JP2572875B2 - 楽音合成装置 - Google Patents
楽音合成装置Info
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、電子楽器の内で特に、アコースティック
な、すなわち、自然楽器と同様の音色を合成する楽音合
成装置に関するものである。
な、すなわち、自然楽器と同様の音色を合成する楽音合
成装置に関するものである。
近年、電子楽器にはディジタル技術の楽音合成方式が
導入されて、合成音の品質の向上が著しく、また、入力
方法としても、鍵盤や管楽器形状のもの、あるいはギタ
ー形状のものなど多様化してきている。楽音合成方式と
しては、自然楽器の楽音波形をそのまま記憶しておい
て、再生すべき音高に比例した速度で再生するいわゆる
PCM方式に準じた方式が多く使用されているが、自然楽
器の実際の発音形態に対応した楽音合成方式も数多く提
案されている。
導入されて、合成音の品質の向上が著しく、また、入力
方法としても、鍵盤や管楽器形状のもの、あるいはギタ
ー形状のものなど多様化してきている。楽音合成方式と
しては、自然楽器の楽音波形をそのまま記憶しておい
て、再生すべき音高に比例した速度で再生するいわゆる
PCM方式に準じた方式が多く使用されているが、自然楽
器の実際の発音形態に対応した楽音合成方式も数多く提
案されている。
このような機能は、例えば、文献(“On the oscilla
tion of musical instruments",M.E.Mclntyre R.T.Schu
macher J.Woodhouse共著,J.Acoust.Soc.Am 74(5),No
vember 1983 page1325−1345記載)に詳述されている。
tion of musical instruments",M.E.Mclntyre R.T.Schu
macher J.Woodhouse共著,J.Acoust.Soc.Am 74(5),No
vember 1983 page1325−1345記載)に詳述されている。
以下、図面を参照しながら上述の楽音合成装置につい
て説明する。
て説明する。
第8図は従来の楽音合成装置の構成を示すものであ
る。第8図について説明する前に、第5図〜第7図を参
照しながら、原理について説明する。
る。第8図について説明する前に、第5図〜第7図を参
照しながら、原理について説明する。
第5図は、クラリネットの断面図を示す。第5図にお
いて、左端Aはマウスピースに対応しており、そのリー
ド部分は口腔圧力qmを有する口によって覆われているも
のとする。なお、全てのトーンホールは塞がれているも
のとする。口腔圧力qmとリード直下の管内圧力qとの圧
力差によって、リード付近には流速fの気流が発生す
る。流速fの気流は管内の特性インピーダンスzを介し
て、進行波圧力qo(=f・z)を形成する。進行波圧力
qoが、第5図の左端Aから右端B(開口端部)まで進行
した後に、右端Bにおいて、放射および反射が起きる。
反射波圧力qiは、進行波圧力qoと、第7図に示すような
反射係数r(t)とを畳み込み演算することによって得
ることができる。反射波圧力qiは、管内を右端Bから左
端Aへ進行し、リード直下の管内圧力q(=qo+qi)が
変動することによって、第6図のような関係から口腔圧
力qmと管内圧力qとから決まる流速fがリード付近に発
生することになる。このような動作を繰り返すことによ
り、クラリネットの発音が繰り返されることになる。
いて、左端Aはマウスピースに対応しており、そのリー
ド部分は口腔圧力qmを有する口によって覆われているも
のとする。なお、全てのトーンホールは塞がれているも
のとする。口腔圧力qmとリード直下の管内圧力qとの圧
力差によって、リード付近には流速fの気流が発生す
る。流速fの気流は管内の特性インピーダンスzを介し
て、進行波圧力qo(=f・z)を形成する。進行波圧力
qoが、第5図の左端Aから右端B(開口端部)まで進行
した後に、右端Bにおいて、放射および反射が起きる。
反射波圧力qiは、進行波圧力qoと、第7図に示すような
反射係数r(t)とを畳み込み演算することによって得
ることができる。反射波圧力qiは、管内を右端Bから左
端Aへ進行し、リード直下の管内圧力q(=qo+qi)が
変動することによって、第6図のような関係から口腔圧
力qmと管内圧力qとから決まる流速fがリード付近に発
生することになる。このような動作を繰り返すことによ
り、クラリネットの発音が繰り返されることになる。
