JPH0523125A - 膨化食品の製造方法 - Google Patents

膨化食品の製造方法

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JPH0523125A
JPH0523125A JP3199948A JP19994891A JPH0523125A JP H0523125 A JPH0523125 A JP H0523125A JP 3199948 A JP3199948 A JP 3199948A JP 19994891 A JP19994891 A JP 19994891A JP H0523125 A JPH0523125 A JP H0523125A
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JP
Japan
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starch
water
puffed food
weight
raw material
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JP3199948A
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English (en)
Inventor
Yasushi Kondo
靖志 近藤
Ryuichi Shoji
龍市 庄司
Yoichi Nakanishi
庸一 中西
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 適度な膨化性および吸水性を有し、そのまま
食した場合にはサクッとした食感を有し、しかも湯中、
特に温かいスープ中においても、急速に組織が脆弱化
し、見栄えおよび食感を損なうことのない膨化食品の製
造方法を提供すること。 【構成】未α化澱粉質とα化澱粉質の重量比が95:5
〜20:80である混合澱粉質と、当該混合澱粉質のア
ミロース中に対する重量比が1:0.01〜1である乳
化剤とを主原料とする原料100重量部に、10〜50
重量部の水を添加しながら、前記澱粉原料を押出機で加
熱、混練して高圧で押し出すことにより膨化処理を行う
に際し、前記押出機の出口部分の加熱温度を80〜15
0℃となるように設定することを特徴とする膨化食品の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、膨化食品の製造方法に
関する。さらに詳しくは、本発明は、そのまま食して
も、スープ等の湯中においたときにも、良好な外形形状
および食感を得ることが可能な膨化食品の製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、澱粉質原料を2軸エクストル
ーダのような押出機で処理し、スナック類等の膨化食品
を得る技術が開示されている。
【0003】例えば、特開平1−252267号公報に
は、澱粉、乳化剤および炭酸カルシウムを含む原料に、
5重量部以下の水を添加しながら、前記原料をエクスト
ルーダで処理するに際し、エクストルーダの出口付近に
おいてのみ前記澱粉をα化する条件で押し出すことによ
り、食感に優れた膨化食品を得る技術が開示されてい
る。
【0004】また、特開昭63−226246号公報に
は、澱粉原料をエクストルーダから押し出した後に、得
られた膨化物を直ちに1.5〜3倍の範囲で延伸するこ
とにより、食感に優れた膨化食品を得る技術が開示され
ている。
【0005】しかしながら、前者の製造方法は、澱粉原
料に対する水の添加量が少なく、しかもエクストルーダ
の出口温度が140〜200℃と高いため、得られた膨
化食品は、サクッとした食感は有するものの、膨化性が
高すぎて組織的強度が弱いという問題があった。
【0006】これに対し、後者の製造方法は、膨化物を
延伸処理して組織的構造を強化するものであるから、搬
送等の機械的な衝撃に対しては優れた耐久性を示すが、
スープ等に温かい液体に浸漬させると、吸水して急速に
