JPH05217334A - テープカセット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 上ハーフ１と下ハーフ２の相対向する位置に
それぞれカセット本体内に突設する一対の円柱状をなす
軸受部１６，１７と、上下端側の内壁面１８に設けられ
た段差部１９，２０の内周面１９ａ，２０ａを上記一対
の軸受部１６，１７の外周面１６ａ，１７ａに接触させ
て傾動自在とされる円筒状のテープガイドローラ１４と
を備えてなり、上記一方の軸受部１７の外径寸法ａが他
方の軸受部１６の外径寸法ｂよりも大である。 【効果】 テープガイドローラのスムーズな回転及び傾
動が行え、テープパスが安定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えばカセット本体内
に回転ヘッドドラムが挿入されてテープパスが行われる
テープカセットに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、磁気テープを収納してなるテー
プカセットにおいては、巻出し側のテープリールと巻取
り側のテープリールとに亘って磁気テープを安定して走
行させるために、テープ走行経路の中途部にテープガイ
ドローラが設けられている。かかるテープガイドローラ
１０１は、通常、図６に示すように、一対のテープリー
ルを収納する上ハーフ１０２と下ハーフ１０３とを突合
わせてなるカセット本体内に設けられた円柱状のローラ
ガイド軸１０４に対して回動自在に取付けられるように
なっている。

【０００３】ところで、上記構成のテープガイドローラ
１０１を、テープの安定走行としての機能の他、ピンチ
ローラとして機能させることを考えた場合には、以下の
ような不都合が生ずる。すなわち、キャプスタンによる
側圧によってテープガイドローラ１０１が傾きテープパ
スずれを起こす。この結果、テープの走行が不安定なも
のとなり、テープ自体にしわや傷等が付く虞れがある。

【０００４】そこで、上述の不都合を解消すべく、実開
昭６２−２８６号公報に記載されるような構造としたテ
ープガイドローラが提案されている。このテープガイド
ローラ１０５は、内壁面をストレート形状ではなく、中
央部分１０６が膨らむような円弧状をなす形状となさ
れ、その中央部分１０６を支点として上記ローラガイド
軸１０４に対して傾動自在となされている。上記テープ
ガイドローラ１０５によれば、キャプスタンによる側圧
によって上記内壁面の中央部分１０６を支点として当該
テープガイドローラ１０５が傾き、その周面１０７に巻
き付く磁気テープを斜めに安定して走行させることがで
きる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記テープ
ガイドローラ１０５はその内壁面が円弧状とされている
ことから、当該ガイドローラ１０５を形成するに際し用
いられる金型をその中央部分で割る構造をとる必要があ
る。ところが、金型を割った場合には、型の合わせ目の
中央部にバリ等が発生し易い。そのため、中央部分１０
６を支点として回転するテープガイドローラ１０５は、
スムーズな回転が損なわれるばかりか、傾動動作が不安
定なものとなる。また、テープガイドローラ１０５の中
央部分をむりやりに型から引き抜くと、当該テープガイ
ドローラ１０５の上下端部の内径寸法精度がとり難くな
り、上下の傾動範囲が不均一となる。

【０００６】そこで本発明は、かかる従来の技術的な課
題に鑑みて提案されたものであって、テープガイドロー
ラのスムーズな回転及び傾動が行え、テープパスの安定
化が図れる精度の高いテープカセットを提供することを
目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明は、上ハーフと下ハーフの相対向する位置
にそれぞれカセット本体内に突設する一対の円柱状をな
す軸受部と、上下端側の内壁面に設けられた段差部の内
周面を上記一対の軸受部の外周面に接触させて傾動自在
とされる円筒状のテープガイドローラと備えてなり、上
記一方の軸受部の外径寸法が他方の軸受部の外径寸法よ
りも大であることを特徴とするものである。

【０００８】

【作用】本発明においては、上ハーフと下ハーフの相対
向する位置にそれぞれカセット本体内に突設して設けら
れる一対の円柱状をなす軸受部の外径寸法が、その上下
で異なる径とされているので、これら異なる径の軸受部
によって、当該軸受部に対して傾動するテープガイドロ
ーラの傾動範囲が規制される。したがって、きっちり決
められた傾動範囲をテープガイドローラが傾動すること
になり、テープパスずれが生ずることなく、安定したテ
ープの走行状態が確保される。

