JPH06336938A - 内燃機関の燃料噴射量制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射量制御装置

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JPH06336938A
JPH06336938A JP5126289A JP12628993A JPH06336938A JP H06336938 A JPH06336938 A JP H06336938A JP 5126289 A JP5126289 A JP 5126289A JP 12628993 A JP12628993 A JP 12628993A JP H06336938 A JPH06336938 A JP H06336938A
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air amount
amount
intake air
internal combustion
combustion engine
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】過渡運転時に、EGR装置等の作動遅れや、同
装置を含む吸気系、吸気量検出手段等の固体差や経時変
化に対処して燃料噴射量を精度良く補正する。 【構成】アクセル開度変化分ΔACCPの小さい定常運
転時に、エアフローメータで検出される吸気量VSと予
測吸気量VSPとの偏差より運転状態に応じた学習吸気
量偏差ΔVSGを学習する。そして、アクセル開度変化
分ΔACCPの大きい過渡運転時には、学習吸気量偏差
ΔVSGと予測吸気量VSPとの和から学習吸気量VS
Gを求め、その学習吸気量VSGに対する実際の吸気量
VSの比に基づいて目標噴射量Qを補正することによ
り、最終噴射量QFINを設定する。従って、過渡運転
時にEGR装置等の作動遅れに起因して吸気遅れが生じ
た場合には、その吸気遅れを反映して学習吸気量VSG
に対する吸気量VSの比が求められ、その比に応じて目
標噴射量Qが補正されて燃料噴射量が適正化される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はディーゼルエンジン等
の内燃機関に供給される燃料噴射量を制御する燃料噴射
量制御装置に関する。詳しくは、燃料と共に内燃機関に
供給されるべき実質空気量を運転状態に応じて調整する
ために駆動される手段を備えた内燃機関の燃料噴射量制
御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ディーゼルエンジンでは、その排
気中に含まれる窒素酸化物(NOx)を低減させる目的
から、排気の一部を吸気へ再循環させるための排気再循
環(EGR)装置を設けることが知られている。このE
GR装置は排気系と吸気系との間を連通可能なEGR通
路を備え、そのEGR通路の途中に、負圧を作動源とし
て開閉されるダイヤフラム式のEGR弁が設けられてい
る。又、そのEGR弁に対する負圧の供給を制御するた
めに電気的に制御される負圧制御弁が設けられている。
そして、このように構成されたEGR装置では、ディー
ゼルエンジンの運転状態に応じて負圧制御弁が制御され
ることにより、EGR弁が開閉されてディーゼルエンジ
ンに対するEGR量が制御される。詳しくは、ディーゼ
ルエンジンが低中負荷となる定常運転状態では、EGR
を許容すべくEGR弁が開かれるように負圧制御弁が制
御される。一方、高負荷となる過渡運転時(加速時等)
では、EGRを遮断すべくEGR弁が閉じられるように
制御される。
【0003】ところで、この種のEGR装置では、負圧
を作動源とするEGR弁が使用されていることから、比
較的簡単な構成により高い信頼性をもってEGR量の制
御が可能であった。しかし、その反面、負圧切り換えに
対するEGR弁の開閉応答性の点で問題があった。その
ため、ディーゼルエンジンが定常運転状態から加速され
たような場合には、その加速要求に応じて燃料噴射量が
増量されるにもかかわらず、EGR弁に一時的な閉じ遅
れが生じることにより、EGR量が一時的に過剰になる
おそれがあった。従って、EGR量が過剰となった場合
は、ディーゼルエンジンに供給されるべき実質空気量、
即ち空気過剰率が過小となり、スモークの排出を増大さ
せる等、排気エミッションを悪化させるおそれがあっ
た。
【0004】加えて、上記のEGR装置に限らず、ディ
ーゼルエンジンに供給されるべき実質空気量を制御する
ために、吸気系に吸気絞り弁を設けたり、過給機を設け
たりすることが考えられる。これらの場合にも、加速時
等の過渡運転時に吸気絞り弁や過給機の応答遅れから、
実質空気量が過小となり排気エミッションを悪化させる
おそれがあった。
【0005】そこで、上記のような問題に対処するため
の技術が、実開昭61−6651号公報に提案されてい
る。この従来技術では、加速時にEGR弁が全閉となる
までの遅れ、或いは吸気絞り弁が全開となるまでの遅れ
が検知される。そして、その遅れの間だけディーゼルエ
ンジンに対する燃料噴射量を減量補正することにより、
加速時における排気エミッションの悪化を回避すること
が開示されている。即ち、加速時にディーゼルエンジン
に供給すべき実質空気量が過小となる期間が、EGR弁
の全閉や吸気絞り弁の全開が検知されることにより計ら
れ、その検知されるまでの期間だけ燃料噴射量が減量補
正される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の従来
技術では、加速時にEGR弁の閉じ遅れや吸気絞り弁の
開き遅れの間で、実質空気量が所定量だけ過小となるこ
とを見込んで、燃料噴射量の減量補正が一義的に行われ
るだけであった。即ち、単に見込みの実質空気量に基づ
いて燃料噴射量が一律に減量されるだけであった。その
ため、EGR弁や吸気絞り弁の開閉の仕方に固体差や経
時変化がある場合には、ディーゼルエンジンに実際に吸
入される空気量が見込みの実質空気量と異なることにな
