JPH0521862B2 - - Google Patents

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JPH0521862B2
JPH0521862B2 JP59081133A JP8113384A JPH0521862B2 JP H0521862 B2 JPH0521862 B2 JP H0521862B2 JP 59081133 A JP59081133 A JP 59081133A JP 8113384 A JP8113384 A JP 8113384A JP H0521862 B2 JPH0521862 B2 JP H0521862B2
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JP
Japan
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zro
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JP59081133A
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JPS60226456A (ja
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Hideji Numata
Takuo Ono
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AGC Inc
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Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPS60226456A publication Critical patent/JPS60226456A/ja
Publication of JPH0521862B2 publication Critical patent/JPH0521862B2/ja
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本発明はZrO2(ジルコニア)質焼結体さらに詳
しくは高耐蝕性と高耐熱衝撃性を兼ね備えた
ZrO2質焼結体およびその製造法に関するもので
ある。 本発明により得られるジルコニア質焼結体は後
述するように優れた特性をもつもので、耐火材料
としてのみならず各種高温構造材料、各種耐蝕材
料など幅広い用途をもつものであり、その主たる
使用範囲を例示すると次の如くである。 Γスラグ等を含む鉄又は非鉄金属用接液部材 連続鋳造用ノズル、スライデイングノズル、
ストツパーヘツド、溶解炉取鍋等のライニング
材、精密鋳造用基材、金属溶解用ルツボ等。 Γスケール等を含む高温構造部材 スキツドボタン、スキツドレール、熱延部
材、高温工業炉のバーナー用部材、耐火断熱
材、羽口材料。 Γその他 化学工業用ライニング材、ポンプ部材、電気
部品・フエライト用のセツター、溶融ガラス用
部材。 (発明が解決しようとする問題点) ジルコニアは融点が2680℃と高く耐熱性に優
れ、化学的にも不活性であると同時に溶融金属に
対する耐食性が高いことから、耐火物として有用
な材料である。しかしながら、強度および耐熱衝
撃性がよくなく、スラグ等が介在したり、融点の
高い金属等に対しては、耐食性も十分とは言えな
かつた。 純粋なZrO2は融点近くでは、ホタル石型の立
法晶構造を有し、冷却過程において、約2370℃で
正方晶系に結晶変態し、さらに約900℃近くで単
斜晶系に変態する。この結晶変態中に体積変化を
伴なう為、焼結体中に微小亀裂を生じ、強度を劣
化させる原因となつている。この強度劣化を向上
させる為には、冷却中の結晶変態を抑制すること
が重要で、一般にはCaO、MgO、Y2O3等を添加
して、立方晶または正方晶を安定化させる方法が
知られている。この方法による安定化または準安
定化ジルコニアは、強度をはじめとする機械的質
の向上が期待できるが、熱膨脹係数が大きい為
に、熱衝撃性に劣り、まして溶融金属に対する耐
食性の向上に対しては、何ら改善されず、これら
多量の添加剤は、一般に耐食性を低下させるもの
である。 一方、Y2O3等の添加量、原料粉末の粒子径等