【０００９】

【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実施例につ
いて図面を参照しながら詳細に説明する。本実施例は、
いわゆるノントラッキング再生方式及びノンローディン
グ方式を採用してディジタル録音・再生を可能とした超
小型及び高音質のディジタルテープレコーダに用いられ
るテープカセットの例である。

【００１０】かかるディジタルテープレコーダは、縦，
横，厚みがそれぞれ３０×２１．５×５（単位：ｍｍ）
という切手サイズの超小型のテープカセットに回転可能
に収納したテープ幅２．５ｍｍの蒸着テープに対し、そ
の両面を使用してステレオ音声をディジタルで長時間
（１２０分）記録・再生するように構成されてなるもの
である。このディジタルテープレコーダは、いわゆるノ
ントラッキング再生方式及びノンローディング方式を採
用することにより、ローディング機構を不要とし、例え
ば縦，横，厚みがそれぞれ１１５×５０×２１（単位：
ｍｍ）という極めて小さなサイズとなっている。

【００１１】ここで、上記ディジタルテープレコーダに
採用されるノントラッキング再生方式について簡単に説
明する。ノントラッキング再生方式では、各トラックデ
ータを、例えば１００個といった具合にブロック化して
記録し、再生時には記録トラックを１対１でトレースす
るのではなく、回転ヘッド・ドラムの回転数を所定の２
倍にして、２倍密度スキャンを行う。このとき、メカニ
カル精度等によって再生ヘッド・トレースがトラックに
対して傾くことを考慮し、記録トラックに対してオーバ
ーラップするように数回に亘りトレースする。これによ
り、必要な再生データが全て取り出される。このときの
再生データはトラックを横切って再生する場合があるこ
とから、本来の順序通りにならないため、半導体メモリ
ーによってこれら再生データをアドレスに従って正しい
順序に並べ変える。これらを順序よく各トラックに対し
て行うことで、忠実な再生が実現される。

【００１２】一方、ノンローディング方式は、テープカ
セットからテープを一切引き出さず、磁気ヘッドが搭載
された直径１４．８ｍｍの超小型回転ドラムの方を、当
該テープカセットの前面開口部よりその内部に押し込
み、テープパスを形成する方式である。例えば、ビデオ
テープレコーダ等では再生トラックを忠実にトレースす
る必要があるため、高精度なローディング・メカニズム
が必要不可欠であるが、かかるノントラッキング再生方
式では、従来、メカ側にあった垂直ガイドや傾斜ピンの
機能をカセット内のテープガイドに持たせることによ
り、カセット内にドラムを突き出すだけで、テープパス
を形成でき、複雑なローディング機構を不要とすること
ができる。したがって、テープレコーダの大幅な小型化
及び軽量化が図れるという利点がある。

【００１３】ところで、上記ディジタルテープレコーダ
に使用されるテープカセットは、図１ないし図３に示す
ように、上ハーフ１と下ハーフ２とを突き合わせてカセ
ット本体３を構成し、そのカセット本体３内に一対のテ
ープリール４，５を回転自在に収納するようになってい
る。なお、図１では、カセット本体３内のテープリール
４，５の収納状態を明瞭なものとするために、上ハーフ
１の天板部分を省略して示してある。

【００１４】上記テープリール４，５は、磁気テープ６
を巻装させる円筒状の巻装部（図示は省略する。）と、
この巻装部の上下端に設けられ、該磁気テープ６の幅方
向での巻装状態を整える円盤状をなす一対のリールハブ
７，８とを有して構成されている。これらテープリール
４，５は、上記カセット本体３内の所定位置にそれぞれ
回転可能に設けられ、該リールハブ７，８のセンターに
穿設される櫛歯状をなす係合孔７ａ，８ａにレコーダの
リール係合軸（図示は省略する。）が係合してリール駆
動モータによって回転するようになっている。

【００１５】また、上記カセット本体３内には、このカ
セット本体３内に挿入される回転ドラム９とテープカセ
ットとの相対位置を規制するためのヘッド位置決め部材
１０が設けられている。上記ヘッド位置決め部材１０
は、上記テープリール４，５とカセット本体３の前面側
に開口する前面開口部に臨んで当該カセット本体３の長
手方向に沿って走行する磁気テープ６との間に設けられ
ている。このヘッド位置決め部材１０は、回転ドラム９
が挿入される部分に対応する中央部分１１が略円弧状と
なされるとともに、その円弧状をなす中央部分１１の終
端縁側にそれぞれ回転ドラムの外周面と接触する当接面
１２，１３を有している。上記当接面１２，１３は、回
転ドラム９の外周面と面接触するような円弧状をなす曲
面となされており、上記回転ドラム９の外周面との当接
により、当該回転ドラム９のテープカセットに対する位
置決めをする役目をする。なお、ヘッド位置決め部材１
０の中央部分１１は、上記回転ドラム９と接触しないよ
うになっている。

