JPH10143162A - 楽音合成装置 - Google Patents

楽音合成装置

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JPH10143162A
JPH10143162A JP8296069A JP29606996A JPH10143162A JP H10143162 A JPH10143162 A JP H10143162A JP 8296069 A JP8296069 A JP 8296069A JP 29606996 A JP29606996 A JP 29606996A JP H10143162 A JPH10143162 A JP H10143162A
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Masahiro Nakanishi
雅浩 中西
Daisuke Mori
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    • G10MUSICAL INSTRUMENTS; ACOUSTICS
    • G10HELECTROPHONIC MUSICAL INSTRUMENTS; INSTRUMENTS IN WHICH THE TONES ARE GENERATED BY ELECTROMECHANICAL MEANS OR ELECTRONIC GENERATORS, OR IN WHICH THE TONES ARE SYNTHESISED FROM A DATA STORE
    • G10H2250/00Aspects of algorithms or signal processing methods without intrinsic musical character, yet specifically adapted for or used in electrophonic musical processing
    • G10H2250/471General musical sound synthesis principles, i.e. sound category-independent synthesis methods
    • G10H2250/481Formant synthesis, i.e. simulating the human speech production mechanism by exciting formant resonators, e.g. mimicking vocal tract filtering as in LPC synthesis vocoders, wherein musical instruments may be used as excitation signal to the time-varying filter estimated from a singer's speech
    • G10H2250/501Formant frequency shifting, sliding formants

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  • Electrophonic Musical Instruments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 自然楽器音の音高特性(移動フォルマント特
性)と時間特性(過渡特性)を簡単な回路構成を用いて
シミュレートする。 【解決手段】 波形発生部15または遅延器16が生成
する基準波形yin と非線形振動部11が生成する振動
波形yn との差分(yin −yn )に対して、計時用カ
ウンタ19のカウント値に対応して摂動ゲイン制御用テ
ーブル20から読み出した時間経過とともに可変の摂動
ゲインKn を乗算器13において掛け算して非線形振動
部11に対する摂動波形b′(fyn =Kn (yin
n ))を得る一方、ピッチデータdに対応して固有振
動周波数制御用テーブル18から読み出した時間差分項
ΔTn を非線形振動部11の差分方程式f(ΔTn ,K
n)に設定し、摂動波形b′により非線形振動部11の
差分方程式f(ΔTn ,Kn )を摂動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子鍵盤楽器(電
子ピアノ・電子オルガン・電子キーボードなど)やシン
セサイザなどの電子楽器の音源、パソコンに搭載されて
MIDIケーブルを介して演奏情報を送出するときの音
源モジュールなどとして用いられる楽音合成装置に関
し、特に非線形の微分方程式(例えば、レスラーの方程
式やファンデアポールの方程式など)で記述される自励
振動系を楽音の合成原理に応用したものに関する。楽音
とは、一般的には、「楽器の演奏によって奏でられる
音」の意である。ただし、シンセサイザ等の場合には人
の声も含むものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の装置として、非線形の微
分方程式で記述される自励振動系をアナログ回路で実現
したものが開示されている(Mayer-Kress:"Musical Sig
nals from Chua's Circuit",IEEE TRANSACTIONS ON CIR
CUITS AND SYSTEMS-II:ANALOGAND DIGITAL SIGNAL PROC
ESSING, VOL.40, NO.10, OCTOBER 1993 p688-p695)。
この文献によれば、非線形の微分方程式で記述される自
励振動系の回路が生成するリミットサイクル(安定な周
期的振動)やカオス(不安定な非周期的振動)を楽音に
応用した回路例が記載されている。この振動系の他に
も、例えばファンデアポールやローレンツシステムな
ど、非線形の微分方程式で記述される自励振動系が一般
的に知られている。
【0003】これらのリミットサイクルやカオスはもと
もと自励振動系が潜在的に内在しているものであり、リ
ミットサイクルをどのようにして抽出するのかが問題と
なる。
【0004】また、これらの振動系をデジタルシミュレ
ートしたものも開示されている(Rick-Bidlack:"Chaoti
c Systems as Simple(but Complex) Compositional Alg
orithms",Computer Music Journal, Vol.16, Number.3,
Fall 1992 p33-p47)。この文献によれば、非線形の微
分方程式で記述される自励振動系をオイラーの差分法を
用いて差分方程式に変換することにより、コンピュータ
(デジタル演算)上で自励振動系の振動をシミュレート
した例が紹介されている。これらの振動系は、適当な初
期値を与えたり、外的な強制振動(摂動)を与えること
により、ある種の振動状態(リミットサイクルと呼ばれ
る周期性のある振動や、カオス状態と呼ばれる不安定な
非周期的振動)になったり、また差分方程式中の係数値
(a,b,c)を変更することによりその振動の形態が
変化することが知られている。
【0005】また、これらの振動系がカオス状態になら
ないように制御する方法についても開示されている(K.
Pyragas:"Continuous control of chaos by self-contr
ollingfeedback",Physics Letters A 170, 1992 p421-p
428:以降、文献Aとする)。この文献Aによれば、例
えばロスラーやローレンツやダフィングといった振動系
に外的摂動を与えたり、自己フィードバック系にするこ
とにより、系の振動を安定した周期的振動にすることに
ついて記載されている。なお、摂動とは、振動系に対し
て外部から強制的にさらに振動を加えることである。ま
た、自励振動系に潜在的に内在している周期性のある振
動、ないしは自励振動系の振動を安定した周期的振動に
