JP2018100459A - 分割型複合繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】高次工程中では毛羽等を発生せず、工程通過性に優れていながらも、熱または物理的処理に対して容易に極細繊維および太繊度繊維を発生しうる分割型複合繊維の提供。【解決手段】繊維軸に垂直方向の繊維断面において、ポリマーA及びBがいずれも繊維表面に露出しながら交互に配列される複合繊維であり、ポリマーAは連続した1つのセグメントa1を形成し、ポリマーBは複数のセグメントb2,3からなり、セグメントb2,3の平均面積が8.0μm2以下である分割型複合繊維。好ましくは、セグメントb2,3の平均長径が5.0μm以下であり、亦好ましくは、セグメントb2,3の平均面積の2.0倍以上の面積であるセグメントb2(3)をも有する分割型複合繊維。【選択図】図1

Description

本発明は、物理衝撃や熱処理等で容易に剥離分割し、極細繊維を発生しうる複合繊維に関するものであり、微細な塵を捕集する高機能フィルターや高機能ワイパーを製造するのに適した複合繊維に関するものである。
環境の清浄化を目的としたフィルターや産業から家庭用のワイピングなどの高度化に向けた不織布等のシート状物の開発が進んでおり、性能向上させるために比表面積増大や高摩擦力といった特性を備えた極細繊維が活用されている。
こうした極細繊維を得る方法としては、メルトブローやエレクトロスピニングに代表される直紡方式や海島型または分割型の複合繊維を利用する方法が広く普及している。
直紡方式では、発生した極細繊維が直接シート状に捕集され、紡出からシート化まで1工程で済むため、生産性の高い製造方法である。中でも溶融ポリマーを高温の気流で牽引して極細繊維を作り出すメルトブローが極細繊維不織布の製造方法として広く普及しているが、ここで得られるシートは極細繊維のみからなるものであり、力学特性も低いことから実際に使用する場合には、他の基材と組み合わせるなどの必要があった。
また、近年、ナノファイバー不織布を製造する方法としてエレクトロスピニングが注目されている。この製造方法では、ポリマー溶液または融液を静電気力により吹き飛ばし、ナノファイバーをコレクター部分で集積することでシート化することができる。しかし、高々数%樹脂が溶けた溶液を吹き飛ばして用いるものであり、他の手法と比較して、極めて生産性が低い。また、得られる繊維は比較的細く出来るものの、上記と同様に、力学特性が低く、他の基材と組み合わせるという課題もあり、更に、ナノファイバーの原液に用いた溶剤の回収設備が必要になる場合がある。
海島型の複合繊維を利用する方法では、複数成分のポリマーを使用して紡糸し、海成分中に複数の島成分が点在した断面を有する海島複合繊維を得た後に、海成分を溶剤等で溶解除去することで島成分由来の極細繊維が得られる。海島断面を形成する口金技術の高度化によって、ナノオーダーの島成分を形成することも可能となっており、非常に細い繊維を得ることができる。しかし、この場合でも、シートの力学特性という観点から、他の素材と組み合わせる必要がある。また、海成分を溶出するために溶剤を使用することになるため、極細繊維に仕込んだ機能剤等が脱落するなどして、組み合わせる基材の種類が限定される場合があった。海島型複合繊維から極細繊維を発生させるためには、海成分を溶解除去・洗浄する専用の設備も必要となる。
分割型の複合繊維を利用する方法は、複数成分のポリマーを使用して紡糸し、複合繊維を得る点では海島型と同じである。ここでは、剥離分割が進行しやすいように非相溶なポリマーを組み合わせるなどして使用する、あるいはポリマーに剥離促進剤を添加する工夫がなされている。このような分割型複合繊維の場合には、物理衝撃や熱および化学薬品に対するポリマーの収縮差を利用して、成分間で界面剥離を生じさせて多数の極細繊維を発生させる。このため、複合繊維を構成するいずれのポリマーも廃棄することなく活用でき、極細繊維の製造についても既存プロセス利用や簡易な設備の追加で対応が可能であるため、高機能なフィルターやワイパーに適した原糸を得るのには好適で有り、更に、極細繊維と共に、分割後に発生する太繊度の繊維がそのままシートの骨格とすることができる。このため、支持材となる他の基材との組み合わせを省略できる可能性がある。
この分割型複合繊維については様々な開発がなされており、例えば、特許文献1では
化学薬品を浸透させることで分割を進めている。熱収縮率の大きい低融点成分に石油樹脂を添加した分割型複合繊維に熱処理を施した後、石油樹脂に対して可溶性のある溶剤に浸漬し(溶剤処理)、プレス処理を施して分割性を向上させている。このため、溶剤処理が必要となる等、生産工程数が多くなり、溶剤を回収するなど特別な設備が必要になる。また、分割処理の際にプレス処理を施すため、不織布が高密度になる傾向があり、嵩高性が要求される用途に使用する不織布の製造は困難である。
特許文献2では、繊維断面に中空部分を有し、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂を組み合わせた分割型複合繊維が示されている。中空断面を有することで2成分間の剥離性を高めており、ウォータージェット等の物理衝撃を利用して分割する方法が例示されている。しかし、特許文献2では分割数に限界があり、おのずと分割後に発生する極細繊維の繊維径が太いものに限定されてしまう。
また、特許文献3には、非相溶のポリマーを組合せ、複合紡糸口金を多段に分けた方法で50個以上の多角形形状を有した構成単位に区分けされた分割型複合繊維が示されている。確かに該分割型複合繊維によって得られる極細繊維は、非常に細い繊維径領域のものが得られるが、発生する極細繊維のサイズは不揃いであり、また、繊維長も数cm程度であり、高性能フィルター等の緻密な不織布設計が要求される用途においては、発生させる極細繊維サイズのコントロールが不十分なものであった。
特開平9−31755号公報(特許請求の範囲) 特開2002−220740号公報(特許請求の範囲) 特開平5−25710号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決するものであり、本発明の分割型複合繊維では、熱または物理的処理に対して容易に極細繊維を発生しうる分割型複合繊維を提供することにある。
上記目的は、以下の手段により達成される。
(1)繊維軸に垂直方向の繊維断面において、ポリマーA及びBがいずれも繊維表面に露出しながら交互に配列される複合繊維であり、ポリマーAは連続した1つのセグメントaを形成し、ポリマーBは複数のセグメントbからなり、セグメントbの平均面積が8.0μm以下である分割型複合繊維。
(2)セグメントbの平均長径が5.0μm以下である(1)に記載の分割型複合繊維。
(3)セグメントbの平均面積の2.0倍以上の面積であるセグメントb2を有する(1)または(2)に記載の分割型複合繊維。
(4)中空部分を有し、該中空率が5〜30%であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の分割型複合繊維。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の分割型複合繊維が少なくとも一部を構成する繊維製品。
本発明の分割型複合繊維は、高次工程においては毛羽等を発生することなく工程通過性に優れるとともに、熱的処理や物理的処理によって容易に極細繊維と太繊度繊維を発生させることができる。
図1は本発明の分割型複合繊維の断面図 図2は中空部分を有する本発明の分割型複合繊維の断面図 図3は繊維断面における異形度を示すための模式図 図4は中空断面繊維の形成に用いる口金の吐出孔形状を表した図 図5はセグメントaがセグメントb2で分断された分割型複合繊維の断面図
