JPH05239709A - 極細超異形繊維 - Google Patents

極細超異形繊維

Info

Publication number
JPH05239709A
JPH05239709A JP7356692A JP7356692A JPH05239709A JP H05239709 A JPH05239709 A JP H05239709A JP 7356692 A JP7356692 A JP 7356692A JP 7356692 A JP7356692 A JP 7356692A JP H05239709 A JPH05239709 A JP H05239709A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
section
fiber
cross
yarn
shape
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7356692A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaki Yamanaka
昌樹 山中
Takaharu Nishida
高治 西田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP7356692A priority Critical patent/JPH05239709A/ja
Publication of JPH05239709A publication Critical patent/JPH05239709A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 複合紡出糸を溶剤で処理し特定の成分を紡出
除去することにより得られる極細異形糸に関し、特に異
形度が従来品より大きく、風合い、機能性共に優れた衣
料用に適した超異形断面極細糸を提供する。 【構成】 複合繊維の溶出成分を溶剤を用いて完全にま
たは部分的に除去することにより得られた異形断面糸で
あり、異形断面糸1の単糸繊度が0.2〜3.0デニー
ルであり、糸断面が“モンステラ”の断面形状a,bを
有している極細超異形繊維。 【効果】 合成繊維特有のヌメリ感がなく、且つギラつ
いた光沢が解消される。特に従来公知の極細繊維から
は、例えば、単糸繊度を0.3デニール以下にしないと
得られない様なソフト感、風合が0.3デニールを超え
る太い単糸繊度をもって得られる。また、機能材等の種
々の添加剤を入れた場合、その添加剤の繊維中での保持
性が高く給水性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は複合紡糸糸を、溶剤で処
理し、特定の成分を溶出除去することで得られる極細異
形糸に関し、特に異形度が著しく大きく、風合い、機能
性共に優れた、衣料用に適した超異形超極細糸に関する
ものである
【0002】
【従来技術】従来より、布帛の風合いの改良や、特殊機
能の付与のために、複合紡糸技術を用いた超極細化技術
の研究が盛んに行われてきた。
【0003】例えば、特公昭44−18369号公報や
特公昭48−28005号公報に記載されているよう
に、海島や放射形の断面形状を持つ複合繊維を用い、割
繊分割または1成分を溶出除去することにより超極細化
する方法がよく知られている。この様な方法で得られる
極細糸では、シャープエッジを有する超極細糸の得られ
る放射形断面糸の方が、同程度の繊度の場合では、風合
い的にも機能的にも優れている点が多く、複合紡糸技術
は、単に細繊度化だけでなく、異形断面糸を得るための
手段としても有効である。
【0004】超極細糸を用いた布帛は、ソフトな風合い
と透湿防水などの特殊機能をあわせもつ優れた素材であ
り、ソフトな風合を満足するには必然的に0.3d以
下、好ましくは0.2d以下の超極細化を要していた。
この超極細化による表面反射光の増加現象は、染色後の
淡色化の問題を引き起こすという大きな欠点を有するた
めに、特に細繊度化による風合いの向上と濃染化は、相
反する現象であった。
【0005】また、この淡色化の問題だけでなく、特に
ポリエステルの超極細糸は、分散染料を用いて染色した
場合には、昇華汚染の問題があるために、イオン可染ポ
リマーの使用が必要となるが、この場合ポリマーコスト
の上昇や強度の低下を伴うため、この点で非改質ポリマ
ーであっても酸性染色の可能なポリアミドを用いること
が有利である。