組織が脆弱化し、形状の破壊、小片化を起こして見栄え
を損ねるものとなり、さらにいわゆる「へたった」状態
となり食感が劣悪となってしまうという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、適
度な膨化性および吸水性を有し、そのまま食した場合に
はサクッとした食感を有し、しかも湯中、特に温かいス
ープ中においても、急速に組織が脆弱化し、見栄えおよ
び食感を損なうことのない膨化食品の製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、未α化澱粉
質とα化澱粉質の重量比が95:5〜20:80である
混合澱粉質と、当該混合澱粉質中のアミロースに対する
重量比が1:0.01〜1である乳化剤とを主原料とす
る原料100重量部に、10〜50重量部の水を添加し
ながら、前記澱粉原料を押出機で加熱、混練して高圧で
押し出すことにより膨化処理を行うに際し、前記押出機
の出口部分の加熱温度を80〜150℃となるように設
定することを特徴とする膨化食品の製造方法によって達
成される。
【0009】前記膨化処理を行うにさいしては、得られ
た膨化食品の吸水率が200〜800%となるように行
うことが好ましい。
【0010】前記原料100重量部に対する水の添加量
は、15〜45重量部であることが好ましい。
【0011】本発明における「膨化食品」とは、原料を
急速に加熱して原料中の水分を急激に膨張させて原料外
に脱出させ、これにより空包を形成させて多孔質とした
食品を意味する。
【0012】本発明において、原料として用いられる未
α化澱粉質としては、通常、食用に供される澱粉質なら
ば特に制限されず、例えば、小麦澱粉、とうもろこし澱
粉、さつまいも澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉等を用
いることができる。また、澱粉質を多く含む馬鈴薯、甘
薯、とうもろこし、小麦、大麦、ライ麦、米、ソバ粉、
くず、わらび、あずき、タピオカ、キャッサバ、サゴ、
アロールートなども澱粉原料として利用することができ
る。
【0013】また、例えば、アミメローズ種のとうもろ
こしより調整された、いわゆるハイアミロースコーンス
ターチ(アミロース含有量約70重量%)や、アミロー
ス自体といった高アミロース含有量の澱粉質も、上記し
たような通常の未α化澱粉質の一部として配合されるこ
とが可能である。
【0014】α化澱粉質としては、前記未α化澱粉質と
同様に、通常、食用に供される澱粉質を、予めホットロ
ール法、エクストルーダ法等の方法でα化したものを利
用することができる。
【0015】なお、上記したように、未α化澱粉質し
て、通常の澱粉質と高アミロース含有量の澱粉質とを配
合して用いる場合には、澱粉質全体(α化澱粉も含む)
のアミロース含有量が60重量%以下、特に25〜60
重量%となるように調整されることが好ましい。すなわ
ち、アミロース含有量が60重量%以下であれば、後述
するような乳化剤の澱粉質への結合による消化、吸収の
遅延効果が十分発現され、しかも良好な風味、食感を呈
するものである。
【0016】本発明の製造方法において、原料澱粉質中
における未α化澱粉質とα化澱粉質の配合重量割合は、
95:5〜20:80であることが必要である。すなわ
ち、α化澱粉質の重量割合が原料澱粉質中の5%未満で
あると、得られた膨化食品の膨化度が不十分となるた
め、サクッとした食感を有さず、しかもスープ等に浸漬
しても適度に水分を吸収しないので食感が優れないもの
であり、一方、α化澱粉質の重量割合が80%を越える
と、得られた膨化食品が水分を過度に吸水し、急速に組
織が崩壊してしまう。
【0017】乳化剤としては、遊離脂肪酸、脂肪酸塩あ
るいは脂肪酸エステル等が含まれる。脂肪酸エステルと
しては、カルボキシル基を有する飽和、または不飽和の
アルキル化合物とアルコール性水酸基を有する化合物
(アルコール供与体)とがエステル結合した物質をい
う。これらの脂肪酸化合物の構成脂肪酸としては、例え
ば、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシ
ル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペン
タデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリ
ン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、ウンデシ
レン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エ
ルカ酸、プラジジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラ
キドン酸等のような炭素数8〜22のものが好ましい。
【0018】脂肪酸塩としては、上記のような脂肪酸の
ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などがあげ
られる。また、脂肪酸エステルのアルコール供与体とし
ては、グリセリン、プロピレングリコールないしポリプ
ロピレングリコール類、蔗糖およびマルトース等の糖
類、ソルビット、マンニット、エリトリット、アラビッ
ト等の糖アルコール類、グリセロリン酸などがある。な
お、脂肪酸エステル化合物として具体的なものをいくつ
か例示すると、例えば、デカグリセリルモノラウレー
ト、デカグリセリルモノミリステート、ヘキサグリセリ
ルモノステアレート、デカグリセリルモノステアレー
ト、モノグリセリルモノステアレート、デカグリセリル
ジステアレート、デカグリセリルトリステアレート、デ
カグリセリルモノオレエート、ヘキサグリセリルモノオ
レエート、デカグリセリルペンタオレエート等のグリセ
リン脂肪酸エステル類、蔗糖ステアレート、蔗糖オレエ
ート、蔗糖ラウレート、蔗糖ベヘネート等の蔗糖脂肪酸
エステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモ
ノステアレート、ソルビタンモノオレエート等のソルビ
タン脂肪酸エステル類、レシチン、リゾレシチンなどが
あげられる。なお、このような脂肪酸エステルのHLB
(Hydorophilic Lipophilic Balance)は、いずれの領域
のものを用いてもよい。
【0019】このような乳化剤は、以下のようなふたつ
の作用を発現する。 1)原料澱粉質を後述するエクストルーダ処理するにお
いて、エクストルーダ内における原料澱粉質の通過抵抗
および剪断力を減少させ、澱粉粒子の破損を防止し、こ
れにより得られた膨化食品の食感を良好とする効果。 2)エクストルーダによる加熱、混練によって澱粉質の
アミロース部分と結合して複合体を形成し、これにより
生体消化管内における澱粉質の消化、吸収を遅延させる
効果。
【0020】なお、本発明において、「消化、吸収を遅
延させた」澱粉質とは、例えば、アミラーゼによる分解
が、通常の澱粉(未処理澱粉質)に対して95%以下、
より好ましくは85%以下に低減化されたものをいう。
【0021】上記1)および2)の効果を十分に発現さ
せるためには、原料澱粉質(α化澱粉質+未α化澱粉
質)に対する乳化剤の配合量は、原料澱粉質中のアミロ
ースに対する重量比が1:0.01〜1となるように調
整することが好ましい。乳化剤の配合重量比が1を越え
ると、得られた膨化食品の呈味性が悪くなってしまうた
め好ましくない。
【0022】本発明の膨化食品の製造方法において、上
記原料澱粉質と乳化剤を含有する原料は、水の存在下に
加熱、混練される。この水の添加量としては、使用する
澱粉質の種類(特に含水量)によっても左右されるが、
通常、上記原料澱粉質100重量部に対し、10〜50
重量部、より好ましくは15〜40重量部である。この
水の添加は、原料中に含まれる澱粉質と乳化剤との結合
を促進するとともに、原料中のα化澱粉質の糊化、糊化
したα化澱粉質と未α化澱粉質との混練、および未α化
澱粉質の適度な糊化を促進ないし補助するものである
が、水の添加量が10重量部未満であると、得られた膨
化食品の膨化性が高すぎるものとなり、スープ等に浸漬
