JPH05217735A - 円弧状フェライト磁石およびその製造方法ならびに湿式成形装置 - Google Patents

円弧状フェライト磁石およびその製造方法ならびに湿式成形装置

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JPH05217735A
JPH05217735A JP4224692A JP4224692A JPH05217735A JP H05217735 A JPH05217735 A JP H05217735A JP 4224692 A JP4224692 A JP 4224692A JP 4224692 A JP4224692 A JP 4224692A JP H05217735 A JPH05217735 A JP H05217735A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 量産に適した湿式成形法を用いて、内周面端
部間の角度が150°以上、特に160°以上である径
方向異方性円弧状フェライト磁石を、外周面端部および
内周面端部のいずれにおいても割れや欠けの発生なく得
る。 【構成】 周方向中央における径方向を高さ方向とした
とき、成形時に前記高さ方向に圧力が加えられており、
内周面の両端部がなす角度をθa としたとき、150°
≦θa ≦180°であり、外周面両端部付近に、前記高
さ方向とほぼ平行である外周平面領域を有する円弧状フ
ェライト磁石。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、径方向に異方性を有す
る円弧状フェライト磁石およびその製造方法ならびに前
記方法に用いる湿式成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ワイパー駆動モータなどの自動車の電装
モータには、高トルク、かつ小型、軽量であることが求
められている。このようなモータは直流2極モータであ
り、磁石には、乾式成形による異方性円弧状フェライト
磁石や、乾式成形による異方性リング磁石が用いられて
いる。しかし、乾式成形では高い異方性を得ることが困
難であり、十分な磁気特性が得られない。このような事
情から、配向度を高くすることが可能な湿式成形による
異方性磁石が望まれている。
【0003】しかし、湿式成形による円弧状磁石の製造
には、下記のような問題がある。
【0004】円弧状フェライト磁石の湿式成形には、加
圧方向の異なる二種の方法がある。第一の方法は、径方
向に垂直な方向、すなわち、磁場方向と直角方向に上下
パンチで加圧する、いわゆる直角磁界プレス(横磁場プ
レス)法であるが、この方法では、加圧面が狭いため十
分な成形体密度が得られないという問題がある上、成形
体の高さが高くなるので湿式成形の際の水抜きが難しく
なり、量産に不向きであった。また、金型の磁気回路が
複雑になり、金型費が高くなるという問題があった。
【0005】第二の方法は、表面が凹状の上パンチによ
り外周面側を、表面が凸状の下パンチにより内周面側を
圧縮成形する方法であるが、この方法では上記問題点は
改善されるものの、円弧状フェライト磁石の両端部に割
れや欠けが発生するという問題がある。
【0006】このような湿式成形法により製造される円
弧状磁石の両端部の割れや欠けを防止するため、例え
ば、特公昭59−8047号公報では、フェライト磁石
材料懸濁液の湿式成形用金型において、上パンチのほぼ
全面に脱水用濾過孔を設けるのに加え、下パンチの一部
(円弧状磁石の両端部の下面に対応する領域)にも脱水
用濾過孔を設けることが提案されている。この提案は、
懸濁液の脱水を制御することにより、成形品の上下方向
の厚い所と薄い所に密度不均一が生じることを防ぐとい
うものである。しかし、この提案の金型は下パンチの製
作が難しく、また、下パンチの濾過孔が微粒子によって
詰まり易く脱水しにくくなるので洗浄の必要が生じ、量
産に不向きである。また、この金型を用いて、両端部間
の角度θの大きい円弧状磁石を製造する場合、成形体密
度を均一にすることが困難となり、特にθが160°以
上となると成形体密度不均一による割れ発生が防げな
い。
【0007】ところで、直流2極モータでは、2個の円
弧状磁石を内周面が対向するように配置するが、対向す
る2個の磁石の端部間の空隙が大きいと、その空隙付近
で急激に磁束が変化するため、大きなトルク変動が生