【0006】しかし、従来のポリアミドフィラメントか
らなる織物は、ヌメリ感が強く、この風合いが嫌われる
ことが多かった。また、非改質のポリアミドは、高収縮
化や、異形断面化が困難であり、またポリエステルに用
いられるアルカリ減量加工のような低コストの風合い向
上手段も用いることが出来ない等の欠点があった。ま
た、ポリエステルをはじめとする他の合成繊維素材を用
いても、通常の紡糸方法では糸表面が平坦になるため、
ヌメリ感が発生するという欠点があった。
【0007】また、合成繊維の機能性に関して、一般に
コストの点で有利な汎用ポリマーに限れば、合成繊維は
吸水能力が低いために、合成繊維単独では快適衣料への
用途展開に向いておらず、この点では特に、綿をはじめ
とする吸水素材としての天然繊維が優れていると言え
る。
【0008】しかしながら、天然繊維、特に綿や、ウー
ル等の短繊維の不均一性は、合成繊維では模倣の困難な
一種の特徴であるが、逆にこの不均一性のために、その
用途がカジュアル素材に限られる事も多く、均一で総デ
ニールの低いフィラメントでの吸水特性の優れた素材は
少ないと言える。
【0009】天然繊維の吸水性をはじめとする諸特性
と、均一性とをを同時に満たす方法としては、特公昭5
9−27406号公報記載のような天然繊維ステープル
とフィラメントを特殊な方法で混繊する方法もあるが、
この様な混繊による方法では細デニール化が困難であ
り、従って特に、高級感のある薄地織物への展開が可能
な吸水快適素材が無かった。
【0010】また、撥水剤、耐光剤等様々な機能剤、添
加剤を、製織後の合成繊維に塗布するなど、後加工によ
る機能性向上の手法もあるが、この場合耐洗濯性など耐
久性が劣ることが多かった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は衣料用合成繊
維フィラメントにおける前記従来の欠点、即ち、ヌメリ
感の大きい風合いや、合繊特有のギラついた光沢を解消
し、従来公知の超極細繊維並に極細繊度化をせずしてソ
フトで発色性に優れた高級感のある素材を得ると共に、
吸水性能や添加剤の保持性など種々の機能性に優れた素
材を提供せんとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、溶出成
分樹脂(A)と該溶出成分樹脂(A)の溶剤に対して溶
出性が無いか、または溶出成分樹脂(A)よりも溶剤速
度の充分遅い残留成分樹脂(B)とを複合紡糸し、得ら
れた複合繊維の溶出成分樹脂(A)よりなる部分を溶剤
を用いて完全に、または部分的に除去することにより得
られた異形断面糸であり、該異形断面糸の単糸0.2〜
3.0デニールであり、該断面が“モンステラ形”の断
面形状であること特徴とする極細超異形繊維である。
【0013】但し、本発明で言うモンステラ形とは、繊
維断面の外形輪郭において、長径の短径に対する比が2
以内の略偏平形または円形を有しており、且つ外形輪郭
線から内部に向って4〜12個の凹部が存在し、該凹部
が繊維断面の短径長さに対し40%以上の深さを有し、
該凹部に挟まれた凸部の平均面積Ss、繊維断面の外形
輪郭より求めた外形面積Sm、前記凸部の個数により求
めたD値が下記(1)式の範囲を満たす形状である。 1.30 < D < 1.70 ・・・・・・(1) D = 2LOG n / LOG S S = Sm /Ss (但し、n:個数=凸部の個数=凹部の個数、Sm:繊
維断面の外形輪郭より求めた外形面積、Ss:凸部の平
均面積の平均面積)
【0014】また特に、モンステラ形断面において、特
に下記(2)式を満たすことが本願発明の目的乃至効果
を達成する上で好ましい。 1.40 < D < 1.65 ・・・・・・(2)
【0015】また、モンステラ形断面に於て、凹部が繊
維断面の外形輪郭の略偏平形における短形長さに対し4
5〜60%の深さ迄に達していることが、本願発明の目
的乃至効果を達成する上でより好ましい。
【0016】本発明における残留成分は、溶出成分と共
に複合紡糸されるが、後加工により、残留成分を完全
に、または部分的に溶出することによってはじめて異形
断面糸が得られるものである。本発明の極細超異形断面
糸の特徴及び特性は、この残留成分が担っているため、
溶出成分の溶出が必要であるが、溶出成分を完全には溶
出しなくても、不完全な溶出で溶出成分と残留成分が剥
離する場合は、残留成分の異形化が達成されるために溶
出成分の完全な溶出処理は必ずしも必要ではない。
