JPH0523822A - 差圧鋳造方法及び差圧鋳造用ストーク - Google Patents
差圧鋳造方法及び差圧鋳造用ストークInfo
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- JPH0523822A JPH0523822A JP19874491A JP19874491A JPH0523822A JP H0523822 A JPH0523822 A JP H0523822A JP 19874491 A JP19874491 A JP 19874491A JP 19874491 A JP19874491 A JP 19874491A JP H0523822 A JPH0523822 A JP H0523822A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】湯面8を常に不活性ガス22で覆うことによっ
て溶湯7の酸化を完全に防止した鋳造方法と、該鋳造方
法に適したストーク10とを提供する。 【構成】ストーク10内に不活性ガス22を供給するこ
とによって製品9と溶湯7とを分離することを特徴と
し、また上端を金型2の湯口5に接続し下端を保持炉6
内の溶湯7の湯面8よりも高く保った内筒11と、上端
を内筒11の外面との間で密閉し下端を溶湯8に浸漬し
た外筒12とを有し、内外筒11,12の間に形成され
る環状領域13と外部とを連通する孔14を設けた差圧
鋳造用ストーク10において、内筒11の下端に、周方
向に一又は複数個の切込み15を上方に向けて設けたこ
とを特徴とする。
て溶湯7の酸化を完全に防止した鋳造方法と、該鋳造方
法に適したストーク10とを提供する。 【構成】ストーク10内に不活性ガス22を供給するこ
とによって製品9と溶湯7とを分離することを特徴と
し、また上端を金型2の湯口5に接続し下端を保持炉6
内の溶湯7の湯面8よりも高く保った内筒11と、上端
を内筒11の外面との間で密閉し下端を溶湯8に浸漬し
た外筒12とを有し、内外筒11,12の間に形成され
る環状領域13と外部とを連通する孔14を設けた差圧
鋳造用ストーク10において、内筒11の下端に、周方
向に一又は複数個の切込み15を上方に向けて設けたこ
とを特徴とする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は差圧鋳造方法と差圧鋳
造用ストークとに関し、特に差圧鋳造における製品と溶
湯との分離方法と該分離方法に適したストークとに関す
る。
造用ストークとに関し、特に差圧鋳造における製品と溶
湯との分離方法と該分離方法に適したストークとに関す
る。
【0002】
【従来の技術】アルミニウムなどの酸化されやすい材料
から低圧鋳造法などによって製品を鋳造するときには、
ストーク内のアルミニウム溶湯の酸化を防止し、あるい
はストーク内のアルミニウム酸化物を除去する必要があ
る。アルミニウムの低圧鋳造において従来より一般に行
われていたのは、下型の湯口にフィルターを配置してア
ルミニウムの酸化物を除去する方法であるが、この方法
では一回の鋳造毎にフィルターを交換する必要が生じ、
また製品の湯口部分より切除されたスクラップ材にフィ
ルターが付着しているから、スクラップ材の有効利用を
図ることができないという問題点があった。
から低圧鋳造法などによって製品を鋳造するときには、
ストーク内のアルミニウム溶湯の酸化を防止し、あるい
はストーク内のアルミニウム酸化物を除去する必要があ
る。アルミニウムの低圧鋳造において従来より一般に行
われていたのは、下型の湯口にフィルターを配置してア
ルミニウムの酸化物を除去する方法であるが、この方法
では一回の鋳造毎にフィルターを交換する必要が生じ、
また製品の湯口部分より切除されたスクラップ材にフィ
ルターが付着しているから、スクラップ材の有効利用を
図ることができないという問題点があった。
【0003】そこでアルミニウムの酸化物を除去する手
法に代えて、アルミニウム溶湯の酸化自体を防止する手
法の開発が進められており、例えば特開平1−1044
57号公報には、上端を金型の湯口に接続し下端を保持
炉内の溶湯の湯面よりも高く保った内筒と、上端を前記
内筒の外面との間で密閉し下端を前記溶湯に浸漬した外
筒とを有し、前記内外筒の間に形成される環状領域と外
部とを連通する孔を設けた差圧鋳造用ストークを用い、