り、結果として燃料噴射量の減量補正が適正に行われな
くなる。しかも、ディーゼルエンジンの吸気系それ自体
にも多少の固体差や経時変化があることが知られてい
る。従って、加速時等の過渡運転時に、これら構成上の
固体差や経時変化に起因する実質空気量の変化を精度良
くとらえて必要な燃料量を設定しない限り、燃料噴射量
に関する適正な減量補正を行うことはできない。
【0007】又、内燃機関で実質空気量に相当する吸気
量を精度良く実測するために、エアフローメータ等の吸
気量検出手段を使用することは既に周知であるが、この
吸気量検出手段にも多少の固体差や経時変化が存在す
る。そのため、吸気量検出手段を使用した場合に、過渡
運転時における燃料噴射量の減量補正を精度良く行うた
めに、固体差や経時変化に応じて吸気量をより正確に求
めることも課題となっている。
【0008】この発明は前述した事情に鑑みてなされた
ものであり、過渡運転時に内燃機関に供給される燃料噴
射量に合わせて実質空気量を調整すべく実質空気量調整
手段を駆動切り換えするものを前提としている。そし
て、その目的は、内燃機関の過渡運転時に、実質空気量
調整手段の作動遅れや、同調整手段を含む吸気系及び吸
気量検出手段等の固体差や経時変化等に対処して、燃料
噴射量を精度良く補正することの可能な内燃機関の燃料
噴射量制御装置を提供としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明においては、図1に示すように、内燃機
関M1へ燃料を噴射供給するための燃料噴射手段M2
と、内燃機関M1の吸気系M3に設けられ、その吸気系
M3を通じて内燃機関M1に供給されるべき実質空気量
を調整するための実質空気量調整手段M4と、内燃機関
M1の運転状態を検出するための運転状態検出手段M5
と、その運転状態検出手段M5の検出結果に基づき、内
燃機関M1に供給されるべき基本噴射量を演算するため
の基本噴射量演算手段M6と、その基本噴射量演算手段
M6の演算結果に基づき、燃料噴射手段M2を駆動制御
するための噴射量制御手段M7と、吸気系M3に外部か
ら取り込まれる吸気量を検出するための吸気量検出手段
M8と、運転状態検出手段M5の検出結果に基づき、内
燃機関M1の定常運転時と判断したときに、吸気量検出
手段M8により検出される吸気量をそのときの運転状態
に応じて学習するための吸気量学習手段M9と、運転状
態検出手段M5の検出結果に基づき、内燃機関M1の過
渡運転時と判断したときに、内燃機関M1に供給される
べき実質空気量を増大させるために実質空気量調整手段
M4の駆動を切り換え制御するための実質空気量制御手
段M10と、運転状態検出手段M5の検出結果に基づ
き、内燃機関M1の過渡運転時と判断したときに、吸気
量学習手段M9により学習された学習吸気量に対する吸
気量検出手段M8により検出される吸気量の偏差を演算
するための吸気量偏差演算手段M11と、その吸気量偏
差演算手段M11の演算結果に基づき、過渡運転時に基
本噴射量演算手段M6により演算される基本噴射量を補
正するための噴射量補正手段M12とを備えたことを趣
旨としている。
【0010】
【作用】上記の構成によれば、図1に示すように、内燃
機関M1の運転時には、その運転状態に応じて基本噴射
量演算手段M6により基本噴射量が演算される。そし
て、その基本噴射量に基づき噴射量制御手段M7により
燃料噴射手段M2が駆動制御されることにより、所要量
の燃料が内燃機関M1に噴射供給される。又、そのとき
の運転状態に応じて実質空気量調整手段M4が駆動され
ることにより、吸気系M3を通じて内燃機関M1に供給
されるべき実質空気量が適宜に調整される。更に、吸気
量検出手段M8では、運転状態に応じて吸気系M3に外
部から取り込まれる吸気量が検出される。そして、吸気
量学習手段M9では、定常運転時に吸気量検出手段M8
により検出される吸気量がそのときの運転状態に応じて
学習される。
【0011】ここで、実質空気量制御手段M10では、
過渡運転時に内燃機関M1に供給されるべき実質空気量
を増大させるために実質空気量調整手段M4の駆動が切
り換えられる。これと同時に、吸気量偏差演算手段M1
1では、吸気量学習手段M9における学習吸気量に対す
るその過渡運転時における吸気量の偏差が演算される。
そして、噴射量補正手段M12では、過渡運転時に基本
噴射量演算手段M6により演算される基本噴射量が上記
の吸気量の偏差に基づいて補正される。
【0012】従って、内燃機関M1の過渡運転時に、実
質空気量調整手段M4の駆動切り換えに応答遅れが生じ
て吸気系M3に取り込まれる吸気に遅れが生じた場合に
は、その吸気の遅れを反映して学習吸気量に対する吸気
量の偏差が求められる。そのため、その吸気量の偏差に
応じて基本噴射量が補正されることにより、内燃機関M
1に供給される燃料量が適正化される。しかも、定常運
転時に学習される学習吸気量には、吸気系M3や実質空
気量調整手段M4或いは吸気量検出手段M8等の固体差
や経時変化が反映される。そのため、上記の吸気量の偏
差にも吸気系M3や実質空気量調整手段M4或いは吸気
量検出手段M8の固体差や経時変化が反映されることに
なり、基本噴射量はそれらの固体差や経時変化に応じて
補正されることになる。従って、過渡運転時に内燃機関
M1に供給される燃料量が、上記の固体差や経時変化に
応じて適正化される。
【0013】
【実施例】以下、この発明における内燃機関の燃料噴射
量制御装置を自動車の電子制御ディーゼルエンジンに具
体化した一実施例を図2〜図7に基づいて詳細に説明す
る。
【0014】図2はこの実施例における過給機付ディー
ゼルエンジンシステムの概略構成を示し、図3はその分
配型燃料噴射ポンプ1を拡大して示している。燃料噴射
ポンプ1はドライブプーリ2を備え、そのドライブプー
リ2が内燃機関としてのディーゼルエンジン3のクラン
クシャフト40に対し、ベルト等を介して駆動連結され
ている。そして、クランクシャフト40によりドライブ
プーリ2が回転されて燃料噴射ポンプ1が駆動されるこ
とにより、ディーゼルエンジン3の各気筒(本実施例で