第7図の反射係数r(t)は、クラリネットが4分の
1波長管であることから、出力する音高の時間周期をT
とすると、左端Aから右端Bに、更に、右端Bにおける
反射によって、右端Bから左端Aまでの往復経路2lに相
当する時間長T/2のところに反射のピークが集中してい
ることがわかる。
1波長管であることから、出力する音高の時間周期をT
とすると、左端Aから右端Bに、更に、右端Bにおける
反射によって、右端Bから左端Aまでの往復経路2lに相
当する時間長T/2のところに反射のピークが集中してい
ることがわかる。
第6図は、リード直下の管内圧力qと流速fとの関係
を示している。なおqrは、リードの復元力に打ち勝って
リードとマウスピースの隙間を閉じるために必要とされ
る圧力に対応するものである。
を示している。なおqrは、リードの復元力に打ち勝って
リードとマウスピースの隙間を閉じるために必要とされ
る圧力に対応するものである。
第8図において、120は駆動部、121は変換部、122は
遅延部、123はキーオン処理部である。
遅延部、123はキーオン処理部である。
以上のように構成された楽音合成装置について以下そ
の動作について説明する。
の動作について説明する。
まず、楽音合成装置に、出力すべき楽音の高音を指示
するノート信号Jと、発音のタイミングを指示するキー
オン信号aと、出力楽音の強さを指示するタッチ信号b
とが入力されると、キーオン処理部123は、キーオン信
号aのオンに対応して、遅延部122に対してリセット信
号cを出力し、所定時間経過後に、駆動部120,変換部12
1および遅延部122の各部に対してオン信号dを出力し、
各部の動作が開始される。駆動部120は、出力する楽音
がピアノなどのパーカッシブ音の時にはイニシャルタッ
チ、クラリネットなどのノンパーカッシブ音の時にはア
フタータッチのいずれかのデータqmを、キーオン処理部
123から出力されるオン信号dがオンの間出力し、オン
信号dがオフの時には、零値を出力する。データqmを、
駆動部出力として適当な値とするためにスケーリングを
してもよい。
するノート信号Jと、発音のタイミングを指示するキー
オン信号aと、出力楽音の強さを指示するタッチ信号b
とが入力されると、キーオン処理部123は、キーオン信
号aのオンに対応して、遅延部122に対してリセット信
号cを出力し、所定時間経過後に、駆動部120,変換部12
1および遅延部122の各部に対してオン信号dを出力し、
各部の動作が開始される。駆動部120は、出力する楽音
がピアノなどのパーカッシブ音の時にはイニシャルタッ
チ、クラリネットなどのノンパーカッシブ音の時にはア
フタータッチのいずれかのデータqmを、キーオン処理部
123から出力されるオン信号dがオンの間出力し、オン
信号dがオフの時には、零値を出力する。データqmを、
駆動部出力として適当な値とするためにスケーリングを
してもよい。
変換部121は、例えば第9図のように構成されてい
る。第9図において、130はF(q)テーブル、131は乗
算器、132,133は加算器である。
る。第9図において、130はF(q)テーブル、131は乗
算器、132,133は加算器である。
以上のように構成された変換部121では、直前に出力
した進行波圧力qoと遅延部122から出力される反射波圧
力qiとが加算器133によって加算され、リード直下の管
内圧力qがF(q)テーブル130へ出力される。F
(q)テーブル130は、第6図の関係にしたがって、入
力される管内圧力qに対応する流速fを出力する。F
(q)テーブル130から出力される流速fは、乗算器131
において管の特性インピーダンスzと乗算された後、加
算器132によって反射波圧力qiと加算されて進行波圧力q
oとして出力される。
した進行波圧力qoと遅延部122から出力される反射波圧
力qiとが加算器133によって加算され、リード直下の管
内圧力qがF(q)テーブル130へ出力される。F
(q)テーブル130は、第6図の関係にしたがって、入
力される管内圧力qに対応する流速fを出力する。F
(q)テーブル130から出力される流速fは、乗算器131
において管の特性インピーダンスzと乗算された後、加
算器132によって反射波圧力qiと加算されて進行波圧力q
oとして出力される。
遅延部122は、例えば第10図のように構成されてい
る。第10図において、160は反射係数発生部、161〜163
は単位遅延器、171〜174は乗算器、165は累算器であ
る。
る。第10図において、160は反射係数発生部、161〜163
