JPH05238808A - 無機質焼結体製造用バインダー - Google Patents

無機質焼結体製造用バインダー

Info

Publication number
JPH05238808A
JPH05238808A JP4076242A JP7624292A JPH05238808A JP H05238808 A JPH05238808 A JP H05238808A JP 4076242 A JP4076242 A JP 4076242A JP 7624292 A JP7624292 A JP 7624292A JP H05238808 A JPH05238808 A JP H05238808A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
binder
butyl methacrylate
weight
methylstyrene
acrylate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP4076242A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigemi Osaka
重美 大坂
Kazuo Hata
和男 秦
Norikazu Aikawa
規一 相川
Yoshinori Ogino
芳紀 荻野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP4076242A priority Critical patent/JPH05238808A/ja
Publication of JPH05238808A publication Critical patent/JPH05238808A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れたグリーン成形体成形性および保形性を
有すると共に、焼結条件下、殊に非酸化性雰囲気の焼結
条件下においても容易に分解・飛散し、焼結体内に未分
解の炭化物として残留しない様な無機質焼結体製造用バ
インダーを提供すること。 【構成】 ブチルメタクリレート単位とα−メチルスチ
レン単位とが全モノマー単位の80重量%以上を占める
ブチルメタクリレート−α−メチルスチレン系重合体か
らなり、殊にブチルメタクリレート単位1重量部に対す
るα−メチルスチレンの重量比が0.01〜1.0であ
るブチルメタクリレート−α−メチルスチレン系共重合
体よりなる無機質焼結体製造用バインダーである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は無機質焼結体製造用のバ
インダーに関し、特に優れた成形性を有すると共に優れ
た保形性のグリーン成形体を与え、且つ焼結条件下、特
に非酸化性雰囲気の焼成・焼結条件下においても容易に
分解・飛散し、焼結体内に未分解の炭化物として残存す
ることのないバインダーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】各種焼結成形体を製造する方法として現
在最も広く実施されているのは、アルミナ、シリカ、ジ
ルコニア、ムライト、ジルコン、コージェライト、サイ
アロン、チタン酸バリウム、チタンジルコン酸鉛等の無
機質粉末を有機高分子バインダーと共に混合してグリー
ン体を成形し、これを焼成してバインダーを分解・飛散
させ、次いでセラミック粉末を焼成・焼結させる方法で
ある。この場合、焼成・焼結は通常空気等の酸化性ガス
雰囲気中で行われるので、有機質のバインダーは熱分解
すると共に焼失し、未分解・未焼失の炭化物が焼結体内
部に残ることは殆どなく、またバインダーが焼失してか
ら無機質粉末が焼結するので、空孔欠陥が殆どない緻密
な焼結体を得ることができる。
【0003】ところが無機質粉末の種類あるいはその焼
結体の用途によっては、焼成・焼結を非酸化性雰囲気下
で行わなければならない場合がある。たとえば無機質粉
末が窒化物、炭化物、金属等を含むものである場合は、
酸化性雰囲気中で焼成・焼結するとこれらが酸化され非
酸化物焼結体としての特性が失われるので、非酸化性雰
囲気中で焼成・焼結しなければならない。またセラミッ