【００１６】そしてさらに、上記カセット本体３内に
は、一方のテープリール４からカセット本体３の前面開
口部側に引き出され、この前面開口部に臨んで当該カセ
ット本体３の長手方向に沿って走行し、他方のテープリ
ール５へと巻き取られる磁気テープ６のテープ走行経路
の中途部に、該磁気テープ６の走行安定性を確保するた
めのピンチローラとしても機能する一対のテープガイド
ローラ１４，１５が設けられている。特に、本実施例の
ようにノンローディング方式を採用するテープレコーダ
の場合には、テープガイドローラ１４，１５をピンチロ
ーラとして機能させる必要がある。上記テープガイドロ
ーラ１４，１５は、図４に示すように、少なくとも磁気
テープ６を巻き付けるに足る長さを有した円筒状をなす
ローラとして形成され、上ハーフ１と下ハーフ２の相対
向する位置にカセット本体３内に突設して設けられる一
対の円柱状をなす軸受部１６，１７に嵌合して傾動自在
となされている。

【００１７】すなわち、一方のテープガイドローラ１４
を例にとって説明すると、かかるテープガイドローラ１
４は、その上下端側の内壁面１８に段差部１９，２０を
有し、その段差部１９，２０を上記軸受部１６，１７に
嵌合させることにより、当該軸受部１６，１７に対して
回動自在となされている。そしてさらに、下ハーフ２に
設けられる軸受部１７の外径寸法ａが上ハーフ１に設け
られる軸受部１６の外径寸法ｂに対して大となされてい
る。このため、テープガイドローラ１４の下端側の段差
部２０の内周面２０ａとこれと対向する軸受部１７間の
隙間ｃが上端側の段差部１９の内周面１９ａとこれと対
向する軸受部１６間の隙間ｄに対して大きくなってい
る。したがって、これらの隙間ｃ，ｄの違いにより、回
転ドラム９と共にカセット本体３内に挿入されるキャプ
スタン２１との接触による側圧によって、図５に示すよ
うに、上記テープガイドローラ１４の段差部１９，２０
の内周面１９ａ，２０ａがそれぞれに対向する軸受部１
６，１７の外周面１６ａ，１７ａと接触して斜めに傾い
た状態で回動する。このときのテープガイドローラ１４
の傾動範囲は、上下ハーフ１，２に設けられる軸受部１
６，１７の外径寸法ａ，ｂによって決められ、その範囲
は均一なものとなる。なお、上記テープガイドローラ１
４は、下端側の段差部２０の内周面２０ａと直交する段
差面２０ｂが上記軸受部１７の上端面１７ｂと接触する
ようになされており、該テープガイドローラ１４の高さ
方向での位置が規制されるようになっている。また、上
記テープガイドローラ１４の内壁面１８の内径寸法ｆ
は、上ハーフ１及び下ハーフ２の軸受部１６，１７の外
径寸法ａ，ｂよりも小さくなされている。

【００１８】また、このテープガイドローラ１４には、
回転ドラム９と共にカセット本体３内に挿入されてくる
キャプスタン２１が当該テープガイドローラ１４に接触
した時に、或いは傾動中に該テープガイドローラ１４が
倒れ込まないようにするための円環状をなす突起２２が
内壁面１８の略中央部分に設けられている。かかる突起
２２は、テープガイドローラ１４がキャプスタン２１の
側圧によって押圧されたときに、前記下ハーフ２に設け
られる軸受部１７と一体成形された円柱状のローラガイ
ド軸２３の外周面２３ａに接触して上記テープガイドロ
ーラ１４，１５の倒れ込みを防止する働きをする。その
突起部２２とローラガイド軸２３とは、テープガイドロ
ーラ１４にキャプスタン２１が接触しない状態のときに
は、該テープガイドローラ１４が回転可能となるに足る
だけの隙間ｅを有している。上記隙間ｅは、前記下ハー
フ２に設けられる軸受部１７とこれと対向する段差部２
０の内周面２０ａ間の隙間ｃよりも小さなものとなって
いる。なお、上記ローラガイド軸２３は、その直径が小
さくなされた先端部２４を前記上ハーフ１の軸受部１６
の中心部に設けられた円形状の嵌合孔２５に臨ませるこ
とによって位置決めされている。