じ、騒音の原因となる。このため、上記角度θをできる
だけ180°に近づけることが望まれる。例えば、特公
平3−32893号公報には、中心角度θ=155°〜
175°を有する弓形状の成形体を焼結して、中心角度
165°〜182°を有する半円状異方性フェライト磁
石を製造する旨が記載されている。なお、この中心角度
θとは、上記した両端部間の角度θと同義である。
【0008】しかし、外周面側を上パンチにより、内周
面側を下パンチにより湿式圧縮成形する方法では、中心
角度θが150°以上、特に160°以上となると、円
弧状フェライト磁石両端部において著しい割れや欠けが
発生するため、実用化不可能である。実際、上記した特
公平3−32893号公報に記載された成形体は、スラ
リー状磁石原料粉末あるいは乾式磁石原料粉末を、ダイ
ス内にて非磁性材の上下パンチにより、磁場方向と直角
方向に圧縮成形して得られるものであり、上記した直角
磁界プレス法によるものである。
【0009】また、特公昭63−29504号公報で
は、円弧状磁石の両端部に、内周面と外周面の各々と直
交する二つの平面(水平方向および垂直方向)を設け
て、磁石端部のキレツを防ぐことが提案されているが、
同公報には成形方法の記載はない。また、同公報には、
内周面両端部間の角度θは120〜140°の範囲が好
ましい旨の記載があるので、θが150°以上である広
角度磁石のキレツ防止を目的としたものではない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事
情からなされたものであり、量産に適した湿式成形法を
用いて、内周面両端部間の角度が150°以上、特に1
60°以上である径方向異方性円弧状フェライト磁石
を、外周面端部および内周面端部のいずれにおいても割
れや欠けの発生なく得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(10)の本発明により達成される。 (1) 湿式成形法を用いて製造された円弧状フェライ
ト磁石であって、径方向に異方性を有し、周方向中央に
おける径方向を高さ方向としたとき、成形時に前記高さ
方向に圧力が加えられており、内周面の両端部がなす角
度をθa としたとき、 150°≦θa ≦180° であり、外周面両端部付近に、前記高さ方向とほぼ平行
である外周平面領域を有することを特徴とする円弧状フ
ェライト磁石。
【0012】(2) 前記高さ方向に測定された前記外
周平面領域の高さをha とし、周方向中央における径方
向厚さをta としたとき、 (−0.5×10-2)θa +0.95≦ha /ta
(−10-2)θa +2.5 である上記(1)に記載の円弧状フェライト磁石。
【0013】(3) 外周面の曲率半径をRoa 、内周
面の曲率半径をRia としたとき、 1.10≦Roa /Ria ≦1.45 である上記(1)または(2)に記載の円弧状フェライ
ト磁石。
【0014】(4) 160°≦θa ≦180° である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の円弧
状フェライト磁石。
【0015】(5) 外周面の曲率半径をRoa 、内周
面の曲率半径をRia としたとき、 {Ria −(Roa −ta )}/ta で表わされる偏心率が0〜0.5である上記(1)ない
し(4)のいずれかに記載の円弧状フェライト磁石。
【0016】(6) 表面が凹状の上パンチと、表面が
凸状の下パンチとを有する湿式成形装置を用い、前記上
パンチと前記下パンチとに挟まれた円弧状キャビティ内
に原料粉末スラリーを充填して、磁場中で湿式成形する
ことにより円弧状成形体を形成する工程を有する円弧状
フェライト磁石の製造方法であって、前記円弧状キャビ
ティの周方向中央における径方向を深さ方向としたと
き、前記原料粉末スラリーに加えられる圧力の方向が前
記円弧状キャビティの深さ方向となり、前記原料粉末ス
ラリーに印加される磁場の方向が前記円弧状キャビティ
の径方向となるように成形を行なって、内周面の両端部
がなす角度をθb としたとき、 130°≦θb ≦165° であり、周方向中央における径方向を高さ方向としたと
き、外周面両端部付近に、前記高さ方向とほぼ平行であ
る外周平面領域を有し、前記高さ方向に測定された前記
外周平面領域の高さをhb とし、周方向中央における径
方向厚さをtb としたとき、 (−0.5×10-2)θb +0.88≦hb /tb