以下、本発明を望ましい実施形態とともに詳述する。
本発明の分割型複合繊維は、繊維軸に垂直方向の繊維断面において、複合繊維を構成するポリマーA及びBがいずれも繊維表面に露出しながら交互に配列されることが必要である。図1に本発明の分割型複合繊維の断面図を一例として示しているが、各ポリマーの少なくとも一部分が繊維表面に露出していることで、該複合繊維に衝撃力が加わって各ポリマーが構成するセグメントの界面で剥離が生じると、各セグメントが分割して独立しやすくなる効果がある。また、該複合繊維に対して外的な衝撃を与える際には、各ポリマーが構成するセグメントの界面に直接的に外力が伝達されやすくなるため、剥離分割が促進されることとなる。
本発明の分割型複合繊維を構成するポリマーAは連続した1つのセグメントaを形成し、ポリマーBは複数のセグメントbを形成し、セグメントbの平均面積が8.0μm以下であることが必要である。
本発明でいうセグメントaまたはbとは、分割型複合繊維の繊維軸に垂直方向の繊維断面においてポリマーAまたはBで構成される領域を意味する。図1の繊維断面例においては、図中1の部分がセグメントa、図中2の部分がセグメントbを指している。また、本発明でいう連続した1つのセグメントとは、他のセグメントによって完全に分断されていないことを意味し、例えば、図1中1の部分に示すように、セグメントaは連続した1つの領域からなる。ポリマーAが連続した1つのセグメントaを形成することで、ポリマーBからなる複数のセグメントbよりも断面積が大きく、分割後に太繊度の繊維となるため、不織布等にシート化した際の強度保持機能を担うことになる。フィルターやワイパー等においてその性能を向上させるために極細繊維からなる不織布シートを採用することが多いが、このようなシートは単体では剛性が低く、支持材と組み合せ、あるいは太繊度繊維を混合する等して、実用に耐えうる剛性を持たせることが一般的である。このため、本発明の分割型複合繊維で剥離分割により発生する極細繊維とセグメントa由来の分割後繊維が混合した状態でシート中に含有されても、特に問題はなく、むしろ、極細繊維よりも太径であるために不織布シートの支持に寄与することとなる。
また、ポリマーBから構成されるセグメントbの平均面積が8.0μm以下であることで、分割後に極細繊維ならではの、高摩擦や比表面積増大等といった特性が発現することとなるため、優れた機能を有した不織布とすることが可能となる。
分割後の極細繊維特有の機能向上を図るため、比表面積の増大、すなわちセグメントbの細径化も可能であり、本発明で言うセグメントbは、その平均面積が6.0μm以下であることが好ましく、平均面積が4.0μm以下であれば、フィルター用濾材へ適用した場合、物質吸着や濾過捕集の性能が飛躍的に向上することになるため、特に好ましい範囲として挙げることができる。なお、不織布化後の極細繊維への分割を可能とする観点からセグメントbの面積の実質的な下限は0.01μmである。
また、本発明の目的からすると、分割後の極細繊維の配合量が多い方が好適であり、面積が8.0μm以下であるセグメントbの個数は、セグメントbの総数の25%以上であることが好ましく、セグメントbの総数の50%以上であれば、ナノメートルオーダーの微細な塵の捕集や超鏡面仕上げを必要とする不織布に適用可能となるため、より好ましい範囲として挙げることができる。この際、セグメントbの面積がより小さく、その極小化されたセグメントの配合量がより高い方が塵の捕集やワイピングには有効であることは言うまでもないが、その他特性とのバランスを鑑みて、調整することが好適である。
本発明の分割型複合繊維は繊維軸に垂直方向の繊維断面において、セグメントbの平均長径が5.0μm以下であることが好ましい。本発明でいう長径とは、各セグメント領域の輪郭間を結ぶ直線のうち最長の直線の距離を意味する。
セグメントbの平均長径が5.0μm以下であることで、加工工程中での衝撃が該複合繊維全体に伝播しにくくなり、剥離分割を抑制することにつながるため、加工工程通過性を良好に担保する観点から好ましい。さらに加工工程通過性の安定化を推し進める観点からセグメントbの平均長径は4.0μm以下であることがより好ましく、また、セグメント長径が短くなることで分割後に発生する極細繊維のアスペクト比が小さくなり、ランダムな方向を向きやすくなって、不織布化した際にシート中で極細繊維が均等に分散しやすくなる。このため、フィルター等、シート内部の構造が性能に影響する用途において、その性能を高める観点からセグメントbの平均長径は3.0μm以下であることがさらに好ましい。なお、セグメントbの平均長径の実質的な下限は0.1μmである。
本発明の分割型複合繊維は繊維軸に垂直方向の繊維断面において、セグメントbの平均面積の2倍以上の面積であるセグメントb2を有することが好ましい。例えば、図1中2および3の部分に示すようにセグメントb2のような面積の大きいセグメントを有することで、繊維断面に非対称性が生じ、分割時の応力が分散されにくくなり、分割が進みやすくなる。さらに、セグメントb2の面積がセグメントbの平均面積の2.0倍以上であることで、セグメントb2に分割時の応力がかかりやすくなり、このセグメントb2が優先的に外れることで、繊維断面中に可動空間が生じて、残りのセグメントが外れやすい構造となるのである。
繊維断面中で微細に分割されたセグメントは、その分割数が多くなるにしたがって、セグメントを区分けする芯部分との接触面積が増大するため、アンカー効果による接着力が大きくなり、剥離分割が抑制される傾向にある。そこで、発明者らは鋭意検討の結果、サイズの大きい分割起点を繊維断面中に形成することで、分割起点が抜けた後に空間が生じることで、芯部分が歪みやすい構造となって、微細に分割したセグメントと芯部分との境界における剥離分割が促進されることを見出したのである。剥離分割を促進する可動空間を確保する観点からセグメントb2の面積はセグメントbの平均面積の2.5倍以上であることがより好ましく、3.0倍以上であることがさらに好ましい。セグメントb2とb2以外のセグメントbとの間に顕著なサイズの差があることで、セグメント間の境界にかかる応力が繊維の他の箇所よりも大きくなって、セグメントb2部分が外れやすくなり、その結果として可動空間が生まれ、微細に分割された部分の剥離分割が促進されることとなるのである。ここで、製糸工程通過性と不織布化後の極細繊維への分割性を両立する観点から、セグメントb2の面積の実質的な上限は200μmである。
本発明の分割型複合繊維において、セグメントbの配置は一部が繊維表層に露出しながら、セグメントaと交互に配置されていれば特に限定されるものではないが、複合繊維の分割性を高める観点から、セグメントbの長径が 繊維軸に垂直方向の繊維断面において、表層から断面中心へ向かうよう放射状に配置されることが好ましい。長径が繊維断面内で放射状に配置されることで、熱処理を与えた際の収縮差による歪みを受けやすくなり、結果として剥離分割が進行しやすくなる効果が得られる。
また、本発明の分割型複合繊維が、良好な分割性を発揮する観点から、熱処理や物理衝撃といった分割処理を加えた際に、ポリマーBからなるセグメントbのうち、面積の大きいセグメントb2がいち早く剥離して、可動空間を生じることが重要である。前記効果はセグメントb2が繊維表面に露出していることで一層の効果を発揮できる。分割セグメントに相当するセグメントbの形状は特に限定されるものではないが、このセグメントbの形状も剥離分割性に影響を与える因子であり、繊維断面において、セグメントbとセグメントaとの接触長が極力小さくなる形状であることが好ましい。具体的には、扇形状やそれに類する形状が挙げられる。例えばセグメントbが扇形状であることで、セグメントaと接触する箇所が2辺のみとなって、界面の接着力が小さくなることに加えて、繊維表層に向かうにつれてセグメントb部分が広がる形状であるため、外力を受けた際に、外側に移動しやすく外れやすい構造となるのである。
