JPH05232965A - 楽音合成装置 - Google Patents

楽音合成装置

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JPH05232965A
JPH05232965A JP4034685A JP3468592A JPH05232965A JP H05232965 A JPH05232965 A JP H05232965A JP 4034685 A JP4034685 A JP 4034685A JP 3468592 A JP3468592 A JP 3468592A JP H05232965 A JPH05232965 A JP H05232965A
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parameter
input
circuit
filter
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JP4034685A
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English (en)
Inventor
Masahiro Nakanishi
雅浩 中西
Daisuke Mori
大輔 森
Katsuhiko Hayashi
克彦 林
Takahiro Sugaya
隆宏 菅谷
Atsuko Tanaka
温子 田中
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アコースティック楽器の物理構造を電子回路
で近似する楽音合成装置において、バイオリン等の持続
系の楽器音も合成できるようにする。 【構成】 入力データ発生部110が弦を弓でこすった
時の弓の速さ等に対応した入力データを第1のフィルタ
部120に入力し、弦に対応した遅延部140,150
内のそれぞれの遅延器が、弦の振動に対応する帰還デー
タを第1のフィルタ部120に帰還入力し、さらにフィ
ルタ部120が入力データと帰還データと第1のパラメ
ータ発生部130が発生するパラメータに基づき、第1
の駆動データを算出する。さらに、残差データ加算部1
90が第1の駆動データと予め記憶された残差データと
を加算し、加算結果を第2の駆動データとして弦に対応
した遅延部140に入力する。この動作を繰り返し実行
することにより、弓と弦との干渉動作が実現できバイオ
リンの音が合成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アコースティック楽器
の物理構造をディジタル電子回路で近似した楽音合成装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ディジタル技術の進歩により、電
子ピアノやシンセサイザのようなディジタル電子回路を
応用した楽音合成装置が数多く開発されている。その中
において、アコースティック楽器の物理構造を解析し、
これをディジタル電子回路に置き換えて実現した楽音合
成装置が提案されている(文献:「Extensions of theK
arplus-Strong Plucked-String Algorithm」、著者:Da
vid A.Jaffe and Julius O.Smith、出展:Computer Mus
ic Journal,vol7.2 Summer 1983)。
【0003】以下、図面を参照しながら、上述したよう
な楽音合成装置について説明する。図56は従来の楽音
合成装置を示すブロック図である。図56において、5
610は入力されたデータをアドレス発生部5615が
指示する時間だけ遅延させる遅延器、5611は駆動部
5620から入力された駆動データとローパスフィルタ
5614から入力された帰還データIfとの加算を行う
加算器、5612はアドレス発生部5615が指示する
アドレスから記憶されたデータを読み出しオールパスフ
ィルタ5613に入力した後に、アドレスに加算器56
11の出力を書き込むメモリ、5613はアドレス発生
部5615が指示するフィルタ係数faに従い、入力さ
れたデータに位相遅延を施すオールパスフィルタ、56
14はオールパスフィルタ5613から入力されたデー
タの高域成分を遮断するローパスフィルタ、5615は
(表1)に示すテーブルを有し、鍵盤等の入力装置から
入力された発音開始データKONと音程を指示するデー
タNOTEに基づきメモリ5612のアドレスとオール
パスフィルタ5613のフィルタ係数faを発生するア
ドレス発生部、5620は駆動データを発生する駆動部
である。なお、駆動部5620はメモリ読み出しにより
駆動データを発生するものとする。また、遅延器561
0と加算器5611とローパスフィルタ5614とから
構成されるループ状の回路をまとめて遅延部5630と
する。
【0004】
【表1】
【0005】なお、(表1)において、データFQDは
サンプリング周波数をfsとした場合、fsを所望の周
波数fで除算したもの、データDはFQDの整数部分に
対応するデータ、データPはFQDの小数部分に対応す
るデータ、faは(数1)の関係式で与えられるフィル
タ係数である。(数1)で算出されたフィルタ係数fa
をオールパスフィルタ5613に入力することによりオ
ールパスフィルタは近似的にP*T(Tは1サンプリン
グ時間とする)の遅延時間をもつ遅延器として動作す
る。遅延器5610において、メモリ5612とオール
パスフィルタ5613の接続順序を替えてもさしつかえ
ない。
【0006】
【数1】
【0007】図57はアドレス発生部5615の内部構
成を示す回路図である。図57において、5711は
(表1)に示すテーブルを持ち、データDをカウンタ5
712に入力し、フィルタ係数faをオールパスフィル
タ5613に入力するテーブル部、5712はカウンタ
5714のカウントデータとテーブル部5711から読
み出されたデータDとの比較を行う比較器、5713は
発音開始フラグSTFまたは比較器5712の比較一致
フラグによりカウンタ5714をリセットするORゲー
ト、5714は値「0」〜「D−1」の間を繰り返しカ
ウントするカウンタ、5715は発音開始データKON
の立ち上がりを検出し、パルス(発音開始フラグST
F)を発生するワンショット回路である。なお、テーブ
ル部5711はメモリと読み出し回路で簡単に構成でき
るので中身の説明は省略する。また、カウンタ5714
がカウントするデータはメモリ5612のアドレスを繰
り返し指示するものである。従って、メモリ5612は
リングメモリとして動作する。
【0008】図58はオールパスフィルタ5613の内
部構成を示す回路図である。図58において、5811
はメモリ5612から読み出されたデータと乗算器58
15の出力との加算を行う加算器、5812は加算器5
811の出力を1サンプリング時間Tだけ遅延させる遅
延器、5813は遅延器5812から入力されたデータ
と乗算器5814の出力との加算を行う加算器、581
4はメモリ5612から読み出されたデータとアドレス
発生部から入力されたフィルタ係数faとの乗算を行う
乗算器、5815は加算器5813の出力にアドレス発
生部5615から入力されたフィルタ係数faの反転値
−faを乗算する乗算器である。
【0009】以上のように構成された従来の楽音合成装
置の動作について説明する。まず、鍵盤等の入力装置か
ら発音開始データKONと音程を指示するデータNOT
Eがアドレス発生部5615に入力される。アドレス発
生部5615において、テーブル部5711は(表1)
に従い周波数データFQDの整数部分であるデータDを
比較器5712に入力するとともにオールパスフィルタ
5613のフィルタ係数faを読み出す。また、発音開
始データKONの立ち上がりをワンショット回路571
5で検出し、発音開始フラグSTF(パルス)を発生す
る。発音開始フラグSTFはORゲート5713を介し
カウンタ5714のリセット入力端子に入力され、カウ
ンタ5714はカウントデータを値「0」にリセットす
る。その後、カウンタ5714は1サンプリング時間T
の時間間隔でインクリメント動作を開始し、カウント値
がデータDになるまで、すなわち、比較器5712にお
いてカウントデータとデータDが等しくなり、比較一致
フラグがORゲート5713を介しカウンタ5714を
リセットするで、インクリメント動作を続行する。カウ
ントデータがデータDに等しくなった瞬間、カウンタ5
714はリセットされるので、カウンタ5714は値
「0」〜「D−1」の間をサイクリックにカウント動作
することになる。この動作によりメモリ5612はリン
グメモリとして動作する。またテーブル部5711から
読み出されたフィルタ係数faはオールパスフィルタ5
613の乗算器5814に、フィルタ係数faの反転値
−faは乗算器5815に入力される。オールパスフィ
ルタ5613は(表1)に記載したデータPに対応した
位相遅延を示す。ここで、図58に示すような構成のオ
ールパスフィルタの位相遅延は一般に周波数の関数とな
るが、(数1)を用いて近似的に表わすことができる。
以上のアドレス発生部5615の動作から、遅延器56
10は遅延時間がFQD*T(T:1サンプリング時
間)の遅延器として作用する。さて、駆動データは加算
器5611を介して遅延器5610に入力される。入力
されたデータはFQD*T時間遅延された後にローパス
フィルタ5614に入力され、高域が遮断された後に帰
還データIfとして再び加算器5611に入力される。
以上の動作を繰り返すことにより、所望の出力データが
得られる。 なお、図56に示した従来の楽音合成装置
はギターのような楽器の発音構造をシミュレートしたも
のである。ギターの弦に対応する回路が遅延部5630
であり、弦をはじく時に弦に与えられる初期駆動波形が
駆動データに対応する。実際のギターにおいて、初期駆
動波形は弦に入力された後、弦中を伝搬し弦を支持した
ブリッジやナット等で反射することにより、弦中をエン
ドレスに往復することになる。この往復動作中、弦の支
持点においてはおもに低域成分が反射する。これをロー
パスフィルタ5614で実現している。実際、ギターの
音は、弦中を伝搬する振動が弦を支持したブリッジとよ
ばれる部分から共鳴器(胴)を伝わり、空気中へ放射さ
れることから発生するが、図56に示す従来の楽音合成
装置においては、共鳴器(胴)は無視してシミュレート
している。以上の動作により、実際のギターによく似た
合成音を得ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うな構成では、駆動部がメモリに記憶した駆動データを
一方的に遅延部に与える構成のため、例えばバイオリン
のように弓と弦との摩擦動作といった駆動部と遅延部の
相互干渉動作、言い替えれば遅延部から帰還されたデー
タに基づき駆動部が次の駆動データを決定するといった
動作が実現できない。従って、弓(駆動部)と弦(遅延
部)が摩擦動作(干渉動作)するバイオリン等の持続系
の楽器音が合成できないという問題点を有していた。
【0011】本発明は上記問題点に鑑み、バイオリン等
の持続系の楽器音も合成することのできる楽音合成装置
を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明の楽音合成装置は、入力されたデータを発生
する入力データ発生手段と、入力データを所定時間遅延
させる遅延器と加算器の対応する入出力端子をループ状
に接続した遅延手段と、前記入力データ発生手段から入
力された入力データとパラメータ発生手段から入力され
たパラメータと前記遅延手段内の加算器におけるループ
状に接続された方の入力端子上のデータとに基づき第1
の駆動データを算出するフィルタ手段と、前記フィルタ
手段から入力された第1の駆動データと予め記憶された
残差データとの加算を行い、加算結果を第2の駆動デー
タとして前記遅延手段内の加算器におけるループ状に接
続されていない方の入力端子に前記第2の駆動データを
入力する残差データ加算手段と、前記フィルタ手段のフ
ィルタ特性を時間的に変化させるパラメータを発生する
パラメータ発生手段とを備えたものである。
【0013】
【作用】上記した構成により、入力データ発生手段が弦
を弓でこすった時の弓の速さ等に対応した入力データを
フィルタ手段(駆動部)に入力し、弦に対応した遅延手
段内の遅延器が、弦の振動に対応する帰還データをフィ
ルタ手段に帰還入力し、さらにフィルタ手段が入力デー
タと帰還データとパラメータ発生手段が発生するパラメ
ータに基づき、第1の駆動データを算出する。さらに、
残差データ加算手段が前記第1の駆動データと予め記憶
された残差データとを加算し、加算結果を第2の駆動デ
ータとして弦に対応した遅延手段に入力する。この動作
を繰り返し実行することにより、弓と弦との干渉動作が
実現できバイオリンの音が合成できる。なお、トランペ
ットにような管楽器においても、管を遅延手段、演奏者
の唇をフィルタ手段とみなし、同様の動作で管楽器音が
合成できる。
【0014】
【実施例】本発明の楽音合成装置を説明するまえに、発
