JP2692490B2 - エンジンのクランク角度の時間変換装置 - Google Patents

エンジンのクランク角度の時間変換装置

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JP2692490B2
JP2692490B2 JP4142812A JP14281292A JP2692490B2 JP 2692490 B2 JP2692490 B2 JP 2692490B2 JP 4142812 A JP4142812 A JP 4142812A JP 14281292 A JP14281292 A JP 14281292A JP 2692490 B2 JP2692490 B2 JP 2692490B2
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    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B3/00Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition
    • F02B3/06Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition with compression ignition

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  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ディーゼルエンジン
等のエンジンの制御に関し、より詳しくはエンジンのク
ランク角度の時間変換装置に関するものである。特に、
電子制御式ディーゼルエンジンの燃料溢流時期の算出の
際に行われる余りクランク角度の時間変換のための装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば電子制御ディーゼルエンジ
ンの燃料噴射ポンプにおいては、そのプランジャのリフ
トに応じて得られる燃料噴射量が所要の目標噴射量とな
るように、電磁スピル弁等が制御されてスピルポートが
開かれるようになっている。これにより、プランジャ高
圧室からの燃料を燃料室へ溢流(スピル)させ、燃料の
圧送終わり、即ち燃料噴射の終了時期を制御して所要の
目標噴射量を得るようにしていた。
【0003】このような電磁スピル弁の制御では、通
常、プランジャのリフトに同期し且つ一定のポンプ回転
角度毎に入力される信号、例えばエンジン回転パルスと
エンジンの平均回転速度とに基づき目標スピル角度が時
間換算され、もって目標スピル時期が決定されるように
なっていた。そして、その目標スピル時期に基づき電磁
スピル弁がオン・オフ制御されるようになっていた。
【0004】例えば、本出願人による特願平4−283
56号に提案された技術では、所要の目標噴射量を得る
べく、一定のクランク角度毎に得られるエンジン回転パ
ルスに基づき、そのエンジン回転パルスのある基準位置
から目標スピル角度位置までのパルスカウント数と1パ
ルス分に満たない余り角度が求められていた。そして、
その余り角度が時間換算されて目標スピル時期が決定さ
れていた。この場合、前回の燃焼サイクルにて目標スピ
ル角度位置を含む所定のクランク角度(「11.25°
CA」)の間等で検出されたエンジンの回転に要する角
度時間、即ちスピル時パルス時間等が余り角度の時間換
算に使用されるようになっていた。又、同一燃焼サイク
ル内における二つのエンジン回転パルスに要する時間が
求められ、それらの時間の間の差(時間差)がエンジン
回転速度の変化を代表する値として求められていた。そ
して、スピル時パルス時間が時間差より求められた回転
速度変化の代表値により予測補正され、その補正後のス
ピル時パルス時間に基づいて今回の余り角度が時間換算
されるようになっていた。この構成により、エンジン回
転速度の変化の際にも、余り角度の時間換算を精度良く
行い、燃料噴射の終了時期を精度良く制御して所要の目
標噴射量を正確に得るようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来技
術では、エンジン回転速度の変化や変動幅が極端に大き
くなった場合に、補正後のスピル時パルス時間の予測誤
差が大きくなり過ぎるおそれがあった。例えば、前記従
来技術を自動車の電子制御ディーゼルエンジンに具体化
した場合に、車両のサージに起因する反力が不意にエン
ジンに加わったりすると、エンジン回転速度の変動幅が
極端に大きくなることがあった。その場合には、エンジ
ン回転速度の変動が予測通りとならず、補正後のスピル
時パルス時間が過剰に補正されて予測誤差が大きくなる
おそれがあった。その結果、余り角度の時間換算値が極
端に大きくなり、場合によっては、燃料噴射ポンプがポ
ンプ能力の最大量を噴射してしまうことを引き起こす
等、燃料噴射終了時期の制御、即ち燃料噴射量の制御を
悪化させるというおそれがあった。
【0006】この発明は前述した事情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、エンジン回転速度の変化や
変動幅が極端に大きく、計算によるエンジン回転変動予
測が成功しない虞がある場合には、時間変換が求められ
ているクランク角度(例えば前記余り角度)の時間換算
のために使用されるべき角度時間の予測誤差の拡大を抑
制する方向に働いて、より正確なクランク角度の時間変
換を達成することができるエンジンのクランク角度の時
間変換装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の装置は、エンジンの基準クランク角度位
置から目標クランク角度位置までのクランク角度を時間
に変換するための装置であって、前記目標クランク角度
位置が含まれる今回燃焼サイクルより前の燃焼サイクル
内において単位クランク角度を回転するのに要する時間
を求める回転所要時間算出手段と、今回燃焼サイクル内
で選択される同一クランク角度からなる二つの区間をそ
れぞれ回転するのに要する時間を計測し、これら二つの
回転所要時間の変化量を算出する変化量算出手段と、前
記回転所要時間の変化量に基づいて、今回燃焼サイクル
内でのエンジン回転変動の予測補正に用いる時間補正係
数を算出する補正係数算出手段と、前記回転所要時間の
変化量が所定値以上であるか否かを判定する第一の判定
手段と、前記補正係数算出手段により算出された時間補
正係数が予め定められたガード値を超えるか否かを判定