本発明の分割型複合繊維は繊維軸に垂直方向の繊維断面において、中空部分を有し、該中空率が5〜30%であることが好ましい。ここで言う中空率とは、中空断面を有する繊維を切削した後、その切削面を電子顕微鏡(SEM)にて繊維が10本以上観察できる倍率で2次元的に撮影する。撮影した画像から無作為に選定した10本の繊維を抽出し、画像処理ソフトを用いて繊維及び中空部分の面積を測定し、面積比率として求めるものである。以上の値は全て10ヶ所の各画像について測定を行い、10画像の平均値を本発明の中空断面繊維の中空率とした。また、簡易にこの中空率を評価するには、繊維側面を顕微鏡等で観察し、その画像から丸断面換算の繊維径を測定する。該繊維径より、中実繊維として換算した繊度(換算重量)に対する実測した繊度(実測重量)の比率を評価することで中空率を計算することも可能である。
図2に中空部分を有する本発明の分割型複合繊維の断面図を一例として示しており、図中4の部分が中空部分を指している。繊維断面中に中空部分を有することで、紡糸での冷却過程で非対称な構造となるため、熱処理や物理衝撃を加えることによって、複合繊維に歪みが生じやすくなる。このため、分割セグメントの接着力が低下して、外力を受けやすくなり、より剥離分割が進行しやすくなるため好ましい。またその中空率が5〜30%の範囲にあることで、製糸工程中での剥離分割を抑制しつつ、後処理での分割性を担保できるのである。外力による剥離分割を促進する観点から繊維断面における中空部分の面積が大きいほど、繊維が変形しやすく、剥離分割が進行しやすくなり、中空率は10%以上であることがより好ましい。また、例えばバインダー等により熱接着させるように、シート中で分割型複合繊維が固定されているような場合でも良好に分割させる観点から、中空率は15%以上であることがさらに好ましい。一方、製糸工程通過性を良好に保つ観点からは、製糸中での剥離分割を抑制させ中空率は25%以下であることがより好ましい。特に乾式不織布等において、シート化するための前処理として、カードによる開繊工程を通す場合は、繊維に大きな衝撃が伝わって、剥離分割が進行しやすくなり、工程通過性の低下につながる。このため、剥離分割を抑制して、工程通過性を良好に保つ観点から中空率は20%以下であることがさらに好ましい。なお、図2に中空部分を有する本発明の分割型複合繊維断面の一例を示す。
なお、本発明の分割型複合繊維について、単糸繊度は特に限定されるものではないが、高捕集性能が要求されるフィルター等に使用する場合には、分割後の極細繊維サイズが極力小さいことが望まれ、目安として該分割型複合繊維の単糸繊度が8.0dtex以下であることが好ましい。また、本発明の分割型複合繊維の単糸繊度の実質的な下限は、紡糸工程の操業性を良好に担保する観点から0.5dtexである。
本発明の分割型複合繊維において、ポリマーBからなるセグメントbの総数は2以上であればよいが、極細繊維の生産効率を高める観点から、断面あたりの分割セグメント数を多くすることが望ましいため、セグメントbの総数は4以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。なお、セグメントbの総数の実質的な上限は300である。
不織布に対して所望の特性を発現させる際に、繊維の配合が重要な要素となるが、本発明の分割型複合繊維では、分割されるセグメントbの数およびサイズを上記した範囲内を目安に適宜設定することにより、分割後の繊維配合を調整することが可能である。
本発明の分割型複合繊維の断面形状は丸断面に限られず、三角、Y形、扁平といった異形断面であってもよい。異形断面とすることで、不織布化した際に丸断面とは異なる風合いを呈したり、特異な形状をとることで、フィルターやワイパーといった用途に用いる際に優れた性能を発揮することにつながる。ここでいう異形度とは、次のように求めるものである。複合繊維の断面を2次元的に撮影し、その画像から、複合繊維断面に外接する真円の径を外接円径とし、さらに、内接する真円の径を内接円径として、異形度=外接円径÷内接円径から、小数点以下2桁目を四捨五入し、小数点以下1桁目まで求めたものを異形度とした。ここで言う外接円とは、図3中5の部分であり、内接円とは図3中7の部分を示している。この異形度を無作為に抽出した10本の繊維について測定し、それぞれの画像での測定値の単純な数平均値を求め、異形度とした。なお、異形度が1.0であれば繊維断面の形状は正円となる。本発明の分割型複合繊維の断面異形度は特に限定されるものではないが、実質的にとりうる異形度の範囲としては1.0〜10.0である。また、本発明の分割型複合繊維が異形断面の場合においても、分割性を向上させる観点から、繊維断面中に中空部分を有していてもよい。
本発明の分割型複合繊維に使用するポリマーとしては、一般的な合成繊維の製造に用いられるものであれば、特に限定されるものではなく、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、アクリル等が挙げられる。ポリマーAおよびBは任意に組み合わせることが可能であるが、ポリマーAとポリマーBは互いに非相溶な組合せを選択することが、剥離分割を促進する上で好ましく、ポリエステルとポリアミド、ポリエステルとポリオレフィン、ポリオレフィンとポリアミドの組み合わせが例示される。
ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートおよびその共重合体等が挙げられる。
ポリアミドとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12およびこれらの共重合体等が挙げられる。
ポリオレフィンとしては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン ポリブテンおよびこれらの共重合体等が挙げられる。
その他ポリマーとしては、例えばポリフェニレンサルファイド、ポリスチレン、ポリアリレート等の液晶ポリエステル、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネートおよびこれらの共重合体等が挙げられる。
また、廃棄処分時の環境負荷低減の観点から、生分解性ポリマーを使用してもよく、例えば、ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートカーボネート、ポリブチレンアジペートテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレートサクシネートまたはこれらの共重合体等が挙げられる。
本発明の分割型複合繊維には、機能性を付与する観点から各種添加剤を含有していてもよい。抗菌・制菌剤、芳香・消臭剤、酸化防止剤、帯電防止剤、帯電安定剤、光安定剤、撥水剤、撥油剤、親水剤、親油剤および金属粒子等、要求する機能に応じて適宜、単独あるいは複数の添加剤を選択して含有させてもよく、添加方法としては、繊維に用いるポリマーに予め練り込む方法や紡糸時に添加する方法、後加工によるコーティング等で添加する方法等が挙げられる。また、本発明の分割型複合繊維には、後処理での剥離分割を促す観点から製糸工程通過性を担保できる範囲内で適宜、界面の接着力を低下させる目的で剥離剤等を添加してもよい。
本発明の分割型複合繊維に関して製造方法の一例を示す。なお、記載する具体例によって、本発明の分割型複合繊維の製造方法は限定されるものではない。