は4気筒)毎に設けられた燃料噴射ノズル4に燃料管路
4aを通じて燃料が圧送される。
【0015】この実施例では、燃料噴射ポンプ1、燃料
噴射ノズル4及び燃料管路4a等により燃料噴射手段が
構成されている。又、燃料噴射ノズル4は針弁を内蔵し
てなる自動弁となっており、所定レベル以上の燃料圧力
を得て開弁される。従って、燃料噴射ポンプ1から圧送
される燃料により、燃料管路4aを通じて燃料噴射ノズ
ル4に所定レベル以上の燃料圧力が付与されることによ
り、同ノズル4からディーゼルエンジン3へと燃料が噴
射供給される。
【0016】燃料噴射ポンプ1にはドライブシャフト5
が設けられ、そのドライブシャフト5の先端にドライブ
プーリ2が取付けられている。ドライブシャフト5の途
中には、べーン式ポンプよりなる燃料フィードポンプ
(この図では90度だけ展開されている)6が設けられ
ている。又、ドライブシャフト5の基端側には、円板状
のパルサ7が取付けられている。このパルサ7の外周面
には、ディーゼルエンジン3の気筒数と同数の、即ちこ
の実施例では4ヶ所(合計で「8個分」)の欠歯が等角
度間隔をもって形成されている。又、各欠歯の間には、
14個ずつ(合計で「56個」)の突起が等角度間隔を
もって形成されている。そして、ドライブシャフト5の
基端部は図示しないカップリングを介してカムプレート
8に連結されている。
【0017】パルサ7とカムプレート8との間には、ロ
ーラリング9が設けられている。又、ローラリング9の
円周方向には、カムプレート8のカムフェイス8aに対
向する複数のカムローラ10が取付けられている。カム
フェイス8aはディーゼルエンジン3の気筒数と同数だ
け設けられている。又、カムプレート8はスプリング1
1によってカムローラ10に係合するように付勢されて
いる。
【0018】カムプレート8には燃料加圧用のプランジ
ャ12の基端が一体回転可能に取付けられている。そし
て、それらカムプレート8とプランジャ12とがドライ
ブシャフト5の回転に伴って一体的に回転駆動される。
即ち、ドライブシャフト5の回転力がカップリングを介
してカムプレート8に伝達されることにより、カムプレ
ート8がカムローラ10に係合しながら回転される。こ
れにより、カムプレート8が回転されながら気筒数と同
数だけ図中左右方向へ往復動され、それに伴ってプラン
ジャ12が回転しながら同方向へ往復動される。つま
り、カムフェイス8aがローラリング9のカムローラ1
0に乗り上げる過程でプランジャ12が往動(リフト)
される。又、その逆にカムフェイス8aがカムローラ1
0を乗り下げる過程でプランジャ12が復動(ダウン)
される。
【0019】ポンプハウジング13にはシリンダ14が
形成され、そのシリンダ14にプランジャ12が嵌挿さ
れている。そして、プランジャ12の先端面とシリンダ
14の底面との間が高圧室15となっている。又、プラ
ンジャ12の先端側外周には、気筒数と同数だけ吸入溝
16と分配ポート17がそれぞれ形成されている。更
に、それら吸入溝16及び分配ポート17に対応して、
ポンプハウジング13には分配通路18及び吸入ポート
19がそれぞれ形成さている。
【0020】尚、この実施例のポンプハウジング13に
おいて、各分配通路18の出口側にはコンスタント・プ
レッシャ・バルブ(CPV)よりなるデリバリバルブ3
6が設けられている。このデリバリバルブ36は、分配
通路18から燃料管路4aへ圧送される燃料の逆流を防
止するためのものであり、ある一定レベル以上の燃料圧
力Pを得て開弁される。
【0021】そして、ドライブシャフト5が回転されて
燃料フィードポンプ6が駆動されることにより、図示し
ない燃料タンクから燃料供給ポート20を通じて燃料室
21内に燃料が導入される。又、プランジャ12が復動
されて高圧室15が減圧される吸入行程では、吸入溝1
6の一つが吸入ポート19に連通することにより、燃料
室21から高圧室15へと燃料が導入される。一方、プ
ランジャ12が往動されて高圧室15が加圧される圧縮
行程では、燃料管路4aを通じて分配通路18から各気
筒の燃料噴射ノズル4へ燃料が圧送されて噴射される。
【0022】ポンプハウジング13において、高圧室1
5と燃料室21との間には、燃料を溢流(スピル)させ
るためのスピル通路22が形成されている。又、このス
ピル通路22の途中には電磁スピル弁23が設けられて
いる。そして、その電磁スピル弁23は高圧室15から
の燃料のスピルを調整するために開閉される。電磁スピ
ル弁23は常開型の弁であり、コイル24が無通電(オ
フ)の状態では弁体25によりスピル通路22が開放さ
れ、即ち開弁され、高圧室15内の燃料が燃料室21へ
とスピルされる。一方、コイル24が通電(オン)され
ることにより、弁体25によりスピル通路22が閉鎖さ
れ、即ち閉弁され、高圧室15から燃料室21への燃料
のスピルが遮断される。
【0023】従って、電磁スピル弁23が通電によって
オン・オフ制御されることにより、同弁23が閉弁・開
弁制御され、高圧室15から燃料室21への燃料のスピ
ルが調整される。そして、プランジャ12の圧縮行程中
に電磁スピル弁23が開弁されることにより、高圧室1
5内における燃料が減圧されて燃料噴射ノズル4からの
燃料噴射が停止される。つまり、プランジャ12が往動
していても、電磁スピル弁23が開弁されている間は、
高圧室15内の燃料圧力が上昇せず、燃料噴射ノズル4
からの燃料噴射が行われない。又、プランジャ12の往
動中に、電磁スピル弁23の開弁時期が制御されること
により、燃料噴射ノズル4からの燃料噴射の終了時期が
調整されて気筒への燃料噴射量が制御される。
【0024】ポンプハウジング13の下側には、燃料噴
射時期を進角側或いは遅角側へ制御するためのタイマ装
置(この図では「90度」だけ展開されている)26が
設けられている。このタイマ装置26は、ドライブシャ
フト5の回転方向に対するローラリング9の回転位置を
変更させることにより、カムフェイス8aがカムローラ
10に係合する時期、即ちプランジャ12が往復動され
る時期を変更するためのものである。