空気よりも重い不活性ガスを前記孔から供給して溶湯表
面の空気を不活性ガスで置換した後に、差圧によって溶
湯をキャビティー内に導入する方法が開示されている。
法に代えて、アルミニウム溶湯の酸化自体を防止する手
法の開発が進められており、例えば特開平1−1044
57号公報には、上端を金型の湯口に接続し下端を保持
炉内の溶湯の湯面よりも高く保った内筒と、上端を前記
内筒の外面との間で密閉し下端を前記溶湯に浸漬した外
筒とを有し、前記内外筒の間に形成される環状領域と外
部とを連通する孔を設けた差圧鋳造用ストークを用い、
空気よりも重い不活性ガスを前記孔から供給して溶湯表
面の空気を不活性ガスで置換した後に、差圧によって溶
湯をキャビティー内に導入する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかるに上記公報の技
術では、不活性ガスを供給する以前には溶湯表面に空気
が存在しているから、なおも溶湯の酸化を免れないとい
う問題点がある。すなわち上記公報には、溶湯とキャビ
ティーとの間の差圧を解除すると、未凝固の溶湯は下降
して保持炉内に戻る旨開示されており、そのとき溶湯の
表面は真空ではあり得ないから空気が存在するほかはな
い。したがってこの時点で、すみやかに空気よりも重い
不活性ガスを供給して溶湯表面の空気を不活性ガスで置
換しても、比重の差による置換には一定の時間を必要と
し、その間は溶湯表面は空気にさらされるから一定程度
の溶湯の酸化を免れることはできない。したがって本発
明は、溶湯表面の空気を不活性ガスで置換することによ
って溶湯の酸化を一定程度防止するのではなく、溶湯表
面を常に不活性ガスで覆うことによって溶湯の酸化を完
全に防止する手段を提供することを目的とする。
術では、不活性ガスを供給する以前には溶湯表面に空気
が存在しているから、なおも溶湯の酸化を免れないとい
う問題点がある。すなわち上記公報には、溶湯とキャビ
ティーとの間の差圧を解除すると、未凝固の溶湯は下降
して保持炉内に戻る旨開示されており、そのとき溶湯の
表面は真空ではあり得ないから空気が存在するほかはな
い。したがってこの時点で、すみやかに空気よりも重い
不活性ガスを供給して溶湯表面の空気を不活性ガスで置
換しても、比重の差による置換には一定の時間を必要と
し、その間は溶湯表面は空気にさらされるから一定程度
の溶湯の酸化を免れることはできない。したがって本発
明は、溶湯表面の空気を不活性ガスで置換することによ
って溶湯の酸化を一定程度防止するのではなく、溶湯表
面を常に不活性ガスで覆うことによって溶湯の酸化を完
全に防止する手段を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成するために鋭意研究を進め、上記公報には溶湯とキャ
ビティーとの間の差圧を解除すると未凝固の溶湯は下降
して保持炉内に戻った旨記載されているものの、通常精
度の部品によって差圧鋳造装置を構成したときには、溶
湯とキャビティーとの間の差圧を解除しても未凝固の溶
湯は容易には保持炉内に戻りはしないことを見出し、こ
の知見に基づいて本発明を完成するに至った。
成するために鋭意研究を進め、上記公報には溶湯とキャ
ビティーとの間の差圧を解除すると未凝固の溶湯は下降
して保持炉内に戻った旨記載されているものの、通常精
度の部品によって差圧鋳造装置を構成したときには、溶
湯とキャビティーとの間の差圧を解除しても未凝固の溶
湯は容易には保持炉内に戻りはしないことを見出し、こ
の知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明は、上型と下型とによって
キャビティーを構成し、該キャビティーに連通する湯口
を前記下型に開口し、該湯口にストークの上端を接続
し、該ストークの下端を保持炉内の溶湯に浸漬し、該溶
湯の圧力を前記キャビティーの圧力よりも低下させて
(溶湯を加圧する場合とキャビティーを減圧する場合と
を問わない。)前記溶湯を前記キャビティー内に導入
し、キャビティー内の溶湯を凝固させて製品に鋳造する
差圧鋳造方法において、前記ストーク内に不活性ガスを
供給することによって前記製品と前記溶湯とを分離する
ことを特徴とする差圧鋳造方法であり、また上端を金型
の湯口に接続し下端を保持炉内の溶湯の湯面よりも高く
