPONa=(θREM/11.25)
*TS1125A その後、ステップ207において、ECU71による演
算処理速度を考慮し、多重割込みによる遅れを防止する
ために、スピル時刻TSPONaが所定の「88μs」
よりも小さいか否かを判断する。ここで、スピル時刻T
SPONaが所定の「88μs」よりも小さい場合に
は、ステップ208において、図7に示すように、スピ
ル時刻TSPONaに補正後スピル時パルス時間TS1
125Aを加算した結果を最終スピル時刻TSPONと
して設定する。又、同ステップ208において、スピル
時期パルス数CANGLaから「1」だけ減算した結果
を最終スピル時期パルス数CANGLとして設定する。
【0056】そして、ステップ209において、その設
定された最終スピル時期パルス数CANGL及び最終ス
ピル時刻TSPONに基づき電磁スピル弁23をオフさ
せ、燃料噴射ポンプ1からの燃料噴射の終了時期、即ち
燃料噴射量を制御し、その後の処理を一旦終了する。
【0057】一方、ステップ207において、スピル時
刻TSPONaが所定の「88μs」以上である場合に
は、ステップ210において、図8に示すように、スピ
ル時刻TSPONaをそのまま最終スピル時刻TSPO
Nとして設定する。又、同ステップ210において、ス
ピル時期パルス数CANGLaをそのまま最終スピル時
期パルス数CANGLとして設定する。
【0058】そして、ステップ209において、その設
定された最終スピル時期パルス数CANGL及び最終ス
ピル時刻TSPONに基づき、電磁スピル弁23をオフ
させて、燃料噴射ポンプ1からの燃料噴射の終了時期、
即ち燃料噴射量を制御し、その後の処理を一旦終了す
る。
【0059】以上説明したようにして、ディーゼルエン
ジン2における燃料噴射量制御が実行される。そして、
この実施例では、余り角度θREMを時間換算するため
に、単に前回の目標スピル角度近傍でのスピル時パルス
時間TS1125(i−1)を使用するのではなく、そ
のスピル時パルス時間TS1125(i−1)を補正し
た補正後スピル時パルス時間TS1125Aを使用して
いる。しかも、その補正後スピル時パルス時間TS11
25Aを求めるに当たり、今回の同一燃焼サイクル内に
おける回転上昇時及び回転低下時それぞれの平均回転速
度位置近傍で、1パルス分のクランク角度だけ回転する
のに要する角度時間、即ち回転上昇時時間TN13及び
回転低下時時間TN6をそれぞれ求めている。又、その
求められた回転上昇時時間TN13と回転低下時時間T
N6との差を回転速度変化に相当する時間差として求
め、更にその時間差にオフセット値Aを加算して補正
し、その算出結果を回転速度変化に相当する補正後の時
間差ΔTNとしている。即ち、各エンジン回転速度NE
における定常回転時には、同一燃焼サイクルにおける回
転上昇時時間TN13と回転低下時時間TN6との差が
実質的にゼロとなるように、オフセット値Aによって補
正された時間差ΔTNが求められる。そして、その求め
られた補正後の時間差ΔTNに対応して得られる時間補
正係数KDT1に基づき、前回のスピル時パルス時間T
S1125(i−1)を補正することにより、時間換算
用としての今回の最終的な補正後スピル時パルス時間T
S1125Aを予測している。
【0060】従って、今回の燃焼サイクルにおいて実際
に求められる回転上昇時時間TN13と回転低下時時間
TN6との差をオフセット値Aにより補正して補正後の
時間差ΔTNとすることにより、定常回転時には各エン
ジン回転速度NEの違いによらず、その時間差ΔTNが
実質的に一律にゼロとなる。よって、回転速度変化の少
ない定常回転時には、各エンジン回転速度NEの違いに
よらず、その時間差ΔTNから求められて回転速度変化
に相当する時間補正係数KDT1が一律に同じとなる。
よって、定常回転時には、その時間補正係数KDT1に
より補正される今回の最終的な補正後スピル時パルス時
間TS1125Aも一律に同じとなり、各エンジン回転
速度NEの違いによって異なった補正後スピル時パルス
時間TS1125Aが予測されることはない。
【0061】その結果、各エンジン回転速度NEにおい
てアイドル時を含む定常回転時には、補正後スピル時パ
ルス時間TS1125Aが誤って補正されることがなく
なり、その予測精度を向上させて補正後スピル時パルス
時間TS1125Aを精度良く予測することができる。