することを「リミットサイクル」と称する。
【0006】以下、図面を参照しながら上述したような
従来の楽音合成装置について説明する。
【0007】図14は従来の技術に係る楽音合成装置の
構成を示すブロック図である。これは上記の文献Aに該
当する。図14において、11は非線形の自励振動系に
相当する演算を行う非線形振動部、12は選択器17の
出力yin から非線形振動部11の出力yn (後述する
式(数2)のyn )を減算する減算器、13は減算器1
2の出力である周期波形bに相当する(yin −yn
に所定の増幅率である摂動ゲインKn を乗算する乗算
器、14は例えば電子鍵盤楽器の鍵盤を押したときに生
じる発音フラグKON(「キーオン」と呼ぶ)が入力さ
れている間は非線形振動部11の出力を楽音波形cとし
て出力するゲート回路、15は予めメモリに記憶された
基準波形(正弦波形)yhn を発音フラグKONの入力
に同期して読み出して出力する波形発生部、16はゲー
ト回路14の出力yn をピッチデータdに相当する時間
分だけ遅延させて出力yn (t−D)として出力する遅
延器、17はモード選択フラグMODEが値0のときに
遅延器16の出力yn (t−D)を減算器12に基準波
形yin として送出し、モード選択フラグMODEが値
1のときに波形発生部15の出力yhn を減算器12に
基準波形yin として送出する選択器である。なお、発
音フラグKONは例えば電子鍵盤楽器の鍵盤を押したと
きの発音時には値1となり、鍵盤の押しを解除したとき
の消音時に値0となる。ゲート回路14から出力される
楽音波形cの信号は図示しないD/A変換器、増幅器を
含むサウンドシステムを介してスピーカから音声出力さ
れる。
【0008】波形発生部15は例えば1周期分の正弦波
を記憶した読み出し専用メモリ(ROM)と、発音フラ
グKONの発生時以降にメモリのアドレスを繰り返し更
新するカウンタとを用いて簡単に構成できるので、内部
構成についての説明は省略する。また遅延器16につい
ても、随時読み書きメモリ(RAM)をリングメモリ形
式(ある番地からある番地までの読み出しをサイクリッ
クに行う)で構成し、その読み出しポインタRPと書き
込みポインタWPの間隔であるピッチデータdを楽器の
操作部にある調整つまみ等の操作で調整することにより
遅延量を制御するものであり、これも簡単に構成できる
ので、内部構成についての説明は省略する。また非線形
振動部11はマイコンやDSP(デジタルシグナルプロ
セッサ)などのプログラマブルなプロセッサを用いて実
現することができる。この楽音合成装置は、例えば1チ
ップのデバイスで構成することができる。
【0009】非線形振動部11が、(数2)に示す差分
方程式f(ΔTn ,Kn )をプログラムあるいはIC構
成としてもち、その差分方程式を演算するものであると
する。
【0010】
【数1】
【0011】
【数2】
【0012】(数1)は非線形の微分方程式の1つであ
るレスラーの方程式である。(数2)は(数1)のレス
ラーの方程式を、オイラーの差分法を用いて差分形式に
変換したものである。(数1)のレスラーの方程式はア
ナログ的表現であり、これを(数2)の差分方程式f
(ΔTn ,Kn )に変換することによってデジタル的に
表現している。この変換はあらかじめ人為的に行ってお
り、結果として得られた(数2)の差分方程式f(ΔT
n ,Kn )が非線形振動部11にプログラムとして内蔵
されている。したがって、(数1)から(数2)への変
換手段といったものは、この楽音合成装置には含まれる
ものではない。なお、(数1)、(数2)において、
x,y,zあるいはxn ,yn ,zn は、具体的な物理
量ではなく、純粋に数学的なそしてノンディメンジョン
(無次元)の変数であり、また三次元座標軸における変
数ととらえてよいものである。(数2)の第1式ないし
第3式はそれぞれxn ,yn ,zn の1次導関数である
ことはいうまでもない。前記のxn ,yn ,zn のう
ち、変数yn に対応するものが物理量としての楽音波形
cとして出力されるのであり、xn ,zn は特に出力に
は関与しない。ΔTn は時間差分項(イタレーション間
隔)であり、これもノンディメンジョン(無次元)であ
る。a,b,cは係数である。
【0013】以上のように構成された従来の楽音合成装
置について動作説明をする。図15、図16はそれぞれ
従来の楽音合成装置における楽音波形信号の波形図であ
る。横軸、縦軸はそれぞれ時刻、振幅値に対応する軸で
ある。
【0014】非線形振動部11は、すでに(数1)から
変換済みの差分方程式f(ΔTn ,Kn )である(数
2)を演算するものである。1サンプリング時間(楽音
波形信号の1サンプルを算出する時間で、後述する例で
は(1/200)×(1/240)sec=20.8μ
sec)に相当する時間間隔で発生するシステムクロッ
クSCKの発生毎に、(数2)をm回演算する(mは自
然数)。1回の演算に要する時間は1サンプリング時間
をmで割った時間になる。なお、mは任意に設定できる
値であり、例えば、m=8とすると、1回の演算時間
は、2.6μsecとなる。またシステムクロックSC
Kの周波数を48kHzとする。これは楽音波形信号の
ピッチデータを200Hzとし、1周期に対するサンプ
リング数を240としたときに、200×240=48
000となるからである。システムクロックSCKは遅
延器16にも入力される。
【0015】ここで、乗算器13における摂動ゲインK
n を値0にした場合、つまり、乗算器13から非線形振
動部11への摂動波形信号fyn (=Kn (yin −y
n ))を無しにし、非線形振動部11に対する摂動を行
わないようにした場合、発音フラグKONの発生後にお
いて、楽音波形cは図15に示すような波形になる(た
だし、時間差分項ΔTn =0.005)。この波形はあ
る周期波形に対して、カオス特有の不規則性を付加した
ような波形となる。聴感的には、ブラス系(トランペッ
トやトロンボーンなどの金管楽器)の楽音のような高調
波成分を豊富に含んだ音色(「オンショク」と読む)で
あり、かつピッチ感を極端に弱めたような音色である。
つまり、時間軸方向の周期性が不分明で、音程(ドレミ
ファソラシド)が分かりにくいものとなっている。
【0016】前述した文献Aにおいては、非線形振動部
11が発生する波形を安定した周期波形(リミットサイ
クル)にするために、2つの方法を提案している。
【0017】第1の方法は、外的な周期波形(波形発生
部15による)と非線形振動部11の出力波形との差分
値を用いて非線形振動部11を摂動する方法である。こ
の方法をシミュレートするために、モード選択フラグM
ODEを値1にし、摂動ゲインKn を値0.3に設定
し、さらにピッチデータdを200Hzにすることで、
波形発生部15から200Hzの正弦波形yhn を発生
させる。選択器17はこの正弦波形yhn を基準波形y
n として減算器12に出力する。減算器12は選択器
17からの基準波形yin と非線形振動部11からの振
動波形yn の差分をとって周期波形bに相当する(yi
n −yn )を乗算器13に出力する。乗算器13におい
て固定値の摂動ゲインKn =0.3が乗算され、これに
より乗算器13からKn (yin −yn )で表される摂
動波形b′としての摂動波形信号fyn が非線形振動部
11に出力され、この摂動波形信号fyn によって非線
形振動部11を摂動する。その結果として、図16に示
すような、図15に示す波形が波形発生部15からの正
弦波形yhn (200Hz)の周期に対応する周期性を
もつようになった楽音波形cが得られる。カオスの不規
則性は若干残るものの、ほとんど安定した周期波形が得
られ、音程がはっきりしたものとなり、リミットサイク
ルとなる。なお、図15の波形の振幅は、摂動によって
減衰も受けている。
【0018】第2の方法は、遅延器16を用いて自己フ
ィードバック系を構成する方法で、yn を、遅延器16
による遅延時間Dだけずらせたyn (t−D)とするも