保った内筒と、上端を前記内筒の外面との間で密閉し下
端を前記溶湯に浸漬した外筒とを有し、前記内外筒の間
に形成される環状領域と外部とを連通する孔を設けた差
圧鋳造用ストークにおいて、前記内筒の下端に、周方向
に一又は複数個の切込みを上方に向けて設けたことを特
徴とする差圧鋳造用ストークである。
キャビティーを構成し、該キャビティーに連通する湯口
を前記下型に開口し、該湯口にストークの上端を接続
し、該ストークの下端を保持炉内の溶湯に浸漬し、該溶
湯の圧力を前記キャビティーの圧力よりも低下させて
(溶湯を加圧する場合とキャビティーを減圧する場合と
を問わない。)前記溶湯を前記キャビティー内に導入
し、キャビティー内の溶湯を凝固させて製品に鋳造する
差圧鋳造方法において、前記ストーク内に不活性ガスを
供給することによって前記製品と前記溶湯とを分離する
ことを特徴とする差圧鋳造方法であり、また上端を金型
の湯口に接続し下端を保持炉内の溶湯の湯面よりも高く
保った内筒と、上端を前記内筒の外面との間で密閉し下
端を前記溶湯に浸漬した外筒とを有し、前記内外筒の間
に形成される環状領域と外部とを連通する孔を設けた差
圧鋳造用ストークにおいて、前記内筒の下端に、周方向
に一又は複数個の切込みを上方に向けて設けたことを特
徴とする差圧鋳造用ストークである。
【0007】
【作用】上記差圧鋳造方法では、キャビティー内の溶湯
が凝固して製品となった後に、ストーク内に不活性ガス
を供給すると、不活性ガスは凝固した製品と未凝固の溶
湯との間に溜って両者を分離し、したがって溶湯の表面
は常に不活性ガスで覆われて溶湯の酸化は完全に防止さ
れる。
が凝固して製品となった後に、ストーク内に不活性ガス
を供給すると、不活性ガスは凝固した製品と未凝固の溶
湯との間に溜って両者を分離し、したがって溶湯の表面
は常に不活性ガスで覆われて溶湯の酸化は完全に防止さ
れる。
【0008】また上記差圧鋳造用ストークでは、前記孔
より前記環状領域に不活性ガスを供給すると、不活性ガ
スは環状領域内の溶湯の湯面を徐々に押し下げ、ついに
は不活性ガスは環状領域から内筒内に移動し、内筒内を
上昇して製品と溶湯との間に溜って両者を分離するが、
内筒下端には前記切込みがあるから、環状領域より内筒
内への不活性ガスの移動は一挙に全周よりは行われず、
周方向に限られた切込みの位置より内筒内へ移動するか
ら、内筒内の溶湯を撹乱することがなく、したがって凝
固直後の製品の粗悪化を招くおそれがない。
より前記環状領域に不活性ガスを供給すると、不活性ガ
スは環状領域内の溶湯の湯面を徐々に押し下げ、ついに
は不活性ガスは環状領域から内筒内に移動し、内筒内を
上昇して製品と溶湯との間に溜って両者を分離するが、
内筒下端には前記切込みがあるから、環状領域より内筒
内への不活性ガスの移動は一挙に全周よりは行われず、
周方向に限られた切込みの位置より内筒内へ移動するか
ら、内筒内の溶湯を撹乱することがなく、したがって凝
固直後の製品の粗悪化を招くおそれがない。
【0009】
【実施例】本発明を図面によって説明する。図1は本発
明方法を適用した低圧鋳造機の一例を示し、鋳造すべき
製品の形状に適合したキャビティー1が上型3と下型4
とからなる金型2によって形成されており、下型4には
キャビティー1に連通する湯口5が開口している。スト
ーク10は内筒11と外筒12とを有し、内筒11の上
端は金型の湯口5に接続しており、下端は保持炉6内の
溶湯7の湯面8よりも高く保たれている。外筒12の上
端は内筒11の外面との間で密閉されており、下端は溶
湯7に浸漬しており、こうして内外筒11,12の間に
下方に向けて開放した環状領域13が形成されている。
外筒12には、環状領域13の上部と外筒の外面とを連
通する孔14が穿設されており、孔14には弁21を介
してアルゴンガスボンベ20が接続されている。
明方法を適用した低圧鋳造機の一例を示し、鋳造すべき
製品の形状に適合したキャビティー1が上型3と下型4
とからなる金型2によって形成されており、下型4には
キャビティー1に連通する湯口5が開口している。スト
ーク10は内筒11と外筒12とを有し、内筒11の上
端は金型の湯口5に接続しており、下端は保持炉6内の
溶湯7の湯面8よりも高く保たれている。外筒12の上
端は内筒11の外面との間で密閉されており、下端は溶
湯7に浸漬しており、こうして内外筒11,12の間に