すると水分を過度に吸水し、形状維持性が不良となって
しまう。一方、水の添加量が50重量部を越えると、得
られた膨化食品の膨化度が不十分となるため、サクッと
した食感を有さず、しかもスープ等に浸漬しても適度に
水分を吸収しないので食感が優れないものとなる。
【0023】本発明の膨化食品の製造方法に用いられる
押出機としては、内部において原料の加熱、混練が行え
るものであれば特に限定されるものではなく、単軸型の
もの、二軸に代表される多軸型のものが用いられ得る
が、好ましくは二軸型押出機である(例えば、一般に
「エクストルーダ」と呼ばれるものがこれにあた
る。)。図1は、一般に食品製造において広く用いら
れ、かつ本発明の膨化食品の製造方法において好適に使
用されるスクリュー型押出機の概略的な構造を示す模式
図である。図1に示すように、スクリュー押出機は、筒
状のバレル1と、その中心部に配された1本ないし2本
以上のスクリュー2とを有しており、その末端側には原
料供給口(ホッパー)3が設けられ、一方先端側にはダ
イ(ノズル)4が設けられている。さらに、前記原料供
給口3よりやや前方に位置する部分には、水供給口5が
設けられている。そして、この水供給口5より先端のダ
イ4に至る区間は、通常3つ以上に機能的に分割されて
おり(図1では3つに分割されている。)、このように
分割されたバレル1の各部位1a、1b、1c、…
は、それぞれ独立して加熱制御できるようになってい
る。
【0024】この押出機において、原料供給口3より供
給された上記所定割合で混合された、未α化澱粉質、α
化澱粉質、および乳化剤を含む原料は、駆動手段(図示
せず)により回転するスクリュー2によって混練されな
がら漸次前方へと移送され、まず水供給口4より供給さ
れる所定量の水を添加される。その後、水を添加された
原料は、さらに混練されながらバレル1内を前方へと移
送され、外部加熱手段からの熱ならびに移送中に発生す
る摩擦熱によって、加熱されることとなる。しかして本
発明の製造方法においては、原料が先端のダイ4を通過
するに際し、ダイ4部分の温度が80〜150℃で押し
出すものである。
【0025】ここで、押出機のダイ4部分の温度を15
0℃を越える温度にすると、得られた膨化食品の膨化性
が高すぎるものとなり、スープ等に浸漬すると水分を過
度に吸水し、急速に組織が崩壊してしまう。一方、80
℃を下まわる温度にすると、得られた膨化食品の膨化度
が不十分となるため、サクッとした食感を有さず、しか
もスープ等に浸漬しても適度に水分を吸収しないので食
感が優れないものとなる。
【0026】本発明の膨化食品の製造方法においては、
前述したように未α化澱粉質に対してα化澱粉質が9
5:5〜20:80の重量割合で配合されることによ
り、バレル1内での原料粘性がα化澱粉質を配合しない
場合に比較して十分高くなり、このためバレル1内を移
送される原料は十分な摩擦熱によって加熱される。しか
しながら、摩擦熱のみを熱源とする場合には、バレル1
内の温度条件が定常状態に達するのに長時間を要するの
で、押出機の少なくとも1部分において外部加熱手段を
用いて加熱してやってもよい。図1に示す押出機を用い
て具体的に説明すると、3つに分割されたバレル1の各
部位1a、1b、1cのうち、ダイ4側の1b、1cの
うちどちらか一方、あるいは両方の部位を原料中の未α
化澱粉質の固化開始温度以上(好ましくは、80℃以
上)に加熱してもよい。また、同様にバレル1が機能的
に4つ以上に分割されているものであれば、水供給口5
に隣接する部位以外の少なくとも1部位を未α化澱粉質
の糊化開始温度以上に加熱してもよい。しかしながら、
水供給口5直後のバレル部位(図1に示す例において
は、バレル部位1a)を急激に加熱すると、供給された
水が気化し、蒸気が原料供給口3から噴出したり、ある
いは水供給口5近傍においてスクリュー2による原料の
移送が妨げられる虞れがあるので、このバレル部位の加
熱温度はあまり高くしない(好ましくは、50℃以下)
ことが好ましい。
【0027】また、押出機のダイ4部分近傍に冷却器
(図示せず)を配置することにより、ダイ4部分の温度