本発明の分割型複合繊維の製造方法としては、前記した範囲における所望の単糸繊度や所望の断面形状となるような条件を採用すれば、溶融紡糸法や湿式および乾湿式などの溶液紡糸法など、一般的な製糸方法を用いることが可能である。中でも高い生産性や溶媒回収工程が不要等の観点から溶融紡糸法が好ましい方法として挙げられる。溶融紡糸法にて本発明の複合繊維を紡糸するのに用いる口金については、2成分以上のポリマーを複合できるものであれば、特に限定されるものではないが、複数成分のポリマーを所望のセグメント数とそのサイズを精密に制御する観点からは、特開2011−174215号公報に記載の複合口金が好適に用いられる。この複合紡糸口金を利用することで断面形状を精度良く形成できるため、繊維断面中における各セグメントの形状、サイズおよび配置等を制御することが可能である。また、中空断面糸を得るために、図4に例示するような最終吐出孔がスリット形状で同心円状に配置された紡糸口金を使用することも好適である。
複合繊維を紡糸する際に用いるポリマーAおよびポリマーBの比率は、吐出量(体積)を基準にして、A/B比率で5/95〜95/5の範囲で選択することができる。分割後に発生する極細繊維を細径化するという観点から、微細なセグメントを構成するポリマーBの比率を低くすることが好ましいといえる。但し、複合断面の長期安定性という観点から、効率的に、かつ安定性を維持しつつ製造する範囲として、このA/B比率は、50/50〜90/10とすることが好ましい。
本発明の分割型複合繊維を溶融紡糸する場合には、使用するポリマーが流動性を示す温度を紡糸温度とし、また、複合繊維とする場合には、2種類以上のポリマーのうち、主に高融点や高粘度ポリマーが流動性を示す温度とする。この流動性を示す温度は、分子量によっても異なるが、そのポリマーの融点が目安となり、融点+60℃以下で設定すればよい。これ以下であれば、紡糸ヘッドあるいは紡糸パック内でのポリマーの熱分解等の抑制により分子量低下が抑えられるため、好ましい。
紡糸パック内を流れて、口金から吐出された複合ポリマー流は冷却固化された後、油剤を付与されて周速が規定されたローラーによって引き取られることにより、複合繊維が得られる。この引取速度は、吐出量および目的とする繊維径から決定すればよいが、安定して製造するためには引取速度100〜3000m/minの範囲とすることが好ましい。
本発明の分割型複合繊維はその一部を結晶化して繊維構造を固定して寸法安定性を付与、また細繊度化するために、一旦巻き取った後に延伸しても良いし、巻き取ることなく、引き続き延伸を行うことも良い。この延伸条件としては、例えば、一対以上のローラーからなる延伸機において、一般に溶融紡糸可能な熱可塑性を示すポリマーからなる繊維であれば、ガラス転移温度以上融点以下温度に設定された第1ローラーと結晶化温度相当とした第2ローラーの周速比によって、繊維軸方向に無理なく引き伸ばされ、且つ熱セットされて巻き取ることが可能である。また、ガラス転移を示さないポリマーの場合には、繊維の動的粘弾性測定(tanδ)を行い、得られるtanδの高温側のピーク温度以上の温度を予備加熱温度として、選択すればよい。ここで、延伸倍率を高める観点から、この延伸工程を多段で施すことも好適な手段である。また、本発明の分割型複合繊維の分割性をコントロールする観点から、延伸から巻取りの間で熱セットを施すことも好適である。
本発明の分割型複合繊維を用いて不織布を製造する場合、スパンボンドやメルトブローのような長繊維不織布、短カット加工して乾式または湿式により製造する短繊維不織布など、幅広く適用することが可能であり、不織布の製造方法は特に限定されない。長繊維不織布のような直紡方式の不織布を製造する場合には、前述した本発明の分割型複合繊維の製造方法の一例にて、得られた繊維を巻き取ることなく、コンベア等の上に直接紡出して、シート化させることで適用が可能である。この際、紡出時に該分割型複合繊維が剥離分割しても構わないが、紡出中に剥離分割が起こると、繊維径のバラつきが大きくなったり、散らばった繊維片が工程トラブルを引き起こす可能性があるため、シート化後に剥離分割させることが好ましい。また、短繊維不織布を製造する場合には、予め本発明の分割型複合繊維を分割処理して、極細繊維と太繊度繊維の混合物としてから、使用することも可能であるが、極細繊維が不織布の製造工程や装置に付着・堆積する等して、工程通過性を低下させることがある。このため、不織布の製造工程通過性を担保する観点から、本発明の分割型複合繊維を複合状態のままシート化した後に分割させることが好ましい。なお、短繊維不織布の製造に際しては、ダスト保持等を目的として、シートをより嵩高な構造とするために、本発明の分割型複合繊維にクリンパー等によって、押込み捲縮を付与することも好適である。不織布等の製造工程では、シートの乾燥や熱セット等を目的とした熱処理工程を備えていることが多いため、熱収縮差を利用した分割により連続的な極細繊維シートの製造も可能である。また、その他の手法で分割界面へ応力を加えても良く、ウォータージェット工程による高圧水流や超音波による衝撃力などが挙げられ、これらの工程は単一で実施しても、複数を組み合せて実施することも可能である。
本発明の分割型複合繊維は、溶剤等による減量処理やポリマーの溶媒膨潤差を利用することによっても、もちろん分割可能であるが、製造工程の省略化および低コスト化を推し進める観点からは、熱収縮差の利用や物理衝撃を利用する方法が好ましい様態といえる。
本発明の分割型複合繊維を用いて不織布を製造する場合には、該分割型複合繊維のみ供することも可能であるが、例えば、強度保持や嵩高性といった要求特性を満たすために、合成繊維に限らず、天然繊維や無機繊維も含めて異種の繊維を適宜混合してもよい。また、本発明の分割型複合繊維を含有する不織布を複数枚積層したり、異種繊維からなる不織布や織物、フィルムなどといったその他のシート材料を適宜選択して組み合わせ、積層することも可能である。
本発明の分割型複合繊維は、製糸工程中では剥離が抑制され、後工程にて分割後に極細繊維を発生するため、極細繊維による多様な機能を付加したシート材料を高い生産効率で得ることができる。高風合いの衣料や機能性を有した不織布材料を構成するのに好適であり、空気清浄機用、エアコン用、ビル空調用、産業クリーンルーム用および自動車や列車等の車室用等のフィルター濾材、サージカルマスク、フェイスマスク、防塵マスク、医療材料、衛生材料、ワイパー、電池セパレーター、人工皮革、内装材、その他産業資材等の用途に対して好適に用いることができるものである。
以下実施例を挙げて、本発明の分割型複合繊維について、具体的に説明する。
実施例および比較例については、下記の評価を行った。
A.ポリマーの溶融粘度
チップ状のポリマーを真空乾燥機によって、水分率200ppm以下とし、東洋精機製キャピログラフ1Bによって、歪速度を段階的に変更して、溶融粘度を測定した。なお、測定温度は紡糸温度と同様にし、実施例あるいは比較例には、1216s−1の溶融粘度を記載している。ちなみに、加熱炉にサンプルを投入してから測定開始までを5分とし、窒素雰囲気下で測定を行った。
B.単糸繊度
作製した分割型複合繊維の100mの重量を測定し、100倍することで繊度を算出した。これを10回繰り返し、その単純平均値の小数点第2位を四捨五入した値をその繊維の繊度とした。単糸繊度は、その繊維を構成するフィラメント数により前述した繊度を除することによって算出した。この場合も、小数点第2位を四捨五入した値を単糸繊度とした。
C.繊維断面積