【0017】本発明の残留成分として用いる樹脂(B)
は溶融紡糸が可能なポリマーであれば良く、次に示すポ
リマーに限定されないが、その好ましい例としては、ポ
リアミドであれば、ナイロン6、ナイロン66、アモル
ファスナイロン、また、ポリエステルであればポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リエチレンナフタレートなどを挙げることが出来る。ま
たこの他にもポリエチレンやポリスチレンまたはポリプ
ロピレンなどを用いることが出来る。特に、残留成分が
ポリアミドである場合には酸性染色が可能で、非改質ポ
リエステルの分散染色時に問題となる昇華汚染が解消さ
れる。また、残留成分樹脂には添加剤や無機粒子あるい
はその他機能剤などを含んでいてもよく、用途に合わせ
て2成分以上のポリマーをブレンドしたり、改質ポリマ
ーを用いてもよい。
【0018】本発明の溶出成分として用いる樹脂(A)
は溶融紡糸が可能で、用いる溶剤に対して溶出成分樹脂
(A)を優先的に溶出することが出来るポリマーを選べ
ばよく、次に示すポリマーに限定されないが、その好ま
しい例としては、用いる溶剤がアルカリ水溶液であれ
ば、溶出成分としてポリエステル系のポリマーを用いる
ことができ、また、溶剤として蟻酸などの有機酸や、ク
ロロホルムなどの有機溶剤を用いる場合は、それぞれポ
リアミド、ポリスチレンなどを溶出成分として用いるこ
とが出来る。また特に、現状の一般的な後加工処理で対
応出来るアルカリ溶液を溶剤として用いることが処理コ
ストや設備対応の点で有利であり、この場合、PET、
PBT、PENなどのポリエステルを溶出成分として選
ぶことが出来る。また、溶出処理時間を短くするために
改質ポリマーを用いたり、また、ポリアルキレングリコ
ールのような水溶性ポリマーをメルトブレンドしたポリ
エステルを用いてもよい。
【0019】また、本発明で溶出処理後に得られる異形
断面糸の単糸繊度は、0.2〜3.0デニールの範囲に
あることが必要である。
【0020】この範囲の下限を外れる場合には淡色化が
著しくなるという欠点を生じる。但し、従来の極細繊維
では単糸繊度0.3デニールに満たない場合に、表面反
射光の増加による淡色化が著しくなる事が知られている
が、後に述べるように、本発明の超異形断面糸の特殊形
状により0.2デニールでも充分な濃染が可能になるの
である。
【0021】逆に、この範囲の上限を外れる場合には、
布帛が硬くなり、本発明の特徴であるソフトな風合いが
得られなくなる。但し、本発明の超異形断面糸では、後
に述べるように、驚くべきことはその特殊形状により、
3.0デニールでも従来の極細繊維の0.3デニール相
当のソフトな風合いが得られるのである。
【0022】本発明の異形断面糸が“モンステラ形”の
断面形状であることは本発明において特に重要であり、
この条件を満足する場合に初めて本発明の初期の目的と
する効果が得られる。
【0023】本発明の”モンステラ形”断面と言う名
は、観用植物のモンステラ(Monsteradeliciosa:和名
鳳來蕉)にちなんで名付けた。モンステラに特徴的な葉
の葉脈の間に楕円形の穴が開いた形状が、本発明の極細
超異形断面糸の形状に似ているのであるが、本発明で言
う“モンステラ形”断面とは必ずしもこの植物のモンス
テラに規定されるのではなく、あくまでも特許請求項に
示した“モンステラ形”断面の定義に従うものである。
【0024】本発明で言うモンステラ形断面は、円形、
または略偏平形の外輪郭形に繊維表面から繊維の深部に
まで達する、繊維長方向に連続した凹部が、いくつか存
在するような形であるが、この凹部の数は繊維断面に4
〜12個であることが必要である。
【0025】この範囲の下限を外れる場合には、後に説
明する1式の条件とのかねあいから凹部の面積が大きく
なり、添加剤等の保持力が低下し、また風合いも硬くな
るため好ましくない。逆に上限を外れる場合には、同じ
く後に説明する1式の条件とのかねあいから凹部の面積
が小さくなり過ぎ、単に粗面化したフィラメントと風合
いが類似してしまうため好ましくない。
【0026】また、この凹部は、繊維断面における外輪
郭線から内に沿ってある程度の深さまで達していないと
ソフトな風合いが達成されない。繊維断面の短径に対し
40%以上の深さまで達していることが必要であり、さ
らに、45〜60%の深さまで達していると特に好まし
い。
【0027】さらに、本発明で言うモンステラ形断面に
おいて、最も重要なことは、凸部の平均面積Ssと繊維