を抑制することにより、正方晶マトリツクス中に
立方晶または単斜晶を分散させた、いわゆる部分
安定化ジルコニアも研究され、機械的強度の改善
並びに耐熱衝撃性も若干改良されている。しかし
ながら、この耐熱衝撃性の改善される機構は、冷
却中に一部正方晶→単斜晶変態が起り、冷却に伴
なう立方晶ジルコニアの大きな熱収縮を補償する
ことによるものと考えられ、熱膨脹特性を根本的
に改良操作したものとは言いがたく、熱的にも不
安定で、高温ではこの耐熱衝撃性も劣化するよう
である。しかも、前記耐食性に関しては、何ら解
決されない。 本発明は、上記の欠点を解決するためになされ
たもので、耐熱衝撃性と耐食性を同時に満足し、
且それらが高温下で長期間にわたつて安定的に維
持される様に改良されたものであり、溶融金属、
溶融スラグ、溶融ガラス等に対して優れた耐食性
を示し、熱衝撃に対する抵抗性を従来のジルコニ
ア質焼結体と比べて格段に向上させたものであ
る。 すなわち、本発明によるジルコニア質焼結体
は、熱衝撃に対する抵抗性と溶鋼又はスケール又
は溶融スラグ又は溶融ガラスに対しての耐腐食性
を向上、さらには機械的強度向上の為に、以下の
考え方、ならびに操作を施こすことで解決され
た。 まず、セラミツクスの熱衝撃に対する抵抗性R
(熱応力により破壊しない限界の最大温度差△
Tmax)は、下記の式で与えられる。 R=S(1−μ)/Eα (△Tmax.℃) ここで、S:材料の引張強度、E:弾性率、
α:熱膨脹係数、μ:ボアソン比である。 これは急冷却の場合を例にしたが、急熱の場合
は応力の符号が逆になるのみで、基本的には全く
同様である。 一般に強度と弾性率は比例関係にあるので、耐
熱衝撃性に関しては、熱膨脹率を小さくすること
が得策である。 (従来の技術) 周知の如く、ZrO2は結晶形により熱膨脹係数
が異なり、単斜晶ZrO2の線膨脹係数は4.4×
10-6/℃であるが、正方晶、立方晶ZrO2の線膨
脹係数は8.8×10-6〜11.8×10-6/℃と大きい。従
つて熱衝撃性の点から考えると、単斜晶が有利で
あるが、1100℃付近での単斜晶→正方晶の変態
(冷却の場合、正方晶→単斜晶、約900℃)による
約4〜7%の体積変化が、大きな障害となる。こ
の為、単斜晶と立方晶(又は正方晶)との組合せ
による、部分安定化が考えられ、酸素センサ素子
等で実用化されている。しかし、長時間、高温下
に置かれると、正方晶から単斜晶へ相転移が起こ
り、その体積増加が組織をゆるめる結果、強度等
の性能を劣化させることが知られており、一般
に、約1000℃が限界の様である。 一方、ZrO2にY2O3等を重量で2〜8%添加し
て、単斜晶から正方晶への相転移開始温度を500
〜700℃に下げてなるZrO2粒と他のZrO2粒を混
合、成形後焼結する方法(特公昭58−42147)が
提案されており、この方法は、全体として緩やか
な熱膨脹曲線を描く結果、熱衝撃に対する抵抗性
が改善されている。これは、相転移開始温度の異
なる単斜晶ZrO2同士の混合物を焼結させたもの
であるが、1300℃以上の温度で長時間加熱する。
2種のZrO2等の濃度差が拡散によつて平均化し
てしまい、結果として一種類の添加量を有する
ZrO2になり、通常の単斜晶系の相転移温度が単
に〜500℃程度下つだけのものになつてしまうと
いう問題がある。 この欠点を防ぐため、これらのZrO2粒を粗粒
として骨材部として使用することを提案している
が、その為に焼結も阻害され結果的には約20℃程
度の気孔率を有し、従つて機械的強度、耐食性の
点で大きなマイナス要素を余儀無いものとしてい
る。 さらに、Y2O3等の添加材を2〜8重量%添加
しているが、溶鋼、溶融スラグ、溶融ガラス等と
の耐食性を考慮した場合、これらの添加材はマイ
ナス要素であり、より少ない量にしたいものであ
る。 本発明は、一部の点で上記発明に似ているが、
基本的には全く異質の発明で、特に上記発明の欠
点であつたY2O3の拡散による2種のZrO2の相転
移の均質化を抑制する添加剤が、溶鋼、溶融スラ
グ、溶融ガラス等に対しても強い抵抗性を発揮
し、さらに緻密質高強度化を図ることにより、こ
れらの腐食に一層の効果を果たすと共に、高温構
造部材としても有効な事実を見い出したものであ
る。 また、従来において、ZrO2耐火物にCr2O3微粉
を特定量配合することもいくつか提案されている
が、これらは通常粗粒タイプの比較的気孔率の高
い耐火煉瓦であつたり、緻密質であつても組織性
能および目的、用途も異なるものであり、本質的
に本発明とは異なるものにすぎない。 (問題点を解決するための手段) 即ち、本発明は、ZrO2を主成分とし、Y2O3
Cr2O3を必須の副成分とする焼結体であつて、
ZrO2の結晶形態が大部分単斜晶系と正方晶系の
混合相で構成され、かつ熱膨脹率が常温から1200
℃の範囲にわたつて0.50%以下である耐食性、耐
熱衝撃性に優れたジルコニア質焼結体であり、ま
た、所定量のY2O3或は焼成によりY2O3となるイ
ツトリア成分を配合したZrO2原料を1400〜1600
で焼成して得た前処理を施こしたZrO2原料に他
の単斜晶系ZrO2および必須副成分としてのCr2O3
或は焼成によりCr2O3となるクロミア成分を配合
した原料を、微粉として所定配合割合に調整し、
これらを成形後、1450〜1650℃で焼成することを
特徴とするジルコニア質焼結体の製造法を要旨と
するものである。 本発明焼結体は、このように特定の結晶相と特
定の成分からなるものであり、主成分はZrO2
あつて必須の副成分としてY2O3とCr2O3を少くと
も含有してなるものである。 これらのZrO2、Y2O3及びCr2O3は焼結体とし
て、ZrO2が主成分として存在し、このZrO2
Y2O3は部分的に固溶又は反応した状態で、また
Cr2O3はZrO2結晶相間に分散介在した状態で存在
している。 ZrO2はその結晶形態としては大部分(全部で
あつても勿論よい)が単斜晶系と正方晶系の混合
相とからなつており、好ましい割合は重量%(以
下本明細書では同じ)で前者60〜90%、後者が40
〜10%である。 また、このZrO2結晶は両者が微細な結晶、例
えばその殆んどが粒系5μ以下のの結晶として均
一に混ざり合つて組織を構成しているものであ
る。 このような結晶組織をもたらすための製造法に
ついては後述するが、基本的にはZrO2原料とし
て2種類のものを使用する。 即ち、Y2O3成分を所定量配合したZrO2原料を
予め所定の温度で焼成して得た前処理を施こした
ZrO2原料(以下前処理ZrO2という)と、このよ
うな特定の処理をしていない他の単斜晶系ZrO2
を併用することである。 ここで、前処理ZrO2について説明すると、こ
れはZrO2原料(焼成によりZrO2となるZrO2前駆
体であつてもよい)に所定量、具体的にはY2O3
としての濃度をZrO2に対して5%を越えない範
囲で、かつ最終焼結体中の含有量として1〜4%
の範囲になる量のイツトリア成分を配合し、所定
温度、具体的には1400〜1600℃で焼成することで
得られるものである。 この前、処理ZrO2は、結晶系としては見かけ
上その殆んどが単斜晶系からなるものであるが、
粉砕後、後に配合する他の単斜晶ZrO2と十分に
混合され、成形〜焼成後に、相転移温度が400〜
600℃程度に低下するZrO2となるものである。 また、この前処理ZrO2に対して、他の単斜晶
系ZrO2原料は通常よく知られいるZrO2原料でよ
く、これらのZrO2原料は可及的にZrO2純度とし
て高いものが好ましく、ZrO2として98%以上の
ものが好ましく使用しうる。 また、これらのZrO2原料は、その配合割合を
前処理ZrO290〜50%、他の単斜晶系ZrO2を10〜
50%とすることで目的とする特定の混合相からな
る焼結体が容易に得られることとなる。 例えば、最終焼結体中におけるY2O3の量が同
じ2.5%程度のものを得るには、5%Y2O3配合の
前処理ZrO2を50%、他の単斜晶系ZrO2を50%と
して調整してもよいし、3%Y2O3配合の前処理
ZrO283%,他の単斜晶系ZrO217%として調整し
てもよいのである。 このように副成分としてのY2O3を含み及び又
は含まないZrO2原料に加えて本発明では他の副
成分としてクロミア成分を必須としている。この
クロミア成分はZrO2原料に対して加えられるも
ので、その配合量は焼結体中に含有される割合と
して、Cr2O31〜15%であり、特に望ましくは3
〜12%である。 このクロミアは通常Cr2O3として加えられるも
のであるが、焼成によりCr2O3となるクロミア前
駆体を用いることも可能である。尚、いずれも
Cr2O3としての純度は可及的に高いこと、例えば
98%以上のものとして調整するのが好ましい。 本発明焼結体は、このように主成分として
ZrO2、副成分としてY2O3とCr2O3からなるもの
であつても十分目的とするものとなるが、任意的
な他の副成分としてさらに存在せしめることが望
ましい成分がいくつか見い出されており、それら
はAl2O3であり、またSiO2である。 このAl2O3とSiO2は同時に存在せしめることが
多くの場合有利であるが、いずれか一方であつて
も勿論有効な成分として寄与することが分つた。 このAl2O3とSiO2の焼結体に含まれるべき含有
量としては前者が30%以下で後者が5%以下であ
り、好ましくはそれぞれ3〜15%、0.5〜3%程
度である。 本発明はこれらの各原料を所定割合で調合する
のであるが、この際重要なことは各原料を一旦微
粉末として調整することであり、具体的には全て
又は大部分の原料を10μ以下のもの、望ましくは
平均粒径が1μ以下のものとして調整することで
ある。 調合原料をついで一般には造粒粉末とし、成形
後焼成することで目的の焼結体が得られる。ここ
で、成形はラバープレス等の公知のいずれの成形
手段でもよいが、焼成温度としては1450〜1650℃
が必要である。 本発明として、このようにして得られる焼結体
はその物理的性質として種々の特性をもつてお
り、なかでも熱膨脹率はこの種の高耐食性をもつ
ZrO2焼結体としては極めて小さいもの、即ち常
温から1200℃までのそれとして0.50%以下のもの
として一般的には0.40%以下のものとして可能で
あり、また、理論密度としても100%又はそれに
近いものとなつている。 このような特性を兼ね備えているということ
は、従来のジルコニア質焼結体には殆んどみられ
ないものであり、前述した如き各種の用途に極め
て有用なものとなつている。 尚、本発明焼結体における単斜晶系と正方晶系
両相の同定はX線回折法により次の式によつて求
めることができるものである。 Im=Im1+Im2/Im1+Im2+It×100 但し、Im:単斜晶ZrO2の含有率(Vol%) Im1:単斜晶ZrO2(111)のピーク強度 Im2:〃(111)〃 It:正方晶〃(111)〃 (作用ならびに効果) 本発明の配合割合、限定範囲および方法につい
ての作用効果ならびにその理由等について以下に
列挙する。 1 Y2O3はZrO2に固容して、単斜晶系から正方
晶系への相転移開始温度域を低下させると同時
に、粒度を限られた範囲に定めることと成俟つ
て常温において正方晶系を発現させる働きをす
る。この二つの同時作用によつて、熱膨X特性
の改善を図ると共に強度を著しく向上させ、熱
衝撃に対する抵抗性と機械的強度を改善させる
ことが可能となる。 2 特に、前処理操作、すなわち、あらかじめ5
%を越えない濃度のY2O3をZrO2に均一に配合
し焼成操作を施こした前処理ZrO2原料と他の
単斜晶ZrO2および他の副成分とを混合した原
料を用いることによつて、熱膨脹特性を改善で
きることを見い出した。この理由は、上記前処
理操作によつて、Y2O3がZrO2に固容または部
分的に反応し、後に配合する他の単斜晶ZrO2
と混合し成形後焼成した場合、前処理操作を施
こしたY2O3を含むZrO2粒子は、焼結時に単斜
晶系から正方晶系に相転移する温度域が400〜
600℃程度に低下すると共に、他の単斜晶ZrO2
と焼結することによつて一体化し、相転移によ
る全体の収縮が400〜1100℃の範囲で除々に起
り、この温度範囲では、熱膨脹と相転移により
収縮が相殺されるためと考えられる。この場
合、前処理操作後のZrO2においては、この時
点で相転移温度域を、上記400〜600℃に低下さ
せる必要はなく、むしろ、前処理ZrO2から他
の単斜晶ZrO2へのY2O3の一部拡散による段階
的な膨脹〜収縮を起こさせる為にも、完全に固
溶させるよりも、部分的に固溶又は反応してい
ることが必要であることが分つた。従つて、前
処理ZrO2自体は、相転移温度域が低下してし
ないことが特徴である。これにもかかわらず、
焼結体において単斜晶→正方晶の相転移が400
〜600℃から始まるのは、焼結時の加熱操作に
よつて拡散するY2O3はあくまでも一部であり、
大部分は他の単斜晶ZrO2と熱履歴上からも区
別され、他の単斜晶ZrO2よりも高い濃度の
Y2O3粒子が焼結体中に均一に分散することに
より生ずる為であると考えられる。 尚、このような本発明における作用、効果は
前処理ZrO2の調整においてY2O3を副成分とし
て配合することで達成されるものであり、従来
ZrO2の安定化成分として知られているCeO2
MgO、CaOなどでは十分もたらされないもの
である。 3 一方、上記前処理操作時に、Y2O3の配合量
を5%を越えない範囲と限定した理由は、5%
を越えると安定な立方晶が析出し、爾後の使用
において相転移温度域の低下の作用がなく、
Y2O3の拡散も起りにくくなり、目的とする前
処理の効果が期待できないからである。 4 さらに、上記前処理操作の温度を1400〜1600
℃としたのは、1400℃以下ではZrO2とY2O3
反応が十分に行なわれず、前処理の効果がな
い。一方、1600℃を越えると高濃度側の領域で
はY2O3の完全な固溶により立方晶が析出し、
低濃度側においても、Y2O3の固溶が完全に進
行し、爾後の他の単斜晶ZrO2への部分的な拡
散が行なわれ難く、段階的、且なだらかな熱膨
脹特性が得られない理由による。 5 次に、Y2O3の含有量を、最終的な焼結体に
おいて重量で1.0〜4.0としたのは、1%以下で
あると、相転移の始まる温度域を700℃以下に
下げることができないばかりでなく、正方晶系
を発現させにくい。一方、4%より多いと、一
部又は全部が立方晶系となる為に、熱膨脹率が
大きくなると共に耐食性の低下を招くので、こ
の範囲に限定される。 6 単斜晶系と正方晶系の共存は、焼結体の熱衝
撃性と強度に関係し、Y2O3の添加量と原料粒
子並びに焼成温度に依存する。一般に、Y2O3
添加量が増大すると、正方晶系が、さらに添加
量が増大すると立方晶系が析出することは、相
図等で明らかである。一方、ZrO2の粒子径が
細かくなると、常温においても正方晶系が析出
する。この原理を応用して、Y2O3の添加量と
原料粒子並びに焼成温度を上記の如く設定する
ことによつて、単斜晶系と正方晶系を同時に析
出させることが可能となり、熱膨脹特性を常温
〜1200℃の範囲にわたつて、0.50%以下にし、
耐火材料として必要且十分な強度を満足するこ
とが判明した。 7 また、粒度を10μ以下のした理由は、ZrO2
のY2O3の固溶および一部拡散を行なわせる為
と、同時に正方晶系を発現させ、強度を向上さ
せる為である。 8 上記のように、単斜晶系と正方晶系と混合相
が熱膨脹特性と機械的強度の両面から決定さ
れ、前者が60%〜90%の範囲が最も優れている
ことを見い出した。 単斜晶系が60%より少ないと、相対的に正方
晶系が増える為、場合によつて強度は増大する
が、熱膨脹率が大きくなり、段階的に単斜晶系
→正方晶系に相転移する時の熱膨脹率の低下が
望めず、一方、単斜晶系が90%よりも多くなる
と、熱膨脹特性に支障をきたすと共に、強度
等、物性面の低下を招く。 9 次に、本ZrO2焼結体を特徴づけるCr2O3につ
いて述べる。 Cr2O3は、ZrO2に配合した時に、ZrO2の溶
融金属に対する耐食性をさらに高めることがで
きると共に、Y2O3のZrO2からの脱固溶を防止
する安定化剤の効果があることが判明した。
Cr2O3は周知の通り製鋼用耐火物の重要な成分
であり、また、溶融ガラスと馴み難く、侵食抵
抗性も大きいことからガラスと接触する炉材と
しても有効である。しかし、元来クロム耐火物
はスポーリング抵抗性が弱いため、マグネシア
等との組合せにおいて使用されていた。本発明
は、このCr2O3の特長を積極的に活用し、且、
上記のZrO2との組合せによつて、熱衝撃性と
耐食性を兼ね備えることが可能となつた。ま
た、Cr2O3の添加は、焼結体のマトリツクスに
介在し、ZrO2からY2O3が脱固溶するのを防ぐ
効果も見られ、本ZrO2セラミツクスの長期に
わたる高温安定性に寄与していることも判明し
た。この理由は定かではないが、Cr2O3が本焼
結温度域では比較的ZrO2と反応し難く、さら
にZrO2の粒成長を抑制するために、Y2O3の拡
散を防止しているためと考えられる。また、
Y2O3の添加による耐食性のマイナス効果を、
補なつて余りある効果をCr2O3が果している。 なお、これらの添加量は、1%未満では効果
が期待できず、15%以上では、著しく焼結を妨
げるため、気孔率の増大を招き、耐食性の見地
から逆効果となり、仮りに高温焼成等によつて
緻密化が果せたとしても、熱膨脹特性は失わ
れ、熱衝撃に対する抵抗性は大巾に低下する。
望ましい範囲は3〜12%である。 10 Al2O3とSiO2は、上記のCr2O3が焼結を妨げ
る原因となるのを防ぐと共に、積極的に焼結を
促進する。また、Cr2O3と相乗的に作用して、
単斜晶正方晶の変態を抑制する。一方、
Al2O3に関しては、本焼結体の性能を落さずに
増量効果によつて価格を下げる効果もある。 但し、Al2O3は30%を越えると熱膨脹特性、
耐熱性に支障をきたし、SiO2は5%を越える
と、マトリツクスにガラス相を多量に生成する
為、耐熱性、高温強度の低下を招くので好まし
くない。望ましい範囲は、前者が3〜15%、後
者が0.5〜3%である。 11 次に原料の粒子径を10μ以下とするのが望ま
しい理由について述べる。 単射晶正方晶の相転移は、一般にマルテン
サイト転移と呼ばれ、原子の拡散ではなく、原
子の連携運動による無拡散変態と言われてい
る。従つて、高温から急冷却によつて正方晶系
を室温まで準安定化することはできないが、結
晶粒子を150Å以下にすることにより正方晶微
粒子を得ることが可能となる。一方、焼結体の
場合には、となり合つた粒子との体積拘束によ
り、この臨界粒子径は300Åまで増加し、安定
化酸化物の固溶により、さらに大きな粒子径で
も安定となる。Y2O3固溶の場合、約3mol%で
1μm粒子径まで安定化できるとされているが、
これら安定化の機構は、必ずしも確立されては
いないようで、論議の的になつている。 本発明は、Y2O3添加量と焼成温度、さらに粒
子径をコントロールすることによつて、先の単射
晶と正方晶の割合を60〜90%とする条件を見い出
したものである。 特に粒子径は、過度の粉砕等により、必要以上
に細かくすると上記のように全て正方晶径が析出
し、一方、粒子が粗いと単斜晶のままか、焼成温
度が高い場合には部分的に立方晶が析出してしま
う。単斜晶と正方晶からなる焼結体のうち、単射
晶系を60〜90%とする為には、Y2O3、焼成温度
を前記の如く限定した場合、原料粉末全体を10μ
以下とすることで可能となる。この粒子径にある
程度の巾を持たせることで、Y2O3の相転移温度
域に巾ができ、焼結体として段階的な膨張〜収縮
の相殺が生じ、なだらかな熱膨脹曲線を得ること
が可能となつたのである。 本発明をさらに実施例にもとづいて説明する。 (実施例) 粒度調整したZrO2原料(第一希元素工業(株)、
BR−90G、ZrO2純度98.5%以上、# 325全通)96
重量部と、Y2O3(信越化学工業(株)、Y2O3純度99
%以上)4重量部を加えて万能撹拌機で1時間混
合した後、並形煉瓦形状(230×114×65mm)にプ
レス成形し、ガス窯で1500℃の温度で2時間焼成
し、前処理を行なつた。この素材の熱膨脹特性は
通常の単斜晶ZrO2同一で、結晶形も単斜晶形で
あつた。 次いで、この前処理後ZrO2を150メツシユ以下
となる様に粉砕したもの50重量部と、先の単斜晶
系ZrO2原料35重量部、Crv2O3原料(日本電工(株)
製、ND801、平均粒径0.35μ)6.5重量部、Al2O3
原料(アルコア社製A−16SG、純度99.5%、平
均粒径0.5μ)7.5重量部、SiO2原料(多木化学(株)
製、ビタシール# 1500、平均粒径18mμ)1重量
部をモノマロン製ポツト、アルミナボールを用い
て湿式で96時間回転ミル粉砕・混合を行なつた。
得られた粉末は全てが10μ以下で、平均粒子径は
0.6μであつた。次いでPVAをバインダーとして、
噴霧乾燥処理し、0.1〜0.2mmの造粒粉末を得た。
この造粒粉末を150×40×25mmに金型プレス成型
した後、2ton/cm2の圧力でラバープレス成型し
た。この成型体を電気炉で、100℃/hrの昇温速
度で1400〜1700℃で各2時間焼成した。 得られた焼結体の諸物性を測定した結果を第1
表、第1図、第2図及び第2表に示す。 第1表は、焼成温度と所物性の関係、第1図は
焼成温度と熱膨脹特性の関係、第2図は1600℃焼
成品のX線回折図、第2表は、焼成温度とZrO2
の結晶相との関係をそれぞれ示したものである。 尚、第2図でm1、m2は単結晶ZrO2のピーク、
tは正方晶ZrO2のピークを示し、単結晶ZrO2
量は、 Im1+Im2/Im1+Im2+It×100(%)=37+21/37+21
+23×100=71.6% を算出することができる。
【表】
【表】 これらの結果、焼結体の焼成温度は1450〜1650
が最も優れていることが判明した。 一方、耐食性の評価を行なう為に、高炭素軸受
鋼による溶鋼侵食試験、転炉スラグによるスラグ
浸食試験を実施したところ、いづれも元の寸法に
対して95%以上の残存量を示し、高い抵抗性を示
した。比較としてCr2O3を添加しないものは溶融
金属に対しては概ね90%であつたが、スラグに対
しては殆んど76%以下の値であつた。 また、耐熱衝撃性は、1000℃の炉に急熱し15分
後取り出す操作をくり返したが、5回のくりかえ
しに耐えた。 同様に、本発明の副成分と性能との関係を比較
例と共に行なつた結果を第3表(原料の配合割
合)および第4表(焼結体の物性、性能、焼成温
度はいずれも1600℃)に示す。
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】 【図面の簡単な説明】
第1図は焼結体の焼成温度と熱膨脹特性の関係
を示す説明図。第2図は焼結体の回折角度とその
強度の割合を示す説明図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 ZrO2を主成分とし、Y2O3とCr2O3を必須の
    副成分とする焼結体であつて、ZrO2の結晶形態
    が大部分単斜晶系と正方晶系の混合相で構成さ
    れ、かつ常温から1200℃の熱膨張率が0.50%以下
    であるジルコニア質焼結体。 2 Y2O3とCr2O3の含有量が重量%で、前者1〜
    4%、後者1〜15%である特許請求の範囲第1項
    記載のジルコニア質焼結体。 3 単斜晶系と正方晶系の混合相の割合が、重量
    %で、前者60〜90%、後者40〜10%である特許請
    求の範囲第1項又は第2項記載のジルコニア質焼
    結体。 4 Cr2O3の含有量が重量%で、3〜12%である
    特許請求の範囲第2項記載のジルコニア質焼結
    体。 5 Y2O3とCr2O3以外の他の副成分としてAl2O3
    及び/又はSiO2を含有し、それらの含有量が重
    量%で、前者30%以下、後者5%以下である特許
    請求の範囲第1項乃至第4項いずれか記載のジル
    コニア質焼結体。 6 Al2O3の含有量が、3〜15%である特許請求
    の範囲第5項記載のジルコニア質焼結体。 7 SiO2の含有量が、0.5〜3%である特許請求
    の範囲第5項記載のジルコニア質焼結体。 8 所定量のY2O3或は焼成によりY2O3となるイ
    ツトリア成分を配合したZrO2原料を1400〜1600
    ℃で焼成して得た前処理を施したZrO2原料に他
    の単斜晶系ZrO2および必須副成分としてのCr2O3
    或は焼成によりCr2O3となるクロミア成分を配合
    した原料を、微粉として所定配合割合に調整し、
    これらを成形後1450〜1650℃で焼成することを特
    徴とするジルコニア質焼結体の製造法。 9 前処理ZrO2に加えられるイツトリア成分の
    配合量を焼結体中に最終的にY2O3として重量%
    で1〜4%とする特許請求の範囲第8項記載の製
    造法。 10 前処理ZrO2に配合するY2O3濃度を、ZrO2
    に対して重量%で5%を越えない範囲とする特許
    請求の範囲第9項記載の製造法。 11 クロミア成分をCr2O3として焼結体中に1
    〜15%含まれるように配合する特許請求の範囲第
    8項記載の製造法。 12 ZrO2原料の割合を重量%で、前処理を施
    したZrO2を90〜50%、他の単斜晶系ZrO2を10〜
    50%とする特許請求の範囲第8項又は第11項記
    載の製造法。 13 各原料を10μ以下の微粉として調整する特
    許請求の範囲第8項乃至第12項いずれか記載の
    製造法。 14 Al2O3及び/又はSiO2成分を10μ以下の微
    粉として重量%で焼結体中に含まれるべき割合と
    してそれぞれ30%以下、5%以下配合する特許請
    求の範囲第13項記載の製造法。
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