JP2000269023A - 2極異方性円筒状フェライト磁石及びその製造方法 - Google Patents

2極異方性円筒状フェライト磁石及びその製造方法

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JP2000269023A
JP2000269023A JP11073582A JP7358299A JP2000269023A JP 2000269023 A JP2000269023 A JP 2000269023A JP 11073582 A JP11073582 A JP 11073582A JP 7358299 A JP7358299 A JP 7358299A JP 2000269023 A JP2000269023 A JP 2000269023A
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Toshikuni Osawa
利邦 大澤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 モータ等の組立時の不良率大幅低下を可能と
する2極異方性円筒状フェライト磁石及びその製造方法
を提供する。 【解決手段】 少なくとも上部パンチと、下部パンチ
と、型枠とによって略円筒状成形空間を形成し、該成形
空間内のフェライト磁石粉を磁場中成形することで、外
周面2と該外周面2に垂直な両方の端面3と前記両方の
端面3に開口する中心貫通穴4と内径面取り部5とを有
する2極異方性円筒状フェライト磁石を作製する。この
とき、内径面取り部5の深さ寸法(d)が筒長寸法
(L)の1.5%〜7.0%の範囲内であり、かつ前記端
面3に対する面取り角度(a)を30°以下とし、この
ような内径面取り部5を、前記中心貫通穴4の内周面両
端部に形成している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家庭で使用される
モータ等へ適用される2極異方性円筒状フェライト磁石
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フェライト磁石のクラック、欠け等を防
止する対策として、一般的に磁石の縁端部に面取りを施
している。これらの防止策を開示した従来例として、例
えば、特公平6−12727号公報、特開平5−121
29号公報等が知られている。
【0003】上記特公平6−12727号公報の「酸化
物永久磁石の製造法」では、湿式成形の製造法を開示し
ており、成形対象は弓形状の磁石であり、乾式成形で円
筒状磁石とする場合の考察はとくになされていない。
【0004】また、特開平5−129129号公報の
「弓形焼結磁石及びその面取り方法」も、弓状焼結磁石
を対象とするものであり、磁石焼結後にその外周面又は
内周面の端縁をそれぞれの長さ方向に沿って研磨して面
取り部を形成する技術を開示するものであり、乾式成形
で円筒状磁石とする場合の考察はとくになされていな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、2極異方性
円筒状フェライト磁石において、内径の縁端部がシャー
プ、あるいは面取りが小さい場合、モータ等の組立時に
割れ、欠け等が発生し易く、モータの異常音発生やモー
タロックの原因となっていた。
【0006】また、面取りが過大な場合も、面の安定性
が欠如するためシャフトずれや樹脂漏れ、磁石と樹脂の
接着が悪くモータ等の組立時の不良となり易いことがわ
かった。
【0007】さらに、成形焼結後、機械的加工により内
径面取りを施す手法も考えられているが、生産効率が悪
くコスト高になっているのが現状である。
【0008】本発明は、上記の点に鑑み、モータ等の組
立時の不良率大幅低下を可能とする2極異方性円筒状フ
ェライト磁石及びその製造方法を提供することを目的と
する。
【0009】本発明のその他の目的や新規な特徴は後述
の実施の形態において明らかにする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の2極異方性円筒状フェライト磁石は、外周
面と該外周面に垂直な両方の端面と前記両方の端面に開
口する中心貫通穴とを有する構成において、深さ寸法
(d)が筒長寸法(L)の1.5%〜7.0%の範囲内で
あり、かつ前記端面に対する面取り角度(a)が30°
以下の内径面取り部が、前記中心貫通穴の内周面両端部
に形成されたことを特徴としている。
【0011】前記2極異方性円筒状フェライト磁石にお
いて、前記内径面取り部の一部に回り止め形状が付加さ
れていてもよい。
【0012】また、本発明の2極異方性円筒状フェライ
ト磁石の製造方法は、少なくとも上部パンチと、下部パ
ンチと、型枠とによって略円筒状成形空間を形成し、該
成形空間内のフェライト磁石粉を磁場中成形する場合に
おいて、深さ寸法(d)が筒長寸法(L)の1.5%〜
7.0%の範囲内で、かつ端面に対する面取り角度
(a)が30°以下の内径面取り部をフェライト磁石に
形成するための先端面形状を持つ前記上部パンチ及び下
部パンチを用い、前記成形空間内にフェライト磁石粉を
充填し、成形体密度が1.6〜2.0g/cm の範囲
内となるまでの圧縮を前記上部パンチの前記成形空間に
対する相対下降動作で行った後、前記成形体密度が2.