を80〜150℃に調整してもよい。
【0028】また、本発明の膨化食品の製造方法におい
ては、原料供給口3から供給された原料は、水供給口5
より先端のダイ4に至る区間を通過する際に、上記のよ
うに摩擦熱および外部加熱手段によって加熱されるとと
もに、スクリュー2による強制移送および温度上昇によ
って加圧されることになる。その圧力条件としては、ダ
イ4直前において(吐出圧力)10〜150Kg/cm
2程度とされることが好ましい。また、押出機のスクリ
ュー2の回転数は、処理圧力、加熱温度、原料供給量お
よび水供給量に左右されるが、通常、150〜300r
pmとされる。また、押出機のL/D値(スクリュー部
分の長さ/スクリュー径)は、15以上、好ましくは1
5〜25程度とされる。
【0029】このように押出機内において加圧加熱され
た原料混練物は、ダイ4より押し出され、大気中で減圧
されて適度に膨化し、同時に原料中の水分蒸発および放
冷による温度低下によって硬化、収縮する。このように
して得られる膨化物は、適当な寸法に裁断され、その後
必要に応じて乾燥、二次加工等の処理を受けて製品とさ
れる。
【0030】なお、押出機に供給される原料には、少な
くとも上記したα化澱粉質、未α化澱粉質および乳化剤
を含むものであればよいが、食品加工に必要とされるそ
の他のもの、例えば、油脂、蛋白質、調味料、香料、ビ
タミン、ミネラル、食物繊維などを含むものであっても
よい。なお、香料は原料中に配合してもよいが、膨化物
を得たのちに、スプレーコーティング等によって被覆し
てやってもよい。
【0031】このような製造方法によって得られた膨化
食品は、200〜800%の吸水率を有する。すなわ
ち、吸水率が200%を下回ると、堅く締まった組織構
造になってしまい、そのまま食した食感は非常に硬く、
しかもスープ等の湯中ではどろどろとした糊状となって
しまい、食感が著しく低下する。また、吸水率が800
%を越えると、そのまま食した食感はサクッとして良好
であるが、スープ等の湯中では、いわゆる「へたった」
状態になってしまい、形状を保持するのが困難になって
しまう。
【0032】本発明における「吸水率」とは、以下の測
定法によって測定された値を示すものである。
【0033】すなわち、膨化食品の試料20gを100
0ccのビーカーに入れ、これに100℃に沸騰した熱
湯を400cc注ぎ、10分間60rpmで撹拌を行
う。撹拌には、かい十字型撹拌羽根を使用し、液面下す
れすれの位置で撹拌を行う。その後、吸水して膨潤した
膨化食品の試料を、水平な作業台に対して30度に傾斜
させたふるい(JIS標準:32メッシュ)の上に移
し、5分間放置した後にその重量(A)を測定する。な
おふるいの重量(B)は予め測定しておく。吸水率は下
記式に従って求められる。 吸水率(%)=[吸水後の試料重量(A−B)]/[吸
水前の試料重量(20g)]×100 なお、吸水率測定中、特に撹拌操作中に試料の組織や形
状が破壊されたり、小片化してしまった場合には、測定
不能とする。
【0034】本発明の製造方法によって得られた膨化食
品は、吸水率測定の撹拌操作により、略最大限まで吸水
するが、このような状態においても、組織や形状が破壊
されたり、小片化することはない。
【0035】本発明の製造方法によって得られた膨化食
品は、スナックあるいはシリアル食品としてそのまま、
あるいは牛乳等と組み合わせて食することができ、さら
に温かいスープ等の食品と組み合わせてもおいしく食す
ることができる。また、主原料である澱粉質に乳化剤が
結合しているので、生体消化管内における消化、吸収が
緩やかなものであり、嗜好性の良好な抗肥満性食品とし
て、あるいは糖尿病患者用食品として好適に利用でき
る。
【0036】次に、実施例を示して本発明をさらに具体
的に説明する。
【0037】
【実施例】
[実施例1]市販の小麦粉(アミロース含有量14重量
%)70Kg、ハイアミロースコーンスターチ(HS−
7、豊年製油(株)製)(アミロース含有量70重量
%)10Kg、α化馬鈴薯澱粉(マツノリンM、松谷化
学工業(株)製)(アミロース含有量18重量%)20