のである。ここでの括弧は関数(ファンクション)であ
ることを意味している(例えば、f(x)と同様の表現
形態)。なお、楽音波形cのピッチデータdを200H
zとすると、D=(1/200)秒となる。これは、波
形発生部15からの正弦波形yhn の1周期分に相当す
る。これで非線形振動部11の波形に対して正弦波形y
n の周期性に代えてそれに対応する周期性をもたせる
のである。サンプリング周波数は48kHzであるの
で、遅延器16の遅延段数は48000/200=24
0段となる。これは、正弦波の1周期内に240個入る
ことに相当する。この第2の方法を用いても、図16に
示す波形のように安定した周期波形が得られる。
【0019】第1の方法と第2の方法とは、摂動波形
b′としての摂動波形信号fyn (=Kn (yin −y
n ))における要素yin の生成方法が異なるだけであ
り、摂動作用を含めた差分方程式はいずれの方法でも
(数3)で表すことができ、非線形振動部11と減算器
12と乗算器13で構成される閉ループ状の回路は(数
3)を演算するものである。(数3)では、fyn =K
n *(yin −yn )とし、このfyn をyn の1次導
関数に加算している。
【0020】
【数3】
【0021】次に、非線形振動部11が、(数5)に示
す差分方程式f(ΔTn ,Kn )をプログラムあるいは
IC構成としてもち、その差分方程式を演算するもので
あるとする。
【0022】
【数4】
【0023】
【数5】
【0024】(数4)は非線形の微分方程式の1つであ
るファンデアポールの方程式である。(数5)は数
(4)のファンデアポールの方程式を、オイラーの差分
法を用いて差分形式に変換したものである。(数4)の
ファンデアポールの方程式はアナログ的表現であり、こ
れを(数5)の差分方程式f(ΔTn ,Kn )に変換す
ることによってデジタル的に表現している。この変換は
あらかじめ人為的に行っており、結果として得られた
(数5)の差分方程式f(ΔTn ,Kn )が非線形振動
部11にプログラムとして内蔵されている。(数4)か
ら(数5)への変換手段といったものは、この楽音合成
装置には含まれるものではない。また、摂動波形信号f
n (=Kn (yin −yn ))による摂動作用を含め
た差分方程式は(数6)で表すことができる。そして、
この場合、非線形振動部11と減算器12と乗算器13
で構成される閉ループ状の回路は(数6)を演算するも
のである。
【0025】
【数6】
【0026】(数6)に基づいて制御される楽音合成装
置において、モード選択フラグMODEを値1として波
形発生部15からの正弦波形yhn を基準波形yin
して選択し、乗算器13における摂動ゲインKn を値0
とすると、楽音波形cは図17に示すような波形とな
る。また、モード選択フラグMODEを値1とし、摂動
ゲインKn を値0.7とすると、図18に示すような楽
音波形cが得られる。
【0027】以上のように、従来の楽音合成装置は、非
線形振動部11の自励振動系に対して基準波形yin
融合することにより、非線形振動部11が有するリミッ
トサイクルを基準波形yin の周期性にマッチングする
状態で抽出し、新たな音色(オンショク)を合成するも
のである。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の楽音合成装置では、ピッチデータd(周波数)
の変更によって楽音波形cの基本ピッチを変更しても、
楽音波形cに重畳されたリミットサイクルの周波数は常
に一定しているので、オーボエや人の声などのいわゆる
固定フォルマント系楽音はシミュレートできても、トラ
ンペット・サキソフォン・ピアノ・ギターなどの移動フ
ォルマント系の楽音をシミュレートできないという問題
点を有していた。なお、フォルマントとは、楽器の音色
を特徴付けるスペクトル包絡の形状(横軸に周波数、縦
軸に音量)のことであり、固定フォルマントとは、その
スペクトル包絡の形状が音程を変えても変化しないもの
であり、移動フォルマントとは、音程を変えるとスペク
トル包絡の形状が変化するものである。
【0029】例えば、トランペットなどの金管楽器で
は、楽音のピッチ(管長で変更)に応じて唇の締め具合
を変化させることにより、基本ピッチに対応する基準の
周期波形に重畳される唇の固有振動の周波数(基本ピッ
チより高い周波数)は基本ピッチに準じて変化する。ま
た、サキソフォンなどにおいては、低い音域では通常、
バリトンサキソフォン(あるいはテナーサキソフォン)
の音色が用いられ、高い音域ではソプラノサキソフォン
(あるいはアルトサキソフォン)の音色が用いられる
が、バリトンサキソフォンは大きなリード(リード自体
の固有振動周波数が低いリード)が用いられるので、管
とリードの共鳴によって形成される基準の周期波形に重
畳されるリードの固有振動の周波数(基本ピッチより高
い周波数)は、ソプラノサキソフォンのリードの固有振
動よりも低い周波数になる。即ち、移動フォルマント系
の楽音においては、楽音波形のピッチに応じて、楽音波
形に重畳されるメジャーな高調波成分(リミットサイク
ルに対応)の周波数が変化するといった特徴を有する。
【0030】また、上述した従来の楽音合成装置では、
図16や図18に示すように、楽音波形信号の立ち上が
り以降、波形形状(音色)がほぼ一定した波形になるの
で、立ち上がりが非周期的で立ち上がり以降次第に周期
性を帯びてくるといった自然楽音特有の時間的音色変化
をシミュレートできないといった問題点を有していた。
例えば、ピアノ音の立ち上がりにおいては、ハンマーが
弦に当たる際の衝撃音(非周期的であり高調波成分を多
く含む波形)が発生し、立ち上がり以降は弦の振動音
(周期的な波形)が成長してくる。またトランペットな
どの金管楽器音の立ち上がりにおいては、唇(リード)
のみの固有振動(基本ピッチとは異なる周波数の振動)
が発生し、立ち上がり以降は管と唇の共鳴音(基本ピッ
チ)が成長してくる。即ち、自然楽音においては、立ち
上がりは楽音波形信号のピッチとは異なる周波数の波形
もしくは非周期的な波形が発生し、立ち上がり以降は基
本ピッチの周期波形になる。
【0031】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ために、本発明に係る楽音合成装置は、非線形微分方程
式で記述される自励振動系を差分形式にデジタルシミュ
レートした非線形振動手段を楽音波形のピッチに相当す
る周期を有した周期波形で摂動させることにより非線形
振動手段の振動を安定化させ所望の楽音波形を合成させ
るに当たり、所望の楽音波形のピッチ要素に応じて非線
形振動手段の差分方程式の時間差分項ΔTn の値を変更
するように構成してある。これによって、非線形振動手
段の演算上の時間軸を圧縮伸張させ、非線形振動手段が
発生する固有振動(リミットサイクル)の周波数を変化
させ、自然楽器音の音色の音高特性をシミュレートす
る。あるいは、時間要素に応じて非線形振動手段の摂動
ゲインKn を変化させるように構成してある。これによ
って、楽音波形の安定度合い(周期性の度合い)及び楽
音波形に重畳されるリミットサイクルの量を調整し、楽
音波形の立ち上がりが不安定周期状態から徐々に安定周
期状態に遷移していくといった自然楽器特有の過渡特性
をシミュレートする。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る請求項1ない
し請求項9の楽音合成装置の構成を説明する。理解を容
易にするため図1〜図9を用いて説明するが、この図示
形態によって本発明は限定されるものではない。
【0033】本発明に係る請求項1の楽音合成装置は、
図1に示すように、非線形微分方程式で記述される自励
振動系を差分形式にデジタルシミュレートした非線形振
動手段aを楽音波形のピッチに相当する周期を有した周
期波形bで摂動させることにより非線形振動手段aの振
動を安定化させ所望の楽音波形cを合成させる楽音合成
装置において、前記非線形振動手段aが演算する差分方