(−10-2)θb +2.35 である円弧状成形体を形成することを特徴とする円弧状
フェライト磁石の製造方法。
【0017】(7) 前記成形体において、外周面の曲
率半径をRob 、内周面の曲率半径をRib としたと
き、 1.10≦Rob /Rib ≦1.45 である上記(6)に記載の円弧状フェライト磁石の製造
方法。
【0018】(8) 139°≦θb ≦165°である
上記(6)または(7)に記載の円弧状フェライト磁石
の製造方法。
【0019】(9) 前記成形体において、外周面の曲
率半径をRob 、内周面の曲率半径をRib としたと
き、 {Rib −(Rob −tb )}/tb で表わされる偏心率が0〜0.5である上記(6)ない
し(8)のいずれかに記載の円弧状フェライト磁石の製
造方法。
【0020】(10) 上記(6)ないし(9)のいず
れかに記載の製造方法に用いられる湿式成形装置であっ
て、表面が凹状の上パンチが円弧状成形体の外周面に接
触し、表面が凸状の下パンチが円弧状成形体の内周面に
接触するよう構成されていることを特徴とする湿式成形
装置。
【0021】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。本発明の円弧状フェライト磁石の一例を図
1(a)に示す。同図に示される円弧状フェライト磁石
1は、径方向に異方性を有する。直流2極モータに適用
する場合には、内周面の両端部がなす角度をθa とした
とき、θa が180°に近いほど低騒音かつ高磁気特性
が得られ、特に、 150°≦θa ≦180°、好ましくは 160°≦θa ≦180° の範囲において著しく騒音が少なくなり、また、総磁束
量が向上するので、本発明ではθa を上記範囲とする。
θa をこのように180°に近く設定すると、従来の円
弧状フェライト磁石では、高さ方向(内周面の周方向中
央における径方向)、すなわち図1において上下方向に
圧力を加えて成形体を作製した場合には、焼結後、磁石
両端部に割れや欠けが頻発してしまうが、本発明ではθ
a を上記範囲とした場合でも、割れや欠けの発生を防ぐ
ことができる。
【0022】なお、θa 測定の基準となる中心Oは、円
弧状フェライト磁石の内周面を含む円の中心である。と
ころで、磁場中成形により異方性化された成形体は、異
方性方向(磁化容易軸方向)とその直角方向とで焼結時
の収縮率が異なる。このため、円弧状フェライト磁石1
の内周面が歪むことがある。このような場合、内周面に
測定点を5点以上とって、最小二乗法により内周面をそ
の一部とする仮想円を想定し、この仮想円の中心を中心
Oとしてθa を求める。また、円弧状フェライト磁石1
の内周面端部は、円弧状から外れた形状に設計される場
合があるが、この場合には、円弧状の部分を両端部まで
仮想的に延長してθa を求める。
【0023】本発明の円弧状フェライト磁石1は、外周
面両端部付近に外周平面領域を有する。この外周平面領
域は前記高さ方向とほぼ平行、好ましくは両者のなす角
度が5°以下となるように設けることが好ましい。外周
平面領域の傾きの方向はいずれであってもよい。
【0024】そして、前記高さ方向に測定された前記外
周平面領域の高さをha とし、内周面の周方向中央にお
ける径方向厚さをta としたとき、好ましくは (−0.5×10-2)θa +0.95≦ha /ta
(−10-2)θa +2.5、より好ましくは (−0.5×10-2)θa +0.95≦ha /ta
(−10-2)θa +2.35 である。外周平面領域は、成形時に原料粉末のスラリー
に加わる圧力を均等化するためのものである。ha /t
a が上記範囲未満である場合、すなわち、外周平面領域
の高さが径方向厚さに対して相対的に不足する場合、成
形時に外周面端部付近の圧力が過大になるため、外周面
端部付近に割れや欠け等の不良が発生する。また、ha
/ta が上記範囲を超えている場合、すなわち、外周平
面領域の高さが径方向厚さに対して相対的に大きすぎる
場合、成形時に内周面端部へ加わる圧力が不足するた
め、内周面端部付近に割れや欠け等の不良が発生する。
【0025】また、本発明の円弧状フェライト磁石1で
は、外周面の曲率半径をRoa 、内周面の曲率半径をR
a としたとき、通常、 1.10≦Roa /Ria ≦1.45 とされる。Roa /Ria がこの範囲であれば、ha
a の範囲限定による効果がより高くなる。Roa およ