繊維を長手方向と垂直に切断し、その繊維断面を日立ハイテクノロジーズ製走査型電子顕微鏡SU−1510により撮影した。この断面画像から画像解析ソフトWinroofにより繊維断面におけるセグメントaおよびbの各断面積を算出した。これを10本の繊維に対して行い、その平均値の小数点第2位を四捨五入した値を繊維断面積とした。また、セグメントbの平均面積は、繊維断面におけるセグメントbの面積の合計をセグメントbの個数で除して、小数点第2位を四捨五入した値とした。
D.セグメントbの平均長径
剃刀によって繊維を繊維軸と垂直方向に切断して、その切断面を日立ハイテクノロジーズ製走査型電子顕微鏡SU−1510により撮影した。この断面画像から画像解析ソフトWinroofにより繊維断面中のセグメントbの輪郭間を結ぶ直線のうち最長の直線の距離を測定して長径とした。これを10本の繊維に対して行い、その平均値の小数点第2位を四捨五入した値を繊維のセグメント平均長径とした。
E.中空率
剃刀によって繊維を繊維軸と垂直方向に切断して、その切断面を日立ハイテクノロジーズ製走査型電子顕微鏡SU−1510により撮影した。この断面画像から画像解析ソフトWinroofにより繊維断面の外径および内径(中空部の直径)を測定し、繊維の見かけ断面積および中空部の断面積を算出した。短繊維の中空率は、繊維の見かけ断面積に占める中空部の断面積の割合として、下記の式により算出した。
中空率(%)=(中空部の断面積)/(繊維の断面積(中空部を含む))×100
これを無作為に抽出した10本の繊維について求め、その平均の小数点以下1桁目を四捨五入して整数とした値を中空率とした。
F.断面異形度
本発明の分割型複合繊維を剃刀によって繊維軸と垂直方向に切断して、その切断面を日立ハイテクノロジーズ製走査型電子顕微鏡SU−1510により撮影した。この画像から、切断面に外接する真円の径を外接円径とし、さらに、内接する真円の径を内接円径として、下記の式から異形度を求めた。
異形度=(繊維断面の外接円径)/(繊維断面の内接円径)
これを無作為に抽出した10本について求め、その平均の小数点以下2桁目を四捨五入して小数点以下1桁目まで求めた値を異形度とした。
G.加工工程通過性
本発明の分割型複合繊維を用いて短カット用トウ作製の前加工として、ボビンへの巻き返し加工を行い、その加工工程通過性を評価した。評価は以下の4段階とした。加工方法は、巻き糸から分割型複合繊維を解舒しながら、加熱していないローラーを介して、スピンドルに設置したボビンへ加工速度600m/分で巻き返した。なお、評価に用いた原糸の毛羽は光学顕微鏡で撮影した画像を基にカウントした。
◎:毛羽がみられず、加工工程通過性に優れたものであった
○:毛羽がわずかにみられたが、加工工程通過性が良好なものであった
△:毛羽が複数確認されたが、実用上十分な加工工程通過性を有するものであった
×:毛羽の発生が著しく、実用に耐えないものであった。
H.不織布における分割型複合繊維の分割率
各実施例および比較例に記載の方法で作製した不織布をポリウレタン製チューブ中に密に挿入充填して、これをチューブ長手方向と垂直に切断した。この切断面を日立ハイテクノロジーズ製走査型電子顕微鏡SU−1510で観察し、断面写真を撮影して得られた画像からセグメントA由来の繊維のうち任意の30本を選択し、次式により分割率を算出した。
分割率(%)=S/Sab×100
ab:不織布中におけるセグメントaの表面スリット溝とセグメントb未分割部分の総数
:不織布中におけるセグメントa由来繊維の表面スリット溝の個数。
I.不織布の触感
分割型複合繊維を用いて作製した不織布について、手で不織布の表面に触れた際の触感を以下に示す4段階で評価した。
◎:極細繊維に由来する柔軟性に優れた触感を有する
○:極細繊維に由来する柔軟性が良好な触感を有する
△:極細繊維由来の柔軟性を感じとることができる
×:極細繊維由来の柔軟性に乏しい。
実施例1
特開2011−174215号公報に記載の複合口金の技術を用いて、ポリマーAからなるセグメントaの周囲に、ポリマーBからなるセグメントbが1つの大きな扇形(セグメントb2)と16の微細な扇形を形成するように設計、製作した口金を使用して、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂(溶融粘度130Pa・s)をポリマーA、ポリプロピレン(PP)樹脂(溶融粘度 70Pa・s)をポリマーBとして、体積での複合比率をA/B=80/20として、紡糸温度270℃、紡糸速度1200m/minにて溶融紡糸した。これにより、250dtex−72フィラメント(総吐出量30.0g/min)の未延伸繊維を採取し、次いで50℃と90℃に加熱したローラー間で延伸速度600m/minとし、2.05倍延伸を行った。
得られた海島複合繊維は125dtex−72フィラメントであり、単糸繊度は1.7dtexであった。実施例1の分割型複合繊維の繊維軸に垂直な断面におけるセグメントaは連続した1つの領域を形成しており、セグメントbは面積が6.8μmのセグメントb2を1箇所、面積が1.7μmのセグメントを16箇所有するものであった(セグメントbの平均面積:1.7μm)。また、セグメントbの平均長径は1.6μmであった。この分割型複合繊維を加熱していないローラーを介して、スピンドルに設置したボビンへ加工速度600m/分で巻き返し加工したところ、加工工程で毛羽の発生や糸切れ等に問題なく、加工工程通過性に優れるものであった(加工工程通過性:◎)。
得られた分割型複合繊維を繊維長5mmに短カット加工後、繊維長5mmの熱融着性の芯鞘複合繊維(芯成分:PET、鞘成分:テレフタル酸60mol%、イソフタル酸40mol%、エチレングリコール85mol%、ジエチレングリコール15mol%の割合で共重合した融点110℃のポリエステル(共重合ポリエステル1))と重量で80/20(分割型複合繊維/芯鞘複合繊維)の割合で混合して、湿式抄紙により坪量が45g/mとなるよう不織布化した後に、ロール式乾燥機で160℃、15分間の熱処理を行った。次いで、ウォータージェット加工として、得られた不織布を90メッシュの網に載せて、水流噴射処理装置のコンベアー上に置き、孔径0.08mm、ピッチ0.6mmで直線上に一列配置したノズルから、圧力100kg/cmで10m/分の送り速度で表裏1回ずつ水流を噴出させた。処理後の不織布は110℃で熱風乾燥した。このウォータージェット加工後の不織布における分割型複合繊維の分割率は、83%と優れた分割性を示すものであった。また該不織布は、極細繊維に由来する柔軟性に優れた触感を有するものであった(触感評価:◎)。結果を表1に示す。
実施例2および3
ポリマーAおよびポリマーBの複合比率(体積)を90/10(実施例2)、50/50(実施例3)、に変更したこと以外は実施例1に従い実施した。
実施例2で得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.7dtexであり、セグメントbの平均面積は0.85μm、セグメントbのうちb2の面積が3.4μm、セグメントbの平均長径が1.0μmであった。この分割型複合繊維は巻き返し加工工程中で毛羽立ちや糸切れ等に問題なく、加工工程通過性に優れるものであった(加工工程通過性:◎)。また、不織布における分割率は80%と優れた分割性を示すものであり、極細繊維由来の柔軟性に優れた触感を有するものであった(触感評価:◎)。
実施例3で得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.7dtexであり、セグメントbの平均面積は4.3μm、セグメントbのうちb2の面積が17.0μm、セグメントbの平均長径が2.0μmであった。この分割型複合繊維は巻き返し加工工程中で毛羽立ちがわずかに認められたが、加工工程通過性が良好なものであった(加工工程通過性:○)。また、不織布における分割率は86%と優れた分割性を示すものであり、極細繊維由来の柔軟性が良好な触感を有するものであった(触感評価:○)。結果を表1に示す。
