JPH05222483A - 窒化鉄系高密度焼結体の製造方法 - Google Patents

窒化鉄系高密度焼結体の製造方法

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JPH05222483A
JPH05222483A JP3336909A JP33690991A JPH05222483A JP H05222483 A JPH05222483 A JP H05222483A JP 3336909 A JP3336909 A JP 3336909A JP 33690991 A JP33690991 A JP 33690991A JP H05222483 A JPH05222483 A JP H05222483A
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JP
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powder
iron
particles
powder particles
sintered body
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JP3336909A
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Naoki Yamamoto
直樹 山本
Noboru Sakamoto
登 坂本
Hoshiaki Terao
星明 寺尾
Koichiro Nakano
皓一朗 中野
Jun Ota
潤 太田
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
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Abstract

(57)【要約】 【構成】鉄又は鉄合金粉末に窒化処理を施して少なくと
も粉末粒子の外周部にFe4 N又はFe162 を形成
し、このように形成された粉末粒子の表面に対しスピネ
ル型磁性酸化物を形成し、これら粉末粒子を焼結させる
ことにより窒化鉄系高密度焼結体を製造する。 【効果】実用的な窒化鉄系高密度焼結体の製造方法を提
供することができる。この方法によって製造された焼結
体は高電気抵抗及び高飽和磁化を有しているため損失が
小さく、かつ透磁率が比較的大きいので、高中周波数用
の軟磁性材料に好適である。また、金属系の軟磁性材料
よりも耐候性に優れているので実用的である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高中周波数域用軟磁
性材料として好適な窒化鉄系高密度焼結体の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】窒化鉄
は、窒素の含有量により結晶系が変化し、その磁気的特
性も大きく異なる侵入型化合物である。この窒化鉄は金
属と酸化物の中間的な性質を有する材料であり、金属F
eよりも耐食性、耐候性に優れ、かつ硬いという性質を
有している。特にFe4 N及びFe162 は高い飽和磁
化を有しており、耐食性、耐候性、及び機械的特性が優
れた磁性材料としての用途への適用が期待されている。
しかしながら、上述のように優れた特性を考慮した焼結
体を得ることが困難であり、焼結体としての適用はなさ
れていないのが実情である。この発明はかかる事情に鑑
みてなされたものであって、実用的な窒化鉄系高密度焼
結体の製造方法を提供することを目的とする。
【0003】
【課題を解決するための手段及び作用】この発明は、第
1に、鉄又は鉄合金粉末に窒化処理を施して少なくとも
粉末粒子の外周部にFe4 N又はFe162 を形成する
工程と、このように形成された粉末粒子を、スピネル型
磁性酸化物を構成する金属元素のイオンを含む溶液中に
装入する工程と、これにより粉末粒子に吸着された金属
イオンと酸素とを反応させて粉末粒子の表面にスピネル
型磁性酸化物を形成する工程と、これら粉末粒子を焼結
させる工程とを備えたことを特徴とする窒化物系高密度
焼結体の製造方法を提供する。
【0004】第2に、鉄又は鉄合金粉末に窒化処理を施
して少なくとも粉末粒子の外周部にFe4 N又はFe16
2 を形成する工程と、このように形成された粉末粒子
の表面にヘテロ凝集によりスピネル型磁性酸化物を形成
する工程と、これら粉末粒子を焼結させる工程とを備え
たことを特徴とする窒化物系高密度焼結体の製造方法を
提供する。
【0005】第3に、鉄又は鉄合金粉末に窒化処理を施
して少なくとも粉末粒子の外周部にFe4 N又はFe16
2 を形成する工程と、このように形成された粉末粒子
とスピネル型磁性酸化物の微粒子とを揮発性液体中で混
合しつつ液体を蒸発させて前記粉末粒子の表面にスピネ
ル型酸化物の微粒子を吸着させる工程と、これら粉末粒
子を焼結させる工程とを備えたことを特徴とする窒化鉄
系高密度焼結体の製造方法を提供する。
【0006】第4に、鉄又は鉄合金粉末に窒化処理を施
して少なくとも粉末粒子の外周部にFe4 N又はFe16
2 を形成する工程と、このように形成された粉末粒子
とスピネル型磁性酸化物粉末粒子とを混合する工程と、
この混合粉末粒子を焼結させる工程とを備えたことを特
徴とする窒化鉄系高密度焼結体の製造方法を提供する。
【0007】第5に、鉄又は鉄合金粉末に窒化処理を施
して少なくとも粉末粒子の外周部にFe4 Nを形成する
工程と、このように形成された粉末粒子の表面に対し化
学蒸着によりスピネル型磁性酸化物を形成する工程と、