程式f(ΔTn )の時間差分項ΔTn を楽音波形のピッ
チ要素dに応じて制御する手段eを有していることを特
徴としている。所望の楽音波形のピッチ要素dに応じて
非線形振動手段aの差分方程式f(ΔTn )の時間差分
項ΔTn の値を変更することにより非線形振動手段aの
演算上の時間軸を圧縮伸張させ、非線形振動手段aが発
生する固有振動(リミットサイクル)の周波数を変化さ
せ、これによって自然楽器音の音色の音高特性をシミュ
レートすることができる。
【0034】本発明に係る請求項2の楽音合成装置は、
図2に示すように、非線形微分方程式で記述される自励
振動系を差分形式にデジタルシミュレートした非線形振
動手段aを楽音波形のピッチに相当する周期を有した周
期波形bで摂動させることにより非線形振動手段aの振
動を安定化させ所望の楽音波形cを合成させる楽音合成
装置において、前記摂動の摂動ゲインKn を時間要素f
に応じて制御する手段gを有していることを特徴として
いる。時間要素fに応じて非線形振動手段aの摂動ゲイ
ンKn を変化させることにより、楽音波形の安定度合い
(周期性の度合い)及び楽音波形に重畳されるリミット
サイクルの量を調整し、楽音波形cの立ち上がりが不安
定周期状態から徐々に安定周期状態に遷移していくとい
った自然楽器特有の過渡特性をシミュレートすることが
できる。
【0035】本発明に係る請求項3の楽音合成装置は、
上記請求項1をより具体的にするものであって、図3に
示すように、非線形微分方程式で記述される自励振動系
を差分形式にデジタルシミュレートした非線形振動手段
aと、基準波形を発生する波形発生手段hと、前記波形
発生手段hが発生する基準波形yin と前記非線形振動
手段aが出力する振動波形yn との差分(yin −y
n )をとることに基づいて非線形振動手段aを摂動する
摂動波形b′を発生する減算手段iと、所望の楽音波形
cのピッチ要素dに応じて前記非線形振動手段aの時間
差分項ΔTn の値を変更することにより非線形振動手段
aの固有振動の周波数を制御する固有振動周波数制御手
段jとを備えていることを特徴としている。非線形振動
手段aを摂動するための摂動波形b′を発生するのに、
波形発生手段hによる基準波形yin と非線形振動手段
aが出力する振動波形yn とを減算手段iに導いてその
差分(yin −yn )をとることに基づいて摂動波形
b′を発生させている。そして、固有振動周波数制御手
段jが楽音波形cのピッチ要素dに応じて非線形振動手
段aの差分方程式f(ΔTn ,Kn )の時間差分項ΔT
n の値を変更することにより非線形振動手段aの演算上
の時間軸を圧縮伸張させ、非線形振動手段aが発生する
固有振動(リミットサイクル)の周波数を変化させ、こ
れによって自然楽器音の音色の音高特性をシミュレート
することができる。
【0036】本発明に係る請求項4の楽音合成装置は、
上記請求項1をより具体的にするものであって、図4に
示すように、非線形微分方程式で記述される自励振動系
を差分形式にデジタルシミュレートした非線形振動手段
aと、前記非線形振動手段aが出力する振動波形yn
所定時間遅延させた後に基準波形yin として出力する
遅延手段pと、前記遅延手段pが発生する基準波形yi
n と前記非線形振動手段aが出力する振動波形yn との
差分(yin −yn )をとることに基づいて非線形振動
手段aを摂動する摂動波形b′を発生する減算手段i
と、所望の楽音波形cのピッチ要素dに応じて前記非線
形振動手段aの時間差分項ΔTn の値を変更することに
より非線形振動手段aの固有振動の周波数を制御する固
有振動周波数制御手段jとを備えていることを特徴とし
ている。非線形振動手段aを摂動するための摂動波形
b′を発生するのに、非線形振動手段aが出力する振動
波形yn を遅延手段pにより遅延させて生成した基準波
形yin と非線形振動手段aが出力する振動波形yn
を減算手段iに導いてその差分(yin −yn )をとる
ことに基づいて摂動波形b′を発生させている。そし
て、固有振動周波数制御手段jが楽音波形cのピッチ要
素dに応じて非線形振動手段aの差分方程式f(ΔT
n ,Kn )の時間差分項ΔTn の値を変更することによ
り非線形振動手段aの演算上の時間軸を圧縮伸張させ、
非線形振動手段aが発生する固有振動(リミットサイク
ル)の周波数を変化させ、これによって自然楽器音の音
色の音高特性をシミュレートすることができる。
【0037】本発明に係る請求項5の楽音合成装置は、
上記請求項2をより具体的にするものであって、図5に
示すように、非線形微分方程式で記述される自励振動系
を差分形式にデジタルシミュレートした非線形振動手段
aと、基準波形yin を発生する波形発生手段hと、前
記波形発生手段hが発生する基準波形yin と前記非線
形振動手段aが出力する振動波形yn との差分(yin
−yn )をとることに基づいて非線形振動手段aを摂動
する摂動波形b′を発生する減算手段iと、発音開始を
起点として時間経過を計時する計時手段qと、前記計時
手段qが計時した時間データDT に応じて前記減算手段
iが出力する摂動波形b′の摂動ゲインKn を制御する
摂動ゲイン制御手段rとを備えていることを特徴として
いる。非線形振動手段aを摂動するための摂動波形b′
を発生するのに、波形発生手段hによる基準波形yin
と非線形振動手段aが出力する振動波形yn とを減算手
段iに導いてその差分(yin −yn )をとることに基
づいて摂動波形b′を発生させている。そして、計時手
段qが発音開始時点から計時した時間データDT 即ち時
間要素fに応じて減算手段iが出力する非線形振動手段
aの差分方程式f(ΔTn ,Kn )に対する摂動波形
b′の摂動ゲインKn を変化させることにより、楽音波
形の安定度合い(周期性の度合い)及び楽音波形に重畳
されるリミットサイクルの量を調整し、楽音波形cの立
ち上がりが不安定周期状態から徐々に安定周期状態に遷
移していくといった自然楽器特有の過渡特性をシミュレ
ートすることができる。
【0038】本発明に係る請求項6の楽音合成装置は、
上記請求項2をより具体的にするものであって、図6に
示すように、非線形微分方程式で記述される自励振動系
を差分形式にデジタルシミュレートした非線形振動手段
aと、前記非線形振動手段aが出力する振動波形yn
所定時間遅延させた後に基準波形yin として出力する
遅延手段pと、前記遅延手段pが発生する基準波形yi
n と前記非線形振動手段aが出力する振動波形yn との
差分(yin −yn )をとることに基づいて非線形振動
手段aを摂動する摂動波形b′を発生する減算手段i
と、発音開始を起点として時間経過を計時する計時手段
qと、前記計時手段qが計時した時間データDT に応じ
て前記減算手段iが出力する摂動波形b′の摂動ゲイン
n を制御する摂動ゲイン制御手段rとを備えているこ
とを特徴としている。非線形振動手段aを摂動するため
の摂動波形b′を発生するのに、非線形振動手段aが出
力する振動波形yn を遅延手段pにより遅延させて生成
した基準波形yin と非線形振動手段aが出力する振動
波形yn とを減算手段iに導いてその差分(yin −y
n )をとることに基づいて摂動波形b′を発生させてい
る。そして、計時手段qが発音開始時点から計時した時
間データDT 即ち時間要素fに応じて減算手段iが出力
する非線形振動手段aの差分方程式f(ΔTn ,Kn
に対する摂動波形b′の摂動ゲインKn を変化させるこ
とにより、楽音波形の安定度合い(周期性の度合い)及
び楽音波形に重畳されるリミットサイクルの量を調整
し、楽音波形cの立ち上がりが不安定周期状態から徐々
に安定周期状態に遷移していくといった自然楽器特有の
過渡特性をシミュレートすることができる。
【0039】本発明に係る請求項7の楽音合成装置は、
上記請求項1および請求項2を合成してより具体的にす
るものであって、図7に示すように、非線形微分方程式
で記述される自励振動系を差分形式にデジタルシミュレ
ートした非線形振動手段aと、基準波形を発生する波形