クスグリーン等の成形体表面に非酸化物素材からなる皮
膜を形成し、この非酸化物素材皮膜を非酸化状態に維持
したままでセラミックスグリーン成形体を焼成・焼結し
たい場合も、非酸化性雰囲気での焼成・焼結が必要とな
る。ところが有機高分子バインダーを用いて成形した通
常のグリーン成形体を非酸化性雰囲気下で加熱すると、
有機高分子バインダーの一部が分解・焼失しないで焼結
体内に炭化物として残存し易く、そのため焼結工程で成
形体にクラックが生じたり反りや膨れ等が起こり、さら
には焼結体中に多量の炭化物が残って緻密度が低下し焼
結体が脆弱になったり、電気絶縁性が低下しあるいは灰
色や黒色に着色するといった様々な問題を引き起こす。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
事情に着目してなされたものであって、その目的は、酸
化性雰囲気中で加熱焼成を行った場合はもとより、非酸
化性雰囲気中で加熱焼成した場合でも、容易に分解・焼
失して焼結体中に炭化物として残存することがなく、し
かもグリーンの成形工程ではバインダーとしての機能を
有効に果たし、優れた成形性、保形性および取扱い性を
発揮し得るような無機質焼結体製造用バインダーを提供
しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成すること
のできた本発明のバインダーは、ブチルメタクリレート
単位とαーメチルスチレン単位とが全モノマー単位の8
0重量%以上を占めるブチルメタクリレート−α−メチ
ルスチレン系共重合体を含有するところに要旨を有する
ものである。上記において、ブチルメタクリレート単位
1重量部に対してαーメチルスチレン単位が0.01〜
1.0重量部の範囲にあり、またブチルメタクリレート
単位の50重量%以上がイソブチルメタクリレート単位
であるものは、酸化性雰囲気下はもとより非酸化性雰囲
気下での脱バインダー工程でよりすみやかに分解・焼失
する。
【0006】
【作用】上記の様に本発明のバインダーは、全モノマー
単位中に占めるブチルメタクリレート単位とα−メチル
スチレン単位の含有率の特定されたブチルメタクリレー
ト−α−メチルスチレン系共重合体(ランダム共重合体
およびブロック共重合体の如何は問わない)からなり、
より好ましくはブチルメタクリレート単位とα−メチル
スチレン単位の含有比率、およびブチルメタクリレート
単位中に占めるイソブチルメタクリレート単位の配合比
率を特定したものであり、これらの設定基準は、無機質
粉末を含むグリーン成形用バインダーとしての本来の要
求特性である成形性、保形性および取扱い性を確保しつ
つ、非酸化性雰囲気下の加熱処理でも容易に分解・焼失
し得るような特性を確保するために定めたものである。
以下、各構成要件について設定理由を詳述する。
【0007】まず、ブチルメタクリレート単位とα−メ
チルスチレン単位を主たるモノマー単位として選択した
理由は、これらをモノマー単位として含む共重合体がブ
チルメタクリレート単独重合体あるいはα−メチルスチ
レン単独重合体、さらにはα−メチルスチレン以外のモ
ノマーとブチルメタクリレートとの共重合体やブチルメ
タクリレート以外のモノマーとα−メチルスチレンとの
共重合体(たとえばメチルメタクリレート−α−メチル
スチレン共重合体等)よりも優れた解重合性を示し、非
酸化性雰囲気中で加熱したときでも容易に解重合を起こ
して飛散・焼失し、焼結体中に炭化物として残存しにく
いからである。ブチルメタクリレート単独重合体も低い
分解温度を示すが、これに適量のα−メチルスチレンを
共重合させると分解温度は更に低下し、非常に優れた熱
分解性を示すものとなる。
【0008】こうした本発明の目的を有効に達成するに
は、共重合体中に占める全モノマー単位のうち80重量
%以上、より好ましくは90重量%以上がブチルメタク
リレート単位とα−メチルスチレン単位でなければなら
ず、この用件を欠く場合は、非酸化性雰囲気の加熱条件
下で炭化物が残存し易くなり、本発明の目的が果たせな
くなる。ブチルメタクリレート単位とα−メチルスチレ
ン単位との好ましい含有比率は、ブチルメタクリレート
単位1重量部に対するα−メチルスチレン単位の重量比
で0.01〜1.0の範囲であり、より好ましくは0.