【0025】タイマ装置26は制御油圧により駆動され
るものであり、タイマハウジング27と、同ハウジング
27内に嵌装されたタイマピストン28とを備えてい
る。又、タイマハウジング27内においてタイマピスト
ン28の両側はそれぞれ低圧室29と加圧室30となっ
ている。そして、低圧室29には、タイマピストン28
を加圧室30へ押圧付勢するタイマスプリング31が設
けられている。更に、タイマピストン28はスライドピ
ン32を介してローラリング9に連結されている。
【0026】加圧室30には燃料フィードポンプ6によ
り加圧された燃料が導入される。そして、その燃料圧力
とタイマスプリング31の付勢力との釣り合い関係によ
ってタイマピストン28の位置が決定される。又、その
タイマピストン28の位置が決定されることにより、ロ
ーラリング9の位置が決定され、カムプレート8を介し
てプランジャ12の往復動時期が決定される。
【0027】タイマ装置26の制御油圧としては燃料噴
射ポンプ1の内部の燃料圧力が用いられている。そし
て、その燃料圧力を調整するために、タイマ装置26に
はタイマ制御弁(TCV)33が設けられている。即
ち、タイマハウジング27の加圧室30と低圧室29と
の間には連通路34が設けられており、その連通路34
の途中にTCV33が設けられている。TCV33はデ
ューティ制御された通電信号によって開度が制御される
電磁弁であり、そのTCV33の開度が制御されること
により、加圧室30内の燃料圧力が調整される。そし
て、その燃料圧力が調整されることにより、プランジャ
12の往復動時期が制御され、もって燃料噴射ノズル4
からの燃料噴射時期が進角側或いは遅角側へと制御され
る。
【0028】ローラリング9の上部には、回転数検出手
段としての電磁ピックアップコイルよりなる回転数セン
サ35が、パルサ7の外周面に対向して取付けられてい
る。この回転数センサ35はパルサ7の突起等に横切ら
れる際に、それらの通過を検出してパルス信号として出
力する。即ち、回転数センサ35は一定クランク角度毎
のエンジン回転パルス信号を出力する。併せて、回転数
センサ35は、パルサ7の欠歯による一定クランク角度
に相当するエンジン回転パルス信号を基準位置信号とし
て出力する。又、この回転数センサ35は、一連のエン
ジン回転パルス信号をエンジン回転数NEを求めるため
の信号として出力する。尚、回転数センサ35はローラ
リング9と一体であることから、タイマ装置26の制御
動作に関わりなく、プランジャ12の往復動に対し一定
のタイミングで基準となるエンジン回転パルス信号を出
力可能である。
【0029】次に、ディーゼルエンジン3について説明
する。図2において、ディーゼルエンジン3ではシリン
ダボア41、ピストン42及びシリンダヘッド43によ
り各気筒に対応する主燃焼室44がそれぞれ形成されて
いる。又、シリンダヘッド43には、各主燃焼室44に
連通する副燃焼室45がそれぞれ形成されている。そし
て、各副燃焼室45には各燃料噴射ノズル4から燃料が
噴射される。各副燃焼室45には、始動補助装置として
の周知のグロープラグ46がそれぞれ設けられている。
【0030】一方、ディーゼルエンジン3には、各気筒
に連通して吸気系を構成する吸気通路49と、排気系を
構成する排気通路50がそれぞれ設けられている。又、
吸気通路49には過給機を構成するターボチャージャ5
1のコンプレッサ52が設けられ、排気通路50にはタ
ーボチャージャ51のタービン53が設けられている。
更に、排気通路50にはウェイストゲートバルブ54が
設けられている。周知のように、ターボチャージャー5
1は排気ガスのエネルギーを利用してタービン53を回
転させ、その同軸上にあるコンプレッサ52を回転させ
て吸気を昇圧させるものである。そして、吸気が昇圧さ
れることにより、高密度の空気が主燃焼室44へと送り
込まれて副燃焼室45を通じて噴射された燃料が多量に
燃焼され、ディーゼルエンジン3の出力が増大される。
又、ウェイストゲートバルブ54が開閉されることによ
り、ターボチャージャ51による吸気の昇圧レベルが調
節される。又、この実施例では、上記のような吸気の昇
圧の多少により、吸気通路49を通じて各主燃焼室44
に供給されるべき実質空気量、即ち空気過剰率が調整さ
れることから、ターボチャージャ51により実質空気量
調整手段が構成されている。
【0031】吸気通路49と排気通路50との間には、
エキゾーストガスリサキュレイションバルブ通路(EG
R通路)56が設けられている。そして、このEGR通
路56により、排気通路50内の排気の一部が吸気通路
49における吸気ポート55の近くに再循環される。
又、EGR通路56の途中にはEGRバルブ57が設け
られ、そのEGRバルブ57によって排気再循環量(E
GR量)が調節される。更に、そのEGRバルブ57を
開閉駆動させるために、開度調節されるエレクトリック
バキュームレギュレーティングバルブ(EVRV)58
が設けられている。上記のようにEGR通路56、EG
Rバルブ57及びEVRV58等によりEGR装置が構
成されている。そして、EVRV58によりEGRバル
ブ57が開閉駆動されることにより、EGR通路56を
通じて排気通路50から吸気通路49へ導かれるEGR
量が調節されたり、EGRが遮断されたりする。又、こ
の実施例では、上記のようなEGR量の多少により、吸
気通路49を通じて各主燃焼室44における空気過剰率
が調整されることから、ターボチャージャ51と同様に
EGR装置により実質空気量調整手段が構成されてい
る。
【0032】吸気通路49の途中にはスロットルバルブ
59が設けら、同バルブ59がアクセルペダル60の踏
み込みに連動して開閉される。又、吸気通路49には、
スロットルバルブ59と並んでバイパス通路61が設け
られており、同通路61にはバイパス絞り弁62が設け
られている。このバイパス絞り弁62を開閉駆動させる
ために、二段ダイヤフラム室式のアクチュエータ63が
設けられている。又、そのアクチュエータ63を駆動さ
せるための二つのバキュームスイッチングバルブ(VS