Kgに、蔗糖ステアリン酸エステル(リョートーS−9
70、三菱化成(株)製)2Kg(原料澱粉質中のアミ
ロースとの重量割合=1:0.1)、および調味料8K
gを添加して均一に混合した。この混合物を図1に模式
するような構成を有する二軸エクストルーダ(幸和工業
(株)製、45型、L/D=15)に連続的に供給し、
加水しながら加圧加熱処理してダイ4より膨化物として
押し出し、この膨化物をカッターにて連続的に切断した
後、トンネルオーブンにて乾燥処理(150℃、15分
間)して膨化食品を得た。なお、このときのスクリュー
回転数は270rpm、原料供給速度は26Kg/h
r、水供給速度は混合物に対して26重量%の加水が行
えるように6.8リットル/hrとされた。さらに、水
供給口5よりダイ4に至る区間におけるバレル各部位の
設定温度は、バレル部位1aにおいて50℃、バレル部
位1bにおいて50℃、バレル部位1cにおいて100
℃とされた。なお、操作時においてダイ4部分の温度は
117℃、吐出圧力は49Kg/cm2であった。
【0038】得られた膨化食品は、良好な形状を有し、
そのままおよびスープ中で良好な食感を呈するものであ
った。またこの膨化食品の吸水率を測定したところ、7
00%であり、測定の際に試料の破壊、小片化は起こら
なかった。なお、撹拌操作はスリーワンモータ(TYPE H
EIDON 600G)を用い、指示回転数60rpmで行った。
また、撹拌羽根の径は70mmφのものを用いた。
【0039】さらに、得られた膨化食品を乾燥して粉砕
し、以下に示すような方法に従い、ブタ肝臓アミラーゼ
(PPA)による消化性を調べた。なお、比較対照とし
ては、蔗糖ステアリン酸エステルを添加しない以外は上
記と同様にして得られたものを用いた。その結果、PP
A消化性は、比較対照の83%に低下しており、消化、
吸収の遅延化が期待できるものであった。
【0040】〈PPA消化性の測定〉得られた膨化食品
を平均粒径100μmとなるまで粉砕し、得られた粉砕
物を0.5gとり、これに50mM リン酸緩衝液(p
H6.9)49mlを加え、次いで37℃に調整した震
盪恒温槽中で30分間放置した。PPA(シグマ社製)
をリン酸緩衝液にて50μU/mlに希釈した酵素液1
mlを加え、反応を開始する。反応開始から0、20、
40、60分後に反応液を0.2mlずつ各2本、0.
1N NaOH 3.8mlを分注した試験管に入れ、
酵素反応を停止した。
【0041】PPAによる消化により生起した還元糖の
定量は、ソモギ−ネルソン法により行った。
【0042】[実施例2]市販のコーンフラワー(アミ
ロース含有量20重量%)90Kg、α化タピオカ澱粉
(マツノリンM−22、松谷化学工業(株)製)(アミ
ロース含有量18重量%)10Kgに、蔗糖パルミチン
酸エステル(リョートーP−1570、三菱化成(株)
製)5Kg(原料澱粉質中のアミロースとの重量割合=
1:0.25)、および調味料10Kgを添加して均一
に混合した。この混合物を実施例1と同様に処理し、膨
化食品を得た。なお、このときのスクリュー回転数は2
00rpm、原料供給速度は35Kg/hr、水供給速
度は混合物に対して18重量%の加水が行えるように
6.3リットル/hrとされた。さらに、水供給口5よ
りダイ4に至る区間におけるバレル各部位の設定温度
は、バレル部位1aにおいて30℃、バレル部位1bに
おいて150℃、バレル部位1cにおいて50℃とされ
た。なお、操作時においてダイ4部分の温度は82℃、
吐出圧力は26Kg/cm2であった。
【0043】得られた膨化食品は、良好な形状を有し、
そのままおよびスープ中で良好な食感を呈するものであ
った。またこの膨化食品の吸水率を測定したところ、5
00%であり、測定の際に試料の破壊、小片化は起こら
なかった。
【0044】さらに、実施例1と同様にしてブタ肝臓ア
ミラーゼ(PPA)による消化性を調べたところ、PP
A消化性は、比較対照の75%に低下しており、消化、
吸収の遅延化が期待できるものであった。
【0045】[実施例3]市販の小麦粉(アミロース含
有量14重量%)10Kg、α化小麦澱粉(マツノリン