びRia を求めるに際しては、θa の決定の場合と同様
に、必要に応じて仮想円を利用する。
【0026】本発明の円弧状フェライト磁石は図1
(b)に示されるように偏心していてもよい。偏心して
いる場合には成形が容易となるが、総磁束量が減少して
しまう。本発明では、偏心率が0〜0.5と小さい場合
でも割れや欠けの発生なく成形が可能であるため、成形
の自由度が向上し、また、高磁気特性の磁石を得ること
ができる。この場合の偏心率は、{Ria −(Roa
a )}/ta で表わされる。
【0027】なお、径方向厚さに垂直な方向(図面に垂
直な方向)に測定される磁石の長さに特に制限はなく、
用途に応じて適宜決定すればよい。
【0028】本発明の円弧状フェライト磁石の組成は特
に限定されず、フェライトの組成によらず本発明の効果
は実現する。
【0029】次に、本発明の製造方法について説明す
る。円弧状フェライト磁石は、円弧状成形体を焼結する
ことにより製造される。図2に、本発明に用いる湿式成
形装置の一例を示す。この湿式成形装置において、11
は支柱12によって床上に支承されたダイス、13は上
パンチ、14は下パンチである。そして、15はダイス
11の外周部分に取り付けられた磁場コイルであり、成
形の際に磁場配向を行なって、成形体に異方性を付与す
るためのものである。上パンチ13および下パンチ14
は、シリンダ16,17によって上下に移動可能となっ
ており、上パンチ13は下降してダイス11の上面に当
接し、下パンチ14はダイス11に設けられた貫通部内
を上昇して加圧成形を行なうよう構成されている。上パ
ンチ13、下パンチ14およびダイス11により形成さ
れるキャビティ内には、原料粉末のスラリーを供給する
ための供給路111が開口している。上パンチ13に
は、加圧時にスラリーから押し出される液体をキャビテ
ィ外に排出するための排液孔18が複数個穿設されてお
り、排液孔18は排液路19と連通している。さらに、
上パンチ13のキャビティ側内表面には、布や紙等から
構成される濾過体20が設けられており、加圧時に液体
だけを排液孔18内に押し出し、原料粉末をキャビティ
内に留める作用をなしている。濾過体20はロール2
1,22に巻回されており、これらのロールを適宜回転
させることにより、濾過体20を交換することなく連続
的な成形が可能となっている。
【0030】このように構成された湿式成形装置では、
以下のようにして成形が行なわれる。まず、シリンダ1
6の作動により上パンチ13がダイス11の上面に当接
すると共に下パンチ14が下降して、上パンチ13、ダ
イス11および下パンチ14により成形のためのキャビ
ティが形成され、このキャビティ内に原料粉末のスラリ
ーが供給路111により圧送、充填される。充填後、下
パンチ14が上昇してスラリーを加圧する。この加圧に
よってスラリー内の液体は濾過体20で濾過されて排液
孔18内に押し出され、排液路19を通って外部に排出
される。一方、スラリー中の原料粉末は、上パンチ13
および下パンチ14により圧縮され、円弧状の成形体と
なる。
【0031】この成形装置では、上パンチ13が円弧状
成形体の外周面を形成し、下パンチ14が円弧状成形体
の内周面を形成することになる。すなわち、円弧状キャ
ビティの周方向中央における径方向を深さ方向としたと
き、原料粉末スラリーに加えられる圧力の方向は、円弧
状キャビティの深さ方向となる。また、原料粉末スラリ
ーに印加される磁場の方向は、円弧状キャビティの径方
向となる。
【0032】本発明では、このような湿式成形法によ
り、内周面の両端部がなす角度をθb としたとき、 130°≦θb ≦165°、好ましくは 139°≦θb ≦165° であり、外周面両端部付近に、前記高さ方向とほぼ平行
である外周平面領域を有し、前記高さ方向に測定された
前記外周平面領域の高さをhb とし、周方向中央におけ
る径方向厚さをtb としたとき、 (−0.5×10-2)θb +0.88≦hb /tb
(−10-2)θb +2.35、好ましくは (−0.5×10-2)θb +0.88≦hb /tb
(−10-2)θb +2.20 である円弧状成形体を製造する。
【0033】なお、成形体において前記高さ方向と前記
外周平面領域とはほぼ平行であればよいが、両者のなす
角度は0.3〜5°であることが好ましい。外周平面領
域は、通常、その下端部が中心Oに近づくように傾斜し
ていることが好ましい。
【0034】また、この円弧状成形体では、外周面の曲