は単位遅延器、171〜174は乗算器、165は累算器であ
る。
遅延部122は、キーオン処理部123から出力されるリセ
ット信号cに従って、単位遅延器161〜163をゼロリセッ
トし、他方において、反射係数発生部160は、クラリネ
ットの管形状に基づいて算出された第7図に示すような
反射係数r(t)を基準クロックCf〔Sec〕毎にサンプ
リングすることによって得られる反射係数r(i・Cf)
を(1)式に基づいて演算した後に、各乗算器171〜174
へ供給するものとする。但し、i=0,1,2,…,2Nとす
る。
ット信号cに従って、単位遅延器161〜163をゼロリセッ
トし、他方において、反射係数発生部160は、クラリネ
ットの管形状に基づいて算出された第7図に示すような
反射係数r(t)を基準クロックCf〔Sec〕毎にサンプ
リングすることによって得られる反射係数r(i・Cf)
を(1)式に基づいて演算した後に、各乗算器171〜174
へ供給するものとする。但し、i=0,1,2,…,2Nとす
る。
r(i・Cf)=A・Exp〔−B(i・Cf−T)〕 ……(1) (1)式において、AとBとは、想定する管の反射特
性によって決定される定数である。Nは、161〜163に示
す単位遅延器の個数であり、171〜174の乗算器の個数よ
りも1だけ少ない正の整数である。ここで、クラリネッ
トの出力する最低音を例えば100〔Hz〕とし、基準クロ
ックCfの周波数を20〔KHz〕とすると、単位遅延器の個
数Nは4分の1波長管の場合には(2)式のように決定
することができる。
性によって決定される定数である。Nは、161〜163に示
す単位遅延器の個数であり、171〜174の乗算器の個数よ
りも1だけ少ない正の整数である。ここで、クラリネッ
トの出力する最低音を例えば100〔Hz〕とし、基準クロ
ックCfの周波数を20〔KHz〕とすると、単位遅延器の個
数Nは4分の1波長管の場合には(2)式のように決定
することができる。
N=(1/2)・(1/100〔Hz〕)・20000〔Hz〕 =100 ……(2) 遅延部122において、ノート信号Jに対応した音高音
を形成するための係数制御は、反射係数発生部160にお
いて、各ノート信号Jつまり各音高の時間周期Tに対応
させて、(1)式により得られるr(i・Cf)を演算発
生した後に、これらを乗算器171〜174へ供給することに
なる。
を形成するための係数制御は、反射係数発生部160にお
いて、各ノート信号Jつまり各音高の時間周期Tに対応
させて、(1)式により得られるr(i・Cf)を演算発
生した後に、これらを乗算器171〜174へ供給することに
なる。
キーオン処理部123からオン信号dが出力されると遅
延部122は、変換部121から出力される進行波圧力qoに対
して、反射波圧力qiの演算を開始することになる。
延部122は、変換部121から出力される進行波圧力qoに対
して、反射波圧力qiの演算を開始することになる。
以上のようにして、第10図の端子180から出力される
進行波圧力q0はデジタル楽音として、また、端子181か
ら出力される反射波圧力qiは変換部121への入力として
出力されることになる。
進行波圧力q0はデジタル楽音として、また、端子181か
ら出力される反射波圧力qiは変換部121への入力として
出力されることになる。
なお、第10図の端子180から出力されるデジタル楽音
を早く出力させるために、端子185から出力させてもよ
い。
を早く出力させるために、端子185から出力させてもよ
い。
また、他のバイオリンの弦、パイプオルガン等の楽器
についても上述したクラリネットと同様の動作によって
楽音が合成される。
についても上述したクラリネットと同様の動作によって
楽音が合成される。
しかしながら、上記従来の構成によれば、反射係数を
発音指示された後に算出してから楽音合成が開始される
ために楽音出力が遅くなるという問題点があった。
発音指示された後に算出してから楽音合成が開始される
ために楽音出力が遅くなるという問題点があった。
さらに、アコースティックな、つまり、自然楽器のそ
れぞれに固有な発振(発音)のメカニズムを再現するこ
とはできても、高音質な楽音を合成することが困難であ
る。例えば、上述したクラリネットの場合において、音
高を変化させたときに合成される音は、クラリネットの
管長を変化させた音、例えば、1オクターブ上の音は管
の長さ(マウスピースからベルまで)が半分のクラリネ
ットで演奏することと等価になってしまうという問題点