W、松谷化学工業(株)製)(アミロース含有量18重
量%)70Kg、ハイアミロースコーンスターチ(HS
−7、豊年製油(株)製)(アミロース含有量70%)
20Kgに、グリセリン脂肪酸酸エステル(エマルジー
MO、理研ビタミン(株)製)10Kg(原料澱粉質中
のアミロースとの重量割合=1:0.36)、および調
味料5Kg、香料0.1Kgを添加して均一に混合し
た。この混合物を実施例1と同様に処理し、膨化食品を
得た。なお、このときのスクリュー回転数は240rp
m、原料供給速度は20Kg/hr、水供給速度は混合
物に対して40重量%の加水が行えるように8リットル
/hrとされた。さらに、水供給口5よりダイ4に至る
区間におけるバレル各部位の設定温度は、バレル部位1
aにおいて50℃、バレル部位1bにおいて80℃、バ
レル部位1cにおいて130℃とされた。なお、操作時
においてダイ4部分の温度は125℃、吐出圧力は37
Kg/cm2であった。
【0046】得られた膨化食品は、良好な形状を有し、
そのままおよびスープ中で良好な食感を呈するものであ
った。またこの膨化食品の吸水率を測定したところ、3
80%であり、測定の際に試料の破壊、小片化は起こら
なかった。
【0047】さらに、実施例1と同様にしてブタ肝臓ア
ミラーゼ(PPA)による消化性を調べたところ、PP
A消化性は、比較対照の70%に低下しており、消化、
吸収の遅延化が期待できるものであった。
【0048】[実施例4]市販の米粉(アミロース含有
量17重量%)40Kg、α化米粉(予め二軸エクスト
ルーダ処理で加圧加熱処理し、乾燥、粉砕したもの)
(アミロース含有量20重量%)60Kgに、グリセリ
ンステアリン酸エステル(エマルジーMS、理研ビタミ
ン(株)製)15Kg(原料澱粉質中のアミロースとの
重量割合=1:0.80)、および調味料10Kg、香
料0.3Kgを添加して均一に混合した。この混合物を
実施例1と同様に処理し、膨化食品を得た。なお、この
ときのスクリュー回転数は220rpm、原料供給速度
は30Kg/hr、水供給速度は混合物に対して30重
量%の加水が行えるように9リットル/hrとされた。
さらに、水供給口5よりダイ4に至る区間におけるバレ
ル各部位の設定温度は、バレル部位1aにおいて50
℃、バレル部位1bにおいて120℃、バレル部位1c
において120℃とされた。なお、操作時においてダイ
4部分の温度は120℃、吐出圧力は40Kg/cm2
であった。
【0049】得られた膨化食品は、良好な形状を有し、
そのままおよびスープ中で良好な食感を呈するものであ
った。またこの膨化食品の吸水率を測定したところ、4
30%であり、測定の際に試料の破壊、小片化は起こら
なかった。
【0050】さらに、実施例1と同様にしてブタ肝臓ア
ミラーゼ(PPA)による消化性を調べたところ、PP
A消化性は、比較対照の75%に低下しており、消化、
吸収の遅延化が期待できるものであった。
【0051】[比較例1]実施例1における原料中の蔗
糖ステアリン酸エステルの添加量を100g(原料澱粉
質中のアミロースとの重量割合=1:0.005)とし
た以外は実施例1と同様にして膨化食品を製造した。な
お、このときのダイ4部分の温度は120℃、吐出圧力
は55Kg/hrであった。
【0052】得られた膨化食品は、そのままおよびスー
プ中の食感は、若干歯に付着する傾向はあるものの比較
的良好であった。また、吸水率は500%であったが、
測定の際に若干表面が溶解する傾向があった。さらに、
実施例1と同様にPPA消化性を調べたところ、比較対
照の99%に低下しているのみであり、消化、吸収の遅
延化は期待できるものではなかった。
【0053】[比較例2]実施例1において用いたもの
と同様の原料を使用し、水供給口5よりダイ4に至る区
間におけるバレル各部位の設定温度を変える以外は、実
施例1と同様にして膨化食品を得た。すなわち、バレル
部位1aにおいて80℃、バレル部位1bにおいて18
0℃、バレル部位1cにおいて180℃とされた。な
お、操作時においてダイ4部分の温度は165℃、吐出
圧力は40kg/cm2であった。