発生手段hと、前記波形発生手段hが発生する基準波形
yin と前記非線形振動手段aが出力する振動波形yn
との差分(yin −yn )をとることに基づいて非線形
振動手段aを摂動する摂動波形b′を発生する減算手段
iと、所望の楽音波形cのピッチ要素dに応じて前記非
線形振動手段aの時間差分項ΔTn の値を変更すること
により非線形振動手段aの固有振動の周波数を制御する
固有振動周波数制御手段jと、発音開始を起点として時
間経過を計時する計時手段qと、前記計時手段qが計時
した時間データDT に応じて前記減算手段iが出力する
摂動波形b′の摂動ゲインKn を制御する摂動ゲイン制
御手段rとを備えていることを特徴としている。非線形
振動手段aを摂動するための摂動波形b′を発生するの
に、波形発生手段hによる基準波形yin と非線形振動
手段aが出力する振動波形yn とを減算手段iに導いて
その差分(yin −yn )をとることに基づいて摂動波
形b′を発生させている。そして、固有振動周波数制御
手段jが楽音波形cのピッチ要素dに応じて非線形振動
手段aの差分方程式f(ΔTn ,Kn )の時間差分項Δ
n の値を変更することにより非線形振動手段aの演算
上の時間軸を圧縮伸張させ、非線形振動手段aが発生す
る固有振動(リミットサイクル)の周波数を変化させ、
これによって自然楽器音の音色の音高特性をシミュレー
トすることができる。さらに、計時手段qが発音開始時
点から計時した時間データDT 即ち時間要素fに応じて
減算手段iが出力する非線形振動手段aの差分方程式f
(ΔTn ,Kn )に対する摂動波形b′の摂動ゲインK
n を変化させることにより、楽音波形の安定度合い(周
期性の度合い)及び楽音波形に重畳されるリミットサイ
クルの量を調整し、楽音波形cの立ち上がりが不安定周
期状態から徐々に安定周期状態に遷移していくといった
自然楽器特有の過渡特性をシミュレートすることができ
る。
【0040】本発明に係る請求項8の楽音合成装置は、
上記請求項1および請求項2を合成してより具体的にす
るものであって、図8に示すように、非線形微分方程式
で記述される自励振動系を差分形式にデジタルシミュレ
ートした非線形振動手段aと、前記非線形振動手段aが
出力する振動波形yn を所定時間遅延させた後に基準波
形yin として出力する遅延手段pと、前記遅延手段p
が発生する基準波形yin と前記非線形振動手段aが出
力する振動波形yn との差分(yin −yn )をとるこ
とに基づいて非線形振動手段aを摂動する摂動波形b′
を発生する減算手段iと、発音開始を起点として時間経
過を計時する計時手段qと、前記計時手段qが計時した
時間データDT に応じて前記減算手段iが出力する摂動
波形b′の摂動ゲインKn を制御する摂動ゲイン制御手
段rと、所望の楽音波形cのピッチ要素dに応じて前記
非線形振動手段aの時間差分項ΔTn の値を変更するこ
とにより非線形振動手段aの固有振動の周波数を制御す
る固有振動周波数制御手段jとを備えていることを特徴
としている。非線形振動手段aを摂動するための摂動波
形b′を発生するのに、非線形振動手段aが出力する振
動波形yn を遅延手段pにより遅延させて生成した基準
波形yin と非線形振動手段aが出力する振動波形yn
とを減算手段iに導いてその差分(yin −yn )をと
ることに基づいて摂動波形b′を発生させている。そし
て、計時手段qが発音開始時点から計時した時間データ
T 即ち時間要素fに応じて減算手段iが出力する非線
形振動手段aの差分方程式f(ΔTn ,Kn )に対する
摂動波形b′の摂動ゲインKnを変化させることによ
り、楽音波形の安定度合い(周期性の度合い)及び楽音
波形に重畳されるリミットサイクルの量を調整し、楽音
波形cの立ち上がりが不安定周期状態から徐々に安定周
期状態に遷移していくといった自然楽器特有の過渡特性
をシミュレートすることができる。さらに、固有振動周
波数制御手段jが楽音波形cのピッチ要素dに応じて非
線形振動手段aの差分方程式f(ΔTn ,Kn )の時間
差分項ΔTn の値を変更することにより非線形振動手段
aの演算上の時間軸を圧縮伸張させ、非線形振動手段a
が発生する固有振動(リミットサイクル)の周波数を変
化させ、これによって自然楽器音の音色の音高特性をシ
ミュレートすることができる。
【0041】本発明に係る請求項9の楽音合成装置は、
上記請求項1および請求項2を合成してより具体的にす
るものであって、図9に示すように、非線形微分方程式
で記述される自励振動系を差分形式にデジタルシミュレ
ートした非線形振動手段aと、第1の基準波形yhn
発生する波形発生手段hと、前記非線形振動手段aが出
力する振動波形yn を所定時間遅延させた後に第2の基
準波形yn (t−D)として出力する遅延手段pと、前
記第1の基準波形yhn と前記第2の基準波形yn (t
−D)とを切り換えて基準波形yin として選択的に出
力する選択手段sと、前記選択手段sが発生する基準波
形yin と前記非線形振動手段aが出力する振動波形y
n との差分(yin −yn )をとることに基づいて非線
形振動手段aを摂動する摂動波形b′を発生する減算手
段iと、発音開始を起点として時間経過を計時する計時
手段qと、前記計時手段qが計時した時間データDT
応じて前記減算手段iが出力する摂動波形b′の摂動ゲ
インKn を制御する摂動ゲイン制御手段rと、所望の楽
音波形cのピッチ要素dに応じて前記非線形振動手段a
の時間差分項ΔTn の値を変更することにより非線形振
動手段aの固有振動の周波数を制御する固有振動周波数
制御手段jとを備えていることを特徴としている。選択
手段sにおいて波形発生手段hからの第1の基準波形y
n と遅延手段pからの第2の基準波形yn (t−D)
とのうちいずれかを基準波形yin として選択し、減算
手段iに出力する。非線形振動手段aを摂動するための
摂動波形b′を発生するのに、非線形振動手段aが出力
する振動波形yn を選択手段sにより選択した基準波形
yin と非線形振動手段aが出力する振動波形yn とを
減算手段iに導いてその差分(yin −yn )をとるこ
とに基づいて摂動波形b′を発生させている。そして、
計時手段qが発音開始時点から計時した時間データDT
即ち時間要素fに応じて減算手段iが出力する非線形振
動手段aの差分方程式f(ΔTn ,Kn )に対する摂動
波形b′の摂動ゲインKn を変化させることにより、楽
音波形の安定度合い(周期性の度合い)及び楽音波形に
重畳されるリミットサイクルの量を調整し、楽音波形c
の立ち上がりが不安定周期状態から徐々に安定周期状態
に遷移していくといった自然楽器特有の過渡特性をシミ
ュレートすることができる。さらに、固有振動周波数制
御手段jが楽音波形cのピッチ要素dに応じて非線形振
動手段aの差分方程式f(ΔTn ,Kn )の時間差分項
ΔTn の値を変更することにより非線形振動手段aの演
算上の時間軸を圧縮伸張させ、非線形振動手段aが発生
する固有振動(リミットサイクル)の周波数を変化さ
せ、これによって自然楽器音の音色の音高特性をシミュ
レートすることができる。
【0042】以下、本発明に係る楽音合成装置の具体的
な実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明す
る。
【0043】図10は本発明の実施の形態における楽音
合成装置の構成を示すブロック図である。図10におい
て、従来の技術に係る図14におけるのと同一符号は同
一構成を示し、再度説明すると、11はマイコンやDS
P(デジタルシグナルプロセッサ)などのプログラマブ
ルなプロセッサを用いて構成されるもので非線形の自励
振動系に相当する差分方程式f(ΔTn ,Kn )の演算
を行う非線形振動部、12は選択器17の出力yin
ら非線形振動部11の出力yn を減算する減算器、13
は減算器12の出力である周期波形bに相当する(yi
n −yn )に対して時間要素に応じて可変の摂動ゲイン
n を乗算する乗算器、14は例えば電子鍵盤楽器の鍵
盤を押したときに生じる発音フラグKON(「キーオ