断面の外形輪郭より求めた外形面積Sm及び凸部の個数
に関して、1式の関係が成立していることである。但
し、ここで言う外形面積とは、モンステラ形断面の凹部
を埋めつくして出来る円または楕円の面積を言うことと
する。
【0028】1式におけるDは、凸部の個数の対数をと
った値を、凸部の面積の繊維外形面積に対する比の対数
で除した値であり、特に、凸部の形状と繊維外形の形状
が類似している場合には、このDは、凸部の個数の対数
を、凸部の繊維外形に対する相似比の対数で除した値で
あるから、フラクタル次元に相当することになる。本発
明者らは、このフラクタル次元を1.5付近に制御する
と、格別な機能と風合いを発現することを見いだし本発
明に至った。
【0029】図1は本発明の実施例で得られる各種繊維
の横断面を示す図であり、aおよびbはD値が1.5の
例であり、cはポリエステルビーズが溶出した微細な穴
が形成されており、dは凸部分割数が12の例である。
図1に示した本発明の断面糸の一例の通り、本発明の極
細超異形糸は、小腸の絨毛突起に似た凸部が、繊維中心
部でつながる、観用植物のモンステラの葉に似た形状で
あり、この形状が以下に示す本発明の極細超異形断面糸
の特殊風合い、特殊機能を発現するものである。
【0030】本発明の極細超異形断面糸は0.2〜3.
0の程度の単糸繊度であるが、実際の風合いは0.1デ
ニール以下の単糸繊度の超極細糸並のソフトな風合いを
有している。これは、おそらく、本発明の極細超異形断
面糸は、単糸繊度が1桁低い突起の集合からなり、また
各々の突起が繊維中心部の接合部を軸に曲がることが出
来るためと思われる。また本発明の極細超異形断面糸で
は、合成繊維に特徴的なヌメリ感が著しく低下し、ドラ
イな風合いを呈するが、これも、ミクロな突起のためと
考えられる。
【0031】また、本発明の極細超異形断面糸の染色後
の発色は、同単糸デニールの通常のフィラメントに比べ
てはるかに良く、単糸0.2デニールにおいても淡色化
の問題は生じない。これは、本発明の極細超異形糸の特
異形状のために、繊維表面での反射光の多くが、凹部の
空間内で何度か反射を繰り返すうちに繊維内部へ取り込
まれるためと考えられる。
【0032】また、本発明の極細超異形断面糸は、発水
添剤等の添加剤の保持性が優れている。これは、塗布さ
れた添加剤が、凹部に取り込まれ、外部への析出が妨げ
られるためと考えられる。
【0033】また、さらに本発明の極細超異形糸は、そ
の特異形状により、吸水性が高く、軽量化効果もあるこ
とが分かっている。
【0034】以上の諸機能と風合いは、このD値を1.
30〜1.70とすることで達成される特異形状に起因
するものであり、この範囲の下限を外れる場合には、凹
部の空間面積が大きくなり過ぎるため、本発明の効果で
ある添加剤の保持性が悪くなり吸水性も低下する。また
特にこの場合には断面形状の保持性も悪化し、製織後に
断面形状がつぶれ、風合いにも特徴が無くなることが多
い。逆に、この範囲の上限を外れる場合には凹部の面積
が小さくなり過ぎるため、本発明の効果である発色性を
低下させ、ギラついた光沢の増加、さらに風合いの硬化
とヌメリ感の発生を引き起こす。
【0035】本発明におけるこのD値は特に1.35<
D<1.65である事が好ましく、さらに1.40<D
<1.65であると最も好ましい。
【0036】また、ポリアミド成分にさらに微細孔を設
けるために微粒子等を含んでもよい。この場合添加する
微粒子は、無機粒子、有機粒子の区別は問わないが、ア
ルカリ減量の可能な微粒子を使うことが好ましく、また
そのサイズと添加量は、フラクタル性が、よりミクロな
サイズにまで成立するように、凸部サイズに合わせて1
式を満たすように設定することが特に好ましい。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳しく説明す
る。
【0038】
【実施例1】残留成分として96%濃硫酸中の相対粘度
2.50のナイロン6を100部、溶出成分としてフェ
ノール/テトラクロロエタン=3/2混合溶媒中での極
限粘度0.63のポリエチレンテレフタレート100部
を用いて複合紡糸し、図2−aに示した断面の複合糸
(50D−24f)を得た。この延伸糸を目付200g
/m2のインターロックに編立てた後、9.0wt%、90
℃の水酸化ナトリウム水溶液にてポリエステル成分を完
全に溶出除去した。
【0039】得られたインターロックは、単糸繊度1.