下方に向けて開放した環状領域13が形成されている。
外筒12には、環状領域13の上部と外筒の外面とを連
通する孔14が穿設されており、孔14には弁21を介
してアルゴンガスボンベ20が接続されている。
【0010】この低圧鋳造機を用いて製品を鋳造するに
は、先ず弁21を開いて孔14を通じてストーク10内
の空気をアルゴンガスで置換する。ストーク10内の空
気をアルゴンガスで置換するまでは、溶湯の湯面8は空
気にさらされていたから湯面8近傍の溶湯7は酸化され
ている。ストーク10内の空気がアルゴンガスで置換さ
れた後に弁21を閉じて保持炉6内を加圧すると、湯面
8は上昇して内筒11の下端に接し、以降は溶湯7は二
手に分かれ、図2に示すように一方はアルゴンガスを排
除しつつキャビティー1内に侵入し、他方はアルゴンガ
ス22を圧縮しつつ環状領域13内に侵入する。環状領
域13内の湯面8が孔14の内面側開口部よりも高く上
昇しないように、弁21から環状領域13下端までの空
間の体積を定めて、孔14とこれに接続した配管とを溶
湯7から保護することが好ましい。キャビティー1内に
溶湯7が充満した後一定時間経過すると、溶湯7は凝固
して製品となるが、最初に供給されたのは酸化した溶湯
であったから、最初の製品は不良品となる。
は、先ず弁21を開いて孔14を通じてストーク10内
の空気をアルゴンガスで置換する。ストーク10内の空
気をアルゴンガスで置換するまでは、溶湯の湯面8は空
気にさらされていたから湯面8近傍の溶湯7は酸化され
ている。ストーク10内の空気がアルゴンガスで置換さ
れた後に弁21を閉じて保持炉6内を加圧すると、湯面
8は上昇して内筒11の下端に接し、以降は溶湯7は二
手に分かれ、図2に示すように一方はアルゴンガスを排
除しつつキャビティー1内に侵入し、他方はアルゴンガ
ス22を圧縮しつつ環状領域13内に侵入する。環状領
域13内の湯面8が孔14の内面側開口部よりも高く上
昇しないように、弁21から環状領域13下端までの空
間の体積を定めて、孔14とこれに接続した配管とを溶
湯7から保護することが好ましい。キャビティー1内に
溶湯7が充満した後一定時間経過すると、溶湯7は凝固
して製品となるが、最初に供給されたのは酸化した溶湯
であったから、最初の製品は不良品となる。
【0011】最初の製品が凝固した後に、弁21を開い
て環状領域13内にアルゴンガス22を供給すると、図
3に示すようにアルゴンガス22は環状領域13内の湯
面8を徐々に押し下げ、ついには環状領域13から内筒
11内に移動し、内筒11内の溶湯中を上昇し、製品9
と湯面8との間に溜って両者を分離する。すなわち未凝
固の溶湯7は、それまで溶湯であった製品9と接してい
た後、アルゴンガス22によって製品9から分離されて
自由表面を形成し、したがって湯面8が形成されるとき
は常に該湯面8はアルゴンガス22で覆われることとな
る。
て環状領域13内にアルゴンガス22を供給すると、図
3に示すようにアルゴンガス22は環状領域13内の湯
面8を徐々に押し下げ、ついには環状領域13から内筒
11内に移動し、内筒11内の溶湯中を上昇し、製品9
と湯面8との間に溜って両者を分離する。すなわち未凝
固の溶湯7は、それまで溶湯であった製品9と接してい
た後、アルゴンガス22によって製品9から分離されて
自由表面を形成し、したがって湯面8が形成されるとき
は常に該湯面8はアルゴンガス22で覆われることとな
る。
【0012】なお保持炉6の加圧を解除しても溶湯7は
保持炉6内に落下しないから、加圧を解除する時点は特
に問題とはならない。しかし製品9が凝固した後には最
早保持炉6の加圧を維持している必要はないし、加圧を
維持しているとアルゴンガスボンベ20の供給圧力を高
くする必要が生じる。したがって図4に示すように、弁
21を開くのとほぼ同時に加圧を解除するのが好まし
い。アルゴンガス22によって製品9と湯面8とが分離
され、更に保持炉6の加圧を解除した後には、上型3を
開いて最初の製品、すなわち不良品を排出し、上型3を
閉じる。しかる後、弁21を閉じ、保持炉6を加圧して
2個目の製品を鋳造する。2個目の製品のための溶湯7
は全く空気と遮断されていたから、以降は良品のみを鋳
造することができる。
保持炉6内に落下しないから、加圧を解除する時点は特
に問題とはならない。しかし製品9が凝固した後には最