する第二の判定手段と、前記回転所要時間の変化量が前
記所定値以上で且つ前記時間補正係数が前記ガード値を
超える場合には、当該ガード値を前記時間補正係数とし
て再設定する補正係数再設定手段と、前記単位クランク
角度と、前記単位クランク角度の回転所要時間と、前記
補正係数算出手段又は前記補正係数再設定手段によって
設定された時間補正係数とに基づいて、前記基準クラン
ク角度位置から前記目標クランク角度位置までのクラン
ク角度の時間変換値を算出する時間変換値算出手段とを
備えている
【0008】
【作用】上記の構成によれば、回転所要時間算出手段
は、目標クランク角度位置が含まれる今回燃焼サイクル
より前の燃焼サイクル内において単位クランク角度を回
転するのに要する時間を求める。他方、変化量算出手段
は、今回燃焼サイクル内で選択される同一クランク角度
からなる二つの区間をそれぞれ回転するのに要する時間
を計測し、これら二つの回転所要時間の変化量を算出す
る。そして、補正係数算出手段により、この回転所要時
間の変化量に基づいて、今回燃焼サイクル内でのエンジ
ン回転変動の予測補正に用いる時間補正係数が算出され
る。通常は、こうして求められた、単位クランク角度
と、該単位クランク角度の回転所要時間と、前記時間補
正係数とに基づいて、基準クランク角度位置から目標ク
ランク角度位置までのクランク角度の時間変換値が時間
変換値算出手段によって算出される。しかしながら、本
発明では更に、前記第一の判定手段、第二の判定手段及
び補正係数再設定手段の協働的作用により、所定の判定
条件の充足状況に応じて、前記時間変換値算出手段で用
いられるべき時間補正係数の再設定ないし入れ替えを行
っている
【0009】即ち、第一の判定手段により、変化量算出
手段によって算出された回転所要時間の変化量が所定値
以上であるか否かが判定される。また、第二の判定手段
により、補正係数算出手段により算出された時間補正係
数が予め定められたガード値を超えるか否かが判定され
る。これら二つの判定条件が同時に満たされる場合に
は、「今回燃焼サイクル内で選択される同一クランク角
度からなる二つの区間をそれぞれ回転するのに要する二
つの回転所要時間の変化量」に基づいて、エンジン回転
変動を予測することが成功しない状況(例えばサージ現
象のような予測に適さない極端な回転速度変化)が生じ
ているものと間接判定する。そして、この場合には、補
正係数再設定手段により、前記ガード値が時間補正係数
として再設定され、この再設定された時間補正係数が時
間変換値算出手段で用いられる。換言すれば、前記二つ
の判定条件が同時に満たされる場合には、補正係数算出
手段によって算出された時間補正係数を用いるのは止め
にして、前記ガード値を時間補正係数として用い、基準
クランク角度位置から目標クランク角度位置までのクラ
ンク角度の時間変換値に致命的な誤差が生じるのを防止
している
【0010】
【実施例】以下、本発明に従うエンジンのクランク角度
の時間変換装置を自動車のディーゼルエンジンに具体化
した一実施例を図1〜図11に基いて詳細に説明する。
【0011】図9はこの実施例における過給機付ディー
ゼルエンジンの燃料噴射量制御装置を示す概略構成図で
あり、図10はその分配型燃料噴射ポンプ1を示す断面
図である。燃料噴射ポンプ1はディーゼルエンジン2の
クランクシャフト40にベルト等を介して駆動連結され
たドライブプーリ3を備えている。そして、そのドライ
ブプーリ3の回転によって燃料噴射ポンプ1が駆動さ
れ、ディーゼルエンジン2の各気筒(この場合は4気
筒)毎に設けられた各燃料噴射ノズル4に燃料が圧送さ
れて燃料噴射が行われる。
【0012】燃料噴射ポンプ1において、ドライブプー
リ3はドライブシャフト5の先端に取付けられている。
又、そのドライブシャフト5の途中には、べーン式ポン
プよりなる燃料フィードポンプ(この図では90度展開
されている)6が設けられている。更に、ドライブシャ
フト5の基端側には円板状のパルサ7が取付けられてい
る。このパルサ7の外周面には、ディーゼルエンジン2
の気筒数と同数の、即ちこの場合4個の切歯が等角度間
隔で形成され、更に各切歯の間には14個ずつ(合計で
56個)の突起が等角度間隔で形成されている。そし
て、ドライブシャフト5の基端部は図示しないカップリ
ングを介してカムプレート8に接続されている。
【0013】パルサ7とカムプレート8との間には、ロ
ーラリング9が設けられ、同ローラリング9の円周に沿
ってカムプレート8のカムフェイス8aに対向する複数
のカムローラ10が取付けられている。カムフェイス8
aはディーゼルエンジン2の気筒数と同数だけ設けられ
ている。又、カムプレート8はスプリング11によって
常にカムローラ10に付勢係合されている。
【0014】カムプレート8には燃料加圧用プランジャ
12の基端が一体回転可能に取付けられ、それらカムプ
レート8及びプランジャ12がドライブシャフト5の回
転に連動して回転される。即ち、ドライブシャフト5の
回転力が図示しないカップリングを介してカムプレート
8に伝達されることにより、カムプレート8が回転しな
がらカムローラ10に係合して、気筒数と同数だけ図中
左右方向へ往復駆動される。又、この往復駆動に伴って
プランジャ12が回転しながら同方向へ往復駆動され
る。つまり、カムプレート8のカムフェイス8aがロー
ラリング9のカムローラ10に乗り上げる過程でプラン
ジャ12が往動(リフト)され、その逆にカムフェイス
8aがカムローラ10を乗り下げる過程でプランジャ1
2が復動される。
【0015】プランジャ12はポンプハウジング13に
形成されたシリンダ14に嵌挿されており、プランジャ
12の先端面とシリンダ14の底面との間が高圧室15
となっている。又、プランジャ12の先端側外周には、
ディーゼルエンジン2の気筒数と同数の吸入溝16と分
配ポート17が形成されている。又、それら吸入溝16
及び分配ポート17に対応して、ポンプハウジング13
には分配通路18及び吸入ポート19が形成さている。
【0016】そして、ドライブシャフト5が回転されて
燃料フィードポンプ6が駆動されることにより、図示し
ない燃料タンクから燃料供給ポート20を介して燃料室
21内へ燃料が供給される。又、プランジャ12が復動
されて高圧室15が減圧される吸入行程中に、吸入溝1
6の一つが吸入ポート19に連通することにより、燃料
室21から高圧室15へと燃料が導入される。一方、プ
ランジャ12が往動されて高圧室15が加圧される圧縮
行程中に、分配通路18から各気筒毎の燃料噴射ノズル
4へ燃料が圧送されて噴射される。