明の要点である残差データについて概要説明する。残差
データとは、後述するように合成音波形が自然楽器音波
形に最も近くなるように解析的に求められるものであ
り、求められた残差データをメモリに記憶し、合成時に
おいて第1の駆動データに加算することにより合成音を
自然楽器音に近づけることができる。
【0015】以下、本発明の第1の実施例について、図
面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1の実施
例における楽音合成装置の構成を示すブロック図であ
る。図1において、110は弦を弓でこすった時の弓の
速さあるいは管楽器に息を吹き込んだ時の息の速さ等に
対応したデータ(以下、入力データIinとする)を発生
する入力データ発生部、120は第1のフィルタ部、1
21は第1のパラメータ発生部130が入力した第1の
パラメータの中のフィルタ係数a,b,-c,-d,-eによりその
フィルタ特性を決定し、入力データ発生部110から入
力された入力データIinと加算器124から入力された
帰還データEfとに基づき第1の駆動データI0を算出す
るフィルタ、122は第1の遅延部140から入力され
た帰還データIf_Rとパラメータ発生部130が入力し
た第1のパラメータの中の第1の乗算パラメータ(以
下、フィードバックゲインFG_Rとする)との乗算を行う
乗算器、123は第2の遅延部150から入力された帰
還データIf_Lとパラメータ発生部130が入力した第
1のパラメータの中の第2の乗算パラメータ(以下、フ
ィードバックゲインFG_Lとする)との乗算を行う乗算
器、124は乗算器122の出力Ef_Rと乗算器123
の出力Ef_Lとの加算を行う加算器である。
【0016】130は第1のフィルタ手段120の中の
フィルタ121のフィルタ係数とフィードバックゲイン
FG_R,FG_Lを発生する第1のパラメータ発生手段、14
0は加算器141と遅延器142と加算器143とから
ループ状に構成される第1の遅延部、141は加算器1
91から入力された第2の駆動データI0'と加算器14
3から入力された帰還データIf_Rとの加算を行う加算
器、142は加算器141の加算結果をシステム制御部
180が指示する時間τRだけ遅延させる遅延器、14
3は遅延器142から入力されたデータと乗算器167
から入力されたデータとの加算を行う加算器、150は
加算器151と遅延器152と加算器153とからルー
プ状に構成される第2の遅延部、151は加算器191
から入力された第2の駆動データI0'と加算器153か
ら入力された帰還データIf_Lとの加算を行う加算器、
152は加算器151の加算結果をシステム制御部18
0が指示する時間τLだけ遅延させる遅延器、153は
遅延器152から入力されたデータと乗算器168から
入力されたデータとの加算を行う加算器である。
【0017】160は乗算器161,162,167,
168と加算器163,166とフィルタ164,16
5とから構成される第2のフィルタ部、161は遅延器
142から入力されたデータと第2のパラメータ発生部
170が入力した第2のパラメータの中の第3の乗算パ
ラメータ(以下、レゾネータゲインRG_R1とする)との
乗算を行う乗算器、162は遅延器152から入力され
たデータと第2のパラメータ発生部170が入力した第
2のパラメータの中の第4の乗算パラメータ(以下、レ
ゾネータゲインRG_L1とする)との乗算を行う乗算器、
163は乗算器161の出力と乗算器162の出力との
加算を行う加算器、164は加算器163の出力の特定
の周波数成分を増幅させるフィルタ、165は加算器1
63の出力の特定の周波数成分を増幅させるフィルタ、
166はフィルタ164から入力されたデータとフィル
タ165から入力されたデータとの加算を行う加算器、
167は加算器166の出力と第2のパラメータ発生部
170が入力した第2のパラメータの中の第5の乗算パ
ラメータ(以下、レゾネータゲインRG_R2とする)との
乗算を行う乗算器、168は加算器166の出力と第2
のパラメータ発生部170が入力した第2のパラメータ
の中の第6の乗算パラメータ(以下、レゾネータゲイン
RG_L2とする)との乗算を行う乗算器である。
【0018】170は鍵盤等の入力装置のパネル操作等
により入力された第2のフィルタ部の特性を決定するデ
ータL1,R1,C1,L2,R2,C2に基づきフィルタ164
とフィルタ165のフィルタ係数とレゾネータゲインRG
_R1,RG_L1,RG_R2,RG_L2を発生する第2のパラメータ発
生手段、180は鍵盤等の入力装置から入力された発音
開始データKONと音程を指示するデータNOTEと例
えばバイオリンの音を合成する場合こすった弦の位置を
表わす駆動位置データPOINTに基づき、入力データ
発生部110に発音開始フラグSTFと発音終了フラグ
ENFとを入力し、第1のパラメータ発生部130に発
音開始フラグSTFと周波数データFQDとを入力し、
遅延器142,152を構成するメモリとオールパスフ
ィルタそれぞれにアドレスとフィルタ係数を入力するこ
とにより遅延器142,152の遅延時間τR,τLを指
示し、さらに加算器やカウンタ等の各ブロックを構成す
る回路素子の動作を制御する制御信号を発生するシステ
ム制御部、190は残差データ加算部、191はフィル
タ121から入力された第1の駆動データI0と残差デ
ータ発生部192から入力された残差データ△Iとの加
算を行う加算器、192は予め記憶された残差データ△
Iを読み出す残差データ発生部である。なお、遅延器1
42,152は従来例に示す楽音合成装置のようにメモ
リとオールパスフィルタとを直列に接続した回路で構成
できる。また、メモリの代わりにシフトレジスタを用い
てもよい。
【0019】図2は入力データ発生部110の内部構成
を示す回路図である。図2において、211は入力デー
タIinを記憶したメモリ、212はシステム制御部18
0から入力された発音開始フラグSTFによりリセット
され、その後1サンプリング時間Tの時間間隔でメモリ
211のアドレスを1ずつインクリメントするカウン
タ、213はメモリ211のアドレスが予め設定された
ループエンドデータLPEDに等しくなった時に比較一
致フラグをカウンタ212のプリセット入力端子PRに
入力し、予め設定されたループスタートデータLPSD
をカウンタ212にプリセットする比較器である。な
お、残差データ発生部192も図2に示すような簡単な
回路で構成できるので、ここでは残差データ発生部19
2の回路構成についてはあらためて記載しない。
【0020】図3は入力データ発生部110の内部構成
を示すを示す回路図である。図3において、311はシ
ステム制御部180から入力された発音開始フラグST
Fで出力端子Qを値「1」にセットし、発音終了フラグ
ENFで出力端子Qを値「0」にリセットするRSフリ
ップフロップである。
【0021】図4はフィルタ121の内部構成を示す回
路図である。図4において、411は入力データ発生部
110が入力した入力データIinを1サンプリング時間
Tだけ遅延させる遅延器、412は遅延器411から入
力されたデータと第1のパラメータ発生部130が入力
した第1のパラメータの中のフィルタ係数aとの乗算を
行う乗算器、413は加算器124から入力された帰還
データEfと第1のパラメータ発生部130が入力した
第1のパラメータの中のフィルタ係数−eとの乗算を行
う乗算器、414は乗算器413の出力を1サンプリン
グ時間Tだけ遅延させる遅延器、415は遅延器414
から入力されたデータと第1のパラメータ発生部130
が入力した第1のパラメータの中のフィルタ係数−dと
の乗算を行う乗算器、416は乗算器415の出力と乗
算器413の出力との加算を行う加算器、417は乗算
器412の出力と乗算器418の出力と加算器416の
出力との加算を行う加算器、418は遅延器422から
入力されたデータと第1のパラメータ発生部130が入
力した第1のパラメータの中のフィルタ係数−cとの乗
算を行う乗算器、419は加算器417の出力と乗算器
421の出力との加算を行う加算器、420は加算器4
19の出力を1サンプリング時間Tだけ遅延させる遅延
器、421は遅延器420から入力されたデータと第1
のパラメータ発生部130が入力した第1のパラメータ
の中のフィルタ係数bとの乗算を行う乗算器、422は
遅延器420から入力されたデータを1サンプリング時
間Tだけ遅延させる遅延器、423は乗算器413から
入力されたデータと値「-1/2」との乗算を行う乗算器、
424は乗算器423の出力と加算器419の出力との
加算を行い、加算結果を駆動データI0として遅延部1
40,150に送出する加算器である。
【0022】図5は第1のパラメータ発生部130の内
部構成を示す回路図である。図5において、511は5
種類のフィルタ係数列a[n],b[n],-c[n],-d[n],-e[n]を
記憶したメモリ、521は同じく5種類のフィルタ係数
列a'[n],b'[n],-c'[n],-d'[n],-e'[n]を記憶したメモ
リ、531はシステム制御部180から入力された周波
数データFQDの整数部分であるint(FQD)とメモリ51
1,512のアドレスとの加算を行う加算器、532は
加算器531の出力と値「1」または「0」との加算を
行う加算器、533はシステム制御部180から入力さ
れた発音開始フラグSTFによりリセットされその後加
算器532の加算結果をメモリ511,521のアドレ
スとして送出するゲート、540は第1の補間演算部、
541はメモリ511から読み出されたフィルタ係数a
[n],a[n+1]とメモリ521から読み出されたフィルタ
係数a'[n],a'[n+1]のどちらかを選択するセレクタ、5
42はフィルタ係数a[n]あるいはa'[n]をラッチするラ
ッチ、543はフィルタ係数a[n+1]あるいはa'[n+1]を
ラッチするラッチ、544はフィルタ係数a[n]あるいは
a'[n]と減算器581における減算結果1-frac(FQD)との
乗算を行う乗算器、545はフィルタ係数a[n+1]あるい
はa'[n+1]とシステム制御部180から入力された周波
数データの小数部分であるfrac(FQD)との乗算を行う乗
算器、546は乗算器544の出力と乗算器545の出
力との加算を行う加算器、550は第2の補間演算部、
551はメモリ511から読み出されたフィルタ係数a
[n],a[n+1]とメモリ521から読み出されたフィルタ
係数a'[n],a'[n+1]のどちらかを選択するセレクタ、5
52はフィルタ係数a'[n]あるいはa[n]をラッチするラ
ッチ、553はフィルタ係数a'[n+1]あるいはa[n+1]を
ラッチするラッチ、554はフィルタ係数a'[n]あるい
はa[n]と減算器581における減算結果1-frac(FQD)と
の乗算を行う乗算器、555はフィルタ係数a'[n+1]あ
るいはa[n+1]とシステム制御部180から入力された周
波数データの小数部分であるfrac(FQD)との乗算を行う
乗算器、556は乗算器554の出力と乗算器555の
出力との加算を行う加算器、560は第3の補間演算
部、561は加算器546の出力と減算器572から入
力されるデータ1-tとの乗算を行う乗算器、562は加
算器556の出力とカウンタ571から入力されるデー
タtとの乗算を行う乗算器、563は乗算器561の出
力と乗算器562の出力との加算を行う加算器、571
はシステム制御部180から入力される発音開始フラグ
STFによりリセットされその後1サンプリング時間T
の時間間隔でインクリメントを行うカウンタ、572は
値「1」からカウンタ571がカウントするデータtと
の減算を行う減算器、573は減算器572における減
算結果1-tと値「0」との比較を行い、比較一致した時
に比較一致フラグを出力する比較器、574はシステム
制御部180から入力された発音開始フラグSTFによ
りリセットされ、その後比較器573から比較一致フラ
グが入力される毎に出力信号であるセレクトフラグを値
「1」もしくは「0」に切り替えるTフリップフロッ
プ、581はシステム制御部180から入力された周波
数データFQDの小数部分であるfrac(FQD)を値「1」から
減算する減算器である。 図6はフィルタ164,16
5の内部構成を示す回路図である。図6に示すフィルタ
164,165の回路構成は、図4に示すフィルタ12
1の回路構成に対して遅延器411と乗算器412を除
いたものであり、その他の回路は図4と同じ接続関係で
構成されている。また、乗算器613,615,61
8,621に供給されるフィルタ係数e1,-d1,-c1,b1ま
たはフィルタ係数e2,-d2,-c2,b2は第2のパラメータ発
生部170により入力されるものである。フィルタ16
4にはフィルタ係数e1,-d1,-c1,b1が、フィルタ165
にはフィルタ係数e2,-d2,-c2,b2が入力される。
【0023】図7はシステム制御部180の内部構成を
示す回路図である。図7において、711は(表2)に
示すテーブルをもち、第1のパラメータ発生部に周波数
データFQDを入力するテーブル部である。