これら粉末粒子を焼結させる工程とを備えたことを特徴
とする窒化鉄系高密度焼結体の製造方法を提供する。
【0008】第6に、鉄又は鉄合金粉末に窒化処理を施
して少なくとも粉末粒子の外周部にFe4 Nを形成する
工程と、このように形成された粉末粒子とスピネル型磁
性酸化物粉末粒子とを高エネルギミルにより機械的に混
合する工程と、この混合粉末粒子を焼結させる工程とを
備えたことを特徴とする窒化鉄系高密度焼結体の製造方
法を提供する。
【0009】第7に、鉄又は鉄合金粉末に窒化処理を施
して少なくとも粉末粒子の外周部にFe4 Nを形成する
工程と、このように形成された粉末粒子の表面に化学反
応によりFe3 4 を主体とする層を形成する工程と、
これら粉末粒子を焼結させる工程とを備えたことを特徴
とする窒化鉄系高密度焼結体の製造方法を提供する。
【0010】このような方法により、Fe4 N若しくは
Fe162 を主体とする粒子、又は内部がFe若しくは
Fe合金で外周部がFe4 N若しくはFe162 を主体
とする粒子が、スピネル型磁性酸化物マトリックス中に
分散した状態の複合焼結体からなる窒化物系高密度焼結
体を得ることができる。このような高密度焼結体は、高
中周波数域用軟磁性材料として好適である。
【0011】従来、軟磁性材料としては、フェライト、
ケイ素鋼板、パーマロイ、Fe基及びCo基アモルファ
ス合金等が用いられている。このような軟磁性材料は飽
和磁束密度が高くかつ低損失であり、ある程度の透磁率
を有していることが要求される。これらの中でケイ素鋼
板、パーマロイ及びFe基及びCo基アモルファス合金
等の金属材料は、飽和磁束密度が比較的高く低周波数用
の軟磁性材料として適している。特に、Fe基及びCo
基アモルファス合金は高い透磁率を有している。しか
し、これらは基本的に金属であるため、電気抵抗が低
く、高中周波数用としては適用が困難である。すなわ
ち、損失(tan δ)は周波数の2乗に比例し電気抵抗に
反比例するため、これら金属磁性材料は高周波数域にお
いて損失が大きくなり過ぎるためである。また、金属材
料は耐候性が悪いという欠点がある。一方、Mn−Zn
フェライト等のフェライト材料は、基本的に酸化物であ
るため電気抵抗が高く、低周波数域から高中周波数域ま
で使用できる軟磁性材料として広く用いられている。し
かし、フェライト材料は基本的に飽和磁束密度が低いと
いう欠点がある。そこで、この発明では、これら材料の
欠点を補い、極めて特性が優れた軟磁性材料としての上
記焼結体を得ることができる製造方法を提供する。
【0012】次に、この発明により得ようとする焼結体
について説明する。図1は、鉄−窒素系の状態図であ
る。この状態図の中でγ´相がFe4 Nであり、α''相
がFe162 である。Fe4 Nは、鉄のfcc相の体心
位置に窒素原子が入ったペロブスカイト型結晶格子を有
している。この相は常温でも安定であり、Tc=488
℃の強磁性体である。常温での飽和磁化は195emu
/gと純鉄より若干低い程度であり、磁性材料として有
望である。一方、Fe162 は準安定相であり、bcc
格子を母体としたbct結晶格子を有する。このbct
構造はbcc構造の鉄の体心位置に規則的に窒素原子が
入り込んだ型となっている。この相の常温での飽和磁化
は260emu/gと純鉄の1.2倍であり、これも磁
性材料として有望である。また、大気中において、Fe
4 N及びFe162 の表面には緻密なα−Fe2 3
形成されるので、表面にFe3 4 が形成されるFeよ
りも耐候性に優れている。さらに、これらは窒化物であ
るから鉄よりもかなり硬い。
【0013】このような、Fe4 N又はFe162 を主
体とする粒子を、スピネル型磁性酸化物としてのFe3
4 等のマトリックス中に分散させた状態の複合焼結体
は、電気抵抗が高いスピネルをマトリックスとしている
ので、高抵抗を維持することができ、しかも、飽和磁束
密度が大きいFe4 N又はFe162 をスピネル型磁性
酸化物マトリックス中の磁性粒子として用いているの
で、磁性の連続性を維持することができ、フェライトよ
りも高い飽和磁束密度及び比較的高い透磁率を得ること
ができる。従って、高中周波数においても損失が小さ
い。また、マトリックス中の磁性粒子は、少なくともそ
の外周部が耐候性が高いFe4 N若しくはFe162
主体としているので、金属系の軟磁性材料よりも耐候性
に優れている。
【0014】このような焼結体を製造するためには、先
ず、出発原料としての鉄粉を準備する。この鉄粉として
は、粒子径が0.1〜200μmのものが好ましく、C
VD法による超微粒鉄粉、カルボニル鉄粉、水アトマイ
ズ粉、ガスアトマイズ粉、還元鉄粉を用いることができ
る。また、このような鉄粉のみならず、鉄合金を用いる
こともできる。磁気特性を一層向上させるためにはFe
−Ni合金(パーマロイ)、Fe−Si合金、Fe−S
i−Al合金(センダスト)を好適に用いることができ
る。
【0015】次いで、このような鉄粉末又は鉄合金粉末
を適宜の方法で窒化する。この場合に窒化処理時間が十
分に長ければ粒子を完全にFe4 N若しくはFe162
にすることができ、また窒化処理時間が短ければ外周部
だけを窒化して内部がFe若しくはFe合金で外周部が
Fe4 N若しくはFe162 で構成された粒子を製造す
ることができる。この処理に際して、窒素供給量、温度
等の窒化条件を適宜規定することによってFe4 N及び
Fe162 のいずれかを形成することができる。なお、
前述したように、Fe162 は準安定相であるので、窒
化処理後急冷することにより得られる。また、原料粉末
として上述したFe−Ni合金(パーマロイ;Ni30
〜80重量%)、Fe−Si合金(Si1〜6.5重量
%)、Fe−Si−Al合金(センダスト;Si5〜1
1重量%、Al3〜8重量%)などの軟磁性材料として
優れたものを用いて、粉末粒子の表面のみに窒化鉄を形
成し、粒子内部にこれら合金を残存させることにより、
一層良好な磁気特性を得ることができる。この場合に、
窒化鉄層の厚みは粒子径の1〜3%程度(粒子径が10
μmの場合には0.1〜0.3μm)であることが好ま
しい。
【0016】窒化処理の方法としては、ガス窒化法及び
イオン窒化法が好適である。ガス窒化法においては、反
応容器内に鉄粉末を装入し、外部ヒータにて容器内を例
えば500℃程度に加熱しながら、容器内にNH3
ス、H2 ガス等を送入して鉄粉末を窒化する。また、イ
オン窒化法においては、反応容器内を高真空に保持し、
この容器内に反応ガスとしてのN2 等を送入してグロー
放電により鉄粉末を窒化する。
【0017】次に、このように窒化処理された粉体粒子
の周囲にスピネル型磁性酸化物を形成する。この発明に
おいては、以下に示す(1)〜(7)の方法により、ス
ピネル型磁性酸化物を形成する。
【0018】(1)スピネル型磁性酸化物を構成する元
素の溶液、例えばこれらの硫酸塩、硝酸塩の溶液を用い
て、窒化処理された鉄粉の周囲に所謂フェライトメッキ
と称する湿式コーティングを行う。具体的には、コーテ
ィングしようとするスピネル型磁性酸化物の化学量論比
に応じて、例えばFe3 (SO4 2 、Ni3 (S
4 2 、Zn3 (SO4 2 等の金属イオンを含む溶
液中に、窒化処理後の粉末を装入し、溶液中に酸化剤を
供給することによりコーティングを行う。この際の酸化
剤供給は、N2 ガスと微量のO2 ガスとの混合ガスを溶
液中に吹き込む方法、又は酸化剤を含む溶液を用いる方
法により行われる。この処理により、窒化粉末の表面に
スピネル型磁性酸化物層が形成される。これは、窒化粉
末表面にはOH-が存在しているため、これに金属イオ
ンが吸着されると共に、供給された酸化剤によって酸化
物が形成されることによる。そして、酸化物の表面にも
OH-が存在しているから同様の過程が繰り返されて酸
化物層が成長していく。なお、上述のように酸化剤を溶
液中に供給する代わりに、金属イオンが吸着された窒化
粉末を酸化性雰囲気中にさらして酸化物層を形成するこ
ともできる。このような処理を所定回数繰り返すことに
より所定厚みのコーティング層を形成することができ
る。その後、コーティング層が形成された粉末粒子は乾
燥されて爾後の工程に供給される。この際に、フィルタ
ープレス成型を用いることもできる。
【0019】(2)へテロ凝集によりスピネル型酸化物
磁性体をコーティングする。すなわち、上述のようにし
て窒化処理した粉末とコーティングしようとするスピネ
ル型酸化物磁性体の微粉末とを溶液中に分散させ、溶液
のpHを調整することにより窒化鉄粉粒子とスピネル型
酸化物磁性体の微粒子とが逆の極性を有するように、す
なわち逆符号の電位を持つようにし、窒化鉄粉末粒子の
表面にスピネル型酸化物磁性体の微粒子を吸着させる。
これにより窒化鉄粉末粒子の表面にスピネル型酸化物磁
性体がコーティングされることとなる。この場合に用い
る溶液は、例えば水酸化ナトリウム及び硫酸の水溶液で
あり、コーティング粒子の種類及び得ようとする膜厚に
応じて水酸化ナトリウム又は硫酸の量を調節する。この
ようにしてコーティング層が形成された粉末粒子はスプ
レードライヤー等により乾燥され爾後の工程に供給され
る。この際に、フィルタープレス成型を用いることもで
きる。
【0020】(3)上述のように形成された窒化鉄粉末
とコーティングしようとするスピネル型酸化物磁性体の
微粉末とを揮発液体中で混合しつつ液体を蒸発させるこ
とにより窒化鉄粉末粒子の表面にスピネル型酸化物磁性
体微粒子が吸着される。具体的な例としては、ロータリ
ーエバポレータを用い、液体としてエタノールを用い
て、エタノールに上記2種類の粉末を分散させた後、こ
れらをミキシングしながら60〜80℃で加熱してエタ
ノールを蒸発させる。これにより窒化鉄粉末粒子の表面
にスピネル型酸化物磁性体がコーティングされることと
なる。
【0021】(4)窒化処理された鉄粉とスピネル型磁
性酸化物とを混合する。この際の混合は乾式混合により
行う。混合方法としては、V型ミルを用いて混合する方
法、適当な容器内で攪拌羽根を回転させることにより混
合する方法等を用いることができる。これにより、窒化
された鉄粉粒子とスピネル型磁性酸化物粉末粒子とが均
一に混合され、窒化粒子の周囲にスピネル型磁性酸化物
粒子が存在した状態の混合粉末が形成される。
【0022】(5)化学蒸着(CVD)によりコーテン
グ処理を施す。このCVDは、例えば反応容器内にFe
Cl3 ,NiCl3 ,ZnCl3 等の塩化物ガスを導入
して、窒化粒子の表面に塩化物コーティングを施し、次
いで塩化物を還元し、さらに表面の酸化処理を行って窒
化粒子の外周部にスピネル型磁性酸化物層を形成する。
この処理においては、粉体にCVD処理を施す関係上、
流動層CVDを用いることが好ましい。この流動層CV
Dにおいては、容器の下方から反応ガスを供給して流動
層を形成しながらCVDを行う。これにより、粉末粒子
に対し均一なコーティング層を形成することができる。
【0023】(6)窒化処理された鉄粉とスピネル型磁
性酸化物とを機械的に合金化する。この工程ではメカニ
カルアロイング法と呼ばれる技術を用いる。メカニカル
アロイング法は、2種以上の原料をボールミル等の高エ
ネルギミルで機械的に粉砕・混合して合金化する方法で
あり、熱エネルギを利用するプロセスと異なり、温度を
自由に設定することができ、比重、融点、沸点などの差
が大きい原料同士でも合金をつくれるという利点を有し
ている。すなわち、高エネルギミルを用いることによ
り、比重差が大きい原料同士でも粉末のまま均一かつ超
微細に分散させることが可能となる。この発明の場合に
は、窒化粒子とスピネル型磁性酸化物粒子とをメカニカ
ルアロイング法を用いて合金化するので、窒化粒子の周
囲にスピネル型磁性酸化物粒子が均一に配された状態の
混合粉末が形成される。これにより、その後の焼結工程
においてスピネル型磁性酸化物のマトリックスの中に窒
化粒子が極めて均一かつ微細に分散した状態の焼結体を
得ることができる。
【0024】(7)化学反応を利用して鉄粉末の外周部
にスピネル型磁性酸化物としてのFe3 4 を主体とす
る層を形成する。この場合、固相気相反応によりこの層
を形成することが好ましい。また、固相気相反応を利用
する場合には、上述した窒化処理をガス窒化法で行うこ
とが好ましい。この固相気相反応は以下のような原理に
基づくものである。すなわち、ガス窒化法による窒化処
理においては、その際の混合ガスの割合により鉄粉末の
窒化の度合いが決定され、水素が多くなると鉄が安定と
なる。これを利用して、一定の割合の混合ガスにより鉄
粉末を窒化した後、混合ガス中の水素含有量を増加させ
て、粉末粒子の外周部を還元し、Feのメタルシェルを
形成させる。その後、送入ガスをCOガスとCO2 ガス
との混合ガスに切換え、メタルシェルを酸化させる。こ
の際の酸化の度合いはこれらガスの比率により決定さ
れ、CO2 が多いほど酸化の度合いが強まり、COが多
いほど還元雰囲気となる。この発明の場合には、これら
の比率を調節してFeメタルシェルを酸化させ、Fe3
4 層を形成する。これにより、窒化粉末の外周部にF
3 4 が形成された粉末粒子を得ることができる。
【0025】また、(5)〜(7)の方法を採用する場
合には準安定相であるFe162 を実質的に維持するこ
とができないので、これらの方法はFe4 Nを形成した
場合にのみ適用される。
【0026】上述の(1)〜(6)においては、コーテ
ィング層を形成するスピネル型磁性酸化物として、Fe
3 4 、Niフェライト、Mn−Znフェライト、Ni
−Znフェライト等を好適に用いることができる。
【0027】次に、窒化処理された鉄粉を焼結させる。
この場合の焼結は、形成された窒化鉄がFe4 Nの場合
には、圧粉成形した後、通常焼成により行うことができ
るし、ホットプレスを用いてもよい。また、ホットプレ
スとPAS(Plasma Activated Sintering)とを併用す
ることもできる。PASは粉末粒子間で放電を生じさせ
て粉体を焼結させる技術であり、これとホットプレスと
を併用するには、ホットプレスの際に特殊電源により粒
子間で放電を生じさせればよい。この方法によれば低圧
低温で容易に高密度焼結体を得ることができる。Fe16
2 の場合には、この相が準安定相であり急冷する必要
があることから爆発成形により焼結を行う。爆発成形は
火薬の爆発力を利用するもので瞬間的に生ずる巨大な圧
力と加工速度を利用して粉末を成形すると共に、焼結さ
せるものである。この爆発成形は、静水圧成形のように
塑性型の中に粉末を充填して水中に置き爆発力を加えて
成形する方法で行うこともできるし、普通の押型の構造
でパンチに爆発力を加える方法で行ってもよい。この爆
発成形はFe4 Nが形成されている場合にも適用でき
る。なお、Fe4 Nは680℃で分解するため、焼結温
度に注意を要する。
【0028】これらの工程により、上述した、Fe4
若しくはFe162 を主体とする粒子、又は内部がFe
若しくはFe合金で外周部がFe4 N若しくはFe16
2 を主体とする粒子が、スピネル型磁性酸化物のマトリ
ックス中に分散した状態の複合焼結体からなる窒化物系
高密度焼結体が得られる。
【0029】このようなFe4 N又はFe162 を含む
磁性粒子とスピネル型磁性酸化物マトリックスとの複合
焼結体は、Fe4 N又はFe162 を含む磁性粒子の体
積V1 とスピネル型磁性酸化物マトリックスの体積V2
との比V1 /V2 が100/5〜100/100である
ことが好ましい。また、このような高密度焼結体は、理
論密度の98%以上の密度を有していることが好まし
い。上述の方法で製造された窒化鉄系の複合焼結体は、
高中周波数用軟磁性材料として適した磁気特性を有し、
かつ耐候性に優れている。
【0030】
【実施例】以下、この発明の実施例について説明する。 実施例1
【0031】この実施例においては、出発原料として粒
径が1〜40μmのカルボニル鉄粉を用いた。このカル
ボニル鉄粉をガス窒化法により窒化処理して窒化粉とし
た。この窒化処理は、反応ガスとしてH2 ガス及びNH
3 ガスを用い、H2 /NH3を0/100〜90/10
まで変化させ、室温〜750℃の範囲で5分間〜2時間
の窒化処理を行った。その結果、Fe4 N若しくはFe
162 を主体とする粒子、又は内部がFeで外周部がF
4 N若しくはFe162 を主体とする粒子が形成され
た。
【0032】これらの窒化粉のうち、H2 /NH3 が5
0/50〜70/30、温度500℃で30分間保持の
条件で窒化処理してほぼ全体がFe4 Nとなったものに
ついて、その表面にフェライトメッキ法により、Mn−
Znフェライト及びNi−Znフェライトをコーティン
グした。Mn−Znフェライトをコーティング形成する
場合にはFe3 (SO4 2 、Mn3 (SO4 2 、Z
3 (SO4 2 の溶液を用い、Ni−Znフェライト
の場合にはFe3 (SO4 2 、Ni3 (SO4 2
Zn3 (SO4 2 の溶液を用いて、NaOHによりこ
れら溶液をpH9〜10に調整した。なおpH緩衝剤と
してCH3 COONH4 を添加してpHを安定化させ
た。これら溶液中に窒化粉を装入し、窒化粉の周囲に金
属イオンを吸着させた。その後、この窒化粉を溶液から
引き上げて空気にさらし、空気中の酸素と金属とにより
Mn−Znフェライト及びNi−Znフェライトを形成
し、これを再び溶液中に装入するといった工程を複数回
繰り返してMn−Znフェライト及びNi−Znフェラ
イトコーティング層を形成させた。なお、Mn−Znフ
ェライトコーティング層の体積比は5体積%とした。
【0033】次に、このコーティングされた粉末をホッ
トプレスにより焼結させて、物性及び磁気特性を測定し
た。なお、ホットプレス条件はMn−Znフェライトコ
ーティング粉の場合が500℃で圧力3ton /cm2 、N
i−Znフェライトコーティング粉の場合が550℃で
圧力3ton /cm2 とした。その結果、Fe4 N粒子が夫
々Mn−Znフェライト及びNi−Znフェライトのマ
トリックス中に分散した状態の複合焼結体が生成され
た。この焼結体の物性及び特性は以下に示す通りであっ
た。 (1)Mn−Znフェライトコーティング粉を用いた焼
結体 密度 6.53 g/cm3 鉄損W 0.85 W/cm3 最大透磁率μmax 800 比抵抗ρ 0.01 Ω・cm 飽和磁化MS 171 emu /g (2)Ni−Znフェライトコーティング粉を用いた焼
結体 密度 6.50 g/cm3 鉄損W 0.70 W/cm3 最大透磁率μmax 2000 比抵抗ρ 10 Ω・cm 飽和磁化MS 152 emu /g 以上のように、高中周波数用軟磁性材料として優れた磁
気的特性を有する高密度焼結体が得られたことが確認さ
れた。 実施例2
【0034】この実施例においては、実施例1と同様に
出発原料として粒径が1〜40μmのカルボニル鉄粉を
用いた。このカルボニル鉄粉をガス窒化法により実施例
1と同様の条件で窒化処理して窒化粉とした。その結
果、Fe4 N若しくはFe162 を主体とする粒子、又
は内部がFeで外周部がFe4 N若しくはFe162
主体とする粒子が形成された。
【0035】これらの窒化粉のうち、H2 /NH3 が5
0/50〜70/30、温度500℃で30分間保持の
条件で窒化処理してほぼ全体がFe4 Nとなったものに
ついて、ヘテロ凝集によりMn−Znフェライトをコー
ティングした。このコーティング処理は、水酸化ナトリ
ウム及び硫酸を含む溶液中に窒化粉末とMn−Znフェ
ライトの微粒子粉末とを装入し、水酸化ナトリウム及び
硫酸の量を調節して、溶液のpHを1〜12の適当な値
に調節し、電位差を利用して窒化粉末粒子の周囲にMn
−Znフェライトの微粒子を吸着させることによって行
った。
【0036】その後、溶液中の粉末をスプレードライヤ
ーにより乾燥・造粒して100〜400μmの顆粒に調
整し、500℃、3ton /cm2 の条件でN2 中のホット
プレスを行った。これにより、Fe4 N粒子がMn−Z
nフェライトのマトリックス中に分散した状態の複合焼
結体が生成された。この焼結体の物性及び特性は以下に
示す通りであった。 密度 6.53 g/cm3 鉄損W 0.85 W/cm3 最大透磁率μmax 800 比抵抗ρ 0.01 Ω・cm 飽和磁化MS 171 emu /g 以上のように、高中周波数用軟磁性材料として優れた磁
気的特性を有する高密度焼結体が得られたことが確認さ
れた。 実施例3
【0037】この実施例においては、実施例1と同様に
出発原料として粒径が1〜40μmのカルボニル鉄粉を
用いた。このカルボニル鉄粉をガス窒化法により実施例
1と実施例1と同様の条件で窒化処理して窒化粉とし
た。その結果、Fe4 N若しくはFe162 を主体とす
る粒子、又は内部がFeで外周部がFe4 N若しくはF
162 を主体とする粒子が形成された。
【0038】これらの窒化粉のうち、H2 /NH3 が5
0/50〜70/30、温度500℃で30分間保持の
条件で窒化処理してほぼ全体がFe4 Nとなったものに
ついて、Mn−Znフェライトをコーティングした。こ
のコーティング処理は窒化粉とMn−Znフェライトと
をエタノール中に分散させ、これを60〜80℃に保温
したロータリエバポレータ中で乾燥させ、窒化粉末粒子
の周囲にMn−Znフェライトの微粒子を吸着させるこ
とによって行った。その後、この粉末を500℃、3to
n /cm2 の条件にてN2 中でホットプレスした。これに
より、Fe4 N粒子がMn−Znフェライトのマトリッ
クス中に分散した状態の複合焼結体が生成された。この
焼結体の物性及び特性は以下に示す通りであった。 密度 6.53 g/cm3 鉄損W 0.85 W/cm3 最大透磁率μmax 800 比抵抗ρ 0.01 Ω・cm 飽和磁化MS 171 emu /g 以上のように、高中周波数用軟磁性材料として優れた磁
気的特性を有する高密度焼結体が得られたことが確認さ
れた。 実施例4
【0039】この実施例においては、実施例1と同様に
出発原料として粒径が1〜40μmのカルボニル鉄粉を
用いた。このカルボニル鉄粉をガス窒化法により実施例
1と同様の条件で窒化処理して窒化粉とした。その結
果、Fe4 N若しくはFe162 を主体とする粒子、又
は内部がFeで外周部がFe4 N若しくはFe162
主体とする粒子が形成された。
【0040】これらの窒化粉のうち、H2 /NH3 が5
0/50〜70/30、温度500℃で30分間保持の
条件で窒化処理してほぼ全体がFe4 Nとなったものに
ついて、混合によりMn−Znフェライトをコーティン
グした。この場合に、窒化粉とMn−Znフェライトの
微粒子粉末とを100:25〜100:5の割合で混合
した。混合処理に際しては、先ず、窒化粉の全量と、M
n−Znフェライトの全投入量の半分と、5〜15%の
水とを混練機に投入し、25分間混合後、Mn−Znフ
ェライトの残り半分を投入し、さらに45分間混合し
た。この際に、次工程のプレス成形を容易にする目的
で、エタノールを混練機の全容量の5/1000程度添
加した。混練終了後、混合粉末を乾燥させ、次いで軽粉
砕し、この粉末をホットプレスにより焼結させた。ホッ
トプレスは550℃で圧力、3ton /cm2 の条件で、3
時間行った。これにより、Fe4 N粒子がMn−Znフ
ェライトのマトリックス中に分散した状態の複合焼結体
が生成された。この焼結体の物性及び特性は以下に示す
通りであった。 密度 6.40 g/cm3 鉄損W 0.80 W/cm3 最大透磁率μmax 800 比抵抗ρ 0.01 Ω・cm 飽和磁化MS 170 emu /g 以上のように、高中周波数用軟磁性材料として優れた磁
気的特性を有する高密度焼結体が得られたことが確認さ
れた。 実施例5
【0041】この実施例においては、実施例1と同様に
出発原料としてカルボニル鉄粉を用いた。この鉄粉をガ
ス窒化法により窒化処理して窒化粉とした。この窒化処
理は、反応ガスとしてH2 ガス及びNH3 ガスを用い、
2 /NH3 を0/100〜90/10まで変化させ、
室温〜750℃の範囲で5分間〜2時間の窒化処理を行
った。その結果、Fe4 Nを主体とする粒子、又は内部
がFeで外周部がFe4 Nを主体とする粒子が形成され
た。なお、この窒化処理は反応容器内の流動層中で行っ
た。
【0042】これらの窒化粉のうち、H2 /NH3 が5
0/50〜70/30、温度500℃で30分間保持の
条件で窒化処理してほぼ全体がFe4 Nとなったものに
ついてスピネル型酸化物磁性体をCVDコーティングし
た。このCVDコーティング処理は、窒化処理に引き続
いて上述の反応容器を用いて窒化粉末を流動化しながら
行った(流動層CVD)。
【0043】この処理に際しては、先ず、FeCl3
NiCl3 ,ZnCl3 等の塩化物をヒータにより加熱
してガス化し、N2 ガスをキャリヤガスとして塩化物ガ
スを反応容器内に導入して塩化物コーティングを行っ
た。この塩化物のガス化温度は350〜800℃に設定
した。次いで、塩化物コーティングされた粉末粒子を水
素ガス中での脱塩処理に供した。これにより、塩化物コ
ーティング中の塩素が除かれ、窒化粉末粒子表面にメタ
ルシェルが形成された状態となった。その後、この粉末
をCO/CO2 ガス中で酸化処理し、窒化粒子表面にN
i−Znフェライトコーティングされた状態の粒子から
なる粉末を得た。この際の酸化処理はCO/CO2 を4
0/60〜10/90に設定して350〜400℃で行
った。
【0044】このNi−Znフェライトコーティングさ
れた状態の粒子粉末を反応容器から取り出し、3ton /
cm2 で成形した後、500℃で3時間焼成した。その結
果、Fe4 N粒子がNi−Znフェライトマトリックス
中に分散した状態の複合焼結体からなる窒化物系高密度
焼結体が得られた。この焼結体の物性及び特性は以下に
示す通りであった。 密度 6.53 g/cm3 鉄損W 0.85 W/cm3 最大透磁率μmax 800 比抵抗ρ 0.01 Ω・cm 飽和磁化MS 171 emu /g 以上のように、高中周波数用軟磁性材料として優れた磁
気的特性を有する高密度焼結体が得られたことが確認さ
れた。 実施例6
【0045】この実施例においては、実施例1と同様に
出発原料として粒径が1〜40μmのカルボニル鉄粉を
用いた。このカルボニル鉄粉をガス窒化法により窒化処
理して窒化粉とした。この窒化処理は、反応ガスとして
2 ガス及びNH3 ガスを用い、H2 /NH3 を0/1
00〜90/10まで変化させ、室温〜750℃の範囲
で5分間〜2時間の窒化処理を行った。その結果、Fe
4 Nを主体とする粒子、又は内部がFeで外周部がFe
4 Nを主体とする粒子が形成された。
【0046】これらの窒化粉のうち、H2 /NH3 が5
0/50〜70/30、温度500℃で30分間保持の
条件で窒化処理してほぼ全体がFe4 Nとなった10〜
40μmのものについて、メカニカルアロイングにより
Mn−Znフェライト及びNi−Znフェライトをコー
ティングした。この処理に際して、先ず、窒化粉末粒子
の表面を1μm程度酸化しておき、重量でこの窒化粉末
100に対してMn−Znフェライト及びNi−Znフ
ェライトを夫々30の割合で添加したもの2種類の配合
粉末を作製し、これらを高エネルギー型のボールミルと
してのアトライター中でグリンディングすることにより
メカニカルアロイングを行った。これにより、窒化粉末
粒子の周囲にMn−Znフェライト及びNi−Znフェ
ライトのコーティング層が形成された。次に、このコー
ティングされた粉末をホットプレスにより焼結させて、
物性及び磁気特性を測定した。なお、ホットプレス条件
はMn−Znフェライトコーティング粉の場合が500
℃で圧力3ton /cm2 、Ni−Znフェライトコーティ
ング粉の場合が550℃で圧力2ton /cm2 とした。
【0047】その結果、Fe4 N粒子が夫々Mn−Zn
フェライト及びNi−Znフェライトのマトリックス中
に分散した状態の複合焼結体が生成された。この焼結体
の物性及び特性は以下に示す通りであった。 (1)Mn−Znフェライトコーティング粉を用いた焼
結体 密度 6.40 g/cm3 鉄損W 0.80 W/cm3 最大透磁率μmax 1100 比抵抗ρ 0.01 Ω・cm 飽和磁化MS 175 emu /g (2)Ni−Znフェライトコーティング粉を用いた焼
結体 密度 6.55 g/cm3 鉄損W 0.72 W/cm3 最大透磁率μmax 2500 比抵抗ρ 11 Ω・cm 飽和磁化MS 154 emu /g 以上のように、高中周波数用軟磁性材料として優れた磁
気的特性を有する高密度焼結体が得られたことが確認さ
れた。 実施例7
【0048】この実施例においては、出発原料として粒
径が1〜10μmのカルボニル鉄粉を用いた。このカル
ボニル鉄粉をガス窒化法により実施例6と同様の条件で
窒化処理して窒化粉とした。その結果、Fe4 Nを主体
とする粒子、又は内部がFeで外周部がFe4 Nを主体
とする粒子が形成された。これらの窒化粉のうち、H2
/NH3 が50/50〜70/30、温度500℃で3
0分間保持の条件で窒化処理してほぼ全体がFe4 Nと
なったものについて、H2 /NH3 を20/80〜40
/60の範囲に設定して、300〜400℃で1〜15
分間の還元処理を施した。次いで、表面が還元された粉
末をCO及びCO2 混合ガス中で酸化処理を行った。こ
の処理は、CO/CO2 を40/60〜10/90に設
定して300〜400℃で行った。その結果、窒化粒子
の周囲に0.1〜1μm厚みのFe3 4 コーティング
層が形成された。次に、このコーティングされた粉末を
ホットプレスにより焼結させて、物性及び磁気特性を測
定した。なお、この場合のホットプレスは500℃で圧
力3ton /cm2 の条件で行った。その結果、Fe4 N粒
子がFe3 4 のマトリックス中に分散した状態の複合
焼結体が生成された。この焼結体の物性及び特性の一例
を以下に示す。 密度 6.53 g/cm3 鉄損W 0.85 W/cm3 最大透磁率μmax 800 比抵抗ρ 0.01 Ω・cm 飽和磁化MS 171 emu /g 以上のように、高中周波数用軟磁性材料として優れた磁
気的特性を有する高密度焼結体が得られたことが確認さ
れた。 実施例8
【0049】この実施例においては、出発原料として粒
径が1〜40μmのFe−Si合金(Si3重量%)、
Fe−Ni合金(Ni45重量%)、Fe−Si−Al
合金(Si9.5重量%、Al5.5重量%)の粉末を
用いた。これら合金粉末をガス窒化法により窒化処理し
て窒化粉とした。この窒化処理は、反応ガスとしてH2
ガス及びNH3 ガスを用い、H2 /NH3 を50/50
にし400℃で5分間の窒化処理を行った。その結果、
上記各合金粒子の表面に5体積%程度のFe4Nを主体
とする層が形成された。
【0050】これらの窒化粉末について、その表面にフ
ェライトメッキ法により、Mn−Znフェライトをコー
ティングした。この場合に、Fe3 (SO4 2 、Mn
3 (SO4 2 、Zn3 (SO4 2 の溶液を用いて、
NaOHによりこれら溶液をpH9〜10に調整した。
なおpH緩衝剤としてCH3 COONH4 を添加してp
Hを安定化させた。これら溶液中に窒化粉を装入し、窒
化粉の周囲に金属イオンを吸着させた。その後、この窒
化粉を溶液から引き上げて空気にさらし、空気中の酸素
と金属とによりMn−Znフェライトを形成し、これを
再び溶液中に装入するといった工程を複数回繰り返して
Mn−Znフェライトコーティング層を形成させた。な
お、Mn−Znフェライトコーティング層の体積比は5
体積%とした。
【0051】次に、このコーティングされた粉末をホッ
トプレスにより焼結させて、物性及び磁気特性を測定し
た。なお、ホットプレス条件は500℃で圧力3ton /
cm2 とした。その結果、夫々Fe−Si合金、Fe−N
i合金、Fe−Si−Al合金の粉末粒子表面にFe4
Nが形成された粒子がMn−Znフェライトのマトリッ
クス中に分散した状態の複合焼結体が生成された。Fe
−Si合金を用いた場合の焼結体の物性及び特性は以下
に示す通りであった。 密度 7.5 g/cm3 鉄損W 0.35 W/cm3 最大透磁率μmax 2050 比抵抗ρ 0.02 Ω・cm 飽和磁化MS 152 emu /g 飽和磁束密度BS 15100 Gauss 保磁力HC 0.09 Oe
【0052】また、Fe−Ni合金を用いた場合にMS
が148emu /g、BSが13400Gauss であり、ま
たFe−Si−Al合金を用いた場合にMSが145emu
/g、BSが13600Gauss であった他はFe−Si
合金を用いた場合と同等な値を示した。以上のように、
この実施例では実施例1の場合より高中周波数用軟磁性
材料として優れた磁気的特性を有する高密度焼結体が得
られたことが確認された。
【0053】
【発明の効果】この発明によれば、実用的な窒化鉄系高
密度焼結体の製造方法を提供することができる。この方
法によって製造された焼結体は高電気抵抗及び高飽和磁
化を有しているため損失が小さく、かつ透磁率が比較的
大きいので、高中周波数用の軟磁性材料に好適である。
また、金属系の軟磁性材料よりも耐候性に優れているの
で実用的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】鉄−窒素系の状態図。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 1/14 // C04B 35/58 101 A 8821−4G C23C 8/26 7516−4K (31)優先権主張番号 特願平2−403904 (32)優先日 平2(1990)12月19日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平2−403905 (32)優先日 平2(1990)12月19日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平2−403906 (32)優先日 平2(1990)12月19日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平2−403907 (32)優先日 平2(1990)12月19日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平3−331875 (32)優先日 平3(1991)12月16日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 中野 皓一朗 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 太田 潤 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄又は鉄合金粉末に窒化処理を施して少
    なくとも粉末粒子の外周部にFe4 N又はFe162
    形成する工程と、このように形成された粉末粒子を、ス
    ピネル型磁性酸化物を構成する金属元素のイオンを含む
    溶液中に装入する工程と、これにより粉末粒子に吸着さ
    れた金属イオンと酸素とを反応させて粉末粒子の表面に
    スピネル型磁性酸化物を形成する工程と、これら粉末粒
    子を焼結させる工程とを備えたことを特徴とする窒化鉄
    系高密度焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】 鉄又は鉄合金粉末に窒化処理を施して少
    なくとも粉末粒子の外周部にFe4 N又はFe162
    形成する工程と、このように形成された粉末粒子の表面
    にヘテロ凝集によりスピネル型磁性酸化物を形成する工
    程と、これら粉末粒子を焼結させる工程とを備えたこと
    を特徴とする窒化鉄系高密度焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】 鉄又は鉄合金粉末に窒化処理を施して少
    なくとも粉末粒子の外周部にFe4 N又はFe162
    形成する工程と、このように形成された粉末粒子とスピ
    ネル型磁性酸化物の微粒子とを揮発性液体中で混合しつ
    つ液体を蒸発させて前記粉末粒子の表面にスピネル型酸
    化物の微粒子を吸着させる工程と、これら粉末粒子を焼
    結させる工程とを備えたことを特徴とする窒化鉄系高密
    度焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】 鉄又は鉄合金粉末に窒化処理を施して少
    なくとも粉末粒子の外周部にFe4 N又はFe162
    形成する工程と、このように形成された粉末粒子とスピ
    ネル型磁性酸化物粉末粒子とを混合する工程と、この混
    合粉末粒子を焼結させる工程とを備えたことを特徴とす
    る窒化鉄系高密度焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】 鉄又は鉄合金粉末に窒化処理を施して少
    なくとも粉末粒子の外周部にFe4 Nを形成する工程
    と、このように形成された粉末粒子の表面に対し化学蒸
    着によりスピネル型磁性酸化物を形成する工程と、これ
    ら粉末粒子を焼結させる工程とを備えたことを特徴とす
    る窒化鉄系高密度焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】 鉄又は鉄合金粉末に窒化処理を施して少
    なくとも粉末粒子の外周部にFe4 Nを形成する工程
    と、このように形成された粉末粒子とスピネル型磁性酸
    化物粉末粒子とを高エネルギミルにより機械的に混合す
    る工程と、この混合粉末粒子を焼結させる工程とを備え
    たことを特徴とする窒化鉄系高密度焼結体の製造方法。
  7. 【請求項7】 鉄又は鉄合金粉末に窒化処理を施して少
    なくとも粉末粒子の外周部にFe4 Nを形成する工程
    と、このように形成された粉末粒子の表面に化学反応に
    よりFe3 4 を主体とする層を形成する工程と、これ
    ら粉末粒子を焼結させる工程とを備えたことを特徴とす
    る窒化鉄系高密度焼結体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記鉄合金粉末は、Fe−Si合金、F
    e−Ni合金、及びFe−Si−Al合金から選択され
    たものであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれ
    か1項に記載の窒化鉄系高密度焼結体の製造方法。
JP3336909A 1990-12-19 1991-12-19 窒化鉄系高密度焼結体の製造方法 Pending JPH05222483A (ja)

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