【0062】そして、このように精度良く予測される補
正後スピル時パルス時間TS1125Aにより余り角度
θREMを時間換算していることから、その時間換算を
高精度に行うことができる。従って、燃料のスピルを実
行するための時刻タイミングを更に正確に決定すること
ができ、燃料噴射量制御をより高精度に行うことができ
る。一方、定常回転時とは異なりエンジン回転速度NE
が変化するような場合には、回転速度変化を反映した時
間差ΔTNに基づいて前回の燃焼サイクルにおけるスピ
ル時パルス時間TS1125(i−1)を補正している
ことから、今回の燃焼サイクルで使用されるべき補正後
スピル時パルス時間TS1125Aが、その回転速度変
化に応じて適正に予測されて求められる。そして、その
適正に予測された補正後スピル時パルス時間TS112
5Aにより余り角度θREMが時間換算されることか
ら、その時間換算をより高精度に行うことができる。そ
の結果として、燃料のスピルを実行するための時刻タイ
ミングをエンジン回転速度NEの変化に応じてより正確
に決定することができ、燃料噴射量制御をより高精度に
行うことができる。
【0063】尚、この発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で構成の一部
を適宜に変更して次のように実施することもできる。 (1)前記実施例では、同一燃焼サイクル内における回
転上昇時及び回転低下時それぞれの平均回転速度位置近
傍での一定クランク角度だけ回転するのに要するクラン
ク角時間として、パルスカウンタCNIRQの値が「1
2」から「13」になるまでの間の回転上昇時時間TN
13と、パルスカウンタCNIRQの値が「5」から
「6」になるまでの間の回転低下時時間TN6を使用し
たが、これに限定されるものではない。例えば、パルス
カウンタCNIRQの値が「11」から「12」になる
までの間の回転上昇時時間TN12と、パルスカウンタ
CNIRQの値が「6」から「7」になるまでの間の回
転低下時時間TN7を使用してもよい。
【0064】(2)前記実施例では、オフセット値Aを
プラスの値に設定して、回転上昇時時間TN13と回転
低下時時間TN6との差に加算して補正するようにした
が、同一燃焼サイクル内における回転上昇時及び回転低
下時それぞれの平均回転速度位置近傍で一定クランク角
度だけ回転するのに要する角度時間として、前述した各
時間TN13,TN6以外の時間を使用した場合に、必
要に応じてオフセット値Aをマイナスの値に設定しても
よい。
【0065】(3)前記実施例では、ディーゼルエンジ
ン2の燃料噴射量制御に具体化して説明したが、例えば
ガソリンエンジンの目標点火時期近傍のクランク角度を
検出する場合に適用して具体化することもできる。
【0066】(4)前記実施例では、オフセット値Aを
算出するのにマップを用いたが、そのオフセット値Aの
値をエンジン回転数NEの関数として所定の計算式に従
って求めるようにしてもよい。
【0067】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、余り角度の時間換算のために使用されるべき今回の
最終的な角度時間を求めるに当たり、前回の同一クラン
ク角度位置にて同一クランク角度だけ回転するのに要し
た角度時間を換算用の角度時間として求め、今回の同一
燃焼サイクル内における回転上昇時及び回転低下時それ
ぞれの平均回転速度位置近傍で一定クランク角度だけ回
転するのに要する二つの角度時間の差を回転速度変化に
相当する時間差として求め、更に各回転速度における定
常回転時に前記時間差を実質的にゼロとするような時間
差補正値により補正して補正後時間差とし、前記換算用
の角度時間をその補正後時間差に基づいて補正して換算
用の今回の最終的な角度時間を予測するようにしてい
る。そのため、定常回転時には各回転速度の違いによら
ず、換算用の今回の最終的な角度時間が一律に同じとな
り、定常回転時には各回転速度の違いにかかわらず今回
の最終的な角度時間を精度良く予測することができ、も
ってその最終的な角度時間に基づいて余り角度の時間換
算をより高精度に行うことができるという優れた効果を
発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を具体化した一実施例においてECU
により実行され、エンジン回転パルスの立ち上がりで割