【0024】
【表2】
【0025】712はテーブル部711から読み出され
た周波数データのFQDと駆動位置データPOINTと
の乗算を行う乗算器,713はテーブル部711から読
み出された周波数データFQDと減算器における減算結
果1−POINTとの乗算を行う乗算器、714は値
「1」から駆動位置データPOINTを減算する減算
器、715はカウンタ719のカウントデータと乗算器
712の出力の整数部分のデータDRとの比較を行う比
較器、716はカウンタ720のカウントデータと乗算
器713の出力の整数部分のデータDLとの比較を行う
比較器、717は発音開始フラグSTFまたは比較器7
15の比較一致フラグによりカウンタ719をリセット
するORゲート、718は発音開始フラグSTFまたは
比較器716の比較一致フラグによりカウンタ720を
リセットするORゲート、719は値「0」〜「DR−
1」の間を繰り返しカウントするカウンタ、720は値
「0」〜「DL−1」の間を繰り返しカウントするカウ
ンタ、721は発音開始データKONの立ち上がりを検
出しパルス(発音開始フラグSTF)を発生するととも
に発音開始データKONの立ち下がりを検出しパルス
(発音終了フラグENF)を発生するワンショット回
路、722は乗算器712,713の出力の小数部分の
データPR,PLをそれぞれ遅延器142,152のオー
ルパスフィルタのフィルタ係数faR,faLに変換する変換
器である。なお、駆動位置データPOINTは0≦PO
INT<1を満足するデータであるとする。また、テー
ブル部711はメモリと読み出し回路で簡単に構成でき
るので中身の説明は省略する。カウンタ719,720
がカウントするデータはそれぞれ遅延器142,152
のメモリのアドレスを指示するものである。また、PR
とfaRの関係やPLとfaLの関係は数18で示したPとfa
の関係と同じである。また、フィードバックゲインFG_
R,FG_Lはテーブル部711に記憶されたものを読み出
すことによって発生してもよいし、直接鍵盤等の入力装
置等から設定するようにしてもよい。
【0026】第2のパラメータ発生部170は、後で説
明する(数10)の中のb,c,d,eを算出する機能を有す
る。b,c,d,eの算出にはさほどリアルタイム性は要求さ
れないので、マイクロコンピュータで実施した。レゾネ
ータゲインRG_R1,RG_L1,RG_R2,RG_L2はマイクロコンピ
ュータ中のメモリに記憶させこれを読み出すことにより
発生させてもよいし、鍵盤等の入力装置から直接入力し
てもよい。
【0027】図8〜図38はアコースティック楽器の物
理構造やそのアナログ等価回路を示した図である。図8
〜図38を用いた説明を行うまえに、今後の説明に用い
る物理量について述べる。
【0028】一般的に、音響工学において楽器やスピー
カ等の物理構造や物理的な振舞いを調べる場合、質点や
バネに置き換えた機械系モデル、音響的な動作に置き換
えた音響系モデル、あるいはLRC等のアナログ電気回
路に置き換えた電気系モデルを使用する。今後、電気系
モデルにおける物理量(例えば電流Iや電圧E)に統一
して説明するため、まず機械系モデルと音響系モデルと
電気系モデルにおける物理量の対応づけを行う。(表
3)に各モデルにおける物理量の関係を示す。
【0029】
【表3】
【0030】但し、Aは円筒管の断面積、ρは空気密
度、cは音速を表す。図8〜図38において、例えば質
点の質量はインタ゛クタンスLとして表記する。
【0031】図8はバイオリンやギター等の弦楽器の弦
を質点とバネを用いて集中定数的に表した弦の機械系モ
デルである。図8において、弦はA点とC点において質
量無限大(弦からみたインピーダンスが無限大)の剛体
で支持されているものとする。すなわち、A点とC点は
動かないものとする。実際はバイオリンの胴のように弦
からみたインピーダンスが有限なもので終端しているの
で、終端部分でも若干の振動を生じる。胴で終端した例
は後で説明する。さてB点において、弓で擦る、指では
じくあるいはハンマでたたくと、B点の質点に力Eが作
用する。なお、図8に示す機械系モデルにおける左右方
向を振動の方向として説明する。力Eにより、B点の質
点は力Eが作用した方向に速度I0で動く。このためB
点の右側に接続されたバネは縮み、左側に接続されたバ
ネは伸びる。そして、これらのバネの復元力により次の
質点が動き出す。このようにしてB点での動きは次第に
A,C点方向に伝搬していき、A,C点におけるインピ
ーダンスの不整合により反射及び透過する。但し、この
場合はA,C点は質量無限大の剛体で終端しているので
すべて反射される。これを繰り返し行うことにより弦の
振動が生じる。
【0032】図9は図8に示す弦の機械系モデルを電気
系に置換した弦のアナログ等価回路である。なお、力E
はまだ作用していないものとする。図9において、91
1は図8のB点の質点に対応するコイル、912は図8
のB点の質点からみて左側の弦に対応する負荷、913
は図8のB点の質点からみて右側の弦に対応する負荷、
914は図8のB点の質点のすぐ左側にあるバネに対応
するコンデンサ、915は図8のB点の質点のすぐ右側
にあるバネに対応するコンデンサである。なお、A,C
点は弦からみたインピーダンスが無限大であるとしたの
で終端はオープンとなる。
【0033】図10は図8に示す弦の機械系モデルにお
いて、例えば弓のような、弦からみてさほどインピーダ
ンスが大きくないものでB点を駆動した場合のアナログ
等価回路である。図10において、1011は力Eに対
応する電圧源である。コイル911,負荷素子912,
913は図9と同じものである。なお、電圧源1011
の印加電圧Eにより負荷素子912,913にはそれぞ
れ逆起電力Ef_L,Ef_Rが生じる。
【0034】図11は図8に示す弦の機械系モデルにお
いて、例えば指のような、弦からみてインピーダンスが
非常に大きいものでB点を駆動した場合の等価回路あ
る。図11において、1111は弦を駆動する例えば指
に対応する電流源である。なお、指は弦からみたインピ
ーダンスが無限大であると仮定したため、指を電流源と
みなすことができる。コイル911,負荷素子912,
913は図9と同じものである。なお、電流源1111
の印加電流Iinにより負荷素子912,513にはそれ
ぞれ逆起電力Ef_L,Ef_Rが生じる。
【0035】図12はバイオリン等の弦を擦るタイプの
楽器において弓と弦との接触状態を表す状態図である。
図12において、弓は右方向に速度Iinでひっぱられて
いるものとする。
【0036】図13は図12における弓と弦との接触点
(破線で囲った部分で以下駆動部分とする)を集中定数
的に表した機械系モデルである。図13において、13
11は弓の毛の重心の質量に対応した質点(質量:L
1)、1312は弓が接触している部分の弦(図8のB
点の質点と考える)に対応した質点、1313は弓の毛
の弾性に対応したバネ、1314は図8のB点のすぐ左
側のバネに対応したバネ、1315は図8のB点のすぐ
右側のバネに対応したバネである。バネ1313の右端
は速度Iinでひっぱられる。質点1312は弓からの摩
擦力Efracが作用し、バネ1314,1315からそれ
ぞれ復元力Ef_L,Ef_Rが作用している。このEf_L,E
f_Rは、図10における負荷素子912,913の逆起
電力と同じものである。また、質点1311も質点13
12から反作用として摩擦力Efracでひっぱられる。こ
れらの力により、質点1311,1312はそれぞれ速
度Ibow,I0で動く。一般に、Ibow=I0の場合は弓と
弦とがひっついて動くスティックモードと呼ばれ、Ibo
w≠I0の場合は弓と弦がスリップした状態で動くスリッ
プモードと呼ばれる。
【0037】図14はスティックモードの場合の図13
のアナログ等価回路である。弦と弓とは一緒に動くので
一つの電気回路で記述できる。図14において、141
1は図13の質点1311に対応するコイル、1412
は図13の質点1312に対応するコイル、1413は
図13のバネ1313に対応するコンデンサ、1414
は質点1312の両側に接続された弦に対応する負荷素
子、1415は弓をひっぱる速度に対応する電流Iinを
供給する電流源である。なお、負荷素子に生じる逆起電
力EfはEf_LとEf_Rとを加算したものである。また、
弓をひっぱる演奏者の手は弓からみたインピーダンスが
無限大であると仮定した。この回路により、IinとEf
とからI0を求めることができる。
【0038】図15はスリップモードの場合の図13の
アナログ等価回路である。弦と弓とは独立に動くので2
つの電気回路で記述されなければならない。図15
(A)が弓に対応する回路で、図15(B)が弓が接触
した部分の弦(図8のB点)に対応する回路である。図
15において、1511は図13の質点1311に作用
する摩擦力Efracに対応する電圧源、1512は図13
の質点1312に作用する摩擦力Efracに対応する電圧
源である。なお、電圧源1511,1512が発生する
電圧は弓と弦との間の動摩擦力に対応し、μdNと記述
する。μdは動摩擦係数で、Nは弓と弦との垂直方向
(図13における上下方向)の抗力である。
【0039】図16はスリップモードとスティックモー
ドの遷移状態を表わすヒステリシスカーブである。図1
6において、横軸はEc+Ef、すなわち摩擦力Efracを
除いた質点1311,1312にかかる外力の総和であ
る。縦軸はモードを識別する軸であり、上から右スリッ
プモード、スティックモード、左スリップモードであ
る。右スリップモードとは図13において、質点131
1が質点1312に対して右方向にすべるモードであ
る。左スリップモードとは図13において、質点131
1が質点1312に対して左方向にすべるモードであ
る。さて、弓が弦を右方向にこすりはじめた瞬間は図1
6の原点に位置する。その後スティックモードのまま右
の方向に移動し、Ec+Efが静止摩擦力μsNに達した
時点で右スリップモードに遷移する。右スリップモード
からの遷移は、質点1311,1312の相対速度Ibo
w−I0が値0以下になった時点でおこる。このような遷
移条件は図16の下にまとめて記載している。図14,
15に示す回路と図16に示す条件により、IinとEf
とから一意的にI0を求めることができる。
【0040】図17はトランペット等の管楽器におい
て、演奏者が息を吹き込んだ時の状態を表す状態図(音
響系モデル)である。図17において、演奏者の肺から
体積流速度Iinの空気流が口内の空洞に流れ込む。この
ため口内の空洞には音圧Ecが発生する。音圧Ecにより
唇の空隙を介して体積流速度I0の空気流がマウスピー
スに流れ込む。このため、マウスピース内には音圧Ef
が発生する。Efにより生じた体積流速度I1の空気流は
管を伝搬し、最終的に管の開口部分から体積流速度Iou
tの空気流が出力される。簡単のため管の開口部分から
みた外界はインピーダンスが0と仮定する。図8の機械
系モデルでいえば終端に質量0の質点が接続されている
のと同じ状態である。従って、管の開口部分に到達した
振動(体積流速度や音圧)はすべて反射するものと考え
る。実際は外界のインピーダンスは0でなく管の形状特
有の放射特性を有するインピーダンスをもつが、ここで
はインピーダンス0として説明する。演奏者の唇は口内
の空洞に発生した音圧Ecにより開かれ、管の開口部か
ら反射してきた音圧とI0によって生じた音圧の和であ
る音圧Efにより閉じられる。この動作を繰り返すこと
により、Ioutが周期的に振動し、音が発生する。
【0041】図18はトランペット等の管楽器と演奏者
によって構成される音響空間をコイルとコンデンサと電
流源を用いて集中定数的に表した管楽器のアナログ等価
回路である。図18において、1811は演奏者の唇の
空隙の音響インタ゛クタンスに対応するインタ゛クタンス値を有する可変
コイル、1812は演奏者の唇の空隙の音響レシ゛スタンスに
対応する抵抗値を有する可変抵抗、1813は演奏者の
口内の空洞の音響キャハ゜シタンスに対応するキャハ゜シタンス値を有す
るコンデンサ、1814はマウスピースの音響キャハ゜シタンス
に対応するキャハ゜シタンス値を有するコンデンサ、1815は
肺に対応する電流源である。ここで、演奏者の口内の空
洞からみた肺のインピーダンスは無限大であると仮定し
た。1816はマウスピースを含めた管(負荷とみな
す)に対応する電気回路である。管の断面積が等しい場
合(円筒管)は各コイルのインタ゛クタンスと各コンデンサのキャ
ハ゜シタンスは等しくなる。ここでは簡単のため円筒管として
考える。管の開口部分に対応する終端は外界のインピー
ダンスを0と仮定したのでショートとなる。なお、クラ
リネットやサックスのような木管楽器も、リードの振動
により、リード部分(図17の唇に相当)を通過する流
速には、時間的に変化する抵抗がかかる。従って、図1
8に示すような電気系モデルで表すことができる。ま
た、図18において、管に相当する負荷1816を除い
た部分を駆動部分とする。
【0042】図19は図18における管楽器のアナログ
等価回路を簡単に表わしたアナログ回路である。図19