V)64,65が設けられている。そして、各VSV6
4,65がオン・オフ制御されてアクチュエータ63が
駆動されることにより、バイパス絞り弁62が開閉制御
される。例えば、このバイパス絞り弁62は、アイドル
運転時に騒音振動等の低減のために半開状態に制御さ
れ、通常運転時には全開状態に制御され、更に運転停止
時には円滑な停止のために全閉状態に制御される。
【0033】上記のような電磁スピル弁23、TCV3
3、グロープラグ46、EVRV58及び各VSV6
4,65は電子制御装置(以下単に「ECU」という)
71にそれぞれ電気的に接続されている。そして、それ
ら各部材23,33,46,58,64,65の駆動タ
イミングがECU71により制御される。
【0034】ディーゼルエンジン3の運転状態を検出す
るためのセンサとしては、前述した回転数センサ35に
加えて、以下の各種センサが設けられている。即ち、吸
気通路49の入口に設けられたエアクリーナ66の近傍
には、吸気通路49に吸入される空気の温度、即ち吸気
温度THAを検出してその検出値の大きさに応じた信号
を出力する吸気温センサ72が設けられている。又、ス
ロットルバルブ59の近傍には、同バルブ59の開閉位
置からエンジン負荷に相当するアクセル開度ACCPを
検出してその検出値の大きさに応じた信号を出力するア
クセルセンサ73が設けられている。吸気ポート55の
近傍には、ターボチャージャ51によって過給された後
の吸気の圧力、即ち過給圧PiMを検出してその検出値
の大きさに応じた信号を出力する吸気圧センサ74が設
けられている。更に、ディーゼルエンジン3には、その
冷却水の温度、即ち冷却水温THWを検出してその検出
値の大きさに応じた信号を出力する水温センサ75が設
けられている。又、ディーゼルエンジン3には、クラン
クシャフト40の回転基準位置、例えば特定気筒の上死
点に対するクランクシャフト40の回転位置を検出し、
その回転位置に対応する信号を出力するクランク角セン
サ76が設けられている。更に又、図示しないトランス
ミッションには、車両速度(車速)SPDを検出する車
速センサ77が設けられている。この車速センサ77は
トランスミッションの出力軸により回転されるマグネッ
ト77aを備え、そのマグネット77aによりリードス
イッチ77bが周期的にオンされることより、車速SP
Dに相当するパルス信号が出力される。以上のような各
種センサ35,72〜77により運転状態検出手段が構
成されている。
【0035】加えて、この実施例において、吸気通路4
9の入口側には、吸気通路49に外部より取り込まれる
吸気量VSを検出するための吸気量検出手段としてのエ
アフローメータ78が設けられている。このエアフロー
メータ78は、例えば可動ベーン式、或いはカルマン渦
式のセンサより構成されている。
【0036】そして、この実施例では、ECU71によ
り基本噴射量演算手段、噴射量制御手段、吸気量学習手
段、吸気量偏差演算手段及び噴射量補正手段が構成され
ている。そして、ECU71には上述した各センサ3
5,72〜77及びエアフローメータ78がそれぞれ接
続されている。又、ECU71は各センサ35,72〜
77及びエアフローメータ78から出力される各信号に
基づき、電磁スピル弁23、TCV33、グロープラグ
46、EVRV58及び各VSV64,65等を好適に
制御する。
【0037】次に、前述したECU71の構成を図4に
示すのブロック図に従って説明する。ECU71は中央
処理装置(CPU)81、所定の制御プログラム及びマ
ップ等を予め記憶した読み出し専用メモリ(ROM)8
2、CPU81の演算結果等を一時記憶するランダムア
クセスメモリ(RAM)83、記憶されたデータを保存
するバックアップRAM84等を備えている。そして、
ECU71はこれら各部81〜84と入力ポート85及
び出力ポート86等とをバス87によって接続した論理
演算回路として構成されている。
【0038】入力ポート85には、前述した吸気温セン
サ72、アクセルセンサ73、吸気圧センサ74、水温
センサ75及びエアフローメータ78が、各バッファ8
8,89,90,91,92、マルチプレクサ93及び
A/D変換器94を介して接続されている。同じく、入
力ポート85には、前述した回転数センサ35、クラン
ク角センサ76及び車速センサ77が、波形整形回路9
5を介して接続されている。そして、CPU81は入力
ポート85を介して入力される各センサ35,72〜7
7及びエアフローメータ78等からの信号をそれぞれ入
力値として読み込む。又、出力ポート86には各駆動回
路96,97,98,99,100,101を介して電
磁スピル弁23、TCV33、グロープラグ46、EV
RV58及び各VSV64,65等がそれぞれ接続され
ている。そして、CPU81は各センサ35,72〜7
7及びエアフローメータ78から読み込まれた入力値に
基づき、電磁スピル弁23、TCV33、グロープラグ
46、EVRV58及び各VSV64,65等をそれぞ
れ好適に制御する。
【0039】尚、この実施例のCPU81は計時機能を
兼ね備えている。又、この実施例において、グロープラ
グ46はディーゼルエンジン3の各気筒毎に設けられて
いるものであるが、図4のブロック図では便宜上その中
の一つのみが図示されている。
【0040】次に、前述したECU71により実行され
る燃料噴射量制御及びEGR制御のための処理動作につ
いて図5〜図7に従って説明する。図5はECU71に
より実行される処理動作のうち、燃料噴射量制御のため
の「燃料噴射量制御ルーチン」の処理内容を示すフロー
チャートであり、このルーチンの処理は所定間隔毎に周
期的に実行される。
【0041】処理がこのルーチンへ移行すると、先ずス
テップ110において、各種センサ35,73〜75及
びエアフローメータ78等からの各種信号に基づき、エ
ンジン回転速度NE、過給圧PiM、冷却水温THW、
アクセル開度ACCP及び吸気量VS等をそれぞれ読み
込む。
【0042】続いて、ステップ120において、今回読
み込まれたエンジン回転速度NE及びアクセル開度AC