ン」)が入力されている間は非線形振動部11の出力を
楽音波形cとして出力するゲート回路、15は予めメモ
リに記憶された基準波形(正弦波形)yhn を発音フラ
グKONの入力に同期して読み出して出力する波形発生
部、16はゲート回路14の出力yn をピッチデータd
に相当する時間分だけ遅延させて出力yn (t−D)と
して出力する遅延器、17はモード選択フラグMODE
が値0のときに遅延器16の出力yn (t−D)を減算
器12に基準波形yin として送出し、モード選択フラ
グMODEが値1のときに波形発生部15の出力yhn
を減算器12に基準波形yin として送出する選択器、
SCKは非線形振動部11、遅延器16および後述する
カウンタ19に入力されるシステムクロックである。発
音フラグKONは例えば電子鍵盤楽器の鍵盤を押したと
きの発音時には値1となり、鍵盤の押しを解除したとき
の消音時に値0となる。ゲート回路14から出力される
楽音波形信号は図示しないD/A変換器、増幅器を含む
サウンドシステムを介してスピーカから音声出力され
る。
【0044】本実施の形態においては、以上の構成に加
えて次のような構成を備えている。図10において、1
8はピッチデータd(例えば鍵盤楽器の場合は押す鍵盤
の位置によって定まる)をアドレスとして内部に記憶さ
れた時間差分項ΔTn の対応する値を読み出す固有振動
周波数制御用テーブル、19は発音フラグKONの発生
の瞬間にリセットされ、その後、システムクロックSC
Kの発生毎にカウント値を1ずつインクリメントし、カ
ウント値が最大値として設定してある例えば4095
(=212−1)に達した時点で、その最大値4095を
保持する計時用カウンタ、20は計時用カウンタ19の
カウント値である時間データDT をアドレスとして内部
に記憶された摂動ゲインKn の値を読み出す摂動ゲイン
制御用テーブルである。固有振動周波数制御用テーブル
18においては、例えば後出の(表1)に示すように、
ピッチデータdと時間差分項ΔTn とが対応付けられて
いる。摂動ゲイン制御用テーブル20においては、例え
ば後出の(表2)に示すように、計時用カウンタ19の
カウント値と摂動ゲインKn とが対応付けられている。
これらのテーブルはマイコンのROMに格納されてい
る。(表1)、(表2)は後述するようにサキソフォン
属に係るものであるが、このようなテーブルが適用する
楽器の種類数だけ用意されていて、それを選択するよう
になっている。この楽音合成装置は、例えば1チップの
デバイスで構成することができる。
【0045】図11、図12、図13は本発明の実施の
形態に係る楽音合成装置における楽音波形信号の波形図
である。これらの図において、横軸、縦軸はそれぞれ時
刻、振幅値に対応する軸である。
【0046】以上のように構成された楽音合成装置の動
作について以下に説明する。基本的な合成動作は従来の
楽音合成装置と同様であるので、相違点のみについて説
明する。なお、選択器17に対するモード選択フラグM
ODEは値0でも値1でもほぼ同様の特性をもった楽音
波形cが得られるので、ここではモード選択フラグMO
DEを値1にした場合、即ち波形発生部15の出力yh
n を選択器17で選んで摂動波形信号fyn の要素yi
n として動作させた場合についてのみ説明する。
【0047】まず、非線形振動部11が(数6)に示す
ファンデアポールの方程式に対応する摂動作用を含めた
差分方程式f(ΔTn ,Kn )を演算する機能を有して
いるとする。
【0048】従来の楽音合成装置では時間差分項ΔTn
の値を0.005として演算し、摂動ゲインKn が値0
の場合、図17に示すような楽音波形(リミットサイク
ル)が得られた。
【0049】システム構成を複雑にせずに、リミットサ
イクルの周波数をピッチデータdに応じて変化させるた
めには、システム全体の動作周波数を常に一定とする、
即ちシステムクロックSCKの発生タイミングを時間的
に変更させないような方法をとる必要がある。そのため
の方法としては、例えば非線形振動部11を、正弦波を
発生するような2次の線形フィルタのような線形システ
ムで構成する場合においては、フィルタの係数を調整し
て発振周波数を変更する手法が考えられる。
【0050】しかし、本発明の本実施の形態において
は、非線形振動部11は非線形システムであるので、フ
ィルタの係数調整で一意的にリミットサイクル周波数を
調整することが困難である。なぜならば、非線形システ
ムの場合、リミットサイクルのモード(周波数の違いも
含む)が係数の連続的な変化に対して飛び飛びに変化す
る(連続的に変化しない)ものであり、また非線形シス
テムの種類によっては突然にカオス状態になるものもあ
るからである。
【0051】そこで、本発明の実施の形態においては、
固有振動周波数制御用テーブル18においてピッチデー
タdに応じて時間差分項ΔTn の値を制御することによ
り、非線形振動部11が生成するリミットサイクルのみ
の時間スケールを変化させることとしている。
【0052】従来の場合の図17、図18においては、
時間差分項ΔTn を値0.005としていたが、これに
対して、本実施の形態において、時間差分項ΔTn を値
0.02とし、摂動ゲインKn を値0とすると、図11
に示す楽音波形が得られる。また時間差分項ΔTn の値
0.02のままで、摂動ゲインKn を値0.7とする
と、図12に示す楽音波形が得られる。図12と図18
とを比較すると、明らかに図12の方が、周波数の高い
リミットサイクルが基準波形(200Hzの正弦波)に
重畳されていることがわかる。従って、楽音波形のピッ
チに応じてリミットサイクルの周波数を制御するために
は、(表1)に示すような、ピッチデータdと時間差分
項ΔTn を対応付けるテーブルを設ければよい。
【0053】
【表1】
【0054】表1はサキソフォン属の音色特性をシミュ
レートするための変換特性を有したものである。110
Hz付近はバリトンサキソフォンの音色が多用される音
域であり、ピッチが上がるにつれテナーサキソフォン、
アルトサキソフォンとなり、そして440Hz付近はソ
プラノサキソフォンの音色が多用される音域となる。即
ち、音域(ピッチ)によって、多用されるサキソフォン
の種類が異なる。
【0055】そこで、各種サキソフォンの音色を特徴付
けるメジャーな要素であるリードの固有振動数(基本ピ
ッチより高い振動モードのもの)に着目し、これを音域
によって変更することにより、全音域に亘るサキソフォ
ンの特徴(音高特性)をシミュレートすることができ
る。そのために、本発明の実施の形態においては、(表
1)に示すように、非線形振動部11が生成するリミッ
トサイクルの周波数(上記リードの固有振動数に対応す
るもの)を決定する時間差分項ΔTn を音域(ピッチ)
に応じて変更するように構成したのである。
【0056】なお、(表1)のようにピッチデータの値
が大きくなるにつれて時間差分項ΔTn の値が連続的に
大きくなる特性にするのではなく、例えば、あるピッチ
データの値において不連続的に大きくなる、即ち階段状
の特性にしてもよい。また、時間差分項ΔTn とリミッ
トサイクルの周波数の関係は、非線形振動部11が演算
する差分方程式f(ΔTn ,Kn )の種類等によって異
なるものであり、また、実際上、サキソフォンのリード
の固有振動数自体も個体差があるものなので、理論的に
一意に決定できるものではない。固有振動周波数制御用
テーブル18は適用する楽器の種類数だけ用意されてい
て、それを選択するようになっている。従って、時間差
分項ΔTn とリミットサイクルの周波数の関係は、自然
楽器音及び合成された楽音波形の計測、試聴によって、
試行錯誤的に決定することになる。
【0057】次に、非線形振動部11が(数3)に示す
レスラーの方程式に対応する摂動作用を含めた差分方程
式f(ΔTn ,Kn )を演算する機能を有しているとす
る。
【0058】従来の楽音合成装置では、楽音波形の立ち
上がり以降、摂動ゲインKn の値を0.3に固定して合