0g/cm を越えるまで前記下部パンチの前記成形
空間に対する相対上昇動作で圧縮することを特徴として
いる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る2極異方性円
筒状フェライト磁石及びその製造方法の実施の形態を図
面に従って説明する。
【0014】図1及び図2は本発明に係る2極異方性円
筒状フェライト磁石の実施の形態であり、成形、焼結後
の2極異方性円筒状フェライト磁石1の形状及び構造を
説明するための図である。図1及び図2において、2極
異方性円筒状フェライト磁石1は、外周面2と該外周面
に垂直な両方の端面3と前記両方の端面に開口する中心
貫通穴4とを有している。さらに、中心貫通穴4の内周
面両端部に内径面取り部5が形成されている。ここで、
内径面取り部5は、磁石筒長寸法をLとしたときに、深
さ寸法dが筒長寸法Lの1.5%〜7.0%の範囲内であ
り、かつ前記端面3に対する面取り角度aが30°以下
に設定された円錐状凹面(テーパー面)である。但し、
面取り角度aについては、a≦30°であるが、内径面
取り部5の面積が全体(面取りの無い円筒体端面の全面
積)の90%を越えない範囲になるように適宜選択する
ことが望ましい。これは面取り部分の面積が全体の90
%を越えると面の安定性が欠如し、樹脂漏れや、シャフ
トずれを起こしてしまうためである。
【0015】後の実施例にて実験結果を述べるが、種々
の検討及び実験の結果、内径面取り深さ寸法dがL寸法
の1.5%未満以下で、モータ等の組立時の割れ、欠け
が多発することが分かった。また、内径面取り深さ寸法
dがL寸法に対し7%より大きい場合、シャフトずれや
磁石と樹脂の接着が悪くモータ等の組立時の不良となる
ことが分かった。さらに、内径面取り深さ寸法dがL寸
法の1.5〜7.0%の範囲であっても、内径面取り角度
a>30°であると、モータ組立時に割れ、欠けが多発
することが分かった。
【0016】従って、本実施の形態に述べたように、内
径面取り部5は、深さ寸法dが筒長寸法Lの1.5%〜
7.0%の範囲内で、かつ前記端面3に対する角度aを
30°以下に設定することで、モータ等の組立時の不良
率を激減させることが可能となり、モータ等の組立時の
生産効率向上を図ることができる。
【0017】図3は、本発明のその他の実施の形態であ
って、2極異方性円筒状フェライト磁石の端面側又は中
心貫通穴内周側に回り止め形状が設けられた3つの例を
示している。図3(イ)は、回り止め形状としての回り
止め溝11が内径面取り部5内に形成されている。同図
(ロ)は、回り止め溝12が円筒体の端面3を径方向に
横断するように形成されている。同図(ハ)は、回り止
め溝13が中心貫通穴4の内周面に形成され、中心貫通
穴断面形状を非円形としている。
【0018】図3の各例のように、回り止め形状が部分
的に内径面取り部5にかかってもモータ等の組立に際し
て支障はなく、図1及び図2の実施の形態と同様の作用
効果を得ることができる。
【0019】上記各実施の形態で示した2極異方性円筒
状フェライト磁石1の成形は、例えば、図4及び図5に
示す圧縮成形装置にて行う。図4は縦断面図、図5は横
断面図である。これらの図において、本成形装置は、コ
イル21、配向用強磁性体22、中棒23、型枠(臼又
はダイ)24、上部パンチ25、下部パンチ26を備
え、型枠(臼又はダイ)24の成形用穴、この内部に突
出する中棒23、成形用穴に嵌入する上部パンチ25及
び下部パンチ26にて円筒状の成形空間(キャビティ)
27を構成している。前記中棒23、型枠24、上部及
び下部パンチ25,26はいずれも非磁性体であるが材