において、1911は図18の電気回路1816に対応
する負荷素子である。
【0043】さて、図15,16に示した回路を図19
に示す回路で代用することを考える。モードの遷移によ
りI0は図15の回路によりIinとEfとから算出された
り、図16の回路により算出されたりする。I0を極端
に変化せしめるモード遷移という変化要因を図19に示
す回路の可変コイル1811と可変抵抗1812の可変
量にもたせればよいというのが、図19に示す回路で代
用してもよいと考えた根拠である。トランペットの場合
は、唇の空隙部分の抵抗等の物理量を実験的に測定し得
るものであると考えるが、バイオリンの場合は弓と弦の
接触部分の電気系モデルを図19にしめす回路で代用す
ると実測することは不可能である。しかし、実際のアコ
ースティック楽器音から可変コイル1811と可変抵抗
1812の可変量を推定する方法を確立することができ
れば、解析的に求めることは可能である。この推定方法
は後で説明する。
【0044】さて、図19に示すアナログ回路をディジ
タル回路化する。まず、負荷素子1911を単なる電圧
源として扱う。負荷素子1911を電圧源として扱った
回路は、弦や管を除いた駆動部分の等価回路とみなすこ
とができる。EfはI0と無関係の独立した変数としてみ
る。
【0045】まず、キルヒホッフの第2法則によりs領
域における方程式を(数2)に示す。
【0046】
【数2】
【0047】次にインパルス不変法を用い、(数2)に
示すs領域の方程式を(数3)に示すz領域における方
程式に変換する。
【0048】
【数3】
【0049】ちなみに、(数3)における第3項は時刻
0における連続条件から付随した項である。(数3)に
おいて、L'=L/T,C'=C/Tとして(数3)のTを消去したも
のを(数4)に示す。
【0050】
【数4】
【0051】(数4)において、L',C',α',γ',a',e'
をそれぞれL,C,α,γ,a,eに置きなおした式を(数5)
に示す。
【0052】
【数5】
【0053】(数5)に示す方程式をディジタル回路化
することにより図4に示す回路が導き出せる。さらに、
L,Rの関数であるフィルタ係数a,b,-c,-d,-eを時間的
に制御することにより、図19に示した弦や管の駆動部
分のモデルを図4に示す回路でディジタルシミュレート
できる。なお、L,Cは実際の物理量をTで正規化した量で
あることに注意しなければならない。
【0054】以上図8〜図19による説明から、弦や管
の駆動部分のディジタル回路が明確になった。次に図2
0〜図38により、弦(図9の負荷912,913)や
管(図18の負荷1816)のディジタル回路化につい
て説明する。
【0055】一般的に音声合成等の分野において、無損
失の音響管や無損失の伝送線路等は梯子型のディジタル
フィルタでシミュレートできることが知られている。図
9の負荷912,913や図18の負荷1816を前述
したような方程式を解く方法によりシミュレートした場
合、膨大な回路規模になることが予測される。そこで本
発明の楽音合成装置においても、梯子型のディジタルフ
ィルタに置き換える方法を用いた。
【0056】図20は、図9の負荷912,913や図
18の負荷1816の終端を除いた部分のアナログ等価
回路である。なお、無損失と仮定した。図20におい
て、簡単のため、各コイルは同じインダクタンス値を有
し、また各コンデンサは同じキャパシタンス値を有する
ものとする。管楽器の場合、管が円筒管であると仮定し
たことになる。
【0057】図21は、図20の電気系モデルと等価な
ディジタル回路である。図21のディジタル回路は、遅
延時間がτである遅延素子が直列に接続されたものであ
る。図20において、各コイルは同じインダクタンス値
を有し、また各コンデンサは同じキャパシタンス値を有
するものとしたため、各遅延素子間には梯子型の乗加算
器は存在しない。ここで、梯子型のディジタルフィルタ
に置き換える方法においては、新たに進行電流I+,後
退電流I-という概念を導入する。進行電流I+,後退電
流I-と、電気回路理論でいういわゆる電流や電圧との
関係を(数6)と(数7)に示す。
【0058】
【数6】
【0059】
【数7】
【0060】次に、図22〜図30により、弦楽器の胴
すなわち共鳴部分の説明と、図21に示す弦や管といっ
た電流や電圧伝搬部分の回路と、共鳴部分との結合につ
いて説明する。
【0061】図22は、バイオリンやギターのような弦
楽器における弦と胴(以後、共鳴器とする)の接続を表
した機械系モデルである。図22において、弦の振動に
より、弦が接続された共鳴器の面が破線のように振動す
る。すなわち、弦からみた共鳴器のインピーダンスは無
限大ではないと考える。
【0062】図23は、図22に示す機械系モデルのア
ナログ等価回路である。図23において、2311は共
鳴器に対応する負荷素子である。弦の振動により胴に力
Eが作用し胴と弦が接続された部分が同じ速度Iで動く
ことを仮定している。すなわち、振動中に弦と胴は離れ
ることはないと考える。
【0063】図24は、弦の終端条件を説明する第1の
図である。図24において、2411は入力されたデー
タを所定時間遅延させる遅延器、2412は入力された
データを所定時間遅延させる遅延器、2413はI+
-とを任意の伝達特性G(z)で関係づける変換素子
である。すなわち、弦に対応する部分を図21に示す回
路で表し、終端部分では進行電流I+の一部が反射する
ことによりI-が発生すると考えられることから(数
8)のようにI+とI-を関係づけることができる。
【0064】
【数8】
【0065】図25は、弦の終端条件を説明する第2の
図である。図25において、2511は値1とG(z)
とを加算した特性をもつ変換素子、2512は変換素子
2511の出力値と(数7)における定数Kとの乗算を
行う乗算器、2513は図23の負荷素子2311に対
応する変換素子である。(数7)と(数8)とからI
を消去することにより、EはI+と変換素子2511と
乗算器2512で算出できる。
【0066】図26は、弦の終端条件を説明する第3の
図である。図26において、2611は変換素子241
3の出力値からIを減算する減算器である。図22にお
いて、弦が接している面が速度Iで動くことにより反射
してもどる成分I-は弱められると考え、減算器261
1でIとI-の関係づけられると仮定した。
【0067】図27は、弦の終端条件を説明する第4の
図である。図27において、2711はI+と(数7)
における定数Kの倍数2Kとの乗算を行う乗算器、27
12はI+からIを減算する減算器である。(数6)か
ら任意の伝達特性G(z)は1でなければならない。従
って、図26の変換素子2611と乗算器2612は2
Kを乗算する乗算器でまとめることができる。
【0068】図28は、図23の負荷素子2311の電
気系モデルである。図28において、2811,281
2,2813はそれぞれ固有のしかもただ一つの共振モ
ードをもつ共鳴素子である。図22に示した共鳴器
(胴)における共鳴は複数の振動モードをもつ。この複
数の振動は互いに重畳しあう、すなわち、それぞれの振
動速度は重ねあわせがなりたち、共鳴器全体の振動速度
は各振動モードにおける振動速度の和で表せると仮定し
た。従って、図28に示すように共鳴器は、各共鳴素子
を並列型に接続した構成になる。
【0069】図29は、共鳴素子2811,2812,
2813のアナログ回路である。ただ一つの共振モード
しかもたないと仮定しているので、ひとつのコイルとコ
ンデンサから構成される。また、楽器の共鳴器(胴)の
タッピングテストでは時間的に振動が減衰することが認
められているので抵抗も加えた。
【0070】図30は、図23の負荷素子2311に対
応するディジタル回路である。図30において、301
1,3012,3013は図29のアナログ回路に対応
したディジタルフィルタ、3014はディジタルフィル
タ3011,3012,3013の各出力データの総和
をとる加算器である。
【0071】さて、図29に示すアナログ回路をディジ
タル回路化する。駆動部分をディジタル回路化した場合
と同様の方法で、s領域における方程式を(数9)に、
z領域における方程式を(数10)に示す。なお、便宜
的に図29に示す電流InをIとした。
【0072】
【数9】
【0073】
【数10】
【0074】(数10)に示す方程式をディジタル回路
化することにより図6に示す回路が導き出せる。L,C
の制御、すなわち、フィルタ係数b,-c,-d,eの制御によ
り共鳴周波数を変化させることができる。なお、L,C
は実際の物理量をTで正規化した量であることに注意し
なければならない。
【0075】最後に、図31〜図34により図21に示
す弦や管といった電流や電圧の伝搬部分の回路と、図4
に示す駆動部分との結合について説明する。
【0076】図31は、弦の終端条件(駆動部分側)を
説明する第1の図である。図31において、3111は
入力されたデータを所定時間遅延させる遅延器、311
2は入力されたデータを所定時間遅延させる遅延器、3
113はI+とI-とを任意の伝達特性G(z)で関係づ
ける変換素子である。すなわち、弦に対応する部分を図
21に示す回路で表し、終端部分では進行電流I+の一
部が反射することによりI-が発生すると考えられるこ
とから(数8)でI+とI-の関係づけを行った。 図3
2は、弦の終端条件を説明する第2の図である。図32
において、3211は値1とG(z)を加算した特性を
もつ変換素子、3212は変換素子3211の出力値と
(数7)における定数Kとの乗算を行う乗算器である。
(数7)と(数8)とからIを消去することにより、
EはI+と変換素子3211と乗算器3212で算出で
きる。
【0077】図33は、弦の終端条件を説明する第3の
図である。図33において、3311は変換素子311
3の出力値とI0との加算を行う加算器である。
【0078】図34は、弦の終端条件を説明する第4の
図である。図34において、3411はI+と(数7)
における定数Kの倍数2Kとの乗算を行う乗算器、34
12はI+とI0との加算を行う加算器である。(数6)
から任意の伝達特性G(z)は1でなければならない。
従って、図33の変換素子3211と乗算器3212は
2Kを乗算する乗算器でまとめることができる。
【0079】以上図8〜図34までの説明から、図35
〜図38に示す回路が構成できる。図35は本発明の第
2の実施例における楽音合成装置を示す回路図である。
但し、入力データ発生部110やシステム制御部180
等の回路ブロックは図1に示す第1の実施例における楽
音合成装置と同様のもであるとし省略している。図35
において、3511は弓と弦との接触部分や、演奏者と
管との接合部分等の駆動部分に対応する回路ブロック、
3512は弦や管等の振動を伝搬させる部分に対応する
回路ブロック、3513は共鳴器に対応する回路ブロッ
ク、3514は遅延器2411,3111と等価な遅延
器、3515は遅延器2412,3112と等価な遅延
器、その他の回路はそれぞれ図1に示す第1の実施例に
おける本発明の楽音合成装置のものと等価である。さ
て、バイオリンを例にとり説明すると、図35の回路
は、弦に対応する回路ブロック3512は駆動部分に対
応する回路ブロック3511と共鳴器に対応する回路ブ
ロック3513で終端されている状態を表す。実際は駆
動部分は弦の途中に位置し弦を2分しているので、回路
ブロック3512が2つ存在必要になる。これを表した
のが図36の回路である。
【0080】図36は本発明の第3の実施例における楽
音合成装置を示す回路図である。但し、入力データ発生
部110やシステム制御部180等の回路ブロックは図
1に示す第1の実施例における楽音合成装置と同様のも
であるとし省略している。図36において、140,3
610は回路ブロック3512を修正した回路ブロッ
ク、共鳴器に対応する回路ブロック3513は図35の
ものと等価、その他の回路ブロック及び回路ブロック内
の回路は図1に示す第1の実施例における楽音合成装置
のものと等価である。ここで、回路ブロック140は図
8に示す弦においてBC間に対応する回路ブロックで共
鳴器に接続されているものとする。また、回路ブロック
3610は図8に示す弦においてAB間に対応する回路
ブロックであり、共鳴器には接続されていないものとす
る。バイオリンにおいても片方の終端のみが共鳴器
(胴)に接続されている。また、図9〜図11の負荷素
子911,912を図14の負荷素子1414のように
直列に接続した。これは電圧値レベルで重ねあわせがな
りたつため、駆動部分に相当する回路ブロック120と
弦に相当する回路ブロック140、3610は図36に
示すような接続形態となる。また、図35の回路ブロッ
ク3512のように遅延器3514,3515の2つの
遅延器から構成されるループを、回路ブロック140,
3610のように1つの遅延器から構成されるループに
置き換えても所望の楽音出力である出力Ioutのスペク
トル構造には影響を与えない。発音タイミング、すなわ
ち、Ioutの位相が数十μSec〜数mSecのオーダーで異な