を有していた。
れぞれに固有な発振(発音)のメカニズムを再現するこ
とはできても、高音質な楽音を合成することが困難であ
る。例えば、上述したクラリネットの場合において、音
高を変化させたときに合成される音は、クラリネットの
管長を変化させた音、例えば、1オクターブ上の音は管
の長さ(マウスピースからベルまで)が半分のクラリネ
ットで演奏することと等価になってしまうという問題点
を有していた。
また、反射係数を発生させるために複雑な演算を必要
とするという問題点を有していた。
とするという問題点を有していた。
この発明の目的は、上記従来の問題点を解決し、自然
楽器の音高音を簡単に、高音質に合成することが可能な
楽音合成装置を提供することである。
楽器の音高音を簡単に、高音質に合成することが可能な
楽音合成装置を提供することである。
この発明の楽音合成装置は、楽器への駆動入力と反射
波成分とから進行波成分を出力する変換部と、入力され
る進行波成分に対して反射波成分を畳込み演算出力する
フィルタと、楽器を計測して得られる各音高に対応した
複数の反射係数セットを記憶するメモリと、出力音高指
示に対応いた反射係数セットをメモリから読み出しフィ
ルタへ供給する反射係数供給部とを備え、反射係数供給
部は、反射係数セットを構成する複数の反射係数をフィ
ルタにおける演算に必要な反射係数から順次にフィルタ
へ出力するようにしたことを特徴とする。
波成分とから進行波成分を出力する変換部と、入力され
る進行波成分に対して反射波成分を畳込み演算出力する
フィルタと、楽器を計測して得られる各音高に対応した
複数の反射係数セットを記憶するメモリと、出力音高指
示に対応いた反射係数セットをメモリから読み出しフィ
ルタへ供給する反射係数供給部とを備え、反射係数供給
部は、反射係数セットを構成する複数の反射係数をフィ
ルタにおける演算に必要な反射係数から順次にフィルタ
へ出力するようにしたことを特徴とする。
この発明の構成によれば、楽器毎に異なり楽音の音高
によっても異なる楽器の反射特性を予め求めて反射係数
セットとしてメモリに記憶しておくようにしたので、楽
器の発音機構に基づいて、進行波成分と反射波成分とを
演算発生しながら楽音合成する場合に、反射係数供給部
は、入力される音高指示にしたがって、対応する反射係
数セットを選択し、反射係数を読み出しながらフィルタ
へ供給し、フィルタは、変換部から出力される進行波成
分に対して畳込み演算処理により反射波成分を演算出力
し、変換部は、駆動入力と反射波成分とから進行波成分
を出力する。反射係数供給部は、合成動作開始から反射
係数を1個ずつ順次にフィルタへ送出するようにしたの
で、フィルタの演算タイミングに支障をきたすことな
く、合成楽音が出力されることとなる。
によっても異なる楽器の反射特性を予め求めて反射係数
セットとしてメモリに記憶しておくようにしたので、楽
器の発音機構に基づいて、進行波成分と反射波成分とを
演算発生しながら楽音合成する場合に、反射係数供給部
は、入力される音高指示にしたがって、対応する反射係
数セットを選択し、反射係数を読み出しながらフィルタ
へ供給し、フィルタは、変換部から出力される進行波成
分に対して畳込み演算処理により反射波成分を演算出力
し、変換部は、駆動入力と反射波成分とから進行波成分
を出力する。反射係数供給部は、合成動作開始から反射
係数を1個ずつ順次にフィルタへ送出するようにしたの
で、フィルタの演算タイミングに支障をきたすことな
く、合成楽音が出力されることとなる。
以下、この発明の一実施例について図面を参照しなが
ら説明する。
ら説明する。
第1図はこの発明の実施例の楽音合成装置のブロック
図を示すものである。
図を示すものである。
第1図において、220は遅延部、201はメモリである。
なお、120は駆動部、121は変換部、123はキーオン処理
部で、これらは従来例の構成と同じものである。
なお、120は駆動部、121は変換部、123はキーオン処理
部で、これらは従来例の構成と同じものである。
第2図は第1図における遅延部220とメモリ201とのブ
ロック図を示すものである。
ロック図を示すものである。
第2図において、200は反射係数供給部、202はフィル
タである。なお、161〜163は単位遅延器、171〜174は乗
算器、165は累算器で、これらは従来例の構成と同じも
のである。
タである。なお、161〜163は単位遅延器、171〜174は乗
算器、165は累算器で、これらは従来例の構成と同じも
のである。