り込まれるNE割込みルーチンを説明するフローチャー
トである。
【図2】一実施例において、エンジン回転速度の変化と
エンジン回転パルスとの対応関係を説明するタイムチャ
ートである。
【図3】一実施例において、エンジン回転速度に対する
オフセット値の関係を予め定めてなるマップである。
【図4】一実施例において、時間差に対する時間補正係
数の関係を予め定めてなるマップである。
【図5】一実施例において、ECUにより実行される燃
料噴射量制御のための「メインルーチン」を説明するフ
ローチャートである。
【図6】一実施例において、エンジン回転パルスと電磁
スピル弁作動との対応関係、最終噴射量に応じたスピル
時期パルス数及び最終スピル時刻等を説明するタイムチ
ャートである。
【図7】一実施例において、スピル時刻が88μsより
も小さい場合のエンジン回転パルスと電磁スピル弁作動
との対応関係、最終スピル時期パルス数及び最終スピル
時刻等を説明するタイムチャートである。
【図8】一実施例において、スピル時刻が88μs以上
の場合のエンジン回転パルスと電磁スピル弁作動との対
応関係、最終スピル時期パルス数及び最終スピル時刻等
を説明するタイムチャートである。
【図9】一実施例において、過給機付ディーゼルエンジ
ンの燃料噴射量制御装置を説明する概略構成図である。
【図10】一実施例において燃料噴射ポンプを示す断面
図である。
【図11】一実施例においてECUの電気的構成を示す
ブロック図である。
【図12】従来技術において、定常回転時としてのアイ
ドル時のエンジン回転速度の変化とエンジン回転パルス
との対応関係を説明するタイムチャートである。
【図13】従来技術において、アイドル時以外の定常回
転時のエンジン回転速度の変化とエンジン回転パルスと
の対応関係を説明するタイムチャートである。
【符号の説明】
1…燃料噴射ポンプ、2…ディーゼルエンジン、23…
電磁スピル弁、35…回転数センサ、71…ECU、T
S1125…換算用の角度時間としてのスピル時パルス
時間、TS1125A…換算用の最終的な角度時間とし
ての補正後スピル時パルス時間、θREM…余り角度、
TN13…回転上昇時の平均回転速度位置近傍における
角度時間としての回転上昇時時間、TN6…回転低下時
の平均回転速度位置近傍における角度時間としての回転
低下時時間、ΔTN…補正後時間差としての時間差、A
…時間差補正値としてのオフセット値。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの瞬間回転速度が最低となる時
    期近傍のクランク角度を検出するクランク角検出方法に
    おいて、 一定クランク角度毎に得られるエンジン回転パルスに基
    づき、そのエンジン回転パルスのある基準位置から検出
    すべき時期に相当する目標クランク角度位置までのパル
    スカウント数と1パルス分に満たない余り角度を求め、
    更にその余り角度を時間換算するに際し、 各回転速度における定常回転時に、同一燃焼サイクル内
    における回転上昇時及び回転低下時それぞれの平均回転
    速度位置近傍で一定クランク角度だけ回転するのに要す
    る角度時間に対し、それら二つの角度時間の差を実質的
    にゼロとするような時間差補正値を、各回転速度をパラ
    メータとしたデータとして予め定めて備えておき、 前記余り角度の時間換算のために使用される今回の最終
    的な角度時間を求めるに当たり、 前回の同一クランク角度位置にて同一クランク角度だけ
    回転するのに要した角度時間を換算用の角度時間として
    求めておき、 今回の同一燃焼サイクル内における回転上昇時及び回転
    低下時それぞれの平均回転速度位置近傍で、一定クラン
    ク角度だけ回転するのに要する角度時間をそれぞれ求
    め、 次いでその求められた二つの角度時間の差を回転速度変
    化に相当する時間差として求め、 更にその時間差を前記時間差補正値により補正して補正
    後時間差とし、 先に求められた前記換算用の角度時間を前記補正後時間
    差に基づいて補正することにより、換算用としての今回
    の最終的な角度時間を予測することを特徴とするエンジ
    ンのクランク角検出方法。
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