率半径をRob 、内周面の曲率半径をRib としたと
き、 1.10≦Rob /Rib ≦1.45 であることが好ましい。
【0035】また、この円弧状成形体では、{Rib
(Rob −tb )}/tb で表わされる偏心率が0〜
0.5であることが好ましい。
【0036】この円弧状成形体におけるθb 、hb 、t
b 、Rob およびRib は、上記した円弧状磁石におけ
るθa 、ha 、ta 、Roa およびRia にそれぞれ対
応するものであり、θb 、hb /tb 、Rob /Rib
および{Rib −(Rob −tb )}/tb の限定理由
は、円弧状磁石におけるθa 、ha /ta 、Roa /R
a および{Ria −(Roa −ta )}/ta の限定
理由とそれぞれ同様である。円弧状成形体は焼結の際に
収縮し、収縮率は磁化容易軸方向とその直角方向とで異
なるため、θb およびhb /tb の範囲は、θa および
a /ta の範囲とそれぞれ若干異なるが、両端部の割
れや欠けを防ぐという効果は同一である。
【0037】本発明の製造方法において、スラリー中の
原料粉末の比率は特に限定されないが、好ましくは60
〜80重量%とする。また、成形圧力も特に限定されな
い。また、成形時に印加する磁場強度は、原料粉末が飽
和する程度以上とすればよい。
【0038】なお、以上では図2に示される構成の湿式
成形装置を例に挙げて説明したが、これに限らず、例え
ば上パンチおよびダイスが下降してスラリーを圧縮する
構成などであってもよい。すなわち、表面が凹状の上パ
ンチが円弧状成形体の外周面に接触し、表面が凸状の下
パンチが円弧状成形体の内周面に接触する構成の湿式成
形装置であれば、各パンチやダイスの動き、あるいはス
ラリーの供給位置や供給方法等にかかわりなく、本発明
の効果は実現する。
【0039】
【作用】本発明では、径方向に異方性を有する円弧状成
形体を焼結し、円弧状フェライト磁石を製造する。円弧
状成形体は、図2に示されるような構成の湿式成形装置
を用いて、表面が凹状の上パンチ13、ダイス11およ
び表面が凸状の下パンチ14により形成される円弧状の
キャビティ内に原料粉末スラリーを充填して、圧縮成形
することにより製造する。
【0040】本発明者らは、このような装置を用いる湿
式成形法について研究した結果、下記の知見を得た。
【0041】図3に、成形完了時のキャビティ形状、す
なわち円弧状成形体の形状と、その形状から算出される
圧縮率の分布とを示す。この場合の圧縮率とは、加圧距
離をスラリー充填完了時のキャビティ深さで除した値で
ある。なお、加圧距離とは、スラリー充填完了時のキャ
ビティ深さから成形完了時のキャビティ深さを減じた値
である。加圧距離はキャビティ内の全ての位置で一定で
あるが、キャビティ深さは位置によって異なるため、図
示のような圧縮率分布となる。
【0042】スラリー中の原料粉末の流動性が極めて良
好であれば、図3に示されるように計算上の圧縮率が位
置によって異なっていても、キャビティ内の原料粉末が
流動するためほぼ均等に圧力が印加されることになる。
しかし、フェライトの原料粉末は流動性が悪いため、成
形時の圧力分布は、図3に示される圧縮率分布と同様な
傾向を示す。すなわち、成形圧力は、キャビティの内周
面端部において小さく、外周面端部において極端に大き
くなるので、円弧状磁石の外周面端部付近に割れや欠け
が発生する。
【0043】そこで、本発明では、キャビティの外周面
端部付近に外周平面領域(ha およびhb に相当)を設
け、外周面端部における成形圧力が過大になることを防
いだ。
【0044】一方、円弧状キャビティの周方向中央付近
および外周面端部付近における圧縮率は、内周面端部付
近における圧縮率よりも大きいので、周方向中央付近お
よび外周面端部付近からの圧力により原料粉末は内周面
端部付近に移動し、これにより内周面端部付近の成形体
密度は向上する。しかし、外周面端部付近の過大な圧力
を減じるために外周平面領域を大きくしすぎると、外周
面端部付近の成形圧力が不足して内周面端部付近への原
料粉末の供給が不十分となり、内周面端部付近における
成形体密度が不足して割れや欠けが発生する。そこで、
外周平面領域の大きさの上限を定めることが必要とな
る。
【0045】ただし、内周面端部付近の成形圧力は、上
記したように、外周面端部付近の圧力だけではなく周方
向中央付近の圧力の影響も受ける。すなわち、キャビテ