0デニールの極細超異形断面糸で構成されているが、風
合いは単糸繊度0.5デニールに匹敵するソフトな風合
いであり、またドライなタッチを呈していた。
【0040】また、このインターロックを酸性染料で染
色したところ、単糸繊度1.0デニール並の濃染が出
来、ギラついた光沢の無い高級感のある仕上がりとなっ
た。
【0041】
【実施例2】実施例1の複合糸を島成分とし、さらに海
成分としてテレフタル酸成分に対し、10モル%のイソ
フタル酸成分を共重合したポリエチレンテレフタレート
に平均分子量20000のポリエチレングリコールを1
0wt%メルトブレンドしたポリマーを用いて、図2−b
に示す3成分複合糸を紡糸し、140D−30fの延伸
糸を得た。ただし、3成分の吐出比はナイロン6/ポリ
エチレンテレフタレート/ブレンドポリマー=45/3
0/25とした。この延伸糸を緯糸に用い、経糸として
40D−34fのナイロン6フィラメントを用いて、緯
密度80本/in、経密度180本/in、のタフタを製織
した。このタフタを90℃、3.0wt%NaOH水溶
液中にて30分間減量処理を行ったところ、図3の断面
写真に示すように緯糸の海成分が完全に溶出し、さらに
単糸繊度0.3デニールの極細超異形ナイロンフィラメ
ントと単糸繊度0.02デニールの超極細偏平エステル
フィラメントに分離した。
【0042】この極細超異形ナイロンの断面の長軸の片
端点から他の端点に渡る外形の輪郭線に沿って定める2
点の距離(直線距離約5μm)を、高安秀樹氏「フラク
タル」朝倉書店発行、に記載される“粗視化の度合を変
える方法”を用いて測定し、フラクタル次元を求めたと
ころ、図5のグラフに示すように、フラクタル次元1.
5のフラクタル性が少なくとも5μm〜0.3μmの範
囲で成立していることがわかった。
【0043】このタフタを、さらに90℃、9.0wt%
NaOH水溶液中で60分間アルカリ減量したところ、
エステル成分が完全に溶出し、緯糸がナイロン6の超極
細超異形断面糸のみで構成された織物となった。このタ
フタの緯糸は、凹部または、凸部の幅が共に0.5μm
であり、可視光波長のサイズであった。このタフタを酸
性染料で染色したところ、淡染化の問題は生じず、優雅
な光沢と発色を持ち、またドレープ性にも優れ、ハリ、
コシもあり軽量で、さらに実施例2にも増してソフトな
風合いを持ち、保温性と吸水性において優れた織物が得
られた。また、この織物にシリコーン系の撥水剤を塗布
したところ、20回の洗濯テスト後も、充分な撥水性を
保持していた。
【0044】
【実施例3】前記実施例1において、残留成分として9
6%濃硫酸中の相対粘度2.50のナイロン6に、溶融
粘度40000ポイズ、平均粒径3μmのポリエステル
ビーズを3wt%220℃にて溶融混練りしたブレンドレ
ジンを用い、実施例1同様に紡糸延伸し、インターロッ
クに編立てた後、9.0wt%、90℃の水酸化ナトリウ
ム水溶液にてポリエステル成分を完全に溶出除去した。
【0045】得られたインターロックは、図1ーcに示
した断面を持つ単糸繊度1.0デニールの極細超異形断
面糸で構成されており、風合い、発色性共に著しく優れ
ていた。
【0046】
【実施例4】前記実施例1において、残留成分として5ー
ナトリウムスルホイソフタル酸をテレフタル酸成分に対
して3モル%共重合した改質ポリエチレンテレフタレー
トを用い、溶出成分としてイソフタル酸をテレフタル酸
成分に対して10モル%共重合した改質ポリエチレンテ
レフタレートを用い、実施例1同様に紡糸延伸し、イン
ターロックに編立てた後、9.0wt%、90℃の水酸化
ナトリウム水溶液にて30分減量処理した。
【0047】得られたインターロックは、溶出成分が優
先的に溶出され、図1ーeに示した断面を持つ単糸繊度
1.0デニールの極細超異形断面糸で構成されており、
カチオン可染で、風合い、発色性共に著しく優れてい
た。
【0048】
【比較例1】実施例1において、残留成分を100部、
溶出成分を200部を用いて実施例1同様に紡糸し、D
値1.2の複合糸を得た。この複合糸をインターロック
に編立てた後、ポリエステル成分を完全に溶出除去し
た。
【0049】得られたインターロックは、単糸繊度0.