【0017】ポンプハウジング13には、高圧室15と
燃料室21とを連通させる燃料溢流(スピル)用のスピ
ル通路22が形成されている。このスピル通路22の途
中には、高圧室15からの燃料スピルを調整するスピル
調整弁としての電磁スピル弁23が設けられている。こ
の電磁スピル弁23は常開型の弁であり、コイル24が
無通電(オフ)の状態では弁体25が開放されて高圧室
15内の燃料が燃料室21へスピルされる。又、コイル
24が通電(オン)されることにより、弁体25が閉鎖
されて高圧室15から燃料室21への燃料のスピルが止
められる。
【0018】従って、電磁スピル弁23の通電時間を制
御することにより、同弁23が閉弁・開弁制御され、高
圧室15から燃料室21への燃料のスピル調整が行われ
る。そして、プランジャ12の圧縮行程中に電磁スピル
弁23を開弁させることにより、高圧室15内における
燃料が減圧されて、燃料噴射ノズル4からの燃料噴射が
停止される。つまり、プランジャ12が往動しても、電
磁スピル弁23が開弁している間は高圧室15内の燃料
圧力が上昇せず、燃料噴射ノズル4からの燃料噴射が行
われない。又、プランジャ12の往動中に、電磁スピル
弁23の閉弁・開弁の時期を制御することにより、燃料
噴射ノズル4からの噴射終了が調整されて燃料噴射量が
制御される。
【0019】ポンプハウジング13の下側には、燃料噴
射時期を制御するためのタイマ装置(この図では90度
展開されている)26が設けられている。このタイマ装
置26は、ドライブシャフト5の回転方向に対するロー
ラリング9の位置を変更することにより、カムフェイス
8aがカムローラ10に係合する時期、即ちカムプレー
ト8及びプランジャ12の往復駆動時期を変更するため
のものである。
【0020】タイマ装置26は制御油圧により駆動され
るものであり、タイマハウジング27と、同ハウジング
27内に嵌装されたタイマピストン28と、同じくタイ
マハウジング27内一側の低圧室29にてタイマピスト
ン28を他側の加圧室30へ押圧付勢するタイマスプリ
ング31等とから構成されている。そして、タイマピス
トン28はスライドピン32を介してローラリング9に
接続されている。
【0021】タイマハウジング27の加圧室30には、
燃料フィードポンプ6により加圧された燃料が導入され
るようになっている。そして、その燃料圧力とタイマス
プリング31の付勢力との釣り合い関係によってタイマ
ピストン28の位置(以下、「タイマピストン位置」と
いう)が決定される。又、そのタイマピストン位置が決
定されることにより、ローラリング9の位置が決定さ
れ、カムプレート8を介してプランジャ12の往復動タ
イミングが決定される。
【0022】タイマ装置26の制御油圧として作用する
燃料圧力を調整するために、タイマ装置26にはタイマ
制御弁(TCV)33が設けられている。即ち、タイマ
ハウジング27の加圧室30と低圧室29とが連通路3
4によって連通されており、同連通路34の途中にTC
V33が設けられている。このTCV33は、デューテ
ィ制御された通電信号によって開閉制御される電磁弁で
あり、同TCV33の開閉制御によって加圧室30内の
燃料圧力が調整される。そして、その燃料圧力の調整に
よって、プランジャ12のリフトタイミングが制御さ
れ、各燃料噴射ノズル4からの燃料噴射時期が制御され
る。
【0023】ローラリング9の上部には、電磁ピックア
ップコイルよりなる回転数センサ35が、パルサ7の外
周面に対向して取付けられている。この回転数センサ3
5はパルサ7の突起等が横切る際に、それらの通過を検
出してエンジン回転速度NEに相当するタイミング信
号、即ち一定のクランク角度(11.25°CA)毎の
エンジン回転パルスを出力する。又、この回転数センサ
35は、そのエンジン回転パルス毎の瞬時回転速度を検
出する。更に、この回転数センサ35は、ローラリング
9と一体であるため、タイマ装置26の制御動作に関わ
りなく、プランジャリフトに対して一定のタイミングで
基準となるタイミング信号を出力する。
【0024】次に、ディーゼルエンジン2について説明
する。このディーゼルエンジン2ではシリンダ41、ピ
ストン42及びシリンダヘッド43によって各気筒毎に
対応する主燃焼室44がそれぞれ形成されている。又、
それら各主燃焼室44に連通する副燃焼室45が各気筒
毎に対応して設けられている。そして、各副燃焼室45
には、各燃料噴射ノズル4から噴射される燃料が供給さ
れるようになっている。又、各副燃焼室45には、始動
補助装置としての周知のグロープラグ46がそれぞれ取
り付けられている。
【0025】ディーゼルエンジン2には、吸気通路47
及び排気通路48がそれぞれ設けられている。又、その
吸気通路47には過給機を構成するターボチャージャ4
9のコンプレッサ50が設けられ、排気通路48にはタ
ーボチャージャ49のタービン51が設けられている。
又、排気通路48には、過給圧PiMを調節するウェイ
ストゲートバルブ52が設けられている。周知のように
このターボチャージャー49は、排気ガスのエネルギー
を利用してタービン51を回転させ、その同軸上にある
コンプレッサ50を回転させて吸入空気を昇圧させる。
この作用により、密度の高い混合気を主燃焼室44へ送
り込んで燃料を多量に燃焼させ、ディーゼルエンジン2
の出力を増大させるようになっている。
【0026】又、ディーゼルエンジン2には、排気通路
48内の排気の一部を吸気通路47の吸気ポート53へ
還流させるエキゾーストガスリサキュレイション通路
(EGR通路)54が設けられている。そして、そのE
GR通路54の途中には、排気の還流量を調節するEG
Rバルブ55が設けられている。このEGRバルブ55
はバキュームスイッチングバルブ(VSV)56の制御
によって開閉制御される。
【0027】更に、吸気通路47の途中には、アクセル
ペダル57の踏込量に連動して開閉されるスロットルバ
ルブ58が設けられている。又、そのスロットルバルブ
58に平行してバイパス通路59が設けられ、同バイパ
ス通路59にはバイパス絞り弁60が設けられている。
このバイパス絞り弁60は、二つのVSV61,62の
制御によって駆動される二段式のダイヤフラム室を有す
るアクチュエータ63によって開閉制御される。このバ
イパス絞り弁60は各種運転状態に応じて開閉制御され
るものである。例えば、アイドル運転時には騒音振動等
の低減のために半開状態に制御され、通常運転時には全
開状態に制御され、更に運転停止時には円滑な停止のた
めに全閉状態に制御される。
【0028】そして、上記のように燃料噴射ポンプ1及
びディーゼルエンジン2に設けられた電磁スピル弁2