ィの径方向厚さ(ta およびtb に相当)が小さけれ
ば、周方向中央付近の圧縮率と内周面端部付近の圧縮率
との差が大きくなる。従って、周方向中央付近の圧縮率
を適切な値とすると内周面端部付近の成形圧力が低くな
り過ぎるため、外周面端部付近の圧力を大きくして原料
粉末を流動させなければ、内周面端部において十分な圧
力が得られない。このため、ta およびtb が小さい場
合にはha およびhb の上限は小さくなる。従って本発
明では、ha /ta およびhb /tb の範囲を限定する
構成とした。
【0046】また、周方向中央付近の圧縮率と内周面端
部付近の圧縮率との差は、内周面両端部間の角度(θa
およびθb に相当)にも依存し、この角度が大きいほど
これらの差が大きくなる。そこで、本発明では、θa
よびθb が一定値以上である広角度磁石に最適なha
a およびhb /tb の範囲を設定した。
【0047】このような限定により、外周面端部付近お
よび内周面端部付近のいずれにおいても割れや欠けがな
く、また、密度が均一で磁気特性の位置的なバラツキの
少ない広角度の円弧状フェライト磁石が実現した。
【0048】なお、加圧距離はスラリーの固液比等の各
種条件によって適宜決定されるものであり、圧縮率の絶
対値は図3に示されるものと異なる場合もあるが、圧縮
率の絶対値が異なる場合でも圧縮率分布曲線の形状はほ
ぼ同様の傾向を示す。
【0049】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。図2に示されるような湿式成
形装置のキャビティ内に、フェライト原料粉末のスラリ
ーを供給し、磁場中で脱水加圧成形して、径方向の異方
性を有する円弧状の成形体を得た。スラリー中の原料粉
末の比率は70重量%とした。次いで、成形体を焼結
し、円弧状の異方性フェライト磁石とした。キャビティ
形状を変更して、複数の磁石サンプルを作製した。な
お、磁石の長さは45mmとした。
【0050】各サンプルおよびその製造に用いた成形体
について、形状および寸法を表わす変数の値を下記表
1、表2および表3に示す。各サンプルにつき100個
の磁石を作製し、外周面両端部付近や内周面両端部付近
の割れや欠けの発生率を調べた。結果を各表に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】なお、サンプルNo. 5では成形体密度が両
端部で著しく低かったため、磁石両端部が広がって真円
度が著しく低下し、θa の測定が不可能であった。
【0055】上記各表に示される結果から、本発明の効
果が明らかである。すなわち、hb/tb が本発明の範
囲内にある成形体を用いた場合、磁石両端部の割れや欠
けの発生が殆どない。
【0056】また、表3に示される磁石No. 12に比
べ、表2に示される磁石No. 7〜9および表1に示され
る磁石No. 2〜4では騒音が著しく減少し、総磁束量も
増加した。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、表面が凹状の上パンチ
および表面が凸状の下パンチを用いる量産性の高い湿式
成形方法を用いて、内周面両端部間の角度が広い円弧状
異方性フェライト磁石を製造する場合に、両端部の割れ
や欠けの発生を防止することができる。
【0058】そして、本発明により実現する広角度磁石
は、騒音が減少して乾式リング磁石と同等になり、ま
た、上記のような上パンチおよび下パンチを用いる従来
の方法で割れや欠けの発生なしに製造可能であった円弧
状磁石(内周面両端部間の角度が140°程度)に比
べ、総磁束量が3〜4%程度以上増加する。
【0059】従って、本発明によれば、高トルクで小型
化が可能で、低騒音の円弧状フェライト磁石が、極めて
高い歩留りで得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)および(b)は、それぞれ本発明の円弧
状フェライト磁石を示す正面図である。
【図2】本発明の製造方法に用いる湿式成形装置の構成
を示す断面図である。
【図3】湿式成形装置のキャビティ形状と、圧縮率との
関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 円弧状フェライト磁石 11 ダイス 111 供給路 12 支柱 13 上パンチ 14 下パンチ 15 磁場コイル 16 シリンダ 17 シリンダ 18 排液孔 19 排液路 20 濾過体 21 ロール 22 ロール