るだけである。また遅延器142は加算器143の出力
端子と加算器141のループ状に接続された方の入力端
子の間に挿入してもよい。同様に、遅延器152は加算
器153の出力端子と加算器151のループ状に接続さ
れた方の入力端子の間に挿入してもよい。また、共鳴器
に対応する回路ブロック3513は、弦楽器を例にあげ
て説明してきたが、管楽器の場合は、図22に示す共鳴
器(胴)の代わりに弦を構成する各質点と同じ質量の質
点が接続されていると考えられる。すなわち、管からみ
た外界のインピーダンスが0となる。この場合、図9に
示す弦のアナログ等価回路の終端(C点)がショートす
るので、終端電圧Eは「0」となり、(数7)よりI+=
-I-となる。すなわち、図24の変換素子2413が反
転器になる。フィルタ164,165に入力されるフィ
ルタ係数b,-c,-d,eをそれぞれ0,0,0,1とすることにより
フィルタ164,165をスルーにすることができ、さ
らに乗算器161に入力されるレゾネータゲインRG_R1
を2、乗算器163に入力されるレゾネータゲインRG_R2
を-1に設定することにより、回路ブロック3513は前
述したような反転器と同じ動作をする。なお実際、管の
開口部分はその形状特有放射特性をもつ負荷が接続され
ていると考えられる。例えば、共鳴器に対応する回路ブ
ロック3513の後段にハイパスフィルタを接続するこ
とにより管の開口部の放射特性をある程度近似すること
ができる。
【0081】図37は本発明の第4の実施例における楽
音合成装置を示す回路図である。但し、入力データ発生
部110やシステム制御部180等の回路ブロックは図
1に示す第1の実施例における楽音合成装置と同様のも
であるとし省略している。図37の各回路は図1に示す
第1の実施例における楽音合成装置と残差データ加算部
190を除けば等価なものである。弦や管に対応する回
路ブロックを複数同一の共鳴器に接続することにより、
例えば複数の弦が同じ共鳴器(胴)に接続された場合を
シミュレートすることができる。但し、バイオリンには
られた複数の弦のにおいて、それぞれ異なる形態、例え
ばある弦は弓でこすり、ある弦は指ではじくといった駆
動を行った場合は、駆動部分に相当する回路ブロック1
20を共通にするのではなく、独立に複数用いるか、同
一の回路で時分割処理により実現することができる。時
分割処理は図1のシステム制御部180の制御信号を用
いて実現できる。
【0082】図38は本発明の第5の実施例における楽
音合成装置を示す回路図である。但し、入力データ発生
部110やシステム制御部180等の回路ブロックは図
1に示す第1の実施例における楽音合成装置と同様のも
であるとし省略している。図38において、フィルタ部
120は、図37の回路のフィルタ121のフィルタ係
数a,b,-c,-d,-eを値1,0,0,0,1に設定し、さらに乗算器
122,123の乗算パラメータFG_R,FG_Lをともに値
1に設定した場合の回路であり、図11に示す弦を指な
どではじいた場合の駆動部分の電気系モデルをディジタ
ル回路化したブロックとなる。図38において、381
1は加算器124から入力されたデータを反転させる反
転器、3812は入力データIinと反転器3811から
入力されたデータとの加算を行う加算器、その他の回路
は図1に示す第1の実施例における楽音合成装置と等価
なものである。加算器124の加算結果であるIfは左
右の弦から反射してもどってきた速度、すなわち図11
に点線でしめした電流Ifに相当する。なお、速度や電
流の符号は弓や指や吹き込み息が作用した方向(図11
等では右側)を正の向きにとっている。また、進行速度
や進行電流I+は弓や指や吹き込み息が作用した方向を
正の方向、後退速度や後退電流I+は弓や指や吹き込み
息が作用した方向とは逆の方向を正の方向としている。
すなわち、図11においてIfは左向きに流れる。従っ
て、IinとI0とIfの関係は(数11)で与えられる。
【0083】
【数11】
【0084】回路ブロック120は(数11)の関係を
回路化したものともいえる。I0は加算器141におい
てIf_Rと加算され、加算器151においてIf_Lと加算
される。従って、遅延器142に入力されるデータはI
in-If_L、遅延器152に入力されるデータはIin-If
_Rとなる。If_R,If_Lの符号が反転しているのは、前
述したように、一般に進行電流I+は指等が作用した方
向(I0が流れる方向)を正の方向とし、後退電流I-
指等が作用した方向(I0が流れる方向)とは逆の方向
を正の方向に座標をとったためである。フィルタ係数等
のパラメータのみの変更により、ギターのような減衰系
の楽音が合成できる。
【0085】なお、図35から図37の楽音合成装置の
フィルタ121の後段及び図38の楽音合成装置の加算
器3812の後段に、図1の楽音合成装置が有する残差
データ加算部190を挿入してもよい。
【0086】以上のように構成された本発明の楽音合成
装置について、以下その動作について説明する。
【0087】演奏操作により、鍵盤等の入力装置から発
音開始データKON、音程を指示するデータNOTE、
例えば弦楽器の弦の駆動位置に対応するデータPOIN
Tがシステム制御部180に入力される。システム制御
部180はKONが入力されたタイミングで入力データ
発生部110と第1のパラメータ発生部130に発音開
始フラグSTFを入力する。また、音程データNOTE
に基づき周波数データFQDを(表2)に示すテーブル
から読み出し第1のパラメータ発生部130に入力す
る。また周波数データFQDと駆動位置データPOIN
Tに基づき遅延器142,152のメモリのアドレスと
オールパスフィルタ係数faR,faLを算出する。ここで、
遅延器142,152の遅延時間τR,τLと周波数デー
タFQDと駆動位置データPOINTとオールパスフィ
ルタ係数faR,faLと遅延器142,152のメモリのア
ドレス空間を指示するデータDR,DLの関係を(数12)
に示す。
【0088】
【数12】
【0089】入力データ発生部110においては、図2
のカウンタ212に発音開始フラグSTFが入力され
る。STFが入力されたタイミングでカウンタ212は
カント値すなわちメモリ211のアドレスをリセット
し、その後インクリメント動作を行うことによりメモリ
211に記憶された入力データIinを読み出す。アドレ
スは比較器213にも入力され、予め設定されたループ
エンドデータLPEDと現在のアドレスとの比較を行
う。ループエンドデータLPEDと現在のアドレスが等
しくなった時点で比較器213は比較一致フラグをカウ
ンタ212のプリセット入力端子に入力する。そして、
予め設定されたループスタートデータLPSDをカウン
タ212がアドレスとしてプリセットし再びインクリメ
ント動作を始める。この動作を繰り返し実行することに
より、メモリ211のアドレス「000h」に記憶され
たデータからループスタートデータLPSDの値に等し
いアドレスに記憶されたデータを一通り読み出し、その
後ループスタートデータLPSDの値に等しいアドレス
に記憶されたデータからループエンドデータLPEDの
値に等しいアドレスに記憶されたデータまでを繰り返し
読み出す。例えばループスタートデータLPSDとルー
プエンドデータLPEDの値がともに「FFFh」で、
予めアドレス「FFFh」に値「0」が記憶されていた
とすれば、メモリ211からはアドレス「000h」か
らアドレス「FFFh」までを一通り読み出し、その後
は読み出しデータを値「0」にすることができる。これ
はギターやピアノのような最初の数十mSecだけ駆動入力
を弦に与え、その後は弦の減衰振動により発音するタイ
プのいわゆる減衰系の楽器音合成の場合の動作である。
また前述した、ループ的に読み出すのは、バイオリンや
トランペットのように音が鳴っている間、弓で弦をこす
るあるいは息を吹き込むといった駆動入力を与えつづけ
るタイプのいわゆる持続系の楽器音合成の場合の動作で
ある。ループスタートデータLPSDやループエンドデ
ータLPEDは予め設定したデータではなく、例えば鍵
盤等の入力装置のパネル操作により外部より指示される
データであってもよい。図3は入力データ発生部110
をメモリを使わずに構成した実施例である。システム制
御部180が入力した発音開始フラグSTFによりRS
フリップフロップ311の出力端子Qが出力する値は
「0」から「1」に切り替わる。また、発音終了フラグ
ENFによりRSフリップフロップ311の出力端子Q
が出力する値は「1」から「0」に切り替わる。この動
作により入力データIinをステップ関数とすることがで
きる。弓で弦をこする速度や管楽器に息を吹き込む速度
は、特殊な演奏方法を除けばおおよそ一定であるので、
ある程度は入力データIinをステップ関数で近似でき
る。ステップの立ち上がり特性をなだらかにするために
は、R(抵抗)とC(コンデンサ)によって構成される
アナログ回路をディジタル回路化した双一次のフィルタ
等を用いればよい。
【0090】さて、入力データ発生部110から読み出
された入力データIinは、第1のフィルタ部120に入
力される。図4に示すフィルタ121は、第1のパラメ
ータ発生部130が入力するフィルタ係数a,b,-c,-d,-e
により、弦と弓との接触部分や演奏者と管との接合部分
等の駆動部分の動作をシミュレートする。遅延部14
0,150から帰還してきたデータIf_R,If_Lはそれ
ぞれ乗算器122,123により例えば弦が、弦と弓と
の接触部分に作用する力に対応するデータEf_R,Ef_L
に変換される。Ef_R,Ef_Lは加算器124で加算され
加算結果Efがフィルタ121に入力される。図4に示
すフィルタ121において、IinとEfとフィルタ係数
a,b,-c,-d,-eと予め設定された乗算器423のパラメー
タ-1/2により、第1の駆動データI0を算出する。フィ
ルタ121の動作は(数5)に示す方程式を解くことに
相当する。第1の駆動データI0は残差データ加算部1
90において残差データ△Iと加算され、加算結果であ
る第2の駆動データI0'が遅延部140,150に入力
される。さて残差データ加算部190内の残差データ発
生部192は前述したように図2に示すような入力デー
タ発生部110と同様の回路で構成できる。すなわち、
予めメモリに記憶された残差データ△Iが予め設定され
たループスタートデータLPSD及びループエンドデー
タLPEDに基づき繰り返し読み出され、加算器191
において第1の駆動データI0と加算され、第2の駆動
データI0'が算出される。遅延部140,150に入力
された第2の駆動データI0'はそれぞれシステム制御部
が算出したディレイ長DR,DLに相当する遅延時間τ
R,τLの時間遅延された後にそれぞれ加算器143,1
53と第2のフィルタ部160内の乗算器161,16
2に入力される。乗算器161,162に入力されたそ
れぞれのデータは、第2のパラメータ発生部が入力する
レゾネータゲインRG_R1,RG_L1と乗算された後、加算器
163で加算され、例えば図28が示す、弦が共鳴器
(胴)に作用する力Eに対応するデータEを算出する。
加算器163の加算結果Eはフィルタ164,165に
入力され、特定の周波数成分が増幅された所望の楽音出
力Ioutとして出力される。Ioutはバイオリンの場合は
弦と共鳴器(胴)との接合点での速度に対応したデータ
である。第2のパラメータ発生部170がレゾネータゲ
インRG_R2,RG_L2を値−1に設定し、IoutをI、I+
遅延器142あるいは152の出力データとみなせば、
加算器143,153は(数6)を実行することがわか
る。後退電流I-に対応する加算器143,153の加
算結果If_R,If_Lはそれぞれ加算器141,151と
乗算器122,123に帰還される。図7において、テ
ーブル部711は、鍵盤等の入力装置から入力されたN
OTEデータに対応した周波数データFQDを読み出
し、乗算器712,713に入力する。乗算器712,
713において、それぞれ周波数データFQDと駆動位
置データPOINTとの乗算、1−FQDと駆動位置デ
ータPOINTとの乗算が行われ、遅延器142,15
2のメモリの全アドレス領域が指定される。カウンタ7
19,720は発音開始フラグの入力タイミングでリセ
ットされ、その後値「0」からのインクリメント動作を
行う。それぞれのカウントデータがDR,DLに達した時
点で比較器715,716は比較一致フラグを発生する
ので、カウントデータが値0にリセットされる。この動
作を繰り返し実行することにより、遅延器142,15
2はそれぞれ値「0」〜「DR−1」の間、値「0」〜
「DL−1」の間を繰り返しアドレスされることにな
る。遅延時間τRは乗算器712が出力するデータFQ
D*POINTにサンプリング時間Tを乗算したもの、
遅延時間τLは乗算器713が出力するデータFQD*
(1−POINT)にサンプリング時間Tを乗算したも
のと定義されるので、遅延器142,152は入力デー
タに対してそれぞれ遅延時間τR,τLの遅延をかける遅
延器として動作する。
【0091】さて図5を用いて、第1のパラメータ発生