3、TCV33、グロープラグ46及び各VSV56,
61,62は電子制御装置(以下単に「ECU」とい
う)71にそれぞれ電気的に接続され、同ECU71に
よってそれらの駆動タイミングが制御される。
【0029】ディーゼルエンジン2の運転状態を検出す
るセンサとしては、前述した回転数センサ35に加え
て、以下の各種センサが設けられている。即ち、吸気通
路47の入口に設けられたエアクリーナ64の近傍に
は、吸気温度THAを検出する吸気温センサ72が設け
られている。又、スロットルバルブ58の開閉位置か
ら、ディーゼルエンジン2の負荷に相当するアクセル開
度ACCPを検出するアクセルセンサ73が設けられて
いる。吸気ポート53の近傍には、ターボチャージャ4
9によって過給された後の吸入空気圧力、即ち過給圧P
iMを検出する吸気圧センサ74が設けられている。更
に、ディーゼルエンジン2の冷却水温THWを検出する
水温センサ75が設けられている。又、クランクシャフ
ト40の回転基準位置、例えば特定気筒の上死点に対す
るクランクシャフト40の回転位置を検出するクランク
角センサ76が設けられている。更に又、図示しないト
ランスミッションには、そのギアの回転によって回され
るマグネット77aによりリードスイッチ77bをオン
・オフさせて車両速度(車速)SPを検出する車速セン
サ77が設けられている。
【0030】そして、ECU71には上述した各センサ
72〜77がそれぞれ接続されると共に回転数センサ3
5が接続されている。又、ECU71は各センサ35,
72〜77から出力される検出信号に基づき、電磁スピ
ル弁23、TCV33、グロープラグ46及びVSV5
6,61,62等を好適に制御する。
【0031】次に、前述したECU71の構成につい
て、図11のブロック図に従って説明する。ECU71
は中央処理装置(CPU)81、所定の制御プログラム
及びマップ等を予め記憶した読み出し専用メモリ(RO
M)82、CPU81の演算結果等を一時記憶するラン
ダムアクセスメモリ(RAM)83、予め記憶されたデ
ータを保存するバックアップRAM84等と、これら各
部と入力ポート85及び出力ポート86等とをバス87
によって接続した論理演算回路として構成されている。
ここで、CPU81は演算処理のために、フリーランニ
ングカウント動作を行うようになっている。尚、本実施
例においてECU71は、本発明における回転所要時間
算出手段、変化量算出手段、補正係数算出手段、第一の
判定手段、第二の判定手段、補正係数再設定手段及び時
間変換値算出手段を構成する。
【0032】入力ポート85には、前述した吸気温セン
サ72、アクセルセンサ73、吸気圧センサ74及び水
温センサ75が、各バッファ88,89,90,91、
マルチプレクサ93及びA/D変換器94を介して接続
されている。同じく、入力ポート85には、前述した回
転数センサ35、クランク角センサ76及び車速センサ
77が、波形整形回路95を介して接続されている。そ
して、CPU81は入力ポート85を介して入力される
各センサ35,72〜77等の検出信号を入力値として
読み込む。又、出力ポート86には各駆動回路96,9
7,98,99,100,101を介して電磁スピル弁
23、TCV33、グロープラグ46及びVSV56,
61,62等が接続されている。
【0033】そして、CPU81は各センサ35,72
〜77から読み込んだ入力値に基づき、電磁スピル弁2
3、TCV33、グロープラグ46及びVSV56,6
1,62等を好適に制御する。
【0034】次に、前述したECU71により実行され
る燃料噴射量制御の処理動作について図1〜図8に従っ
て説明する。先ず、図1のフローチャートはECU71
により実行される各処理のうち、回転数センサ35から
入力されるエンジン回転速度NEのエンジン回転パルス
の立ち上がりで割り込まれる「NE割込みルーチン」を
示している。
【0035】処理がこのルーチンへ移行すると、先ずス
テップ101において、フリーランニングカウント動作
により求められる今回のNE割込み時における現在時刻
FCと、前回のNE割込み時における現在時刻に相当す
る割込み時刻T0との差を、パルス時間TNINTとし
て設定する。即ち、図2のタイムチャートに示すよう
に、エンジン回転パルスの1パルス分に相当するクラン
ク角度(11.25°CA)だけ進むのに要する時間を
算出する。この図2では、パルスカウンタCNIRQの
値が「10」になってから「11」になるまでの1パル
ス分を例として挙げている。
【0036】次いで、ステップ102において、パルス
カウンタCNIRQの値が「13」であるか否かを判断
する。ここで、パルスカウンタCNIRQの値が「1
3」でない場合には、そのままステップ104へ移行す
る。これに対し、パルスカウンタCNIRQの値が「1
3」である場合には、ステップ103において、先にス
テップ101にて求められたパルス時間TNINTを回
転上昇時時間TN13として設定する。この回転上昇時
時間TN13は、図2に示すように、パルスカウンタC
NIRQの値が「12」になってから「13」になるま
でに、クランク角度で「11.25°CA」だけ進むの
に要するパルス時間TNINTに相当している。又、回
転上昇時時間TN13の位置は、ディーゼルエンジン2
の同一燃焼サイクル内において、そのエンジン回転速度
NEの瞬時回転速度が、回転上昇時の平均回転速度とな
る時期近傍に相当している。
【0037】そして、ステップ102又はステップ10
3から移行してステップ104においては、パルスカウ
ンタCNIRQの値が「6」であるか否かを判断する。
ここで、パルスカウンタCNIRQの値が「6」でない
場合には、そのままステップ106へ移行する。これに
対し、パルスカウンタCNIRQの値が「6」である場
合には、ステップ105において、先にステップ101
にて求められたパルス時間TNINTを回転低下時時間
TN6として設定する。この回転低下時時間TN6は、
図2に示すように、パルスカウンタCNIRQの値が
「5」になってから「6」になるまでに、クランク角度
で「11.25°CA」だけ進むのに要するパルス時間
TNINTに相当している。又、回転低下時時間TN6
の位置は、同一燃焼サイクル内において、そのエンジン
回転速度NEの瞬時回転速度が、回転低下時の平均回転
速度となる時期近傍に相当している。尚、前記TN13
及びTN6は、本発明における「今回燃焼サイクル内で
選択される同一クランク角度からなる二つの区間をそれ
ぞれ回転するのに要する二つの回転所要時間」に相当す
る。