【0054】得られた膨化食品は、良好な形状を有し、
そのまま食べた食感は良好であったが、スープ中では短
時間のうちに吸水、膨潤してどろどろになった。また、
このものの吸水率を測定したところ、破壊、小片化して
測定不能であった。
【0055】[比較例3]実施例1において原料中から
α化澱粉を除いた以外は同様にして膨化食品を得た。な
お、このときのダイ4部分の温度は100℃、吐出圧力
は20Kg/cm2であった。
【0056】得られた膨化食品は、そのまま食べた食感
が非常に硬いものであり、またスープ中においても表面
がどろどろとしたものとなった。また、吸水率を測定し
たところ、測定中に表面が溶け出し測定不能であった。
【0057】実施例1〜4および比較例1〜3で得られ
た膨化食品の吸水時における形状維持性を以下のように
して判定した。
【0058】すなわち、膨化食品の試料20gを100
0ccのビーカーに入れ、これに100℃に沸騰した熱
湯を400cc注ぎ、10分間穏やかに震盪させる。そ
の後、吸水して膨潤した膨化食品の試料を、ふるい(J
IS標準:32メッシュ)の上に移し、水を切って膨化
食品の形状を判定する。なお、判定は以下の指標によっ
た。その結果を表1に示す。 良好 :吸水前と形状が全く変化しない。
【0059】やや良好 :表面が若干溶解しているもの
の形状は保たれている。
【0060】不良 :内部まで組織が崩壊し、吸水
前の形状を留めていない/ 極めて不良:いわゆる「ままこ」の状態いなっており、
完全に組織が崩壊している。 表1 実施例1 良好 実施例2 良好 実施例3 良好 実施例4 良好 比較例1 やや良好 比較例2 極めて不良 比較例3 不良
【0061】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の膨化食品
の製造方法は、未α化澱粉質とα化澱粉質の重量比が9
5:5〜20:80である混合澱粉質と、当該混合澱粉
質のアミロース中に対する重量比が1:0.01〜1で
ある乳化剤とを主原料とする原料100重量部に、10
〜50重量部の水を添加しながら、前記澱粉原料を押出
機で加熱、混練して高圧で押し出すことにより膨化処理
を行うに際し、前記押出機の出口部分の加熱温度を80
〜150℃となるように設定することを特徴とするもの
であるから、本発明の製造方法によって得られた膨化食
品は、スナックあるいはシリアル食品としてそのまま、
あるいは牛乳等と組み合わせて食することができ、さら
に温かいスープ等の食品と組み合わせてもおいしく食す
ることができる。また、主原料である澱粉質に乳化剤が
結合しているので、生体消化管内における消化、吸収が
緩やかなものであり、嗜好性の良好な抗肥満性食品とし
て、あるいは糖尿病患者用食品として好適に利用でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の膨化食品の製造に用いられる押出機の
構造を模式的に示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】未α化澱粉質とα化澱粉質の重量比が9
    5:5〜20:80である混合澱粉質と、当該混合澱粉
    質中のアミロースに対する重量比が1:0.01〜1で
    ある乳化剤とを主原料とする原料100重量部に、10
    〜50重量部の水を添加しながら、前記澱粉原料を押出
    機で加熱、混練して高圧で押し出すことにより膨化処理
    を行うに際し、前記押出機の出口部分の加熱温度を80
    〜150℃となるように設定することを特徴とする膨化
    食品の製造方法。
  2. 【請求項2】得られた膨化食品の吸水率が200〜80
    0%となるように膨化処理を行うものである請求項1記
    載の膨化食品の製造方法。
  3. 【請求項3】前記原料100重量部に対する水の添加量
    が、15〜45重量部である請求項1または2に記載の
    膨化食品の製造方法。
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