クラリネットやフルート等の管楽器は、一般に、管の
長さを変化させることによって、音高を制御するが、同
時に管の形状も変化させてしまうことになって、楽音の
音色が音高によって異なることになる。例えば、クラリ
ネットのキーを全て押さえたときには管の全体長を4分
の1波長とする基音を有する楽音が出力されるが、押さ
えていないキーがあるとき、すなわち、開孔部があると
きには、例えば、リードから開孔部までを4分の1波長
とする基音の楽音が出力されるが、その音色は開孔部か
らベルまでの形状によっても影響を受ける。
長さを変化させることによって、音高を制御するが、同
時に管の形状も変化させてしまうことになって、楽音の
音色が音高によって異なることになる。例えば、クラリ
ネットのキーを全て押さえたときには管の全体長を4分
の1波長とする基音を有する楽音が出力されるが、押さ
えていないキーがあるとき、すなわち、開孔部があると
きには、例えば、リードから開孔部までを4分の1波長
とする基音の楽音が出力されるが、その音色は開孔部か
らベルまでの形状によっても影響を受ける。
この実施例においては、管楽器のマウスピース部でイ
ンパルスを発生し、その楽器の各音高(=J)の運指毎
に対応して得られる応答をマウスピース部で測定し、こ
のインパルスレスポンスrj(t)を従来例と同様にして
サンプリングし、そのまま反射係数セットとしてメモリ
201に記憶させておくものとする。なお、各反射係数セ
ット反射係数の個数は、すくなくとも、出力する楽器の
最低音を合成するために必要な単位遅延器の個数(K−
1)のKに等しいものとする。ここで、最低音を合成す
るために必要とする単位遅延器の個数(K−1)のK
は、最低音の音高FL〔Hz〕と基準クロックCf〔Sec〕と
から(3)式のような関係となる。
ンパルスを発生し、その楽器の各音高(=J)の運指毎
に対応して得られる応答をマウスピース部で測定し、こ
のインパルスレスポンスrj(t)を従来例と同様にして
サンプリングし、そのまま反射係数セットとしてメモリ
201に記憶させておくものとする。なお、各反射係数セ
ット反射係数の個数は、すくなくとも、出力する楽器の
最低音を合成するために必要な単位遅延器の個数(K−
1)のKに等しいものとする。ここで、最低音を合成す
るために必要とする単位遅延器の個数(K−1)のK
は、最低音の音高FL〔Hz〕と基準クロックCf〔Sec〕と
から(3)式のような関係となる。
K≧k=1/(FL・Cf) ……(3) (3)式においてkは、サンプリング周期を基準クロ
ックCfとするときの最低音の1周期語長であり、kを中
心として反射係数が分布するので、反射係数の個数Kは
2k程度が望ましい。
ックCfとするときの最低音の1周期語長であり、kを中
心として反射係数が分布するので、反射係数の個数Kは
2k程度が望ましい。
反射係数供給部200は、ノート信号J(J=1,2,…,3
2)が入力されると、音高の低い順にメモリ201に記憶さ
れている反射係数セットの中から、ノート信号Jに対応
する記憶開始アドレスADRS0(=J・K−K〔Word〕)
からKワード分の反射係数を読みだし、K個の乗算器17
1〜174へそれぞれに対応する反射係数を送出するので、
ノート信号J毎に異なる特性の反射波圧力qiが演算出力
される。
2)が入力されると、音高の低い順にメモリ201に記憶さ
れている反射係数セットの中から、ノート信号Jに対応
する記憶開始アドレスADRS0(=J・K−K〔Word〕)
からKワード分の反射係数を読みだし、K個の乗算器17
1〜174へそれぞれに対応する反射係数を送出するので、
ノート信号J毎に異なる特性の反射波圧力qiが演算出力
される。
以下、反射係数供給部200について第2図ないし第4
図を参照しながら説明する。
図を参照しながら説明する。
第3図は第2図における反射係数供給部200のブロッ
ク図を示すものである。
ク図を示すものである。
第3図において、250〜252はレジスタ、253はスイッ
チ、254はインバータ、255はアンド回路、256は乗算
器、257〜260は加算器、261〜263はラッチである。
チ、254はインバータ、255はアンド回路、256は乗算
器、257〜260は加算器、261〜263はラッチである。
なお、第4図に反射係数供給部200の各部のタイミン
グチャートを示す。
グチャートを示す。
反射係数供給部200の各部は、基準クロックCfとレジ
スタ252のゼロフラグとから決まるアンド回路255より出
力されるクロックの整数倍のタイミングで、動作をする