【0038】そして、ステップ104又はステップ10
5から移行してステップ106においては、そのときの
エンジン回転速度NEにより時間差補正値としてのオフ
セット値Aを算出する。ここでのエンジン回転速度NE
の値は、別途の処理ルーチンにおいて、回転数センサ3
5の検出値の読み込みにより求められるものである。そ
して、このオフセット値Aは、図3に示すように、エン
ジン回転速度NEに対するオフセット値Aの関係を予め
定めたマップを参照して求められる。このマップでは、
各エンジン回転速度NEにおける定常回転時、即ちエン
ジン回転速度NEの変化(以下単に「回転速度変化」と
いう)の少ない時に、前述した同一燃焼サイクル内にお
ける回転上昇時時間TN13と回転低下時時間TN6と
の差を実質的にゼロとするようなオフセット値Aが、各
エンジン回転速度NEをパラメータとしたデータとして
実験的に確かめられた上で設定されている。このマップ
において、オフセット値Aはアイドル時に相当する低速
領域で大きく、低速領域から中速領域になるに連れて急
激に小さくなるようにプラスの値として設定されてい
る。即ち、回転上昇時時間TN13と回転低下時時間T
N6との差は、回転速度変化の少ない定常回転時であっ
ても、その回転速度の違いによって異なってくる。そこ
で、このマップのオフセット値Aでは、定常回転時に各
エンジン回転速度NEにより、前述した二つの時間TN
13,TN6の差に違いが出ないように、その差を実質
的にゼロとするように定められている。
【0039】そして、ステップ107において、先にス
テップ103にて求められた回転上昇時時間TN13と
ステップ105にて求められた回転低下時時間TN6と
の差を、回転速度変化に相当する時間差として求め、更
にその時間差に、ステップ106にて求められたオフセ
ット値Aを加算して補正し、その算出結果をそのときの
回転速度変化に相当する時間差ΔTNとして設定する。
この時間差ΔTNが、本発明における「二つの回転所要
時間(TN13,TN6)の変化量」に相当する。
【0040】続いて、ステップ108において、その設
定された時間差ΔTNより、後述するスピル時パルス時
間TS1125を補正するための時間補正係数KDT1
を算出する。この時間補正係数KDT1は、図4に示す
ように、時間差ΔTNに対する時間補正係数KDT1の
関係を予め定めたマップを参照して求められる。このマ
ップでは、時間差ΔTNがプラスの場合、即ちエンジン
回転速度NEが上昇変化している場合には、スピル時パ
ルス時間TS1125を小さく補正すべく、時間補正係
数KDT1の値が「1.0」よりも小さく設定されてい
る。又、時間差ΔTNがマイナスの場合、即ちエンジン
回転速度NEが下降変化している場合には、スピル時パ
ルス時間TS1125を大きく補正すべく、時間補正係
数KDT1の値が「1.0」よりも大きく設定されてい
る。
【0041】その後、ステップ109においては、パル
スカウンタCNIRQの値が「9」であるか否かを判断
する。ここで、パルスカウンタCNIRQの値が「9」
でない場合には、そのままステップ111へ移行する。
これに対し、パルスカウンタCNIRQの値が「9」で
ある場合には、ステップ110において、先にステップ
101にて求められたパルス時間TNINTをスピル時
パルス時間TS1125として設定する。このスピル時
パルス時間TS1125は、図2に示すように、パルス
カウンタCNIRQの値が「8」になってから「9」に
なるまでにクランク角度で「11.25°CA」だけ進
むのに要するパルス時間TNINTに相当している。こ
れと共に、スピル時パルス時間TS1125の位置は、
エンジン回転速度NEの瞬間回転速度が最低となる時期
近傍に相当している。又、スピル時パルス時間TS11
25の位置は、ディーゼルエンジン2の運転状態に応じ
て決定される目標噴射量を得るべく、その噴射終了時期
である目標スピル角度に相当している。更に、スピル時
パルス時間TS1125は、次回の燃焼サイクルにおい
て目標スピル時期を予測決定するために用いられるもの
である。
【0042】ステップ109又はステップ110から移
行してステップ111においては、ステップ101にお
ける現在時刻FCを割込み時刻T0として設定する。次
に、ステップ112において、エンジン回転速度NEが
予め定められたアイドル回転速度NFよりも低いか否か
を判断する。第一の判定手段としてのECU71による
この判断は、前述した同一燃焼サイクル内における回転
上昇時時間TN13と回転低下時時間TN6との差が所
定値以上になる状態であるか否かを検出(又は間接的に
判定)するために行われるものである。そして、エンジ
ン回転速度NEがアイドル回転速度NFよりも低くない
場合には、前述した二つの時間TN13,TN6の差が
所定値以上になる状態ではなく、後述する補正後スピル
時パルス時間TS1125Aについて許容範囲内の予測
が可能であるものとして、そのままその後の処理を一旦
終了する。
【0043】一方、ステップ112において、エンジン
回転速度NEがアイドル回転速度NFよりも低い場合に
は、前述した二つの時間TN13,TN6の差が所定値
以上になる状態であるものと判定して、ステップ113
へ移行する。そして、ステップ113において、第二の
判定手段としてのECU71は、先にステップ108に
て求められた時間補正係数KDT1の値が「2」(上限
ガード値)よりも大きいか否かを判断する。ここで、時
間補正係数KDT1の値が「2」よりも大きくない場合
には、同じく補正後スピル時パルス時間TS1125A
について許容範囲内の予測が可能であるものとして、そ
のままその後の処理を一旦終了する。
【0044】又、ステップ113において、時間補正係
数KDT1の値が「2」よりも大きい場合には、前述し
た二つの時間TN13,TN6の差が所定値以上になる
状態であり、補正後スピル時パルス時間TS1125A
について許容範囲内の予測が可能でないものとして、ス
テップ114において、補正係数再設定手段としてのE
CU71は、時間補正係数KDT1を上限ガード値とし
ての「2」に設定し、その後の処理を一旦終了する。
【0045】次に、上記のように「NE割込みルーチ
ン」で求められる時間補正係数KDT1及びスピル時パ
ルス時間TS1125を使用して行われる燃料噴射量制
御の処理動作について説明する。
【0046】図5に示すフローチャートはECU71に
より実行される各処理のうち、燃料噴射ポンプ1におけ
る燃料噴射量制御のための「メインルーチン」であっ
て、所定時間毎の定時割込みで実行される。
【0047】処理がこのルーチンへ移行すると、先ずス