質は特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、銅ベリリ
ウム合金、ハイマンガン鋼、青銅、真鍮、非磁性超鋼等
を用いることができる。コイル21が巻回された一対の
配向用強磁性体22は、フェライト粉末の磁場中成形の
ために成形空間を直径方向に横断する磁場(圧縮方向と
直交する方向の磁場)を発生するものであり、純鉄、珪
素鋼板等である。
【0020】上記の2極異方性円筒状フェライト磁石1
の圧縮形成において、内径面取り深dさが筒長寸法Lに
対し1.5%〜7.0%の範囲内で且つ角度a≦30°が
形成された上部パンチ25、下部パンチ26と型枠24
等によって成形空間27を形成し、この成形空間内にフ
ェライト磁石粉を充填して磁場中形成するが、単に上部
パンチを成形空間内に下降させて圧縮成形を行うと、成
形体に部分的な密度差が生じ、焼結後にクラックが発生
する問題の生じることが本発明者により解明された。
【0021】そこで、本発明者は成形時の圧縮方向を制
御することで、部分的な密度差を緩和させクラックを防
止する成形法を確立した。この成形法を以下に説明す
る。
【0022】圧縮方向と直交する方向へ磁界を印加して
圧縮成形する2極異方性円筒状フェライト磁石の製造方
法において、従来の圧縮方法は上部パンチを成形空間内
に下降させて圧縮する一方向のみとなっているが、これ
では上記したように成形体に部分的な密度差が発生し、
焼結時のクラックの問題が生じる。
【0023】これに対する本実施の形態における対策と
して、成形圧縮時に成形体密度が1.6〜2.0g/cm
の範囲内となるまでの圧縮を上部パンチ25の前記
成形空間に対する下降動作で行った後、成形体密度が
2.0g/cm を越えるまで下部パンチ26の前記成
形空間に対する上昇動作で圧縮することで、内径面取り
部形成に伴う密度差を緩和した。この結果、後述の実施
例で詳述するが焼結時のクラックを激減することができ
た。
【0024】なお、成形装置において、上部パンチ25
や下部パンチ26を下降又は上昇させる代わりに成形空
間を昇降させるようにしても差し支えない。あくまで、
成形空間に対して上部パンチ25、下部パンチ26が相
対移動すればよい。
【0025】これにより、内径面取り部5を両端面側に
有し、その内径面取り深さ寸法dが筒長寸法Lの1.5
%〜7.0%で且つ角度a≦30°の2極異方性円筒状
フェライト磁石を焼結後の後加工での面取りを施すこと
なく得ることができ、このような形状の2極異方性円筒
状フェライト磁石を用いることで、モータ等の組立時の
割れ、欠けを防止でき、生産性向上が図れる。
【0026】
【実施例】図4及び図5の成形装置により、上方向から
の加圧による(上部パンチ下降による)圧縮成形によっ
て圧縮成形体密度を1.4、1.6、1.8、2.0、2.
2、2.8g/cm とし、その後2.8g/cm
達するまでの圧縮を下方向からの加圧による(下部パン
チ上昇による)圧縮成形としてフェライト磁石粉の磁場
中圧縮成形を行い、大気中1230度、1時間で焼成し
た。形状は、外径19mm、内径5.5mm、高さ30mmで
内径面取り部の深さ寸法dが0.5mm、角度aが30°
で圧縮成形体密度と焼結後のクラック発生率との関係に
ついて調査した。以下に掲げる表1は、この調査内容を
まとめたものである。尚、サンプル数は1000であ
る。
【0027】
【表1】
【0028】この表1の結果から本発明の効果は明らか
であり、特に実施例1,2,3の上方向からの加圧によ
る圧縮成形体密度を1.6、1.8、2.0g/cm
し、2.8g/cmに達するまでの圧縮を下方向から
の加圧とすることで焼結後のクラック発生率が激減して
いることが明白である。
【0029】次に、内径面取り深さ寸法dを0、0.