ものとする。
スタ252のゼロフラグとから決まるアンド回路255より出
力されるクロックの整数倍のタイミングで、動作をする
ものとする。
まず、キーオン処理部123からリセット信号cが出力
されると、レジスタ250には、入力されるノート信号J
から上述のようにして加算器257と乗算器256とによって
演算されたアドレスデータADRS0が初期設定される。同
時に、レジスタ251とレジスタ252にはそれぞれ0と(K
−1)とが初期設定される。また、ラッチ261〜263も0
に初期設定される。メモリ201は、レジスタ250から出力
されるアドレスデータADRS0に対応する反射係数DATA0を
出力する。スイッチ253は、反射係数DATA0をレジスタ25
1の内容が示す値“0"に従って第0番目のラッチ261へ送
出し、ラッチ261の内容“DATA0"はフィルタ202の第0番
目の乗算器171で有効な乗算値として使用される。この
とき、フィルタ202内の他の乗算器172〜174は、ラッチ2
62〜263の内容が“0"となっているため有効な演算とし
ては機能しないことになる。
されると、レジスタ250には、入力されるノート信号J
から上述のようにして加算器257と乗算器256とによって
演算されたアドレスデータADRS0が初期設定される。同
時に、レジスタ251とレジスタ252にはそれぞれ0と(K
−1)とが初期設定される。また、ラッチ261〜263も0
に初期設定される。メモリ201は、レジスタ250から出力
されるアドレスデータADRS0に対応する反射係数DATA0を
出力する。スイッチ253は、反射係数DATA0をレジスタ25
1の内容が示す値“0"に従って第0番目のラッチ261へ送
出し、ラッチ261の内容“DATA0"はフィルタ202の第0番
目の乗算器171で有効な乗算値として使用される。この
とき、フィルタ202内の他の乗算器172〜174は、ラッチ2
62〜263の内容が“0"となっているため有効な演算とし
ては機能しないことになる。
次に、キーオン処理部123が基準クロックcfのタイミ
ングにしたがってオン信号dを出力すると、クロックCL
1に従って、レジスタ250とレジスタ251はそれぞれ1だ
け増加してADRS1と1とになり、また、レジスタ252は1
だけ減少して(K−2)となる。上述と同様の動作によ
って、メモリ201のアドレスADRS1に記憶された反射係数
DATA1が、今度はラッチ262へ送出されて、ラッチ262の
内容“DATA1"はフィルタ202の第1番目の乗算器172で有
効な乗算値として使用される。
ングにしたがってオン信号dを出力すると、クロックCL
1に従って、レジスタ250とレジスタ251はそれぞれ1だ
け増加してADRS1と1とになり、また、レジスタ252は1
だけ減少して(K−2)となる。上述と同様の動作によ
って、メモリ201のアドレスADRS1に記憶された反射係数
DATA1が、今度はラッチ262へ送出されて、ラッチ262の
内容“DATA1"はフィルタ202の第1番目の乗算器172で有
効な乗算値として使用される。
以上の動作を繰り返して、メモリ201のADRS(K−
1)に記憶されたDATA(K−1)がフィルタ202の第
(K−1)番目の乗算器174で有効な乗算値として使用
されるようになると、レジスタ252の値が0となりゼロ
フラグが出力されるため、アンド回路255からクロック
が出力されないようになるので、反射係数供給部200
は、その反射係数供給動作を終了する。
1)に記憶されたDATA(K−1)がフィルタ202の第
(K−1)番目の乗算器174で有効な乗算値として使用
されるようになると、レジスタ252の値が0となりゼロ
フラグが出力されるため、アンド回路255からクロック
が出力されないようになるので、反射係数供給部200
は、その反射係数供給動作を終了する。
以上のようにして、反射係数供給部200は、基準クロ
ックCfに準じたタイミングに従って、反射係数を演算に
必要な順に、順次送出することになる。
ックCfに準じたタイミングに従って、反射係数を演算に
必要な順に、順次送出することになる。
駆動部120と変換部121とキーオン処理部123と遅延部2
20の単位遅延器161〜163および乗算器171〜174とは、従
来と同様の動作によって基準クロックCfに対応した楽音
合成がなさるので、端子190からは、進行波圧力qoが音
高により異なる反射波の影響を受ける楽音として出力さ
れることになる。なお、端子195からデジタル楽音出力