テップ201において、回転数センサ35、アクセルセ
ンサ73及び水温センサ75の各検出値に基づいて、エ
ンジン回転速度NE、アクセル開度ACCP及び冷却水
温THWをそれぞれ読み込む。これと共に、「NE割込
みルーチン」で求められた時間補正係数KDT1及び前
回の燃焼サイクルにおける単位クランク角度(11.2
5°CA)を回転するのに要する時間としてのスピル時
パルス時間TS1125(i−1)をそれぞれ読込む。
【0048】続いて、ステップ202において、そのア
クセル開度ACCP及び冷却水温THWにより、補正後
アクセル開度ACCPAを算出する。この補正後アクセ
ル開度ACCPAは冷却水温THWに応じて求められる
始動時疑似アクセル開度ACSTAと、アクセル開度A
CCP等との比較によって求められる。
【0049】次に、ステップ203において、先に読み
込まれたエンジン回転速度NE及び補正後アクセル開度
ACCPA等に基づき最終噴射量QFINを算出する。
この最終噴射量QFINは、予め定められた計算式に従
って求められる。
【0050】そして、ステップ204においては、先に
求められた最終噴射量QFINにより、スピル時期パル
ス数CANGLa及び余り角度θREMをそれぞれ算出
する。これらスピル時期パルス数CANGLa及び余り
角度θREMは、以下の計算式を参照して求められる。
【0051】 QFIN=11.25*CANGLa+θREM つまり、図6に示すように、最終噴射量QFINをエン
ジン回転パルス1個分の角度に相当する「11.25」
で除算して、その商をスピル時期パルス数CANGLa
として求め、その余りを余り角度θREMとして求めて
設定するのである。ここで、スピル時期パルス数CAN
GLaは燃料噴射を終了するために電磁スピル弁23を
オフさせるべき、即ち燃料をスピルすべき目標スピル時
期に対応するエンジン回転パルス数に相当している(図
6では「8」である)。又、余り角度θREMは、その
スピル時期パルス数CANGLaにおける更に厳密な目
標スピル時期を角度で示した値である。尚、この実施例
における余り角度θREMは、本発明における「エンジ
ンの基準クランク角度位置から目標クランク角度位置ま
でのクランク角度」に相当する。
【0052】次に、ステップ205においては、先に読
み込まれた前回のスピル時パルス時間TS1125(i
−1)及び時間補正係数KDT1より、今回の最終的な
角度時間としての補正後スピル時パルス時間TS112
5Aを算出する。この補正後スピル時パルス時間TS1
125Aは、前回のスピル時パルス時間TS1125
(i−1)を、時間補正係数KDT1で補正して回転速
度変化を反映させたものであり、以下の計算式に従って
求められる。
【0053】 TS1125A=TS1125(i−1)*KDT1 そして、ステップ206において、先に求められた余り
角度θREMと補正後スピル時パルス時間TS1125
Aとにより、スピル時期パルス数CANGLaにおける
スピル時刻TSPONaを算出する。即ち、余り角度θ
REMを補正後スピル時パルス時間TS1125Aに基
づいて時間換算するのである。このスピル時刻TSPO
Naは以下の計算式に従って求められる。
【0054】TSPONa=(θREM/11.25)
*TS1125A その後、ステップ207において、ECU71による演
算処理速度を考慮し、多重割込みによる遅れを防止する
ために、スピル時刻TSPONaが所定の「88μs」
よりも小さいか否かを判断する。ここで、スピル時刻T
SPONaが所定の「88μs」よりも小さい場合に
は、ステップ208において、図7に示すように、スピ
ル時刻TSPONaに補正後スピル時パルス時間TS1
125Aを加算した結果を最終スピル時刻TSPONと
して設定する。又、同ステップ208において、スピル
時期パルス数CANGLaから「1」だけ減算した結果
を最終スピル時期パルス数CANGLとして設定する。
【0055】そして、ステップ209において、その設
定された最終スピル時期パルス数CANGL及び最終ス
ピル時刻TSPONに基づき電磁スピル弁23をオフさ
せ、燃料噴射ポンプ1からの燃料噴射の終了時期、即ち
燃料噴射量を制御し、その後の処理を一旦終了する。
【0056】一方、ステップ207において、スピル時
刻TSPONaが所定の「88μs」以上である場合に
は、ステップ210において、図8に示すように、スピ
ル時刻TSPONaをそのまま最終スピル時刻TSPO
Nとして設定する。又、同ステップ210において、ス
ピル時期パルス数CANGLaをそのまま最終スピル時
期パルス数CANGLとして設定する。
【0057】そして、ステップ209において、その設
定された最終スピル時期パルス数CANGL及び最終ス
ピル時刻TSPONに基づき、電磁スピル弁23をオフ
させて、燃料噴射ポンプ1からの燃料噴射の終了時期、
即ち燃料噴射量を制御し、その後の処理を一旦終了す
る。
【0058】以上説明したようにして、ディーゼルエン
ジン2における燃料噴射量制御が実行される。そして、
この実施例では、余り角度θREMを時間換算するため
に、単に前回の目標スピル角度近傍でのスピル時パルス
時間TS1125(i−1)を使用するのではなく、そ
のスピル時パルス時間TS1125(i−1)を補正し
た補正後スピル時パルス時間TS1125Aを使用して
いる。しかも、その補正後スピル時パルス時間TS11
25Aを求めるに当たり、今回の同一燃焼サイクル内に
おける回転上昇時及び回転低下時それぞれの平均回転速
度位置近傍で、1パルス分のクランク角度だけ回転する
のに要する角度時間、即ち回転上昇時時間TN13及び
回転低下時時間TN6をそれぞれ求めている。又、その
求められた回転上昇時時間TN13と回転低下時時間T
N6との差を回転速度変化に相当する時間差として求
め、更にその時間差にオフセット値Aを加算して補正
し、その算出結果を回転速度変化に相当する補正後の時
間差ΔTNとしている。即ち、各エンジン回転速度NE
における定常回転時には、同一燃焼サイクルにおける回
転上昇時時間TN13と回転低下時時間TN6との差が
実質的にゼロとなるように、オフセット値Aによって補
正された時間差ΔTNが求められる。そして、その求め
られた補正後の時間差ΔTNに対応して得られる時間補
正係数KDT1に基づき、前回のスピル時パルス時間T
S1125(i−1)を補正することにより、時間換算
用としての今回の最終的な補正後スピル時パルス時間T
S1125Aを予測している。
【0059】従って、今回の燃焼サイクルにおいて、実