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湿式成形法を用いて製造された円弧状フ
    ェライト磁石であって、 径方向に異方性を有し、 周方向中央における径方向を高さ方向としたとき、成形
    時に前記高さ方向に圧力が加えられており、 内周面の両端部がなす角度をθa としたとき、 150°≦θa ≦180° であり、 外周面両端部付近に、前記高さ方向とほぼ平行である外
    周平面領域を有することを特徴とする円弧状フェライト
    磁石。
  2. 【請求項2】 前記高さ方向に測定された前記外周平面
    領域の高さをha とし、周方向中央における径方向厚さ
    をta としたとき、 (−0.5×10-2)θa +0.95≦ha /ta
    (−10-2)θa +2.5 である請求項1に記載の円弧状フェライト磁石。
  3. 【請求項3】 外周面の曲率半径をRoa 、内周面の曲
    率半径をRia としたとき、 1.10≦Roa /Ria ≦1.45 である請求項1または2に記載の円弧状フェライト磁
    石。
  4. 【請求項4】 160°≦θa ≦180° である請求項1ないし3のいずれかに記載の円弧状フェ
    ライト磁石。
  5. 【請求項5】 外周面の曲率半径をRoa 、内周面の曲
    率半径をRia としたとき、 {Ria −(Roa −ta )}/ta で表わされる偏心率が0〜0.5である請求項1ないし
    4のいずれかに記載の円弧状フェライト磁石。
  6. 【請求項6】 表面が凹状の上パンチと、表面が凸状の
    下パンチとを有する湿式成形装置を用い、前記上パンチ
    と前記下パンチとに挟まれた円弧状キャビティ内に原料
    粉末スラリーを充填して、磁場中で湿式成形することに
    より円弧状成形体を形成する工程を有する円弧状フェラ
    イト磁石の製造方法であって、 前記円弧状キャビティの周方向中央における径方向を深
    さ方向としたとき、前記原料粉末スラリーに加えられる
    圧力の方向が前記円弧状キャビティの深さ方向となり、
    前記原料粉末スラリーに印加される磁場の方向が前記円
    弧状キャビティの径方向となるように成形を行なって、 内周面の両端部がなす角度をθb としたとき、 130°≦θb ≦165° であり、 周方向中央における径方向を高さ方向としたとき、外周
    面両端部付近に、前記高さ方向とほぼ平行である外周平
    面領域を有し、 前記高さ方向に測定された前記外周平面領域の高さをh
    b とし、周方向中央における径方向厚さをtb としたと
    き、 (−0.5×10-2)θb +0.88≦hb /tb
    (−10-2)θb +2.35 である円弧状成形体を形成することを特徴とする円弧状
    フェライト磁石の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記成形体において、外周面の曲率半径
    をRob 、内周面の曲率半径をRib としたとき、 1.10≦Rob /Rib ≦1.45 である請求項6に記載の円弧状フェライト磁石の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 139°≦θb ≦165°である請求項
    6または7に記載の円弧状フェライト磁石の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記成形体において、外周面の曲率半径
    をRob 、内周面の曲率半径をRib としたとき、 {Rib −(Rob −tb )}/tb で表わされる偏心率が0〜0.5である請求項6ないし
    8のいずれかに記載の円弧状フェライト磁石の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 請求項6ないし9のいずれかに記載の
    製造方法に用いられる湿式成形装置であって、 表面が凹状の上パンチが円弧状成形体の外周面に接触
    し、表面が凸状の下パンチが円弧状成形体の内周面に接
    触するよう構成されていることを特徴とする湿式成形装
    置。
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