7デニールの極細超異形断面糸で構成されているが、断
面が図4ーaのごとくにつぶれており、風合いはソフト
であるが、ヌメリ感があった。また染色後、若干の淡色
化があった。
【0050】
【比較例2】実施例1において、残留成分を100部、
溶出成分を35部を用いて実施例1同様に紡糸し、D値
1.8の複合糸を得た。この複合糸をインターロックに
編立てた後、ポリエステル成分を完全に溶出除去した。
【0051】得られたインターロックは、単糸繊度1.
0デニールで、図4ーbに示した極細超異形断面糸で構
成されているが、風合いは従来の単糸繊度1.0デニー
ル並に硬く、ヌメリ感があった。また染色後の発色性
も、ギラつきは無いが、淡色化を伴った。
【0052】残留成分として96%濃硫酸中の相対粘度
2.50のナイロン6を200部、溶出成分としてフェ
ノール/テトラクロロエタン=3/2混合溶媒中での極
限粘度0.63のポリエチレンテレフタレート100部
を用いて複合紡糸し、図4−eに示した断面の複合糸
(70D−20f)を得た。この延伸糸を目付100g
/m2のインターロツクに編立てた後、9.0wt%、9
0℃の水酸化ナトリウム水溶液にてポリエステル成分を
完全に溶出除去した。
【0053】得られたインターロックは、単糸繊度0.
3デニールの極細超異形断面糸で構成されており、ソフ
トな風合いを呈するが、ヌメリ感があった。また、この
インターロックを酸性染料で染色したところ。淡色化が
起こり濃色染めができなかった。
【0054】上記実施例、比較例において、インターロ
ック編地として編立てた布の評価結果を表1に示す。
尚、表中の記号は次を意味する。 ◎優秀、○良好、△良くない、×悪い。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、合成繊維特有のヌメリ
感がなく、且つとギラついた光沢の解消される。特に従
来公知の極細繊維からは、例えば、単糸繊度を0.3d
以下にしないと得られない様なソフト感、風合が0.3
dを越える太い単糸繊度をもって、得られるという特有
の効果がある。また、機能材等の種々の添加剤を入れた
場合、その添加剤の繊維中での保持性が高いこと並びに
吸水性が向上するといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で得られた、各種断面形状を有
する繊維の横断面を示す図である。
【図2】本発明の実施例で得られた複合糸の断面を示す
図であり、aは2成分糸、bは3成分糸を示す。
【図3】実施例2で得られた本発明繊維の走査型電子顕
微鏡写真であり、倍率5000倍での断面を示す。
【図4】本発明の比較例繊維の横断面を示す図である。
【図5】実施例2で得られた本発明繊維の走査型電子顕
微鏡写真である図3を用いて、フラクタル次元を求める
にあたり、高安秀樹氏著「フラクタル」に記載の方法に
より測定した、折れ線近似したときの2点の距離と基準
となる長さとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1はポリアミド、2はポリエステル、3はPEGブレン
ドポリエステルである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶出成分樹脂(A)と溶出成分樹脂
    (A)の溶剤に対して溶出性が無いか、または溶出成分
    樹脂(A)よりも溶解速度の充分遅い残留成分樹脂
    (B)とを複合紡糸し、得られた複合繊維の溶出成分樹
    脂(A)よりなる部分を溶剤を用いて完全に、または部
    分的に除去することに得られた異形断面糸であり、該異
    形断面糸の単糸繊度が0.2〜3.0デニールであり、
    糸断面が“モンステラ形”の断面形状を有していること
    を特徴とする極細超異形繊維。但し、本発明で言うモン
    ステラ形とは、繊維断面の外形輪郭において、長径の短
    径に対する比が2以内の略偏平形または円形を有してお
    り、且つ外形輪郭線から内部に向って4〜12個の凹部
    が存在し、該凹部は繊維断面の外形輪郭の短径長さに対
    し40%以上の深さを有し、該凹部に挟まれたそれぞれ
    の凸部の平均面積Ss、繊維断面の外形輪郭より求めた
    外形面積Sm、前記凸部の個数により求めたD値が下記
    (1)式の範囲を満たす形状である。 1.30 < D < 1.70 ・・・・・・(1) D = 2LOG n / LOG S S = Sm/Ss (但し、n:凹部の個数=凸部の個数、Sm:繊維断面
    の外形輪郭より求めた外形面積、Ss:凸部の平均面
    積)
JP7356692A 1992-02-24 1992-02-24 極細超異形繊維 Pending JPH05239709A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7356692A JPH05239709A (ja) 1992-02-24 1992-02-24 極細超異形繊維

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7356692A JPH05239709A (ja) 1992-02-24 1992-02-24 極細超異形繊維

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05239709A true JPH05239709A (ja) 1993-09-17

Family

ID=13521948

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7356692A Pending JPH05239709A (ja) 1992-02-24 1992-02-24 極細超異形繊維

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05239709A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06192910A (ja) * 1992-10-27 1994-07-12 Basf Corp それぞれ複数突起を有する複葉の横断面を有するカーペットヤーン用合成繊維およびこれを製造するための紡糸口金プレート
JP2007501334A (ja) * 2003-02-14 2007-01-25 インヴィスタ テクノロジー エスアエルエル 異形断面を有するポリマーフィラメント
KR20090102743A (ko) * 2006-11-03 2009-09-30 알라쏘 인더스트리스, 아이엔씨. 개선된 고 표면적 섬유 및 상기 개선된 고 표면적 섬유로부터 제조된 천
JP2012072515A (ja) * 2010-09-29 2012-04-12 Kuraray Co Ltd 多島露出型複合繊維、該繊維から得られる繊維構造物、さらに該繊維構造物からなるワイピングテープ
CN104451921A (zh) * 2013-09-22 2015-03-25 东丽纤维研究所(中国)有限公司 一种吸水速干型长纤维、织物及制造方法
US9284663B2 (en) 2013-01-22 2016-03-15 Allasso Industries, Inc. Articles containing woven or non-woven ultra-high surface area macro polymeric fibers
US9815050B2 (en) 2010-07-30 2017-11-14 Emd Millipore Corporation Chromatography media and method
JP2018100459A (ja) * 2016-12-20 2018-06-28 東レ株式会社 分割型複合繊維
US10449517B2 (en) 2014-09-02 2019-10-22 Emd Millipore Corporation High surface area fiber media with nano-fibrillated surface features
US11236125B2 (en) 2014-12-08 2022-02-01 Emd Millipore Corporation Mixed bed ion exchange adsorber
CN115652450A (zh) * 2022-12-01 2023-01-31 江苏德力化纤有限公司 一种仿毛聚酯纤维及其制备方法和加工设备

Cited By (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06192910A (ja) * 1992-10-27 1994-07-12 Basf Corp それぞれ複数突起を有する複葉の横断面を有するカーペットヤーン用合成繊維およびこれを製造するための紡糸口金プレート
JP4869060B2 (ja) * 2003-02-14 2012-02-01 インヴィスタ テクノロジーズ エスアエルエル 異形断面を有するポリマーフィラメント
JP2007501334A (ja) * 2003-02-14 2007-01-25 インヴィスタ テクノロジー エスアエルエル 異形断面を有するポリマーフィラメント
KR101499057B1 (ko) * 2006-11-03 2015-03-06 알라쏘 인더스트리스, 아이엔씨. 개선된 고 표면적 섬유 및 상기 개선된 고 표면적 섬유로부터 제조된 천
US8129019B2 (en) 2006-11-03 2012-03-06 Behnam Pourdeyhimi High surface area fiber and textiles made from the same
US20120148841A1 (en) * 2006-11-03 2012-06-14 Allasso Industries Method and Apparatus for Making an Improved High Surface Area Fiber