3、0.5、1.0、1.5、2.0、3.0mmとし角度a
をいずれも30°としてモータ組立時の不良率について
調査した。以下に掲げる表2は、この調査内容をまとめ
たものである。尚、サンプル数は1000である。
【0030】
【表2】
【0031】この表2の結果から本発明の効果は明らか
であり、内径面取り深さ0.5、1.0、1.5、2.0mm
とし(換言すれば、深さ寸法dを筒長寸法Lの1.5%
〜7.0%とし)、角度aを30°とした場合、モータ
組立時の不良率が激減することが明白である。
【0032】また、内径面取り深さ寸法dは0.5mmで
角度aを15、30、50、70°とした場合、角度a
とモータ組み立て時の不良率との関係について調査し
た。以下に掲げる表3は、この調査内容をまとめたもの
である。尚、サンプル数は1000である。
【0033】
【表3】
【0034】このモータ組立時の不良率について調査し
た結果から、角度aが15°、30°のとき、つまり3
0°以下の場合に不良率が激減することが明白である。
【0035】上記の検討結果をまとめると以下となる。
【0036】2極異方性円筒状フェライト磁石1の内径
面取り深さdが筒長寸法Lの1.5%〜7.0%で且つ角
度a≦30°の場合、モータ等の組立時の不良率が激減
し、モータ等の組立時の生産効率が向上する。
【0037】以上本発明の実施の形態及び実施例につい
て説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく
請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能
なことは当業者には自明であろう。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
外周面と該外周面に垂直な両方の端面と前記両方の端面
に開口する中心貫通穴とを有する2極異方性円筒状フェ
ライト磁石において、深さ寸法dが筒長寸法Lの1.5
%〜7.0%の範囲内で、かつ前記端面に対する角度a
が30°以下の内径面取り部を、前記中心貫通穴の内周
面両端部に形成したので、モータ等の組立時の不良率を
激減させ、モータ等の組立時の生産効率の大幅向上を図
ることができる。
【0039】また、2極異方性円筒状フェライト磁石の
圧縮成形に際して、成形空間に充填されているフェライ
ト磁石粉の成形体密度が1.6〜2.0g/cm の範
囲内となるまでの圧縮を上部パンチの成形空間に対する
相対下降動作で行った後、前記成形体密度が2.0g/
cm を越えるまで下部パンチの成形空間に対する相
対上昇動作で圧縮することにより、成形体焼結後のクラ
ック発生の問題を解消して歩留まりの向上を図ることが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態であって、2極異方性円筒
状フェライト磁石の構造を示す正断面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態であって、円筒形状の
端面側に回り止め形状を有する2極異方性円筒状フェラ
イト磁石をそれぞれ示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態で用いる成形装置の構成を
示す縦断面図である。
【図5】同横断面図である。
【符号の説明】
1 2極異方性円筒状フェライト磁石 2 外周面 3 端面 4 中心貫通穴 5 内径面取り部 11,12,13 回り止め溝 21 コイル 22 配向用強磁性体 23 中棒 24 型枠(臼) 25 上部パンチ 26 下部パンチ 27 成形空間 a 面取り角度 b 深さ寸法 L 筒長寸法

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周面と該外周面に垂直な両方の端面と
    前記両方の端面に開口する中心貫通穴とを有する2極異
    方性円筒状フェライト磁石において、 深さ寸法(d)が筒長寸法(L)の1.5%〜7.0%の
    範囲内であり、かつ前記端面に対する面取り角度(a)
    が30°以下の内径面取り部が、前記中心貫通穴の内周
    面両端部に形成されたことを特徴とする2極異方性円筒
    状フェライト磁石。
  2. 【請求項2】 前記内径面取り部の一部に回り止め形状
    が付加されてなる請求項1記載の2極異方性円筒状フェ
    ライト磁石。
  3. 【請求項3】 少なくとも上部パンチと、下部パンチ
    と、型枠とによって略円筒状成形空間を形成し、該成形
    空間内のフェライト磁石粉を磁場中成形する2極異方性
    円筒状フェライト磁石の製造方法において、 深さ寸法(d)が筒長寸法(L)の1.5%〜7.0%の
    範囲内で、かつ端面に対する面取り角度(a)が30°
    以下の内径面取り部をフェライト磁石に形成するための
    先端面形状を持つ前記上部パンチ及び下部パンチを用
    い、 前記成形空間内にフェライト磁石粉を充填し、成形体密
    度が1.6〜2.0g/cm の範囲内となるまでの圧
    縮を前記上部パンチの前記成形空間に対する相対下降動
    作で行った後、前記成形体密度が2.0g/cm を越
    えるまで前記下部パンチの前記成形空間に対する相対上
    昇動作で圧縮することを特徴とする2極異方性円筒状フ
    ェライト磁石の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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