早保持炉6の加圧を維持している必要はないし、加圧を
維持しているとアルゴンガスボンベ20の供給圧力を高
くする必要が生じる。したがって図4に示すように、弁
21を開くのとほぼ同時に加圧を解除するのが好まし
い。アルゴンガス22によって製品9と湯面8とが分離
され、更に保持炉6の加圧を解除した後には、上型3を
開いて最初の製品、すなわち不良品を排出し、上型3を
閉じる。しかる後、弁21を閉じ、保持炉6を加圧して
2個目の製品を鋳造する。2個目の製品のための溶湯7
は全く空気と遮断されていたから、以降は良品のみを鋳
造することができる。
【0013】以上のように本実施例の鋳造方法は、スト
ーク10内にアルゴンガス22を供給することによって
製品9と溶湯7とを分離するものであるから、湯面8は
常にアルゴンガス22で覆われ、溶湯7の酸化は完全に
防止される。なお孔14から供給する不活性ガスとして
空気よりも軽いものを用いるときには、上型3を開いて
製品9を取り出したときに、空気が当該不活性ガスと置
換して湯面8上に至るおそれがあるから、上型3を閉じ
て保持炉6を加圧するまでは不活性ガスを供給し続ける
必要がある。しかも保持炉6の加圧によって湯面8が上
昇して内筒11の下端にまで至ったときには、もはや内
筒11内の溶湯7に不活性ガスを供給できないから、空
気が不活性ガスを置換する以前に、速やかにキャビティ
ー1内に溶湯7を充満させる必要がある。これに対して
本実施例で用いたアルゴンガス22は空気よりも重いか
ら、アルゴンガス22が湯面8を覆った後には、アルゴ
ンガス22の供給を停止することができる。但し本実施
例では図4に示すように、上型3を開いているときにも
アルゴンガスを供給し続け、保持炉6を加圧するときに
初めてアルゴンガス22の供給を停止することとして、
確実に湯面8をアルゴンガス22で覆うこととしてい
る。
ーク10内にアルゴンガス22を供給することによって
製品9と溶湯7とを分離するものであるから、湯面8は
常にアルゴンガス22で覆われ、溶湯7の酸化は完全に
防止される。なお孔14から供給する不活性ガスとして
空気よりも軽いものを用いるときには、上型3を開いて
製品9を取り出したときに、空気が当該不活性ガスと置
換して湯面8上に至るおそれがあるから、上型3を閉じ
て保持炉6を加圧するまでは不活性ガスを供給し続ける
必要がある。しかも保持炉6の加圧によって湯面8が上
昇して内筒11の下端にまで至ったときには、もはや内
筒11内の溶湯7に不活性ガスを供給できないから、空
気が不活性ガスを置換する以前に、速やかにキャビティ
ー1内に溶湯7を充満させる必要がある。これに対して
本実施例で用いたアルゴンガス22は空気よりも重いか
ら、アルゴンガス22が湯面8を覆った後には、アルゴ
ンガス22の供給を停止することができる。但し本実施
例では図4に示すように、上型3を開いているときにも
アルゴンガスを供給し続け、保持炉6を加圧するときに
初めてアルゴンガス22の供給を停止することとして、
確実に湯面8をアルゴンガス22で覆うこととしてい
る。
【0014】次に図5及び図6は、上記製品9と溶湯7
との分離方法に適したストークの内筒11を示し、この
内筒11の下端には、周方向45°間隔に8個の切込み
15が上方に向けて設けられており、各切込み15の上
方に位置する内筒11の肉厚tは下方に向って逓減して
おり、各切込み15の上面16は下方に突出した孤状に
形成されている。また各切込み15によって周方向に残
された内筒の肉厚Tも下方に向って逓減しており、各切
込み15によって周方向に残された内筒の下面17も下
方に突出した孤状に形成されている。
との分離方法に適したストークの内筒11を示し、この
内筒11の下端には、周方向45°間隔に8個の切込み
15が上方に向けて設けられており、各切込み15の上
方に位置する内筒11の肉厚tは下方に向って逓減して
おり、各切込み15の上面16は下方に突出した孤状に
形成されている。また各切込み15によって周方向に残
された内筒の肉厚Tも下方に向って逓減しており、各切
込み15によって周方向に残された内筒の下面17も下
方に突出した孤状に形成されている。
【0015】この内筒11は以上のように形成されてお
り、内筒の下端に切込み15があるから、製品が凝固し
た後に弁21を開いてアルゴンガス22を供給するとき
に、環状領域13より内筒11内へのアルゴンガスの移