際に求められる回転上昇時時間TN13と回転低下時時
間TN6との差をオフセット値Aにより補正して補正後
の時間差ΔTNとすることにより、定常回転時には各エ
ンジン回転速度NEの違いによらずその時間差ΔTNが
実質的に一律にゼロとなる。よって、回転速度変化の少
ない定常回転時には、各エンジン回転速度NEの違いに
よらず、その時間差ΔTNから求められて回転速度変化
に相当する時間補正係数KDT1が一律に同じとなる。
よって、定常回転時には、その時間補正係数KDT1に
より補正される今回の最終的な補正後スピル時パルス時
間TS1125Aも一律に同じとなり、各エンジン回転
速度NEの違いによって異なった補正後スピル時パルス
時間TS1125Aが予測されることはない。
【0060】その結果、各エンジン回転速度NEにおい
てアイドル時を含む定常回転時には、補正後スピル時パ
ルス時間TS1125Aが誤って補正されることがなく
なり、その予測精度を向上させて補正後スピル時パルス
時間TS1125Aを精度良く予測することができる。
【0061】そして、このように精度良く予測される補
正後スピル時パルス時間TS1125Aにより余り角度
θREMを時間換算していることから、その時間換算を
高精度に行うことができる。従って、燃料のスピルを実
行するための時刻タイミングを更に正確に決定すること
ができ、燃料噴射量制御をより高精度に行うことができ
る。加えて、この実施例では、定常回転時とは異なりエ
ンジン回転速度NEが大きく変化するような場合を、そ
の時々のディーゼルエンジン2の回転状態から検出する
ようにしている。即ち、エンジン回転速度NEがアイド
ル回転速度NFよりも低いか否かの判断によって、回転
上昇時時間TN13と回転低下時時間TN6との差が所
定値以上になる回転状態であるか否かを判断するように
している。
【0062】そして、エンジン回転速度NEがアイドル
回転速度NFよりも低くない場合、或いは時間補正係数
KDT1が必要以上に大きくない場合には、回転速度変
化を反映した補正後の時間差ΔTNより得られる時間補
正係数KDT1に基づき前回の燃焼サイクルにおけるス
ピル時パルス時間TS1125(i−1)を補正してい
る。
【0063】従って、今回の燃焼サイクルで使用される
べき補正後スピル時パルス時間TS1125Aが、回転
速度変化に応じて、許容範囲内の値として適正に予測さ
れて求められる。そして、その適正に予測された補正後
スピル時パルス時間TS1125Aにより余り角度θR
EMが時間換算されることから、その時間換算をより高
精度に行うことができる。その結果として、燃料のスピ
ルを実行するための時刻タイミングをエンジン回転速度
NEの変化に応じてより正確に決定することができ、燃
料噴射量制御をより高精度に行うことができる。
【0064】一方、エンジン回転速度NEがアイドル回
転速度NFよりも低いか、或いは時間補正係数KDT1
が必要以上に大きい場合には、回転速度変化を反映した
時間差ΔTNより得られる時間補正係数KDT1を、予
め定められた上限ガード値に設定するようにしている。
そして、その上限ガード値の時間補正係数KDT1によ
って前回のスピル時パルス時間TS1125(i−1)
を補正して、今回の補正後スピル時パルス時間TS11
25Aを許容範囲内の値に設定している。
【0065】従って、ディーゼルエンジン2に、エンジ
ン回転速度NEがアイドル回転速度NFよりも低くなる
ような、予測に適さない極端な回転速度変化等が生じた
場合には、今回の補正後スピル時パルス時間TS112
5Aの予測が許容範囲から逸脱することがなくなり、そ
の時間TS1125Aの予測誤差の拡大を抑えることが
できる。その結果として、補正後スピル時パルス時間T
S1125Aによる余り角度θREMの時間換算の精度
低下を防いで、燃料噴射量制御の悪化を未然に防止する
ことができる。
【0066】特に、補正後スピル時パルス時間TS11
25Aの予測値が大きくなり過ぎて余り角度θREMの
時間換算値が極端に大きくなり、電磁スピル弁23が
「オン」し続けることがなくなる。その結果、燃料噴射
ポンプ1がポンプ能力の最大量を噴射してしまうことを
未然に防止することができる。
【0067】尚、この発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で構成の一部
を適宜に変更して次のように実施することもできる。 (1)前記実施例では、エンジン回転速度NEがアイド
ル回転速度NFよりも低くなるような極端な回転速度変
化等が生じた場合に、回転速度変化を反映した時間差Δ
TNより得られる時間補正係数KDT1を上限ガード値
に設定した。そして、その上限ガード値により前回のス
ピル時パルス時間TS1125(i−1)を補正するこ
とにより、今回の補正後スピル時パルス時間TS112
5Aを許容範囲内の値に設定し、その補正後スピル時パ
ルス時間TS1125Aに基づき余り角度θREMの時
間換算を行って燃料噴射量制御の悪化を防止するように
した。
【0068】これに対し、エンジン回転速度NEがアイ
ドル回転速度NFよりも低くなるような極端な回転速度
変化等が生じた場合に、エンジン回転パルスの立ち上が
りで割り込まれる「NE割込みルーチン」において、最
終スピル時期パルス数CANGLから更に「1」だけエ
ンジン回転パルスをカウントした時点で、ECU71に
おける出力ポート86にて電磁スピル弁23の駆動回路
96に対する出力を強制的に「オフ」とするようにして
もよい。この構成により、電磁スピル弁23が「オン」
し続けて燃料噴射ポンプ1がポンプ能力の最大量を噴射
してしまうことを未然に防止することができる。
【0069】(2)前記実施例では、同一燃焼サイクル
内における回転上昇時時間TN13と回転低下時時間T
N6との差が所定値以上になる状態であるか否かを検出
するために、エンジン回転速度NEが予め定められたア
イドル回転速度NFよりも低いか否かを判断したが、そ
の他の方法を採用してもよい。例えば、エンジン回転速
度NEの変化分を検出し、その変化分が所定値以上であ
るか否かの判断によって、上記二つの時間TN13,T
N6の差が所定値以上になる状態であるか否かを検出す
るようにしてもよい。
【0070】(3)前記実施例では、同一燃焼サイクル
内における回転上昇時及び回転低下時それぞれの平均回
転速度位置近傍での一定クランク角度だけ回転するのに
要するクランク角時間として、パルスカウンタCNIR
Qの値が「12」から「13」になるまでの間の回転上
昇時時間TN13と、パルスカウンタCNIRQの値が
「5」から「6」になるまでの間の回転低下時時間TN