03〜0.8、さらに好ましくは0.05〜0.5の範
囲である。α−メチルスチレン単位の含有比率が重量比
で1.0を超えると共重合自体が困難になるばかりでな
く、得られる共重合体の粉体とのぬれ性が悪くなり、無
機質焼結体製造用バインダーとしての適性を欠くものと
なる。一方α−メチルスチレン単位の重量比が0.01
未満では非酸化性雰囲気中での分解性が悪くなり、焼成
・焼結後も炭化物として残存し易くなる。
【0009】ここでブチルメタクリレート単位を構成す
るモノマーとは、n−ブチルメタクリレート、イソブチ
ルメタクリレート、第2級ブチルメタクリレート、第3
級ブチルメタクリレートがあり、これらは単独もしくは
2種以上の併用が可能であるが、これらの中でも特に好
ましいのはイソブチルメタクリレートであり、ブチルメ
タクリレートのうち50重量%以上をイソブチルメタク
リレートとすることによってより優れた特性のバインダ
ーが得られる。
【0010】本発明においては、上記ブチルメタクリレ
ート単位とα−メチルスチレン単位との総含有率を満足
する限り、他の種々の共重合性モノマーを共重合させた
ものであってもよく、その様な共重合性モノマーとして
は、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブ
チルアクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリ
レート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2
−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル
(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレー
ト、イソラウリル(メタ)アクリレート、イソステアリ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グ
リセロールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロール
プロパンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリ
コールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリ
コールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレー
ト、シクロオクチル(メタ)アクリレート、ジメチルア
ミノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系
モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イ
タコン酸、シトラコン酸、モノイソプロピルマレエート
等のマレイン酸半エステル等の共重合性不飽和カルボン
酸;スチレン、β−メチルスチレン、α−エチルスチレ
ン、β−エチルスチレン、ビニルスチレン等のスチレン
系モノマー等が例示され、これらも必要より2種以上併
用することができる。
【0011】これら共重合性モノマーの中で特に好まし
いのはヒドロキシル基含有メタクリレート(たとえば2
−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプ
ロピルメタクリレートなど)、シクロアルキル基含有メ
タクリレート(たとえばシクロヘキシルメタクリレート
など)、β位にアルキル側鎖を有する炭素数8以上のメ
タクリレート(たとえば2−エチルヘキシルメタクリレ
ートなど)である。尚アクリレート類、たとえばプロピ
ルアクリレート、ブチルアクリレート、2−ヒドロキシ
エチルアクリレート等は共重合体のガラス転移温度の調
整等を目的として共重合させることがあるが、これらは
上記のようなメタクリレートに比べて共重合体の熱分解
性を悪化させる傾向があるので、モノマー単位としての
含有量は10重量%以下に抑えるのがよい。また(メ
タ)アクリロニトリル、アクリルアミド、アルキルアク
リルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル等も共重合可能な
モノマーであるが、これらも共重合体の熱分解性を悪く
する傾向があるので、モノマー単位としての含有量は少
量に抑えることが望まれる。
【0012】また、共重合性不飽和カルボン酸単位をモ
ノマー単位として含有させると、共重合体に適度の酸価
が与えられて無機質粉末の分散性および分散安定性を高
められるので少量併用させることが望まれる。共重合性
不飽和カルボン酸の中でも特に好ましいのはメタクリル
酸である。なお共重合体の好ましい酸価は無機質粉末の
種類、極性、酸性度、塩基性度、酸量等によって変わっ
てくるので、共重合性不飽和カルボン酸成分の量はそれ