動は一挙に全周方向よりは行われず、周方向45°間隔
に設けられた8個の切込み15より内筒11内へ移動す
るから、内筒内の溶湯7を撹乱することがなく、したが
って凝固した直後の製品9の粗悪化を招くおそれがな
い。また各切込み15の上方に位置する内筒の肉厚tは
下方に向って逓減しているから、環状領域13より内筒
内へのアルゴンガス22の移動距離が短くなり、内筒1
1内へのアルゴンガス22の移動が円滑に行われる。
り、内筒の下端に切込み15があるから、製品が凝固し
た後に弁21を開いてアルゴンガス22を供給するとき
に、環状領域13より内筒11内へのアルゴンガスの移
動は一挙に全周方向よりは行われず、周方向45°間隔
に設けられた8個の切込み15より内筒11内へ移動す
るから、内筒内の溶湯7を撹乱することがなく、したが
って凝固した直後の製品9の粗悪化を招くおそれがな
い。また各切込み15の上方に位置する内筒の肉厚tは
下方に向って逓減しているから、環状領域13より内筒
内へのアルゴンガス22の移動距離が短くなり、内筒1
1内へのアルゴンガス22の移動が円滑に行われる。
【0016】更に各切込み15の上方に位置する内筒の
肉厚tも、各切込み15によって周方向に残された内筒
の肉厚Tも下方に向って逓減しているから、保持炉6を
加圧して湯面8を上昇させるときに、溶湯7は内筒11
内と環状領域13とに円滑に分離され、溶湯7中へのア
ルゴンガス22の混入が防止される。また各切込み15
の上面16も各切込み15によって周方向に残された内
筒の下面17も下方に突出した孤状に形成されているか
ら、湯面8の上昇時にアルゴンガス22が上記上面16
にも上記下面17にも滞留するおそれがない。したがっ
てキャビティー1内の溶湯の凝固途中に、不用意にアル
ゴンガスが内筒内を上昇してキャビティー内の溶湯中に
混入するおそれがなくなる。
肉厚tも、各切込み15によって周方向に残された内筒
の肉厚Tも下方に向って逓減しているから、保持炉6を
加圧して湯面8を上昇させるときに、溶湯7は内筒11
内と環状領域13とに円滑に分離され、溶湯7中へのア
ルゴンガス22の混入が防止される。また各切込み15
の上面16も各切込み15によって周方向に残された内
筒の下面17も下方に突出した孤状に形成されているか
ら、湯面8の上昇時にアルゴンガス22が上記上面16
にも上記下面17にも滞留するおそれがない。したがっ
てキャビティー1内の溶湯の凝固途中に、不用意にアル
ゴンガスが内筒内を上昇してキャビティー内の溶湯中に
混入するおそれがなくなる。
【0017】
【発明の効果】本発明によって、湯面が常に不活性ガス
で覆われて溶湯の酸化が完全に防止される鋳造方法と、
溶湯を撹乱することなく製品と溶湯とを分離することが
できるストークとが提供された。
で覆われて溶湯の酸化が完全に防止される鋳造方法と、
溶湯を撹乱することなく製品と溶湯とを分離することが
できるストークとが提供された。
【図1】本発明方法を適用した低圧鋳造機の一例の概略
縦断面図
縦断面図
【図2】保持炉を加圧したときの図1に対応する図
【図3】本発明方法の一実施例を示す図1に対応する図
【図4】アルゴンガスの供給・停止のタイミングを示し
た図
た図
【図5】ストークの一実施例を示す縦断面図
【図6】同じく底面図
1…キャビティー 2…金型 3…上型 4
…下型 5…湯口 6…保持炉 7…溶湯 8…湯面 9
…製品 10…ストーク 11…内筒 12…外筒 1
3…環状領域 14…孔 15…切込み 16…上面 1
7…下面 20…アルゴンガスボンベ 21…弁 2
2…アルゴンガス
…下型 5…湯口 6…保持炉 7…溶湯 8…湯面 9
…製品 10…ストーク 11…内筒 12…外筒 1
3…環状領域 14…孔 15…切込み 16…上面 1
7…下面 20…アルゴンガスボンベ 21…弁 2
2…アルゴンガス
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(72)発明者 岡田 千里
栃木県真岡市鬼怒ケ丘11番地 日立金属株
式会社素材研究所内
(72)発明者 矢城 敏則
福岡県北九州市若松区北浜一丁目9番1号
日立金属株式会社若松工場内
Claims (6)
- 【請求項1】上型と下型とによってキャビティーを構成
し、該キャビティーに連通する湯口を前記下型に開口