成していたのに対し、本発明の実施の形態においては、
計時用カウンタ19が発音フラグKONの発生以降、シ
ステムクロックSCKの発生タイミングに応じてカウン
ト値を値0から1ずつインクリメントし、(表2)の変
換特性を有した摂動ゲイン制御用テーブル20が計時用
カウンタ19のカウント値に応じて摂動ゲインKn を値
0から値0.3に向けて徐々に増大させ、値0.3に到
達した後は値0.3を保持するように合成する。
【0059】
【表2】
【0060】表2によれば、計時用カウンタ19のカウ
ント値が値2000になるまで摂動ゲインKn を一定の
ステップ(0.00015)で値0から値0.3まで徐
々に増大させ、カウント値が値2000に達した時点で
摂動ゲインKn を値0.3に保持するといった特性であ
る。この特性に従って摂動ゲインKn を時間的に制御す
ることにより、楽音波形は図13に示すような波形とな
る。即ち、楽音波形が立ち上がりから2000ポイント
分(基本ピッチである200Hzの周期波形に換算して
約8波形分であり(200×(2000/48000)
≒8.33)、図13における時刻ta)になるまで
は、基本ピッチの周期性が弱く、かつ基本ピッチより周
期が短い不安定な周期成分が現れる。そして時刻ta以
降は基本ピッチの周期性の強い安定した周期波形とな
る。
【0061】なお、摂動ゲイン制御用テーブル20は、
(表2)に示すように計時用カウンタ19のカウント値
に応じて摂動ゲインKn の値が連続的に変化するような
特性としたが、例えばカウント値2000において、時
間差分項ΔTn がステップ的に変化するような特性とし
てもよい。なお、摂動ゲイン制御用テーブル20は、適
用する楽器の種類数だけ用意されていて、それを選択す
るようになっている。
【0062】以上のように、本発明の実施の形態によれ
ば、固有振動周波数制御用テーブル18が、楽音波形の
ピッチが高くなるにつれて非線形振動部11が発生する
リミットサイクルの周波数を段階的に高くすることによ
り、全音域に亘って例えばサキソフォン属の音色(いわ
ゆる移動フォルマント系の音色)をシミュレートするこ
とができる。
【0063】なお、固有振動周波数制御用テーブル18
に記憶された時間差分項ΔTn の値を変更し、ピッチデ
ータと時間差分項ΔTn の変換特性を変更することによ
って、また、テーブル20に記憶された摂動ゲインKn
の値を変更し、また、非線形振動部11が演算する差分
方程式f(ΔTn ,Kn )の種類や、波形発生部15内
に記憶した基準波形yhn を変更することによって、そ
して演奏者の操作により任意に選択できるようにするこ
とにより、シミュレートする楽器の種類や機種に応じて
さまざまな音色の合成にも対応することができる。
【0064】また、本実施の形態によれば、計時用カウ
ンタ19と摂動ゲイン制御用テーブル20が時間の経過
に応じて摂動ゲインKn を値0から値0.3(非線形振
動部11が安定した周期波形を形成できる摂動ゲインの
値)に向けて徐々に増加させることによって、立ち上が
りが不安定でかつ高調波に富んだ、いわゆる自然楽器の
立ち上がりの音色に近い楽音波形を合成し、立ち上がり
以降は基本ピッチに準じた安定した周期波形、即ち自然
楽器の定常区間の音色に近い楽音波形を合成することが
できる。
【0065】なお、波形発生部15としては、予め自然
楽器音をサンプリングしたデータを記憶しておき、これ
を読み出すように構成してもよいし、また、外部の周期
信号をリアルタイムでアナログ‐デジタル変換する変換
回路としてもよい。また、非線形振動部11は、互いに
異なる合成アルゴリズムを直列あるいは並列に組み合わ
せるように構成してもよいし、また、非線形振動部1
1、即ちマイコンやDSP(デジタルシグナルプロセッ
サ)の処理能力の向上に合わせて合成アルゴリズムを複
雑化させたり、また1サンプリング時間の間に合成アル
ゴリズムを演算する演算回数mを増加させてもよい。ま
た、各種微分方程式から差分方程式に変換する方法とし
てオイラー差分法を用いたが、それ以外の方法(例えば
インパルス不変法)を用いて変換してもよい。
【0066】
【発明の効果】本発明に係る楽音合成装置によれば、非
線形微分方程式で記述される自励振動系を差分形式にデ
ジタルシミュレートした非線形振動手段を楽音波形のピ
ッチに相当する周期を有した周期波形で摂動させること
により非線形振動手段の振動を安定化させ所望の楽音波
形を合成させるに当たり、所望の楽音波形のピッチ要素
に応じて非線形振動手段の差分方程式の時間差分項ΔT
n の値を制御するように構成してあるので、非線形振動
手段の演算上の時間軸を圧縮伸張させ、非線形振動手段
が発生する固有振動(リミットサイクル)の周波数を変
化させ、自然楽器音の音色の音高特性をシミュレートす
ることができる。また、発音開始時刻を起点として時間
情報を計時し、時間要素に応じて非線形振動手段の摂動
ゲインKnを制御するように構成してあるので、楽音波
形の安定度合い(周期性の度合い)及び楽音波形に重畳
されるリミットサイクルの量を調整し、楽音波形の立ち
上がりが不安定周期状態から徐々に安定周期状態に遷移
していくといった自然楽器特有の過渡特性をシミュレー
トすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る請求項1の楽音合成装置の構成の
一例を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る請求項2の楽音合成装置の構成の
一例を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る請求項3の楽音合成装置の構成の
一例を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る請求項4の楽音合成装置の構成の
一例を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る請求項5の楽音合成装置の構成の
一例を示すブロック図である。
【図6】本発明に係る請求項6の楽音合成装置の構成の
一例を示すブロック図である。
【図7】本発明に係る請求項7の楽音合成装置の構成の
一例を示すブロック図である。
【図8】本発明に係る請求項8の楽音合成装置の構成の
一例を示すブロック図である。
【図9】本発明に係る請求項9の楽音合成装置の構成の
一例を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る楽音合成装置の構
成を示すブロック図である。
【図11】実施の形態の場合にファンデアポールの(数
6)において可変の時間差分項ΔTn =0.02、可変
の摂動ゲインKn =0としたときの楽音波形図である。
【図12】実施の形態の場合にファンデアポールの(数
6)において可変の時間差分項ΔTn =0.02、可変
の摂動ゲインKn =0.7としたときの楽音波形図であ
る。
【図13】実施の形態の場合にレスラーの(数3)にお
いて可変の時間差分項ΔTn =0.005とし、可変の
摂動ゲインKn を値0から徐々に増加していき値0.3
まで変化させたときの楽音波形図である。
【図14】従来の技術に係る楽音合成装置の構成を示す
ブロック図である。
【図15】従来の技術の場合にレスラーの(数3)にお
いて固定の時間差分項ΔTn =0.005、固定の摂動
ゲインKn =0としたときの楽音波形図である。
【図16】従来の技術の場合にレスラーの(数3)にお
いて固定の時間差分項ΔTn =0.005、固定の摂動
ゲインKn =0.3としたときの楽音波形図である。
【図17】従来の技術の場合にファンデアポールの(数
6)において固定の時間差分項ΔTn =0.005、固
定の摂動ゲインKn =0としたときの楽音波形図であ
る。
【図18】従来の技術の場合にファンデアポールの(数
6)において固定の時間差分項ΔTn =0.005、こ
れらの摂動ゲインKn =0.7としたときの楽音波形図
である。
【符号の説明】