実施例4
総吐出量を53.0g/分に変更して溶融紡糸したこと以外は実施例3に従い実施した。得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が3.0dtexであり、セグメントbの平均面積は7.5μm、セグメントbのうちb2の面積が30.0μm、セグメントbの平均長径が2.7μmであった。この分割型複合繊維は巻き返し加工工程中で毛羽立ちが認められたものの、加工工程通過性は実用に耐えるものであった(加工工程通過性:△)。また、不織布における分割率は90%と分割性に優れるものであり、極細繊維由来の柔軟性を感じ取ることのできる触感を有するものであった(触感評価:△)。結果を表1に示す。
実施例5
紡糸に用いる口金を変更し、ポリマーBを66箇所のセグメントに分割する孔配置に変更したこと以外は、実施例1に従い実施した。得られた分割型複合繊維の単糸繊度は1.7dtexであり、セグメントbの形状はいずれも扁平形状で、平均面積は0.5μm、セグメントbの平均長径は1.7μmであった。得られた複合繊維は巻き返し加工工程通過性に優れるものであった(加工工程通過性:◎)。また、不織布における分割率は60%と実用上十分な分割性を有するものであり、極細繊維に由来する柔軟性を感じ取ることのできる触感を有するものであった(触感評価:△)。結果を表1に示す。
比較例1
紡糸に用いる口金を変更して、ポリマーBからなるセグメントb2が扁平形状で繊維断面を横断するように孔配置を変更したこと以外は、実施例1に従い実施した。得られた分割型複合繊維は単糸繊度が1.7dtexであり、図5のようにセグメントb2が扁平形状で繊維断面を横切っており、セグメントaが分断された断面であった。また、セグメントbの平均面積は1.7μm、扁平形状のセグメントb2の面積が6.8μm、セグメントbの平均長径は2.4μmであった。得られた複合繊維は巻き返し加工途中で剥離分割が進行し、加工工程通過性が不十分なものであった(加工工程通過性:×)。このため、得られた繊維は毛羽が多く実用に耐えない品位であり、正常に不織布化することができなかった。結果を表1に示す。
比較例2
紡糸に用いる口金を変更して、ポリマーBを8箇所のセグメントに分割する孔配置に変更し、ポリマーA/ポリマーBの体積における複合比率を60/40に変更したこと以外は、実施例1に従い実施した。得られた分割型複合繊維は単糸繊度が1.7dtexであり、セグメントbの形状はいずれも扇形で、平均面積は8.5μm、セグメントbの平均長径は4.7μmであった。該繊維は、巻き返し加工途中で剥離分割が進行し、加工工程通過性が不十分なものであった(加工工程通過性:×)。このため、得られた繊維は毛羽が多く実用に耐えない品位であり、正常に不織布化することができなかった。結果を表1に示す。
実施例6〜8
紡糸に用いる口金の孔配置を変更して、セグメントbの平均長径を3.2μm(実施例6)、4.4μm(実施例7)、5.8μm(実施例8)としたこと以外は実施例1に従い実施した。いずれの実施例においてもセグメントbの平均面積は1.7μm、セグメントbのうちb2の面積は6.8μmであった。
実施例6で得られた分割型複合繊維は、巻き返し加工工程中で毛羽立ちや糸切れ等に問題なく、加工工程通過性に優れたものであった(加工工程通過性:◎)。また不織布における分割性は83%と分割性に優れるものであり、極細繊維に由来する柔軟性に優れた触感を有するものであった(触感評価:◎)。
実施例7で得られた分割型複合繊維は、巻き返し加工工程中でわずかに毛羽が認められたものの、加工工程通過性が良好なものであった(加工工程通過性:○)。また、不織布における分割性は86%と分割性に優れるものであり、極細繊維に由来する柔軟性に優れた触感を有するものであった(触感評価:◎)。
実施例8で得られた分割複合繊維は、巻き返し加工工程中で毛羽が認められたものの、加工工程通過性が実用に耐えるものであった(加工工程通過性:△)。また不織布における分割性は93%と分割性に優れるものであり、極細繊維に由来する柔軟性が良好な触感を有するものであった(触感評価:○)。結果を表2に示す。
実施例9〜11
紡糸に用いる口金において、ポリマーBの吐出孔配置を変更してセグメントbにおけるセグメントb2の面積とセグメントbの平均面積との倍率を3.0倍(実施例9)、2.5倍(実施例10)、2.0倍(実施例11)となるように変更したこと以外は実施例1に従い実施した。
実施例9で得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.7dtexであり、セグメントbの平均面積は1.8μm、セグメントbのうちb2の面積が5.4μm、セグメントbの平均長径が1.6μmであった。この分割型複合繊維は、巻き返し加工工程中で毛羽立ちや糸切れ等に問題なく、加工工程通過性に優れたものであった(加工工程通過性:◎)。また、不織布における分割率は80%と優れた分割性を有するものであり、極細繊維に由来する柔軟性に優れた触感を有するものであった(触感評価:◎)。
実施例10で得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.7dtexであり、セグメントBの平均面積は1.8μm、セグメントbのうちb2の面積が4.6μm、セグメントbの平均長径が1.6μmであった。この分割型複合繊維は、巻き返し加工工程中で毛羽立ちや糸切れ等に問題なく、加工工程通過性に優れたものであった(加工工程通過性:◎)。また、不織布における分割率は71%と良好な分割性を有するものであり、極細繊維に由来する柔軟性が良好な触感を有するものであった(触感評価:○)。
実施例11で得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.7dtexであり、セグメントbの平均面積は1.9μm、セグメントbのうちb2の面積が3.8μm、セグメントbの平均長径が1.6μmであった。この分割型複合繊維は、巻き返し加工工程中で毛羽立ちや糸切れ等に問題なく、加工工程通過性に優れたものであった(加工工程通過性:◎)。また、不織布における分割率は62%と実用上十分な分割性を有するものであり、極細繊維に由来する柔軟性を感じ取ることのできる触感を有するものであった(触感評価:△)。結果を表2に示す。
実施例12
紡糸に用いる口金の最終吐出孔を同心円状にスリット孔を4箇所配置したものに変更し、中空部分を有する断面としたこと以外は実施例1に従い実施した。得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.5dtexで、中空率が5%の中空断面を有しており、セグメントbの平均面積は1.5μm、セグメントbのうちb2の面積が6.0μm、セグメントbの平均長径が1.6μmであった。この分割型複合繊維は、巻き返し加工工程中で毛羽立ちや糸切れ等に問題なく、加工工程通過性に優れたものであった(加工工程通過性:◎)。また、不織布における分割率が85%と分割性に優れたものであり、極細繊維由来の柔軟性に優れた触感を有するものであった(触感評価:◎)。評価結果を表3に示す。
実施例13〜17
中空率が10%(実施例13)、15%(実施例14)、20%(実施例15)、25%(実施例16)、30%(実施例17)となるように吐出および冷却条件を変更したこと以外は、実施例12に従い実施した。