らに応じて適宜選定すればよいが、共重合体の酸価が高
くなり過ぎると脱バインダー時における分解・飛散性が
悪くなる傾向があるので、酸価は0.1〜20の範囲に
調整するのがよい。
【0013】ブチルアクリレート−α−メチルスチレン
系共重合体を得るための重合方法は一切制限されない
が、最も一般的な方法はパーオキサイド、ハイドロパー
オキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル
重合開始剤の存在下に懸濁重合、溶液重合、乳化重合等
の通常の重合法を採用し、通常10〜150℃で数分間
乃至数時間反応させる方法である。この場合、必要によ
っては重合反応中に連鎖移動剤を添加することもでき
る。得られた共重合体は、分子量が1000〜100万
である共重合体の含有率が80重量%以上、好ましくは
90重量%以上を占めるものが好ましく、 分子量10
00未満の低分子量共重合体および/または分子量10
0万超の高分子量共重合体の占める比率が20%を超え
ると、低分子量共重合体が多すぎる場合はバインダーと
しての性能が不十分となって満足なグリーン成形性、保
形性および取扱い性が得られ難くなり、一方高分子量共
重合体が多すぎる場合は脱バインダー時における分解・
飛散性が悪くなり、焼結体中に残存する炭化物の量が多
くなる傾向があるからである。尚上記好適分子量範囲に
おいてもより好ましい分子量は使用される無機質粉末の
組成、密度、比表面積、粒子径、粒度分布、溶媒との濡
れ性等によって変わってくるので、組合わされる無機質
粉末の種類に応じてその都度最適分子量範囲のものを選
択するのがよい。
【0014】本発明においては、上記モノマー単位の含
有率等を満たすものであれば、全てその目的を果たすこ
とができるが、グリーン成形体の成形性や取扱い性と焼
成・焼結時の易 分解性を一層優れたものとするには、
数平均分子量が5000〜10万、好ましくは1万〜6
万であり、且つガラス転移温度が20〜90℃のものを
使用することが望まれる。
【0015】上記ブチルメタクリレート−α−メチルス
チレン系共重合体よりなるバインダーと組み合わせて使
用される無機質粉末の種類は一切制限されず、アルミ
ナ、チタニア、シリカ、ジルコニア等の酸化物、ムライ
ト、ジルコン、コージェライト、サイアロン、チタン酸
バリウム、チタンジルコン酸鉛等の複合酸化物、ほう珪
酸ガラスや結晶化ガラス等のガラス性無機質粉末の如く
焼成・焼結を酸化性雰囲気中で行っても差し支えのない
様な少なくとも1種以上の酸化物系無機質粉末のバイン
ダーとして使用することも勿論可能であるが、本発明バ
インダーの特徴が最も効果的に発揮されるのは、酸化性
雰囲気下で焼成・焼結を行うと酸化変質を起こすような
無機質粉末、たとえば窒化アルミニウム、窒化珪素、窒
化ほう素等の窒化物;炭化珪素、炭化タングステン、炭
化ほう素等の炭化物;あるいは鉄、ステンレス、ニクロ
ム、チタンアルミ等の金属や合金などの1種以上の非酸
化物系粉末である。なお無機質粉末の種類によっては、
焼成・焼結雰囲気中に微量の酸素が存在していても実質
的な悪影響を受けないものもあるので、このような無機
質粉末と組合わせて使用する場合は、焼成・焼結雰囲気
中に酸素、水素や水分等が少量含まれていても差し支え
ない。
【0016】本発明のバインダーを用いた無機質焼結体
の製法も格別特殊なものではなく常法に従って行えばよ
いが、一般的な方法として例示するならば、まず前述の
ような無機質粉末を本発明のバインダーおよび適当な分
散媒(好ましいのはアセトン、メチルエチルケトン、メ
タノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノー
ル、トルエン、キシレン、酢酸エチル等の有機溶媒の単
独もしくは混合物)と共に均一に混練する。バインダー
の使用量は適当に決めればよいが、成形性やグリーン成
形体の保形性および取扱い性、あるいは脱バインダー時
における分解・飛散性を考慮して一般的なのは無機質粉
末100重量部に対して5〜40重量部の範囲、好まし
くは10〜30重量部の範囲である。このとき、必要に
よっては分散剤(グリセリン、ソルビタン等の多価アル
コールエステル等、あるいはアミン系分散剤)、グリー
ン成形体に可撓性を与えるための可塑剤(ポリエチレン
グリコール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等
のフタル酸エステル)、あるいは焼結助剤(ガラス粉、
クレイ、タルク、マグネシア、カルシア、イットリア、
セリア等)を適量配合することも可能である。
【0017】次いで必要により脱泡してから任意の形状
に成形してグリーン成形体を得る。成形法にも一切制限
がなく、プレス成形、押出し成形、射出成形、ドクター
ブレード法等によるシート成形等、従来から知られた任
意の方法を採用できるが、本発明のバインダーはシート
成形に特に優れた効果を発揮する。次いでこのグリーン
成形体、あるいは必要に応じて更に2次加工したグリー
ン成形体を加熱処理し、分散媒の揮発除去、バインダー
の分解・焼失および脱バインダー体の焼成・焼結を行う
が、加熱処理温度を一気に焼成・焼結温度まで高めると
成形体にクラックが入ったり空孔欠陥ができ易くなるの
で、好ましくは段階的もしくは連続的に徐々に昇温し、
バインダーの分解・焼失を比較的低温域で完了させてか
ら焼結を行うようにすることが望ましい。
【0018】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されており、
バインダーとしての諸機能を保持しつつ、非酸化性雰囲
気下で加熱した場合でも炭化することなく容易に分解・
焼失する特性を有しているので、特に酸化を受け易い無
機質粉末よりなる焼結成形体を得る場合でも、焼結体中
に炭化物として残存して外観を悪くしたり、焼結密度の
低下を引き起こす恐れがない。また、用いる無機質粉末
の種類によっては焼結成形体に絶縁性、導電性、磁気特
性等さまざまの特性が求められることがあり、これらの
要求特性は炭化物の残留によって著しく阻害されるが、
本発明のバインダーを使用するとこのような問題も回避
できる。さらに本発明のバインダーは酸化性雰囲気の焼
成・焼結条件下でも勿論容易に分解・焼失するので、脱
バインダー工程と焼結工程を酸化性雰囲気下で行う無機
質粉末のバインダーとしても支障なく使用できる。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例をあげてより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に沿って適当に
変更して実施することはすべて本発明の技術的範囲に含
まれる。 実施例1〜8、比較例1,2、参考例1,2 撹拌機、温度計、窒素導入管、モノマー滴下ロートおよ
び重合開始剤滴下ロートを備えたセパラブルフラスコに
溶剤としてトルエン80重量部を入れ、窒素導入管から
窒素を吹き込んでフラスコ内を窒素置換する。またモノ
マー滴下ロートには表1に示すモノマー100重量部を
仕込んでおき、重合開始剤滴下ロートにはトルエン30
重量部にアゾビスイソブチロニトリル5重量部を溶かし
た溶液を仕込んでおく。次いでフラスコを60℃に昇温
し、同温度に保って撹拌しながらモノマーと重合開始剤
を2時間かけて滴下し、同温度でさらに2時間撹拌を続
けた後、内温を80℃まで高めてさらに2時間加熱撹拌
してから冷却降温しブチルメタクリレート−α−メチル
スチレン系共重合体を得た。
【0020】得られた各共重合体を白金るつぼに所定量
入れて窒素気流中で600℃まで昇温し、同温度で2時
間保持したときの残留炭化物量を測定し、その有無を表
1に併記した。また得られた各共重合体の熱分解性を熱
天秤によって測定し(測定条件:4リットル/分の窒素
気流中、昇温速度3℃/分で600℃まで昇温)、それ
ぞれの熱分解曲線を求めた。
【0021】なお表1中における記号の意味は次の通り
である。 n−BMA:n−ブチルメタクリレート i−BMA:イソブチルメタクリレート s−BMA:第2級ブチルメタクリレート t−BMA:第3級ブチルメタクリレート MAA :メタクリル酸 MSt :α−メチルスチレン CHMA :シクロヘキシルメタクリレート 2−EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート 2−HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
【0022】
【表1】
【0023】また図1は、表1に示した共重合体のうち
実施例2と比較例2で得たものの熱分解曲線を抜粋して
示したものであり、実施例で得たものの熱分解性は比較
例のものに比べて格段に優れたものであることが分か
る。 試験例1 平均粒子径20μmの酸化アルミニウム粉末45重量%
と平均粒子径25μmのほう珪酸ガラス粉末55重量%
との混合粉末100重量部と、実施例1で得たブチルメ
タクリレート−α−メチルスチレン系共重合体をバイン
ダーとして12重量部、可塑剤としてジオクチルフタレ
ート3重量部、分散媒としてトルエン/メチルエチルケ
トン(1/1)混合溶媒40重量部を混合してスラリー
とした後、ドクターブレード法によって厚さ0.2mm
のアルミナ/ガラスグリーンシートを得た。成形性は良
好であった。
【0024】このグリーンシートを窒素気流中550℃
まで徐々に昇温し、同温度で2時間保持して脱バインダ
ーした後、900℃で1時間保持して焼成・焼結した。
得られた焼結シートの残留炭素量は80ppmと極くわ
ずかであり、曲げ強度は1600kg/cm2で優れたもので
あった。また、このグリーンシートを空気中500℃ま
で昇温し、同温度で1時間保持して脱バインダーした
後、900℃で1時間保持して焼成・焼結した。得られ
た焼結シートの残留炭素量は10ppm以下、曲げ強度
は1600kg/cm2であった。
【0025】試験例2 平均粒子径9μmの窒化アルミニウム粉末97重量%と
焼結助剤として酸化イットリウム粉末3重量%とからな
る混合粉末100重量部と、実施例4で得たブチルメタ
クリレート−α−メチルスチレン系共重合体をバインダ
ーとして14重量部、可塑剤としてジオクチルフタレー
ト2重量部、分散媒としてトルエン/n−ブタノール
(3/2)混合溶媒50重量部を混合してスラリーとし
た後、ドクターブレード法によって厚さ0.7mmの窒
化アルミニウムグリーンシートを得た。成形性は良好で
あった。このグリーンシートを窒素気流中550℃まで
徐々に昇温し、同温度で2時間保持して脱バインダーし
た後、1800℃で4時間保持して焼成・焼結した。得
られた焼結シートの残留炭素量は100ppm と極く
わずかであり、熱伝導率は170W/m・Kで優れたもので
あった。
【0026】比較試験例1 比較例1で得たブチルメタクリレート−α−メチルスチ
レン系共重合体をバインダーとして15重量部使用した
以外は上記試験例1と同様にして、アルミナ/ガラスグ
リーンシートの成形および窒素気流中での脱バインダー
処理と焼成・焼結を行って焼結シートを得た。このシー
トの残留炭素量は210ppm と多く、曲げ強度は1
000kg/cm2以下で非常に弱かった。 参考試験例1 参考例1で得たブチルメタクリレート−α−メチルスチ
レン系共重合体をバインダーとして30重量部使用した
以外は上記試験例1と同様にして、アルミナ/ガラスグ
リーンシートを得た。このときの成形性は悪くバインダ
ーを多量必要とし、またグリーンシートの周辺部にクラ
ックがみられた。。このグリーンシートを窒素気流中で
脱バインダー処理と焼成・焼結を行って焼結シートを得
た。このシートの残留炭素量は120ppmと低レベル
であったが、曲げ強度は800kg/cm2以下で弱かった。
【0027】試験例3 試験例2と同様の窒化アルミニウム−酸化イットリウム
混合粉末100重量部に、実施例5で得たブチルメタク
リレート−α−メチルスチレン系共重合体をバインダー
として6重量部、溶剤としてメチルエチルケトン40重
量部を混合してスラリーとした。得られたスラリーを乾
燥し、乾燥粉を直径10mm高さ10mmの円柱形にプレス
成形してブロック成形体(グリーン体)を作製した。こ
のグリーン体を窒素雰囲気中600℃で2時間加熱して
脱バインダーした後、さらに1800℃に昇温して6時
間保持することにより焼成・焼結して窒化アルミニウム
焼結成形体を得た。この成形体の相対密度は99.1
%、体積抵抗は9×1014Ω・cmであった。
【0028】比較試験例2 比較例2で得たブチルメタクリレート系共重合体をバイ
ンダーとして6重量部使用した以外は上記試験例3と同
様にして窒化アルミニウム焼結成形体を得た。この成形
体の相対密度は97.4%、体積抵抗は5×1012Ω・c
mであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で得た共重合体の熱分解曲線を示す図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荻野 芳紀 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒吹田製造所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブチルメタクリレート単位とα−メチル
    スチレン単位とが全モノマー単位の80重量%以上を占
    めるブチルメタクリレート−α−メチルスチレン系共重
    合体を含有することを特徴とする無機質焼結体製造用バ
    インダー。
  2. 【請求項2】 ブチルメタクリレート単位1.0重量部
    に対してα−メチルスチレン単位が0.01〜1.0重
    量部である請求項1記載のバインダー。
  3. 【請求項3】 ブチルメタクリレート単位のうち50重
    量%以上がイソブチルメタクリレート単位である請求項
    1または2記載のバインダー。
JP4076242A 1992-02-26 1992-02-26 無機質焼結体製造用バインダー Withdrawn JPH05238808A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4076242A JPH05238808A (ja) 1992-02-26 1992-02-26 無機質焼結体製造用バインダー

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4076242A JPH05238808A (ja) 1992-02-26 1992-02-26 無機質焼結体製造用バインダー