をとるようにすれば、キーオン信号aがオンになってか
ら、1基準クロックCfの遅れだけで発音を開始すること
ができる。また、端子191から出力される反射波圧力qi
は、変換部121への入力として出力されることになる。
20の単位遅延器161〜163および乗算器171〜174とは、従
来と同様の動作によって基準クロックCfに対応した楽音
合成がなさるので、端子190からは、進行波圧力qoが音
高により異なる反射波の影響を受ける楽音として出力さ
れることになる。なお、端子195からデジタル楽音出力
をとるようにすれば、キーオン信号aがオンになってか
ら、1基準クロックCfの遅れだけで発音を開始すること
ができる。また、端子191から出力される反射波圧力qi
は、変換部121への入力として出力されることになる。
なお、この実施例では、管楽器の例について説明した
が、弦楽器や打楽器などの他の楽器についても同様にし
て、その楽器において各音高を形成する状態毎に、駆動
点にインパルスを入力したときに、駆動点に反射してく
るインパルスレスポンスrj(t)をその音高に対応する
反射係数セットとしてメモリ201に記憶させておくこと
により構成することができる。
が、弦楽器や打楽器などの他の楽器についても同様にし
て、その楽器において各音高を形成する状態毎に、駆動
点にインパルスを入力したときに、駆動点に反射してく
るインパルスレスポンスrj(t)をその音高に対応する
反射係数セットとしてメモリ201に記憶させておくこと
により構成することができる。
以上のようにこの実施例によれば、各音高に対応し
て、実際の楽器と同様に反射特性の異なる反射係数セッ
トをメモリ201から読み出すようにしたので、反射係数
セットを計算することなく、楽器毎に適切な段数のフィ
ルタ202によって、自然楽器と同様の音色を簡単に、高
音質に合成することが可能となる。また、反射係数セッ
トを計算する必要がないので、発音指示に対する発音開
始の時間遅れを非常に小さくすることが可能となる。
て、実際の楽器と同様に反射特性の異なる反射係数セッ
トをメモリ201から読み出すようにしたので、反射係数
セットを計算することなく、楽器毎に適切な段数のフィ
ルタ202によって、自然楽器と同様の音色を簡単に、高
音質に合成することが可能となる。また、反射係数セッ
トを計算する必要がないので、発音指示に対する発音開
始の時間遅れを非常に小さくすることが可能となる。
また、この実施例では、フィルタ202を非巡回型のフ
ィルタとして構成したので、基準クロックCfに対応する
タイミング毎に反射係数を1個ずつフィルタ202へ送出
してもフィルタ202での演算タイミングに支障をきたす
ことなく楽音合成が可能となる。
ィルタとして構成したので、基準クロックCfに対応する
タイミング毎に反射係数を1個ずつフィルタ202へ送出
してもフィルタ202での演算タイミングに支障をきたす
ことなく楽音合成が可能となる。
この発明の楽音合成装置は、楽器の発音機構に基づい
て、進行波成分と反射波成分とを演算発生しながら楽音
合成するに際して、楽器毎に異なり楽音の音高によって
も異なる楽器の反射特性を予め求めて反射係数セットと
してメモリに記憶しておき、反射係数供給部が、出力音
高指示に対応した反射係数セットをメモリから読み出
し、反射係数セットを構成する複数の反射係数を、合成
動作開始から1個ずつ順次にフィルタへ送出するように
したので、フィルタの演算タイミングに支障をきたすこ
となく、高音質で、かつ、合成楽音出力開始の時間遅れ
が少ない楽音合成ができる。
て、進行波成分と反射波成分とを演算発生しながら楽音
合成するに際して、楽器毎に異なり楽音の音高によって
も異なる楽器の反射特性を予め求めて反射係数セットと
してメモリに記憶しておき、反射係数供給部が、出力音
高指示に対応した反射係数セットをメモリから読み出
し、反射係数セットを構成する複数の反射係数を、合成
動作開始から1個ずつ順次にフィルタへ送出するように
したので、フィルタの演算タイミングに支障をきたすこ
となく、高音質で、かつ、合成楽音出力開始の時間遅れ
が少ない楽音合成ができる。
第1図はこの発明の一実施例の楽音合成装置のブロック
図、第2図は第1図における遅延部とメモリの構成を示
すブロック図、第3図は第2図における反射係数供給部
の構成を示すブロック図、第4図は第2図における反射
係数供給部の動作タイミング図、第5図はクラリネット
の断面図、第6図はリード近傍の圧力と流速の関係図、
第7図は反射係数特性図、第8図は従来例の楽音合成装