CPに基づき、ディーゼルエンジン3の運転状態に応じ
た基本噴射量Qbを演算する。この基本噴射量の演算は
所定の演算式に従って行われる。又、ステップ130に
おいて、今回の冷却水温THW及び過給圧PiM等に基
づき、今回求められた基本噴射量Qbを補正演算するこ
とにより目標噴射量Qを演算する。即ち、冷間時やター
ボチャージャ51の作動状態に応じて基本噴射量Qbを
補正することにより目標噴射量Qを求めるのである。
【0043】次に、ステップ140において、今回のエ
ンジン回転速度NE及びアクセル開度ACCPに基づ
き、今回の運転状態に適合した予測吸気量VSPを演算
する。この予測吸気量VSPは予め定められたマップを
参照して求められる。
【0044】その後、ステップ150において、アクセ
ル開度ACCPに基づき単位時間当たりのアクセル開度
変化分ΔACCPを演算する。このアクセル開度変化分
ΔACCPは、今回読み込まれたアクセル開度ACCP
と前回読み込まれたアクセル開度ACCPとの差から求
められる。
【0045】そして、ステップ160においては、今回
求められたアクセル開度変化分ΔACCPが予め定めら
れた基準値αよりも大きいか否かを判断する。ここで、
アクセル開度変化分ΔACCPが基準値αよりも大きく
ない場合には、ディーゼルエンジン3がアクセル開度A
CCPの変化の少ない定常運転時であるものとして、ス
テップ170へ移行する。そして、定常運転時のための
ステップ170,180,190の処理を実行する。
【0046】即ち、ステップ170においては、今回読
み込まれた実際の吸気量VSと今回求められた予測吸気
量VSPとの偏差を演算し、その偏差を吸気量偏差ΔV
Sとして設定する。又、ステップ180においては、今
回求められた吸気量偏差ΔVSを、今回のエンジン回転
数NE及びアクセル開度ACCPに応じて学習すること
により学習吸気量偏差ΔVSGを求める。又、求められ
た学習吸気量偏差ΔVSGをRAM83に一時記憶す
る。更に、ステップ190においては、今回求められた
目標噴射量Qを最終噴射量QFINとして設定した後、
ステップ230へ移行する。
【0047】そして、ステップ230においては、今回
求められた最終噴射量QFINに基づき燃料噴射を実行
する。即ち、最終噴射量QFINに基づき電磁スピル弁
23を制御することにより、燃料噴射ポンプ1から燃料
噴射ノズル4への燃料の圧送を制御する。それによっ
て、燃料噴射ノズル4からの燃料噴射量を制御するので
ある。そして、このステップ230の処理を終了した
後、その後の処理を一旦終了する。
【0048】一方、ステップ160においては、アクセ
ル開度変化分ΔACCPが基準値αよりも大きい場合に
は、ディーゼルエンジン3がアクセル開度ACCPの変
化の大きい加速時等の過渡運転時であるものとして、ス
テップ200へ移行する。そして、過渡運転時のための
ステップ200,210,220等の処理を実行する。
【0049】即ち、ステップ200においては、今回ま
でに学習されてRAM83に記憶されている学習吸気量
偏差ΔVSGを、今回のエンジン回転数NE及びアクセ
ル開度ACCPに応じて読み込む。又、ステップ210
において、今回の運転状態に応じて求められた予測吸気
量VSPに、今回読み込まれた学習吸気量偏差ΔVSG
を加算してその加算結果を学習吸気量VSGとして設定
する。更に、ステップ220において、今回読み込まれ
た実際の吸気量VSと今回求められた学習吸気量VSG
に基づき目標噴射量Qを補正演算し、その演算結果を最
終噴射量QFINとして設定する。この演算は以下の計
算式(1)に従って行われる。
【0050】 QFIN=(VS/VSG)*Q …(1) つまり、定常運転時の学習吸気量VSPに対する過渡運
転時の実際の吸気量VSの偏差としての両者の比(VS
/VSG)を、目標噴射量Qに乗算することにより最終
噴射量QFINを求めるのである。
【0051】その後、ステップ230においては、今回
求められた最終噴射量QFINに基づき、上記したよう
に燃料噴射を実行し、その後の処理を一旦終了する。上
記のようにして定常運転時及び過渡運転時における燃料
噴射量制御が実行される。
【0052】図6はECU71により実行される処理動
作のうち、EGR制御のための「EGR制御ルーチン」
の処理内容を示すフローチャートであり、このルーチン
の処理は所定間隔毎に周期的に実行される。
【0053】処理がこのルーチンへ移行すると、先ずス
テップ310において、前述した「燃料噴射量制御ルー
チン」で求められる最終噴射量QFIN等を読み込む。
又、回転数センサ35の検出値に基づきエンジン回転数
NEを読み込む。
【0054】続いて、ステップ320において、今回読
み込まれた最終噴射量QFIN及びエンジン回転数NE
等に基づき、所定の計算式に従って補正後最終噴射量Q
FINDを演算する。
【0055】そして、ステップ330において、今回読
み込まれたエンジン回転数NEと今回求められた補正後
最終噴射量QFINDとに基づき、EGR制御量DFI
Nを演算する。ここで、EGR制御量DFINは、図7
に示すようにエンジン回転数NE及び補正後最終噴射量
QFINDに対するEGR制御量DFINの関係を予め
定めてなるマップを参照して求められる。このマップに
おいて、EGR制御量DFINは、補正後最終噴射量Q
FINDが大きくなるに連れて小さくなる傾向に設定さ
れている。そして、ディーゼルエンジン3の過渡運転時
に補正後最終噴射量QFINDが大きくなるような場合
には、EGRを遮断させるべくEGR制御量DFINが
「0」に設定されている。又、EGR制御量DFIN
は、ある範囲の補正後最終噴射量QFINDでエンジン
回転数NEが大きくなるに連れて大きくなる傾向に設定
されている。
【0056】その後、ステップ340において、今回求
められたEGR制御量DFINが予め定められた基準値
βよりも小さいか否かを判断する。ここで、EGR制御
量DFINが基準値βよりも小さい場合には、ステップ
350において、EGRバルブ57を閉じるようにEV
RV58を駆動制御する。即ち、EGRをオフさせる。
そして、このルーチンの処理を一旦終了する。
【0057】一方、ステップ340において、EGR制
御量DFINが基準値βよりも小さくない場合には、ス
テップ360において、今回求められたEGR制御量D
FINが予め定められた基準値γ(β<γ)よりも大き
いか否かを判断する。ここで、EGR制御量DFINが
基準値γよりも大きい場合には、ステップ380へ移行
する。又、EGR制御量DFINが基準値γよりも大き
くない場合には、ステップ370において、前回の制御
周期でEGRバルブ57が閉じていたか否かを判断す
る。そして、ステップ370において、前回にEGRバ
ルブ57が閉じていた場合には、ステップ350におい
て、前述したと同様にEGRをオフさせて、このルーチ
ンの処理を一旦終了する。又、前回にEGRバルブ57
が閉じていない場合には、ステップ380へ移行する。
【0058】そして、ステップ360又はステップ37
0から移行してステップ380においては、EGRバル
ブ57を開くようにEVRV58を駆動制御する。即
ち、EGRをオンさせる。そして、このルーチンの処理
を一旦終了する。
【0059】つまり、ステップ340〜ステップ380
においては、ある程度のヒステリシスをもってEGRの
オン・オフを切り換えるのである。上記のようにして、
補正後最終噴射量QFIND等に基づき求められるEG
R制御量DFINに応じて、EGRのオン・オフが切り
換えられ、EGR量が制御される。そして、特にディー
ゼルエンジン3の過渡運転時には、EGRを遮断させる
ためにEGRが「オン」から「オフ」へ、即ちEGRバ
ルブ57が開き状態から閉じ状態へと切り換えられる。
【0060】以上説明したように、この実施例の燃料噴
射量制御装置によれば、ディーゼルエンジン3の運転時
に、その運転状態に応じて基本噴射量Qbが求められ
る。又、その基本噴射量Qbが冷間時やターボチャージ
ャ51の作動状態に応じて補正されて目標噴射量Qが求
められる。そして、その目標噴射量Qから設定される最
終噴射量QFINに基づき、燃料噴射ポンプ1の電磁ス
ピル弁23が駆動制御されることにより、所要量の燃料
がディーゼルエンジン3の各主燃焼室44へと噴射供給
され、燃焼に供される。又、そのときの運転状態に応じ
てEGR装置のEGRバルブ57が開閉され、これによ
り吸気通路49を通じて各主燃焼室44に供給されるべ
き空気過剰率が適宜に調整される。更に、エアフローメ
ータ78では、そのときの運転状態に応じて外部から吸
気通路49に取り込まれる吸気量VSが検出される。そ
して、アクセル開度ACCPの変化の少ない定常運転時
には、検出された実際の吸気量VSと予測吸気量VSP
との吸気量偏差ΔVSがそのときのエンジン回転数NE
及びアクセル開度ACCPに応じて学習される。
【0061】ここで、定常運転状態から過渡運転状態へ
と移行した場合には、ディーゼルエンジン3に供給され
るべき空気過剰率を増大させるために、それまで開かれ
ていたEGRバルブ57が閉じられる。これと同時に、
燃料噴射量制御のために、それまで定常運転時で学習さ
れていた学習吸気量偏差ΔVSGより学習吸気量VSG
が求められる。そして、その学習吸気量VSGに対する
実際の吸気量VSとの比(VS/VSG)により目標噴
射量Qが補正されて最終噴射量QFINが設定される。
従って、ディーゼルエンジン3の過渡運転時に、EGR
を遮断すべくEGRバルブ57が閉じられる際に、同バ
ルブ57に閉じ遅れが生じた場合には、EGRの遮断が
遅れて吸気通路49に対する外部からの吸気が遅れるこ
とになる。しかし、この場合には、その吸気遅れを反映
して、学習吸気量VSGに対する実際の吸気量VSの比
(VS/VSG)が求められる。そのため、その比(V
S/VSG)に応じて目標噴射量Qが補正されることに
なり、各主燃焼室44に供給される燃料量が適正化され
る。つまり、EGRバルブ57の閉じ遅れに起因して主
燃焼室44の空気過剰率が小さくなるのに合わせて、燃
料噴射量が減量補正される。又、加速時等の過渡運転時
にはターボチャージャ51も作動を開始するが、このと
きターボチャージャ51に作動遅れが生じた場合にも、
上記のEGR装置の場合と同様に燃料噴射量が減量補正
される。
【0062】しかも、定常運転時の学習より求められる
学習吸気量VSGには、主燃焼室44や吸気通路49の
容積等に関わる固体差や経時変化、EGR装置やターボ
チャージャ51の固体差や経時変化、或いはエアフロー
メータ78の検出精度に関する固体差や経時変化がそれ
ぞれ反映されることになる。そのため、上記した比(V
S/VSG)には上記各種の固体差や経時変化が反映さ
れることになる。つまり、上記の比(VS/VSG)は
各種の固体差を相殺して求められ、各種の経時変化に追
随して求められる。そして、最終噴射量QFINもそれ
らの固体差や経時変化に応じて補正された結果として設
定される。従って、過渡運転時に主燃焼室44に供給さ
れる燃料噴射量が、上記の固体差や経時変化に応じて適
正化される。
【0063】その結果、過渡運転時には、EGRバルブ
57の閉じ遅れやターボチャージャ51の作動遅れに対
処して燃料噴射量を精度良く補正することができる。併
せて、過渡運転時には、EGR装置やターボチャージャ
51を含む吸気通路49、或いは主燃焼室44等の固体
差や経時変化に対処して燃料噴射量を精度良く補正する
ことができる。更には、エアフローメータ78の検出精
度に関する固体差や経時変化に対処して燃料噴射量を精
度良く補正することもできる。そのため、過渡運転時の
ディーゼルエンジン3で、燃料の噴き過ぎによるスモー
クの排出を抑えることができ、排気エミッションの悪化
を未然に防止することができる。
【0064】尚、この発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で構成の一部
を適宜に変更して次のように実施することもできる。 (1)前記実施例では、定常運転時に実際の吸気量VS
と予測吸気量VSPとの偏差から学習吸気量偏差ΔVS
Gを学習し、過渡運転時にその学習吸気量偏差ΔVSG
と予測吸気量VSPとを加算することにより学習吸気量
VSGを求めるようにした。これに対し、定常運転時に
実際の吸気量VSをそのまま学習することにより学習吸
気量VSGを求めるようにしてもよい。
【0065】(2)前記実施例では、実質空気量調整手
段としてのEGR装置及びターボチャージャ51を備え
たディーゼルエンジン3に具体化したが、その他に吸気
絞り弁を設けたディーゼルエンジンに具体化することも
できる。或いは、EGR装置、ターボチャージャ或いは
吸気絞り弁のうちの何れか一つを設けたり、それらを適
宜に組み合わせたりしたディーゼルエンジンに具体化す
ることもできる。
【0066】(3)前記実施例では、内燃機関としてデ
ィーゼルエンジン3に具体化したが、ガソリンエンジン
に具体化することもできる。 (4)前記実施例では、吸気量検出手段としてエアフロ
ーメータ78を用いたが、吸気量検出手段として吸気圧
センサを用いてもよい。
【0067】(5)前記実施例では、過給機としてター
ボチャージャ51を備えたディーゼルエンジン3に具体
化したが、過給機としてスーパーチャジャを備えたディ
ーゼルエンジンに具体化することもできる。
【0068】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、内燃機関の定常運転時に、吸気量検出手段により検
出される吸気量を運転状態に応じて学習する。そして、
過渡運転時には、内燃機関に供給される燃料噴射量に合
わせて実質空気量を調整すべく実質空気量調整手段の駆
動を切り換える。これと同時に、定常運転時の学習吸気
量に対する吸気量の偏差を演算し、その偏差に基づいて
基本噴射量を補正するようにしている。
【0069】従って、過渡運転時に、実質空気量調整手
段の駆動切り換えに応答遅れが生じて吸気遅れが生じた
場合には、その吸気遅れを反映して学習吸気量に対する
吸気量の偏差が求められる。そして、その偏差に応じて
基本噴射量が補正され、内燃機関に供給される燃料量が
適正化される。しかも、学習吸気量には、実質空気量調
整手段を含む吸気系及び吸気量検出手段等の固体差や経
時変化が反映され、基本噴射量もそれらの固体差や経時
変化に応じて補正される。その結果、内燃機関の過渡運
転時には、実質空気量調整手段の作動遅れや、同調整手
段を含む吸気系及び吸気量検出手段等の固体差や経時変
化等に対処して、燃料噴射量を精度良く補正することが
でき、延いては排気エミッションの悪化を未然に防止す
ることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の基本的な概念構成を示す概念構成図
である。
【図2】この発明を具体化した一実施例における過給機
付ディーゼルエンジンシステムを示す概略構成図であ
る。
【図3】一実施例において燃料噴射ポンプを示す断面図
である。
【図4】一実施例においてECUの電気的構成を示すブ
ロック図である。
【図5】一実施例において、ECUにより実行される
「燃料噴射量制御ルーチン」示すフローチャートであ
る。
【図6】一実施例において、ECUにより実行される
「EGR制御ルーチン」を示すフローチャートである。
【図7】一実施例において、エンジン回転数及び補正後
最終噴射量に対するEGR制御量の関係を示すマップで
ある。
【符号の説明】 1…燃料噴射手段を構成する燃料噴射ポンプ、3…内燃
機関としてのディーゼルエンジン、49…吸気系を構成
する吸気通路、51…実質空気量調整手段としてのター
ボチャージャ、56…EGR通路、57…EGRバル
ブ、58…EVRV(56〜58は同じく実質空気量調
整手段としてのEGR装置を構成している)、35…回
転数センサ、73…アクセルセンサ(35,73等は運
転状態検出手段を構成しいてる)、78…吸気量検出手
段としてのエアフローメータ、71…ECU(71は基
本噴射量演算手段、噴射量制御手段、吸気量学習手段、
吸気量偏差演算手段及び噴射量補正手段を構成してい
る)。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関へ燃料を噴射供給するための燃
    料噴射手段と、 前記内燃機関の吸気系に設けられ、その吸気系を通じて
    前記内燃機関に供給されるべき実質空気量を調整するた
    めの実質空気量調整手段と、 前記内燃機関の運転状態を検出するための運転状態検出
    手段と、 前記運転状態検出手段の検出結果に基づき、前記内燃機
    関に供給されるべき基本噴射量を演算するための基本噴
    射量演算手段と、 前記基本噴射量演算手段の演算結果に基づき、前記燃料
    噴射手段を駆動制御するための噴射量制御手段と、 前記吸気系に外部から取り込まれる吸気量を検出するた
    めの吸気量検出手段と、 前記運転状態検出手段の検出結果に基づき、前記内燃機
    関の定常運転時と判断したときに、前記吸気量検出手段
    により検出される前記吸気量をそのときの運転状態に応
    じて学習するための吸気量学習手段と、 前記運転状態検出手段の検出結果に基づき、前記内燃機
    関の過渡運転時と判断したときに、前記内燃機関に供給
    されるべき前記実質空気量を増大させるために前記実質
    空気量調整手段の駆動を切り換え制御するための実質空
    気量制御手段と、 前記運転状態検出手段の検出結果に基づき、前記内燃機
    関の過渡運転時と判断したときに、前記吸気量学習手段
    により学習された学習吸気量に対する前記吸気量検出手
    段により検出される前記吸気量の偏差を演算するための
    吸気量偏差演算手段と、 前記吸気量偏差演算手段の演算結果に基づき、前記過渡
    運転時に前記基本噴射量演算手段により演算される前記
    基本噴射量を補正するための噴射量補正手段とを備えた
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射量制御装置。
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