部130の動作を説明する。システム制御部180から
入力された発音開始フラグSTFによりゲート533は
リセットされる。その後、加算器531とゲート533
により、システム制御部180が入力した周波数データ
FQDの整数部分であるint(FQD)を累算していく。この
累算中、加算器532は値1か0を加算することにより
ゲート533からメモリ511,521に入力されるア
ドレスはint(FQD)→int(FQD)+1→2*int(FQD)→2*
int(FQD)+1→・・・→n*int(FQD)→n*int(FQD)+
1→・・・と更新される。メモリ511,521には後
述するパラメータ推定方法により推定されたフィルタ係
数列a[n],b[n],-c[n],-d[n],-e[n]とフィルタ係数列a'
[n],b'[n],-c'[n],-d'[n],-e'[n]がそれぞれ記憶されて
いる。例えばフィルタ係数列a[n]はメモリ511のアド
レス「000h」からアドレス「1FFh」に記憶されて
おり、ゲート533はアドレス「000h」からアドレ
ス「1FFh」の間をFQDのステップ幅で繰り返し読
み出すものとする。従って、メモリ511からは、アド
レスが更新される間にフィルタ係数ai,bi,-ci,-di,-ei
とフィルタ係数ai+1,bi +1,-ci+1,-di+1,-ei+1の10個
のデータがメモリ511の出力バスにのる。なお、iは
アドレス「000h」からアドレス「FFFh」の間の任
意の値を示す変数である。第1の補間演算部540と第
2の補間演算部550と第3の補間演算部560におけ
る補間演算はフィルタ係数ai,bi,-ci,-di,-eiあるいは
フィルタ係数a'i,b'i,-c'i,-d'i,-e'iの5つを時分割で
実行するものとし、ここではaiとai +1についてのみ説明
する。なお、時分割処理は従来の技術を用いて実現でき
るものなので説明は省略する。
【0092】メモリ511から読み出されたフィルタ係
数ai,ai+1はセレクタ541においてフィルタ係数
a'i,a'i+1との選択が行われる。発音開始フラグにより
Tフリップフロップ574が出力するセレクトフラグが
リセットされているので、セレクタ541はA入力の
方、すなわちメモリ511から読み出されたフィルタ係
数ai,ai+1の方を選択する。ラッチ542はフィルタ係
数aiを、ラッチ542はフィルタ係数ai+1をラッチす
る。乗算器544は減算器581から入力された1-frac
(FQD)とラッチ542から入力されたフィルタ係数ai
の乗算を行い、乗算器545はシステム制御部180か
ら入力された周波数データFQDの小数部分frac(FQD)
とラッチ543から入力されたフィルタ係数ai+1との乗
算を行う。加算器546は乗算器544,545の乗算
結果どうしを加算し、データai*{1-frac(FQD)}+ai+1*f
rac(FQD)を算出する。第2の補間演算部550において
も、第1の補間演算部540と同じ動作を実行すること
により、加算器556がデータa'i*{1-frac(FQD)}+a'
i+1*frac(FQD)を算出する。乗算器561においてデー
タai*{1-frac(FQD)}+ai+1*frac(FQD)と減算器572か
ら入力されたデータ1-tとの乗算が行われる。乗算器5
62においてデータa'i*{1-frac(FQD)}+a'i+1*frac(FQ
D)とカウンタ571から入力されたデータtとの乗算が
行われる。これらの乗算結果どうしを加算し、所望のフ
ィルタ係数aを得る。
【0093】第1の補間演算部540と第2の補間演算
部においてはフィルタ係数列の中のとなりあうフィルタ
係数間での補間を行うことにより、周波数データFQD
が実数(整数ではないという意味)でもメモリ511,
521を仮想的にアドレスすることができる。また、第
3の補間演算部560により、メモリ511に記憶され
たフィルタ係数とメモリ521に記憶されたフィルタ係
数とを時間的に遷移させることがきる。従って、例えば
バイオリンのアンサンブル音のように時間的にスペクト
ル構造が大きく周期的に変動するような楽音の場合(周
期をTAとする)、ある時刻t1の楽音波形に対応するフ
ィルタ係数列をメモリ511に記憶しておき、時刻t1+T
Aの楽音波形に対応するフィルタ係数列をメモリ521
に記憶することにより、時刻t1の楽音波形→時刻t1+TA
の楽音波形→時刻t1の楽音波形→・・・を繰り返し合成
し、スペクトル構造がTA周期で変動させることができ
る。
【0094】また、セレクタ541,551のセレクト
フラグを0に固定し、第3の補間演算部560に入力す
る補間係数tを外部制御できるように構成すれば、例え
ばメモリ511にクラリネット用のフィルタ係数列を記
憶し、メモリ521にチェロ用のフィルタ係数列を記憶
し、補間係数tを変化させることにより、クラリネット
の音からチェロの音へ、またチェロの音からクラリネッ
トの音へ自由に遷移させることができる。
【0095】さて、第1のパラメータ発生部130がフ
ィルタ121に入力するフィルタ係数a,b,-c,-d,-eは、
実際のアコースティック楽器の音に基づき、解析的に求
めることができる。この方法について、バイオリン音を
例にあげ説明する。
【0096】まず、バイオリンの音をDAT等の録音機
器を用い、適当なサンプリング周波数でサンプリングす
る。このサンプリングされたデータを原音1(図39)
とする。次に原音1の定常部分のある一周期波形を切取
り、これを繰り返すことによりつなぎあわせ原音2(図
40)を作成する。原音2は以下の式中においてOUT2と
表記する。ここで、波形を切り取りつなぎあわせるため
には一周期が整数サンプルである必要があるので、例え
ばサンプリング周波数の変換による、波形の伸張圧縮を
行い原音2を作成する。例えばfsを16.046kHz、一周
期のサンプル数Dを40ポイントとする。原音2は原音
1に対して、過渡部分を除去し、さらに共鳴器によるゆ
るやかな振幅変動や音程変動を除去したものとみなす。
次に、弓が弦のどの駆動位置(以下、POINTとす
る)で擦られたかを検出する。
【0097】そこで図41に示すような、原理的に図3
7に示す第4の実施例における楽音合成装置とは異なる
合成器を仮定する。図41の回路は図38に示す第5の
実施例の楽音合成装置の共鳴器に対応する第2のフィル
タ部160を除いた回路と全く等価である。図41にお
いて、遅延器142,152に入力されるデータは図3
7に示す第4の実施例における楽音合成装置のように速
度あるいは電流のディメンジョンのものではなく、出力
データIoutが実際のバイオリン音となるように与えた
残差データ(以下、残差入力Ie1とする)とみることが
できる。図41の回路は図42のような回路に変形でき
る。図42の回路は図41の回路と全く等価である。遅
延器142の遅延時間τRと遅延器152の遅延時間τL
の和(τ=τR+τL)は遅延器4214の遅延時間とな
る。図42に示す回路における残差入力Ie2は回路ブロ
ック4210から図43に示すように残差入力Ie1とこ
れを時間τRずらせた残差入力Ie1の差になることがわ
かる。ここで、駆動位置は図41における遅延部411
0と遅延部4120の遅延時間の比率であらわすことが
できる。遅延部4120の遅延時間が0であるとすると
バイオリンのブリッジの部分を擦ったことと等価にな
る。図42においては遅延器142の遅延時間はτRで
ある。例えば、遅延器4211の遅延時間が遅延器42
14の1/2であるとすると弦の中央を擦ったことと等
価になる。図42の加算器4213の加算結果を原音2
(OUT2とする)として駆動入力Ie2を求める。これを数
式化したものが(数13)である。なお、図42におい
て加算器4213と遅延器4214から構成されるルー
プ状の回路の任意の点におけるデータを原音2としても
よい。
【0098】
【数13】
【0099】このようにして求めた駆動入力Ie2の自己
相関値を求めることにより駆動位置が求められる。自己
相関結果を図44に示す。図44において、τと原点か
ら自己相関値の最小値までの時間間隔との比率がPOI
NTとなる。従って、POINT=3.32である。な
お、POINTを検出精度をあげるために(数13)で
求められた残差入力Ie2を例えば100倍のサンプル、
すなわち一周期4000サンプルとなるように伸張した
後に自己相関をとる。以上の作業から、図37に示す第
4の実施例における楽音合成装置において、遅延器14
2,152の遅延時間τR,τLが(数12)で決定でき
る。なお、遅延器142のほうを終端がブリッジを介し
て共鳴器(胴)に接続された短い方の弦であるとする。
【0100】図37に示す第4の実施例における楽音合
成装置の遅延部140において、加算器143を除いた
ループ状の回路を考える。加算器141の出力が原音2
であるとすると、(数14)に示す逆フィルタの伝達関
数により、原音2からI0を求めることができる。な
お、加算器143を除いたループ状の回路の任意の点に
おけるデータを原音2としてもよい。
【0101】
【数14】
【0102】次に、図37に示す第4の実施例における
本発明の楽音合成装置の加算器141,151に、(数
14)で求めたI0を入力することにより加算器124
が出力すべきEfが求められる。
【0103】なお、ここでは乗算器122の第1の乗算
パラメータFG_Rと乗算器123の第1の乗算パラメータ
FG_Lは値1とした。もし実際の値と異なっていても、フ
ィルタ121のフィルタ係数-eの推定値に補正がかかる
ので問題はない。
【0104】最後に、カルマンフィルタの手法を用い
て、フィルタ121のフィルタ係数の推定を行う。図4
5に推定アルゴリズムのフローチャートを、(数15)
に推定アルゴリズムで実行する式を示す。推定アルゴリ
ズムで使用される状態変数ベクトルx(t)と推定パラメー
タベクトルz(t)は図46に示す回路の各ノードに対応す
る。図46の回路は図4に示すフィルタ121の回路に
対して遅延器4311を入力段に設けたものである。推
定アルゴリズムの性質上、EfとI0の間には時間遅れが
必要になので遅延器4311が必要になる。その分(数
14)で得られたデータ列I0,Efに1サンプル分の時
間調整が必要になる。
【0105】
【数15】
【0106】
【数16】
【0107】
【数17】
【0108】
【数18】
【0109】
【数19】
【0110】なお、(数15)から(数18)までが、
一般的なカルマンフィルタによるパラメータ推定アルゴ
リズムであり、(数19)は推定対象となるフィルタ1
21の伝達関数を状態空間表現した式である。(数1
9)におけるIinはステップ関数(一定値)に仮定し
た。(数17)における忘却係数λは推定パラメータが
変動しない場合は値1であるが、本発明の楽音合成装置
のように、推定パラメータ(フィルタ係数)が時間的に
変動する場合においては0.99程度の値に設定する。図4
5に示す推定アルゴリズムにより推定されたパラメータ
z(t)、すなわちフィルタ係数列a(t),b(t),c(t),d(t),e
(t)を、図47〜図51に示す。
【0111】これらのフィルタ係数列の一周期あるいは
複数周期をメモリ511に記憶させ、周波数データFQ
Dを値「1」とし、第3の補間演算部560での補間係
数tを値「0」とし、さらに第2のフィルタ部160を
スルーとして合成した合成波形を図52に示す。
【0112】但し、合成波形は加算器141の出力から
とった。原音1と図52に示す合成音の周波数特性をそ
れぞれ図53,54に示す。スペクトル構造が非常に似
ていることがわかる。またこの合成において、原音1か
ら加算器141の出力データを減算することにより、原
音1に対する合成音の残差が求められる。この残差を図
55に示す。この残差分を図37に示す第4の実施例に
おける楽音合成装置のフィルタ121が出力する第1の
駆動データI0に加算することにより、例えば過渡波形
のような推定できなかった部分、あるいは、図37に示
す第4の実施例における楽音合成装置が実際のアコース
ティック楽器に対して完全にはシミュレートできていな
いことに起因する残差成分が合成音にフィードバックで
き、非常に原音に近い音が合成できる。このような残差
分を第1の駆動データI0に加算するブロックが残差デ
ータ加算部190であり、図37に示す第4の実施例に
おける楽音合成装置に残差データ加算部190を追加し
たものが、図1に示す第1の実施例における楽音合成装
置である。図35及び図36の楽音合成装置のフィルタ
121の後段及び図38の楽音合成装置の加算器381
2の後段に、残差データ加算部190を挿入してもよ
い。
【0113】共鳴器については実際の共鳴器(胴)のタ
ッピングテスト等で特徴的な固有振動数、減衰時間を求
めることにより、第2のパラメータ発生部に入力すべき
L,R,Cの値を決定する。
【0114】以上のように本実施例によれば、第1のパ
ラメータ発生部130が、アコースティック楽器音から
推定されたフィルタ係数列を繰り返し読み出しによりフ
ィルタ121を制御し、フィルタ121が発生した第1