置のブロック図、第9図および第10図は従来例における
各部のブロック図である。 121……変換部、200……反射係数供給部、201……メモ
リ、202……フィルタ、220……遅延部
図、第2図は第1図における遅延部とメモリの構成を示
すブロック図、第3図は第2図における反射係数供給部
の構成を示すブロック図、第4図は第2図における反射
係数供給部の動作タイミング図、第5図はクラリネット
の断面図、第6図はリード近傍の圧力と流速の関係図、
第7図は反射係数特性図、第8図は従来例の楽音合成装
置のブロック図、第9図および第10図は従来例における
各部のブロック図である。 121……変換部、200……反射係数供給部、201……メモ
リ、202……フィルタ、220……遅延部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 克芳 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 畠中 正彦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−40199(JP,A) 特開 昭61−138994(JP,A)
Claims (1)
- 【請求項1】楽器への駆動入力と反射波成分とから進行
波成分を出力する変換部と、 入力される前記進行波成分に対して前記反射波成分を畳
込み演算出力するフィルタと、 楽器を計測して得られる各音高に対応した複数の反射係
数セットを記憶するメモリと、 出力音高指示に対応した前記反射係数セットを前記メモ
リから読み出し前記フィルタへ供給する反射係数供給部
とを備え、 前記反射係数供給部は、前記反射係数セットを構成する
複数の反射係数を前記フィルタにおける演算に必要な反
射係数から順次に前記フィルタへ出力するようにしたこ
とを特徴とする楽音合成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2161759A JP2572875B2 (ja) | 1990-06-19 | 1990-06-19 | 楽音合成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2161759A JP2572875B2 (ja) | 1990-06-19 | 1990-06-19 | 楽音合成装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0451297A JPH0451297A (ja) | 1992-02-19 |
JP2572875B2 true JP2572875B2 (ja) | 1997-01-16 |
Family
ID=15741356
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2161759A Expired - Fee Related JP2572875B2 (ja) | 1990-06-19 | 1990-06-19 | 楽音合成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2572875B2 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61138994A (ja) * | 1984-12-11 | 1986-06-26 | セイコーインスツルメンツ株式会社 | 電子楽器 |
EP0248527B1 (en) * | 1986-05-02 | 1995-02-01 | The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University | Digital reverberation system |
-
1990
- 1990-06-19 JP JP2161759A patent/JP2572875B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0451297A (ja) | 1992-02-19 |
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Legal Events
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LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |