JPH05224718A - 指令補正フィルタとそれを使用する自動機械の制御装置 - Google Patents

指令補正フィルタとそれを使用する自動機械の制御装置

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JPH05224718A
JPH05224718A JP4059677A JP5967792A JPH05224718A JP H05224718 A JPH05224718 A JP H05224718A JP 4059677 A JP4059677 A JP 4059677A JP 5967792 A JP5967792 A JP 5967792A JP H05224718 A JPH05224718 A JP H05224718A
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裕司 中村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 位相遅れのないフィルタを提供する。 【構成】 時系列で与えられる指令rを補正してr’と
する指令補正フィルタにおいて、その伝達関数を、「任
意の基準フィルターに時系列指令rを入力し、その出力
の時系列出力順序を逆転させた信号を再び前記基準フィ
ルタに入力し、その時系列出力順序を再び逆転させた信
号を被制御対象へ与える指令r’とする」一連の処理の
全体の伝達関数と等しい伝達関数であって、その定常ゲ
インが1となるように設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動機械を時系列指令
によって制御する制御装置(例えば、工作機械、ロボッ
ト等のNC装置)における位置指令、速度指令などを補
正するフィルタおよびそれを使用した自動機械の制御装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の指令補正フィルタとしては、1次
フィルタ、2次フィルタなどがある.たとえば図9に示
すような伝達関数1/(TS+1)の前段に零次ホールドを入れ
た1次フィルタの入力r(i) に対する出力y(i) は、 y(i) = e-ay(i-1) + (1- e-a) r(i-1) (1) (ただし、a=サンプリング時間/フィルタ時定数T)
で与えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
フィルタでは位相が遅れてしまうという問題点があっ
た。そこで本発明は、位相遅れのないフィルタを提供す
ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め、指令rを入力し、補正指令r' を
【0005】
【数6】
【0006】ここでW k は、予め設定されるフィルタ定
数で、
【0007】
【数7】
【0008】により決定され、h n (n=1,2, …) は、任
意の定数でh n =0 (n>N)とする。として出力することを
特徴とするものである。これは、「任意の基準フィルタ
ーに時系列指令rを入力し、その出力の時系列出力順序
を逆転させた信号を再び前記基準フィルタに入力し、そ
の時系列出力順序を再び逆転させた信号を被制御対象へ
与える指令r’とする」一連の処理の全体の伝達関数と
等しい伝達関数であって、その定常ゲインを1とするこ
とに等しい。
【0009】
【作用】以下本発明のフィルタの原理について述べる.
まず、インパルス応答がh n (n=0,1,2, …,N) 、h n =0
(n>N)で与えられる基準フィルタを考える。この基準フ
ィルタの、入力系列{r(i) }(i=0,1, …,i,i+1, …L)
に対する出力系列{r1(i)}は、
【0010】
【数8】
【0011】で与えられる。この系列{r1(i)}をフィ
ルタの出力とすると位相遅れが生じてしまう。また、こ
の系列{r1(i)}をもう一度同じ基準フィルタに通す
と、さらに遅れてしまう。そこで、この系列{r1(i)}
の逆時間系列{r2(i)}、
【0012】
【数9】
【0013】を考え、この系列{r2(i)}をもう一度同
じ基準フィルタに入力して得られる出力系列の逆時間系
列をフィルタの最終出力系列とすれば,位相遅れの問題
は解決する。しかしこの方法では、入力系列の初期時刻
0 から最終時刻L までのすべての値が必要となってしま
う。そこで、入力系列{r(i) }を部分的に利用して同
等のフィルタを実現することを考える。いま、系列{r
2(i)}を基準フィルタに入力して得られる出力系列{r
3(i)}は、
【0014】
【数10】
【0015】となるため、その逆時間系列{r4(i)}は
次式で与えられる。
【0016】
【数11】
【0017】ただしVk は、与えられたもとの基準フィ
ルタのインパルス応答h n (n=0,1,2,…,N) により、
【0018】
【数12】
【0019】で与えられる。したがって、フィルタ出力
r'(i)は、
【0020】
【数13】
【0021】により、部分的な入力系列から決定され
る。ただしフィルタ定数Wk は、フィルタの定常ゲイン
が1となるよう、
【0022】
【数14】
【0023】により、予め設定される。以上より、本発
明のフィルタによって位相遅れのない補正が可能とな
る。
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を図1に示して
説明する。図の本発明のフィルタでは、時刻iを中心と
してNステップ過去からNステップ未来までの指令{r
(i-N), …,r(i-1),r(i),r(i+1),…,r(i+N) }が入力さ
れ、
【0024】
【数15】
【0025】によって得られるr'(i)を時刻iにおける
補正指令として出力する。ただしWk は,予め設定され
るフィルタ定数で、
【0026】
【数16】
【0027】により決定される。ここでh n (n=1,2,
…) は、基準フィルタのインパルス応答系列として設定
する任意の定数でh n =0 (n>N)とする。次に、定数h n
(n=1,2, …N)の設定例を示す。まず基準フィルタとし
て、図9に示した1次フィルタを用いた場合について説
明する。このフィルタのインパルス応答系列h n (n=1,
2, …) は、 h0=0, h j = e-(j-1 )a(1- e-a), j=1,2,… (5) ( a =サンプリング時間/フィルタ時定数T)となる。
これをNで打ち切って用いると、定数Vk は(4) 式よ
り、
【0028】
【数17】
【0029】したがって、(3) 式で得られる定数W k
用いて(2) 式により出力r' が算出される。a=0.5 、N=
10としたときの入出力を図6に示す。比較のため、図9
の1次フィルタを1回通した場合と、このフィルタを普
通に2回通した場合の入出力例を図7、図8に示す。こ
こでは、(5) 式で表される無限長のインパルス応答系列
を有限長Nで打ち切っているため、
【0030】
【数18】
【0031】とはならず、(3) 式による修正が必要であ
るが、基準フィルタのインパルス応答系列h n (n=0,1,
…,N) を、
【0032】
【数19】
【0033】となるように設定してやれば、
【0034】
【数20】
【0035】となるため、(3) 式による修正は不要とな
る。また、基準フィルタのインパルス応答系列h n (n=
0,1, …,N) は、図9の1次フィルタによる(5) 式のも
のに限らず任意に設定できる。設定例を図2から図5に
示す。図中H j は、
【0036】
【数21】
【0037】を表す。
【0038】図10に本発明のフィルタを使用した自動
機械の制御装置の例を示す。制御装置1は、制御対象機
械2を制御する装置であり、時系列指令を記憶する指令
記憶部3と、指令記憶部3から時系列指令を読み出して
補正された時系列指令を得る指令補正フィルタ部4と、
指令補正フィルタの関数を設定するフィルタ設定器5か
ら構成される。指令補正フィルタ部4は、既に詳述した
とおりの伝達関数を持つものであるが、説明を容易にす
るため機能ブロック的に示したのが図10である。すな
わち、2つの基準フィルタ4aと2つの逆転手段4bか
らなる伝達関数(ただし定常ゲインが1)と等しい機能
を持つものである。逆転手段4bは、入力した時系列信
号を一旦記憶して、記憶した順序とは逆に出力させるも
のである。フィルタ設定器5は、基準フィルタ4aの入
出力関係を設定することにより、指令補正フィルタ部4
の伝達関数を設定するもので、例えばパソコンを使用し
て構成され、関数グラフをCRT画面を見ながらキーボ
ードから設定するものである。なお、図示するように、
指令補正フィルタ部4の出力を記憶する補正指令記憶部
6と、指令補正フィルタ部4の出力と補正指令記憶部6
の出力のいずれを出力するか選択するスイッチ7を付加
してもよい。同じ制御を繰り返す場合は、補正指令記憶
部6の出力で良いからである。
【0039】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、基
準フィルタのインパルス応答を設定するという簡便な方
法で位相遅れのない指令補正フィルタを実現することが
でき、それを制御装置に用いれば自動機械の動作精度を
飛躍的に向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体的実施例を示す図
【図2】本発明の基準フィルタの設定例を示す図
【図3】本発明の基準フィルタの設定例を示す図
【図4】本発明の基準フィルタの設定例を示す図
【図5】本発明の基準フィルタの設定例を示す図
【図6】本発明の入出力例を示す図
【図7】従来例の入出力例を示す図
【図8】従来例の入出力例を示す図
【図9】従来例を示す図
【図10】本発明の具体的実施例を示す図
【符号の説明】
1 制御装置 2 制御対象機械 3 指令記憶部 4 指令補正フィルタ部 4a 基準フィルタ 4b 逆転手段 5 基準フィルタ設定器 6 補正指令記憶部 7 スイッチ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 時系列で与えられる指令rを補正して
    r’とする指令補正フィルタにおいて、その伝達関数
    を、 任意の基準フィルターに時系列指令rを入力し、その出
    力の時系列出力順序を逆転させた信号を再び前記基準フ
    ィルタに入力し、その時系列出力順序を再び逆転させた
    信号を被制御対象へ与える指令r’とする一連の処理の
    全体の伝達関数と等しく、その定常ゲインが1となる伝
    達関数とすることを特徴とする指令補正フィルタ。
  2. 【請求項2】 指令rを入力し、補正指令r' を 【数1】 ここでWk は、予め設定されるフィルタ定数で、 【数2】 により決定され,h n (n=1,2, …) は,任意の定数でh
    n =0 (n>N)とする。として出力することを特徴とする指
    令補正フィルタ。
  3. 【請求項3】定数h n (n=0,1, …,N) を、 【数3】 となるように設定し、Wk を、 【数4】 とすることを特徴とする請求項2記載の指令補正フィル
    タ。
  4. 【請求項4】 定数Vk (k=-N,…,-1,0,1,…,N) を 【数5】 と設定することを特徴とする請求項2記載の指令補正フ
    ィルタ。
  5. 【請求項5】 自動機械を時系列指令によって制御する
    制御装置において、 時系列指令を記憶する指令記憶部と、 前記指令記憶部から読み出した時系列指令を補正してそ
    の出力を被制御対象への指令とする請求項1記載の指令
    補正フィルタと、 前記指令補正フィルタの性質を変更するためのフィルタ
    設定器と、を備えたことを特徴とする自動機械の制御装
    置。
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