実施例13で得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.4dtexであり、中空率が10%の中空断面を有しており、セグメントbの平均面積は1.4μm、セグメントbのうちb2の面積が5.6μm、セグメントbの平均長径が1.6μmであった。この分割型複合繊維は、巻き返し加工工程中で毛羽立ちや糸切れ等に問題なく、加工工程通過性に優れたものであった(加工工程通過性:◎)。また、不織布における分割率が91%と分割性に優れたものであり、極細繊維由来の柔軟性に優れた触感を有するものであった(触感評価:◎)。
実施例14で得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.3dtexであり、中空率が15%の中空断面を有しており、セグメントbの平均面積は1.3μm、セグメントbのうちb2の最大面積が5.2μm、セグメントbの平均長径が1.6μmであった。この分割型複合繊維は、巻き返し加工工程中で毛羽立ちや糸切れ等に問題なく、加工工程通過性に優れたものであった(加工工程通過性:◎)。また、不織布における分割率が95%と分割性に優れたものであり、極細繊維由来の柔軟性に優れた触感を有するものであった(触感評価:◎)。
実施例15で得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.2dtexであり、中空率が20%の中空断面を有しており、セグメントbの平均面積は1.2μm、セグメントbのうちb2の最大面積が4.8μm、セグメントbの平均長径が1.6μmであった。この分割型複合繊維は、巻き返し加工工程中で毛羽立ちや糸切れ等に問題なく、加工工程通過性に優れたものであった(加工工程通過性:◎)。また、不織布における分割率が96%と分割性に優れたものであり、極細繊維由来の柔軟性に優れた触感を有するものであった(触感評価:◎)。
実施例16で得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.2dtexであり、中空率が25%の中空断面を有しており、セグメントbの平均面積は1.2μm、セグメントbのうちb2の面積が4.8μm、セグメントbの平均長径が1.6μmであった。この分割型複合繊維は、巻き返し加工工程中でわずかに毛羽が認められたものの、加工工程通過性が良好なものであった(加工工程通過性:○)。また、不織布における分割率が97%と分割性に優れたものであり、極細繊維由来の柔軟性に優れた触感を有するものであった(触感評価:◎)。
実施例17で得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.1dtexであり、中空率が30%の中空断面を有しており、セグメントbの平均面積は1.1μm、セグメントbのうちb2の面積が4.4μm、セグメントbの平均長径が1.6μmであった。この分割型複合繊維は、巻き返し加工工程中で毛羽が認められたものの、加工工程通過性は実用に耐えるものであった(加工工程通過性:△)。また、不織布における分割率が97%と分割性に優れたものであり、極細繊維由来の柔軟性に優れた触感を有するものであった(触感評価:◎)。結果を表3に示す。
実施例18〜21
紡糸に用いる口金の孔配置を変更して、セグメントbの数を2(実施例18)、4(実施例19)、8(実施例20)、33(実施例21)、300(実施例22)に変更したこと以外は実施例1に従い実施した。
実施例18で得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.7dtexであり、セグメントbの平均面積は6.8μm、セグメントbのうちb2の面積は27.2μm、、セグメントbの平均長径は2.6μmであった。この分割型複合繊維は巻き返し加工工程中で毛羽が認められたものの、加工工程通過性は実用に耐えるものであった(加工工程通過性:△)。また、不織布における分割率は95%と分割性に優れるものであり、極細繊維に由来する柔軟性を感じ取ることのできる触感を有するものであった(触感評価:△)。
実施例19で得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.7dtexであり、セグメントbの平均面積は4.9μm、セグメントbのうちb2の面積は19.4μm、セグメントbの平均長径は2.3μmであった。この分割型複合繊維は巻き返し加工工程中でわずかに毛羽が認められたものの、加工工程通過性が良好なものであった(加工工程通過性:○)。また、不織布における分割率は93%と分割性に優れるものであり、極細繊維に由来する柔軟性を感じ取ることのできる触感を有するものであった(触感評価:△)。
実施例20で得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.7dtexであり、セグメントbの平均面積は3.1μm、セグメントbのうちb2の面積は12.4μm、、セグメントbの平均長径は1.6μmであった。この分割型複合繊維は巻き返し加工工程中でわずかに毛羽が認められたものの、加工工程通過性が良好なものであった(加工工程通過性:○)。また、不織布における分割率は90%と分割性に優れるものであり、極細繊維に由来する柔軟性が良好な触感を有するものであった(触感評価:○)。
実施例21で得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.7dtexであり、セグメントbの平均面積は0.9μm、セグメントbのうちb2の面積は3.8μm、、セグメントbの平均長径は1.2μmであった。この分割型複合繊維は巻き返し加工工程中で毛羽立ちや糸切れ等に問題なく、加工工程通過性に優れたものであった(加工工程通過性:◎)。また、不織布における分割率は84%と分割性に優れるものであり、極細繊維に由来する柔軟性に優れた触感を有するものであった(触感評価:◎)。結果を表4に示す。
実施例22
紡糸に用いる口金の孔配置を変更して、セグメントbの数を300に変更し、セグメントb2の面積がセグメントbの平均面積の16.0倍となるようにしたこと以外は、実施例4に従い実施した。得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が3.0dtexであり、セグメントbの平均面積は0.2μm、セグメントbのうちb2の面積は3.0μm、、セグメントbの平均長径は1.0μmであった。この分割型複合繊維は巻き返し加工工程中で毛羽立ちや糸切れ等に問題なく、加工工程通過性に優れたものであった(加工工程通過性:◎)。また、不織布における分割率は81%と分割性に優れるものであり、極細繊維に由来する柔軟性に優れた触感を有するものであった(触感評価:◎)。結果を表4に示す。
実施例23〜25
紡糸に用いる口金の最終吐出孔形状を三角形(実施例23)、扁平形状(実施例24)、Y形状(実施例25)に変更したこと以外は実施例1に従い実施した。
実施例23で得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.7dtexであり、繊維断面は異形度が2.0の三角形であった。セグメントbの平均面積は1.7μm、セグメントbのうちb2の面積は6.8μm、セグメントbの平均長径が2.1μmであった。この分割型複合繊維は、巻き返し加工工程中で毛羽立ちや糸切れ等に問題なく、加工工程通過性に優れたものであった(加工工程通過性:◎)。また、不織布における分割率が87%と分割性に優れたものであり、極細繊維由来の柔軟性に優れた触感を有するものであった(触感評価:◎)。