a……非線形振動手段 b……周期波形 b′…摂動波形 c……楽音波形 d……ピッチ要素(ピッチデータ) e……時間差分項ΔTn の制御手段 f……時間要素 g……摂動ゲインKn の制御手段 h……波形発生手段 i……減算手段 j……固有振動周波数制御手段 p……遅延手段 q……計時手段 r……摂動ゲイン制御手段 s……選択手段 ΔTn ……時間差分項 Kn ……摂動ゲイン 11……非線形振動部(非線形振動手段) 12……減算器(減算手段) 13……乗算器 14……ゲート回路 15……波形発生部(波形発生手段) 16……遅延器(遅延手段) 17……選択器(選択手段) 18……固有振動周波数制御用テーブル(固有振動周波
数制御手段) 19……計時用カウンタ(計時手段) 20……摂動ゲイン制御用テーブル(摂動ゲイン制御手
段)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非線形微分方程式で記述される自励振動
    系を差分形式にデジタルシミュレートした非線形振動手
    段を楽音波形のピッチに相当する周期を有した周期波形
    で摂動させることにより非線形振動手段の振動を安定化
    させ所望の楽音波形を合成させる楽音合成装置におい
    て、前記非線形振動手段が演算する差分方程式の時間差
    分項(ΔTn )を楽音波形のピッチに応じて制御するこ
    とを特徴とする楽音合成装置。
  2. 【請求項2】 非線形微分方程式で記述される自励振動
    系を差分形式にデジタルシミュレートした非線形振動手
    段を楽音波形のピッチに相当する周期を有した周期波形
    で摂動させることにより非線形振動手段の振動を安定化
    させ所望の楽音波形を合成させる楽音合成装置におい
    て、前記摂動の摂動ゲイン(Kn )を時間的に変化させ
    ることを特徴とする楽音合成装置。
  3. 【請求項3】 非線形微分方程式で記述される自励振動
    系を差分形式にデジタルシミュレートした非線形振動手
    段と、基準波形を発生する波形発生手段と、前記波形発
    生手段が発生する基準波形と前記非線形振動手段が出力
    する振動波形との差分をとることに基づいて非線形振動
    手段を摂動する摂動波形を発生する減算手段と、所望の
    楽音波形のピッチに応じて前記非線形振動手段の時間差
    分項(ΔTn )の値を変更することにより非線形振動手
    段の固有振動の周波数を制御する固有振動周波数制御手
    段とを備えていることを特徴とする楽音合成装置。
  4. 【請求項4】 非線形微分方程式で記述される自励振動
    系を差分形式にデジタルシミュレートした非線形振動手
    段と、前記非線形振動手段が出力する振動波形を所定時
    間遅延させた後に基準波形として出力する遅延手段と、
    前記遅延手段が発生する基準波形と前記非線形振動手段
    が出力する振動波形との差分をとることに基づいて非線
    形振動手段を摂動する摂動波形を発生する減算手段と、
    所望の楽音波形のピッチに応じて前記非線形振動手段の
    時間差分項(ΔTn )の値を変更することにより非線形
    振動手段の固有振動の周波数を制御する固有振動周波数
    制御手段とを備えていることを特徴とする楽音合成装
    置。
  5. 【請求項5】 非線形微分方程式で記述される自励振動
    系を差分形式にデジタルシミュレートした非線形振動手
    段と、基準波形を発生する波形発生手段と、前記波形発
    生手段が発生する基準波形と前記非線形振動手段が出力
    する振動波形との差分をとることに基づいて非線形振動
    手段を摂動する摂動波形を発生する減算手段と、発音開
    始を起点として時間経過を計時する計時手段と、前記計
    時手段が計時した時間データに応じて前記減算手段が出
    力する摂動波形の摂動ゲイン(Kn )を制御する摂動ゲ
    イン制御手段とを備えていることを特徴とする楽音合成
    装置。
  6. 【請求項6】 非線形微分方程式で記述される自励振動
    系を差分形式にデジタルシミュレートした非線形振動手
    段と、前記非線形振動手段が出力する振動波形を所定時
    間遅延させた後に基準波形として出力する遅延手段と、
    前記遅延手段が発生する基準波形と前記非線形振動手段
    が出力する振動波形との差分をとることに基づいて非線
    形振動手段を摂動する摂動波形を発生する減算手段と、
    発音開始を起点として時間経過を計時する計時手段と、
    前記計時手段が計時した時間データに応じて前記減算手
    段が出力する摂動波形の摂動ゲイン(Kn )を制御する
    摂動ゲイン制御手段とを備えていることを特徴とする楽
    音合成装置。
  7. 【請求項7】 非線形微分方程式で記述される自励振動
    系を差分形式にデジタルシミュレートした非線形振動手
    段と、基準波形を発生する波形発生手段と、前記波形発
    生手段が発生する基準波形と前記非線形振動手段が出力
    する振動波形との差分をとることに基づいて非線形振動
    手段を摂動する摂動波形を発生する減算手段と、所望の
    楽音波形のピッチに応じて前記非線形振動手段の時間差
    分項(ΔTn )の値を変更することにより非線形振動手
    段の固有振動の周波数を制御する固有振動周波数制御手
    段と、発音開始を起点として時間経過を計時する計時手
    段と、前記計時手段が計時した時間データに応じて前記
    減算手段が出力する摂動波形の摂動ゲイン(Kn )を制
    御する摂動ゲイン制御手段とを備えていることを特徴と
    する楽音合成装置。
  8. 【請求項8】 非線形微分方程式で記述される自励振動
    系を差分形式にデジタルシミュレートした非線形振動手
    段と、前記非線形振動手段が出力する振動波形を所定時
    間遅延させた後に基準波形として出力する遅延手段と、
    前記遅延手段が発生する基準波形と前記非線形振動手段
    が出力する振動波形との差分をとることに基づいて非線
    形振動手段aを摂動する摂動波形を発生する減算手段
    と、発音開始を起点として時間経過を計時する計時手段
    と、前記計時手段が計時した時間データに応じて前記減
    算手段が出力する摂動波形の摂動ゲイン(Kn )を制御
    する摂動ゲイン制御手段と、所望の楽音波形のピッチに
    応じて前記非線形振動手段の時間差分項(ΔTn )の値
    を変更することにより非線形振動手段の固有振動の周波
    数を制御する固有振動周波数制御手段とを備えているこ
    とを特徴とする楽音合成装置。
  9. 【請求項9】 非線形微分方程式で記述される自励振動
    系を差分形式にデジタルシミュレートした非線形振動手
    段と、第1の基準波形を発生する波形発生手段と、前記
    非線形振動手段が出力する振動波形を所定時間遅延させ
    た後に第2の基準波形として出力する遅延手段と、前記
    第1の基準波形と前記第2の基準波形とを切り換えて基
    準波形として選択的に出力する選択手段と、前記選択手
    段が発生する基準波形と前記非線形振動手段が出力する
    振動波形との差分をとることに基づいて非線形振動手段
    を摂動する摂動波形を発生する減算手段と、発音開始を
    起点として時間経過を計時する計時手段と、前記計時手
    段が計時した時間データに応じて前記減算手段が出力す
    る摂動波形の摂動ゲイン(Kn )を制御する摂動ゲイン
    制御手段と、所望の楽音波形のピッチに応じて前記非線
    形振動手段の時間差分項(ΔTn )の値を変更すること
    により非線形振動手段の固有振動の周波数を制御する固
    有振動周波数制御手段とを備えていることを特徴とする
    楽音合成装置。
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