の駆動データと残差データとの加算結果である第2の駆
動データを弦や管に対応する遅延部140,150に入
力し、遅延部140,150が弦や管における波形の伝
搬に対応した遅延処理を行うことにより、バイオリン等
の持続系の楽音を合成することができる。
【0115】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、入力デー
タ発生手段が弦を弓でこすった時の弓の速さ等に対応し
た入力データをフィルタ手段(駆動部)に入力し、弦に
対応した第1の遅延手段と第2の遅延手段内のそれぞれ
の遅延器が、弦の振動に対応する帰還データをフィルタ
手段に帰還入力し、さらにフィルタ手段が入力データと
帰還データとパラメータ発生手段が発生するパラメータ
に基づき、第1の駆動データを算出する。さらに、残差
データ加算手段が前記第1の駆動データと予め記憶され
た残差データとを加算し、加算結果を第2の駆動データ
として弦に対応した遅延手段に入力する。この動作を繰
り返し実行することにより、弓と弦との干渉動作が実現
できバイオリンの音が合成できる。また、トランペット
にような管楽器においても、管を遅延手段、演奏者の唇
をフィルタ手段とみなし、同様の動作で管楽器音が合成
できるので、その効果は大なるものがある。
【0116】また、例えばクラリネット用のフィルタ係
数列とチェロ用のフィルタ係数列を記憶し、それらのフ
ィルタ係数列を時間的にまたは外部からの制御で補間さ
せることにより、クラリネットの音からチェロの音へ、
またチェロの音からクラリネットの音へ自由に遷移させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における楽音合成装置の
構成を示すブロック図
【図2】図1における入力データ発生部110の内部構
成を示す回路図
【図3】図1における入力データ発生部110の内部構
成を示す回路図
【図4】図1におけるフィルタ121の内部構成を示す
回路図
【図5】図1における第1のパラメータ発生部130の
内部構成を示す回路図
【図6】図1におけるフィルタ164,165の内部構
成を示す回路図
【図7】図1におけるシステム制御部180の内部構成
を示す回路図
【図8】弦の機械系モデルを表わす状態図
【図9】弦の電気系モデルを表わす回路図
【図10】弦を弓等でこすった場合の電気系モデルを表
わす回路図
【図11】弦を指等でこすった場合の電気系モデルを表
わす回路図
【図12】弦を弓でこすった状態を表わす状態図
【図13】弦と弓が接触した部分の機械系モデルを表わ
す状態図
【図14】弦と弓が接触した部分において弦と弓とが独
立に動く場合の電気系モデルを表わす回路図
【図15】弦と弓が接触した部分において弦と弓とがひ
っついて動く場合の電気系モデルを表わす回路図
【図16】弦と弓が接触した部分において弦と弓とが独
立に動くかひっついて動くかの条件を示した状態図
【図17】演奏者がトランペットに息を吹き込んだ状態
を表わす状態図
【図18】演奏者がトランペットに息を吹き込んだ状態
の電気系モデルを表わす回路図
【図19】弦を弓でこすった状態と演奏者がトランペッ
トに息を吹き込んだ状態の電気系モデルを統一的に表わ
した回路図
【図20】弦または管の電気系モデルを表わす回路図
【図21】図20の回路をディジタル化した回路図
【図22】弦と共鳴器(胴)とを接続させたものの機械
系モデルを表わす状態図
【図23】弦と共鳴器(胴)とを接続させたものの電気
系モデルを表わす回路図
【図24】図27を導きだすための回路図
【図25】図27を導きだすための回路図
【図26】図27を導きだすための回路図
【図27】図23の回路をディジタル化した回路図
【図28】図23における負荷素子2311の回路図
【図29】図28における共鳴素子2811〜2813
の回路図
【図30】図28の回路をディジタル化した回路図
【図31】図34を導きだすための回路図
【図32】図34を導きだすための回路図
【図33】図34を導きだすための回路図
【図34】弦と弓との接触部分や演奏者と管の接続部分
に対応する駆動部分と弦や管に対応する遅延部分の接続
状態を表わす回路図
【図35】本発明の第2の実施例における楽音合成装置
の構成を示すブロック図
【図36】本発明の第3の実施例における楽音合成装置
の構成を示すブロック図
【図37】本発明の第4の実施例における楽音合成装置
の構成を示すブロック図
【図38】本発明の第5の実施例における楽音合成装置
の構成を示すブロック図
【図39】バイオリンの原音を表わす波形図
【図40】バイオリンの原音の定常部分における任意の
一周期を切取りつなぎあわせた波形を表わす波形図
【図41】本発明の第6の実施例における楽音合成装置
の構成を示すブロック図
【図42】本発明の第7の実施例における楽音合成装置
の構成を示すブロック図
【図43】残差入力Ie1と図42の遅延器142の出力
と残差入力Ie2との関係を表わす波形図
【図44】図40に示す波形の自己相関値を表わすグラ
【図45】本発明のパラメータ推定方法のアルゴリズム
を表わすフローチャート
【図46】図1におけるフィルタ121の回路図とパラ
メータ推定で使用するパラメータとの対応を示した回路
【図47】フィルタ係数aの推定結果を表わすグラフ
【図48】フィルタ係数bの推定結果を表わすグラフ
【図49】フィルタ係数cの推定結果を表わすグラフ
【図50】フィルタ係数dの推定結果を表わすグラフ
【図51】フィルタ係数eの推定結果を表わすグラフ
【図52】第1の実施例における楽音合成装置において
第1のフィルタ部160を除いた場合の遅延器142か
ら出力されるデータを示す波形を表わすグラフ
【図53】バイオリンの原音の周波数特性を表わすグラ
【図54】図52に示す合成音の周波数特性を表わすグ
ラフ
【図55】図39に示すバイオリンの原音に対する駆動
データI0の推定誤差を表わす波形を表わすグラフ
【図56】従来例の楽音合成装置の構成を示すブロック
【図57】図56におけるアドレス発生部5615の内
部構成を示す回路図
【図58】図56におけるオールパスフィルタ5613
の内部構成を示す回路図
【符号の説明】
122,123,161,162,167,168,4
12,413,415,418,421,423,54
4,545,554,555,561,562,,61
3,615,618,621,712,713,251
2,2711,3212,3411 乗算器 124,141,143,151,153,163,1
66,191,416,417,419,424,53
1,532,546,556,563,572,61
6,617,619,624,3014,3311,3
412,3812,4111,4112,4121,4
213 加算器 411,414,420,422,614,620,6
22,4214,4311 遅延器 574 リセット端子付Tフリップフロップ 572,581,714,2611,2712 減算器 711 テーブル部 721 ワンショット回路 717,718 ORゲート 911,1411,1412 コイル 912,913,1414,1911,2311 負荷
素子 914,915,1413,1813,1814 コン
デンサ 1111,1415,1815 電流源 1311,1312 質点 1313,1314,1315 バネ 1511,1512 電圧源 1811 可変コイル 1812 可変コンデンサ 2413,2511,2513,3113,3221
変換素子 2811,2812,2813 共鳴素子 3511 第1のフィルタ部 3512,3610,4110,4120 遅延部 3513 第2のフィルタ部 149,159,3811 反転器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅谷 隆宏 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 田中 温子 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力データを発生する入力データ発生手
    段と、 入力されたデータを所定時間遅延させる遅延器と加算器
    の対応する入出力端子をループ状に接続した第1の遅延
    手段と、 入力されたデータを所定時間遅延させる遅延器と加算器
    の対応する入出力端子をループ状に接続した第2の遅延
    手段と、 前記入力データ発生手段から入力された入力データとパ
    ラメータ発生手段から入力されたパラメータと前記第1
    の遅延手段内の加算器におけるループ状に接続された方
    の入力端子上のデータと前記第2の遅延手段内の加算器
    におけるループ状に接続された方の入力端子上のデータ
    とに基づき第1の駆動データを算出するフィルタ手段
    と、 前記フィルタ手段から入力された第1の駆動データと予
    め記憶された残差データとの加算を行い、加算結果を第
    2の駆動データとして前記第1の遅延手段内の第1の加
    算器におけるループ状に接続されていない方の入力端子
    と前記第2の遅延手段内の第1の加算器におけるループ
    状に接続されていない方の入力端子に前記第2の駆動デ
    ータを入力する残差データ加算手段と、 前記フィルタ手段のフィルタ特性を時間的に変化させる
    パラメータを発生するパラメータ発生手段と、を備えた
    楽音合成装置。
  2. 【請求項2】 フィルタ手段は、2次の時変フィルタで
    あることを特徴とする請求項1記載の楽音合成装置。
  3. 【請求項3】 入力データ発生手段は、 予め入力データを記憶したメモリと、 前記メモリに記憶された入力データの読み出しを行う読
    み出し回路と、で構成したことを特徴とする請求項1記
    載の楽音合成装置。
  4. 【請求項4】 入力データ発生手段は、演算により入力
    データを算出する演算回路であることを特徴とした請求
    項1記載の楽音合成装置。
  5. 【請求項5】 パラメータ発生手段は、 予め複数のパラメータ列を記憶したメモリと、 前記メモリを所望の音程に対応した周波数データの整数
    部分のデータに相当するアドレス幅でアドレスし、パラ
    メータP1と前記パラメータP1と隣合うアドレスに記
    憶されたパラメータP2とを読み出す読み出し回路と、 前記読み出し回路が読み出したパラメータP1とパラメ
    ータP2とを前記周波数データの小数部分のデータに基
    づき補間演算を行う補間演算回路と、 前記補間演算回路における補間演算結果と予め設定され
    たデータとの選択を行い、選択された方を所望のパラメ
    ータとしてフィルタ手段に出力する選択回路と、で構成
    したことを特徴とする請求項1記載の楽音合成装置。
  6. 【請求項6】 パラメータ発生手段は、 予め複数のパラメータ列を記憶した第1のメモリと、 前記第1のメモリに格納された複数のパラメータ列とは
    異なる複数のパラメータ列を記憶した第2のメモリと、 前記第1のメモリを所望の音程に対応した周波数データ
    の整数部分のデータに相当するアドレス幅でアドレス
    し、前記第1のメモリに記憶されたパラメータP11と
    前記パラメータP11と隣合うアドレスに記憶されたパ
    ラメータP12とを読み出し、さらに前記第2のメモリ
    を所望の音程に対応した周波数データの整数部分のデー
    タに相当するアドレス幅でアドレスし、前記第2のメモ
    リに記憶されたパラメータP21と前記パラメータP2
    1と隣合うアドレスに記憶されたパラメータP22とを
    読み出す読み出し回路と、 前記読み出し回路が読み出したパラメータP11とパラ
    メータP12とを前記周波数データの小数部分のデータ
    に基づき補間演算を行う第1の補間演算回路と、 前記読み出し回路が読み出したパラメータP21とパラ
    メータP22とを前記周波数データの小数部分のデータ
    に基づき補間演算を行う第2の補間演算回路と、 前記第1の補間演算回路が算出した補間演算結果と前記
    第2の補間演算回路が算出した補間演算結果とを時間的
    に変化する補間係数に基づき補間演算を行う第3の補間
    演算回路と、 前記第3の補間演算回路における補間演算結果と予め設
    定されたデータとの選択を行い、選択された方を所望の
    パラメータとして前記フィルタ手段に出力する選択回路
    と、で構成したことを特徴とする請求項1記載の楽音合
    成装置。
  7. 【請求項7】 入力データを発生する入力データ発生手
    段と、 入力されたデータを所定時間遅延させる遅延器と第1の
    加算器と第2の加算器の対応する入出力端子をループ状
    に接続した第1の遅延手段と、 入力されたデータを所定時間遅延させる遅延器と第1の
    加算器と第2の加算器の対応する入出力端子をループ状
    に接続した第2の遅延手段と、 前記入力データ発生手段から入力された入力データとパ
    ラメータ発生手段から入力されたパラメータと前記第1