【００１９】そして上述のように軸受部１６，１７に対
して傾動自在となされたテープガイドローラ１４の外周
面には、円筒状をなすゴムロール２６が取付けられてい
る。かかるゴムロール２６は、弾性に富んだゴムからな
り、高摩擦係数であることからキャプスタン２１との圧
着により磁気テープ６をニップし、当該磁気テープ６の
安定した走行を可能となす。また、上記ゴムロール２６
を使用していることから、テープ走行時の摩擦が大き
く、上記テープガイドローラ１４の傾動をスムーズなも
のとなし、テープパスの安定化が素早く行われる。

【００２０】また、上記磁気テープ６のテープ走行経路
の中途部には、上記テープガイドローラ１４，１５にそ
れぞれ隣接して一対の補助ガイドローラ２７，２８が回
動自在に設けられている。この補助ガイドローラ２７，
２８は、上記テープガイドローラ１４，１５と補助ガイ
ドローラ２７，２８間に亘って走行する磁気テープ６を
回転ドラム９が設けられるヘッドベース上に固定される
テープガイド３５，３６によって撓ませることにより、
これら補助ガイドローラ２７，２８間を走行する磁気テ
ープ６を回転ドラム９の外周面に撓みを持たせることな
く添わせる役目をする。

【００２１】そして、上述のテープリール４，５、ヘッ
ド位置決め部材１０、テープガイドローラ１４，１５、
補助ガイドローラ２７，２８が収納されたカセット本体
３の前面開口側には、磁気テープ６を臨ませる前面開口
部を閉蓋自在とする前面蓋２９が設けられている。上記
前面蓋２９は、上記前面開口部を覆うに足る大きさの平
面長方形状をなす覆部３０と、この覆部３０の両端縁か
ら後方へ向かって突設する側板３１，３２とからなり、
これらが一体的に成形されてなっている。そして、上記
前面蓋２９は、カセット本体３の両側面３ａ，３ｂに設
けられた回動ピン３３，３４に側板３１，３２が回動可
能に係合することにより、当該回動ピン３３，３４を中
心として上記前面開口部を閉塞する位置と、開放する位
置とを回動するようになされている。なお、上記前面蓋
２９は、図３に示すように、上ハーフ１側又は下ハーフ
２側のいずれの方向に対しても回動可能となっている。

【００２２】

【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明に係るテープカセットによれば、上ハーフと下ハーフ
の相対向する位置にそれぞれカセット本体内に突設して
設けられる軸受部の外径寸法をその上下で異なる径とし
ているので、これら異なる径の軸受部によりテープガイ
ドローラの傾動範囲を規制することができる。特に、上
記軸受部は射出成形による金型を割る必要もないため、
その軸受部の外周面にバリ等が発生することがない。し
たがって、上記テープガイドローラの軸受部に対する傾
動がスムーズに作用し、テープパスずれを起こすことな
く安定してテープを走行させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用したテープカセットの一部を破断
して示す斜視図である。

【図２】本発明を適用したテープカセットの断面図であ
る。

【図３】本発明を適用したテープカセットの側面図であ
る。

【図４】本発明を適用したテープカセットに設けられる
テープガイドローラの要部拡大断面図である。

【図５】本発明を適用したテープカセットに設けられる
テープガイドローラが傾動した状態を示す要部拡大断面
図である。

【図６】従来のテープカセットに設けられるテープガイ
ドローラの一例を示す要部拡大断面図である。

【図７】従来のテープカセットに設けられるテープガイ
ドローラのさらに他の例を示す要部拡大断面図である。

【符号の説明】

１・・・上ハーフ ２・・・下ハーフ ３・・・カセット本体 ４，５・・・テープリール ６・・・磁気テープ １４，１５・・・テープガイドローラ １６，１７・・・軸受部 １９，２０・・・段差部 １９ａ，２０ａ・・・内周面 ２３・・・ローラガイド軸 ２６・・・ゴムローラ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上ハーフと下ハーフの相対向する位置に
   それぞれカセット本体内に突設する一対の円柱状をなす
   軸受部と、 上下端側の内壁面に設けられた段差部の内周面を上記一
   対の軸受部の外周面に接触させて傾動自在とされる円筒
   状のテープガイドローラと備えてなり、 上記一方の軸受部の外径寸法が他方の軸受部の外径寸法
   よりも大であることを特徴とするテープカセット。