し、該湯口にストークの上端を接続し、該ストークの下
端を保持炉内の溶湯に浸漬し、該溶湯の圧力を前記キャ
ビティーの圧力よりも低下させて前記溶湯を前記キャビ
ティー内に導入し、キャビティー内の溶湯を凝固させて
製品に鋳造する差圧鋳造方法において、 前記ストーク内に不活性ガスを供給することによって前
記製品と前記溶湯とを分離することを特徴とする差圧鋳
造方法。 - 【請求項2】上端を金型の湯口に接続し下端を保持炉内
の溶湯の湯面よりも高く保った内筒と、上端を前記内筒
の外面との間で密閉し下端を前記溶湯に浸漬した外筒と
を有し、前記内外筒の間に形成される環状領域と外部と
を連通する孔を設けた差圧鋳造用ストークにおいて、 前記内筒の下端に、周方向に一又は複数個の切込みを上
方に向けて設けたことを特徴とする差圧鋳造用ストー
ク。 - 【請求項3】前記切込みの上方に位置する内筒の肉厚
を、下方に向って逓減した請求項2記載の差圧鋳造用ス
トーク。 - 【請求項4】前記切込みの上面を、下方に突出した孤状
に形成した請求項2又は3記載の差圧鋳造用ストーク。 - 【請求項5】前記切込みによって周方向に残された内筒
の肉厚を、下方に向って逓減した請求項2、3又は4記
載の差圧鋳造用ストーク。 - 【請求項6】前記切込みによって周方向に残された内筒
の下面を、下方に突出した孤状に形成した請求項2、
3、4又は5記載の差圧鋳造用ストーク。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19874491A JPH0523822A (ja) | 1991-07-12 | 1991-07-12 | 差圧鋳造方法及び差圧鋳造用ストーク |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19874491A JPH0523822A (ja) | 1991-07-12 | 1991-07-12 | 差圧鋳造方法及び差圧鋳造用ストーク |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0523822A true JPH0523822A (ja) | 1993-02-02 |
Family
ID=16396251
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19874491A Pending JPH0523822A (ja) | 1991-07-12 | 1991-07-12 | 差圧鋳造方法及び差圧鋳造用ストーク |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0523822A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012096284A (ja) * | 2010-11-05 | 2012-05-24 | Honda Motor Co Ltd | 低圧鋳造装置及び低圧鋳造方法 |
JP2015044218A (ja) * | 2013-08-28 | 2015-03-12 | 宇部興産機械株式会社 | 鋳造装置 |
JP2016159336A (ja) * | 2015-03-03 | 2016-09-05 | 株式会社豊田中央研究所 | マグネシウム合金の鋳造装置、その鋳造装置用ノズルおよびマグネシウム合金の鋳造方法 |
-
1991
- 1991-07-12 JP JP19874491A patent/JPH0523822A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012096284A (ja) * | 2010-11-05 | 2012-05-24 | Honda Motor Co Ltd | 低圧鋳造装置及び低圧鋳造方法 |
JP2015044218A (ja) * | 2013-08-28 | 2015-03-12 | 宇部興産機械株式会社 | 鋳造装置 |
JP2016159336A (ja) * | 2015-03-03 | 2016-09-05 | 株式会社豊田中央研究所 | マグネシウム合金の鋳造装置、その鋳造装置用ノズルおよびマグネシウム合金の鋳造方法 |
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