    の遅延手段内の加算器におけるループ状に接続された方
    の入力端子上のデータと前記第2の遅延手段内の加算器
    におけるループ状に接続された方の入力端子上のデータ
    とに基づき第1の駆動データを算出するフィルタ手段
    と、 前記フィルタ手段から入力された第1の駆動データと予
    め記憶された残差データとの加算を行い、加算結果を第
    2の駆動データとして前記第1の遅延手段内の第1の加
    算器におけるループ状に接続されていない方の入力端子
    と前記第2の遅延手段内の第1の加算器におけるループ
    状に接続されていない方の入力端子に前記第2の駆動デ
    ータを入力する残差データ加算手段と、 前記第1のフィルタ手段を制御するためのパラメータを
    発生するパラメータ発生手段と、 前記第1の遅延手段内の第2の加算器におけるループ状
    に接続された方の入力端子上のデータと前記第2の遅延
    手段内の第2の加算器におけるループ状に接続された方
    の入力端子上のデータのどちらか一方あるいはそれらの
    加算値に対して特定の周波数成分を増幅し、増幅された
    データを所望の楽音出力として出力し、さらに前記第1
    の遅延手段内の第2の加算器におけるループ状に接続さ
    れていない方の入力端子に前記楽音出力に対してレベル
    調整したデータを入力する第2のフィルタ手段と、を備
    えた楽音合成装置。
  8. 【請求項8】 第1のフィルタ手段が、時変フィルタで
    あることを特徴とする請求項7記載の楽音合成装置。
  9. 【請求項9】 第1のフィルタ手段が、2次の時変フィ
    ルタであることを特徴とする請求項7記載の楽音合成装
    置。
  10. 【請求項10】 入力データ発生手段は、 予め入力データを記憶したメモリと、 前記メモリに記憶された入力データの読み出しを行う読
    み出し回路と、で構成したことを特徴とする請求項7記
    載の楽音合成装置。
  11. 【請求項11】 入力データ発生手段は、演算により入
    力データを算出する演算回路であることを特徴とする請
    求項7記載の楽音合成装置。
  12. 【請求項12】 パラメータ発生手段は、 予め複数のパラメータ列を記憶したメモリと、 前記メモリを所望の音程に対応した周波数データの整数
    部分のデータに相当するアドレス幅でアドレスし、パラ
    メータP1と前記パラメータP1と隣合うアドレスに記
    憶されたパラメータP2とを読み出す読み出し回路と、 前記読み出し回路が読み出したパラメータP1とパラメ
    ータP2とを前記周波数データの小数部分のデータに基
    づき補間演算を行う補間演算回路と、 前記補間演算回路における補間演算結果と予め設定され
    たデータとの選択を行い選択された方を所望のパラメー
    タとして前記第1のフィルタ手段に出力する選択回路
    と、で構成したことを特徴とする請求項7記載の楽音合
    成装置。
  13. 【請求項13】 パラメータ発生手段は、 予め複数のパラメータ列を記憶した第1のメモリと、 前記第1のメモリに格納された複数のパラメータ列とは
    異なる複数のパラメータ列を記憶した第2のメモリと、 前記第1のメモリを所望の音程に対応した周波数データ
    の整数部分のデータに相当するアドレス幅でアドレス
    し、前記第1のメモリに記憶されたパラメータP11と
    前記パラメータP11と隣合うアドレスに記憶されたパ
    ラメータP12とを読み出し、さらに前記第2のメモリ
    を所望の音程に対応した周波数データの整数部分のデー
    タに相当するアドレス幅でアドレスし、前記第2のメモ
    リに記憶されたパラメータP21と前記パラメータP2
    1と隣合うアドレスに記憶されたパラメータP22とを
    読み出す読み出し回路と、 前記読み出し回路が読み出したパラメータP11とパラ
    メータP12とを前記周波数データの小数部分のデータ
    に基づき補間演算を行う第1の補間演算回路と、 前記読み出し回路が読み出したパラメータP21とパラ
    メータP22とを前記周波数データの小数部分のデータ
    に基づき補間演算を行う第2の補間演算回路と、 前記第1の補間演算回路が算出した補間演算結果と前記
    第2の補間演算回路が算出した補間演算結果とを時間的
    に変化する補間係数に基づき補間演算を行う第3の補間
    演算回路と、前記第3の補間演算回路における補間演算
    結果と予め設定されたデータとの選択を行い選択された
    方を所望のパラメータとして前記第1のフィルタ手段に
    出力する選択回路と、で構成したことを特徴とする請求
    項7記載の楽音合成装置。
  14. 【請求項14】 入力データを発生する入力データ発生
    手段と、 入力されたデータを所定時間遅延させる遅延器と第1の
    加算器と第2の加算器の対応する入出力端子をループ状
    に接続した第1の遅延手段と、 入力されたデータを所定時間遅延させる遅延器と第1の
    加算器と第2の加算器の対応する入出力端子をループ状
    に接続した第2の遅延手段と、 前記第1の遅延手段内の第1の加算器におけるループ状
    に接続された方の入力端子上のデータと第1のパラメー
    タ発生手段から入力された第1の乗算パラメータとの乗
    算を行う第1の乗算手段と、 前記第2の遅延手段内の第1の加算器におけるループ状
    に接続された方の入力端子上のデータと第1のパラメー
    タ発生手段から入力された第2の乗算パラメータとの乗
    算を行う第2の乗算手段と、 前記第1の乗算手段における乗算結果と前記第2の乗算
    手段における乗算結果との加算を行う第1の加算手段
    と、 前記入力データ発生手段から入力された入力データと第
    1のパラメータ発生手段から入力されたフィルタ係数と
    前記第1の加算手段の加算結果とに基づき第1の駆動デ
    ータを算出するフィルタ手段と、 前記フィルタ手段から入力された第1の駆動データと予
    め記憶された残差データとの加算を行い加算結果を第2
    の駆動データとして前記第1の遅延手段内の第1の加算
    器におけるループ状に接続されていない方の入力端子と
    前記第2の遅延手段内の第1の加算器におけるループ状
    に接続されていない方の入力端子に前記第2の駆動デー
    タを入力する残差データ加算手段と、 前記第1のフィルタ手段を制御するためのフィルタ係数
    と第1の乗算手段において乗算せしめる第1の乗算パラ
    メータと第2の乗算手段において乗算せしめる第2の乗
    算パラメータとを発生する第1のパラメータ発生手段
    と、 前記第1の遅延手段内の第2の加算器におけるループ状
    に接続された方の入力端子上のデータと第2のパラメー
    タ発生手段から入力された第3の乗算パラメータとの乗
    算を行う第3の乗算手段と、 前記第2の遅延手段内の第2の加算器におけるループ状
    に接続された方の入力端子上のデータと第2のパラメー
    タ発生手段から入力された第4の乗算パラメータとの乗
    算を行う第4の乗算手段と、 前記第3の乗算手段における乗算結果と前記第4の乗算
    手段における乗算結果との加算を行う第2の加算手段
    と、 第2のパラメータ発生手段から入力されたフィルタ係数
    に基づき前記第2の加算手段の加算結果に対して特定の
    周波数成分を増幅し増幅されたデータを所望の楽音出力
    とする第2のフィルタ手段と、 前記第2のフィルタ手段を制御するためのフィルタ係数
    と前記第3の乗算手段において乗算せしめる第3の乗算
    パラメータと前記第4の乗算手段において乗算せしめる
    第4の乗算パラメータと第5の乗算手段において乗算せ
    しめる第5の乗算パラメータと第6の乗算手段において
    乗算せしめる第6の乗算パラメータとを発生する第2の
    パラメータ発生手段と、 前記楽音出力と前記第2のパラメータ発生手段から入力
    された第5の乗算パラメータとの乗算を行い、前記第1
    の遅延手段内の第2の加算器におけるループ状に接続さ
    れていない方の入力端子に乗算結果を入力する第5の乗
    算手段と、 前記楽音出力と前記第2のパラメータ発生手段から入力
    された第6の乗算パラメータとの乗算を行い、前記第2
    の遅延手段内の第4の加算器におけるループ状に接続さ
    れていない方の入力端子に乗算結果を入力する第6の乗
    算手段と、を備えた楽音合成装置。
  15. 【請求項15】 第1のフィルタ手段は、時変フィルタ
    であることを特徴とする請求項14記載の楽音合成装
    置。
  16. 【請求項16】 第1のフィルタ手段は、2次の時変フ
    ィルタであることを特徴とする請求項14記載の楽音合
    成装置。
  17. 【請求項17】 入力データ発生手段は、 予め入力データを記憶したメモリと、 前記メモリに記憶された入力データの読み出しを行う読
    み出し回路と、で構成したことを特徴とする請求項14
    記載の楽音合成装置。
  18. 【請求項18】 入力データ発生手段は、演算により入
    力データを算出する演算回路であることを特徴とする請
    求項14記載の楽音合成装置。
  19. 【請求項19】 第1のパラメータ発生手段は、 予め複数のフィルタ係数列を記憶したメモリと、 前記メモリを所望の音程に対応した周波数データの整数
    部分のデータに相当するアドレス幅でアドレスし、フィ
    ルタ係数P1と前記フィルタ係数P1と隣合うアドレス
    に記憶されたフィルタ係数P2とを読み出す読み出し回
    路と、 前記読み出し回路が読み出したフィルタ係数P1とフィ
    ルタ係数P2とを前記周波数データの小数部分のデータ
    に基づき補間演算を行う補間演算回路と、 前記補間演算回路における補間演算結果と予め設定され
    たデータとの選択を行い、選択された方を所望のフィル
    タ係数として前記第1のフィルタ手段に出力する選択回
    路と、で構成したことを特徴とする請求項14記載の楽
    音合成装置。
  20. 【請求項20】 第1のパラメータ発生手段は、 予め複数のフィルタ係数列を記憶した第1のメモリと、 前記第1のメモリに格納された複数のフィルタ係数列と
    は異なる複数のフィルタ係数列を記憶した第2のメモリ
    と、 前記第1のメモリを所望の音程に対応した周波数データ
    の整数部分のデータに相当するアドレス幅でアドレス
    し、前記第1のメモリに記憶されたフィルタ係数P11
    と前記フィルタ係数P11と隣合うアドレスに記憶され
    たフィルタ係数P12とを読み出し、さらに前記第2の
    メモリを所望の音程に対応した周波数データの整数部分
    のデータに相当するアドレス幅でアドレスし、前記第2
    のメモリに記憶されたフィルタ係数P21と前記フィル
    タ係数P21と隣合うアドレスに記憶されたフィルタ係
    数P22とを読み出す読み出し回路と、 前記読み出し回路が読み出したフィルタ係数P11とフ
    ィルタ係数P12とを前記周波数データの小数部分のデ
    ータに基づき補間演算を行う第1の補間演算回路と、 前記読み出し回路が読み出したフィルタ係数P21とフ
    ィルタ係数P22とを前記周波数データの小数部分のデ
    ータに基づき補間演算を行う第2の補間演算回路と、 前記第1の補間演算回路が算出した補間演算結果と前記
    第2の補間演算回路が算出した補間演算結果とを時間的
    に変化する補間係数に基づき補間演算を行う第3の補間
    演算回路と、 前記第3の補間演算回路における補間演算結果と予め設
    定されたデータとの選択を行い、選択された方を所望の
    フィルタ係数として前記第1のフィルタ手段に出力する
    選択回路と、で構成したことを特徴とする請求項14記
    載の楽音合成装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5712439A (en) * 1994-09-13 1998-01-27 Yamaha Corporation Musical tone signal producing apparatus for simulating the effect of a vibrating element of a wind instrument
KR100570569B1 (ko) * 1997-09-24 2006-12-01 소니 일렉트로닉스 인코포레이티드 경과음및줄의진동을시뮬레이션하기위한합성기및방법
JP2008026795A (ja) * 2006-07-25 2008-02-07 Yamaha Corp 操作子および楽音制御装置

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