US8410006B2 (en) * 2006-11-03 2013-04-02 Walter Chappas Composite filter media with high surface area fibers
KR20140114462A (ko) * 2006-11-03 2014-09-26 알라쏘 인더스트리스, 아이엔씨. 고 표면적 섬유를 가진 개선된 복합 필터 매질
KR20090102743A (ko) * 2006-11-03 2009-09-30 알라쏘 인더스트리스, 아이엔씨. 개선된 고 표면적 섬유 및 상기 개선된 고 표면적 섬유로부터 제조된 천
JP2010509099A (ja) * 2006-11-03 2010-03-25 アラッソ・インダストリーズ・インコーポレーテッド 高表面積繊維を有する改良された複合ろ材
US9815050B2 (en) 2010-07-30 2017-11-14 Emd Millipore Corporation Chromatography media and method
US11305271B2 (en) 2010-07-30 2022-04-19 Emd Millipore Corporation Chromatography media and method
JP2012072515A (ja) * 2010-09-29 2012-04-12 Kuraray Co Ltd 多島露出型複合繊維、該繊維から得られる繊維構造物、さらに該繊維構造物からなるワイピングテープ
US9284663B2 (en) 2013-01-22 2016-03-15 Allasso Industries, Inc. Articles containing woven or non-woven ultra-high surface area macro polymeric fibers
CN104451921A (zh) * 2013-09-22 2015-03-25 东丽纤维研究所(中国)有限公司 一种吸水速干型长纤维、织物及制造方法
US10449517B2 (en) 2014-09-02 2019-10-22 Emd Millipore Corporation High surface area fiber media with nano-fibrillated surface features
US11236125B2 (en) 2014-12-08 2022-02-01 Emd Millipore Corporation Mixed bed ion exchange adsorber
JP2018100459A (ja) * 2016-12-20 2018-06-28 東レ株式会社 分割型複合繊維
CN115652450A (zh) * 2022-12-01 2023-01-31 江苏德力化纤有限公司 一种仿毛聚酯纤维及其制备方法和加工设备
CN115652450B (zh) * 2022-12-01 2023-06-30 江苏德力化纤有限公司 一种仿毛聚酯纤维及其制备方法和加工设备

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH05239709A (ja) 極細超異形繊維
EP0134141B1 (en) Pile articles and their production
JP4315009B2 (ja) 混繊糸およびそれからなる繊維製品
JP2005133250A (ja) 芯鞘複合繊維
JP2970350B2 (ja) 異繊度混繊糸使い織編物の製造方法
JPH0625918A (ja) 易起毛性ポリエステル系繊維及びその製造方法
JPH08120575A (ja) 軽量鮮明布帛の製造方法
KR960000782B1 (ko) 견조 이성분 복합섬유 및 이를 제조하기 위한 방사구금 장치
KR100375245B1 (ko) 세탁 및 일광견뢰도가 우수한 경편지 및 그의 제조방법
JP2672297B2 (ja) モケツトパイル
KR940010800B1 (ko) 스웨드조(suede調) 직물의 제조방법
KR100292576B1 (ko) 촉감이 우수한 경편지
JP3489919B2 (ja) ポリエステル系繊維
KR100362031B1 (ko) 세탁 및 일광견뢰도가 우수한 경편지 및 그의 제조방법
JP3587269B2 (ja) シルキー調織編物の製造方法
KR100375247B1 (ko) 세탁 및 일광견뢰도가 우수한 환편지
JP4427708B2 (ja) ポリエステル繊維織編物及びその製造方法
KR100434563B1 (ko) 자연스러운 스트리키 효과가 우수한 경편지
JPH0241438A (ja) パイル布帛
JP2508822B2 (ja) ポリエステル系マルチフィラメント糸
JP2005023437A (ja) ポリマーアロイ捲縮糸
JPS6045610A (ja) 複合繊維
JP2581162B2 (ja) ポリエステル系フィラメント糸
JP2591675B2 (ja) 立毛織編物およびその製造方法
JPH11107089A (ja) 光沢を有するポリエステル混繊糸