実施例24で得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.7dtexであり、繊維断面は異形度が5.5の扁平形状であった。セグメントbの平均面積は1.7μm、セグメントbのうちb2の最大面積は6.8μm、セグメントbの平均長径が2.6μmであった。この分割型複合繊維は、巻き返し加工工程中で毛羽立ちや糸切れ等に問題なく、加工工程通過性に優れたものであった(加工工程通過性:◎)。また、不織布における分割率が82%と分割性に優れたものであり、極細繊維由来の柔軟性に優れた触感を有するものであった(触感評価:◎)。
実施例25で得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.7dtexであり、繊維断面は異形度が3.1のY形状であった。セグメントbの平均面積は1.7μm、セグメントbのうちb2の最大面積は6.8μm、セグメントbの平均長径が2.8μmであった。この分割型複合繊維は、巻き返し加工工程中で毛羽立ちや糸切れ等に問題なく、加工工程通過性に優れたものであった(加工工程通過性:◎)。また、不織布における分割率が90%と分割性に優れたものであり、極細繊維由来の柔軟性に優れた触感を有するものであった(触感評価:◎)。結果を表5に示す。
実施例26
A成分のポリマーをポリエチレンテレフタレート(溶融粘度150Pa・s)、B成分のポリマーをナイロン6(溶融粘度115Pa・s)に変更し、紡糸温度を280℃に変更したこと以外は、実施例1に従い実施した。得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.7dtexであり、セグメントbの平均面積は1.7μm、セグメントbのうちb2の面積が6.8μm、セグメントbの平均長径が1.6μmであった。この分割型複合繊維は巻き返し加工工程中で毛羽立ちや糸切れ等の問題なく、加工工程通過性に優れたものであった(加工工程通過性:◎)。また不織布における分割率は80%と分割性に優れるものであり、極細繊維に由来する柔軟性に優れる触感を有するものであった(触感評価:◎)。結果を表5に示す。
実施例27
A成分のポリマーをナイロン6(溶融粘度160Pa・s)、B成分のポリマーをポリ乳酸(溶融粘度90Pa・s)に変更し、紡糸温度を260℃に変更したこと以外は、実施例1に従い実施した。得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.7dtexであり、セグメントbの平均面積は1.7μm、セグメントbのうちb2の面積は6.8μm、セグメントbの平均長径は1.6μmであった。この分割型複合繊維は巻き返し加工工程中で毛羽立ちや糸切れ等に問題なく、加工工程通過性に優れたものであった(加工工程通過性:◎)。また、不織布における分割率は83%と分割性に優れるものであり、極細繊維に由来する柔軟性に優れた触感を有するものであった(触感評価:◎)。結果を表5に示す。
実施例28
A成分のポリマーをナイロン6(溶融粘度160Pa・s)、B成分をポリプロピレン(溶融粘度82Pa・s)に変更し、紡糸温度を260℃に変更したこと以外は、実施例1に従い実施した。得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.7dtexであり、セグメントbの平均面積は1.7μm、セグメントbのうちb2の面積は6.8μm、セグメントbの平均長径は1.6μmであった。この分割型複合繊維は巻き返し加工工程中で毛羽立ちや糸切れ等に問題なく、加工工程通過性に優れたものであった(加工工程通過性:◎)。また、不織布における分割率は87%と分割性に優れるものであり、極細繊維に由来する柔軟性に優れた触感を有するものであった(触感評価:◎)。結果を表5に示す。
実施例29
A成分のポリマーをPET(溶融粘度135Pa・s)、B成分をポリプロピレン(溶融粘度91Pa・s)に変更し、紡糸温度を290℃に変更したこと以外は、実施例1に従い実施した。得られた分割型複合繊維は、単糸繊度が1.7dtexであり、セグメントbの平均面積は1.7μm、セグメントbのうちb2の面積は6.8μm、、セグメントbの平均長径は1.6μmであった。この分割型複合繊維は巻き返し加工工程中で毛羽立ちや糸切れ等に問題なく、加工工程通過性に優れたものであった(加工工程通過性:◎)。また、不織布における分割率は81%と分割性に優れるものであり、極細繊維に由来する柔軟性に優れた触感を有するものであった(触感評価:◎)。結果を表5に示す。
実施例30
実施例1と同様の口金およびポリマーA、Bを用いて、体積での複合比率をA/B=80/20として、紡糸温度270℃で溶融紡出した後、エジェクターにより紡糸速度2500m/分で紡糸し、移動するネットコンベア上でウェブ状に捕集した。このウェブ状不織布を構成する分割型複合繊維は剥離分割しておらず、工程通過性に優れるものであり、単糸繊度は1.6dtexであった。また、セグメントbの平均面積は1.7μm、セグメントbのうちb2の最大面積は6.8μm、セグメントbの平均長径は1.6μmであった。得られたウェブの目付けは45g/mであった。なお、ウェブから分割型複合繊維を抜き出し、巻き返し加工を行ったところ、工程中で毛羽立ちや糸切れ等に問題なく、加工工程性に優れたものであった(加工工程通過性:◎)次いで、不織布をロール式乾燥機で160℃、15分間の熱処理を行い、ウォータージェット加工として、熱処理後の不織布を90メッシュの網に載せて、水流噴射処理装置のコンベアー上に置き、孔径0.08mm、ピッチ0.6mmで直線上に一列配置したノズルから、圧力100kg/cmで10m/分の送り速度で表裏1回ずつ水流を噴出させた。処理後の不織布は110℃で熱風乾燥した。
最終的に得られた不織布における分割率は86%と分割性に優れるものであり、極細繊維に由来する柔軟性に優れた触感を有するものであった(触感評価:◎)。結果を表5に示す。
本発明の分割型複合繊維により、物理衝撃や熱処理等で容易に剥離分割して、極細繊維と太繊度繊維を発生させることができるため、簡便に極細繊維を含有する不織布が得られ、住宅、病院、オフィス等で使用される空気清浄機用、エアコン用、ビル空調用、産業クリーンルーム用および自動車や列車等の車室用等のフィルター濾材、サージカルマスク、フェイスマスクおよび防塵マスクとして有用である。
1 本発明の分割型複合繊維の断面におけるセグメントa
2 本発明の分割型複合繊維の断面におけるセグメントb
3 本発明の分割型複合繊維の断面においてセグメントbの平均面積の2倍以上の面積を有するセグメントb2
4 本発明の分割型複合繊維の断面における中空部分
5 異形断面繊維の断面における外接円
6 異形断面繊維の断面
7 異形断面繊維の断面における内接円
8 スリット状吐出孔

Claims (5)

  1. 繊維軸に垂直方向の繊維断面において、ポリマーA及びBがいずれも繊維表面に露出しながら交互に配列される複合繊維であり、ポリマーAは連続した1つのセグメントaを形成し、ポリマーBは複数のセグメントbからなり、セグメントbの平均面積が8.0μm以下である分割型複合繊維。
  2. セグメントbの平均長径が5.0μm以下である請求項1に記載の分割型複合繊維。
  3. セグメントbの平均面積の2.0倍以上の面積であるセグメントb2を有する請求項1または2に記載の分割型複合繊維。
  4. 中空部分を有し、該中空率が5〜30%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の分割型複合繊維。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の分割型複合繊維が少なくとも一部を構成する繊維製品。
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