6を使用したが、これに限定されるものではない。例え
ば、パルスカウンタCNIRQの値が「11」から「1
2」になるまでの間の回転上昇時時間TN12と、パル
スカウンタCNIRQの値が「6」から「7」になるま
での間の回転低下時時間TN7を使用してもよい。
【0071】(4)前記実施例では、オフセット値Aを
プラスの値に設定して、回転上昇時時間TN13と回転
低下時時間TN6との差に加算して補正するようにした
が、同一燃焼サイクル内における回転上昇時及び回転低
下時それぞれの平均回転速度位置近傍で一定クランク角
度だけ回転するのに要する角度時間として、前述した各
時間TN13,TN6以外の時間を使用した場合に、必
要に応じてオフセット値Aをマイナスの値に設定しても
よい。
【0072】(5)前記実施例では、ディーゼルエンジ
ン2の燃料噴射量制御に具体化して説明したが、例えば
ガソリンエンジンの目標点火時期近傍のクランク角度を
検出する場合に適用して具体化することもできる。
【0073】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明では特に、
変化量算出手段によって算出された回転所要時間の変化
量が所定値以上であるか否かを判定する第一の判定手段
と、補正係数算出手段により算出された時間補正係数が
予め定められたガード値を超えるか否かを判定する第二
の判定手段とを設け、これら二つの判定条件が同時に満
たされる場合には、「今回燃焼サイクル内で選択される
同一クランク角度からなる二つの区間をそれぞれ回転す
るのに要する二つの回転所要時間の変化量」に基づい
て、エンジン回転変動を予測することが成功しない状況
が生じているものと間接判定すると共に、この場合に
は、補正係数再設定手段により前記ガード値を時間補正
係数として再設定し、これを時間変換値算出手段でのク
ランク角度の時間変換に用いるようにした。このため、
エンジン回転速度の変化や変動幅が極端に大きく、計算
によるエンジン回転変動予測が成功しない虞がある場合
には、前記ガード値を時間補正係数として用いること
で、基準クランク角度位置から目標クランク角度位置ま
でのクランク角度の時間変換値に致命的な誤差が生じる
ことが防止され、従来よりも正確にクランク角度の時間
変換を達成することができるという優れた効果を発揮す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を具体化した一実施例においてECU
により実行され、エンジン回転パルスの立ち上がりで割
り込まれる「NE割込みルーチン」を説明するフローチ
ャートである。
【図2】一実施例において、エンジン回転速度の変化と
エンジン回転パルスとの対応関係を説明するタイムチャ
ートである。
【図3】一実施例において、エンジン回転速度に対する
オフセット値の関係を予め定めてなるマップである。
【図4】一実施例において、時間差に対する時間補正係
数の関係を予め定めてなるマップである。
【図5】一実施例において、ECUにより実行される燃
料噴射量制御のための「メインルーチン」を説明するフ
ローチャートである。
【図6】一実施例において、エンジン回転パルスと電磁
スピル弁作動との対応関係、最終噴射量に応じたスピル
時期パルス数及び最終スピル時刻等を説明するタイムチ
ャートである。
【図7】一実施例において、スピル時刻が88μsより
も小さい場合のエンジン回転パルスと電磁スピル弁作動
との対応関係、最終スピル時期パルス数及び最終スピル
時刻等を説明するタイムチャートである。
【図8】一実施例において、スピル時刻が88μs以上
の場合のエンジン回転パルスと電磁スピル弁作動との対
応関係、最終スピル時期パルス数及び最終スピル時刻等
を説明するタイムチャートである。
【図9】一実施例において、過給機付ディーゼルエンジ
ンの燃料噴射量制御装置を説明する概略構成図である。
【図10】一実施例において燃料噴射ポンプを示す断面
図である。
【図11】一実施例においてECUの電気的構成を示す
ブロック図である。
【符号の説明】
1…燃料噴射ポンプ、2…ディーゼルエンジン、23…
電磁スピル弁、71…ECU(回転所要時間算出手段、
変化量算出手段、補正係数算出手段、第一の判定手段、
第二の判定手段、補正係数再設定手段及び時間変換値算
出手段を構成する)、TS1125…スピル時パルス時
間、TS1125A…補正後スピル時パルス時間、TN
13,TN6…回転上昇時時間及び回転低下時時間(同
一クランク角度からなる二つの区間をそれぞれ回転する
のに要する二つの回転所要時間に当たる)、ΔTN…時
間差(二つの回転所要時間の変化量に相当する)、θR
EM…余り角度、TSPONa…θREMの時間変換

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの基準クランク角度位置から目
    標クランク角度位置までのクランク角度を時間に変換す
    るための装置であって、 前記目標クランク角度位置が含まれる今回燃焼サイクル
    より前の燃焼サイクル内において単位クランク角度を回
    転するのに要する時間を求める回転所要時間算出手段
    と、 今回燃焼サイクル内で選択される同一クランク角度から
    なる二つの区間をそれぞれ回転するのに要する時間を計
    測し、これら二つの回転所要時間の変化量を算出する変
    化量算出手段と、 前記回転所要時間の変化量に基づいて、今回燃焼サイク
    ル内でのエンジン回転変動の予測補正に用いる時間補正
    係数を算出する補正係数算出手段と、 前記回転所要時間の変化量が所定値以上であるか否かを
    判定する第一の判定手段と、 前記補正係数算出手段により算出された時間補正係数が
    予め定められたガード値を超えるか否かを判定する第二
    の判定手段と、 前記回転所要時間の変化量が前記所定値以上で且つ前記
    時間補正係数が前記ガード値を超える場合には、当該ガ
    ード値を前記時間補正係数として再設定する補正係数再
    設定手段と、 前記単位クランク角度と、前記単位クランク角度の回転
    所要時間と、前記補正係数算出手段又は前記補正係数再
    設定手段によって設定された時間補正係数とに基づい
    て、前記基準クランク角度位置から前記目標クランク角
    度位置までのクランク角度の時間変換値を算出する時間
    変換値算出手段とを備えたことを特徴とするエンジンの
    クランク角度の時間変換装置
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