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05238808A true JPH05238808A (ja) 1993-09-17

Family

ID=13599716

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4076242A Withdrawn JPH05238808A (ja) 1992-02-26 1992-02-26 無機質焼結体製造用バインダー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05238808A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005298738A (ja) * 2004-04-14 2005-10-27 Sekisui Chem Co Ltd 樹脂粒子及び樹脂粒子の製造方法
WO2014061744A1 (ja) * 2012-10-17 2014-04-24 三菱レイヨン株式会社 アクリル樹脂フィルム、それを用いた積層体および太陽電池モジュール
JP2014208753A (ja) * 2012-09-28 2014-11-06 積水化学工業株式会社 バインダー用メタアクリル共重合体、無機微粒子分散ペースト組成物及び無機微粒子分散シート

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005298738A (ja) * 2004-04-14 2005-10-27 Sekisui Chem Co Ltd 樹脂粒子及び樹脂粒子の製造方法
JP2014208753A (ja) * 2012-09-28 2014-11-06 積水化学工業株式会社 バインダー用メタアクリル共重合体、無機微粒子分散ペースト組成物及び無機微粒子分散シート
JP2017193721A (ja) * 2012-09-28 2017-10-26 積水化学工業株式会社 無機微粒子分散ペースト組成物、無機微粒子分散シート及び無機微粒子分散シートの製造方法
WO2014061744A1 (ja) * 2012-10-17 2014-04-24 三菱レイヨン株式会社 アクリル樹脂フィルム、それを用いた積層体および太陽電池モジュール
JPWO2014061744A1 (ja) * 2012-10-17 2016-09-05 三菱レイヨン株式会社 アクリル樹脂フィルム、それを用いた積層体および太陽電池モジュール

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4900698A (en) Ceramic product and process
US6001761A (en) Ceramics sheet and production method for same
US5082607A (en) Process of producing porous ceramics
JP2518492B2 (ja) 無機質焼結体製造用バインダ―
JPH05238808A (ja) 無機質焼結体製造用バインダー
JP3183906B2 (ja) ジルコニアシート
JP2605542B2 (ja) 無機質焼結体製造用バインダー
JPH08151270A (ja) セラミックスシート
JP2002015757A (ja) 固体電解質膜形成用スラリーおよびこれを用いた固体電解質膜
JP2734425B2 (ja) セラミックスシートの製法
JP2004161901A (ja) セラミックグリーンシート用バインダー樹脂の製造方法、セラミックグリーンシート用バインダー樹脂及びセラミックグリーンシート
JP4361659B2 (ja) セラミックス成形用バインダー
JP5036110B2 (ja) 軽量セラミック焼結体
JPH10167836A (ja) セラミック成形用バインダー樹脂
JP5025923B2 (ja) セラミック組成物及び多孔質セラミックフィルタの製造方法
JP2518492C (ja)
JP2003327483A (ja) セラミック組成物及びセラミックフィルタの製造方法
JP3367178B2 (ja) セラミック成形用有機バインダー、その製法及びこれを用いたセラミック基板
JP4440030B2 (ja) セラミック組成物
JP2001220260A (ja) アルミナ系多孔質シート状耐火物及びその製造方法
JPH07224120A (ja) 無機質焼結体製造用バインダー
JPH07149572A (ja) 窒化アルミニウムグリーンシートの製造方法
JPH09183658A (ja) 炭化ケイ素質耐火物
JP4468541B2 (ja) 再結晶SiCの製造方法
JPH04144953A (ja) セラミックス蓄熱体

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19990518